「ほぼ日手帳」には、ずっと興味があったんです。 |
石田 |
去年まで使っていたのは、
あるブランドものの手帳だったんです。
でもそれは、
「ほぼ日手帳」の半分ほどの大きさしかなくて。 |
—— |
小ぶりですね。手のひらに載るくらいでしょうか。 |
石田 |
はい。それはそれで、持っている充足感があったり、
気分を高揚させてくれるものではあったんですが、
どうにも使いにくくて。
それで、何かいい手帳はないのかって、
ずーっと探していたんです。
それで去年は「無料お試し版」を注文して。
「ほぼ日手帳」は“自分で作る手帳”という感じがして、
いつか使ってみたいと思っていたんです。
これはいい! とすぐに思いました。
もう絶対に今年、2008年からこれを使おうと思って、
今、ちょうど2ヵ月経ちました。
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学生に戻ったみたいな楽しさがあります。 |
—— |
実際に使ってみて、いかがですか? |
石田 |
楽しいです。なんと言うんでしょう、
学生に戻ったみたいな感じがするというのかな。
カバーに何かを挟むという発想も、
昔、透明の下敷きに挟んだのと同じですよね。
今の学生さんはどうかわかりませんが、
私の学生時代は透明な下敷きに何でも挟むという
時代だったんです。
その下敷きのコラージュのようなことが私は大好きで。
レースペーパーとか、色鉛筆で自分が描いた絵とか、
ハーゲンダッツのアイスクリームのメニューとかを
入れて、授業中に眺めて喜んでたんですよ。
そのときの気分をちょっと思い出してます。 |
—— |
今もカバー・オン・カバーにはパンダがいますね。 |
石田 |
うちの姪、妹の子どもがパンダが大好きで。
その子の影響で、私もパンダが好きだったということを
思い出したんです。
これは前にどこかで買ったシールですね。
挟んでいるだけですが、
ちゃんとここに収まってくれるんですよ。
大人なのでいろいろと、
挟み方も大人らしくしようと思って(笑)、
ここまでにしてみました。
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—— |
いえいえ、透明下敷きのように、
どんどん発展させてください(笑)。 |
石田 |
そうですね。
皆さんが使ってるのを(この手帳クラブで)見ると、
小口の部分に名前のスタンプを押したりとか、
すごく自分のものになってますよね。
そういうことが、
これまで使っていた手帳にはなかったんです。
それに私、けっこうメモ魔で、
思ったことをすぐ書く癖があるんです。
前の手帳は見開きで1週間、
1日のスペースはとても小さくて、
だから、どうしても(書くスペースが)
足りないんですよね。
足りないんだけど、ま、いいやと思って、
ちっちゃい字で書いていたんですが、
そんな生活も、もう嫌になって。
ほんとにこれは、重宝してます。 |
書くことは、なんでもいいんです。 |
—— |
この2ヵ月間、どういうふうに使っていますか? |
石田 |
もう、とにかく鞄に必ず入っていて、
私はひとりでお茶を飲んだりもよくするんですが、
そこで、お茶を飲みながらいつもこれを開いて、
何か書いてるという……寂しく(笑)。 |
—— |
そんなことは(笑)。
糸井がよく言っているのは、
ひとりで喫茶店とかに入ったときに、
何か手持ち無沙汰感を埋めるのが文庫本で、
今は手帳がその役目をしてるって。 |
石田 |
そういうところもあるのかな。
でも、単純に楽しいんですよ。
この下に書いてある日々の小さな言葉にも、
とてもいい言葉がたくさんあって、
それをずーっと読んだりしてるんです。
あ、そうだなって思うこと、いっぱいあるんですよね。
ただ、ちょっと女学生ぶってるような自分が
恥ずかしくなるときもありますけど(笑)。 |
—— |
(笑)それはどういうことでしょう? |
石田 |
こう、シールとか貼ったりして、絵なんか描いて。 |
—— |
あ、絵も描いてあるんですね。 |
石田 |
ええ。
何か買ったら、それの絵を描いたりしてます。
いつもではないですけどね。 |
—— |
たとえば最近買ったもので何か、
絵に描かれてるものはありますか?
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石田 |
(手帳をめくりながら)
シトラスジューサーの絵が描いてありますね。
それはまるでこう、栗みたいな形なんですけど、
「恵比寿三越でシトラスジューサーを買った」と。
その横に絵が描いてあります(笑)。
とか、なんでもいいんです。
観たTVでよかったものの題名を書いておくとか、
今年のスローガンとかね。
なんでもいいんです、ほんとに。
私は、やっぱり文字が好きなので、
何かを書いたり、読んだりすると、
すごく精神的に落ち着くんです、昔から。
だからこれはほんとに、ね、何か楽しいですよ。
忘れると、悲しくなります。 |
—— |
先ほど「メモ魔」とおっしゃってましたが、
エッセイのご本もたくさん出されてますね。
この1日1ページのところには、
そういう、エッセイにつながるようなことも、
日記のように書かれているんですか? |
石田 |
手帳には、今日食べたものとか、
町で見かけて何か気になる言葉とかを
断片的に、ただメモしているだけなんです。
日記は、何でも書くノートというのがあって。
いま使っているのはスケッチブックみたいな
こんなに大きいものなんですけど、
そういう、絵も字も何でも書くノートが1冊、
家にあります。
これは毎日じゃなくて思い立ったときに書いていて、
高校生のころからなので、何冊にもなります。
そういうの、癖ですね。
文字を書くことができないと、
すごくストレスが溜まるんです。 |
—— |
書くこと、とくに「手で書く」ことは、
石田さんにとってほんとに大事なことなんですね。
いつも手書きですか? |
石田 |
手書きです。エッセイの本を出したときには、
全部パソコンで書いていて、
それはそれで、手書きでは絶対に書けない言葉を
パソコンで書くことで思いついたりするので、
あ、って面白いことがあったんですけど。
でも、基本的に自分の字で書かないと
考えが落ちて来ないという気がするんです。
パソコンで書いた文章は、
あとで読むと、何か気持ちいいけど、
カッコよすぎてしまうこともあって(笑)。
この手帳は、使いはじめてまだたった2ヵ月ですけど、
あのとき、自分が何を考えていたかが、
わかるようになってると思いますね。
だから、落としたらちょっと怖い(笑)。
日記と同じでちょっと人には見せられないけど、
(手帳を開きながら)
だいたいこんな感じですよ。 |
—— |
(遠目にのぞいて)
あ、ほんとに走り書きをばーって。
しかもぴっちり書いてありますね! |
石田 |
書いてないときは何も。
あ、猫の顔とか描いてますけど(笑)。
こうして見ると手帳って、
そのときの気分もわかりますよね。
ただ仕事の予定だけ書いてある日とか、
何も書きたくないときは、もちろん書かないので。

あと、手帳に旧暦とか、月の満ち欠けがあるのも、
私にはけっこう嬉しいんです。
新月は願いごとをすると叶うとかいいますよね。
新月のマークがあると、ちょっと空を見て、
何か祈ってみようかなとか思ったりしてます。 |