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ほぼ日刊イトイ新聞

2021-01-21

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・ある時代まで、人は、地球がすべての中心であり、
 月や星や太陽がそのまわりを動いているという
 「天動説」を信じていたと言われている。
 そこにコペルニクスという人があらわれて、
 「地球のほうが動いているんだよ。」と、
 「地動説」を唱えたと、そういうふうに教わっている。

 しかし、いまごろになってそういうのもなんだけど、
 ぼくらの知っているこの「地動説物語」は、
 あまりにも登場人物が少ない。
 実際には、コペルニクス誕生以前から、
 「地球のほうが動いてるに決まってるべ」と
 考えてる人はどこかにいたにちがいないし、
 だいたいが「地球」とかいう名前の玉っころの上に、
 人どころか山や海が乗っかっているなんてことを、
 どれくらいの人が考えていたというのか。
 球体であろうが、平らであろうが、
 天動だろうが地動だろうが知ったことではない
 「そんなことは考えたこともねぇ」という人のほうが、
 圧倒的に多かったとは思うのだ。

 いまの時代に生きているぼくらは、
 地球が玉っころであることだとか、
 太陽の周りを回っていることだとかを、
 登場人物の少ない桃太郎の話を聞くくらいの感じで、
 すっかり知っているつもりになっている。
 「地球がまるいのを、おまえ、見たんか?」と言われたら
 「写真で見た」とか「映画で見た」という程度のことだ。
 まして、太陽の東から上り西へ沈むのを知っていながら、
 「地球のほうが太陽の周りを回ってるんだよね」なんて、
 よく自信を持って言えるもんだよなぁとも思う。
 付け焼き刃でおぼえたショートストーリーに、
 引用やら付け足しやらをされていって、
 ぼくらは「すっかりそのつもり」になっている。
 天動説の時代に生きていた人が地動説を知らないことを、
 ちょっと笑ったりしているかもしれない。
 その時代の人や、天動も電動も手動も興味ない人と、
 「地動説」が当たり前の時代に生きているぼくらの間に、
 ほんとうはちがいなんかありゃしないのだ。
 たまに、そういうことを考えてごめんねと思っている。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
昔の人より今の人のほうが利口だとか、うぬぼれてるよね。


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