●手帳をきっかけに、新しい自分を発見?!
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ーー |
緑色のものがいっぱい、手帳とお揃いですね。 |
小山 |
そうなんです。
名刺入れとIDカードのストラップ、ノート。
それから、これはエプロン。
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ーー |
この色合わせは、手帳からはじまったとか? |
小山 |
はじまったのは、そうですね。
そもそも、この手帳はいただいたものなんです。
「むかしの暦で、いまを楽しむ。」の連載がご縁で。 |
ーー |
あの連載をきっかけに、
手帳に旧暦の日付を載せるようになりました。 |
小山 |
それで、じつはこのカバー、
私が選ぶ色じゃなかったんです、正直に言うと(笑)。
ふだんは、黒とか紺とかベージュとか、
そういう色を選びがちだったもので。 |
ーー |
どちらかというとベーシックな色、ですね。 |
小山 |
そうなんです。
なので箱を開けて、まず「おっ」って思って。
「派手な色の手帳」というのが
はじめの印象だったんですね。
でも、手帳そのものは
去年も使って気にいっていたのと、
こういう色のものも、
試しに使ってみようかなと思ったんです。
そうやって使ってるうちに、
この色がだんだん好きになっていったみたいで。 |
ーー |
よかったです(笑)。 |
小山 |
そのことに気づいたのは、最近なんですよ。
夏に「最近この色ばっかり集めてない?」って
同僚に言われて、はじめて自覚したんです。
これはもう、わたしにとっては革新的なことです。
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ーー |
お揃いのアイテムは、
じょじょに増えていったんですか? |
小山 |
名刺入れだけは、もともと持っていたものです。
ほかは順々に。手帳の次がエプロンですね。 |
ーー |
エプロンもお仕事に使われるものなんですか? |
小山 |
そうです。学芸員にとって、
手は、大切な作品、資料を取り扱うためのもの、
という考えが基本にありまして。
ほかの物を持ちながら、たとえば名刺入れとか、
そういう物を手に持ったまま、
作品を扱うことは絶対にしないんです。
それで、細々したものを入れるために
ポケットがたくさんあるエプロンを
つけることが多いんですね。
このエプロンは今年の2月に買ったんですが、
意識したつもりはないのに、
いろんな色のエプロンのなかから、
ふだんは選ばない、この色を選んでいたんですよ。
ほかのものも、無意識のうちに集まっていた、
という感じです。
夏には緑色のTシャツとかも着てて(笑)。
「最近、どうしたの?」「この色、多いよね」
とまわりから言われだしたのが、その頃です。
それで自分でも、あれ? って。
手帳のおかげで、新しい色の世界が開けたというか、
緑色という、今年のテーマカラーができました。 |
ーー |
小山さんのお仕事は、
どういうことをされているんでしょうか。 |
小山 |
以前は広報と展覧会の企画をやってましたが、
今はコレクション管理をしています。
資料がなくならないように、整えたり棚に整理したり、
傷んでないかをチェックしたりといったことですね。
それから、他館に資料を貸し出すときに立ち会ったり。
外国で言うと、コンサバターという役割なんですが、
そういった保存管理に関わる仕事をしてます。 |
ーー |
貴重なものを取り扱う、神経を使うお仕事ですね。 |
小山 |
うちの資料がいま、34万点あるんです。
すべて大切な文化財ですし、ここは東京都の施設なので、
資料は都民のみなさんのものですから、
館から外に出すときは、やっぱり緊張しますね。
重要な仕事だと思っています。 |
●仕事とライフワーク。
スケジュール管理に活躍してます。
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ーー |
手帳はどういう使い方をされていますか? |
小山 |
予定をとにかく書いていってます。
メインに使っているのは、月間カレンダーですね。
他館からの「何日に来て調査をしたい」とか、
江戸博のコレクションのなかから
「この資料を次の展覧会に借りたい」とか、
研究者の方からの
「論文を書くために、この資料を閲覧させてほしい」
といったご要望に応えるときに、
それが重ならないように、この手帳で管理してます。
ただ、1日ページは、あまり使い切れてないんですよ。
もっと楽しい使い方もしてみたいんですけど。
忙しいとほんとに書かなくなるし‥‥。
あ、ここは絵が描いてあります。
茶道をやっているんですが、
この日、「茶箱の手前」というのを習って、
帰りの電車のなかで描いたものですね。
それから、プライベートというか、
ライフワークで版画の研究をしてまして、
その関係のことは、よく書いてます。
原稿を依頼されて書くことも多いので、
その締切とかの予定を、
年間インデックスのページに書いてます。 |
ーー |
版画の研究といいますと。 |
小山 |
ここでの仕事ともつながっているんですが、
浮世絵と、それより少し後の時代、
大正、昭和の版画を研究しています。
以前「ほぼ日」の「美しき日本篇」の連載でも
取り上げていただいた、あの時代の版画ですね。
1日の仕事を終えて、帰りの電車に乗ると、
仕事のことはひとまず忘れて(笑)、
こういう締切とか、いま自分が背負ってるもの、
みたいなことが気になってくるんです。
年間インデックスのページでその締切を見つつ、
1日ページでテーマや内容を考えて、
それをいつ書こうかと考えると、
結局、月間カレンダーにつながるわけです。 |
ーー |
年間、月間、1日ページの連携ですね。
ちょっと見せていただくと‥‥
「先行研究、調査、報告、概要‥‥」
うん、難しそう。あ、これはなんですか?
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小山 |
あぁ、「えどはくカルチャー」ですね。
この館で、一般のかたを対象にした講座をやってまして、
その講師もしているんです。
この日はその講座の内容を考えてたんですね。
私がもし、うちの館長のように物知り博士だったら、
もう何もしなくてもできるんしょうけど、
自分でも勉強しながらやっているので、
電車のなかでも考えたりしてますね。
こう、かまえず書けるというか、
スケジュール管理にとどまらないで、
この1冊で考えごとができる。
そういうところがこの手帳のいいところですね。 |
ーー |
講座のテーマは、
ライフワークとおっしゃっていた版画ですか。 |
小山 |
そうです、そうです。
学芸員って、だいたい専門を持っているんです。
歴史とか、民俗学とか、考古学が専門とかですね。
で、私は浮世絵が専門です。
34万点の資料のなかでも
とくに浮世絵のことを重点的に見るのが
ひとつの仕事、という意識がありますね。 |
ーー |
暦の連載がご縁で、とさきほどお話にも出ましたが
小山さんはふだん、旧暦を意識されたりしますか? |
小山 |
してますね。
その連載の取材を受けた近松の話を聞いていて、
私自身もすごく感動したんです。
日本の四季の大切さをあらためて考えたのと、
日付と気候と自分の感覚が合わないなって、
なんとなく感じていたので。そういうときに、
「日本にはもともと和暦があって」という話を聞いて、
「あぁ、なるほど」と思ったんですよ。
七夕の日が晴れないわけとか、ほんとに納得しました。
それから「満年齢早見表」、これもよく見てますよ。 |
ーー |
あ、そうですか。 |
小山 |
明治、大正から年号が載っている手帳なんて、
ほかにないですから、これは、ありがたいです。
資料には、必ず年号をつけるんですね。
西暦を年号でいうと、あるいはその逆とか、
そういうときに、
昭和と大正はだいたい覚えてるんですけど、
明治時代になるとちょっと厳しいんですよ、私。 |
ーー |
満年齢早見表をそうやって活用されている話は、
はじめて聞きました。
1901年から載せている甲斐があります。 |
小山 |
でね、私たちの取り扱っている資料って、
さらに遡った時代のものが多いんです。
だから、そう、
江戸時代まで載ってるともっとうれしいですね。 |
ーー |
(笑) |
小山 |
ぜひ、江戸を(笑)。
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