上毛かるた。

糸井重里

・我田引水とは、我が田に水を引くことだ。
 ものごとをじぶんの都合のいいように考えたりすること。
 これは、よくあることだ。
 手前味噌というのは、じぶんの味噌をほめること。
 自画自賛ということで、これもありがちなことだ。 
 ソウルフードというのは、じぶんにとって馴染みの深い
 ふるさとの料理や食べもののことで、
 他人がどう言おうが、「おれにはうまい」ものである。
 
 できることなら、我田引水がないように、
 手前味噌にならないように、と気をつけていても、
 どうしても「お国自慢」をしてしまうのが人間だ。
 われも人間、焼きまんじゅうなら5本でも食える。
 居心地がわるくて飛び出したつもりだった故郷に、
 ずうっと大人になってから、だんだん近づいている。
 愛してると口には出さないけれど、応援している。
 群馬や前橋については心を傷めたりもするし、
 あかるく元気な地方であってほしいと願ってもいる。
 こんにゃくが名産であることだとか、
 下仁田ねぎがたいしたものであることだとか、
 子どものころにはどうでもよかったのに、
 いまになると「そうだよ、うまいんだよ」と言う。
 他の地方の人にとって、そういうことは、
 たいしたことじゃないということを知ったうえで、
 ちょっと自慢したい気持ちを隠し持っている。
 手前味噌と言われたくもないのに、味噌を語る。
 まぁ、「前橋BOOK FES」だとか本気でやるし、
 「ほぼの駅 AKAGI」は熱心にやってるものなぁ。
 群馬や前橋とすっかり握手し直している感覚がある。

 そして、いまあらためて「いいかも」と思うのが
 「上毛かるた」という教育&民芸玩具である。
 群馬の土地ごとの名物、人物、歴史や出来事を
 いろはかるたに読み込んだ群馬オリジナルの作品である。
 たぶんすべての小学校で、そのゲームを習うのだ。
 これ、いっそすべての県でつくったらいいのにと思う。
 かるたにすれば、約50項目の知識が暗記される。
 なんなら「ほぼ日かるた」とかだって、できるよな。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
あなたのふるさとが、あなたのように元気でありますように。