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ほぼ日刊イトイ新聞

2020-09-25

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・千葉県習志野市だったかに、まだ
 日大生産工学部はあると思うのですが、
 あの建物のごく一部分の左官工事の、
 セメントをこねたのは、不肖わたくしであります。
 寒いプレハブ小屋で寝泊まりもしましたし、
 学生食堂で、揚げ玉を山盛りにしたうどんも食べました。
 週に一度、東銀座のコピーライター養成講座に通って、
 おれは食えるようになるのだろうかと思っておりました。
 左官工事の頼りにならない手伝いの前は、
 幡ヶ谷の6階建てだったかのマンション工事で、
 とび職の見習いをしていました。
 そのマンションについては、もう取り壊されています。

 「あれ、おれがつくったんだぜ」というセリフは、
 なかなかいいものであります。
 ちょっと左官工事のセメントをこねただけでも、
 建築中のマンションの足場板をかけただけでも、
 「おれ、あれをつくってたんだ」という気になります。
 仕事の跡が残るって、とてもいいものなんだと思います。
 これが、悪いことばかりしてきた人でも、
 「あの事件おれがやったんだ」と思ってますよ、きっと。

 それと、広告をつくったり、文章を書いたり
 歌をつくったりすることは、やっぱり似ているんです。
 建築現場にいるより、多少は得意なことらしいのですが、
 「つくった」ものが残っているのは、かなりうれしい。
 そのことを親しい人に話したりできるのも、たのしい。

・昨日は、『MOTHER』というゲームのことで、
 若い人たちと鼎談をしたのだけれど、
 これが、やっぱりおもしろいんですよ、どうしても。
 この『MOTHER』というゲームのシリーズ、
 ある程度年をとってからですが、わりと口に出して
 「この仕事をやっておいてよかったなぁ」と言ってます。
 このゲームがあったから会えた人たちも、たくさんいる。
 ぼくの知らない人たちが、この世界で遊んでいることも、
 さらにはじぶんの子どもにまで、薦めていることも、
 ものすごいボーナスをもらってるような気がしています。
 未熟だったり、荒削りだったりすることも含めて、
 ほんとに、やっておいてよかった仕事だと思っています。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
この先やる仕事も、「やってよかった」になるはずなんだ。


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