糸井重里

・昨日は「精神力ってなんじゃろう?」と書いた。
 ぼくには、よくわからないということを、そのまま書いた。
 ただ、その「精神力」というやつは、
 じぶんで求めるものというよりは、
 他人が(ファンとか応援者)要求するものだなぁ、
 と、気がついた。

 今日は、「欲」ってことについて、ちょっと書く。
 ほんとはもっと大きいテーマなのだろうが、
 子どものころから忘れられない
 「欲」ということばのことを書こうと思った。
 あるとき、ぼくが聞いていそうなところで、
 「この子(ぼくのこと)に、欲が出たらまた伸びる」
 という話を大人たちがしていた。
 つまり、ぼくには「欲」がないとされていたのだった。
 「そのうち、欲がでるよ」と期待をこめて語られていた。
 なんだろう、その「欲」って? 
 それを聞いてしまったぼくに「欲」が出たかというと、
 どうやら、出なかったままのような気がする。
 大人たちがあの場面で「欲」と呼んでいたものは、
 いまにして思えば「意欲」ということなのだろう。

 正直に言うと、ぼくは、他の人に「意欲」を感じると、
 それを「いいなぁ」と思っている。
 しかし、じぶんの「意欲」がなかなか見つからない。
 やる気がないとはちがうんだ、元気ですよ。
 ただ、ほんとに「意欲」があるような実感はない。
 演技で「意欲」を見せていることは、ある‥‥かな? 
 あんまり、それもないかなぁ、少しはあるかなぁ。
 小学校のときに「欲が出れば」強くなるはずだったぼくは、
 もしかしたら、いまだに出せていないのだろうか。
 「精神力」と同じように、「欲(意欲)」も、
 じぶんから湧いて出るものじゃないのかもしれないな。
 いや、食いたいとか、やりたいとかはあるんですよ。
 でも、それは「意欲」とはちがうような気がするなぁ。

◆ここでの質問no.044「ずっとおぼえているひと言は?」
 いつのことでもね。よければ、メールでも送ってください。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
人の「ことば」って、意外なところで痕跡を残すものなんだ。

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