ずっと決まった枕がなかった、
という伊藤まさこさんが出会った
マニフレックスの「フラットピッコロ」。
小さくて、平らで、寝た時に首がのびる、
独自の高反発素材を使った枕です。
これをつくっているのが、イタリアの
「マニフレックス」(Magniflex)というメーカー。
東京・青山にあるショールームに伺い、
マニフレックスのこと、
この枕のことを取材してきました。
お話しくださったのは、マニフレックスの社員である
矢崎 理(やざき・おさむ)さんと
川田 雛(かわだ・すう)さんです。

モデル/商品写真=有賀 傑
取材写真=畑唯菜(weeksdays)

マニフレックスのこと

Magniflex マニフレックス

マニフレックスは、1962年に
フィレンツェで創業した寝具ブランド。
現在、世界の100か国に展開、
世界最大級の寝具の総合ブランド。
金属スプリングやプラスチック部品を使わず、
高反発フォームを使ったマットレスがメイン商品。
オール・メイド・イン・イタリー、
自社工場で一元管理をしている。
国立フィレンツェ大学とともに行なっている
人間工学に関する共同研究を商品開発に反映。
今では1日1万台以上、
年間でおよそ400万台のマットレスを販売、
世界で100カ国に輸出しており、
取り扱いが30年を超えた日本は
世界でのシェア2位なのだそう。
大きなマットレスを圧縮してくるくる巻き、
円筒ロール状で配達される。

■公式サイト

01
「マニさん」がはじめたマットレスの会社

伊藤
こんにちは。今日はよろしくおねがいします。
マニフレックス
こちらこそよろしくお願いします。
伊藤さんとお付き合いが始まったのは──。
伊藤
「weeksdays」でベッドフレームを作ったときですよね。
そのときはフレームのみの販売でしたが、
もともと私はマニフレックスのマットレスを
20年くらい使っていたので、
みなさん興味がおありかもしれないと、
クレジットを掲載させてください、
という連絡をさしあげたんですよね。
マニフレックス
そうですよね。
フラッグ・FX」を使ってくださっていると。
そういうありがたいご縁がありました。
伊藤さんに使っていただけたらいいのになって、
ずっと社内の話題になっていたんです。
伊藤
そしてきょうは、
「weeksdays」を読んでくださっているかたに
マニフレックスがどんなブランドなのかを
お伝えしたくて、取材にうかがいました。
マニフレックス
ありがとうございます。
そもそもマニフレックスは、
「マニさん」っていう人が創業したんです。
元イタリアの自転車ロードレーサーである、
ジュリアーノ・マニ(Giuliano Magni)さん。
伊藤
マニさん。そうだったんですね。
マニフレックス
今は亡くなって、代替わりしていますけれど、
現在も3人の息子さんが舵取りをしている
イタリア的なファミリー企業なんですよ。
大手資本ではなく、自分たちで運営をしています。
伊藤
そうだったんですね。ちょっと意外かも。
マニフレックス
日本では1990年代から輸入販売が始まりました。
伊藤
わたしがマニフレックスを体験したのは
たぶん、軽井沢の万平ホテルだと思うんです。
以前から好きなホテルで、
軽井沢の家をつくる前から、
よく宿泊していたんですよ。
マニフレックス
そうでしたか。
リニューアルで閉じられる前まで、
うちのマットレスを使ってくださっていました。
きっと伊藤さんも万平ホテルのお部屋で
知らず知らずこの寝心地を
体験なさっておられたんですね。
伊藤
そうかもしれないですね。
マニフレックスかどうか、確かめないままでしたが、
「寝心地に違和感がない」
という印象で宿泊をしていました。
寝るときって、違和感があると
ほんとうに大変じゃないですか。
海外でも、都市での宿泊には
アパートを借りることが多いんですが、
ちゃんとしたホテルに比べて、
枕がつらいな、と感じるんです。
それでフランスに仕事で行ったとき、
この枕を持っていったんですよ。
マニフレックス
ありがとうございます。
機内持ち込みにして、
移動中に使うかたもいらっしゃるんですよ。
広げてよし、まるめたままでも
クッション代わりになるので。
伊藤
たしかに、これぐらいなら大丈夫ですよね。
帰路は割れ物を包むクッションにもなりました。
マニフレックス
なるほど!
伊藤
旅先だけじゃなく、
軽井沢の家でも使っています。
枕に関してはこれまでもいろいろ試してきたんですが、
高さが合わなかったり、
「こういうふうに寝てください」というような
マニュアルが自分にピンとこなかったり、
なかなか気に入ったものに巡り合えずにいたんです。
でもこの枕は──、なぜでしょうね。
何がよかったのか、うまく説明ができなくって。
お客様は、どんな方が、
この枕がしっくりくるとおっしゃいますか。
マニフレックス
大きく厚い枕が苦手な方、
枕をあまり使わないでお休みになる方、
使ってもタオルを重ねる程度とか、
そういう方が、
これがしっくりくるとおっしゃいますね。
伊藤
ところで、マニフレックスがどういうメーカーなのか、
あらためて教えていただけますか。
マニフレックス
はい。マニフレックスは、
フィレンツェで創業して63年のマットレスメーカーです。
金属スプリングやプラスチック部品を使わず、
高反発フォームを使った
マットレスがメイン商品なんですよ。
オール・メイド・イン・イタリーで、
自社工場で一元管理をしています。
今では1日1万台以上、
年間でおよそ400万台のマットレスを販売していて、
世界で100カ国に輸出しています。
日本では取り扱いが30年を超えたのですが、
いま、世界でのシェアは2位なんです。
伊藤
そんなに! 
すごいことですね。
マニフレックス
伊藤さんのところにお届けしたとき、
意外なほどコンパクトなパッケージに
驚かれませんでしたか。
伊藤
はい、あの厚いマットレスをどうやって、
と思うくらいコンパクトに、
くるくるっと巻いた状態で届きました。
開封すると大きくなるんですよね。
マニフレックス
そうなんです。これ「真空ロール」と呼んでいます。
自社工場で一元管理をしているゆえ
できることなんですよ。
だから高品質の商品を
良心的な値段で世界中に展開できています。
他の海外メーカーでは、アメリカのブランドでも
じっさいはアジアの国でつくっていたりしますし、
もちろんそういう商品が悪いというわけではないですけど、
マニフレックスの強みは、
自分たちの目の前でできたものが
コンパクトな姿で世界中に流通していく安心感と、
クオリティに対して無駄がないというところですね。
ちなみに本社工場内には研究施設があって、
人間工学や睡眠の脳波、
脳の休み方みたいなこととか、
いろいろそういうことを研究しながら
製品の開発に反映させています。
国立のフィレンツェ大学をはじめ、
イタリア国内各地の機関、スペインの大学とも
共同研究をしたりしています。
伊藤
マニフレックスの日本の代表の方は、
どんな経緯で日本法人を立ち上げられたんですか。
マニフレックス
うちの代表は、山根崇裕(やまね たかひろ)といい、
もともとはナイキジャパンを日本で立ち上げ、
アディダスでも役員を務めていたことがある、
スポーツ畑の人間なんです。
もともと創業者のマニさんが
自転車で有名な選手だったこともあり、
ヨーロッパでスポーツレジェンドたちが集まる場があって、
そこに代表も出席していたんだそうです。
そこで紹介をされて、
自宅でマニフレックスのマットレスを使ってみたら、
これはすごい! と連絡を取って、
これまでの仕事を精算して
マニフレックスを日本に輸入して販売する会社を
自分で立ち上げたんです。
伊藤
すごいですね。
それが30年ほど前ということは、
日本ではだいぶベッドが主流になってきていましたけれど、
マットレスの質の大切さまでは、
なかなか考えが及ばなかった頃だと思います。
マニフレックス
そうですね。ようやくちょっとずつ、
みたいなタイミングだったんだと思います。
先見の明という意味では、
創業者のマニさんの思いとして
環境に配慮したものじゃなければいけない、
ということがあって。
伊藤
それ60年前から?!
マニフレックス
はい。
伊藤
それ、すごいですね。
マニフレックス
すごいですね。われわれもほんとに
ありがたい限りです。
60年前にマニさんが始められたときの思いを、
日本の代表が引き継いで、
「あなたと地球の健康を
マットレスで取り戻そうと思います」
ということで始めたんです。
当時はちょっと少しイデオロギーというか、
思想的なところで自然原理主義的な運動をしている、
と思う人もいたようで、どちらかというと
損することもあったみたいですけど、
いまようやく世の中的に
こういうことが当たり前というか、
恥ずかしくないというか、
どこ行っても自然な考えとして受け取られるようになって。
伊藤
でも曲げなかった?
マニフレックス
曲げずに、ぶれずに、
思いを発信し続けてきました。
おかげさまでといいますか、
ショールームにお越しいただく方の
6割以上がリピーターなんです。
ふつうは1割程度だと言われているので、
そんなに消耗するものではないのに、
ありがたいことです。
ご家族とか友人も含めて、
「薦められたから」と来てくださるかたも多いんですよ。
伊藤
わたしも、訊かれることが多いんです。
「マットレス、どのメーカーのものを使ってるの?」って。
マニフレックス
わりとそういう会話になることが多いらしくて、
リアルなお客様同士の口コミで
来ていただく方がいちばん多いかもしれません。
伊藤
それ、すごいことですね。
マニフレックス
ありがたいです。
それは製品品質があってこそだと思うんです。
低反発がすごい、と言われていた時代に、
マニフレックスは高反発を謳った。
当時から、うちの代表は、
高反発とは、硬いんじゃなくて、
ちゃんとフィットしてくれるものだと
言い続けてきました。
しっかり身体を支えてくれ、耐久性もあるのだと。
素材も金属のスプリングや
プラスチックファイバーを使わず、
「エリオセル®」っていう
特殊な硬い発泡ウレタンフォームを
芯材に使っています。
水をたくさん使って発泡させるという
特殊な技術を本国で行なっているので、
作るときにも害が出なかったり、
廃棄して燃やしても有毒ガスが出ないんです。
これは第三者機関で調べてもらって、
非常に高い水準でクリアしており、
エコテックススタンダード100
(OEKO-TEX®Standard100)」の
クラスⅠって一番厳しい基準と
「ステップ(OEKO-TEX®STeP)」をクリアしています。
それは芯材だけじゃなくて、
使われる側地(がわじ)を含めて、すべてにおいてです。
もちろん工場においても、
働く方の環境とか、
自然に対する排水や排気、排ガスの配慮、
ソーラーパネルを何%以上使っているとか、
徹底してやってます。
すごく先進的に意識高くというよりも、
そもそもヨーロッパの基準が非常に厳しいので、
当たり前に求められるっていうのもありますし、
その中でここをしっかり武器として
押し出したいと考え、
更にもう一つ上の水準を意識して取り組んでいます。
伊藤
なるほど。
(つづきます)
2026-02-02-MON