おいしい店とのつきあい方。
八冊目

030 破壊と創造。その8
お店に電話を。

昔、行ったことのあるあのお店。
今はどんな営業状況なんだろう‥‥。

気になります。
その「昔」が2、3年前のことであれば
今の状況を思い浮かべることは容易くできる。
けれど10年、20年前ともなると
想像することはむつかしい。
人は変わっているだろうし、
改装をしてまるで違ったお店のようになっている
可能性すらあるだろうから、
情報収集をしなくちゃいけない。

インターネットは、いい情報源。
とはいえお店のウェブサイトは
「政府公式見解」のようなもの。
だからそれより「みんなの声」が知りたくて、
評価サイトをたよりにする‥‥、
ということになる。
そこにはボクの代わりに、
状況を観察している人がたくさんいて、
日々、活動の結果を律儀に報告してくれている。
すべてが主観で書かれた報告だから、
中にはとんちんかんなものもあったりするけれど、
多様な観点で
お店の状況を感じることができるところはありがたい。

ただ今の時期。
感染症予防対策を
どんな飲食店もとらなくちゃいけない状況にあって、
お店の様子は刻々と変わっていきます。
昨日撮られた写真が、
今日の状態と同じかどうかわからないのが今というとき。
メニューも今まで通りと限らない。
営業時間だって、定休日だって、
ネットに書いてある情報が本当かどうかわからない。
気になるお店の前まで行ったところで
お店の中の変化までがわかるわけじゃなく、
情報収集にいささか難儀するのも
今の時期のむつかしいところ。

こういうときに意外と重宝するのが古典的なのが、
「電話をかける」という方法です。

以前、この連載で
「電話をかけることがためらわれるようになった
飲食店の事情」

説明したことがありました。
人手不足が激しい現状。
最小の人数で忙しく仕事をしている飲食店に
電話をかけるのが迷惑と思われることが多くなってきた。
ピークタイムを外してかけたつもりが、
その時間には電話を受けて
対応できる人が不在であったり、
あるいは人そのものがいなかったり。
合理的に店舗を運営するということは、
電話を受ける時間と手間すら節約したくなる。
だからなるべくネットですむこと。
例えば予約なんかはネット予約をすることが
多くなった‥‥、というような内容でした。

けれど今の時期。
お店の人たちはお客様からの連絡を待ちわびている。
何しろ一時期、地元での感染者数増加の報道があると
電話が途端にかかってきて、
そのほとんどが予約取り消しの電話。
だから電話がかかってくるのが
怖くて怖くてしょうがなかった‥‥、
というようなお店の人もかなりいた。
今ではすっかりそれも落ち着き、電話すらもかかってこない。

予約の電話でなくてもいい。
お店の今を聞いてくれる人。
営業時間のコト。
定休日のコト。
お店の感染予防対策はどうなっているのか。
メニューはどんな感じなのか。
ウェブのあのページを見て電話しているのですけれど、
何か変更されているところってあるのでしょうか‥‥、
と、そう正直に聞くのもいいでしょう。

電話をかけるべきは、お店が暇な時間。
かつてその時間は開店前の10時前後か、
ランチが終わった直後の1時半くらいが
ゴールデンタイムと書いたこともあります
ところが今。
朝の時間はテイクアウトや
デリバリーの商品づくりの対応で飲食店は忙しく、
感染予防をおそれて
ランチを遅らせ食べる人も増えてきた。
1時半とか2時が一番忙しいお店も中にはあるようで、
だからゴールデンタイムは午後3時。

電話をかけた向こうの空気がなんだかいい感じに思えたら、
予約するのもまた一興でございます。

2020-10-22-THU

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『おいしい店とのつきあい方』

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そんなおいしい店との素敵な関係を
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