HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN

みんな大好き、スマートフォン。
あなたはどんな壁紙にしていますか?
スリープから復帰したときあらわれる「ロック画面」と、
ふつうに使っているときの背景「ホーム画面」。
スマホでは、この2画面の壁紙を設定できます。

イラストレーターの福田利之さんが、
スマホのホーム&ロック画面用に、毎月いちまい、
描きおろしの新作を届けてくれます。
月に一度、ホーム&ロックの壁紙を掛けかえましょう!
いっしょに届く、福田さんの近況報告もおたのしみに。

福田利之のプロフィール
イラストレーター。
1967年、大阪生まれ。
エディトリアル、装丁、広告、
ムーンライダーズやスピッツのCDジャケット、
絵本、テキスタイルなどなど、
さまざまなビジュアル表現を手がける。
「ほぼ日」では、読み物、商品問わず、
様々なコンテンツにご登場いただいています。

〈福田さんが登場するほぼ日コンテンツの一部〉
・「大福田展」@TOBICHI②
・「カッパとウサギのコーヒーさがし」
・「カッパとウサギのコーヒー屋さん」
・「ゴールデンコーヒーウィーク」@TOBICHI②
・「あなたのためのデザイン。」
・「福田のフォト絵」

〈著作物〉
・『いまからノート』(青幻舎)
・『福田利之といくフィンランド』 (玄光社)
・『福田利之作品集』(玄光社)
・『ぼくはうさぎ』(あかね書房)
・『ふたり』(ミルブックス)
・『福田のフォト絵』(ヴィレッジブックス)
など多数。
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ぼくたちの失敗について
ホーム&ロック画像を
ダウンロードする

※スマホで画像を保存したら、
ホーム画面・ロック画面の壁紙に設定してください。
設定方法は機種によって異なります。
ご自分のスマホの設定方法を調べて設定してくださいね。

最近のこと84
文:福田利之

最近はどこにいっても
宮藤官九郎さんのドラマの話題がよくのぼります。
いわゆる昭和の時代の当たり前が
今の常識にあてはめると、
いかに不適切であるかという内容のあれです。
令和の当たり前に適応できない
中年以降の人たちの苦悩を面白おかしく
皮肉たっぷりに描いているドラマ(あってます?)です。

自分のことで言うと、
面白ければなんでも全部正解みたいな思考だったので
今思うと、近しい人達の中には
不快な思いをさせてしまっていた方も
いたかもしれません(今もそうかも)。
そんな不適切だった昔の当たり前を、
無意識レベルから修正する方法を
家族にも確認しながら正していく毎日ですが、
染みついた常識は、そう簡単に治るものではなく、
みんなそういう時代だったんだから
しょうがないじゃん的な言い訳を許さないよう
日々気を付けている‥‥つもりです。

反省はもちろんしつつ、
自分が受けた不適切もたくさんあります。
飲み会や打ち合わせ中の喫煙、お酒の強要、
徹夜当たり前な仕事の依頼、容姿に関することや、
露骨な他者との比較などなど
もう書き出したらキリがないわけですが
そんな中、人生で一番キツく、今でも夢に出てくるのは
大学のときに在籍していた少林寺拳法部での経験です。
先輩がタバコを持つとスッと横に立ち、
失礼しますと大きな声で言い、タバコに火をつける。
道で会えば、いったん止まり大きな声で挨拶する。
夏合宿では気を抜くと、竹刀でお尻を殴られ続け、
内出血で真っ赤に腫れ上がったお尻の写真を撮られる。
剣道の胴に、軍手をはめた手で自ら殴り続け、
血が出て軍手が真っ赤になるまで終わらない。
ただの学校の部活なのに、辞めるときは8万円払わされる。
などなど芸大のデザイン科にいるのに、
2年間はデザインの勉強の記憶はほとんどなく、
地獄のような部活の毎日で、
やがて指導する3回生の立場になり、
先輩の目も緩くなったのをきっかけに辞めるのですが、
それまでなぜ辞めれなかったかというと、
一緒にがんばってる同期に
迷惑がかかるからという呪いがありました。
もしそのまま続けていたら、
自分が後輩に同じようなことをしていたかもしれず、
抜け出せない沼のような、ただの事件ですね‥‥。
以前にも笑い話として書いたような気がしますが、
あらためて思い出してみると、もはや笑えない話だなー。
こんなスタイルが今もスポーツの世界で許されていたら、
大谷翔平選手は誕生していないことでしょう。

ところで中年以降の世代で盛り上がっているこのドラマ、
若い世代はどれぐらい関心があるのでしょうか。
お勧めすること自体がパワハラになりかねない‥‥。
もはや肯定は1ミリもしませんが、
「昔は良かった」と言いたくなるのは、
世代関係なく、誰もがいつか来た道。
20年後の不適切はもはや想像もつかないです。

2024-03-25-MON

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