刺繍したものを実際に着たり
使ったりすることの提案
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ーー |
今回の本もまた、すごくかわいいですね。 |
大図 |
ありがとうございます。 |
ーー |
前回の「ぼくのステッチ・ブック」に続き
2冊目ですが、全体を通じた
大きなテーマみたいなものってあります? |
大図 |
まえの本が図案集のようになっていて、
小さい刺繍のモチーフだけを
たくさん載せた本だったんですね。
それで今回の本は、そこから一歩進んで
刺繍したものを実際に着たり使ったりすることを
提案してみようと考えて作品を作りました。 |
ーー |
なるほど。 |
大図 |
たとえば、エプロンだったりとか。
既製品に刺繍をしてるんです。 |
ーー |
今回載っている作品っていうのは
これまでに作り貯めておいたものなんですか? |
大図 |
いや、この本のために作った作品ばかりですね。
前の本は図案集のようだったから、
ページに載せる作品は
布に刺繍していくだけでよかったんです。
だから、手伝ってくれる方々に指示を出すのは
簡単だったんですが、今回はふだん使うものに
刺繍をする、というテーマがあったから
指示を出すのがたいへんでしたね。
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ーー |
たしかに、この本を見る限り、
いろいろなものに刺繍してますね。
キャップ、シャツ、ジーンズ、トランクス、
エコバッグ‥‥CDジャケットまで。
これはたいへんだ!
お手伝いされている方は何人くらいいるんですか? |
大図 |
始めはふたりだったんですが、最後のほうで
締め切りギリギリになっちゃって、
急遽ひとりなんとかお願いして
手伝っていただきました。
福岡在住の刺繍作家の方なんですが、
時間がなかったので航空便でやり取りしましたね。 |
ーー |
航空便で刺繍のやりとり(笑)。
すごいですね。 |
大図 |
前の本でも手伝っていただいた
刺繍作家の方なんですけど、僕、
1度もお会いしたことがないんですよ。 |
ーー |
えっ? |
大図 |
電話やメールでよくお話はするのですが、
今回も結局会わずじまいでした。 |
ーー |
それスゴイ話ですね。 |
大図 |
手芸業界もIT時代に突入です。 |
ーー |
‥‥。 |
大図 |
あと、もうひとつたいへんだった、というか
残念だったのが、絵柄のアイデアの段階で
けっこうな数のボツが出たんですよ。 |
ーー |
「ボツが出た」ということは‥‥。 |
大図 |
編集者の方からボツです。
ページ数の都合という理由ももちろんあるんですが、
けっこう「おもしろくない」っていう
理由でバッサリ切られましたね。 |
ーー |
たとえばどんなものがあったんですか? |
大図 |
それぞれのページにコンセプトがあるんですね。
で、女の子のカバンの中をイメージした
ページに筆入れがあったんです。
で、僕は筆入れ→勉強→先生という連想で、
「ふくろう博士」というキャラを
クロスステッチで入れたかったんですね。
よくドリルとかに描いてあるような。 |
ーー |
はいはい、
学者っぽいふくろう、ですね。 |
大図 |
そうです。
そうしたら、その編集者の方から「ダサい」
って言われて、バッサリ切られちゃいました。 |
ーー |
あははははは! |
大図 |
「『ふくろう博士』絶対ダメ!」って。 |
ーー |
いや、笑っちゃだめなんですけど、
なんかおかしいですね。
ネーミングの問題、とかでもないんでしょうね。
いいのになぁ「ふくろう博士」。
▲大図さんから、ボツとなった「ふくろう博士」の
写真をお借りすることができました。
やっぱりいいのになぁ「ふくろう博士」。 |
大図 |
けっこう編集のその方からは、
「ボツ」って言われるんですよ。 |
ーー |
そういうときって
どうやって解決するんですか?
お互い譲らない状態になったりします? |
大図 |
‥‥僕が折れますね。
まだまだ新人ですし。 |
ーー |
新人って(笑)。 |
大図 |
でも、その編集の方、本当はいい人なんですよ。
よりよい本を作りたくて
おっしゃってくれてるんですから。 |
ーー |
うんうん、そうですよね。 |
大図 |
一応、フォロー入れておかないと。 |
ーー |
あはははは。 |
大図 |
いま掲載されている数の倍くらい
図版は描いてるんですよ。
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ーー |
えー、そんなにですか。 |
大図 |
はい、それだけ
僕が折れたということです。
けっこう苦労しましたけど、
その分いい本に仕上がっていると思います。
是非、見ていただいて実際に作ってみてもらえると
とってもうれしいですね。 |