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ほぼ日刊イトイ新聞

2019-12-12

おしらせ

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・20年くらい前だったけれど、
 永田農法の永田先生についてあちこちの農場を回った。
 北海道やら四国やらに混じって
 フランスとかオランダの農園を見学した。
 マリー・アントワネットの農園とかも見せてもらった。
 よっぽどすごいコネがあって、
 そんなところに入れてもらうのかと思ったら、
 ただ単にフランス語のわからないジャポネの老人として、
 ひたすら「見せてくれ」とお願いするだけだった。
 だいたい、永田先生の言う「まちがった農法」は、
 根を深く伸ばそうとしているやり方だった。
 正しいのは、根を浅く細かくふわっと生えさせること。
 細かい根が浅いところに綿のように広がるのがいいのだ。
 先生は、とにかく繰りかえし言っていた
 「頭のいい連中は、なんでも深く深く掘ろうとする。
 それがいちばんだめなんですよ」と。
 農業の方法ばかりでなく、なんでもそうだと言っていた。

 深いところに無理して育った痩せた植物の根と、
 浅いところに大きくひろがった豊かな根とを、
 見比べて見たら、かなりの説得力を感じるだろう。
 いかにも、養分をたっぷり吸い込みそうなのが後者だ。

 この「教え」は、ぼくには、えらく影響を与えてくれた。
 深く深く突っ込んでいくと、だいたい行き詰まる。
 そして、息詰まっていくのだ。
 答えに関係ないところまで深く深く掘ってしまう失敗は、
 世の中のあちこちにたくさん見つかる。
 つながりもなく、栄養もなく、ただ暗く深くなる。
 これは、ほんとうに不毛なんだよなぁと、ぼくは思う。

 昨日、ある打ち合わせで、ふと、ぼくが言った。
 「その問題、深く深く掘っていくと、
 切りもなくわけわからないところに行きそうなので、
 『浅めたら』どうでしょうね、深めずに」。
 ついダジャレのように口をついて出たことばなのだが、
 言ったぼく自身、かなり気に入ってしまった。
 問題を、「浅める」ということを、意識的にやろう。
 わりと、ふわっとした広がりのある根っこが、
 育つような気がするんだよねーー。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
今日のミーティングでも、テーマを浅めてみようかなぁ。


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