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ほぼ日刊イトイ新聞

2020-08-10

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・なにが進歩か、簡単に決めつけないことを前提に言うと、
 芸能の世界、歌や踊りのエンターテインメントは、
 ものすごい変化をしているなぁとしみじみ思う。

 かつて、ソロの歌手として大人気だった沢田研二が、
 満員のお客さんを前にして、笑いながらこう言った。
 「ぼくの踊りはインチキやからね、
 上半身だけ、こうこうこうして振り付けしてるだけ。
 それを考えるとトシちゃん(田原俊彦)たちのは、
 下半身が踊ってますから、まるまる全身で踊って、
 しかも歌ってますから、あれはスゴイです」と。
 そうだなぁ、と観客席は苦笑した。
 歌って踊るなんてことが、どれだけ大変なことか、
 歌うだけが仕事の歌手たちは、想像もしたくないだろう。
 もちろん、もっと前から宝塚をはじめとする
 ミュージカルの舞台をやっていた人たちは、
 歌うことと踊ることをどっちもこなしていたが、
 そうでない歌手やスターたちのほうがずっと多かった。
 そういえば、海外も含めてロックの人たちも踊らない。
 エリック・クラプトンが激しく踊ったりしたら、
 ビートルズがすごいキレのいいダンスを見せたら、
 受けとめるほうも、逆に途方に暮れちゃうかもね。

 おおざっぱに言って、マイケル・ジャクソンが、
 歌うことと踊ること「どっちもできて、かっこいい」を、
 世界中に広めたんじゃないかと思うけど、ぼくなんかは
 それは、彼の「特殊技能」のような気がしていた。
 若いアイドル系の人たちは、そこらへん、
 うまくどっちも練習しているし魅力にしているけれど、
 技術的な「厳しさ」のようなものは前面に出さない。
 「歌がへた」とか「失敗する」とかも、
 ひとつの愛嬌として表現されたりもする。

 もう、読んでいる人は想像していることだろうが、
 「虹プロジェクト」の練習生たちの練習や、技術の進歩、
 教える方法論、要求されるプロの品質などを見ていると、
 ここで脱落した候補生たちの技術さえ、
 昔のスターたちの実力より上かもしれないと思えてね。
 むろん、そういう比較はナンセンスなのだけれど、
 なんでも、ものすごく難しくなっている時代だよなぁ。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
あらゆる業界が「アスリート化」するのは、いいことか??


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