見かけもよくて使いやすい。
こんな手帳、なかなかない。
藤巻幸夫さんのほぼ日手帳
2010.04.16
ほぼにちわ、です。

カリスマバイヤーとして、
ブランド・プロデューサーとして、
多岐にわたりご活躍の藤巻幸夫さんが、
今年から「ほぼ日手帳」を
使ってくださっていると聞きました。
その使い心地をお訊きしてみたい、と
東京は西麻布の、閑静な街並の一角にたつ、
藤巻さんのお店「CRUM(クラム)」をお訪ねしました。

藤巻幸夫さんプロフィールはこちら

第二の手帳人生、はじまる。

ーー はじめまして。
今日はお忙しいところありがとうございます。
あ、名刺が。



藤巻 別に名刺入れもあるんですけど、
名刺を内側のポケットに入れておくと
便利なことがわかりまして、
でも挟みすぎてふくらんじゃって、
あげくの果てに家にあったこのバンドを
手帳に巻くようになりました。
こうやって、名刺をはさんでおくと、
パッと取って、すぐ出せるんです(笑)。
ーー すでにヘビーユーザーの風格がある手帳ですが、
今年から使いはじめてくださっていて、
使い心地はいかがでしょうか、など
お話をうかがえればと思っています。
どうぞよろしくお願いします。



藤巻 よろしくお願いします。
じゃ、タテマエ抜きで言いますね。
ーー は、はい。
藤巻 ひさしぶりに使ってみたい手帳に
出会いました!
ーー そ、そうですか!(ホッ)
藤巻 いや、ぼくね、
手帳を持ったの、ひさしぶりなんですよ。
7年振りぐらいかな。
ーー 7年振り。
藤巻 7年前までは、
わりとちゃんと手帳を使ってたんです。
ただ、あんまり向いてないなと思ったのと、
仕事も増えてきて、
それだけでは管理できなくなりまして。
この6年間は秘書がスケジュールを
管理してくれるようになったので、
手帳を持つのをやめていたんです。
ーー なるほど、なるほど。
藤巻 その間は、秘書がスケジュールを書いている
ノートのコピーを週末に受け取って、
翌週分と、だいたいいつも
1カ月くらい先のものを束にして
持ってたんですね。
ただ、会議とかちゃんとした席で
そのコピーを出すと、あまりにも‥‥
「それ、なんですか?」って
ま、失笑をかうわけです(笑)。

やっぱり手帳を持たなきゃな、って
意識しはじめていたところに、
森蔭さんが「ほぼ日手帳」のカバーを
つくったと聞きまして。
よし、ファッションの手帳を持とう、
と思って、京都のモリカゲシャツで、
この手帳を買いました。
ーー ありがとうございます。
そうすると、きっかけは
森蔭さんのカバーのデザインを気にいって。
藤巻 そうですね、まずはそうです。
ところがですね、
使い出したら、これが、
ものすごく使いやすかったんですよ。
ーー それはよかったです!
使いやすいと思ってくださったのは、
どんなところでしょう?
藤巻 まず、スペースがたっぷりあるのが、
ありがたいです。
メモをとるのが好きなので、
ものすごく、書くんですよ。
それも、大きな字で書いたり小さな字で書いたり、
それこそ気分で書くので、
スペースがたっぷりの、このゆとり。



ーー はい、1日ページの。
藤巻 ぼくなんかも昔、
ブランドものの手帳をもらって
使っていたことがあるんです。
それって、見かけはいいんだけど、
なにせ書くスペースが狭すぎて、
使いつづけられない。
ーー ええ、ええ。
藤巻 あと、どんなふうに書いてもかまわない、
ふところの広さ、ですね。
ーー はい、方眼は、
無地にも近い感覚で使っていただけるので
罫線にとらわれないで書くかたにも
ご好評をいただいています。
藤巻 見かけもよくて、使い勝手もいい、って、
なかなかないと思うんですよ。
でもこれは、便利。
自分の書きたいように書ける、
自分のオリジナルで使い切れるというのが、
いちばん気にいってるところですね。
おかげさまで、
手帳人生がまたはじまった、という感じです。

手帳の使いかた、フジマキ流。

ーー そうすると、使われているのは、
1日ページが中心でしょうか。
藤巻 そう、1日のページですね。
週末に受け取ったスケジュールのコピーを
まずは写していって、
やっぱりだいたい1カ月くらい先まで
書いてますね。


▲手前が、秘書のかたがスケジュール管理をしているノート。
 奥が藤巻さんのほぼ日手帳。


最初、使いはじめのころは
どんなふうに使おうかなと思って、
時間別に細かく書いたりもしていたんですが、
じょじょに、だんだん無視しだして、ですね。
あるときは、線をひいて、
こっちにスケジュール、
こっちはメモにしてみたり。
メモのほうには、たとえば、
だれかが言った、いい言葉を
書いておいたり、気ままな感じで(笑)。



ーー では、先にスケジュールを書いてあって、
当日にその日のメモを?
藤巻 そうです、そうです。
あと、日曜日はよく街を歩いてるので
紅茶とか飲みながら、来週のことを考えて、
こう、書いたりしてますね。
ああ、これがあるから
あの本買っておこうかなって考えたり。
ーー このナナメの線が引かれているのは
どういった?



藤巻 うん、バツはけっこう書いてますね。
あぁ、きょう終わった、バツ、
京都行くぞ、バツ、みたいな感じで(笑)。
躍動してる感じが好きなんですよ。
ーー ‥‥つまりそれは、勢い?
藤巻 あははははは。
そう、ルールはないんです。
9割がた意味はないかな。
ーー 自由奔放な感じで‥‥
藤巻 人生、落書きですから(笑)。
こんな感じで、使いかたはほんとに雑です。
すみません(笑)。
みんなきっと、きれいに書くんでしょうね。
ーー ああ、いえいえ、
みなさん、いろんな使いかたをされてます。
几帳面に書いているかたもいらっしゃいますし‥‥
藤巻 生まれかわったら、
そうなってみたいもんです。
ーー いえいえ、自由に、
自由に使っていただくのが、
いちばんです。
藤巻 我ながら、すっごい自由ですよ(笑)。
どうもね、きっちり線があるのとか、
嫌なんです。
その線に沿って使わなきゃいけないようなのは。
こうやって使いましょう、みたいに
使いかたが決められてるようなのも、
ぼく、あまのじゃくなんでまったくダメで。
自分のオリジナルで使えるところが、
とってもいいんですよ。
ーー ちなみに昔、手帳を使っておられたときは、
どんなタイプの手帳だったんですか?
藤巻 見開きでウィークリーになってるものでした。
ご覧になります? ありますよ。
ーー あ、よろしければぜひ!
藤巻 いや、このあいだ家の棚を整理してたら、
たまたま昔の手帳が出てきたんですよ。
伊勢丹サラリーマン時代のやつなんで、
しっかりスケジュール管理に使ってるんですけど、
あらためて見たら、使いかたが
変わってない部分があることに気づきましてね。

これなんですけど。
1997年、13年前ですね。



ーー すごい、スケジュールがぎっしりですね。
なんて忙しい。
あ、やっぱり線を引いてる(笑)。
藤巻 そうそう、この頃からやってるんです。
この色分けなんかも、ルールはないんですよ。
この頃は、ブランドの導入をはかって
伊勢丹の4階をつくっているときで、
ものすごく仕事していた時期ですね。
ロンドン、ミラノ、パリコレ行って、
ああ、アントワープにも行ってますね。



ここなんか、きっと
すごい大事だと思ったんでしょうね。
思いっきりマーカーで塗りつぶして、
肝心の部分が滲んじゃってますよ(笑)。
しかし我ながら、よく動き回ってますね。
ーー 1週間の密度がものすごく濃いですね。
藤巻 真面目なサラリーマン時代ですね(笑)。

でも、なんだかんだいって、
基本は変わってないみたいで、
ルールはなくて、その場その場の勢いで
書いてるあたり、とくに。
ーー スケジュール管理専門だったんでしょうか?
藤巻 ページの余白にメモみたいなことは書いてますね。
これには、98年、99年には
こんなことをやりたいということが
書き込んであります。
なんとなく、3年ぐらいは先のことを
常にイメージしていたくて、
頭のなかで設計するクセがあるんですよ。

いや、昔の手帳を見返すのって、
おもしろいなぁ。
ほかの手帳はみんな捨てちゃってて、
たまたまこれだけ残ってたんですよ。
ーー 「ほぼ日手帳」をお使いのかたは、
保管されているかたが多くて、
やっぱり、あとから読み返すとおもしろい、
とおっしゃってます。
藤巻 そうか、今年の手帳も残しておいたら
おもしろそうですね。

ハッとする言葉に出会う。

藤巻 あとね、これが好きなんですよ。
この、下に入ってる言葉。
ーー そうですか。うれしいです。
その日のページの言葉を、
その日に読まれるんですか。
藤巻 ええ、朝、まずその日のページの言葉を読むんです。
それから時間のあるときに、
その前後もなんとなくパラパラと読んで。
言葉って、ほんと、好きなんですよ。
ここからフッと、想像が広がっていって、
心のゆとりが生まれるっていうのかな、
手帳にこんなふうに
想像をふくらませてくれるネタが
いっぱいあるって、すごいですよ。
ーー なるほど、なるほど。
藤巻 で、いいなと思った言葉は
さっそく他所で引用したりして(笑)。
重松清さんの言葉もありますよね。
お仕事をごいっしょさせてもらって
それ以来のおつきあいなんですけど、
大好きなんですよ、あったかくて。
ここに載ってるのも、いい言葉ですよねぇ。
あるいは、知らない人の言葉だったら、
その人の本を読んでみようかな、とかね、
きっかけになるし。

こんなふうに、
ワンフレーズで、元気になったり、
ハッとしたり、言葉の力ってすごいですよね。
1行の言葉に心動かされますよ。
なんでも、核になることって、
全体の一部分だったりしますしね。
これ、すごい深いですよ。
ーー これまでのところでなにか、
印象に残っている言葉があったら
教えていただけますか?
藤巻 たしか印をつけてるところがあるんですよ。
印は気まぐれなんですけど、
いい言葉だなーと思って、
星印をつけたんですよね。
あれ、どこだったかな‥‥
ーー あ、ここ、3月31日の言葉に
印がついてます。

「どんな道のりを歩んだって、
 どこかにはたどりつく。」



「はじめに急ぐ者も、あとで走る者も、
 ずっと歩いて行く者も、
 どこかにはたどりつくもんだ。」
藤巻 そうそうそう。だから、たまに
意味のある落書きもあるんです(笑)。

どんどん詰め込む。

ーー お使いになって2カ月ちょっとの間に、
もうすっかり手帳が厚くなってますね。
藤巻 ええ、あるものはみんな使うタチなので、
手帳のポケットにも、
どんどんどんどん入れちゃって。
すでにヤバイ、バンドが必要(笑)。
ーー ちなみに、どんなものを
入れてらっしゃるんですか?
藤巻 領収書とか、ショップカードとか‥‥
絆創膏も入ってますね。あと、写真。
この写真は、ぼくの師匠にあたる人が
お正月に亡くなって、
トリビュートで挟んであるんです。
伊勢丹の会長だった武藤(信一)さん、
ぼくの育ての親みたいな人なんです。


▲アナ・スイ(右から4人目)を囲んで。
三越伊勢丹ホールディングスの会長だった
故・武藤信一氏は右から3人目、左端が藤巻さん。
ーー 大事なお写真ですね。
藤巻 いちばんの宝です。
これは、たぶん95年頃かな。
アナ・スイと伊勢丹の提携が決まった
記念すべき夜だったんですよ。
アナ・スイとご両親とご親戚と、
武藤さんはたしかまだ部長ぐらいのころで、
みんなでお祝いの席をもうけたんです。
ちょうどこのあたりから
伊勢丹の進撃がはじまっていって、
ぼくが伊勢丹バイヤー時代でいちばん燃えていた頃。
原点のひとつですね。
ーー 大事なものを手帳に入れつつ、
手帳はお出かけのときにも、
持ち歩いてらっしゃるんですか。
藤巻 そうです、かならず。
手帳と筆記具はつねに
トートバッグに入れてます。
ぼく、トートバッグが大好きで。
ーー こちらのお店も、オリジナルの
シャツとトートバッグだけを。
藤巻 そうです、そうです。
森蔭さんにデザインしてもらっている
「CRUM」のトートバッグのポケットに、
すっぽり入るんですよ。
ホラ、こんな感じ‥‥



ーー わ、おそろい!
藤巻 これ、トートバッグにインナーをつけて、
付け替えられるようになってるんです。
ーー で、きょうはグリーンのギンガム。
藤巻 トータルコーディネイトも万全です(笑)。
色とかね、持つものには、
やっぱり妥協したくないので。
ーー お店に並んでいるシャツやトートバッグ、
空間まで、コーディネイトされているような
気がします。
藤巻 ここがぼくの拠点で、戻る場所で、
ぼくの心臓部分と言ってもいいです。
ーー 多岐にわたる活動をされている
藤巻さんの、ここが落ち着く場所なんですね。
藤巻 そうなんですよ。
それにしても、このトートバッグ、
すっごいなんでも入ってるなぁ(笑)。
いろんなものが入ってるんですよ。
えっと、あれ? 手品の道具、きょうは‥‥
ーー 手品の道具がトートバッグに?(笑)
藤巻 きょうは入ってないですねぇ。
残念だなぁ。
ひとを笑わせるのが大好きなもんで、
かばんにも、手帳にも
そういうネタを常にしのばせているんです。
ーー いえ、もうじゅうぶんに(笑)。
手帳、たのしんで使っていただいていて
ほんとによかったです。
藤巻 たのしいですよ。
こうやってイイモノを手にすると、
ひさしぶりに、燃えますね。
ぼく、あきっぽいもんで、
こういう出会いはうれしいんです。
ーー あきっぽいんですか?
藤巻 好きなことにはものすごく執着するんですけどね。
そうじゃないことは、5分であきる。
これはつづいてるから、
じゅうぶんハマってますね。
ーー よかった(ホッ)。
藤巻 これは、一生使いつづけますよ。



とてもおおらかな、自分流の使いかたで、
手帳をたのしんでくださっている様子が
伝わってくるうれしいお話でした。
藤巻さん、ありがとうございました!

さて、昨日から始まりました
「ほぼ日の路線図2011
 ご近所の目による間違いがないかチェック」

さっそくたくさんの方々にご協力をいただいています。
ありがとうございます!
これから見てみようかな、というみなさま、
どうぞ、よろしくお願いします。
念のため、校正をお送りいただく際の締切は、
4月21日(水)の午前11時までとなっています。
ひきつづき、よろしくお願いします。