・『待ちぼうけ』という歌があります。
ああ、これがまた、作詞が北原白秋ですね。
北原白秋が書いた名曲の数は驚くほどですよ。
童謡だけにかぎっても、いくつでも出てきます。
『あめふり(あめあめふれふれ かあさんが)』
『揺籃のうた(ゆりかごのうたを カナリアがうたうよ)』
『砂山(うみは荒海 むこうは佐渡よ)』
『からたちの花(からたちの花がさいたよ)』
『この道(このみちは いつかきたみち)』
『ペチカ(雪の降る夜は 楽しいペチカ)』
『城ヶ島の雨(雨はふるふる 城ヶ島の磯に)』
北原白秋について書き始めると、
きりがなくなってしまうのですが、
『待ちぼうけ』のことでした。
元は中国の説話が題材になっているらしいのですが、
内容は、その歌詞のとおりです。
村人が畑仕事をしていたら、近くの木の根っこに
跳んできたうさぎがぶつかって死んだ。
こりゃぁいいや、と、村人は苦労の多い畑仕事をやめて、
ひなたぼっこをしながら切り株を見ていることにした。
ところが、そうそううまくいくもんじゃなくて。
その後はうさぎも跳んで来ず、なにもしない畑は荒れ放題。
寒い北風が吹くばかりでした、という歌です。
子どものころは、素直に、「そりゃそうだろう」と、
元の意味どおりのことを思っていたのですが、
大人になってからは、それじゃもったいないと思いました。
切り株に、全力で走ってきたうさぎがぶつかって死んだ。
そんなおもしろいことがあったのなら、
どうしたらそれを再現できるか考えるほうがおもしろい。
うさぎは、どこに棲んでいてどういう活動をしているのか。
その切り株のあるコースを、なぜ急いで走っていたのか。
同じようにうさぎを走らせる方法や、
切り株を増やすという方法もあるのではないか。
いやいや、切り株じゃなくて「穴」でもいいのではないか。
野良仕事をしながらでも、そういうことを考えろよ、と。
いずれは「うさぎ牧場」という計画だってできるぞ。
…大人ってやつは、童謡も素直に聞けないものであります。
今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
思えば、大人になると「貧乏性」「心配性」になるんですね。