「ほぼ日カロリーブック」
管理栄養士の竹内先生に
お話しを伺ってきました!
2007.09.06
ほぼ日手帳といっしょに入れて持ち歩ける
コンパクトなサイズの「ほぼ日のカロリーブック」
カロリーという言葉はよく耳にしますが、
実際、健康やダイエットのために、
どんなふうに使ったらいいのか、
このカロリーブックを監修していただいた、
管理栄養士でダイエット・クリエイターでもある、
竹内冨貴子先生にお話しを伺ってきました!


自分の食べたいものは食べたいでしょう?
人生長いから、調節しながら、ね(笑)。


ほぼ日 今回、先生に監修していただいた
「ほぼ日カロリーブック」は、
どういうことを意識して見ると良いでしょうか?
竹内先生 やっぱり毎日の生活で
いろんなものを食べるから、
それがどのぐらいのエネルギーがあるのか
覚えていくと、
こっちよりこっちを
選んだほうがいいのかな?
という意識が自然と出てきますよね。
きっちりと1日で摂った
カルシウムの量をチェックしたりするのは
大変かもしれないけど、
こういったカロリーブックを見て、
1日分のカルシウムを摂るんだったら、
自分だったらどういうパターンで
摂ればいいのかとか、
いろいろなパターンを見ながら考えるだけでも
違うと思います。
ほぼ日 1日に必要なエネルギーや
栄養素の目安って、
年齢やどんな仕事をしているか、
あと体重との関係があると思うのですが、
何か指針になるようなものがあったら
教えてください。
竹内先生 厚生労働省のホームページで、
1日の食事の摂取基準が示されて
いますよ。

栄養素の指標は、全部の人が
それを摂れば足りるところで
決めているんですけど、
エネルギーについては平均値になっています。

1日に必要なエネルギー量は、
性別や体の大きさ、運動量でも違うし、
筋肉量でも違う。もう個人個人ですね。
だから、あくまでも摂取基準というのは
エネルギーについては目安なので、
自分がどれだけ食べたら太るのかというのを
自分で覚えることが大事になってきますね。
ほぼ日 指標の通りにしようと神経質になりすぎない、
ということですか?
竹内先生 みなさんわりと、エネルギーを気にして、
食べるのを控えなきゃと
思いこんでいるところがありますが、
でも、エネルギーをとり過ぎることって、
そんなに悪くない。

もちろん、毎日毎日摂り過ぎるのは
よくないけれども、
自分の食べたいものは食べたいでしょう?
自分の食のスタイルみたいなものを
作っていくのに、やっぱり好きなものが、
どのくらいのエネルギーがあるかわかると、
じゃあ、今まで無駄にとってたものを
減らそうとか、そういう調節ができますよね。

もちろん、ほかにも
どんな栄養素が入っていて、
それを食べたときはほかに
何を摂るのがいいのか、
ということもやっていければ
一番いいんだと思うんですけどね。
人生長いから、調節しながら、ね(笑)。



“自分の体が食べるもので作り変えられている”
ということを意識しながら食べる。


ほぼ日 食べるときに気を付けたいことなど、
何か気持ちに留めておくと
いいようなことがあったら
ぜひ教えていただきたいんですが。
竹内先生 私たちの体は、本当に、
食べたものの栄養素で作り変えられていくので、
毎日の食事の栄養のバランスがどうなっているかで、
短期間では差が出ませんが、
長期になればさまざまな差が出てきます。

何かの不足が続いたりすると、
急には出てこないけれども
歪みが出てきて、病気になったり、
微妙なコントロールが狂ってきたり、
ということが起こってきます。

“食べる”ということは、
日常では、お腹がすいたことを
解消するとか、食べたいものを食ベる、
ということになっていますが、本来は、
“自分の体が食べるもので
 作り変えられている”
ということを意識しながら食べないとダメです。
ほぼ日 確かにそう思うと、
食事をするときに選ぶものが変わりそうです。

7、80点ぐらいの食事を続けていれば、
たまにダメな日があってもいいんです。


ほぼ日 今、60代後半ぐらいの人が成長期だった頃と、
今まさに成長期の若者の日本人の食生活だと、
体が受けている影響もかなり違いそうですね。
竹内先生 日本の昔の食生活では、
あまり油を使ってませんからね。
タンパク質も少ないし。
だから、それが良かったということでは
決してないです。
感染症には弱かった、
という面もあります。
それに、今の簡単な食事が
悪いということでもなく、
やっぱり何をどう食べるか、だと思います。

同じ手間でも食材を選べば、
摂れる栄養素が当然違ってくるわけなので、
効率よく栄養素が摂れる食品などを
知っている必要がありますよね。

エネルギーや栄養について、
100点の食生活を毎日続けなくても、
7、80点ぐらいの食事を続けていれば、
たまにダメな日があってもいいんです。
人間の体っていうのは、
そんなことではへこたれないような
システムなので。
ダメだなっていうのを、
ずっと続けることがよくないんです。
ほぼ日 1週間のうち、
1日だけ完璧にいい食事をするより、
70点くらいの食事を毎日、ですね。
竹内先生 そう、100点は、続きませんからね。
とにかく続けないと。
健康な人が食事を意識するとき、
ほとんどの場合、
減らさなきゃ、減らさなきゃと思うから、
やりにくいんだと思うんです。

でも、自分の中で、このぐらいの食事量を
確保できなかったらいやだ、
というのがあるじゃないですか。
それを食べられるまで
やっぱり体を作らないとダメ。
だから、動いて筋肉をつけておけば、
同じ体でもたくさん食べても
太らなくなるわけだから、
もうそれ以外にないですね。
ほぼ日 年齢とともに基礎代謝が落ちてくるから、
筋肉をつけておくというのは
すごく大事なことになってくるんですね。
竹内先生 そうです。自分の体って、
体重を量らなくても太ったかどうかは大体わかるし、
食べ過ぎたかどうかっていうのは
わかるじゃないですか。
わかったときにやっぱり少し注意をして
動くとか、ちょっと減らすとか、
こまめに調節すれば、
そんなにどんどん太ったりすることはないんです。

だから、体重の管理はそんなに難しくないと思う。
でも栄養素の不足は、
すぐには表面に出てこないから、
カルシウムにしても何にしても、
摂れているかどうか
自分でチェックをしていないと、
あるとき“ドッ”とツケがまわってきます。


(カロリーブックの中のページです。)

カルシウム、ビタミンC、食物繊維、食塩、
知っておきたい基本的な栄養素について。


ほぼ日 ほぼ日のカロリーブックは、
カルシウム、ビタミンC、食物繊維、
食塩といった、
知っておきたい基本的な栄養素を
載せていますが、
それらの働きについて
特徴を教えていただけますか?
竹内先生 【カルシウム】
カルシウムは、一番は丈夫な骨ですよね。
女性は特に骨粗しょう症に
なりやすいので、大事な栄養素です。
それ以外にビタミンCと一緒に摂ると、
ストレスに対する抵抗力が
つくので、カルシウムは、
とくにストレスと骨に良いです。

【ビタミンC】
ビタミンCは、タンパク質と一緒に摂ると
コラーゲンが生成されます。
抗酸化のビタミンでもあるので、
女性だったら気になるお肌の張り、美白にも
やっぱりビタミンCが必要です。

【食物繊維】
食物繊維は、栄養素ではなく
食品の中の成分なんです。
消化吸収されないことで、
血糖値や血圧を上げるのを抑えたり、
コレステロールを下げたりとか、
いろんな働きがあります。
簡単な食事をしていると
不足しやすいので、ほとんどの人が
ちゃんと摂れていないと思います。
豆や根菜には食物繊維が
多く含まれているので積極的に摂るように
心がけるといいですね。

【塩分】
塩分は、味付けをしなくても
食材中に含まれているナトリウムで、
足りてしまいます。
できるだけ抑えるのが理想的ですが、
実はどのくらい摂ったか把握しにくいものです。
みんながみんな同じ量摂ったからといって、
同じように血圧が上がったりするわけでは
ありませんが、血圧が上がらないからといって、
でもやっぱり摂り過ぎはいけません。

【脂質】
動物性の脂肪は、意識しなくても
通常の食事の中に何かしら入っていますし、
体の中でできるので、
肉などの脂肪はできるだけ抑えるようにします。
植物油と魚の油には
体内で合成できない脂肪酸が含まれているので、
摂らないと、脂肪酸の不足が起こってきます。
ただ、今の食生活を考えると、
通常、健康で普通に食事をしている人は、
ほとんど不足するということはないでしょう。

自分にとって必要な食の知識をプールして、
コントロールしやすく。


ほぼ日 カルシウム、ビタミンC、食物繊維は、
意識して摂るようにして、
脂質と塩分については
摂り過ぎに注意するということですね。
竹内先生 そうなんですよ。
栄養素以外でも、ポリフェノールなどの
機能性成分も積極的に摂っていくのも
おすすめです。
機能性成分には抗酸化力があるものが多く、
ほとんどが植物性の食品に含まれています。
それは、太陽の紫外線からの
ダメージを防ぐために、
抗酸化力のあるものを持っているからなんです。

そして、人間がその植物を
食べることによって、それを私たちが
体の中で使うことができる。
だから、本当にいろんな食品の恵みを
食べているので、もうちょっと
そういうことを意識して食べたいですよね。
ほぼ日 確かにそういうお話しをうかがうと、
“自分の体が食べるもので
 作り変えられている”
というイメージもしやすくなりますね。
竹内先生 食事を改善していくには、
1年先にはかなり改善できているという
長期的なやり方でなければ、
本当に自分に合ったものはできてこないです。
その間に、こういったカロリーブックを
利用したり、もっと詳しい食品成分表を
見たりしながらでも、
自分にとって必要な食の知識を
プールしていけば、
すごくコントロールがしやすくなります。
他力ではなかなか持続できるものは
出来上がらない。

年齢が違えば嗜好も変わるし、
そのときどきのライフスタイルに合わせて、
自分の食を考えていかないといけないので、
それにはエネルギーだけじゃなくて、
栄養素や食品の成分の知識も、
なるべくたくさん持っている人のほうが
上手にできますよね、無理なくね。



“食べたものが体になる”というのは、
食べる前に思い出したい言葉だと思いました。
竹内先生、ありがとうございました!

なかなか続かないダイエットや、
毎日考えるのが難しい食事のバランス。
まずは、続けるために、ほぼ日手帳といっしょに、
この気軽なカロリーブックをお試しいただけると嬉しいです!




竹内冨貴子先生プロフィール
女子栄養大学栄養学部卒。
管理栄養士、ダイエット・クリエイターとして活躍。
竹内冨貴子・カロニック・ダイエット・スタジオを主宰し、
女子栄養大学短期大学部、香川栄養専門学校で
講師をつとめる。
テレビ、新聞、雑誌などのメディアに多数出演。
著書も多く手がけている。
近著に「おなか周りマイナス10cm目標“若返りダイエット”」
「血圧を下げる!レシピ」(共に日本放送出版協会)。
【講演予定】
9/16「親と子の東大現役合格作戦」(河合塾 新宿校)
10/27「カルシウムのとり方とその料理」(女子栄養短期大学学園祭)
ほか多数