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ほぼ日刊イトイ新聞

2021-07-31

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

『父が娘に語る
 美しく、深く、壮大で、とんでもなくわかりやすい
 経済の話。』
という本が、とてもおもしろかった。
 題名は外れではないけれど、そんな生やさしい本じゃない。
 たいていの良書が持っている特有の毒もたっぷりで、
 読後になにかの後遺症も残るかもしれないような代物だ。
 この本に、現代の社会はあらゆるものが商品になっていて、
 市場での「交換価値」ばかりが価値だと思われているが、
 もうひとつ重要な「経験価値」というものがある、
 という考えが述べられているところがある。
 たとえば、「献血」という行為が無償であるがゆえに、
 それをする人に「価値」を感じさせてくれるとか、
 友人に頼まれた面倒な作業が、ある歓びでもあること、
 などが例として語られている。
 いったんお金に換算しなくても「そのこと自体が価値」
 ってことが、たっぷりあるのが豊かな社会だとぼくも思う。

 「ほぼ日」が神田に引っ越すときにも、
 そういうことへの期待が、夢想的にだけどちょっとあった。
 地元の人たちと手を貸し合って立っているような企業、
 そんな居方ができたらいいなぁと考えていた。
 で実際に、その入口くらいのところにいるような気がする。
 木曜の夜、近所のお蕎麦屋のご主人からメールがあった。
 「千代田区の若い人たちにワクチン接種をすすめるのに、
 宣伝の相談に乗ってくれないか」という内容だった。
 蕎麦屋のお客さんでもある区長からの話だとか…。
 すぐ翌日の午後、「ほぼ日」で会いましょうとなった。
 若い区長さんと担当の方がお二人、蕎麦屋ご主人が来て、
 前の夜に考えておいたプランを聞いてもらった。
 本職として広告をどうするとかじゃない、短い期間で、
 へたでもいいから効果を上げるには、どうするか。
 千代田区は本気で「若者へのワクチン接種」を
 やろうとしているということが、街中に見えるようにする。
 基本はそれで、戦略を立ててマス媒体を動かすよりも先に、
 村の選挙みたいなやり方を信じて汗かきべそかきやること。
 ぼくもそうだけど街の人たちの「経験価値」を集めて、
 時間のないなかで手伝ってもらうことが大事ではないか。
 そして、金のかからなそうなアイディアをいくつか出して、
 その「寄り合い」は解散した。
 「ほぼ日」はもちろん神田祭のように協力しますとも。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
ねぇ若い人たち。軽くは済まないコロナを、正しく恐れよう。


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