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ほぼ日刊イトイ新聞

2020-07-10

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・この文をだれに向けて書いているのか。
 正直に言えば、それはぼくにもわかっていないのです。

 「ほぼ日の皆さんに向けて書いているんですよね」と、
 取材のときに確かめられたこともあるのですが、
 そのときは「そ、そうですねぇ」と答えたかな。
 そうですね、でもあるのです、そういう日もあるから。
 でも、そればかりじゃないんですよね。
 いまのいま、では、この文をだれに向けて書いている? 
 となると、「読者の人」ということになりそうです。
 つまり、これを読みながら「ああ、そうなんだ」と
 お終いまで読んでくれそうな人に向けているみたいです。

 でも、読者が、みんな機嫌がいいわけじゃない。
 今日プロポーズされて、うれしかった人も、
 大切な人が急な病いに倒れて駆けつける人も、
 大雨の影響で、じぶんの家にいられない人も、
 たのしみにしていた旅行が中止になった人も、
 さぁ、いま赤ちゃんが生まれるという人も、
 いまの世界のなにかについて憂いている人も、
 今日、仕事を失くしてしまった人も、
 やりたかった仕事ができることになった人も、
 もう、きりもなくいろんな人がいるわけです。
 つまり、これを読んでくれている人が、
 同じ一文をどう読むかについては、
 ものすごく大きなちがいがあるかもしれないのです。

 たとえばね、「なんて素晴らしい青空なんだ」でも、
 「お団子を食べたぞ、うまかった」でも、
 読まれ方は、まったくちがうということです。
 特に、いまのようにコロナウイルスのことで、
 さまざまな制約や不自由のある時代には、
 あんまりあかるいことを不用意に書いていると、
 「いい気なもんだな、こういう時代に」
 と感じる人も多くなっているかもしれません。
 同時に「気分をあかるくしてくれて、ありがとう」
 と言ってくれる人もいるかもしれません。
 ものを書いてだれかに届けるということが、
 とてもむつかしくなっています。
 でも、とにかく、なんとか書き続けてみます。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
今回は、なにか書く仕事の友人に向けて、書いた気がする。


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