糸井重里
・いつのまにか、あんなにあらゆるマスメディアで
「コメ、コメコメコメ!」言っていたのに、
ほとんどコメ関係のニュースをやらなくなっている。
いちおう、ある程度はじぶんで調べることもできるから、
「今日のコメの平均価格」なんかを見てみたら、
あの大騒ぎのころから5キロで100円くらい下がっていた。
この100円で騒ぎはおちついたということなのか?
いや、騒げって言ってるんじゃないけどさ、
状況は似たようなものなのにニュース量がずいぶんちがう。
そのときそのときで、みんなが「横並び」になって、
「うちだけやらないってわけにはいかない」という姿勢で、
他所と同じニュースを大きく取り上げるから、
どうしても「流行の渦」ができちゃうよな。
新聞の業界では、じぶんのところだけが、
他の新聞で取り上げたニュースをやってない場合には、
「特オチ(特ダネを落とした)」といって、
すっごく恥ずかしいことらしいんだけど、
そういう考え方が、いまもずっと続いているんだろうね。
横並びになって同じニュースを、
「できるだけ他所よりも深く濃く」やろうとすれば、
競争意識がはたらいて強引な取材をやったり、
過剰にスキャンダラスな取り上げ方もしてしまう。
こういうやり方は、実情に合ってないと思うのだ。
だって、どこが取り上げてなかったかとか、
どこが余計に詳しいとか、どこが過剰取材で迷惑だとか、
ぜんぶまるごとを「情報の受け手」が調べられるんだもの。
あるニュースを「やらない個性」があってもいいし、
他所がやらなくなってから「やる個性」があってもいい。
「コメコメコメ」の騒ぎのときには、
庶民の家計を直撃する問題だという切り口だったけど、
いまだったら、もっとおちついてやれると思うんだよね。
いつも、どうせ横並びでみんなが同じニュースをやるなら、
「うちは横には並ばないぞ」という姿勢でやってくれたら、
それぞれにファンがつくということもあると思うんだ。
ま、いまはあっちこっちが「参院選」を騒いでるけどね。
重心をちょっと変えてくれてもいいんじゃないかな。
今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
正直言って、ぼくは、いまもコメのこと気になってますよ。
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