糸井重里
・天ぷらをほめるとき、
「ころもがさくさくで軽い」と言いますよね。
サクッとしている、油を感じさせない、軽い、
というあたりのことを、みんなが言います。
ぼくも、そう思います、とても賛成です。
それはそれとして、うどんのチェーン店などの天ぷらは、
軽い感じもないですし、サクッともしていません。
どちらかと言えば、ころもは自己主張するほどたっぷりで、
なんだったら軽いというより硬いという感じです。
でも、それがまずいか、いやなのかというと、
ぼくは、こっちの天ぷらも求めています。
特にさつまいもの天ぷらとか、
歯にかつんとくるくらい硬いころもでもいいです。
油を感じさせないとかも、もちろん言わないです。
あげだまなんかを、追加でかけちゃうくらいですし。
どっちも天ぷらで、どっちもいいじゃないですか。
こういうのがよくて、こういうのはよくない、と、
あわてて決めつけないでも、どっちもうまいですよね。
なんにつけても「うまいとされる基準」
みたいなものは、あります。
長年やってきているものは、自然とそうなります。
天ぷらでも、鮨でも、焼き魚でも、そばでも、うどんでも、
ある程度、みんなの知っている「ほめことば」があります。
だけど、それは、知ってても、
いったん忘れたほうがいいかもしれないと思うのです。
「しこしこしたうどん」も、もちろんうまいですが、
「ぐだぐだのうどん」のおいしさも、見つけてもいい。
不衛生とか清潔でないのはよくないけれど、
別の角度から「うまい」を見つけるというのは、
もっと大事にされてもいいと思うんですよね。
そういえば、「昔ながらの」とか言われるものは、
「かたいプリン」とか「ふわとろじゃないオムレツ」とか、
「塩辛すぎるシャケ」とかもありますよね。
探したら、もっといろいろあると思うんです。
いま、「固い天ぷらのうどん」が食べたい深夜2時です。
今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
実は、一般的なほめことばのほうが当たりが多いですけどね。