勝率5割はお好き?

糸井重里

・勝率5割というのは、貯金も借金もない状態だ。
 どれだけたくさん試合をしても、勝ちも負けも同じ数。
 これは、あんまりいいイメージはなかった。
 ま、特にスポーツの場合はね、勝率5割じゃ優勝できない。
 だから、贔屓のチームが勝率5割の状態でいたら、
 「なんだかダメなんだよなぁ」と、さみしく思っていた。
 
 しかし、このごろ大人になったせいか、
 「勝率5割って、わるくないんじゃない?」と
 思うようになっている。
 勝ちと負けの数が同じということは、
 わるい言い方をすれば「やらなくても同じ」ということ?

 しかし、それは「さぁ、はじまるぞ」という状況とも、
 まったく同じだぞ、と気がついたのだ。
 じぶんに、貯金もないし借金もない、
 そして、新しくなにかをはじめるというときと、
 勝率5割の状態とは内実はそっくりなのである。
 ついでのように言うと、たくさん試合をしてきて、
 貯金も借金もないということは、
 「経験」は積み重なっているということでもある。
 そして、その期間、生きて動いてこられたということだ。
 
 いや、正直なことを言うと、
 ただのスポーツ好きとしては、勝率5割は満足してないよ。
 ぶっちぎりの優勝とか、大好きだということは言える。
 それはそうなんだけど、勝率5割への敬意みたいなものを、
 もっと育てていきたいなと思っているのです。
 「勝率5割だけど、すっごく応援したいチーム」だとか、
 「勝率5割だけど、もっといけそうなチーム」だとか、
 「勝率5割だけど、チームワークを感じるチーム」とか、
 そういうところを、感じたり感じさせたりできると、
 たのしみはもっとたくさん増えると思うんだよな。
 
 まぁ、スポーツは「戦さ」の代わりみたいなものだから、
 どうしても勝ち負けは大事なんだろうけど、
 それ以外の仕事では、魅力のある「勝率5割」が、
 うまくやれるといいだろうなぁと思う。

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