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ほぼ日刊イトイ新聞

2021-05-07

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・昔の木造家屋は、火で燃えやすいから
 火事がほんとに怖かったわけですよね。
 「江戸東京博物館」の展示のなかに、江戸時代の地面を、
 ミルフィーユのように断面にしている展示があって、
 はっきりと三つ、黒い炭状の層があるんです。
 つまり、それが江戸の大火事の跡だということでした。
 いまは、コンクリートの建物だったり、
 防火の設備などもだいぶん進歩しているはずですが、
 火事に気をつけなきゃならないことは同じです。

 と、それが書きたかったことではなくて、
 昔の火事への対応って、かなりプリミティブなわけで、
 消防団(火消し)を組織することくらいしか、
 行政としてのやりようはなかったみたいです。
 竜吐水(放水ポンプ)だとか、水鉄砲だとか、
 いまでも現物が残ってるけれど、小さいのよ、もう。
 焚き火も消せないんじゃないかというくらいに見える。
 基本は、水かぶっって火事のなかに突っ込んでいくような
 命知らずの「男度胸の火消し」たちが、
 炎の通り道になる家屋を鳶口で壊していって、
 そこで延焼を止めようとするのが基本のやり方ですね。
 つまり、火事を消して止める(消防)ということは、
 当時の技術では無理だったということです。
 だから、火事を起こさないように、
 ひとりひとり、みんなで注意しましょうと心得る。
 その「火の用心」の気持をいつでも喚起するように、
 なにをするかと言えば、「夜回り」ですよ。
 拍子木をカチカチと叩きながら、
 「火の用心、さっしゃりましょう」と声をかけて回る。
 「火の始末を、みんなが、よくよく気をつけましょうね」
 と、こころの問題として火事対策をしていたわけですね。
 消防技術がまだ発達もしていませんから、仕方がない。
 考えてみたら、そういうことは現代でもあるわけで、
 海に近い地域の津波への対策だとか、大都市の地震対策、
 大型台風の対策も、実際に防げる範囲は限られてますし。

 「火の用心さっしゃりましょう」カチカチを、
 いまのコロナ対応の「緊急宣言」で思い出したんです。
 ワクチンが出来さえすればのワクチンは出来たけど、
 いまは、まだ「心得」でがんばれってことですかねー。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
それぞれにつらいこともありますが、しのぎましょうね。


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