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ほぼ日刊イトイ新聞

2020-02-25

おしらせ

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・ラーメンと向上心など。

 ぼくは、それほどのラーメンマニアというものではない。
 食べてみたいラーメンの情報を熱心に集めたり、
 そこに万難を排してでも食べに行くということはない。
 それでも、気になった店の名前は頭の隅に置いてあるし、
 信頼できる友人がおいしかったという店には、
 時間ができたら行ってみることは、よくある。
 そして、その店にさらに友人を誘うこともあるし、
 ひとりで電車を乗り継いでリピートしに行くこともある。
 それでも、月に数回のラーメンを食べているだけだが、
 カレーを食べる回数や、とんかつを食べる回数よりも、
 ラーメンを食べることのほうが多いようだ。

 味のことばかりでなく、
 ラーメンを食べに行くことで、
 いつもとちがう街に出かけられるのも、おもしろい。
 ぼくが神田という街に強い興味を持ったのも、
 ラーメンを食べに行ったのがきっかけだった。
 昔だったら、荻窪とか恵比寿とかがそういう街だった。
 これからも、ラーメン食べに行くことで知る街は、
 増えていくにちがいない。

 ラーメンはどこよりも激戦の業界だ。
 当たれば人気店にもなるだろうが、
 外れたら店じまいの可能性だって十分に考えられる。
 ある種の文脈や文法も、ずいぶんと完成されていて、
 そこにさらに驚きのある新作も求められている。
 まさしく血で血を洗うようなレッドオーシャンである。
 それでも、勝利の歌声は聞こえているし、
 ぼくらは千円札というチケットを持って行列に並ぶ。
 「うまいラーメンを食わせるぞ」という意思と、
 他のどこの店にも負けるものかという競争心、
 同時に、他店のいいところをリスペクトする謙虚さ、
 こういうものすべてを、あのどんぶりに載せて、
 「おまちどうさま」とカウンターに置くのである。
 出身も、ラーメン店の後継者から、ヤンキー、脱サラ、
 マニア、別のジャンルの料理人、とあらゆる方向から。
 ぼくはスポーツ選手たちの切磋琢磨をたのしむように、
 ラーメン界の人たちの向上心を味わっているのです。 

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
どこでも心置きなくはたらける場所が、守られますように。


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