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ほぼ日刊イトイ新聞

2024-09-13

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・昨日に続いて、遊ぶように書きはじめてみようかな。

 なんでもかんでも「人間っぽい感情」があればいい、
 ってもんじゃないですよね。
 たとえば税金の督促状が、妙に心を込めた表現だったら、
 「ほんとに払ってもらわないと困るんですよねぇ」
 なんて文体で書かれてたら、たぶん感じ悪いでしょう。
 テレビ局のアナウンサーなんかも、バラエティ番組とかで
 その人らしさが出ると人気ものになったりもするけれど、
 スポーツ中継だとかで、個人的な感情をまる出しにしたら、
 見てられないと思いますよ。

 「打席には代打のX田が入ります。非常にケチな選手です。
 焼きそばパンひとつ奢ったことがありません。
 左投手を得意としていることになっていますが、
 どうでしょう、たいしたことないです、2割7分ですから。
 ピッチャーY谷、第一球投げました148キロの豪速球、
 いい球、ほれぼれします、イケメンですし。
 Y谷は、わたくしと出身校が同じです、応援したいです」
 絶対に聞いたことないですよね、こんな実況。
 テレビ局によって贔屓チームはあるけれど、それでも、
 露骨にならないようにはしていますよね。
 いちおう公平で、いちおうでも礼を守るということで、
 放送する側も見ている側も安心していられるわけです。

 昔からホンネとタテマエという分け方があります。
 タテマエだらけで不自由な時代もあったでしょうが、
 逆にホンネと称する失礼もなかなか困ったものですよ。
 ぼく自身も、けっして礼儀正しい人間ではないですが、
 ホンネという正義(?)をタテマエにした
 失礼の世界にはどうしても反発を感じます。
 でも、そうかといって
 タテマエが重要視されすぎている社会では
 のびのびと生きられそうもないとも思えてくるしね。

 たぶん、大昔から人は、
 そういうことを繰り返し考えていたんでしょうね。
 かくして、「中庸」という考え方が出てくる。
 若い時分は「中庸」とかって生ぬるいなぁと思ってたけど、
 長く生きてくると、なるほどなぁそうだよなぁと思えます。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
親しいともだちと無駄話をしているように書いてみました。


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