「今日も1日ドリルの整備」
「雪の中を走っている」
南極でずいぶん書きました。
2007.05.21
2005年10月、南極にほぼ日手帳を持って
旅立った方の話、覚えていますか?
(覚えていない方は
 「南極ほぼ日手帳ものがたり。」をぜひどうぞ!)

第47次南極観測隊の斎藤健さん、
ほぼ日手帳CLUBでは奥様の亜希子さんが
2007年版の手帳選びで登場しています。

そして、南極へ旅立ってから約1年半、
先月、斎藤さんが無事日本に帰国されました!

さて、さて、南極に旅立つ前は
手帳に白いスペースが目立っていたという斎藤さん。
南極での手帳生活はどうだったのでしょうか?



斎藤 去年の手帳も持ってきたらよかったね!
今年のは持ってきたんだけど。
なんかずいぶん書きましたよ。
よっぽど暇だったんだな(笑)。
だいたいその日に何をしたか、書いてました。
「今日も1日ドリルの整備だ。1月3日」(笑)。

気温も書いてるな。
「正月はマイナス31.8度でした」。
(手帳をめくりながら)
これ何だろう。あ、基地の食堂だ。
なんか酒飲んでるときに描いたんだな。


ーー お酒の席に手帳があったということですか?
斎藤 うん、普段から手帳は持ち歩いてました。
あまりまずいことも書いてないんで、
そのへんに置いておくんです。
(手帳をめくりながら)
大体酔っ払って書いてるんですよ。
ーー 書いてあることに、
南極ならではの言葉もありそうですね。
「ドームふじ、36本、雪尺」?
斎藤 雪尺というのはただの竹ざおなのですが、
ある地点にその竹ざおを立てて、毎年、長さを測る。
すると、そこで雪が
どれほど積もっているかがわかります。
100メートルの中に36本、格子状に立てて、
それを測っているんです。
仕事の細かい記録は
「野帳」というノートにつけていたのですが、
この手帳には個人的に気になったことや、
やったことを書いていました。

‥‥これ何だ?
あ、ベッドだ。雪上車の中だ。


ーー 雪上車の中でも手帳を書いていたんですか?
「走った」?
斎藤 そう、そう。
24時間、雪上車で走っちゃったんだ、確か。
時間がないから夜中も。
けっこう疲れたな、これ(笑)。
ドライバーは2人で交代なんだけどね。
車は揺れるし、遅いし、
風景もまったく変わらないんですよ。
「雪の中を走っている」
ただそれだけのことを、書いてますね。
ーー ある意味、変化がなさそうなのですが、
それを書き留めていることが
後で見返すと楽しいですね。
食べ物のことも書いてありますよ。
「タマネギ、肉そぼろ」?
斎藤 なんでだろう。
これは「しらせ」に乗った日か。
なんかね、
印象に残ったどんぶりだったんですよね。
南極を出て、オーストラリアに向かう
船「しらせ」に乗ったあたりからは
もう、こんなんばっかりだ。
寝て、起きて、食べて‥‥。

船の中でも、船の時間に合わせて
6時前にはちゃんと起きるんですよ。
それで、ご飯を食べて寝ちゃう。
やることとしては報告書づくりがいっぱいあるのに
ギリギリになるまで
提出しないで寝てばっかりでした。
そんな様子が手帳に書いてある(笑)。
ーー それだけではなさそうですよ(笑)。
「天気もよく、夕日があたるシェッゲが‥‥」?
斎藤 「シェッゲ」というのは
400メートルぐらいの崖なんです。
そこに夕日が当たってすごいきれいだったなぁ。
海から出ている岩なんですよ。
ノルウェー語か何かで
「ヒゲ」って意味らしいんですが、
初めて見た人が、ヒゲのように見えたから
「シェッゲ」って名前がつけてあるみたいです。
南極にいるとスケールがまったくわからなくて、
「たいしたことないなあ」と思っていても、
400メートルぐらいあるんですよね。
そのへんにある岩と変わらないって思っていても
ものすごく高くて、スケール感が全然違いました。
ーー 南極での日々から、旅立ち、到着までに
目に映った景色や感じたことが
描かれている手帳になっていますね。
最後のほうは、シドニーに‥‥
斎藤 入港の日だ。
「いよいよ文明地」って。
そのあとは続いて‥‥ないですね。
ひどいな、俺(笑)。
ーー それもまた斎藤さんらしいですね。
奥様との感動の再会の様子とかは?
亜希子 全然書いてない(笑)。
徐々に書かなくなっていくならわかるけど、
100から0。いや、すごい!
旅立つ前は全然書いていなかったので
南極でこんなに書いてるとはビックリしました。
極端すぎますけどね。


ーー また気が向いたときに
書いていただければ‥‥(笑)。
もしくはまた南極に行ったときにでも?
斎藤 また、だんだん行きたくなってます(笑)。
亜希子 行きたいみたいです(笑)。
ーー では、またそのときに
ぜひ手帳にびっしりと書いてください!
今日はどうもありとうございました。





斎藤さん、亜希子さん、
1年半の南極生活&日本でのお留守番生活、
大変お疲れさまでした!!

斎藤さんの
まったく書いていない日々

すきまもないほどびっしり書いている日々

またまたまったく書いていない日々

という極端な使い方を見ると
白い日もびっしりと書いてある日も
どちらも斎藤さんらしい手帳なんでしょうね。
斎藤さんの手帳には
あまり使い方を決めすぎずに、
手帳を楽しむヒントがありそうです。

さて、「ほぼ日手帳」チームは2008年版に向けて、
みなさまのアンケートやメールを励みにしながら
着々と製作を進めています。
ときどきこちらのページで製作途中の様子も
レポートしていきますので
ぜひのぞいてみてくださいね。