A5版カズンの製本について
お知らせします。
2008.11.03
ほぼにちわ、です。

先日の手帳クラブで紹介しましたが、
A5判の「ほぼ日手帳2009 COUSIN(カズン)」の
11月分をおためしで使っていただけるように、
ダウンロードできるデータを用意しました。
カズンに興味はあるんだけど、
大きさの感覚がいまいちわからないなあとか、
実際に1日1ページに
どれくらい書き込めるんだろう?
と知りたいかたは、
よかったらおためしくださいね。

☆カズンの11月ダウンロードサービスは、
 こちらのページからどうぞ。


ところで、本日もカズンの話題です。
カズンがお手元に届いたかたから、
「文庫本サイズのものと
 製本がちょっと違うみたいなのですが、
 使用した感じや強度は同じですか?」
といったお問い合わせをいただいています。
そうなんです。
カズンも、文庫本サイズと同じく、
手でおさえなくても180度パタンと開く
製本になっているのですが、
背の部分が微妙に違うんです。


通常版を180度開いた状態での背の部分。


A5判のカズンを180度開いた状態での背の部分。
空洞があるのがわかります。


上の写真を見ていただくとわかるように、
A5判のカズンは、
180度開くと背のところに空洞ができます。
実は、この空洞が、
手でおさえなくても180度開くようにするための
ポイントなんです。
本日は、「ほぼ日手帳2009」の文庫本サイズと
A5判サイズのカズンの手帳本体の
製作を担当している、
凸版印刷の伊集院暁さん
カズンの製本についてお話をお聞きしました。



凸版印刷・伊集院暁さん

ーー文庫本サイズとA5判サイズの製本は、
  どんなふうに違うんですか?


伊集院さん:
  まず、印刷した紙を
  文庫本サイズとA5判サイズ、
  それぞれの大きさに折りたたむときの、
  折り方が違うんです。
  ほぼ日手帳は、紙も薄めの、
  トモエリバー用紙を使用しているので、
  文庫本サイズとまったく同じ作りかたですと、
  カズンは、文庫本サイズの倍の大きさな分、
  折りたたむうちに、
  折れ線やシワがついたりしてしまいます。
  また、文庫本サイズと同じ製本方式だと、
  背の部分が平にならずガタガタしてしまい、
  背に糊が均等につかず、
  糊の量が少ないところは、強度も落ちてしまいます。
  つまり、文庫本サイズと全く同じ作りかたでは、
  製品として完成しないんです。

ーーA5判サイズの製本は、どのようなものなのですか?

伊集院さん:
  そもそもほぼ日手帳は、
  1日1ページの手帳でページ数が多く、
  これだけの量のあるものを、
  きれいに180度開かせて、
  しかも1年間耐えうる強度を維持するのは、
  印刷業務を専門に扱っている私たちにとっても
  なかなかむずかしいことです。
  そこにくわえて、カズンは大きさが倍で、
  文庫本サイズ以上に、
  180度きれいに開く製本がむずかしいということが
  わかりました。
  そこで参考にしたのは、辞書の製本です。
  辞書は分厚い上に、開きも比較的よいので、
  辞書の製本(上製本)のやり方を採用しながら、
  カズンにあった製本でつくることにしました。

ーーカズンの背の空洞はなんのためにあるのですか?

伊集院さん:
  この空洞が、手でおさえなくても180度開くために、
  大事なポイントになります。
  開いたときにできる三角形の空洞の底辺が
  手帳本体を支えているんです。
  よく見ていただけると
  おわかりいただけると思いますが、
  開いたときにできる空洞の底辺の、
  左隅と右隅はそれぞれ4ミリずつ、
  糊を貼ってない部分を設けています。
  その4ミリがあるから開きがよくなるんです。

ーー毎日使っていて、強度はだいじょうぶですか?
  また、強度をあげるために、
  工夫していることはありますか?


伊集院さん:
  お使いいただくかたの使い方にもよりますから、
  どんな場合でも絶対だいじょうぶということは
  言えませんが、
  強度をあげるために工夫をしています。
  表紙と本文の紙(トモエリバー)の間に、
  クリーム色の厚紙がついています。
  これを「見返し」と呼ぶのですが、
  見返しと本文の紙(トモエリバー)を
  くっつける糊の幅が強度と関係します。
  今回のカズンでは、見返しと本文の紙(トモエリバー)の
  糊の幅を、通常よりもかなり広くして、
  強度を強くしています。


▲見返しと本文の紙(トモエリバー)の
 糊づけの幅を広くとっているのがわかります。


伊集院さん:
  また、同時に見返しと表紙の水色の厚紙も
  強く接着しているので、
  同じくこれも強度アップの要因のひとつとなります。

  おそらく、みなさんは、使っていく上で、
  背の空洞の三角形がきれいな正方形じゃなかったり、
  カズンの本体の空洞が、
  使っていくうちに、少し端がはがれてきたりすると、
  「1年もつのだろうか?」と
  不安に思われるかもしれませんが、
  さきほどお伝えしたように、
  見返しと本文の紙(トモエリバー)の接着は
  かなり使っても完全に取れることはないと
  私どもも検証済みですので、
  あまり不安に思わないでいただけたらと思います。
  また、使っているうちに、
  多少、背のクロスがはがれてきても、
  見返しと本文の紙(トモエリバー)が
  きちんと接着していれば、
  強度には問題はありませんので、
  安心してお使いいただけたらと思っております。

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伊集院さん、ありがとうございました。
今回のA5判のカズンは、
実際に開きをよくするために、
凸版印刷さんがいろんな製本を検討しながら、
もっとも開きがよく、強度も高い製本として、
採用しました。
今年はじめての商品ですので、
お使いいただいた上での使い心地を
またみなさまにお訊きしていきたいと思っています。
まずは、来月12月からカズンを使ってみて、
感想などをお待ちしております。

それでは、また!