ーー |
まず、「シャーボ(SHARBO)」という言葉、
今はあたり前のように、
「シャープペンシル」と「ボールペン」の
機能を持つ複合ペンのこととして
世間でも認識されていると思うのですが、
これは、もともと
ゼブラさんの商品名称なんですよね? |
近藤
さん |
はい、そうですね。
1977年に、ゼブラから
誕生した商品になります。
そのシャーボが、誕生から30年ということで、
会社としても、さらに今の時代に合った、
魅力ある商品を出そうということで、
「シャーボ X(エックス)」が
2007年1月に、誕生しました。
ゼブラ新製品推進部
近藤浩輔さん |
ーー |
「X(エックス)」には、
どんな意味が込められているんでしょう? |
近藤
さん |
この「X(エックス)」は、
「組み合わせ」とか「掛け算」という意味で
「X」と掛けているんですけど、
そういった掛け算をすることで、
いろんな「創造」を生み出すことができる、
という意味が込められています。
また「未知なる可能性」という意味もあるんです。
この商品を使うことで、
創造性を豊かにしたり、より創造しやすくなったり、
そういった創造を促す道具になってくれれば、
と、思っています。 |
ーー |
なるほど、そういう「X」だったんですね。
その「シャーボ X」、
始めから自分の好みに合わせて
“ボディ”と“シャープペンシル”と
“ボールペンの替芯”を、
自由に組み合わせることができる、
というのは、使う方からすると
やっぱり新鮮で楽しいですよね。 |
近藤
さん |
やはり、好みも人それぞれで、
いろんなお客様がいらっしゃるものですから、
自分の好みに合ったものを、
この「シャーボ X」中から選べるという、
これが最大のポイントです。
‥‥でも、最初は半信半疑だったんです。
お店の反応を聞くまでは。
けっこう面倒臭いじゃないですか、選ぶのって。
大丈夫かなっていうのはあったんですけど、
実際、お店に商品の紹介を始めたら、
お店も求めてることでしたし、
発売したらお客さまからの反響がすごくて。
「ああ、やっぱり、
カスタマイズは正しかったんだな。」
というのは、発売してやっと
自信を持てたところです。 |
ーー |
そうなんですね!
ほぼ日手帳を「ほぼ日ストア」から
ご注文くださったみなさまに、
3色のボールペンを
おまけとして付けているんですが、
やはり、いろいろとご要望をいただくんですね。
でも、おまけのボールペンだと、
そのご要望を満たすことは難しいので、
いろいろなメーカー様の
ペンをご紹介させていただいているんですけど、
そういう視点から探していったときに、
「シャーボ X」は、広範囲のご要望を
1本で満たしているなと感じました。 |
近藤
さん |
ありがとうございます。
細かいところでは、私どもも、
お客様からのご要望とか、
お客様相談室に寄せられるご意見とか、
そういったところもすべて勘案しております。
それにやはり、
手帳とペンの関わりというのを
重要視しているので、
ほぼ日手帳とも、
相性が良かったのではないかと思います。
|
ーー |
“手帳とペンの関わり”というのは、
具体的にはどういったところなんでしょう? |
山崎
さん |
手帳に合わせてペンの仕様を決めたり、
色も選定しています。
例えば、クリップなど
機能的な部分もそうですね。
ちょっと厚手の手帳になると、
挟めないクリップが多かったんですけれども、
「シャーボ X」は、厚手の手帳でも試して、
挟めるようにしているんです。
あと、ペンを差した時に、
ペンの頭が手帳からはみ出たという経験、
みなさんもおありかと思いますが、
その部分の収納性を良くするために、
ペンを短くする工程を考えたり。
あと、黒い手帳にも映えるような色で
ボディ(軸)の色は選定してます。
ゼブラ新製品推進部デザイナー
山崎幸野さん |
ーー |
え? “黒い手帳”を基準にされているんですか? |
山崎
さん |
そうですね。
30代の男性をイメージして作りましたので、
そうすると30代男性の方は、
やはり黒い手帳を持っている方が多かったんです。 |
ーー |
ボディの色は、何色が人気がありますか? |
草場
さん |
ヘアライン仕上げのボディ(シャーボX AL5)は、
深みのある光沢で、落ち着いた雰囲気なので、
カナリアレッド、ライムグリーンなど明るい色も、
意外と男性に人気があるんですよ。 |
ーー |
色選びは、作る方も迷いませんでしたか? |
草場
さん |
そうですね。
最初は、ゼブラカラーの
白と黒でいこうということで2色だったんですが、
やっぱりせっかくいいものを作るんだし、
もっといろんな人に使っていただけるような、
新しい感じも出していきたいということで
革とかアルミの未来的な色も加わったりと、
試行錯誤でしたね。
ちょっと人の目を引くような色合いですとか、
それと、あとは手触りを重視しています。
革調であればしっくりとしたグリップとか、
マットな質感だったり、ヘアライン仕上げだったり。
お好みで使っていただけるような部分を
ちょっとこだわって選定しました。
ゼブラ新製品推進部デザイナー
草場俊さん |
ーー |
ちなみに、ボディの色は
どれぐらい作られたんですか? |
草場
さん |
何色作りましたっけ(笑)。 |
山崎
さん |
数え切れないですね。
染色屋さんに立ち会って、
ずっと職人さんと詰めっきりで、
染め上がったのを見ては、
これは違う、の繰り返しでした(笑)。 |
ーー |
今年、カバーを20種出した私たちにとっても、
それは、他人事には聞こえないです(笑)。
ほぼ日手帳を選んでくださる方もそうなんですが、
色選びは、思い入れがあって選ぶものですから、
こちらも選ぶのに気合いが入りますよね。
ところで、ボディの太さも
すごく手帳を意識されたんじゃないかと、
思っているのですが。 |
山崎
さん |
はい、手帳のペン差しホルダーも
様々な大きさがあると思うのですが、
その中でも比較的入れやすい太さを選んでいます。 |
ーー |
やっぱりこれも、
手帳を基準に考えられているんですね。 |
草場
さん |
さっきお話しに出ましたが、
30代の男性が使うというイメージで
考えていたのですが、
ちょうどうちの部にも
30代で手帳を使っている者がいまして。
じゃあ、その人が
本当に使いやすいものを作ろうということで、
その人に合わせた仕様になっていったんです。
そうするといろいろ細かい部分の仕様が、
‥‥例えば、ノックのときも
指が痛くないようにとか、
1人の人を観察しながら出てきたんですね。 |
ーー |
なるほどー。
実際に使っている人の意見だから、
細かいところまで目がいくんですね。
色を変えるときに、作動音がしないのも、
その方の観察を通して発見されたんでしょうか? |
近藤
さん |
いえ、作動感に関しては、
もともと、2年半ぐらいかけて
研究部のほうで研究をしていたんです。
私どもでは「しっくり感」というふうに
呼んでいるんですけれども、
振ったときに音がしないことですとか、
あとは回したときのちょっとヌルッとした、
しっとりとした感じに、こだわっています。 |
ーー |
その“作動感”については、
これまであまり気にしていなかったのですが、
いったん意識すると、
会議中など静かな場所で
「カチャ、カチャ」音がすると
気になりますね。 |
近藤
さん |
使い慣れていくと、
逆にほかのものがうるさく感じるぐらい
自然ではあるんです。
|
ーー |
11月23日(木)から、
新しい替芯を発売されるということですが、
やはり、使った方からの、
リクエストがあったんでしょうか? |
草場
さん |
そうですね。
例えば、今までJSBというジェルインクは、
註)JSBとは、油性よりも滑らかな、
油性と水性の中間のようなインク。
今まで0.5mmしかなかったんですね。
でも、やっぱり手帳などで
字を小さめに書くときは、
細字のものがほしいというご要望があって、
0.4mmのものを増やしました。
あとは、逆に油性ボールペンでは、
滑らかに太く書きたいというご要望があって、
今までは0.7mmしかなかったんですけれども、
逆に太めの1.0mmというのを加えたり。
新色の3本も加わって、全部で12色のボディカラー。 |
ーー |
ボディも新しい色が加わって、
インクの色も増えるんですね。 |
山崎
さん |
はい、ボディに新たな3種が登場し、
ボールペンの替芯にも新色が加わって
インクの色は全部で40種になります。
今回は、ほとんど、
発売後のお客さまの声に合わせた形で、
作らせていただいていますので、
マーキングとかチェック目的で使うのに、
明るめのインクも欲しいという声があり、
蛍光ピンク、蛍光ライトグリーンを作ったり。
あとはちょっと遊び心ということで
今年の冬限定の色、
クールグレー、バイオレット、
イエローオーカーという、
ちょっと変わった色を出してみました。
ぜひ、その時の気分で
色を変えて書いていただきたいです。 |
ーー |
これだけあると色選びに迷いますねー。
何かおすすめの色とかありますか? |
山崎
さん |
おすすめしたいのは、
新色ではないのですが、油性ボールペンの、
ボルドー、セピア、エバーグリーン、
ブルーブラックという、
ちょっと落ち着いた色合いのものを、
いつもの黒インクの代わりに
手帳で使っていただけたら、
いつもと違った表情で、
オリジナルな雰囲気になると思います。
万年筆のインクのような、
そういう使い方をしてもらえるといいですね。
実際文字を書くのに、
黒以外で使える4色というので選んでいますので。 |
ーー |
ほぼ日手帳は、
月ごとにページの印刷色が違うんですが、
ほぼ日手帳を使ってくださっている方の中には、
毎月、そのページの色に合わせて
インクの色を変えていらっしゃる方もいて、
すごくステキなんですよ。
そういったことも、
ボールペンでこれだけバリエーションがあると、
もっと楽しめそうですね! |
近藤
さん |
そういう風に使っていただけると嬉しいですね。
これからも、季節ごとに
限定色を出していく予定ですので、
それを使い続けていただくと、
手帳の1年を、季節感のある色で
彩って欲しいですね。
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