お気に入り記事の保存はアプリが便利!

ほぼ日刊イトイ新聞

2024-04-29

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・密かにというよりは近くの人にはどんどん言ってるのだが、
 ぼくには、「庵(いおり)計画」というものがある。
 しっかりと退屈する居場所とでも言おうか、そういう庵。

 望ましいイメージを、でたらめに並べてみる。
 「何十巻も出ているようなマンガの単行本を、
 まとめて読み続けてそれにひたりたい」なんてこと、
 「付け焼き刃の論語読みを、受験生みたいにやってみたい」
 「ネットフリックスの連続ドラマを休まずに見てみたい」
 「ただただ何日も釣りしていたい」なんて大望。
 「そういういろんなことをやりたいのに、
 ついつい昼寝ばっかりしちゃう罪悪感を味わいたい」
 「なつかしいロールプレイングゲームを、
 がーっと連続してやってみたい」
 なんて夢を叶えられるような場所が「庵」なのさ。
 ホテルとか旅館でやろうと思っても、
 なかなかこういうことはやりにくい。
 掃除だの食事だの、管理の都合もあるのがふつうだ。
 だいたい、ひとり旅なんてものは根本的に怪しまれるしね。
 家でやればいいじゃないか、とも思われそうだが、
 やれるもんならやってみなと言いたい。
 細かくは言わないが、やれない条件が揃っているものだ。
 あれこれと、勝手なことを並べたけれど、
 これはぼくの貧しい発想のさらに一部分にしかすぎない。
 女性ならどんなことを考えるか、若い人ならどんな? 
 家でも、旅館やホテルでもやりにくいような
 「もてあます時間」を費やす場所があればいいな、なのだ。
 非なるけれど似たイメージとしては、
 「いなかのおばあちゃんの家で過ごしている中学生」
 みたいな気分といったところかもしれない。
 4日、5日、1週間、10日、それくらいの感じかなぁ? 
 立派な志も、ご利益のありそうな目的も持たない
 「ただの暇人」として過ごす場所が、その「庵」なのだ。
 あんまり極端になっちゃいけないよ、
 この「庵」で過ごすのは世捨て人じゃないんだから。
 Wi-Fiとか清潔なベッドとかちゃんとあるほうがいいよ。
 近所に銭湯なんかあるとか、ナイスな食堂があるとかもね。
 好き好んで不便やら我慢やらと望むものではない。
 仕事の場に戻ることも、まったく反則じゃないし。
 そんな「庵」があったら、うれしくないですか?

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
ぼくは本気で考え始めてます。地方都市とかもいいですよね。


ここ1週間のほぼ日を見る コンテンツ一覧を見る
ほぼ日の學校
吉本隆明の183講演
ドコノコ
ほぼ日アプリ
生活のたのしみ展
TOBICHI東京
TOBICHI京都