おいしい店とのつきあい方。
七冊目

102 飲食店の新たな姿。その22
サービスの「プラスα」その3 案内のできない料理店

ご案内において、10点満点中の基礎点である「5点」。
それは、テーブルがお客様をご案内できる状態に
整えられているかどうか? ということで決まります。

実際の案内がある場合でも、
「ご自由にお座りください」と言われて
自分でテーブルを探して座る場合でも、
テーブルがキレイに整えられている状態にあるなら5点。

お店の人が先に立って、
整えられたテーブルに案内してくれればプラス1点。

ご案内の途中で、好みの席を聞いてくれたらプラス1点。

案内されたテーブルが、
自分の座りたかったテーブルであればまたプラス1点。

テーブルにつき、周りのテーブルを見渡して、
主が退店して片付いているべきテーブルが
キレイに片付いているならばプラス1点。
いないならばマイナス1点。

客席ホールに立っているお店の人が
みんな笑顔でキビキビ働いていればプラス1点で
10点満点です。

でも、最近は案内をしないお店が少ないから、
なかなか点数が上がっていかない。
気持ちのいい案内をしてくれるお店は、
サービスに対して手間とコストを惜しまぬお店‥‥、
と思っても決して間違いじゃないなじゃないかとも
思ったりする。

ところで先日。
とあるファミレスチェーンのひとつで、
こういう「ご案内」にでくわした。
最近、めずらしいほどに無礼で点数のつかない案内です。

店に入って入り口レジ脇のスタッフに
「2名です」と声をかけました。
すると即座にこう答える。
「当店は90分制で個別会計はお断りしておりますが、
それでもいいですか?」というのです。

うちのやり方に了承せぬものは入店の資格なし‥‥、
と言わんがばかりの高圧的な言い方が、
すごく嫌な感じがしました。
たしかにこういう店ではドリンクバーをたのんでダラダラ、
長時間居座る輩が多いから
自衛手段をとったのだろうと思う。
けれどこれではコミュニケーションが成立しない。

ボクは「2人分の席があるか?」と聞いている。
だからそれに対する答えはまず「ございます」、
あるいは「ございません」であるべきで、
それに続いて「長居はするな、
会計の時に面倒なことを言うな」と告げるならば
気持ちの納めようもあったに違いありません。

なのに直接的な答えを言わず
自分の都合だけを押し付けるというこのやり取り。
コミュニケーションを否定する
独りよがりなふるまいだろうと、
あとからあとから怒りがわいた。

コミュニケーションの基本は気配り。
例えば、お店が混んでいてウェイティングをしているとき
お店の人に「あとどのくらい待てばいいの?」と聞く。
すると、どのくらいの待ち時間か、
にわかに判断できないからと、
「少々お待ち下さい」と答えてしまう。
お店にしてみれば当たり前のコトでしょう。
けれどすでにうんざりするほど待っているのに、
あとどのくらい待てばいいかの質問に対する答えまでも
待たなきゃいけないのかと、
聞いた方はさらにうんざりするのです。
それと同時に大丈夫かなぁ‥‥、と不安になる。
しかも「少々待て」といったスタッフが
どこかに行ったきりで戻ってこない。
そもそもこのお店は、
待っている人のことなんか気にしてないに違いないと、
不安が怒りに変わっていく。
この場合の「少々お待ちください」は、
クレームにつながりかねない、とんちきな応対です。

この際、どうなくてはならなかったかというとまず
「お待たせして申し訳ありませんでした」
と謝ることがまず第一歩。
そしてすぐにわかる事実を伝える。
例えば「正確な時間はお約束できませんが、
4組目のご案内となります」と。
別の言い方で、とてもよく行われる回答が
「3組お待ちになってらっしゃいます」
という表現だけれど、そう言ったとき周りにいる
「その3組のお客様」がどう感じるのか。
ステキなお店において望ましい
コミュニケーションの原則は、
あくまで「私とあなた」の間でのやりとりで
完結されるべき。
第三者を引き合いに出す表現は、
プラスではなくマイナス評価とこころがけるべき‥‥、
なのでしょう。

2019-10-17-THU

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