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いいものは一目で
この春から、
知人の店のすみっこの棚に、
私のえらんだ古いものを置かせてもらうことになりました。
店名は「アトリエの棚」。
だから、週末の土日は骨董市めぐり。
平日も一日予定が空いていると、
地方に車を走らせ、古物を見て回る日々。
売れるか、とか
骨董的な価値があるか、ということよりもまずは、
自分が好きかどうか。
それから、
家で使っている様子が思い浮かぶもの。
古いものとの出会いは一期一会だから、
いいなと思ったらその場で買うこと。
またあとでと思って一周回っているうちに、
なくなっていて、
残念な思いをすることもありましたから。
何度も通ううちに、
目が慣れてきたのか、
素早くいいものを見つけられるようにもなってきた‥‥
気がしています。
今週のweeksdaysは、
DRESS HERSELFのジャケットとパンツ。
展示会で目に飛び込んできて、
「これだ」とピンときたんです。
これも骨董市通いの成果かもね。
再入荷のおしらせ
完売しておりましたアイテムの、再入荷のおしらせです。
3月26日(木)午前11時より、以下の商品について、
「weeksdays」にて追加販売をおこないます。
市川籠店
整理かご 蓋付きふっくら
タオルを並べて入れる。
紐を入れる。
レターセットを入れる。
お茶の道具を入れる。
バスルームやキッチン、リビング‥‥と、
あらゆる場所で活躍してくれるふたつきのかご。
ものの居場所を、
「ここ」と決めてしまえば散らからない。
中が多少散らかっても、
ふたをしてしまえばすっきり美しく見える。
中は時間がある時に、整理すればいいんです。
ちょっとごちゃっとしているなぁ。
どんな人にもそんな場所はあるはず。
春を迎えると同時に、かごで整理整頓してみませんか?
(伊藤まさこさん)
市川籠店
整理かご 楕円
ものがひょい、と取り出せる使い勝手のよい深さ。
ふたつきのかご同様、
家の中のあちらこちらで活躍してくれるのが
この楕円のかご。
先日、泊まったホテルでは、
バスルームの片隅に、ドライヤーが入っていて、
なるほどこんな使い方もあるのねぇと感心しました。
大中小3つ並べて使っても。
また買いものかごや、ふたつきのかごと一緒に使っても。
統一感を出すと部屋の中がすっきりします。
(伊藤まさこさん)
i ro se
SEAMLESS MINI WALLET-2
とてもシンプルなふたつ折りのウォレット。
折り目がころりとまあるいので、
ふたつ折りにしても、お札に折り目がつきにくい
(新札を入れて数日使ってもピン、と美しいまま)。
こういうちょっとしたところがうれしいんです。
小銭入れの部分は、
大きく開くので、見やすく取り出しやすい。
小さい中に、使いやすいポイントが
キュッと詰まっているのです。
小銭とお札とカード入れはそれぞれ独立していて、
小さいながらも収納力あり。
ゴムバンドは駐車券を挟んでおくのにも重宝しています。
色はイエロー、グレー、ターコイズグリーンの3色。
グレーとターコイズグリーンは
weeksdaysだけのオリジナルカラーですよ。
(伊藤まさこさん)
体型を拾いにくい、きれいなかたちで
- 伊藤
- この「ウール天竺ニットTシャツ」は
どういう経緯で作られたものなんですか。
- 大貫
- SLOANEのTシャツは、
ずっとコットンをメインの素材にした
ベーシックなものを扱ってきたんですが、
だんだんカットソーへのご要望が増えてきたんです。
洗いやすさ、取り扱いのしやすさ、
伸縮性、光沢感ややわらかな肌ざわり、
透湿性と温度調節機能など、
いろんな要素からのお声が非常に多くて。
そこで思いだしたのが登山をなさってる方たち。
みなさんアウトドアブランドで洋服を買われるんですけど、
そこに必ずウールのTシャツがあるんですよ。
- 伊藤
- ウール素材は、保温、吸湿のほかに、
防臭効果があるといいますね。
私の知り合いでアパレルブランドをなさっているかたが、
海外に往復する機会が多いんですけれど、
移動で長時間着替えられないときは、
かならずウールの肌着を着るっておっしゃってました。
- 大貫
- そうなんです。
もともと羊が身にまとっていたわけで、
彼らは普段そのままで行動していても、
そんなににおいがつかない。
そこには理由があって、
通気性が一番大きな要因なんですね。
よく風が抜けるということは、乾きやすい。
だからこのTシャツ、
夏に着ていてもさほど暑くないんです。
逆に保温性もある。
ポリエステルやナイロン素材の商品を
弊社もよく扱っていますし、評判は非常にいいんですが、
密度が高いゆえに通気性がそんなによくはないものがあり、
熱がこもりやすいから、においもこもってしまう。
アウトドアブランドでよく売れているTシャツを、
冬も夏も登山家の皆さんが着用なさるのは
そんな理由からだと思います。
けれどもアウトドアブランドは、
ウールだけれどもしっかりとした編地のもので
硬めの素材が多いんですよ。
それをキレイめに作ってみよう、
ということがはじまりでした。
- 伊藤
- 実用重視からスタートなさったんですね。
- 大貫
- はい。そういうものをやってみようということで、
生地屋さんに相談し、
ウールでもより細い糸で編んだ生地で、
なおかつ光沢感がある素材をピックアップしました。
非常に軽くて、程よく薄めで、
生地として見ると多少の透け感がある。
じゃあこれをどんなふうにキレイめに見せようか。
それを考えたところ、
夏に着ていただく商材として、
身体が泳ぐくらいの程よいゆとりがあるということと、
SLOANEはもともとがニットのブランドですので、
どうしたら多少なりともブラウジング
(ウエスト部分を軽く絞り、
身頃をふんわりと膨らみを持たせる着こなし)が
できるんだろう、ということを考えたんです。
アウトでも多少止まるように。
- 伊藤
- なるほど。パンツやスカートにインして
ブラウジングさせるのではなく。
- 大貫
- はい。そこで、共地の裾の部分の方を、
身幅より若干狭くしているんです。
そうするとこの腰のところで止まるような形で、
ドレープできるようなイメージに。
- 伊藤
- 裾がリブになってるわけではないんですね。
- 大貫
- リブではなく、共布の切り替えで裾を作っているんです。
ブラウジングが自然にでるだけでなく、
全体が少しキレイ目に見える役割もあるんです。
後はお好みなんですけれど、
弊社の定番のものよりも
ゆったり着ていただければということで、
肩線を少し落としてお作りをしています。
そうすると生地の特性も生かしやすいんですよ。
- 伊藤
- なるほど。
もともと上質なものなんですけれど、
着るとさらに上質に見えますよね。
Tシャツなんだけれど、ちゃんとして見える。
- 大貫
- そうですね。それから、
ニット製品って、糸がもともと撚っているので、
その力が加わって
生地が「斜行(しゃこう)」しやすいんです。
いわゆる強撚糸を使っちゃうととくにそうです。
この生地は甘めに撚っている糸を選び、
斜行しづらくなっているんです。
そういうところも品質感に影響していると思います。
- 伊藤
- 甘撚りの糸で編むと、
着心地にも影響しますよね。
- 大貫
- やわらかくなります。
- 伊藤
- 昨シーズン、同素材のウールのTシャツを
買わせていただきましたが、
それはすとんとしたいわゆるTシャツの形でした。
- 大貫
- 昨シーズン、伊藤さんがお求めくださったのは、
コットンのTシャツと同じ、
裾までまっすぐなパターンのものでしたね。
今季は、この、
裾がすこしすぼまったパターンのみです。
- 伊藤
- 今季のパターンの方がいいかも?
- 大貫
- どちらかひとつにしようと決めたのは、
ウールのTシャツを
普通のコットンのTシャツと同じフォルムにしてしまうと、
この素材ならではの魅力が活きないのでは、
という考えになって。
「普通のTシャツっぽい方がいいんじゃない?」
という意見もあったんですけれど、
思い切ってこちらだけにしました。
- 伊藤
- 男性も女性もいい感じですよ。
このTシャツ、SLOANEのみなさんは
どうやって着ていますか。
- 大貫
- 女性たち、みんな、1枚で着るときは、
ボトムにインせず普通にブラウジングしていますね。
- 伊藤
- この年齢になると、Tシャツ1枚って
ちょっとカジュアルすぎる印象になるんですが、
このウールTシャツは大丈夫でした。
男性にも人気があるそうですね。
- 大貫
- 男性のお客さまもおおぜいいらっしゃいます。
- 伊藤
- 知人の男性で、色違いで何枚か持っている人がいますが、
1枚買うと何枚も、っていうの、わかりますよ。
わたしはグレーで良さを知ったので、
別の色もほしいなと思ってます。
スカートにも合いそうですし、一年中着られそう。
真夏はどうですか?
- 大貫
- 機能的にはぜんぜん問題なく着ていただけます。
ウールだから暑いっていうことはないんですよ。
通気性もいいので、たとえば型くずれしない
コットン20、ポリ80ぐらいのTシャツより、
こちらの方が涼しいと思います。
とはいえ、真夏にウールは気分的に着ない、
という方もいらっしゃいますね。
- 伊藤
- なるほど。お洗濯ってどうすればいいですか。
- 大貫
- 洗濯機の手洗いモードで大丈夫です。
特別な洗剤は必要ありませんが、
ニットと同じような扱いというのがポイントで、
洗濯機、終了のブザーが鳴ったら、
即座に干すっていうことが大事です。
何故かというと、
洗濯機の中でちょっとよれたままだと、
しわの跡が残るし、形もくずれやすいんです。
だからすぐに干してください。
僕は肩の線が気になるので、
肩がボコッと出ない形のハンガーを使います。
ほんとは平置きがベターですけど、
Tシャツを平置きでっていうのは
あまり現実的ではないので。
- 伊藤
- そうですよね。私は、室内乾燥で、
ハンガーじゃなく物干しに掛けてます。
もししわが出たら、スチームアイロン。
- 大貫
- なるほど。
ぼくは、肩が出ちゃったら、
スプレーで湿らせて、
ぱんぱんと手アイロンでのばします。
ちょっと濡れててもそのまま着て家を出て、
駅に着くまでにだいたい乾いてればいいかなって。
- 伊藤
- (笑)なるほど。
そんなふうに気軽に着ても大丈夫なんですね。
大貫さん、今回もいいものをありがとうございました。
- 大貫
- いえいえ、こちらこそ、ありがとうございます!
かわいいのが一番
- 伊藤
- 川﨑さんは、販売する観点から、
でき上がったものをどんなふうに思われましたか。
- 川﨑
- 私たちSAC’S BARで作っているものは、
デザインももちろん大事にはしているんですけど、
「バッグ屋さんが作っている」
という期待に応えるためにも、
機能性を重視することが多いんです。
- 伊藤
- ポケットがたくさんついている、とか?
- 川﨑
- まさにそういうことです。
私は接客もしていたんですけれど、
店頭では特に女性のお客さまから
「ポケットは多いほどいい」というお声をいただいたり。
そんな中でこの「GLID」シリーズはポケットもないし、
いわばデザインに振り切っていますよね。
最初はどうなんだろうという不安もあったんですけど、
実際にポップアップで店頭に立った際に
「かわいければ大丈夫」という方も多くて、
私たちが思っているほど、
お客さまは機能性だけを求めている
わけじゃないんだな、と。
- 伊藤
- 「かわいいのが一番」という言い方もできますよね。
- 川﨑
- はい、意外とそういう方が大勢いらっしゃって。
ポケットについては
セットのポーチがその役割を担ってくれるので、
「このポーチを入れたまま
バッグを使えばいいですね」と
納得して買ってくださる方がけっこう多かったです。
バッグって世の中にたくさんあるものなので、
作る側としては他と被らないようにと考えるんですが、
「OLU PRODUCTS」は
考えすぎることをいったんやめて、
逆にシンプルさとデザインを突き詰めたところが
すごくいいなと思いましたし、
バッグの新しい可能性を感じました。
- 伊藤
- じゃあ、お客さまも
最初から好感触だったんですね。
- 川﨑
- 横浜ルミネのPOP UPで店頭に立ったときに、
デザインが目立ちやすいのか、
手に取ってくださる方が多くて、
意外だったのが男女問わず買ってくださったことでした。
おもしろいのが、
地域で人気のカラーが全然違うんですよ。
- 伊藤
- えっ。例えば?
- 川﨑
- 横浜は青い「POOL」というバッグが
圧倒的に人気でした。
サッカーも野球もチームカラーが青だからか、
あるいは海に親近感があるからでしょうか。
- 伊藤
- おもしろいですね!
- 川﨑
- 大阪は派手な色が売れる‥‥かと思いきや、
ダークグレーの「GOMA」や
緑の「YOMOGI」みたいな渋い色が人気でした。
北海道だと「CONCRETE」という
グレー地に黄色のグリッドが入ったカラーが
一番先になくなりました。
地域性って、不思議なんです。
- 伊藤
- ほんと不思議ですよねぇ。
各地の美術館とかにも置いてもよさそうですね。
- 伊部
- まさにそうしたいと思っていて、
ポップアップでは京セラ美術館だったり、
今は松本市美術館で扱ってくださっています。
(左から順に 伊部志保さん・吉田けえなさん・𦚰田あすかさん)
- 伊藤
- 私、冬は特にコーディネートが
単色になりがちなんですけど、
バッグにちょっと柄が入っているとポイントになるし、
こういうデザイン、
バッグでは見たことないなぁと思いました。
- 𦚰田
- そう感じてくださって、
本当にうれしいです。
- 伊藤
- フラットになるからスーツケースに
サブバッグとして入れられるし、
私はもともと荷物が少ない方なので、
これさえ持っていれば買い物したものも全部入るんです。
デザインもかわいいし、
いろんなバリエーションも広がりそうですよね。
- 𦚰田
- そうですね。
コンセプトの中に「方眼紙」という要素もあるので、
このバッグをベースに
自由にカスタムしていけたらという
未来を描いています。
- 伊藤
- 格子を飛び越えて、
いろんなことができるんですね。
性別も年齢問わず持てるものだなあと思いました。
- 伊藤
- ところでブランド名の「OLU」には
どんな意味が込められているんでしょう。
- 𦚰田
- 紙を「折る」のと、布を「織る」を
かけたものになってます。
- 伊藤
- カラー名も、ホワイトが「TOFU」、
というようなところがおもしろいですよね。
名前はみなさんで決められたんですか?
- 伊部
- はい。
かわいい名前にしようって。
- 𦚰田
- なんとなく日本っぽい名前がいいねということで、
「TOFU」とか「NORI」がぴったりきましたね。
- 伊藤
- うん、うん。
愛着がわく感じがします。
- 𦚰田
- モノ自体がシンプルなので、
選ぶたのしさみたいなものを
少しでも増やしたい気持ちがありました。
それで初めから色数を多めに用意したり、
名前もおもしろがってもらえるものを考えて。
- 伊藤
- 見ているだけでたのしいです。
バッグを開けたときの
内側のデザインもいいですよね。
地の色と格子の色が逆転して。
- 𦚰田
- そうそう、
裏面もかわいいというのは狙いじゃなく、
サンプルができてからハッと気づいたんです。
- 伊藤
- 私ももともと「TOFU」を持っていたんですけど、
裏もかわいかったから、
裏を表側にしたバージョンを
今回「weeksdays」オリジナルで
作っていただきました。
実現してうれしいです!
- 川﨑
- ネーミングも「NORI」ですしね。
- 𦚰田
- 黒海苔(笑)。
- 伊藤
- ふふふ。
海苔、ほんとにこういう形ですものね。
今日はお話が聞けてもっと愛着がわきました。
どうもありがとうございました。
- 全員
- ありがとうございました。
出発点はグラフィック
- 伊藤
- 今回はありがとうございます。
かわいいものができてうれしいです。
- 吉田
- ありがとうございます。
私たちもテンションが上がっています。
- 伊藤
- さっそくですが、
ブランドが始まったきっかけを伺えますか。
- 吉田
- 私がサックスバーのアドバイザーを務める中で、
東京発、世界へ届けるブランドを作ろうと
スタートしたのが
「OLU PRODUCTS(オル プロダクツ)」です。
バッグの専門店「SAC’S BAR(サックスバー)」を
日本で570店舗ほど展開している会社が母体なんですが、
そこといっしょにすすめていくにあたり、
せっかくならどちらも今までやったことがないことを
試してみたいという想いから、
バッグのデザイナーさんではなく
別のジャンルの方と一緒に取り組んで、
新しいものを生みだそう、と考えました。
ちょうどその頃、
もともと友人どうしだった伊部さんと𦚰田さんが
事務所をシェアされていたんですね。
伊部さんが主宰しているセレクトショップの
グラフィックデザインを
𦚰田さんが担当されているんですが、
すごく素敵だなぁと思って見ていたので、
ぜひバッグをデザインして欲しいと思って
オファーしたのがブランドをつくるきっかけになりました。
- 伊藤
- それで3人で作ることに。
- 吉田
- はい。
𦚰田さんから「おもしろそう!」と
快いお返事をいただいたので、
立ち上げることになりました。
- 伊藤
- 𦚰田さんは、スカーフのデザインなども
されていましたよね。
- 𦚰田
- そうですね。
スカーフのブランドは学生の頃にはじめてから
ずっと続けているんですが、
平面なのでグラフィックデザインの範疇なの感覚なんです。
そんな私にとってバッグはとっても立体!
初めてのことだったので、
素材のことから教えてもらいながら進めました。
- 伊藤
- ブランド立ち上げ当初は、
素材は決まっていなかったんですか。
- 吉田
- はい(笑)。
今考えると𦚰田さんには
無謀なオーダーだったかもしれません。
でも一方で、せっかくやっていただくなら、
いちから自由に発想してもらいたいとも思っていて。
- 伊藤
- なるほど。
じゃあ、吉田さんから託されたことを、
𦚰田さんは、伊部さんといっしょに
かたちにしていったわけですね。
- 𦚰田
- はい。こちらのチームでは、
コンセプトを伊部さんが担ってくださって、
二人三脚で話し合いながら決めていきました。
このブランドの強みは
グラフィックデザイナーがつくっていることなので、
それが反映できるようなデザインがいいね
ということを初めの頃から話していて。
それから、グラフィックを軸にしたデザインを
立体のバッグにどう落とし込んでいくか、というところで、
3方向のアイディアが出てきました。
- 伊部
- 1つは牛乳パックをモチーフにした
小さい立方体みたいな形のもの。
2つめは𦚰田さんが着ていたシャツから発想を得て、
格子の線がちょうど服のアウトラインに沿っているのが
かわいかったのと、
方眼紙のようなイメージをあわせた
「GLID(グリッド)」というコンセプト。
- 吉田
- 3つめはサンドイッチみたいなバッグはつくれないか、
というので、
レタスやハムがはみ出てる感じを
フリルで表現してみようとしたものです。
- 伊藤
- わぁ、3つともまったく違う方向ですね。
- 𦚰田
- そうなんです。
それで3つのサンプル製作を
同時に進めてみたんですけど、
並べたときに圧倒的に「GLID」がかわいかったんです。
- 伊藤
- “圧倒的”だったんですね!
デザインは格子をモチーフにした、ということですが、
形はどのように考えられたんですか。
- 𦚰田
- とにかくフラットにしたかったのと、
ちょうどハンドルの間の正方形の部分から
くり抜いたような形のポーチもセットにしようと。
実際はそういうふうに作っているわけではないんですけど、一枚の紙からできたように見せたら
おもしろいなと考えました。
- 伊藤
- フラットだけど、容量が大きくて、
ものがたくさん入りますよね。
- 𦚰田
- マチをつけて使いやすいサイズにしたので、
iPadや小さめのパソコンも入るような
実用的なサイズです。
先に1つのグリッド(格子)のサイズを決めて、
それを何個積むかという考え方で
全体の大きさを決めていったんです。
- 伊藤
- おもしろい考え方ですね。
じゃあデザインと形、サイズが決まって
そこからはスムーズに?
- 伊部
- いえ、完成までには紆余曲折があって‥‥。
- 𦚰田
- そうそう。
まず、ニットという素材で
直線や正方形を作るのはすごく難しかったんです。
試作の段階では線が曲がったり伸びたりして
きれいに格子が揃わないとか、
バッグの縁の処理がうまくいかないとか‥‥。
このあたりのことは川﨑さんにずいぶん助けていただいて。
- 川﨑
- そんな(笑)。
そもそもうちの会社でニットバッグを作るのが
ほぼ初めてだったんですよ。
なので何回も社内で確認したり相談しながら作りました。
製造の現場でも、初回の段階で
ちゃんと編めてないものが出てきたときは、
社内の人をかき集めて一つ一つ裏返して検品し直したり、
格子や丸のデザインがズレていることも多かったので、
縫製に指示を出し直したり‥‥。
でも、それを乗り超えてきたので、
今は逆にお客さまに自信を持っておすすめできます。
- 伊藤
- 構想から完成までは
どのくらいかかったんでしょう。
- 吉田
- 1年ぐらいですかね。
- 伊藤
- 色違いやパターン違いも含めて?
- 𦚰田
- はい。
基本のデザインが決まってから、
バリエーションをつくるのに
糸見本から色を選んでいくんですけど、
編んでみると思っていたのと違う印象になることが
けっこうあったんです。
急遽、別の色にしたりして、
スタートは8種類作りました。
あとから2色追加でつくって、
現在のラインナップは10色になりました。
(左から順に 川﨑優衣さん・伊部志保さん・吉田けえなさん・𦚰田あすかさん)
友人たち
たとえば、
冷蔵庫を買い替えたくなった時。
まずは店に出向き、
気になっていた製品をじっさいに見てみる。
デザイン、オッケー(ここ大事)。
サイズもちょうどよさそう。
そこでハタと行き詰まるのが、
使い勝手はどうなのか? ということ。
そういえば同じ冷蔵庫、
料理家の友人の家にもあったなぁ。
さっそく使い心地をたずねると、
「たくさん入るのにデザインはスマートなところがいい」
とのこと。
その言葉が背中を押して、
晴れてその冷蔵庫は我が家にやってきたのでした。
そうそう、
最近、買ったスウェーデンの炭酸水メーカーも、
別の友人の家で見て、お! となったもの。
ずっとどれがいいか迷っていたけれど、
こんなのあるのねぇ。
考えてみると、
友人たちのおすすめって、
私の中では、
ずいぶんとものをえらぶ基準になっているのだな。
みんな、ありがとう!
今週のweeksdaysは、OLUのバッグ。
これもまた、友人が持っていて、
かわいい! となったもの。
SLOANEのTシャツと合わせてどうぞ。
再入荷のおしらせ
完売しておりましたアイテムの、再入荷のおしらせです。
3月19日(木)午前11時より、以下の商品について、
「weeksdays」にて追加販売をおこないます。
8182
クッションカバー
(チャコール)
部屋の雰囲気を変える、
とても便利なアイテムがクッションカバー。
今回、weeksdaysでは、
ホワイト、ブラック、チャコールの3色を展開。
カラーをひとつにして、
いくつか並べてもいいし、
3色をひとつずつ、なんていう使い方もいい。

またイブルと合わせて使っても。
リビングやベッドまわりに置くだけで、
家の中が新鮮な表情になります。
オーガニックコットンを使っているので、
肌触りも最高。
ベッドルームに、リビングにと
あらゆるシーンでお使いいただけます。
(伊藤まさこさん)
JOHNBULLのデニムパンツ、こんなコーディネートで 伊藤まさこ
JOHNBULLのデニム、今回ご紹介するのは、
ワンウォッシュとユーズドの2種類のパンツ。
どちらがいい、というのではなく
「どちらもいい」。
ワンウォッシュに黒のTシャツ、
同色のブーツ。
ライトデニムリメイクタックパンツ(ワンウォッシュ・スタンダード)/JOHNBULL
ウール天竺 ニットTシャツ (ブラック)/SLOANE(2026年3月発売予定)
サイドゴアショートブーツ(ブラック)/VELOZ
ユーズドにネイビーのTシャツとスニーカー。
ライトデニムリメイクタックパンツ(ユーズド・スタンダード)/JOHNBULL
ウール天竺 ニットTシャツ (ネイビー)/SLOANE(2026年3月発売予定)
靴 伊藤まさこ私物
加工が違うだけで、
こんなにイメージが変わるのならば、
2色揃えてもいいなぁ、なんて思ってしまいます。
「色違いは違う服」ですから!
タックやウェストのヒモで調整できるので、
穿いていて楽なところも気に入っている理由のひとつ。
ゆとりのあるサイズ感なので、
夏でもいける。
ここでは赤のタンクトップを合わせました。
ライトデニムリメイクタックパンツ(ユーズド・スタンダード)/JOHNBULL
トップス ¥12,100/SLOANE
GERMAN TRAINER(WHITE)
後ろ姿はこんな感じ。
すっきり見せてくれるデザインです。
トップスをすべてインしたり、
ライトデニムリメイクタックパンツ(ユーズド・ショート)/JOHNBULL
オーバーサイズ開襟シャツ(グリーン)/t.yamai paris
レザーフラットサンダル(グリーン)/BARI
アウトしたり。
少し光沢のあるニットを合わせても。
ライトデニムリメイクタックパンツ(ワンウォッシュ・ショート)/JOHNBULL
トップス ¥33,000/SLOANE
レザーフラットサンダル(ブラック)/BARI
上にジャケットを重ねたり、
少しヒールのある靴を履いたり。
合わせるもので、着こなしの幅が広がります。
身長156センチの私がえらぶのは、ショート丈。
スタンダード丈とは3センチの違いです。
ふたつの丈は身長やどんな風に着たいか
(どんな靴を履くか)で、
えらんでくださいね。
気軽に穿いて、洗って、直して
- 藤村
- レーザー加工したあとのジーンズで、
もう少し色合いを落としたいときは
手作業で部分的に漂白剤を塗ってメリハリを出したり、
細かいところのアタリを作って
ヴィンテージ感を加えます。
- 伊藤
- いろんな加工を組み合わせていくんですね。
ここでどれぐらい落とすかというのは、
指示書みたいなものがあるんですか。
- 藤村
- 加工見本があったり、
デザイナーから提供されるイメージ画像をもとに再現して、
筒試験で確認いただきながらという感じです。
- 伊藤
- それは数値化できない部分ですよね。
- 藤村
- そうですね。
経験値が必要なところです。
それから、「立体ヒゲ」と呼ばれる
穿きジワをつける機械もあります。
- 伊藤
- え?!
洗ってもこのままの形ということですか。
- 藤村
- お店に出す前にプレスして仕上げるので
もう少し伸びた状態になります。
徐々に取れてはいくんですけど、
最初にシワのクセをつけられる加工ですね。
- 伊藤
- 熱いですね。
熱で形をつけるということでしょうか。
- 藤村
- 薬品をつけたあとに熱で固めてます。
これはデフォルメがやや強い商品なんですけど、
古着でシワのある表情を入れて欲しいというときには
こんな加工もしています。
うちでは他にも、ペンキを飛ばすペイント加工や
ステッチ加工なんかもやっています。
- 伊藤
- 知らないことばかりで、
「すごい」とばかり言ってしまいます(笑)。
- 菅野
- そうですよね。
こういった加工技術も常に進化しているんです。
昔はヴィンテージの雰囲気を出すために、
ジーンズを土に埋めたりもしていたそうです。
- 伊藤
- 中国でも陶器を土に埋めて古く見せるような加工が
あると聞きました。
- 菅野
- 土壌菌に加工してもらうということで、
同じ発想ですよね。
うちも昔は試験的にやっていたんですけど、
出来上がるまでに時間がかかるので、
いざ掘り起こすときに
「あれ、どこだっけ?」ってなったりして。
ボタンもヴィンテージ感を出すために、
昔は海水で腐食させようと、
海岸に持って行って置いていたんですけど、
全部流されそうになったり。
- 伊藤
- 「何してるんですか」って言われそう!(笑)
- 菅野
- ははは、ほんとに何やってんだよ、っていう。
いろいろ学習して、今に至ります。
ちなみに今は海水で腐食した感じの
メッキ加工ができるようになりました。
- 伊藤
- プロから見ると、本当に着古しているものと
ユーズド加工したものというのは分かるんでしょうか。
- 藤村
- 見た瞬間に分かります。
- 伊藤
- 見た瞬間に?!
そんな目だからこそ、
素敵なものが再現できるんですね。
- 伊藤
- 工場見学、すごくおもしろかったです。
一本のジーンズの中に、
こんなにたくさんの人の力が集まっているなんて。
一生分以上のジーンズを見た気がするんですけど、
1日にどのくらい出荷されているんですか。
- 藤村
- ワンウォッシュなど簡単な工程のものも含めると
だいたい毎日1000点ぐらいですかね。
- 伊藤
- 毎日1000点!
そんなにたくさん作られてるってことは
国内シェアも高そうですね。
ところでジーンズって、
そもそもどれくらい長く
着られるものなんでしょうか。
- 菅野
- 着用頻度にもよるんですけど、
毎日穿くほどでなければ、
10年以上はもつんじゃないかなと思います。
今日見ていただいたように多少破けても直せるので、
そうなると20年というかたもいらっしゃいますよ。
お父さんの穿いていたジーンズを
お子さんが穿いたりされたりも。
普通のパンツだと破れたら買い替えるんでしょうけど、
ジーンズはもともと耐久性があることに加えて
破れたら直せるし、それが味になりますし。
- 藤村
- それはジーンズならではですよね。
- 伊藤
- 確かに!
たとえば「ワンウォッシュ」をずっと穿いていると、
「ユーズド」の色ぐらいまで落ちるものですか。
- 藤村
- かなり時間はかかるんですけど、
落ちると思います。
- 伊藤
- じゃあ、ちょっと味を出したいと思ったら、
濃い方を買っておくといいでしょうか。
- 菅野
- 「ワンウォッシュ」の方が
色の変化はわかりやすいと思います。
「ユーズド」は最初から穿き古した感じが
かっこいいです。
- 伊藤
- ジーンズの魅力ですね。
私はどちらも買おうと思います。
この生地の薄さだと、
真冬はもの足りないかもしれないけど、
それ以外は1年中着られそうですよね。
- 藤村
- そうですね。
分厚すぎないので着回しも便利だと思います。
最近は暑い時期も長いですし、
ここ数年、とくに女性には軽めのジーンズが人気です。
- 伊藤
- リペアしてほしいものは、
本社で受けていただけるんですか?
- 菅野
- JOHNBULLの直営店に
問い合わせいただければと思います。
- 伊藤
- 安心です。
最後にお手入れなんですけど、
洗濯は裏返して洗ったほうがいいですか。
- 菅野
- できれば裏返しで洗濯する方が長持ちします。
洗剤は蛍光漂白剤などが入ってない
中性洗剤を推奨していて、
できるだけ直射日光のあたらない場所に
裏返しのまま干していただくと、
日焼けで変色することも避けられます。
- 伊藤
- ポケット部分も裏返した方が
乾きやすいですしね。
- 菅野
- そうですね。
ジーンズって基本的には
気兼ねなく穿けたり取り扱えるのが一番いいところなので、
ジーンズが好きなお客さまからは
「手洗いがいいか」「洗わないほうがいいですか」
なんて質問をいただくこともあるんですが、
僕らは正直それほど気を遣っていません。
他のものと同じように家庭の洗濯で洗ってもらえるのが
ジーンズの良さの一つかなと思います。
- 伊藤
- 気兼ねなく穿いて、洗えばいいんですね。
いいことを聞きました。
今回お願いしたジーンズもそうですけど、
形が同じでも加工が違うと、
ぜんぜん違う服に見えますよね。
- 菅野
- そうなんですよ。
うちでも同じ形で加工違いのものは
かなり作っています。
「ワンウォッシュ」と「ユーズド」、
両方たのしんでいただけると思いますよ。
- 伊藤
- 2本とも穿いてたのしみます。
素敵なものをありがとうございました!
知らなかった、ユーズド加工のこと
- 菅野
- 今回お作りしているジーンズも含めて、
うちの製品の加工をお願いしているのが
Wellsさんという会社で、
担当してくださっているのが、
こちらの藤村さんです。
- 伊藤
- はじめまして。
ここに来る途中で菅野さんが、
いろんな工場の中で一番合うと
おっしゃってました。
- 藤村
- ああ、うれしい。
ありがとうございます。
うちではいろんな種類の加工をしていて、
ここに展示しているのが
僕たちでできる技術の提案サンプルです。
- 伊藤
- 加工といってもいろいろあるんですね。
- 藤村
- 染めだったり、
デニムの場合はブリーチして色を落としたり。
特殊加工だと、ダメージやペイント、
リペアもやっています。
- 伊藤
- 今回「weeksdays」用に作っていただいた
ジーンズの加工は、
どんなふうに決めてくださったんですか。
- 藤村
- 最初に菅野さんやJOHNBULLの企画の方と
色についてすり合わせました。
デニムは色見本にするのが
ヴィンテージやユーズドのジーンズで、
「ここが擦れてこのくらいの色に落ちたらいいね」
みたいな話をしながら決めて、
実際の色に落とし込んでいきます。
今回は濃い色の方が「ワンウォッシュ」といって
1回洗いをかけたもの、
薄い色には「ユーズド」の加工を施しています。
- 伊藤
- 「ユーズド」のほうも、
本物のユーズドジーンズを見本にするんでしょうか。
- 藤村
- そうですね。
たとえばこれが「Levi’s」の
ヴィンテージジーンズなんですけど、
素材感やデザイン、シルエットによって
ダメージの入り方は変わるので、
「今回のパンツは穿いていってもこうはならないから、
もう少しナチュラルに仕上げよう」
という感じで、見本にしつつ調整をしていきます。
具体的には今回の「ユーズド」の方は
ストーンバイオといって、
軽石と酵素で洗うことでアタリ(縫い目や折り目など
出っ張った部分が色落ちすること)をつけたり、
ブリーチで色を落としてから、
最後に薄いベージュの色をのせて
ヴィンテージっぽい雰囲気を出しています。
- 伊藤
- えっ。ベージュですか。
- 菅野
- ちょっとわかりづらいんですが、
ユーズドの雰囲気を出そうとしたときに
色を落とすだけだと緯糸がまっ白で、
わざとらしくなってしまうんです。
着古した感じで馴染ませられるように、
うっすらベージュの染色をかけてもらっています。
- 伊藤
- そういう色の加減は難しそうですね。
紙のデザインみたいに
「ここの色は◯%落として」
なんてできないですものね。
- 菅野
- ほんとうに難しいところです。
デニムは色出し試験をするんですが、
いい色が出ないときは
4回~6回ほど繰り返したりします。
でも、希望の仕上がりイメージについては
藤村さんにはニュアンスを言えばすぐ
汲み取ってくださるので。
- 伊藤
- そういう相性って、すごく大事ですよね。
藤村さんは、もともと古着がお好きなんですか。
- 藤村
- もともと好きでしたし、
ここに入社して20年のあいだに
現場でいろんなものを見せてもらったので、
自然と詳しくなってきました。
- 菅野
- そこがすごく大事で、
加工のメニューだけを言って依頼しても、
仕上がりイメージがなかなか伝わらない人もいるんですよ。
藤村さんはそのあたりのセンスもさすがで。
本当の古着とユーズド加工をした新品のジーンズ、
ぱっと見ても違いはわからないと思います。
- 伊藤
- 全然わかりません。
わざとらしさがまったくない。
どうしてこんなに自然にできるんですか?
- 藤村
- いろんな実験を経験してきたというのもありますし、
うちの社長が昔から大切にしているのが
「ものへの感性」と、
作りたいものを「再現できる技術」の両方なんです。
うちの会社にも
50~60代のベテラン職人がいるんですけど、
若いスタッフも増やしながら、
全員でその2つを強化しているところです。
- 伊藤
- 今回作っていただいたものも、
いくつかのサンプルの中から
決めてくださったんですか。
- 藤村
- そうですね。
色と加工の方向が決まったら、
サンプルアップする前に「筒試験」といって、
ジーンズの裾だけを切り取ったような筒状の生地を使って
色やアタリ、加工の具合をチェックして決めていきます。
- 菅野
- 細かいんですが、
裾の部分は縫製の工程でもご説明した
「パッカリング」(縫い目にできる自然な凹凸)が
出るように作っています。
糸調子を強めにして、
生地をねじりながら縫ってわざと波を作るんです。
昔の古着は縫製もいい意味で雑なので、
特に「ユーズド」はその雰囲気がうまく出ているか、
筒試験で見ていきます。
- 伊藤
- 細かい部分まで、
丁寧に作られているんですね。
- 菅野
- ユーズド加工自体がダメージを加えて
着古した雰囲気を出すものではあるんですが、
あくまで新しい製品なので、
糸切れや生地の破れが起こらないように
気をつけないといけないんです。
今回お作りしたジーンズの生地の場合、
11オンス(約91cm四方で約300gの生地)といって
デニムの中ではやや薄めの部類に入るので、
加工の加減も非常に難しくて、
注意しながらやってもらっています。
- 伊藤
- 耐久性みたいなところも
考慮しないといけないですよね。
- 菅野
- そこも大事ですね。
サンプルが上がってきたら
うちの生産スタッフが物性試験(製品の強度や伸縮性、
耐久性などを調べるもの)を見て、
あやしいところがあれば補強したり、
加工の方を弱めてもらったりして調整します。
ただ、加工を弱めすぎると
今度は製品の顔が全然変わってきたり、
色は変えないつもりでもブレることもあります。
その辺は藤村さんと相談しながらですね。
- 伊藤
- すごく繊細な調整が必要なんですね。
- 藤村
- デニムの色を落とす加工には
いろいろな方法があるんですが、
全体的に色を落とすのはブリーチや
軽石を使って洗うストーンウォッシュになります。
さらに部分的にアタリをつくりたいときは
ブラシで生地を研磨したり、
端を削って擦り切れたようなダメージ加工を加えます。
- 伊藤
- 削っているんですね。
「ヒゲ」部分(履いていくうちに太ももの付け根に現れる、
猫のヒゲのような放射状の色落ち)は
どういうふうに作るんですか。
- 藤村
- 「ヒゲ型」という型紙のようなものを中に入れて
上からで削ると、
凹凸が柄のように浮き出てくるんです。
- 伊藤
- 型があるんですね。
おもしろい!
- 菅野
- 今はやってないんですけど、
昔は自分たちで実際に穿いて
ヒゲの型を作ったりしていました。
- 伊藤
- そんな時代もあったんですね。
- 藤村
- 実際に研磨するのが従来のやり方なんですけど、
粉塵が舞って作業する方の負担になったり、
環境負荷を少しでも減らそうということで、
最近はレーザーを使った加工もしています。
- 伊藤
- えっ?
これは何が起こっているんですか。
- 藤村
- 上からレーザーを照射して、
熱によってインディゴの染料を飛ばして
色を落としています。
落としかたの調整は強弱だけで、
コンピューターでグレースケールのデータになっています。
- 伊藤
- そんなことができるものなんですね。
レーザー加工と手作業による加工は
仕上がりが違いますか。
- 藤村
- どちらにもいいところがありますね。
クラフト感が出やすいのは
手作業による加工だったり、
レーザーの方は実際のヴィンテージをスキャンして
そのデータを元に加工するので、
リアルな色落ちを再現できるんです。
- 伊藤
- 適材適所という感じですね。
このレーザー加工でも、
さっきのヒゲみたいなものは出せるんですか。
- 藤村
- そうですね。
これもデータの中に入っているので、
プリントしているようなイメージです。
- 伊藤
- こんな機械があるなんて‥‥。
衝撃でした!
手で作られる価値
- 菅野
- 縫製まで終わったら、
「特殊作業」という工程に入ります。
たとえばポケット口がほつれないように
「かんぬき止め」という補強ステッチを施したり、
Gジャンにボタンホールを開けたり、
金属製のタックボタンやリベット(ジーンズの
ポケットの縁などに使う補強のためのピン)を
打ち込んだりしています。
- 伊藤
- 今やってらっしゃるのは‥‥?
- 菅野
- Gジャンのボタンをかける部分に、
「ハトメ穴」という丸い穴を開けています。
これも古い機械なんですけど、
メスが降りて切り目を入れたあと、
周りをミシンでかがってくれます。
- 伊藤
- わぁ‥‥あっという間に!
ここまでの工程でほとんど仕上がっているから、
失敗できないですね。
- 菅野
- そうなんですよ。
縫製工程は糸をほどけばなんとかなるんですけど、
これは穴を開けてしまうので、
失敗するとアウトです。
長年やっているスタッフなので、
指示書に書いてある「端から1.5cm」という位置も
ピンポイントでわかるんですね。
- 伊藤
- すごい技術ですねぇ。
- 菅野
- 特殊作業まで終えたものは、
一度全て検品をします。
縫い不良がないか、生地に傷がないか、
そして仕上がりの採寸ですね。
うちの製品は8割ほど、
ワンウォッシュといって製品洗い(縫製が完了した製品を
水洗いして色落ち・縮みを抑え、肌なじみよくする)
をかけるんですが、
天然繊維は洗うと4~5%ほど縮むので、
パタンナーがサンプル段階で縮率を想定して
縫い上がりを計算しているんです。
なので、検品がすべてOKなら、
毎日集荷に来てくれる加工場で洗ってもらって、
戻ってきたらまた検品、という流れです。
これが洗う前の製品と洗った後のもの。
よければ触ってみてください。
- 伊藤
- あっ、ほんとですね。
ぜんぜん違う。
- 菅野
- 生地を織るときに糸が切れないように
糸にのりがコーティングされているので、
洗う前はとても硬いんです。
ワンウォッシュするとやわらかく、
穿きやすくなります。
今回お作りしたジーンズも
製品洗いが終わって上がってきていますよ。
- 伊藤
- あっ、うれしいです。
- 菅野
- ちょうど今、
フロントタックを入れる作業をしています。
先にすると加工の途中で破けてしまうので、
最後にここで入れて仕上げます。
これが終わったら
たたみ作業やタグづけ作業をして完成です。
- 伊藤
- すごくたくさんの工程を経て
できているんですね。
こうして作られているところを見ると
より一層、価値を感じますね。
- 菅野
- ここからは今回お作りしたジーンズには
ない工程なんですが、
うちでやっていることを少しご紹介させてください。
- 伊藤
- ぜひ知りたいです。
- 菅野
- ここではオリジナルのパッチワーク製品を作っています。
生産しているとどうしても生地が余ったり
売れ残りが出てしまうんですけど、
作る側の責任として、
廃棄するのではなくて解体・リメイクをして
ジャケットやパンツに生まれ変わらせています。
- 伊藤
- すごくいい取り組みですね。
このジャケット自体のパターンはあるんですか。
- 菅野
- 原型はあるんですが、
どの生地を組み合わせるかは縫製のスタッフが考えて
自由に作っています。
- 伊藤
- 技術だけでなく、センスも必要なお仕事。
- 菅野
- それから、JOHNBULLの製品の修理や
リメイクも行っていて、
「10年以上前穿いていたら
ポケットが破けたので直してください」とか
「破れたところを活かしてリメイクしてほしい」
という依頼をお受けしています。
中には20年以上前のジーンズのご依頼をいただき、
あちこち破れているので、
リメイクする方が高くつきますよということで
新しい商品をおすすめするんですけど、
「このジーンズが気に入ってるから直してください」
という方もいらっしゃいます。
- 伊藤
- それはうれしいですね!
- 菅野
- 作り甲斐があるというか、
ものすごくありがたいことですね。
ここでは、ジーンズまわりということで、
革の小物を職人がひとりで作ってくれています。
古着の短いベルトをつなぎ合わせて
あたらしいベルトを作ったり、
財布やカードケースもオリジナルで作っています。
- 伊藤
- もとの革のベルトは、
どこから集まってくるんですか。
- 菅野
- 古着のストックで処分されるようなものを
うちで引き取っています。
革は使い込まれたものでも味があるし
長く使える素材なので、
つなぎあわせてベルト穴をあけて、
ジーンズと一緒に提案しています。
加工は足踏みミシンも使うんですけど、
基本的には手で裁断・縫製をしています。
いつも見ていて一番感心するのが、
「革すき機」です。
- 伊藤
- へえー!
革の厚みを変えられるんですか。
- 菅野
- たとえばベルトの返し部分は
厚いままだと接着しにくいので
半分の厚みにすいたり、
縫う箇所だけ薄くして、
針が通りやすいようにしています。
- 伊藤
- ミリ単位以下の世界ですよね。
機械はどこの国ものなんでしょう。
- 菅野
- 国産です。
ニッピ機械という老舗メーカーなんですけど、
革すき機は国内でここしか作っていないんです。
でも使用頻度はミシンと同じぐらい高くて、
これがないと革の仕事はできないくらい重要な道具です。
- 伊藤
- ジーンズもそうですけれど、
工場だと、もっと機械に頼って
作られているのかなと思っていました。
思った以上に手作業が多くて
びっくりしました。
- 菅野
- それはすごくよく言われます。
自動機も進化しているので、
年間を通じて形を変えないようなものであれば
量産効率はいいんですけど、
うちではそういう製品はごく一部なので、
手作業が多いですね。
たまたまなにかのメディアで見たんですけど、
AIが発展しても今後残っていく人の仕事の一つが
「縫製業」だとありました。
- 伊藤
- それはもう、
今日見せていただいたので納得です。
- 菅野
- 若い人が集まりにくい業種ですし、
工賃や人件費の面でハードルもありますが、
自分たちが作るものの付加価値を上げることと、
もう一方ではお客さんにその価値を伝えて
正当な価格で買っていただけるようにして、
高い技術を身につけて働いてくれる人たちにも
還元していけるようなサイクルを
作れたらなと思っています。
- 伊藤
- これだけ手間がかかっていたら、
本当に正当な価値だなと思いました。
替えのきかない道具たち
- 伊藤
- 型紙を切るのも、自動でできるんですか。
- 菅野
- 型紙の出力機がナイフで切れ目を入れてくれますが、
それを切り分けるのはパタンナーの仕事です。
一つ一つ確認しながら手で切り分けて、
パーツごとにセットしていくんです。
型紙ができたら生地を裁断していくんですが、
これも専用の機械があるんですよ。
まず、生地を裁断する前に、
「延反機(えんたんき)」という機械に入れて広げます。
原反は生地をロール状に巻いたものなんですが、
デニムだとだいたい1巻きが50mで
かなりの重さになるので、
男性がセットすることが多いです。
サンプルを作る場合は1枚だけ裁断するんですが、
量産では200~300枚作るので、
生地を重ねて一度に切るというやり方をしてます。
- 伊藤
- 重ねるだけでも大変そうですね。
- 菅野
- 昔は両サイドにスタッフがいて
引っ張りながら重ねたりしていたんですが、
今はパネルに「◯mを◯枚重ねる」とセットすれば
機械が自動でリフトアップして重ねてくれます。
重ねた生地は重たいので動かないんですが、
動かしたいときは下からエアーが出て
浮くようになっているので、
女性でも一人で動かせるんですよ。
- 伊藤
- こっちは切っているんでしょうか。
- 菅野
- これはCAM(Computer Aided Manufacturing)という
自動裁断機なんですけど、
ナイフが高速で動いて切っていく仕組みです。
生地には上からナイロンを被せて真空にしているので、
中の布はズレないようになっています。
ちょうど今トップスを裁断しているところですね。
- 伊藤
- 生地に無駄がないですね。
- 菅野
- そうなんです。
パタンナーが成形したパーツにあわせて、
機械の方で生地のロスが出ないように計算し、
幅や長さを1度マーキングします。
そのデータをパタンナーが確認して大丈夫であれば、
そのまま裁断していきます。
- 伊藤
- 作るものによっては、
パターンの向きは縦がいいとか
横に取りたいみたいなことがありますよね。
その辺りも機械のほうで判断してくれるんですか。
- 菅野
- パーツの向きは全てパタンナーが決めるんですが、
パンツの場合は穿いたときに横方向に伸びやすいように
縦の地の目(経糸の方向)になるように取るので、
基本形をデータに入れると
自動で身頃を縦にマーキングしてくれます。
- 伊藤
- すごいですね。
- 菅野
- 裁断が終わったものは、
次の工程の縫製スタッフに渡しやすいように
パーツごとに仕分けをしてから束にまとめて、
生産の指示書に沿って準備しています。
指示書には、
品番と色番、サイズ展開、
ワンウォッシュやユーズド加工、
数量の振り分けなどが書かれています。
- 伊藤
- 指示書にはステッチの幅とかも
書かれてるんですか?
- 菅野
- 縫製の指示についてはまた別で、
「縫製仕様書」というものを作っています。
うちでは縫製は「ライン縫製」といって、
一から十まで1人が縫うのではなく、
各工程別に担当が分かれていて
次の人に渡しながら組み上げていきます。
昔は全員で同じものを1000枚~5000枚ほど
量産していた時代もありましたが、
今はいろんな種類のものを同時に少量作る、
というやり方をしていて、
こっちのラインではジーンズ、
あっちのラインではGジャンを縫っているような感じです。
少人数でやることで効率が上がるんですが、
若い人たちにいろんな工程を担当してもらいながら
技術を継承している最中です。
- 伊藤
- 得手不得手もあるでしょうが、
いろいろな工程がわかると、
作るものの全体が見えてきていいですね。
- 菅野
- 縫製の工程をスタートする前に、
「前工程」といって
縫製スタッフがすぐ縫えるような状態にするための
準備作業があります。
たとえばポケットを縫いつけるために
アイロンでポケットの端を1cm内側に折ったり、
縫う時に伸びやすい箇所の裏に
芯地を貼って伸びにくくしたり。
今は機械も発展してるので、
それぞれ専用の機械で同じものを大量に作れば
その方が効率がいいんですけど、
いろんな種類のものが流れてくると
機械では対応しきれないので、
やっぱり手作業が必要になりますね。
これが「縫製仕様書」です。
- 伊藤
- どこをどう縫うか、書かれているんですね。
- 菅野
- パーツの縫い方、
縫い目を何mmで縫うかというステッチ幅、
「運針」といって、
3cm間に針目を何回落とすかという指示まで
全て書かれています。
ジーンズは運針を大きめに縫ったり、
ドレスシャツは細かく縫ってきれいに仕上げたり
調整しているんですが、
ここまで細かく指示しているところは
少ないんじゃないかなと思います。
- 菅野
- 縫製に使っているのは平(ヒラ)ミシンといって、
デニムのような厚物に対応できる工業用のものです。
家庭用ミシンと同じで上糸と下糸があるんです。
ここで生地を縫い合わせたり、
オーバーロックミシンで布の端をかがったりしています。
- 伊藤
- 基本は直線縫いですか。
- 菅野
- そうですね。
でも、たとえばGジャンの脇の
カーブがきつい部分なんかは、
直線縫いだけでもかなりの技術が必要です。
平ミシン以外に
ジーンズを縫うための一番特徴的なミシンがあって、
「巻き縫いミシン」というものです。
- 伊藤
- 巻き縫い‥‥、をするミシン?
- 菅野
- はい。
先ほどの平ミシンは
生地を中表に2枚重ねて縫えば
開いたときに縫い目が裏にくるんですけど、
巻き縫いミシンの場合は2枚の生地の端を
縫い代の中に巻き込んで縫うので、
表からも裏からも端が見えないし、
とても強度が出るんです。
とくにジーンズの場合は「尻」といって
ヒップ中央の縦の切り替え線は
座るときに一番負荷がかかる場所なので、
破れないように巻き縫いにします。
ミシンに「ラッパ」というアタッチメントがついていて、
生地を通すと自然と巻ける仕組みなんですけど、
簡単に見えてこれがなかなか難しいんです‥‥。
スタッフに実際に巻いてもらいましょうか。
- 伊藤
- ぜひ見たいです。
- 菅野
- パンツの「尻」部分は、
お尻の左右のパーツが逆向きにカーブしているんですね。
それをアタッチメントのラッパの中で
合わせていくんですが、
カーブがきつい箇所がとくに技術が要ります。
- 伊藤
- そうでしょうね。
中表に合わせて縫うのだとイメージできますけど‥‥。
最初に生地をセットすれば、
縫われて出てくるんですか。
- 菅野
- そうですね。
ラッパが巻き込んでくれるんですけど、
生地を入れすぎるとズレて縫われていってしまうので
手で調整しながら縫っています。
- 伊藤
- すごい技術ですね。
しかも、ダブルステッチで出てきました!
強度もしっかり。
- 菅野
- こういった特殊な加工ごとに
部品もいろいろそろっています。
たとえばウエストのベルト部分にあたる
帯状のパーツは、
身頃の生地を上から挟み込むようにつけるので
手作業だと工程が多いんですが、
こういう専用のアタッチメントを使うと
挟んだ状態で一度にミシンで縫えるんです。
他にもいろんな種類の部品があって、
全て手作りで作ってもらったものです。
- 伊藤
- えっ。手作りなんですか?
- 菅野
- はい、特殊なものなので。
けれど今は作ってくださる職人さんもいなくなったので、
壊れたらおしまいです。
みんなで管理しながら、大切に扱ってます。
- 伊藤
- それは貴重ですね。
- 菅野
- こちらの「Union Special」
(Union Special Machine Company/1881創業)
というアメリカの老舗メーカーのミシンも、
日本に数台しか残っていないんです。
ワークウエアが普及した当時はよく使われていたんですが、
量産型ミシンの生産が衰退していって、
今はこれと同じミシンは作られていません。
- 伊藤
- これも現役で使われているんですか?
- 菅野
- はい、使っています。
機械も古いしツギハギで直しているので
使いづらいんですけど、
これでないと作れないものがあるんです。
細かい話ですが、
国産ジーンズのステッチのゲージ(間隔)が
0.6mm幅なのに対して、
このミシンでは0.72mmと若干広めなので、
ちょっと無骨な印象に仕上がります。
それから糸調子(糸のテンション)を強くして
生地をぎゅっとしめながら縫うと、
「パッカリング」といって、縫い目が波打つんです。
- 伊藤
- あえてパッカリングができるようにしてるんですね。
- 菅野
- そうです。
普通の洋服の場合はパッカリングが起こらないように
きれいに縫うのが基本ですけど、
ジーンズの場合は「アタリ」といって
洗った後に生地の凹凸によって
色が落ちる部分と溜まる部分ができて
独特の表情が出るので、
あえてパッカリングをつくるようにしています。
この機械なら縫製のパワーもあって
糸調子をかなりきつくできるので、
国産ミシンで縫うのとは全く印象が変わるんです。
- 伊藤
- 全然知らなかったです。
作るものによって、
使う機械も使い分けられているんですね。
ここはジーンズの街
- 伊藤
- こちらがJOHNBULLの本社なんですね。
今日はよろしくお願いいたします。
- 菅野
- 遠いところまでお越しいただいて
ありがとうございます。
この本社は自社工場を兼ねているので、
工場の中と、加工をお願いしている工場も
見学いただけたらと思っています。
- 伊藤
- たのしみです!
JOHNBULLは、創業もこちらでされたんですか。
- 菅野
- はい。1952年にこの地で創業して、
今年で74年目になります。
元々は「カネワ被服」という
学生服のメーカーでした。
これが最初に創業者が作った地下足袋です。
- 伊藤
- わぁ。かっこいい!
- 菅野
- 当時は高級品だったと思います。
この足袋をミシンで作っていたそうで、
戦後に学生服の需要が増えたので作りはじめたというのが
会社としてのスタートになります。
ちょっと傷んでいるんですけど、
カネワ印がトレードマークの学生服です。
- 伊藤
- タグもかわいいですね。
じゃあ、最初はジーンズではなく、
学生服メーカー。
- 菅野
- そうなんです。
この児島という場所は当時、
学生服の一大産地だったんです。
全国のシェアの半分以上の量を
児島のメーカーが作っていて、
それぞれが縫製の技術を活かして、
ジーンズ(デニムパンツ)を作りはじめたことから、
「国産ジーンズ発祥の地」と呼ばれるようになりました。
うちも1962年に社名を「JOHNBULL」に変えて、
カジュアルウェアを作りはじめたという経緯になります。
- 伊藤
- 学生服からジーンズに移行されたとき、
生地はどうやって手に入れられたんでしょう。
- 菅野
- 生地であるデニムは、アメリカから輸入したそうです。
当時マーケットに出回っていたジーンズは
「Levi’s」や「LEE」といった
海外メーカーのものだったんですが、
うちには縫製の設備も技術もあるし、
自分たちで作ってみようと。
輸入した生地を縫製するところから始めたんです。
最初はノンウォッシュでしたけど、
動きづらいのでワンウォッシュの加工を加えたりと、
工夫していったようですね。
当時この界隈にウォッシュ加工の工場はなかったんですが、
染色工場や仕上げ加工をする工場はたくさんあったので、
洗うための設備を活用して、
ジーンズを洗ったりブリーチしたり、
ストーンウォッシュといって軽石と一緒に洗って
色落ちを再現する加工が始まりました。
今は「メイド・イン・ジャパン」のジーンズとして
「児島で国産の製品を作りたい」ということで
国内各地の工場から、
そして海外からの依頼も多く受けています。
- 伊藤
- 国内外から人気が高いんですね。
今ではデニム(生地)も児島で作られているんですか。
- 菅野
- 「ジーンズの街・児島」と言われているんですけど、
デニム生地自体はほとんど作っていないんです。
昔から国産ジーンズの有名な産地は
「三備(さんび)」と呼ばれていて、
児島のあるこの辺りは「備前」。
デニム生地の産地としては「備中」の井原市や
「備後」の福山市などが有名です。
そういった産地から生地を仕入れて、
ここ児島で縫製・加工をするという形で発展してきました。
中でもうちの自社工場でやっているのは
裁断と縫製です。
- 伊藤
- なるほど。
児島の街全体にも
ジーンズショップが多いとききました。
- 菅野
- そうなんです。
近くに「ジーンズストリート」といって、
昔商店街だった場所に、個人の販売者も含めて
オリジナルのジーンズショップがたくさん並んでいます。
海外のハイブランドも
児島や倉敷で作っていたりする背景があるので、
それが一般のお客さんにも広がって
人気が出てきているのかなと思います。
- 伊藤
- 「メイド・イン・ジャパン」、
質が高くて安心ですものね。
JOHNBULLで作られているものは
シーズンごとの企画も量も、
すごく多いですよね。
- 菅野
- ジーンズだけでなくTシャツなども含めると、
年4回、ワンシーズンで130型ほど作っています。
- 伊藤
- 130型×4シーズン‥‥、
すごい量ですね!
- 菅野
- もともと年2回だったんですけど、
需要に応じて4回に増えました。
以前はジーンズショップの棚に並べられて、
在庫がなくなったら
追加で卸すという形が主だったんですけど、
特にジーンズはだんだん多様化してきて、
お客さまも常に新しいものを
求められているように思います。
- 伊藤
- 流行りのシルエットも毎年変わりますしね。
- 菅野
- そうですね。
加工の面でも、
最近は環境問題に配慮して水をなるべく使わなかったり、
人手が少なくなってきているのをカバーすべく
機械化に移行したりと、日々進化してきています。
さっそく工場の中をご案内しますね。
- 菅野
- 今日はちょっと少ないんですけど、
いつもは30名ほどのスタッフが
このフロアで働いてくれてます。
- 伊藤
- 今みなさんが作られているのは
サンプルでしょうか。
- 菅野
- いえ、これは量産品ですね。
- 伊藤
- ここで量産までされているんですね!
- 菅野
- そうなんです。うちの場合は量産型であっても
質の高い企画やもの作りに重きを置いているので、
自社スタッフが現場で頑張ってくれています。
児島にはこういった縫製工場がたくさんあるんですけど、
ものを作るコストのほぼ大半は人件費、
いわゆる「工賃」なんですね。
ある時期、それを抑えるために
大手のアパレル会社が海外に工場を設けたこともあって、
業界全体として人件費にかけられるお金を捻出するのが
難しくなってきました。
日本でも最低賃金が上がってきているので、
海外からの留学生や実習生を採用しているところも
多いんですけど、うちは地元の高校や
専門学校の新卒採用を積極的にしています。
よく同じ業界の方や取引先の方が
見学に来られるんですけど、
「JOHNBULLの工場は若い方が多いですね」
とよく言われます。
- 伊藤
- みなさんおいくつくらいなんですか?
- 菅野
- 20~30代の女性スタッフが多いですね。
縫製の現場はいまだに
50~60代の職人に支えられているところがほとんどで、
若い人がなじみづらい環境ではあるんです。
けれど、技術を守っていかないといけないので、
うちではベテランから若手へ継承ができるように
ここ10年くらい若手の育成に力を入れ、
ようやくいま、若手が前線で活躍してくれる
現場になっています。
- 伊藤
- 技術の継承は、
やはり時間がかかりますよね。
- 菅野
- ここがパターン(型紙)ルームです。
基本的には東京の支社で企画したものを
こちらの本社で成形しています。
パタンナーは本社に3人、東京に2人いまして、
企画検討からサンプルの採寸、チェックなど
連携しながらやっています。
- 伊藤
- 型紙がたくさんありますね。
- 菅野
- これらも昔は手で描いていたんですが、
今は全てCAD(コンピューター上で設計・製図を行う
ツール)を使って引いています。
実際に生地を切るのも
そのデータを自動裁断機に入力するんですけど、
型紙は必ず紙に出力するようにしています。
縫製のスタッフがそれを目で見て確認して、
縫い代を何cmにするかやポケットの位置、
丈寸法が合っているかなどチェックするために。
- 伊藤
- 手にとって見ないとわからないことがありますものね。
デニムで思いだす
学生時代の友人は、
バイトしたお金をすべてつぎ込んで、
ヴィンテージのデニムを買っていた。
だからもちろん学校にもデニムばかり穿いてくるし、
課題で作る服もそれに合うものばかり。
話題もどこそこの店にいいものがあった、とか
この年代のデニムの色落ちがたまらなくて、とか
そんな話ばかり。
好きとはものの‥‥というけれど、
何もそこまで、ねぇ。
女子の間ではその偏愛ぶりに、
いささか冷めた目線を送っていましたっけ。
でも、今なら思うんです。
私たち、いや私は
じつは彼のことが羨ましかったんじゃないかって。
だってそんなに夢中になれること、
私にはなかったのだから。
あれから何年経ったんだろう?
元気にしているかな、安藤くん。
今週のweeksdaysは、
JOHNBULLのデニムパンツ。
コンテンツは岡山の縫製工場と加工所、
2カ所におじゃまして、
作業の様子を見せていただきました。
もう、その様子が興味深くて。
デニムってすごい。
そしてデニムにかける情熱もすごい。
久しぶりの工場見学に、
興奮気味の私たちなのでした。
STAMP AND DIARYのジャケットとパンツ、こんなコーディネートで 伊藤まさこ 03 ベージュは“自分らしく”
素材感が一番伝わりやすい、
やわらかな印象のベージュ。
バロアテーラードジャケット(ベージュ)/STAMP AND DIARY
バロアパンツ(ベージュ)/STAMP AND DIARY
スカーフ 伊藤まさこ私物
襟元にはシルクのスカーフを。
あえてきっちり巻かず、はらりと羽織るように。
ジャケットをパンツにすべてイン。
やわらかな素材だからこそできる着こなしです。
オールインワンのように見えて、
じつは違う。
ワントーンのやさしいコーディネートですが、
足元はしっかりさせて全体のバランスを取ります。
バロアテーラードジャケット(ベージュ)/STAMP AND DIARY
バロアパンツ(ベージュ)/STAMP AND DIARY
サイドゴアショートブーツ(ブラック)/VELOZ
トップスにきれいなブルーのポロニットを合わせました。
ベージュとブルー、意外に合うんです。
バロアテーラードジャケット(ベージュ)/STAMP AND DIARY
バロアパンツ(ベージュ)/STAMP AND DIARY
トップス ¥35,200/SLOANE
サイドゴアショートブーツ(ブラック)/VELOZ
ジャケットとも相性よし。
ポロニットとジャケットの襟が重なるので、
顔まわりはすっきりさせて。
コーディネートによって、
カジュアルにも、
またちょっときちんとにも見える。
アクセサリーなどの小物で、
自分らしい着こなしを楽しんでくださいね。
STAMP AND DIARYのジャケットとパンツ、こんなコーディネートで 伊藤まさこ 02 かろやかにグレーを着よう
ジャケットとパンツをセットアップでコーディネート。
明るめなグレーは、
春らしくかろやか。
中に赤いタンクトップを。
このグレー、
明るいブルーやイエローなどとも相性よさそうです。
バロアテーラードジャケット(グレー)/STAMP AND DIARY
バロアパンツ(グレー)/STAMP AND DIARY
トップス ¥12,100/SLOANE
靴 伊藤まさこ私物
エナメルのローファーで足元をひきしめて。
パンツにインすると、
ちょっときりり。
中に白いシャツを。
第一ボタンをきちんとしめて。
バロアテーラードジャケット(グレー)/STAMP AND DIARY
バロアパンツ(クロ)/STAMP AND DIARY
シャツ/STAMP AND DIARY
ジャケットからのぞくシャツの白がいい。
パンツは同素材のクロを合わせました。
Tシャツにスカート、
足元はあえてごつめのブーツ。
バロアテーラードジャケット(グレー)/STAMP AND DIARY
ウール天竺 ニットTシャツ (ブラック)/SLOANE(2026年3月発売予定)
スカート ¥26,400/STAMP AND DIARY
サイドゴアショートブーツ(ブラック)/VELOZ
ボタンを開けたり、
または閉めたり。
中に着るものをシャツにしたり、
Tシャツにしたり。
ちょっとした工夫で、
イメージが変わるグレーのジャケット。
夏以外のシーズンで活躍してくれる、
アイテムではないかな。
STAMP AND DIARYのジャケットとパンツ、こんなコーディネートで 伊藤まさこ 01 クロは、大人っぽいカジュアルスタイルで
セットアップで揃えたい、
ジャケットとパンツは、
ストレッチが効いているため、
着心地がとてもいいんです。
ここでは、サテンのボーダーを合わせ、
大人っぽいカジュアルスタイルに。
クロの上下を、
ボーダーがつないでくれて、
すっきりした印象に。
バロアテーラードジャケット(クロ)/STAMP AND DIARY
バロアパンツ(クロ)/STAMP AND DIARY
サテンボーダートップス(ブラック)/BOUQUET de L’UNE
サンダル 伊藤まさこ私物
パンツは左右2本ずつタックが入っているため、
立体感がありつつ、
気になるお腹や腰まわりはすっきり。
ここ、すごくうれしいポイントです。
ボタンをすべてしめて、
前身頃をパンツにイン。
バロアテーラードジャケット(クロ)/STAMP AND DIARY
バロアパンツ(クロ)/STAMP AND DIARY
サンダル 伊藤まさこ私物
襟をさりげなく立たせ、
袖を折って。
ちょっとオールインワンのように見えて、
ボーダーを着た時とはまた違った印象に。
白いシャツとも相性よし。
バロアパンツ(クロ)/STAMP AND DIARY
シャツ/STAMP AND DIARY
サンダル 伊藤まさこ私物
その上から、
グレーのジャケットを。
上下、同色もいいけれど、
こんな風に別のカラーを組み合わせても。
バロアテーラードジャケット(グレー)/STAMP AND DIARY
バロアパンツ(クロ)/STAMP AND DIARY
シャツ/STAMP AND DIARY
サンダル 伊藤まさこ私物
カーディガンのようなイメージで、
気軽にコーディネートに取り入れられるのが、
このジャケットのいいところ。
デニムとの相性もばっちりです。
バロアテーラードジャケット(クロ)/STAMP AND DIARY
トップス ¥33,000/SLOANE
ライトデニムリメイクタックパンツ(ワンウォッシュ・ショート)/JOHNBULL(2026年3月発売予定)
レザーフラットサンダル(ブラック)/BARI
ほどよい丈感なので、
後ろ姿もすっきり。
もう少し春が近づいたら、
小花柄のワンピースを合わせてもきっとすてきだろうなぁ。
春に
今日は、とてもあたたかで春みたい。
近所を散歩していたら、
梅が満開になっていました。
春みたい、
ではなくて、もう春なのかな。
これからの週末、
時間を見つけては、
冬ものの整理をするのが、
ここ数年の習慣。
ニットやストールを洗い、
毛玉をとって、
スチームをかけ、
きちんとたたんで。
すっかりきれいになったら、
クローゼットにしまいます。
また次の秋に、
どうぞよろしくね、という気持ちを込めて。
ちょっと面倒に思えるこの作業が、
とても好きです。
気持ちが切り替わるし、
クローゼットの風通しもよくなる気がするから。
今週のweeksdaysは、
STAMPSのジャケットとパンツ。
新しい服が欲しくなる春。
きちんとにも、カジュアルにも。
あらゆるシーンで活躍してくれる、
そんなアイテムです。
岸山沙代子さんにSAQUIの着こなしを伺いました 伊藤まさこ
開きすぎず、
かといって窮屈じゃない。
襟ぐりや袖ぐりの開き具合が絶妙な、
ノースリーブワンピース。
以前販売したノーカラージャケットや、
ノーカラースリーブジャケットとの相性もよく、
一枚持っているととても重宝するアイテムです。
ノースリーブワンピース(38サイズ)/SAQUI
レースブラウス(38サイズ)/SAQUI
ノースリーブワンピースに、
レースのブラウスを羽織って。
手を下ろしたとき、
袖口と身頃のラインが揃っていてきれい。
気になる二の腕もレースがカバーしてくれます。
「ブラウスには、最近は貴重で
なかなかお目にかかれないリバーレースを使用。
軽くて、脱いでも邪魔になりません。
暑くても清楚な美しさが漂うフォーマルスタイルです」
と岸山さん。
「レースがポイントになるので、
パール無しでも」
なるほど。
華美にならず、静かに美しい。
「レース」ってすごい。
「ノースリーブなので、猛暑の日は、
式以外の移動中などは
1枚で涼しく過ごすことができます」
と岸山さん。
夏の喪服、どんなものをえらべばいいか分からない。
そんな声もよく聞きますが、
このワンピースを持っていれば安心です。
「また、リトルブラックドレスとして、
結婚式など華やかな場所でも着用できます。
アクセサリーなどで変化をつけて」
合わせるもので、
様々なシーンで活躍するワンピース。
一年を通して着られるところもうれしい。
以前販売したレースのプルオーバーを合わせるとこんな風。
ノースリーブワンピース(38サイズ)/SAQUI
レースプルオーバー(38サイズ)/SAQUI
「ノースリーブワンピースと、レースプルオーバー。
その上にノーカラージャケットを合わせれば、
きちんとしたブラックフォーマルの完成」
ノースリーブワンピース(38サイズ)/SAQUI
レースプルオーバー(38サイズ)/SAQUI
ノーカラージャケット(ブラック・38)/SAQUI
「衿ぐりと袖口からちらっと見えるレースがポイントです」
ノースリーブワンピースに、ノーカラージャケットを。
「定番のフォーマルスタイル。ワンピースはミモレ丈なので、普段パンツ派の方もはきやすい丈感です。
これさえあれば、の2点です」
ノースリーブワンピース(38サイズ)/SAQUI
ノーカラージャケット(ブラック・38)/SAQUI
その他 岸山沙代子私物
「ノースリーブワンピースに
最近お気に入りのレースのスニーカーと
革の黒バッグを合わせたシンプルな普段着スタイル。
何気ないけれど、大人っぽくって
気に入っているコーディネートです。
ワンピースはさらっとして涼しく、
家でも洗えるので真夏にもおすすめ」
ノースリーブワンピース(38サイズ)/SAQUI
その他 岸山沙代子私物
アクセサリーやヘアスタイル、
靴、肌を見せる分量など、
コーディネート次第で、
フォーマルからカジュアルまでこなすワンピース。
まさに「一枚持っていると重宝」なアイテムなのです。
最後は、レースブラウスのコーディネート。
レースブラウス(38サイズ)/SAQUI
Tシャツ ¥22,000/SAQUI
スカート ¥83,600/SAQUI
靴 岸山沙代子私物
タフタのスカートと同系色のカットソーを合わせて。
「アイボリーやベージュなど
淡い無地のアイテムと合わせると
レースのモチーフもきれいに見えます」
ブラックのワンピースを合わせた
フォーマルスタイルとは一味違う、
清楚でかわいらしい着こなし。
「透ける肌がアクセサリー」
レースの新しい一面を見た気がします。
最後は、ジャケットに
同素材のテーパードリボンパンツを合わせて。
ノーカラージャケット(ブラック・38サイズ)/SAQUI
テーパードリボンパンツ(ブラック・38)/SAQUI
ブラウス ¥69,300/SAQUI
その他 岸山沙代子私物
全身黒ですが、
リボンブラウスの素材感や、
パンツとヒールの間からのぞく肌の分量が、
全体を重く見せない。
小さなバッグもかわいらしく、
そしてなんといっても洒落て見える。
これはぜひ取り入れてみたいコーディネートです。
エレガント、でも疲れない
- 伊藤
- ワンピースはもう1パターン、
少し華やかなバージョンも
コーディネートしていただきました。
- 平井
- はい。
こっちは中に私物のブラウス──、
これもSAQUIのものを合わせました。
ハイネックの部分を見せたいので
髪を高めにまとめています。
- 伊藤
- かわいい!
同じワンピースとレースの組み合わせなのに、
1つめのコーディネートとは
全然印象が変わりますね。
- 平井
- こちらはあえてアクセサリーとして
パールのネックレスとピアスをつけました。
ワンピースの丈が膝下まであるから、
品よく見えるのがうれしいです。
- 伊藤
- デザイナーの岸山さんに聞いたんですけど、
そう言われる方、多いんですって。
- 平井
- やっぱり。
でも、うしろにスリットが入ってるから
見た目よりもすごく歩きやすいんですよね。
- 伊藤
- 下にタイツを重ねても
窮屈な感じがしないんですよね。
そのあたりが絶妙だなと思います。
- 平井
- ほんと、絶妙ですよねぇ。
SAQUIの服って、
エレガントなのに体に沿って動きやすいし、
ゴワゴワしていないから
着ていても疲れないんですよ。
- 伊藤
- たしかに、疲れないかも。
平井さんが着てるのを見たら、
あらためていいものだなぁと感じました。
- 平井
- もう1つのコーディネートは、
フォーマルなアイテムだけど
普段使いでも着られたらうれしいな、
というバージョンです。
ちょっといいところにお食事へ行くときとか。
- 伊藤
- 素敵!
下のブラウスの色と合いますね。
白も真っ白じゃなくて、
アイボリーなのがとってもいい感じです。
- 平井
- 白系の色は顔が明るく見えますよね。
レースの柄もよく見えて、
かわいさが引き立つ気がします。
- 伊藤
- ブラウスの上のリボンを結ばすに垂らしているのも
すっきりして大人っぽく見えます。
アクセサリーはピアスだけですか。
- 平井
- ワンピースのときと同じ
パールのピアスだけです。
ほんと、このレースブラウスは
それ自体にチャーミングな印象があるので
大げさなアクセサリーをつける必要がないんですよね。
- 伊藤
- ねぇ、本当に。
下のパンツもSAQUIですか。
- 平井
- はい、SAQUIのジョガーパンツ。
これのほかにテーパードリボンパンツを
持ってるんですけど、
ジョガーパンツは愛用しすぎて傷んだので、
これ、2本目なんです。
- 伊藤
- そうそう、SAQUIのパンツファンは
2本目、3本目という人もいます。
平井さんは身長何cmですか?
- 平井
- 161cmです。
今回は3パターンとも同じ靴を合わせていて、
パンプスはヒールが3cmくらいあるかな。
- 伊藤
- この黒いパンプスとバッグがあれば、
もう敵なしですね!
- 平井
- ふふふ。ほんとですね。
ワンピースとブラウスも仲間入りです。
- 伊藤
- 素敵なコーディネート、
すごく参考になりました。
ありがとうございました。
- 平井
- お役に立てたならよかったです。
ありがとうございました!
今の自分に似合う形
- 伊藤
- 平井さん、
SAQUIの服は持っていらっしゃいました?
- 平井
- はい、テーパードリボンパンツが出たときから
長く愛用してます。
- 伊藤
- あの生地はいいですよねぇ。
- 平井
- そうなんですよ。
それで、あのパンツに合わせて
フォーマルで使えるジャケットが欲しいなって
思っていたんです。
1着、20代の頃に買ったものがあるんですけど、
体型も変わって似合わなくなってきて。
- 伊藤
- そういうこと、ありますよね。
どれだけベーシックな服でも、
流行や自分の気持ちも変わりますし。
- 平井
- そう、変わるんです。
年齢ごとに似合う形もあると感じるので、
今の自分に似合うものが欲しいなと思って。
- 伊藤
- 大人になると、
ちゃんとする機会も多くなりますしね。
- 平井
- 年代的に、これから弔事の場面も
増えてくると思うんです。
今までは黒いワンピースさえあれば大丈夫で、
ジャケットが要るなという時は
上からカーディガンを羽織ることで
しのいできたんですけれど、
年齢的にもカチッとしたものが必要だなって。
私、年に1度は伊勢神宮に正式参拝しに行くんですけど、
そのときにもジャケットが必要なんですよ。
そこで「フォーマルファッション」と名のつくものを
いろいろ探して回ったんですけど、
やっぱりSAQUIが一番きれいだなと思いました。
- 伊藤
- いろいろ着回しができますよね。
フォーマルウェアって
突然必要になるものですし、
遠方に持ち運ぶこともあるから、
クローゼットにしまいっぱなしになっても、
バッグに入れて運んでも、
いざ着るという時に
シワになっていないのがうれしいですよね。
- 平井
- ほんと、
それはすごく助かりますよね。
- 伊藤
- 今回は平井さんのコーディネートで
ノースリーブワンピースとレースブラウスを
着ていただきました。
着心地はどうでした?
- 平井
- すごくよかったです!
ワンピースは適度な緩さがあって、
お腹も目立たない形ですよね。
- 伊藤
- しかも、襟ぐりや袖ぐりが開きすぎてないから、
1枚でも着られますよね。
- 平井
- そうそう、
夏場はこれ1枚で
涼しくいられそうだなと思いました。
ノースリーブで腕を見せるのは
もう勇気がいるんですけど(笑)、
上からこのレースブラウスを羽織れば
緊張せずに着られそうです。
- 伊藤
- うんうん、わかります。
ほどよく隠れて安心ですよね。
小物は平井さんのお手持ちのものを
合わせてくださったんですよね。
- 平井
- はい。
ブラウスは、レースが華やかだから
アクセサリーはいらないなと思って
シンプルにしちゃいました。
- 伊藤
- レースがアクセサリーがわりになるんですよね。
シンプルできれいです。
- 平井
- ジャケットの上のところにリボンもついてるので、
ネックレスもいらないなと思って。
- 伊藤
- ほんとだ、それはいいですね!
リップの色は控えめに?
- 平井
- そうですね。
弔事のときにはベージュっぽい色を選びます。
- 伊藤
- さすがです。
そしてバッグは‥‥。
- 平井
- これ、20代の頃に買ったものなんですよ。
出番が少ないからあまり傷まず、
長く使えています。
- 伊藤
- そうなんですね。
シンプルだから、時代も感じないですね。
- 平井
- 今回の服もですけれど、
こういう「正式」な感じがするアイテムは
1つ持っているとすごく便利です。
再入荷のおしらせ
完売しておりましたアイテムの、再入荷のおしらせです。
2月26日(木)午前11時より、以下の商品について、
「weeksdays」にて追加販売をおこないます。
SAQUI
レースプルオーバー
(ブラック)
SAQUIでも人気が高いという、
レースのプルオーバー。
サルティの生地との相性もよく、
今回販売するジャケットと合わせることによって、
お互いが引き立て合う。
ノーアクセサリーでもよいくらいの、
存在感になります。
一枚で着る時はインナーを意識して。
重ねる時は、
襟元や手首にレースをちらりと。
デザイナーの岸山さんとの対談もご参考くださいね。
(伊藤まさこさん)
SAQUI
ノーカラージャケット
テーパードリボンパンツにはじまり、
weeksdaysでは、
ファリエロ・サルティの生地を使った
数々のアイテムを紹介してきましたが、
中でも最近、出番が多いのが、
フォーマルな場面に着るワンピースやジャケット。
ケープワンピースやロングコートジャケットなど、
いくつか揃えていて、
シーンによって使い分けたり、
時には母や娘と共有しています。
今回は、ありそうでじつはなかった、
シンプルなノーカラーのジャケットをご紹介。
同素材のパンツやスカート、ワンピースと合わせると、
フォーマルにはもちろん、
お別れのシーンにも。
そろそろきちんとした一枚を‥‥と思っている方に、
おすすめしたいアイテムです。
レースプルオーバーとの相性もいいので、
この機会にぜひどうぞ。
(伊藤まさこさん)
SAQUI
スリークォーター スリーブ ワンピース
きちんとしていて、品があって。
袖を通すと気持ちが引きしまる、
saquiのフォーマルウェア。
体にしなやかに寄り添う、
フォルムの美しさはsaquiならでは。
襟ぐりの開きや袖丈なども絶妙で、
女の人を美しくやわらかく見せてくれます。
お別れのシーンでは、
パールや黒のストッキングと合わせてひかえめに。
また、組み合わせる小物によって、
華やかにもなる。
岸山さんのスタイリングをぜひ参考にしてみてくださいね。
生地は、
saquiの服ではおなじみの
「Faliero Sarti(ファリエロ サルティ)」のもの。
上質で着心地がよく、
さらにはシワになりにくい。
一枚持っているととても重宝するアイテムです。
(伊藤まさこさん)
SAQUI
テーパードリボンパンツ
(ブラック)
薄手のニットにTシャツ。
冬は、厚手のタートルニットと合わせて。
同素材のプルオーバーと合わせてセットアップに。
‥‥なんて、一年通して大活躍しているパンツです。
ウエストがゴムなので、
はいていて楽なのですが、
きちんとして見える計算されたパターン。
とにかくシルエットがきれいなのです。
コーディネートによって、
カジュアルにも、ちょっとおめかし風にもなるので、
1枚持っているととても重宝。
シワになりにくい素材は、旅のおともにも。
「飛行機や新幹線の移動はかならずこのパンツ」という人は
私をふくめてまわりにたくさん。
(デザイナーの岸山さんもそうらしいですよ。)
旅における「シワ問題」が解決されて、
旅がより楽しくなりました。
(伊藤まさこさん)
迷うことなく
あんなに好きだったヒールの靴を
履く機会もずいぶん減って、
今では2、3足しか持っていない。
えらぶ服も、
着心地がよいものが中心。
50代に入って、
私のワードローブはすっかり変化しました。
でもきちんとした服が着たい。
そう思うシーンは、
年に何度かあって、
そんな時にえらぶのがSAQUIのフォーマルです。
シンプルな中に、
きれいに見えるとか、
きちんとして見えるとか。
そんな気配りが込められている。
それでいて窮屈さがないところもいいんです。
春が近くなってきましたね。
この時期、よく相談を受けます。
「卒業式や入学式に着る服、
どうしたらいいですか?」って。
私は迷うことなく、
SAQUIのフォーマルをお薦めすることにしています。
これさえあれば。
安心な一枚なのですから。
今週のweeksdaysはSAQUIの、
ノースリーブワンピースとレースブラウス。
岸山さんのスタイリングも、
とてもすてきでしたよ。
どうぞおたのしみに。
「いまの日本」的なものづくりを
- 彩
- 私たち、継いでから4、5年経った頃、
すこし暗い気持になったことがあって。
それは国内の籠の行く末が見えてきたからなんです。
そのときは高齢で籠やざるを作る方が
私たちの取組先には多かったので、
毎年のように作れなくなる人が出るという状況で。
今、若い方が作ると竹籠でも
1つ1万円とか2万円とかしてくるんですね。
そうするとほんとに一見で
初めて来たお客様が買えるものがない。
「すごく素敵ですね」といろいろ見て、
「じゃあ」って帰って行くっていうことが
けっこうあって。
- 伊藤
- それは工芸品としての価格ですよね。
- 伴武
- ほんとは実用品なんですけど、そう見てしまう。
- 彩
- そうなんですよ。
- 伴武
- でも彼ら職人もそれは悩んでいる。
- 彩
- 私たちもそれが悩みで、
もう少し気軽に買ってもらえるものがないかなあ、
と探していたので、
このタイの籠はいいんじゃないかって。
初めて来てどんなものがあるか見て、
気軽に「あ、これ1つください」って
喜んで買って行ってくださるものが見つかった。
とても嬉しかったんです。
数も作ってくださいますし。



- 伴武
- 欲しいと思われた方に供給ができるっていうのは、
実用品のお店としてやるべき役割ですよね。
「ないんです」とか「一点物なんです」って言うと
やっぱり寂しい思いをするお客様が多くなってしまう。
日本のものだけに絞ってしまうと
その方向に行ってしまうんです。
妻に関して言うとタイに4年ほど住んでる時代があって。
思春期の頃だよね。
- 彩
- そうなんです。まだ子どもで。
- 伊藤
- それならタイは彩さんにとって
とても馴染みのある国ですね。
- 彩
- はい、だからこのご縁は嬉しくて。
- 伴武
- 僕も一緒に、凄く“親タイ”なんです、私たち。
- 伊藤
- 市川さんたちと、そのタイの方、
すごくいいパートナーなんですね。
- 伴武
- 彼らにもそう思ってもらえるように
私たちもちゃんと注文を続けたいですし、
自分もやっぱりしっかり確認をしたいので、
この間初めてこのカチュー(水草)をつくる皆さんと、
ウォーターヒヤシンスっていう天然素材が
また別で扱いがあるんですけど、
2つの地域をその彼と一緒に行かせていただく
機会をいただいたので、よかったです。
それで現地も確認できましたし、
材料の生えてる様子とかも見られて、
こういう植物をこういう場所でこういう方々が
籠にしてくださっているんだとよく理解できました。
沼地に生息する針状の草がカチュー
天気を見ながら、天日干しします。
乾燥させたカチューをローラーで平らにし、目にもとまらぬ速さで編んでいきます。
- 伊藤
- 現地の皆さんはこれを使ってるんですか。
- 伴武
- 使ってますね。
- 伊藤
- 普通に?
- 伴武
- はい、使ってます。
ただ、今回伊藤さんたちに頼んでいただいたようなものは
日本のマーケット独自のもので、
現地にはこのサイズはなかったりとか、
仕上げ、これは最後、糊だけで仕上げてるわけですけど、
現地ではさらにテッカテカのツヤッツヤの
キラッキラのニスが塗られています。
さらに角に合成皮革がつき、革のベルトがつき、
正面にお花の刺繍が3つぐらい。
- 彩
- あるいはペイントが入ったりとか。
- 伴武
- 「そんなに?」っていうくらい、乗せ乗せです。
逆に言うと彼らは草編みの弱さも知ってるんですよね。
だから中に物を入れたときに沈んじゃわないように、
ガチガチに固めたいわけなんです。
でも日本のお客様に関しては、
そこまで乱暴に使うイメージはなく、
糊だけでも十分だと判断しました。
質感も、元々のナチュラルな色で十分だと。
編んだものは、再度天日干しして完成。
- 伊藤
- いま日本で籠が欲しい人は
このナチュラルさを求めると思います。
- 伴武
- そう思います。今の時代においては、
目に触れて部屋でまぶしいなものよりも、
ちょっとマットな質感のものですよね。
- 伊藤
- 皆さんどうやって使われていますか。
買い足しに来る方とかいらっしゃいますよね。
- 彩
- そうですね。洋服だったり靴下や肌着を入れたり。
マフラーだけ入れるという方もいますね。
- 伴武
- 季節ものを分類して。
- 彩
- ほこりが被らないですし、
密閉していないからゆるやかな通気もあって。
- 伊藤
- 収納用ですね。
リビングに置くのもよさそうですよね。
- 伴武
- そうですね。そういう用途もあって、
うちでは大きい方から売れていくイメージです。
蓋ものって日本で竹行李(たけごうり)があって、
岩手の仕事なんですね。
西に行くと柳行李といい、兵庫県の豊岡で
柳を使った蓋ものの籠がつくられていました。
昔はいくらでもサイズがあったんですが、
これは、その代替品に近いと思って。
「昔こういうのあったでしょ」って
よく私たち言われるんです。
- 伊藤
- わかります。実家にもあります。
- 伴武
- ですよね。残念ながら今の日本では
もうあの行李を作れる方が
ほとんどいらっしゃらないですし。
- 彩
- 伊藤さんはどんな風にお使いなんですか。籠。
- 伊藤
- 今は、気に入った服を入れるものとして、ですね。
全部を自然素材にした方が見た目にもいいなと。
といっても、ふだんは
クローゼットに仕舞っているんですが、
扉を開けたときに気持いいのはこういうものだなぁ、と。
これまでなんとなくバラバラだったものを、
これに統一したら気持ちがいいだろうなとも思って。



- 彩
- 揃えられる価格なのも嬉しいんですよね。
- 伊藤
- そうなんですよ。
- 伴武
- このタイの籠も、ここにあるエストニアの木の籠も、
価格帯としては買いやすい。
だから初めて籠屋さんに来ました、
何かいいもの買って帰りたいっていうときに
「これならうちにあるあれを納めてみよう」って
イメージが湧くんですよね。そこに価格はとても重要で。
価格と使うイメージが一致するというのは、
とてもありがたい籠だなと思うんです。
- 伊藤
- これが籠への入口になるかもしれませんね。
毎日眺めて「やっぱりいいなあ」と、
どんどん広がる感じがしますよ。
- 彩
- けっこう用途も変えられますし。
小さいお子さんがいればオムツを入れたり、
ちょっと大きくなってきたら
おもちゃをしまう籠にして、って。
生活が変わると使い方が変わり、
籠の位置が変わるんです。
それがまたなんか楽しい。
長く使えるものだから、
ご自身のライフステージに合わせて
使い方を考えていただけたらと思います。
- 伊藤
- 何を入れても、
どこで使っても。
- 伴武
- 「何用」ってことはないんです。
訊かれたら例えばこんなふうにとはお伝えしますけれど、
職人さんはこう使わなきゃだめだなんて
絶対おっしゃらないと思います。
ご自身が入れてみたいものを入れてみたらいいと思います。
よくお客様が、うちの店でおっしゃるんです。
籠を迷われてて、僕たちも接客をして
「こんなふうに便利ですよ、いいですよ」
と、背景も含めてご説明したりすると、
最後におっしゃるのは
「いやあ、私そういう生活してないからなぁ」なんですね。
- 伊藤
- そうなんですね。
- 伴武
- 僕は言いたいなと思うのは、
アプローチが逆で、
これが家に来たらそういう感じになりますよ、
ということなんです。
むしろ「私、雑だから」という方にこそ便利ですよ、って。
- 伊藤
- そうですよね。確かに。
ちなみにお手入れはどうすれば?
- 彩
- ほこりが被ってきたら、
から布巾でちょっと払ったり、
軽く濡らして堅く絞った布巾で拭くといいですよ。
- 伴武
- 基本はから拭きで、
よっぽど汚れがついてしまったときだけぬれ布巾で。
水溶性の糊で固めてるんで、
ほんとに堅く絞るっていうのがけっこう大事で。
しょっちゅう水ぶきすると、糊部分が弱くなりますから。
なので水気のあるものは入れないほうがいいですね。
あと使い始めは糊の音がパリパリってします。
お客さん、「え、なんか壊しちゃった?」と
思われるようですが、そこまで気にされなくて
大丈夫です。
- 伊藤
- どこに置いてはいけないとかありますか。
高温多湿の夏はとくに。
- 伴武
- 湿気は下にいくので
下より上に置くことをお勧めしています。
胸のラインより上、というくらいのことですけれど。
- 彩
- 確かにそうですね。
そして手で触っているのが
一番のケアになるんですよね。
ふだんからまめに開け閉めする、とか。
- 伊藤
- ありがとうございました。
籠を使い慣れている方はもちろん、
はじめての方にも届くといいですね。
- 彩
- こちらこそありがとうございます。
- 伴武
- ありがとうございました。
わからないことがあったらなんでも
訊いてくださいね。
60の業者がいまは1軒に
- 伊藤
- ヨーロッパではなくなりかけている籠屋さんが
日本でこうして存在しているのはなぜなんでしょう。
- 彩
- 日本の方ってけっこう目があるというか、
お客さん、あんまり説明がなくとも
ちゃんと選んで買うことができるんですよ。
「馴染みがある」というか。
- 彩
- よく「おばあちゃんちにあった」とか
「母が使っていた」とおっしゃいますね。
- 伊藤
- スーパーの袋が有料化されて、
また籠を持つ機会も増えましたし、
いろいろなお家に籠が増えてきた印象を受けますよ。
- 彩
- 伊藤さんのまわりのかた、そうですか!
嬉しいお話です。
確かにこの間も車に乗せたいっていうので
ちょっと大きめの籠を買われた方がいて。
スーパーの袋は買うけれど、
それをかっこいい籠に入れて車に乗せたい、
とおっしゃっていました。
- 伊藤
- 皆さん、ここを訪れると、思い思いの感じで、
自分の好みに合うものを買われるんですね。
- 彩
- そうですね。わりと目的を持って
いらっしゃいますね、皆さん。
寸法を測って来られる方もいますし。
とてもありがたいです。
寸法は大事ですからね、ほんとに。
- 伊藤
- 確かに!
- 伴武
- 話が戻っちゃいますけど、
日本にはこういう店がまだあるとはいえ、
遅かれ早かれ日本もヨーロッパと
同じ道をたどるのかもしれません。
この店もなくなるところでしたし‥‥。
ご存知ないと思いますが
「籠祖神講」という講のグループがあるんです。
神田明神の裏の籠祖神社に
籠の神様が祀ってあるんですよ。
- 伊藤
- 籠をご商売になさっている皆さんの集まり、
っていうことですか。
- 伴武
- そうなんです。
毎年、11月3日に例祭があって。
ぼくらは籠の業者として参列します。
- 伊藤
- 籠の神様がいらっしゃるんだ。
- 伴武
- 昔はほら、革製品の同業組合で祠を建てたりとか、
業種ごとに、いろいろあったんです。
- 伊藤
- そっか。まさに生活の道具は、
大事にして、祀ったんですもんね。
- 伴武
- 謂れによると祖父母の代から名簿があって、
講には「籠の業者」が60、いわゆる「つづらの業者」が
60、合計120の業者がこの講に所属していたんです。
それが籠のほうは、今は59、いなくなって、
うちの1軒だけになっているんですよ。
- 伊藤
- そうなんですね‥‥。
- 伴武
- ぼくらはただ自分たちの家のことだから
継がなきゃって気持でやっただけなんですけど、
そのあといろんなところに顔を出したり
集まりに行ってご挨拶をしたりして
「えっ? うちだけ?」って。
うちが辞めてたら神田明神の「籠の方」の講はなくなっていた。
危なかったなあって思います。
そう考えると、またやる気が出るというか、
しっかりと踏ん張って頑張らなければいけないな、
っていう思いを新たにしたんです。
- 伊藤
- ほんとですね。
この10年の間に、
いろんな良いものを探して、
お店に仕入れて売ってきたわけですが、
市川さんたちがあたらしい作り手を見つけるのは、
どうなさっているんですか。
さきほどのかたのように、
持ち込んでくださる方はいらっしゃると思いますが。
- 伴武
- これはいろいろですよね。
最初に妻とこの店を継ぐ決意をして、
9月1日に父を廃業にし、
僕が個人事業主を開業して承継したんですが、
そのあとに最初に行ったのが、
弘前と佐渡島、岩手と宮城の問屋さんでした。
隅田川駅が都内随一の物産の集散地で、
車も4号線が弘前まで通っているので、
うちには東北系の物産が集まっていたわけです。
とくに岩手、宮城、福島、
それから関東では栃木、埼玉。
- 彩
- たしかにそのエリアのものが多かったですね。
- 伴武
- それで、特に関係が強かった弘前の問屋さんと、
佐渡島の問屋さん、
そして宮城と岩手の問屋を回ろう、って。
そこでさらにご紹介いただいたり、
教えてくださったりしたら、そこに行って。
もちろん逆に教えてはくださらない場合もあるけれど、
お聞きできる範囲でさぐっていきました。
でも、ぼくらの代に信頼があるわけじゃないですから、
とにかく現金を持っていって、
ちゃんと買わせていただいて。
- 伊藤
- 先方にも、ありがたいことだったでしょうね。
- 伴武
- でも父の代の注文量をみるに、
ほんと商売が小粒過ぎちゃって、
市川商店の名前も、
先方が覚えてるか覚えてないかみたいな感じなんですよ。
挨拶なしで信頼がなければ、
駄物が回って来ちゃうことも考えられて。
ちょっとかびてるものが来たりとか、
形が歪んでるものを回されちゃったりとか‥‥。
だから「やります!」という決意を
夫婦で現金を持っていってかごを買うことで宣言することが、
こういう商売では大事だと思って。
そういうことは誰に教わったわけじゃないんですが、
直観的にわかって。
さいわい、海外赴任中はお金を使わないから
すこし蓄えがあったので、
それを持って買い付け、お支払いをしながらご挨拶して。
そこからちょっとずつ取組先が増えていった、
という感じなんです。
(彩さんに)地道だったよね?
- 彩
- そうですね。
- 伊藤
- ほんとですね。
- 伴武
- 逆に言うと、あんまり簡単に
パッパッと声はかけられない。
お取組みをするとなったら本気でお互いに
一所懸命やらないといけないんです。
同じ熱量で、カチッと組まないと、
どっちかがきつくなってしまう。
だからご紹介いただいた先も、
自分達でちゃんと調べたり、
違う人にセカンドオピニオンを聞いたりしました。
商売でやるってことは、
趣味で1品きれいに作れるより、
ちゃんとしたクオリティで、
リズミカルに量産できて、
定期的に納めることができるかが大事。
その気持をちゃんと
持って取り組んでくれるかどうか、
わかっていないと組めないんです。
- 伊藤
- それが、お互い、いいですよね。
- 伴武
- そう思います。
そういうリズムが一緒に作れたらいいなって。
- 伊藤
- 今回の籠をお願いしたのは‥‥。
- 伴武
- タイですね。
- 伊藤
- 出会いはどんなことからだったんですか。
- 彩
- これは、あちらから、
こういうものがあるんですけどどうですか、
という感じで営業に来てくださったんです。
- 伴武
- 飛び込んで来てくださって。
そういうのって僕らも驚いちゃうんですが、
実物がよければもちろん問題はないわけだから、
実物を見せてくださいとお願いしたら、
ほんとにいい籠だったんですよ。
ああ、こんなに素晴らしい籠を作っていただけるんだ、
しかも手に取りやすい価格で。
- 伊藤
- 作り手の方がいらっしゃったんですか。
それとも問屋の方?
- 伴武
- その方は貿易商の二代目で、
タイと日本を行き来して
タイのよいものを日本に持って来ている方でした。
お父様の代はそれこそセラドン焼きをはじめとしたあらゆるものを輸入なさっていた。
でも息子さんの代になって
籠だけに絞っただそうです。
こういう東南アジアのものって
“検品が命”じゃないですか。
いかにクオリティコントロールがしっかりできるか。
お母さまがタイ人で、お父さまが日本人、
彼はタイ語ができるのでそこは安心なんです。
僕も現地に同行させてもらったときに、
この人がうまく村との連携を取ったり、
検品をきっちりしているんだと、信頼が篤くなって。
丁寧なんですよ、仕事が。
倉庫に行けばごちゃごちゃ、っていうの、
全国で見てますけど、この人はそこもきれいで。
編む草1本の幅が1ミリでも違えば
積み上げていくと数センチの揺れが出て来る。
編む工数は一緒でも仕上がりが変わってきては困る。
もちろん自然素材を扱っている以上、
ある程度はしょうがないんですけど、
それも含めて事前にちゃんと
インフォメーションをくれる人なんですね。
私たちもけっこう籠に関しては厳しいので、
お客様に変なものが行かないと思います。
- 伊藤
- うん、きれいでした。
- 伴武
- よかったです。
籠に精通したセレクトショップへ
- 伊藤
- お二人がここに来て、
店がどんどん変わっていく様子を、
お母さまはどんなふうに見てらしたんですか。
- 伴武
- 母は、もう信じられないっていう感じでした。
つまり、もう終わっていくことは
家族で暗黙の了解で決まっていたので。
父がやめるって言ったら、
もうシャッターを閉めてこの店は終わるんだと。
苦しい思いを父もしていたはずなんです。
兄と私と妹の3人には継ぐとか継がせないとか
店がいいとか悪いとかはいっさい言わず、
俺がやりたいからやったことなんだ、
というよう位置づけでいましたね。
- 伊藤
- でもお二人のおかげで在庫が整理できて、
お店もきっと風通しがよくなって。
- 伴武
- ほんとうに、風通しはずいぶんよくなったんですよ。
なにしろお客様が店内を歩けるようになりました。
あはは。
- 伊藤
- この建物もすごく喜んでいるんじゃないかな。
- 伴武
- そうかもしれないですね。
そういう意味で、母は、
この店がこういうふうにまた
お客さんがお越しくださって、
皆さんが籠専門店なんてっていうふうに
言ってくださるようになるなんて、
思ってもみなかったと思います。
神棚に拝んじゃうって感じじゃないかな。
- 伊藤
- 考えてみればお父さまの時代から、
「籠のセレクトショップ」
だったということですものね。
荒物屋さんでもあったけれど。
- 伴武
- それが現在、
籠に特化したセレクトショップになった、
ということなんでしょうね。
籠に精通した家系によるセレクトショップ。
- 伊藤
- 国内外を問わずっていうのは
最初から決めていたんですか。
- 伴武
- はい、それは自分たちの前職が影響してます。
- 伊藤
- 海外で日本語を教えてらしたという経験が。
- 伴武
- 元々はほんとにそれぞれ自分の担任をもって
10ヶ国の人たち20人、
みたいなクラスで日本語を教えていましたから、
海外の籠の現状はどうなんだろうっていうことは
常に頭にありました。
2014年に私たちが継いで1年後の2015年に
ポーランドで世界籠編み大会っていうのがあったんです。
- 伊藤
- ポーランドで?!
- 伴武
- 父の代から関わりがあったわりと若い職人、
といっても今もう50代になるんですけど、
その職人のFacebookに
主催者からダイレクトメールが来て、
私はこういう大会の主催者で、
あなたの籠がとてもいいから、
ポーランドに来て実演をしてくれないか、
そして2日間で編み上げる大会があるから
それに日本代表で来てほしいというオファーがあって。
彼はパスポートも持ってないし英語もわからないので
僕に相談が来たんです。
僕は「一緒に行きます!」と二つ返事をして、
その職人とポーランド語ができる日本人女性の方と
ポーランドに行きました。
そしたら彼が竹を編む様子がすごいと評判になって、
たいへんな人だかりができちゃった。
その中にフランス人の職人がいて
「彼のを絶対買いたいから取っといてくれ」
「ああ、でもみんな言ってるからちょっとあとでね」
「いやいや、僕は絶対買うんだ!」
としつこい人がいるなあと思ったら、
フランソワさんというフランスの有名な籠職人で、
2日後の表彰式で世界一に輝いてて。
- 伊藤
- へえ!
- 伴武
- 世界一と認められる技術をフランソワさんは持ってるのに、
日本の竹職人のものをとても高く評価してくれて、
すごく嬉しかったです。
- 伊藤
- 素材も違うし作り方も違うけれど、
きっとシンパシーを感じたんでしょうね。
- 伴武
- 違いにびっくりしちゃったみたいです。
ひっくり返っちゃった。
- 彩
- その竹籠を作る方は材料を床に置いて、
全身を使って作るんです。
足で踏みながら体を動かして。
- 伴武
- 本人も回りながら。
ダイナミックですよ。
- 彩
- ヨーロッパの人はだいたい椅子に座って編む。
その違いが目から鱗だったようですね。
- 伴武
- しかも所作がすっごくきれいなんですよ。
作業中も、手帚なんか持ってササササササッて掃いて。
- 彩
- お清めから始めますし。
- 伊藤
- なるほど、かっこよさそうですね。
皆さん夢中で見たことでしょうね。
- 伴武
- そんな彼が竹を踏み始めて、
シャッシャッシャッてきれいなものが
いきなり出来上がるのを見たとき、
彼らは目が丸くなっちゃって。
今でも実は私を含めて3人で交流があって、
10年以上ゆるやかに続いています。
そんなご縁が、籠職人同士であるんですよ。
- 伊藤
- ヨーロッパで籠って、
マルシェでは見かける気がしますが、
市川商店さんのような専門店もあるんでしょうか。
- 伴武
- そこなんですよ。
フランスの方とかドイツの方と会ったとき、
私も気になったので訊いてみたんです。
彼らはどうやって仕事にしてるのか。
そしたら「いや、お店はないです」って。
納めるお店なんか、ロンドンにもパリにもないって。
- 伊藤
- え、そうなんですか。
- 彩
- 皆さんクラフトマーケットを回って
直接販売をしているみたいですね。
- 伊藤
- ああ!
- 彩
- キャンピングカーで移動しながら。
- 伴武
- ドイツの籠祭りに行ったあとにスペインに行って、
スペインのあとはフランスにって、と。
国が陸で繋がっているんで、
1年間のスケジュールをそうやって
回しているそうなんです。
ただ、コロナ禍もあったじゃないですか。
そうすると急に何もできなくなってしまって、
生業としては厳しくなる。
そう考えると日本よりも厳しい状況なんですね。
つまり日本だったらかろうじて私たちがいる。
籠への目線があるお店さんがいて買い取ってくれる。
それがお金になる、っていうのがあるんですけど、
ヨーロッパの人たちは自分たちでインスタグラムを通して
DMを送りあってやっと1個売れるって言うんです。
クラフトマーケットだって雨に降られちゃったら
ゼロで帰って来るみたいなことがある。
けっこう博打的な売り方をしてるんだなってことが
現場で話を聞いて身にしみてわかりました。
だから日本に送ることに興味はありますかって訊くと、
「もちろん、もちろん」みたいな感じで。
良い作り手がいて売るのに困っているなら、
私たちは籠を売るのがが商売なのだから仕入れようと。
でも最初僕らがお店をやってると言っても通じなくて。
そんなお店が成立していることが理解できない。
NPOとかNGOみたいな感じの
手仕事を守る会みたいな感じで、
お金をもらって来てるんでしょって言われて
「あ、いやいや。違うよ!」って。
「ただの個人商店だよ」って言うと
「えーっ?!」みたいな。
- 伊藤
- そうでしたか。お店、ないんですね。
- 伴武
- 「籠を真正面から見つめてくれるお店って、
やっぱりないんだよね」って言ってました。
そういうテイストのお店、
昔はもちろんたくさんあったんだそうです。
日本と同じように問屋がいて、
村で作ったものを問屋さんが集めて、
いろんな都市に売る仕組みがあったと。
でも今はない。
その現状を知って「なんで?」と訊いたら、
「だって大陸って繋がってるじゃん」と。
「そりゃあ東からいっぱい安い商品が流れて来たら、
あっという間に駆逐されたよ」って。
日本もそうですけれど、ヨーロッパも同様に
かなり早いペースでなくなっている。
ブティックで服があって籠もちょっと、
みたいなのはあるんですけどね。
海外赴任から戻って
- 伴武
- ちょっと話がそれちゃいましたね。
うちが角籠が得意でやってきた、
という話でした。
それで、祖父母は、二代目である父親、
ぼくからすると曽祖父に憧れたんですって。
かっこよくて。
- 伊藤
- へえー!
- 伴武
- 二代目は金次郎っていうんですけど、
粋でいなせな江戸っ子のど真ん中を行くような人
だったんですって。
それで祖父母‥‥祖父は次男でしたが家を継いで。
その間に東京大空襲などで3回燃えてます、ウチ。
最初は吉原の大火で。そのあとが関東大震災、
そして東京大空襲があって、
このへんは焼け野原になっちゃって、
バラックからもう1回始めたそうです。
戦争でみんな何もなくなっちゃったんで、
祖父が茶碗籠みたいなのを作って
祖母が市に持ってったらもう飛ぶように売れた、
って手記に残ってました。
高度経済成長も含めて戦後からしばらくが
たぶん一番よい時代だったんだろうと思います。
昭和40年代ぐらいになると
プラスチックと段ボールが出て来て、
もう一気に竹籠産業は終わっていく。
なので祖父母の代から父には
もう継がないでいいよ、というか、
どっちかっていうと「継ぐな」と言ったそうです。
それでも父は継いだ。
で、私たちはどうかというと、兄も含め、
この店がいいとか悪いとか
1回も言われたことがありません。
「継いでほしい」もゼロでしたし、
そういう意味で自分には、
この店に対してプラスもマイナスもありませんでした。
ただ親の仕事っていう感じだったんです。
- 伊藤
- でも暮らしの中では使われてたんですか。
- 伴武
- 今考えればそうですね。
そのときは全く気にしてなかったんですが。
- 伊藤
- 産まれたときからあったら
気にならないですよね。
- 伴武
- 気にならないです。それが普通だったので。
でも今考えたら
「岩手のすず竹のざるがあったな」
「アケビのこういう籠あったな」
「ラタンのこういうの見たことあったな」
なんて思い出すんです。
でもそのときは全然もうなにも思わなかった。
それで父が2014年の9月に亡くなるんですけど、
亡くなるまでは兄弟の誰も継ぐ気がなかったんですよ。
- 伊藤
- それまでは、伴武さん、彩さんは
何をされてたんですか。
- 伴武
- 私も妻も日本語教師です。
外国の人に日本語を教える仕事で、
そのときはベトナムのハノイに一緒に赴任してました。
- 伊藤
- そうだったんですね。
- 伴武
- 私はその前にパラグアイに2年間いたんです。
- 伊藤
- それがどうして
「家を継ごう」ってことになったんですか。
- 伴武
- ベトナム赴任中に兄から
父が危篤という連絡が来たんです。
じゃあ帰らなきゃ、っていうので
プロジェクトを半ばにして会社にお願いして
帰らせてもらいました。
帰国は4年ぶりでした。
でも父はもう病院に入っていて。
- 彩
- なので私たちは、
義父が入院している間に
留守を守る、というくらいの感じで
毎日お店に来ていたんです。
- 伴武
- 僕はベトナムに戻るつもりだったし。
店もすでに半分閉まっていたような状態でしたし。
ただ母もいますし、
取引先の電話は受けないといけない。
元々は週6、開けていたので、
連絡は来るんですよね。
それでとりあえず繋がなきゃって。
たとえばお役所の仕事をいただいてたりしたので、
穴があけられないんですよ。
- 伊藤
- お役所の仕事って、どんなことなんですか。
差し支えなければ。
籠‥‥じゃないですよね?
- 伴武
- ぼくらの商売は「荒物雑貨」なんです。
もともとは「市川籠店」として籠の専門店だった屋号を、
祖父母の代に1回捨てろって言われたんだそうです。
要は籠だけじゃ食っていけないから、
なんでも商いにしないとだめだっていうことで、
名前を市川籠店じゃなくて
市川商店にした方がいいよ、と。
それでいまも公式には市川商店なんですけれど、
親父はそれがすごく嫌だったみたいですが、
結果、市川商店として、
籠以外の荒物全般、なんでもやっていました。
それこそロープもブルーシートも扱って。
- 彩
- いわゆる「荒物屋」ですね。
- 伴武
- そうですね。地域の荒物屋さんですが、
ちょっと籠強め、みたいな感じでしょうか。
父にしてみればそういう
お役所の仕事は大事だったんですよね。
籠はもうほとんど商売にならなくなって、
ぼくら3人の子どもを大学まで行かせたいと思ったら、
鉄道会社の仕事とお役所の仕事が大事で、
父はけっこうそれを受けてたんですよ。
皮肉ですけどプラスチックの籠を頼まれて納めたりとか。
- 彩
- ほうきとか、ちりとりとか。
- 伴武
- 僕、ショックだったんです。
父が入院して繋ぐときに、
「靴墨2つと靴ブラシ2つ持ってきて」
なんて注文が入って、
どうするのって父にメールしたら
「鉄道会社の何々課の何々さんに電話しろ」と。
で、連絡をしてマニュアルトラックを運転して届けました。
ところが「市川商店でーす」って受付に言っても、
誰も相手にしてくれない。
「毎度ありがとね」とかそういうのもない。
「あ、えーと、これどうすれば‥‥」
「そのへんに置いといてください。
え、伝票? あっち回しといて」
みたいな感じなんですよ。
それは寂しいですよ。しかも何十円ですよ、粗利。
でも「ああ、こういう感じで親父はやってたんだ、
こうやって自分たちは育てられたんだ」とわかって。
- 伊藤
- すごいことです。
その時はご夫婦二人で継ぐ覚悟は‥‥?
- 伴武
- いや、まだ、ないですよ。
- 彩
- 病気が治ってまた戻るかもしれないって
いうのもあったので。
- 伴武
- 「親父、大変なことやってたんだね」と
母に言ったりしたのは覚えてます。
そしてぼくらが繋いでる間に、
家に父が戻って来ない可能性が
だんだん高まってきて、
「これどうする」と考え始めたら、
キラッと光る籠がいくつかあって、
「これかっこいいね」と話して。
- 彩
- 在庫の中に、いい籠があったんです。
ぽつんぽつんとこう‥‥。
当時はけっこう外国産のもの、
安価な輸入のざる籠みたいなものも
置いてあったんですが、
その中に「これは?」というものがあって。
- 伴武
- そうこうしているうちに、
病状がどんどん悪化して、
僕が戻った6月から4か月目の9月には亡くなっちゃった。
だからぼくと父がいた時間は3ヶ月しかありませんでした。
しかも父は病院にいたから
仕事のことが話せなかったんです。
取引先の職人がどうのこうのとかっていう
細かい話はもう全く聞けず亡くなってしまい、
お店と在庫と私たちが残ってしまった。
それで、そういうキラッと光る籠があったことと、
代々続いてきた店っていうことがなんとなく符合して、
「まあ、やってみるか」と。
- 彩
- 「もう少しやってみてもいいかもね」
くらいの感覚でしたね。
- 伊藤
- そうだったんですね。
- 伴武
- 気持的なところですけど、
妻の方が籠に目が利くというか、
「ここにはすごくいいものがあると思う」みたいに
言ってくれたんですよ。
ぼくは「あ、そうなんだ」みたいな。
- 伊藤
- 2人とも商売は初めてだったんですね。
- 彩
- 初めてです。はい。
- 伴武
- 教育ってお金に触らなくていい仕事なんです。
とはいえベトナムではプロジェクト進行をしてたので、
多少はお金のことをやってましたけど、
商売のショの字も知らないのはほんとです。
- 伊藤
- それで、最初になさったことは‥‥?
- 彩
- 在庫というか物が多かったので、
その整理です。
フリーマーケットに行って
2人で徹底的に在庫を売りました。
- 伴武
- 物があふれてましたよ。
フリマは10回以上出たかな。
- 彩
- それがけっこう面白かったんです。
- 伴武
- だいたい店の半分くらいの容積を在庫が占めていて、
誰も入れないくらいのエリアもあり、
何があるかもわからない、そんな状態だったんですよ。
2階に同じ間取りがあるんですが、
階段上ってすぐ鉄壁のように段ボールが積まれてて、
母は30年間2階の壁を見たことなかったっていうんです。
- 彩
- そのくらい、在庫が多くて。
- 伴武
- どこに何があるかも、わからないんですよ。
段ボールを1個ずつ開けて
「何が入ってんのかな」って。
- 伊藤
- そこにも、キラッと光るいいものが?
- 伴武
- はい、たとえば青森の弘前の籠や
大分の白竹の細工が
ごろっと眠ってたりとか。
かと思えばもう虫だらけの籠が
カートンでそのまま残ってたり。
- 伊藤
- さすがにもう捨てるしかないものも
あったでしょうね。
- 伴武
- 捨てるしかないんですが、
1箱全滅かどうかも確かめて、
虫が食ってないものがあったら
きれいにしてフリマに持って行きました。
あの10回のフリマ、とても思い出深いです。
- 彩
- けっこう皆さん喜んで、
ちゃんといいものを掘り出してくださって。
- 伴武
- 営業トークの勉強にもなったし。
- 彩
- おおぜいの出展者がいて、
たくさんのお客さまがいらっしゃる中、
どうやったらうちの店に
振り向いてもらえるかっていうのを
考えながらやっていましたね。
- 伴武
- 必要に迫られて、
商売の原点みたいなことを、
2人で一所懸命やってたんです。
- 伊藤
- それが2014年後半からの出来事。
今の形になるまでに
数年はかかったということですね。
- 伴武
- 「ほぼ日」のみなさんとご縁ができたのが2016年で、
あのときはまだ1割ぐらいしか
自分たちの中ではできていませんでした。
在庫を処分していくなかで、
「これはもう売れないけれど
市川商店の歴史として大事だから
展示物として残しておこう」とか、
だんだん住み分けができていって、
店の手の届かない上の段にはそういう展示物を置く、
いまのようなスタイルになっていく途中でした。
いいものの中には、うちでつくった古い籠もあれば、
高島屋さんの催事の一番いい写真で出た椅子だとか、
大井競馬場の馬が草を食べる飼い葉籠や、
うなぎを獲る仕掛け
(うなぎ筒(うなぎどう)。鰻筌[=うなぎうけ]あるいは筒[=ず]とも)とか、
いろんな地域のいろんな用途のものがあって。
あるいは道具街の合羽橋に
竹製品の専門店さんがあったんですけど、
そこがおやめになるっていうときに電話がかかって来て、
「廃品回収業者に全部出して
捨てられちゃうぐらいだったら、
あんたらならいいものだってわかるだろうし、
少しでも現金で買ってってくれないか」と言われて、
九州の仕出し籠を買わせてもらったりもしました。
- 伊藤
- すごいですね。
みんなの家に籠があった時代
- 伊藤
- 市川さん、こんにちは。
みなさんのことは「ほぼ日」でも
幾度か紹介しているのですけれど、
初めて、という方もいらっしゃると思いますので、
お店の成り立ちからお伺いしてもいいでしょうか。
- 伴武
- ありがとうございます。
どこからお話ししたらいいかな。
- 伊藤
- 創業は明治期だとおききしました。
伴武さんで五代目?
- 伴武
- そうなんですよ。
初代の房吉という人が
足立区の舎人っていう場所で、
豆腐屋の裏でざるを編んでいた、
っていうのがはじまりらしいんです。
そしてここ荒川区南千住に移ったんですが、
その理由は、このあたりには隅田川駅っていう
貨物の駅があって、東京の貨物の終着駅なんです。
つまりこのあたりは昔から
北関東や東北から届く物流の基点で、
まわりにはマーケットができていた。
そうすると、運搬のための籠は必要になるわけで、
それをつくって販売することで
商売が成り立っていたんだと思うんです。
- 伊藤
- なるほど、それは必要とされますね。
- 伴武
- 三代目の祖父母が手記を書いているんですが、
祖父の父、ぼくにとっての曾祖父が、
角籠特号っていう一番大きい、
人が持てるたぶん最大の大きさの籠をつくるのが
得意だったみたいです。
すごく造りがよかったみたいで、
段ボールやプラケースがない時代、
重宝されたでしょうね。
だから今も「なんでも入れておける籠」は
私たち市川籠店が得意とするところなんです。
- 伊藤
- 最初はお豆腐のザルだったということですが、
いまの市川商店になるきっかけはその籠だったんですね。
- 伴武
- そうですね。なので私たちのロゴも角籠なんです。
それこそ二代目の曾祖父のときは
近県から小僧といって若い衆たちが学びに
関東近県から来ていたそうですよ。
- 伊藤
- それが何年ぐらい前の話なんですか。
- 伴武
- 明治後期かな。
小僧さんが学びに来るくらいだから
どの家でも需要として必要だったんでしょうね。
- 伊藤
- 誰の家にもある、みたいな感じだったんでしょうね。
- 彩
- そういうことだと思います。
小さいものだと自転車の後ろに乗せていたような
自転車籠、あの形ですね。
- 伴武
- 洗濯屋籠とか、酒屋さんが後ろにつけて
お醤油とか酒瓶を運ぶ大きさのものとか。
うちが角籠に力を入れてるっていうのが
なんとなくわかるみたいで、
そしたら一昨年ぐらいに、
角籠しか作らないっていう職人がいきなり現れて
「見てください」と。
- 伊藤
- それはおいくつぐらいの方なんですか。
- 伴武
- あの人は年齢不詳だね。
- 彩
- 不詳ですけど20〜30代だと思います。
- 伊藤
- どこで作られてるんですか。
- 伴武
- もともと東京の人なんですけど、
角籠だけで勝負しますっておっしゃって、
うちが元々角籠屋だよということで、
「だからここに納めたかったんです」。
- 伊藤
- えーっ。嬉しいですね。
- 彩
- お客さんとして最初来られたんですが、
声をかけたらそんな話になって、
いまはお取引きがあるんですよ。
- 伴武
- ちょうど、さっき新作が届いたんです。
まるで運命のように。
- 彩
- これは小さい、現代サイズですけど。
- 伊藤
- まだ青々としてる!
- 伴武
- もう、この人、すっごく上手で。
- 伊藤
- ツヤツヤですね。
- 彩
- ツヤツヤです。
- 伴武
- これ関東式なんですが、
だんだん作られなくなっているんです。
彼は今、竹のいい産地である
佐渡に移住して製作をしています。
- 伊藤
- ツルツルしてますね。
- 伴武
- はい、ツヤツヤしてます。
角籠を作れる方はまだ何人か
日本にいらっしゃるんですけど、
角籠だけ作りますっていうのは珍しいです。
- 伊藤
- しかも若い方が。よかったですね。
- 伴武
- 嬉しいです。
- 彩
- はい。嬉しいです。
- 伴武
- そうやって「見てください。どうですか」と
来てくれる人がいても、
最初は、私たちはそういう立場じゃないと
思ってたんです。でも、
10年以上こればっかりやってると、
その籠がいいかどうか、だんだんわかってきて。
今はそういう人たちが来てくれると嬉しいです。
- 伊藤
- 何気なく、デザインの要素も入っていて、いいですね。
これも色が変化してアメ色になっていく。
- 彩
- なりますね。
- 伴武
- なりますね。
彼も、うちにある古い籠を見て、
「あぁ、こうなってたんだ、市川籠店の籠は!」
って研究していました。
- 伊藤
- 角を作るのが得意な人と
丸を作るのが得意な人がいますよね。
- 彩
- 角はこの大きさになると、
曲げるのに、すごく力がいるみたいで。
- 伴武
- 火を使わないといけないんですね。
まっすぐな竹を曲げるには熱が要る。
角籠はその道具がある程度揃っていないとできないんです。
丸は腕力である程度作れるんですよ。
それでも難しいんですけどね。
この人のはちょっと惚れ惚れする。
私たちも度肝を抜かれました。
食材を買いに
先週は大阪と岡山、
今週は三重と軽井沢。
ここ最近、あちこち行ったから、
家でゆっくり料理できなかったな。
買いものに行く時間もままならなくて、
ならば、と冷蔵庫と冷凍庫、
乾物や缶詰などのストック食材を使って乗り切ることに。
年末年始でいただきものも多かったから、
食材はたくさんあるものの、
なにをどう組み合わせるかはセンスの見せどころ。
ありあわせだけれど、
そうは見せたくないものね。
たとえばある日の晩ごはんは、
発酵白菜と冷凍しておいた豚バラの鍋と、
きくらげの和えもの。
またある日の朝食は、
干し貝柱と干し海老でお粥。
5センチ残っていた大根は浅漬けに。
たくさんあったお餅も、
小さく切って雑炊に入れたりして。
食材を使い切って、
冷蔵庫も冷凍庫もすっきり。
棚板を拭いて、気持ちもすっきりしたのでした。
この週末は久しぶりに家でのんびり料理ができるから、
張り切って食材の買い出しに行こう。
週末だけのマーケット、
今日はどんなものが出るのかしらね。
今週のweeksdaysは、
タイで作られたかごをご紹介します。
買いものかごの他に2種類。
かご好きにはたまらないラインナップでお届けします。
再入荷のおしらせ
完売しておりましたアイテムの、再入荷のおしらせです。
2月19日(木)午前11時より、以下の商品について、
「weeksdays」にて追加販売をおこないます。
t.yamai paris
アンティークジョーゼット
ドルマンジャケット
やわらかな素材なので、
ジャケットでありながら、
カーディガンのような感覚で着ることもできる。
かちっとしたジャケットはちょっと‥‥と
苦手意識を持っている方でも、
取り入れやすいのではないかなと思います。
前ボタンがひとつなので、
シャツと合わせてもすっきり。
シンプルな分、
ネックレスやスカーフ、ボウブラウスなど、
首回りに華やかさをプラスしても。
同素材のパンツとの相性も抜群。
セットアップで持っていたいアイテムです。
(伊藤まさこさん)
t.yamai paris
アンティークジョーゼット
ワイドパンツ
一口に「黒のパンツ」といっても、
その年の気分で、
穿きたい黒のパンツは違います。
今年はなんと言っても、
ちょっとたっぷり目、そして丈も長めがいい。
いつもと同じトップスを合わせたとしても、
新鮮な表情になるんです。
t.yamai parisの
アンティークジョーゼットワイドパンツは、
穿くとやわらかく、やさしい雰囲気に。
ウェストはゴムなので、
着心地もいい。
着ている自分にとっても、
「やさしい」パンツなのです。
シャツ、ニット、同素材のジャケット‥‥と
コーディネートの幅を広げてくれるアイテムですよ。
(伊藤まさこさん)


