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ほぼ日刊イトイ新聞

2019-12-09

おしらせ

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・いつも思ってないわけじゃないのだけれど、
 この季節に「さとがえるコンサート」に立ち会うと、
 あらためて矢野顕子すげぇなぁと思う。
 あとで本人は「そうかなぁ?」と言ってたのだけれど、
 ピアノのプレイヤーとして、さらに進化してないか? 
 これは、ぼくなりの判断なのだけれど、
 清水ミチコの矢野顕子がやりづらくなる」感じなのだ。
 実際に清水さんと矢野さんは共演もしている。
 清水ミチコの演じる(ピアノも含めて)矢野顕子は、
 ほんとうに見事になりきっているのだけれど、
 昨夜の演奏なんかは、相当に練習を繰りかえしても、
 再現して似ているというふうにならないと思う。
 なんと言おうか、ますます自由になっているし、
 さらに、たしかに聴きたくなる音を出しているのだ。

 ふつうは、年齢や経験を重ねると、
 「磨き抜かれた円熟味」という方向に行きがちなのだが、
 どうもこの人は、そうじゃない。
 じぶんの頭部に点いている好奇心というサーチライトが、
 自らの歩むべき方向を照らしていて、
 新しいそっち側に向かって進み続けている。
 それが前でも後ろでも、右でも左でも斜めでも、
 「あっちにおもしろそうなことがある」と思ったほうに、
 ずんずんと、真剣に進んでいくのである。
 前だけでなく「後ろ」にも好奇心は向いているわけで、
 クラシックのピアノ楽曲にあらためて感心して、
 熱心に練習に勤しんだりもしているようだし、
 発売は来年になるけれど、
 津軽三味線の上妻宏光さんとのアルバムもすごい。
 これはスタジオで、ぼくもお先に聴いたのだけれど、
 真の「国際的音楽」とは、こういうものだと思った。
 まったく、こういう人が近所にいるもんだから、
 うかうか年を取って老人ぶってなんかいられないよ。

 今年の「さとがえるコンサート」は、
 濱口秀司さんと行ったのだけれど、こう言っていた。
 「音楽の作詞とか作曲とか、いちばんうらやましい」と。
 あちこちで知らない人がその歌を口ずさんでいるなんて、
 映画でも絵画でも、敵わないことですからねぇ、と。
 そう言われてみると、恵まれているなぁと思った。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
思えば、仕事で知り合った「ともだち」は元気者が多いな。


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