USAGI
東京糸井重里事務所の給湯室より
「うさぎ公団」の世界征服計画?!
いろんな用事で、「ほぼ日刊イトイ新聞」やら
「東京糸井重里事務所」に
訪れる方々は、(最近気がついたのですが)
サイトウさんにばかり
会っているらしいのです。

うちの事務所は、サイトーさんと、キヨタさんという
ふたりの優秀なマネージャーの連係で成り立っているのです。
キヨタさんは、大型クルーザーの
販売代理店の経営もやっているので、
うちにいる時間は少ないのですが、
ちょっと外人離れした顔だちの
クールな女性です。

このふたりの、業務連絡用のメモが妙に興味深かったので、
ここに転載しました。

                  3月3日(桃)

キヨタさんへ


朝から糸井事務所に漂っている、なにやらほんわかした
いい匂い、これはなあに? と思ったら
めずらしくキヨタさんがダイニングにいらっしゃる。
な~るほど、甘酒を作ってたんですねぇ。

今日はあなたたち日本うさぎ公団の大好きな「お節句」
なんですね。
しかも、3月3日でしょ。
年に一度の「33」の日じゃないですか。
そりゃもう、今日という日を各地でいっせいに喜んでいる
うさぎたちの姿が目に浮かぶようですわ。
昔から3月3日は「桃の節句」という日なんですけれども、
いつの頃からか「耳の日」っていうのも出来たみたいで。
公には言われてないけど、やっぱり公団から政府スジへの
働きかけが、当然あったとみていいわけですね。
あ、これは国家機密でしたっけ!? 失礼、失礼。

それにしても、年に一度の3月3日。
今年もつつがなくこの日を迎えられて、よかったですね。
うさぎ公団のみなさんの、今日の祝い方などについて
教えてください、ってお願いするまえから、
もう言いたくて言いたくて、ウズウズしているのでしょうから、
言わせてあげますとも。さあ、どうぞ。   

最近うさぎ公団に妙に理解のあるサイトウより


 

サイトーさんへ


♪す~こし白酒めされたかぁ~、
          あ~かいおかおの卯大臣~♪


いやあ、ごきげんごきげん!!

「うだいじん」って「ウダイ人」っていうひとのことだと、
小さい時は思ってましたけど、「卯大臣」だったんですよ。
・・・な~~~~んちゃってね、ぐふふ、ヒック。

まあまあ、今日は無礼講ってことでね。
なんたって「日本うさぎ公団の日」なんですから。
そう!
3月3日は日本うさぎ公団の、まことにもっておめでた~い
ありがた~い、記念日なんですよ。
もう世界中のひとびとから「おめでとう」の祝電が続々と
届いてるところですよぉ!

ん?
うさぎ公団のなんの記念日かって?
なんの、って言われても、こっちが困りますよ。
ようするに「公団の日」、なんですよ。
え、それじゃ、わかんない? 
いいですか、「日本うさぎ公団」というものと
「日」というものとが、あいだの「の」でもって
固く結ばれてるってことですよ。
ね、すごいでしょ。おめでたいでしょ。素晴らしいでしょ。
・・・・・。
ま、ま、堅いことはいいじゃないですか。
こういうおめでたい日に、眉間にシワ寄せてると、
幸せ薄いひとになっちゃいますよ、サイトーさん。
「記念」は「記念」。「日」は「日」。ね。
大切なのは記念ってことで、中味は問題じゃないんです。

もちろん、日本国民のみなさまには
大々的に今日が「うさぎ公団記念日」だと
広くお知らせしているわけじゃありません。
ほんとのことを言うと
「日本うさぎ公団」の日頃の地道な活動を顕彰し、
その尊い精神や意義などについて、集会のひとつも開いて
熱く語り合ってほしいところではあるのですが、
そこはそれ、どちらかというと縁の下の力持ち、
自分たちから進んで前には出たがらない、
われら日本うさぎ公団なもので、
世間一般には「耳の日」として認識されているのです。

では、せっかくの「耳の日」というわけですから、
「耳」について考えてみようじゃありませんか。
ズバリ!『うさぎの耳は、なぜ長いのか?』
じゃーん。いきなり本質的な問題に鋭く迫ってみました。
うさぎの耳関係の質問については、常々、
当公団にも寄せられているところですが
みなさんどうもこのことについて、間違った考えを
お持ちのようなのです。
つまり、みなさんの答えは、おおむねこうです。
うさぎの耳が長いのは「敵の足音をよく聞き分けられる」
ように、だと思われているのですね。
本日、この場をお借りして、
わたくしキヨタがはっきりと申し上げましょう。
ズバリ!それは「間違い」です。
なぜなら、よく考えてみてください。
「敵の足音がよく聞こえる」ように、
耳を長くする必要があるのは、
なにもうさぎだけではないはずです。
イタチもテンも、ネズミも、いや、シカもイノシシも、
それぞれみんなが、敵の足音をよく聞きつけられるようにと
ぐ~いぐい耳を伸ばしたことでしょう。
うさぎだけがとくに生まれつき「ちと耳が遠かった」って
ハンディキャップがあったなら別ですけどね。
そういう、機能第一主義的な、必要に応じて生じた
ある一部分の特化といったようなものではないんです。
それに、はっきりいって「耳だけ長くしたってダメ」です。
草むらに上手に隠れているつもりでも、
そんなに耳が長ければ、耳だけがはみ出ちゃって、
敵から丸見えってことになるじゃありませんか。
それじゃ、なんのために長くしてんだか、
わかったもんじゃありません。
そうじゃないんです。

うさぎの耳が長いのは、ズバリ!(←3度目)
「そのほうが、かっこいい」からです!!

もしも、うさぎの耳が長くなかったら、
それこそ、ネズミだかモモンガだかムササビだか、
ちょっとみただけでは区別がつきません。
ほら、みなさんも想像してみてください。
たとえば、耳の短いミッフィちゃんを。

耳のみじかいミッフィちゃん

ま、これはこれで「かわいいかも」という声もちらほら
なきにしもあらず、ではありますが、じゃあ、
耳の短いミッフィちゃんのうしろすがたはどうでしょう?

耳の短いミッフィちゃん

これをみて、何人のひとが
「あ、ミッフィちゃんだ!」と気づいてくれるでしょうか。
せっかくのミッフィちゃんも、これじゃ台無しです。
果たしてこのように、ミッフィちゃんの耳は
いつ、どんなときでも長く、天にむかってピン、ピンと
右も左もまっすぐに立っているわけです。
ミッフィちゃん自身そのほうがいいと思っているからです。
ミッフィちゃんの耳が長くてかっこいいことで、初めて
ミッフィちゃんはミッフィちゃんだとさえ言えるのです。
この耳があるからこそ、ミッフィちゃんは
モモンガやらムササビやらから、常に圧倒的な差をつけて
「世界かわいいもの選手権」での揺るぎない地位を
保っていられるのです。

耳は、うさぎがうさぎであることの象徴、しかも
うさぎとしてもっとも大事なかっこよさのシンボルです。
敵の足音がどうだとか、そしたら早く逃げられるだとか、
そんなチンケな理由で保身に走るほど、
肝っ玉のちっちゃいうさぎたちではないのであります。

うさぎの耳がなぜ長いのか、その理由が
これでおわかりいただけましたでしょうか。
かくして日本うさぎ公団は3月3日「耳の日」を
「一年でいちばんうさぎな日」として末永く記し、讃え、
尊ぶのであります。

いやぁ、今回はガラにもなくチカラ入っちゃったなぁ~。
では、darlingさんもサイトーさんも、他のみなさんも、
「日本うさぎ公団記念日」を祝って甘酒をもう一杯、と!

ほぼ日編集部への激励や感想などを、
postman@1101.comに送ろう。

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