あのくまのテンプレートは、
手帳ユーザーの小泉さんと
いっしょに作りました。
2010.02.11
ほぼにちわ、です。

ほぼ日ストアで「ほぼ日手帳」をご購入いただくと
もれなくついてくる「ほぼ日ストア特典」に
ことし、新しく登場した
「ほぼ日のテンプレート(OHTO)」。
この1枚で、イラストやマークをきれいに手書きできる、
ちいさなすぐれものです。



「これが欲しくて、ほぼ日ストアで注文しました!」
という声も多く寄せられている、大人気アイテムになった
このくまのテンプレートは、
じつは、ひとりの「ほぼ日」読者から届いた
1通のメールから生まれたものなんです。

本日の手帳CLUBでは、そのメールの主であり、
このテンプレートのデザインを担当した
小泉秀一郎さんに、ご登場いただきました。
まずは、小泉さんと「ほぼ日」をつないだ、
ひとつの「椅子」の話から。

この偶然に感謝して。

ーー さかのぼると、小泉さんが
postman@1101.com宛にメールをくださったのが
昨年の1月のことでしたね。



小泉 そうでした。
「ほぼ日」を知って3年目くらいのときで。
ーー 「毎日読んでいます」、そして、
『ただいま制作中!』のページには、
 時折、ぼくの子どもが登場します」って。
小泉 はい(笑)。
そもそも、ぼくが「ほぼ日」を知ったのは、
知人から、「ほぼ日」のオフィスで
ぼくのデザインしたスツールが使われてるよ、って
教えてもらったことがきっかけだったんです。


▲小泉さんデザインの木製スツール「ZUMI STOOL」。

このスツールは、
大学時代の卒業制作が商品化されたものなんですが、
「ただいま製作中!」にアップされた写真の隅っこに、
そいつがちゃっかり写り込んでいるのを見つけると
自分の子どもが写ってるようで、すっごくうれしくて。


▲こんなぐあいに、写っていることがあります。

それで、毎日のように
「ほぼ日」を見るようになったんです。
じぶんの作品を使ってもらっていることも
もちろんうれしかったんですが、
「今日のダーリン」や
「ほぼ日」から発信されるいろんな情報に
日々刺激や影響を受けるようになって、
このサイトに出合えてほんとによかった、
この偶然に感謝して、いつかこの気持ちを
伝えたいと思っていました。

その「ありがとうございます」のメッセージを
自分なりの方法で伝えられないかな、
なにかぼくにできることはないかな、と
漠然と考えていたときに、
ふと思いついたアイディアが、
「ほぼ日手帳」といっしょに使う
テンプレートだったんです。
それを図に起こして、メールに添付して送ったんですね。
ーー はい、乗組員みんなで拝見しました。
ちょうど手帳チームでも、
テンプレートは以前から模索していて、
文具担当のから、
いちどお会いしてお話を、って
返信をさしあげたんでしたね。
スギエ これも偶然なんですが、そのスツールは、
社内の腰掛け用の椅子を探していたときに
わたし自身かなり気に入って選んだものだったので
すごく印象に残っていたんです。
その椅子を作ったかたからメールをいただいて、
しかも、ずっと考えていたテンプレートのご提案で、
ちょっと運命的なものを感じましたね(笑)。

書くことがたのしくなる「なにか」。

ーー 小泉さんは、以前から「ほぼ日手帳」を
使ってくださっていたんですね。
小泉 はい。2006年の春から使いはじめて、
今年で5年目になります。
ぼく、その前にも手帳はいろいろ試していて、
でも、どれも長続きしていなかったんですよ。
こんなに続いている手帳ははじめてなんです。
ーー それは、どんなところがよかったんでしょう?
小泉 ページの下に書いてあることば、
なにより、あれを読むのがたのしくて。
ーー あぁ、はい!



小泉 で、読むのはすごく好きなんですけど
書くほうは、けっこうムラがあるんです。
書く日と書かない日があって。
でも、ほんとはもっと
コンスタントに書けるといいなって、
じぶんでも思ってるんですね。

それで、なにか書くときにたのしい要素があったら、
もっと書けるんじゃないかな、って考えて、
それでテンプレートを思いついたんです。
ーー まさに、いちユーザーとして、
こんな道具があれば「もっとたのしい」、と。
小泉 そう。たとえば予定を書くときに、
線をうまく引ける道具があるといいな、とか、
矢印や吹き出しがあったらいいよな、って。
ーー ユーザーのみなさんの使いかたを見ても、
毎日の天気を書きとめていたり、
アイコンのスタンプを押していたりして、
そんなときに使える
テンプレートがあるといいよね、って
手帳チームのなかでも
前から話していたんですよね。
スギエ そうなんです。
まず、市販のものでいいのがないかと
探すところからはじめていたんですが、
結局、「ほぼ日手帳」にぴったりのものは
見つからなかったんですね。
それで、オリジナルで作ることを
考えはじめていたときに
小泉さんからメールをもらって、
一気に具体化することができました。
ーー ちなみに、小泉さんは設計事務所にお勤めで、
お仕事のなかでテンプレートを
使われていたりもするんですか?
小泉 いえ、ふだんは集合住宅の設計の仕事で、
図面を描いたりしていますが、
いまはパソコン、CADというのを使って描くので
テンプレートは使うことはありません。
ーー いまは、椅子のデザインのお仕事ではないんですね。
小泉 大学を卒業したあと、あのスツールがきっかけで、
家具を扱う会社に入社したんですが、
もともと、父のやっている設計事務所で
建築の仕事をするつもりだったので、
転職して、いま4年目です。
ーー なるほど。
小泉 椅子とか、家具をつくるのも好きなんですが、
いい家具があっても、
それが置かれる空間が、すごく大事で。
そういう空間ごと作れる人になりたいと思って
建築の勉強をしなおしているんです。

ただ、いざはじめるとなかなか難しくて
心が折れそうになったりして(笑)。
図面を描くというのは、
根気だったり忍耐が必要な作業という面もあって、
たまにデザインとか、クリエイティブなことを
やりたいなという気持ちもあるんです。
ーー じゃあ、今回のテンプレートのデザインは‥‥



小泉 めちゃめちゃたのしかったです!
ーー テンプレートのために作られた
たくさんの図案を見ると、ほんとにたのしんで
考えてくださっていたのがよくわかります。
この形になるまでの、変遷も含めて
ちょっと見ていきましょうか。

「えっ、くま?」

ーー これ、いちばん最初のものですね。



小泉 そうですね。
最初はカード型のテンプレートを考えていました。
この後、2回めの打ち合わせにうかがったときに
「OHTO」というテーマをもらって
‥‥ちょっと衝撃を受けて(笑)。



ーー テンプレートでありながら、
「OHTO」のくまをメインにして、
名前を書けるようにしたい、と。
小泉 そう、くまと、名前。
ここにじぶんの名前を書くことで、
手帳がより「じぶんだけのもの」と感じられるように、
ということで、なるほどー、と思いました。

たしかに、手帳を開いたときに、
くまが「ハロー!」という感じであらわれて、
名前を呼んでるみたいになったら
ちょっとうれしいかもな、と思って、
そこからは、OHTOのくまと、名前を書くスペースと、
図形を書く部分という、3つの要素を、
どう自然にまとめるかというのが
デザイン面でのポイントになったんです。
ーー カバーのポケットのサイズにあわせて、
いろいろと調整も重ねて。
小泉 はい。オリジナルでもカズンでも、
いちばん下のポケットにいれると
名前の部分が出るようになっています。

上のほうのポケットに入れるときは、
浅くさせば名前も出るし、
深くさせば、名前は隠れて
くまの頭だけチョロッと見える。




ーー 隠れていたくまが、ひょこっと
のぞいてるみたいでかわいいですね。

ところで、小泉さんの名前が書いてあるこれは?



小泉 これは、ラベルライタの透明テープに印字したものです。
名前を手書きするのが
苦手な人もいるんじゃないかなと思ったので、
ダイモやTEPRAなどの9ミリ幅テープを貼れるように
名前のスペースは9ミリ幅にしてあります。

完全に「ほぼ日手帳」仕様です。

ーー では、テンプレートの図形についても
すこし説明していただけますか。



小泉 ◯や□、△や☆などは、
ふだん何気なく書く機会の多い記号を選びました。
ーー □は、手帳の方眼にあわせて書くと
チェックボックスと同じ大きさになるんですよね。
TO DOリスト のボックスの数を増やすときに便利そう。
小泉 そうですね。
それから矢印は、パソコンのカーソルがモチーフで、
あと、喜怒哀楽の表情を書ける顔のマーク。
ーー まず、◯を書いて、それにあわせて
顔の表情を入れていくというのも、おもしろいですね。
スギエ あの、ひとつお伝えしておきたいことが。
顔のマークの真ん中の図形は、
涙のしずくが円に重なってしまってますが、
これは、わざとなんです。
ーー 失敗してるわけじゃなくて、ですね(笑)。
小泉 そうなんです。
テンプレートって、ペンの芯の太さの分、
抜き型より内側に線がひかれることになって、
逆にいうと、型は仕上がりの絵より、
すこし大きく抜いておかないといけないんです。
ーー ええ、たしかに。
あと、お天気のマークは、
実際に手帳にメモしているかたが多くて
ぜひ入れたかったマークですよね。
これは、小泉さんの試し書きですか?



小泉 そうです。
もっときれいに書いておけばよかった(笑)。
ーー いえいえ、こんなふうに、晴れのち曇りとか、
組合わせて書くのもたのしそうだなぁと思って。
小泉 あと、2本の横線は時間軸のラインで、
●タイプと▲タイプと2種類用意しました。



たとえば、「予定」と「実際」とか、
「仕事」と「プライベート」を分けて書くとか、
思い思いに使い分けてもらえるといいな、と思ってます。

スギエ 図形をどうするか以外にも、書き味を検証したり、
おまけのボールペンや一般的なシャープペンシルとの
相性なども検証して、こまかく調整してるんですよ。



小泉 使うペンの太さによって、
書いたときの図形の大きさが変わるので、
市販のテンプレートなんかだと、
使うペンの太さが指定されてたりするんです。
でもこれは、精密であることよりも、
ある程度いろんなペンで書かれることが前提。
おすすめなのは、0.5ミリの
ボールペンとシャープペンシル。
0.7ミリもだいじょうぶですが、
細いほうがきれいに書けます。

書くときの、ちょっとしたコツ。

スギエ 書くときのなめらかさや、ペン運びといった
書き心地の面も、たくさん試し書きをして、
だいぶ検証しましたよね。
小泉 図形の抜き型のエッジがギザギザしていたら、
ペンがピン、って持っていかれちゃうんで
できるだけなめらかな曲線になるように
微調整しました。
ーー スムースになぞれるようにですね。
小泉 はい。あ、それから、
書くときには、ペンをまっすぐ立ててなぞると、
図形がゆがまずに、うまく書けるんですよ。
ーー へえー、うん、たしかに!
そうやって書くと、テンプレートにインクがついて
汚れたりするのも、ちょっと防げそうですね。
小泉 そうですね。
でももし、インクがテンプレートについてしまったら、
消しゴムで消してみてください。
インクの種類にもよりますけど、
たいがい、取れると思います。
ーー なるほど。ほかにもなにか
使うときの注意やコツがあれば、ぜひ。
小泉 できればですが、
下敷きを使ってもらえるといいと思います。
なくてももちろん書けるんですけど、
ポケットの段差や挟んでいるものの厚みが影響して
紙とテンプレートの間にすきまができると、
うまく書けないときがあるので。
だから、あれば下敷きを敷くなどして
平らな状態で使ってもらったほうが
きれいに書けるし、書きやすいです。
ーー たしかにそうですね。
きょうはありがとうございました。

このテンプレート1枚あれば、
いつでもどこでも、何度でも
きれいなマークが書ける、
アナログの道具の強みですね。
小泉 そうですね。
ここにある図形を組み合わせて、
さらにオリジナルのマークを作ったり、
いろいろとたのしんでもらえるとうれしいです。




小泉秀一郎さんプロフィール

1979年、静岡県生まれ。
2002年、拓植大学工学部工業デザイン学科卒業。
プロダクトデザインを専攻した卒業研究で、
後にアメリカの家具ブランド「OFFI」より商品化される
「ZUMI STOOL(ズミスツール)」を制作。
卒業後は、株式会社インターオフィス デザイン部を経て、
2006年より小泉設計室に勤務、現在に至る。
建築設計を中心に、プロダクトデザイン、
グラフィックデザインなど、旺盛な好奇心で意欲的に取り組んでいる。

グリーン、ブルー、オレンジの3色。
何色のくまがやってくるかは、
届いてからのお楽しみです。
だいじょうぶ、どのこもかわいいですよー。

*「ほぼ日のテンプレート(OHTO)」の使いかたを
 動画でもご紹介しています。くわしくはこちら
 みなさんの使いかたも、ぜひ教えてくださいね。