お気に入り記事の保存はアプリが便利!

ほぼ日刊イトイ新聞

2023-02-07

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・よく、人生の深みだとか、人間の厚みだとか、言うけど、
 ずうっと、ほんとうにわからないものだと思っていた。

 ものすごくなんでもなさそうなセリフ、
 「そういうこともある」とか言うことは、だれでもできる。
 ただ、18歳の学生が「そういうこともある」と言うと、
 なにかギャグっぽいセリフのようにも聞こえそうだ。
 しかし、小津安二郎監督とかの映画で、
 笠智衆演じる父親が「そういうこともある」と言ったら、
 わぁ、なんだか深いこと聞いちゃったなとかなりそうだ。
 「いい天気だな」でも、「おにぎりはうまいな」でも、
 笠智衆が言えばなんでも深そうになる気もするが、
 「おにぎりはうまいな」のほうは
 『裸の大将』の山下清画伯のセリフっぽすぎるかな。

 若いうちは使えないことばが多くて困った。
 この文章だって、平気で「人生」から書き出しているだろ? 
 こんなこと、もうやっていいんだと気づいたのは、
 せいぜいこの10年くらいのことだよ。
 じぶんが「人生」とか言っていいのかと思っていたよ。
 ところが、亀の甲より年の功ってやつでさ、
 いまじゃもう、「人生」とかも言い放題なんだぜ。
 先日だって「人生あみだくじ論」とか平気で言ってたし。
 あのときには、むしろ「論」のほうが言いにくかった。

 「そういうこともある」って、ほんとにそう思うのだ。
 だけど、言いにくいよね、若いときには。
 その「ものごと」との距離感が測れてないんだろうな。
 「おまえが言うな!」と言われてしまうのも、
 きっと、その距離感のことなんだろうな。

 でも、質問してもらったら「人生」でもなんでも、
 自由に言えるんじゃないだろうか。
 「小学生のあなたに聞いてみたいんだけど、
 人生って、どういうものだと思いますか?」とかね。
 キャッチボールの最初の投球は、大人がすればいいのか。
 若い人は、捕って返球すればコミュニケーションになる。
 「アイディアって、どうやって出てくるの?」と、
 ふんわりと、年長者から新人にたずねたりする。
 あぁ、こういうのが流行るとおもしろいんじゃないかなー。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
「だれでも、なんでも言える」ってことは、とても大事だね。


ここ1週間のほぼ日を見る コンテンツ一覧を見る
ほぼ日の學校
吉本隆明の183講演
ドコノコ
ほぼ日アプリ
生活のたのしみ展
TOBICHI東京
TOBICHI京都