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ほぼ日手帳

糸井重里

・ほとんどの子どもが、だれに教えられたわけでもなく、
 きっと必ず言ったことがあるだろう、このセリフ。
 「ぼくは、なんにもしてないのに」。
 ケンカをして止められているときだとか、
 なにかを壊してしてまったときだとかに、言います。
 そうすると、そこに立ち会った大人は、
 「なんにもしてないのに、◯◯するわけないでしょう?」
 と、これもまぁ、ほとんど言うでしょう。 
 大人の考えからしたら、そこで起こったいけないことには、
 必ず原因があるはずだということになります。
 きっと、その子は「なにかした」のだ、と。
 その「なにかした」ことを隠しているか、
 「なにかした」ことに気づいていないかだ、と考えます。
 そういう大人の考え方は、そうまちがってはいないです。
 ほんとうに、子どもが嘘をついてごまかしている場合と、
 なにがどうしたのか気づいていなかった場合があります。

 かつて、ぼくも、そういうやりとりのなかにいて、
 叱られたり諭されたりしたことがあります。
 たぶん、ほとんどの人が経験していると思います。
 ま、これでいいのだ、と忘れていたようなことです。
 「ぼくは(わたしは)、なんにもしてないのに」…。
 おもしろいセリフだよなぁと、いまさら思いましてね。
 もうちょっと、余計に考えたんですよ。

 ほんとうに「なにもしてない」ことだってあるぞ。
 いやいや、ケンカだとか、ものを壊したというような
 例えとしてわかりやすいことばかりじゃなく、
 「なにもしてない」のに、ろくでもないことは起こる。
 彼や彼女が、わるいことや、ろくでもないことをして、
 その結果、いわゆる「因果応報」で、
 よくないことになったとはかぎらないんですよね。
 子どものとき以上に、大人になってからも、
 たっぷりと、そういう経験はさせられます。
 ドラマ風のセリフで言えば「わたしがなにをしたの!」
 ということになります、なにもしてなかったのです。
 原因や責任みたいなものが問えないようなことは、
 大人にも、子どもにも、たしかにあるよなぁ、とね。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
寒い日、大雪、風が吹いている。ぼくはなにもしてないのに。

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