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ほぼ日刊イトイ新聞

2021-09-17

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・数え切れないものが好きだ。
 大きさがイメージできないものも好きだ。

 ぼくは、わりかし、いつもは身の回りのものごとが好きで、
 つまりそれは、落語の世界みたいなもの。
 なんだかよくわかる、だれが見ても見えるもの。
 靴の中に入り込んだ小石だとか、
 食べてるうちになくなっていく肉まんだとか。

 だけど、たとえば化石とかを見ていると、
 具体的にそこにあるものなのに、
 これがもう、まったくわからないのだ。
 三葉虫の化石を見ると、なんだか虫だなぁとわかる。
 長い年月が過ぎるうちに石になっちゃったんだ、とか。
 しかし、その三葉虫が生きていたのは、
 たとえば5億年だとか、2億年だとかの昔なのだ。
 人の人生が100年時代になるとか言われるけれど、
 100年と5億年をどうやって比べるんだ、
 100が500万回繰り返されて5億年ということだ。
 その化石は、そんな長い時間を過ごしてきた。
 そんな長い時間って、ほんとにあったのか? 
 頭がくらくらしてくるんだけど、それはやや快感である。

 夜空を見上げたとき、いちばんよく光っているのが
 おおいぬ座の恒星シリウスだ。
 シリウスと地球との距離は、8,611光年だそうだ。
 距離が、時間の単位でしか表現できないのもすごい。
 光は、1秒間に地球を7周半するという。
 それほど速い光が、8,611年間走り続けたら、
 シリウスのある地点にたどりつくのだ。
 なにそれ!遠いとか近いとか言えるような遠さじゃない。
 ぼくらに見えているシリウスの輝く光は、
 どんだけ遠くから、ここまでやってきたんだ。
 「どんだけ」ということばで人差し指を揺らす人もいるが、
 いまぼくの言った「どんだけ」は脳のなかに入りきれない。
 わからないし、考えられない、イメージできない。
 そういう時間や距離がある、という知識があるだけだ。

 ちなみに、三葉虫の化石は数百円でも買えるし、
 シリウスの光は、いつでも無料で目に見える。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
数字だけでいえば、宇宙のはじまりも、たった138億年前だ。


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