僕、洋服のデザインも好きですけど、
プロダクトデザインも好きなんですよ。
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ほぼ日 |
平さんの「リキッド・シリーズ」、
すごくいい反応をいただいてます。 |
平 |
ありがとうございます。
そう言っていただけるとうれしいですね。 |
ほぼ日 |
僕らもデザインをお願いした方のカバーが
評判がいいのはすごくうれしいです。
「お願いしてよかった!」って実感してますよ。
じゃあ、まずは、
お願いしたころのお話から聞かせてください。
「平さんがデザインしたカバーを出したい」と
僕らがオファーをしたとき、どう思いました? |
平 |
いやぁ、さすがに驚きましたよ。
「え? 手帳のカバー?」って。 |
ほぼ日 |
ですよね。 |
平 |
でも、単純にうれしかったです。
僕、洋服のデザインも好きですけど、
プロダクトデザインも好きなんですよ。
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ほぼ日 |
これまでにプロダクトデザインを
手がけたものってあるんですか? |
平 |
あるんですけど、
やっぱりバッグのようなファッションに
関係してくるものになっちゃうんですよ。 |
ほぼ日 |
じゃあファッションとはまったく別な
アイテムのデザインって‥‥。 |
平 |
えぇ、初めてでした。 |
ほぼ日 |
なるほど。初めてにして
このカバーデザインとは
さすがとしか言いようがないです。
じゃあ、自分の専門の分野とは
ぜんぜん違う分野の依頼だったわけですが、
どうやってデザインを考えていったんですか? |
平 |
最終的に3種類のリキッド※が
カバーになりましたが、
最初のころはリキッド以外のデザインで
挑戦しようと考えていて、
リキッドじゃないデザインも
いくつか作ったんですよ。
※リキッド
まるで生地に液体をかけたかのような
プリントが印刷されたデザイン。
平さんといえばこのデザインという
代表的なデザインです。 |
ほぼ日 |
へぇー。 |
平 |
でも、やっぱり初めて手がけるものだし、
表現したいことが伝わりやすいほうがいいな
と思ってリキッドで3種類作りました。 |
ほぼ日 |
たしかにリキッドって
平さんにとっては「名刺代わり」
みたいなところありますもんね。 |
平 |
(笑)。 |
リキッドが持っている雰囲気を
ここまで再現してるのはスゴイですよ。
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平 |
「リキッドでいこう」と決まったとき
じつは、その場でフリーハンドで
液体部分のところを描いたんですよ。 |
ほぼ日 |
えっ?!
あのダラリと液体が垂れているような曲線って
フリーハンドで描いたんですか? |
平 |
そう。
「ほぼ日」におじゃましたときにその場で。 |
ほぼ日 |
(カバーをマジマジと見ながら)
ここ、フリーハンドなんだ‥‥。 |
平 |
今回の手帳カバーに関しては、開いたときに
垂れている長さの長いところと短いところが
バランスよく、アシンメトリー(左右非対称)に
配置されているのがいいな、と思ったんです。
だから、何度も何度も描き直して
やっと納得のいくものが描けたのを覚えてます。
▲右から3つ目の「垂れ」がもっとも長く、
一番左がもっとも短い。開いて見ると、
アシンメトリーなのがよくわかると思います。
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ほぼ日 |
その理想がきちんと収まってますよね。 |
平 |
あと、垂れた部分にはきちんと丸みがある、
っていうのも大事なところです。
これはもう個人の好みなんですが(笑)。 |
ほぼ日 |
いえいえ、それが大事ですから(笑)。 |
平 |
あとはいかに自然であるかを気にしました。
やっぱり「垂れる」って自然現象ですからね。 |
ほぼ日 |
なるほど。 |
平 |
そういういろいろな要素を踏まえてみても
よく描けたと思いますよ。
ただ、洋服の場合はある程度の面積があるので、
デザインしやすいのですが、
手帳カバーの場合はこの小さな面積で
リキッドのデザインを
表現しないといけないわけです。
実際にデザインを起こすときも
面積を「やりくり」するのが
けっこうたいへんでしたね。
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ほぼ日 |
手帳の面積が小さいばかりに‥‥。
そんな苦労があったんですね。
じゃあ、実際に仕上がったカバーを
ご覧になったときはどう思いました? |
平 |
いや、それはもう、
とてもよくできあがっていることに驚きました。 |
ほぼ日 |
それを聞いてひと安心ですよ。 |
平 |
うん、ただ単にインクが生地の上に
ベタっと乗るだけじゃなくて、
乗ったインクから下の生地が透けるような、
そういった雰囲気までも
キチンと再現しているのはスゴイですよ。 |
ほぼ日 |
ありがとうございます! |
平 |
ほかのプリントカバーとは
いろいろと違うらしいですね。 |
ほぼ日 |
はい。ちょっとだけ裏話を話しますと、
正直、このリキッドをプリントカバーで
再現するのは少々難しかったんです。
ただのプリントしただけでは
リキッドとは程遠いものになってしまう。
どうやったらリキッド特有の
生地にインクが乗っている質感を表現できるか
いろいろ試してみました。 |
平 |
この再現性の高さの裏には
そんな紆余曲折があったんですね。 |
ほぼ日 |
さらに、プリントカバーのなかでも
リキッド・シリーズだけ
糸の太さを太くした生地を使っていて
見た目や手触りを変えてるんですよ。 |
平 |
たしかにこう、
がっしりとした触り心地がありますよね。
生地の目が粗くて、
ナイロンというよりもキャンバスに近いですよね。
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ほぼ日 |
そういういろいろな要素がうまくいったおかげで
今回のリキッド・シリーズの
完成度につながったというわけです。 |
平 |
なるほど。ここまでしてもらえたうえに
やっぱりこの完成度の高さはうれしいですね。 |
ほぼ日 |
そういうわけで、リキッド・シリーズを
ぜひとも、よろしくお願いいたします! |
平 |
よろしくお願いします! |