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ルームパンツ

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そろそろ素足の気持ちいい季節。

これから夏の終わりまで、
毎日のように履くのが、
男もののトランクスです。

え? と思う方もきっといるでしょう。

適度にゆとりがあって、
女々しくなくって、
洗濯にも強くって、
‥‥といいところばかりのトランクスは、
私の気に入りのアイテムなのです。

とは言っても、
男ものを履くのはなぁ、
というレディのために、
なんともかわいいルームパンツを作りました。

もちろん前開きはなし。
イギリスの下着メーカーであるサンスペルの、
コットン100パーセントのパンツは全部で6枚。

今日はチェック、明日は無地、
なんて日替わりでたのしみたい。

今年の夏は、
このルームパンツのおかげで清々しく過ごせそうです。

バスに乗って。

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ウールのコートを着ていたら
背中が少し汗ばんできたので、
バスの座席で体をひねりながら脱ぎました。
2月の終わり頃、特別に暖かい日のことです。
この日は、移動するたびに上着を脱いだり着たりと
忙しくしていました。
「暑いのに暖房が強いなぁ」
文句のような小さな独り言。

窓からも強い陽射しが入ってきて、
額にはジワりと汗が浮かんできます。
コートを脱いでも、下に着ているハイネックセーターの
襟元がむしむしとしてきて、居心地が悪くなります。
ニットをつまむ手は乾燥していて、
白んで皮膚が逆立っているような感じがあり、
ささくれが引っかかる。冬の嫌いなところです。

陽射しを受けた膝の上のコートから、
獣の香りがしてきます。
羊の毛でできているんだもんなぁ、と、
いちいち考えないような当たり前のことを
思い浮かべました。
そして、毛を刈るところ、糸にして織り上げて、
生地になってから服になるところまでを想像すると、
とってもおかしい気持ちになりました。
毛を刈られている時も、メェ、と鳴くのかなぁ。
なんて、何を考えているのだろう。

寒い日が続いていたのに、
突然に春のような陽気に晒されると、
戸惑う反面、期待が高まります。
あと半月も経てば、
ウールに変わってコットンが主役の季節になる。
太陽を浴びた乾きたてのTシャツに、
顔をうずめたりしたい。
なにより、肌触りが嫌いな防寒用の肌着を着なくていい
開放感を求めています。

そんな風に格好の後悔と春の喜びを考えていたら、
降車するバス停に近づいたので、ブザーを鳴らしました。
文字の書かれたランプが濃いピンク色に光ります。
ブザーの濁った高音が、なんだか間抜けで、
こことは違うところから鳴っているみたいです。
コートを手に座席を降り、またふと自分の格好を振り返る。

ひとくちに季節を春夏秋冬と四等分にするのは難しいです。
季節は行ったり来たりしながら移ろいでいきます。
春のような冬の日もあれば、秋のような夏の日もあります。
クローゼットの中身を、
気候に合わせて自分なりに工夫するけれど、
春の風にくすぐられるからと
3月の初めにハーフパンツを履いていたら、
まだ早いんじゃないの? と声をかけられました。
そんな風に、なんだか上手くいかない日も少なくはない。
もういいかな、とニットを奥の方にしまったら、
また寒い日がやってきたりと、小さな引越しの連続です。

一年の中で何度も訪れるファッションの端境期。
それが顕著な日には、
ニットの首を引っ張って肌に空気を通している、
バスに乗った自分を思い出します。
素敵な服を着るために、
素敵な人になれたらいいのにと思いながら、
そして、素敵な人になるために、
素敵な服を着られたらいいのにと思いながら、
どうしてか服装も自分自身も
トンチンカンでいてしまいます。

身の回りを整理して、ワードローブも整えて、
自然と、自分と、景色とが寄り添っていると
気持ちがいいことはわかっているのですが、
天気予報と自分の勘を頼りにしても、
なかなか上手くはいかないのです。
忙しく日々を過ごしていても、
些細なことに自然と気づけるようにしながら、
心地よくいられたら良いなと思います。
気づくということが、難しいんだけれど。
それに、ストレスを感じることもあるけれど、
装うことはたのしい、という気持ちを
忘れずにいられたら良いなと思います。
装いの違和感から所在無さげにならずに、
毎日を居心地良く過ごしていたいものです。

自分らしく。

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寒い冬も過ぎ去って、木蓮や桜が楽しめる今の時期、
ファッションも徐々にカラフルになってワクワクします。

私の住む四国の高知県は春の訪れがとても早く、
3月には太陽の強い日差しをジリッジリッと感じます。
春を満喫する隙もなく夏がいきなりやって来る!
そうなると、友人と
「そろそろTシャツとビーサンだね」
「短パン履いて早く日焼けした脚にしないとね!」
という日焼け会話に。
(サーファーの間だけです)
まだ少し寒い2月は、私は陸で着る服よりも、
サーフィンの為のアイテムが気になります。
今年の水着はどうしようか、
真夏の強烈な陽射しから肌を守る為のラッシュガードやレギンス、
Tシャツ、ボードパンツなどなど。
それらはカリフォルニアで作られている
the seeaやPATAGONIAのものを愛用しています。
陸での普段着はもっぱらジーパンに古着のTシャツで過ごします。
ジーパンは5年くらい前から着ている
resoluteとshu-jeansしか持っておらず、
でもスタイルがすごく良く見えるので、
デザイン違いや色落ち違いを毎日楽しんでいます。

子供の頃から男の子っぽいファッションが好きだし、
好みの色も変わっていません。
なので、小学生の頃自分で選んで買ってもらった
フランス製のニットや、
Gジャンは今でも着ていますよ(笑)。
母からのお下がりもとても重宝していて、
それは私の娘も着られるほど代々受け継がれています。
恥ずかしいくらいに本当に何年も同じ服を着ています。
たまに仕事で東京へ行きますが、
その度ごとに荷物は少なく軽くなっています。
1週間以上の都内滞在でも
「まあ、毎日同じでもいいかな」
とも思うようになり、小さめのザックひとつでOK。
良い意味で逞しくなってきています。

私が基本にしている事は、
シンプルで良い素材で作られたアイテムを選ぶ。
特に靴やベルト、バッグなどの小物は上質な物にすれば、
トータルで見たときに雰囲気がキュッと締まりますよね。
その上で色のレイヤーとか柄の“チラ見せ“で遊びを加えると
自分らしいコーディネートになります。
東京に住んでいた特に若い頃は、
「化繊のアウトドアウェアで全身揃えて街を歩くとか、ありえない!」
と言っていた私。
(当時アパレル企業のデザイナーをしていました。)
都会を離れ、サーフィンや畑作業、山登りなど、
以前よりも自然に身を置く機会が多くなりました。
海へ行くと海岸には大量のプラスチックゴミが漂着していたり、
森の木々は伐採されてソーラーパネルになっていたり、
様々な環境破壊を目の当たりにします。
良い方向に行くにはどうすれば良いか?
とても考えさせられます。
そんな時、じゃあ毎日身に付ける服はどうする?
と自分に問うたときに、
地球や生物にできる限り負担をかけないモノづくりをする企業から
買いたいと思いました。

私がオールシーズン愛用するパタゴニアは
ウール、カシミアやポリエステル、
ダウンもリサイクル素材を使用したり、
ウェットスーツの素材も植物ベースだったり、
壊れても捨てずに修理して再生したり、
フェアトレードのシステムも確立されて
縫製工場で働く人達もハッピーになったりと、
これでもかと思うほど徹底されてて、
実際着ていて気持ち良いです。
今では全身すっかりこちらのウェアに身を包んでおります(笑)。
永く愛され、代々受け継げるモノづくりをする人が居て、
それを使う人が居る。
そんなサイクルがもっともっと広まったら
世の中ハッピーになると思います。

端境期ってやつは。

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好きな服はどんな服かというと、肌ざわりの良い服だ。

それに重い服は肩がこるから軽い服の方がいい。

華美でなくとも、形とか色とかディテールとか、
どこかしらに、ああ、美しいな、
と思うポイントがあるものが好きだけど、
おかしな絵がドーンとプリントされた
Tシャツなんかも好きだ。

年中シルエットは決まっていて、
上半身ゆったりで下半身ぴったりか、
上半身ぴったりで下半身ゆったりの、
どちらかのワンパターンというかツーパターン。

自分では気持ちいいバランスと思って着ているが、
「今日も肌着感ていうか部屋着感がすごいね!」
と言われたりもする。

フリーカメラマンという
日々違う現場に行く仕事なのをいいことに、
洗濯して乾いたのをそのまま着て、
週に三日位同じ服、
同じ上下の組み合わせで出かけたりする。
もしかして、毎日子を迎えに行く保育園の先生は
気づいているんだろうか?
いや、きっと保護者の服なんてそんなに見てないはずだ。

途中からどんどん雲行きが怪しくなってきて、
え‥‥ちょっと待って、
この人が「ファッションの端境期」を語るんかい?!
とお思いでしょうけれど、
ええ、きっとほら、
ファッショナボーな方もお書きになるでしょうから
箸休め的に、このまま書き進めさせていただこうかという‥‥。

そんなこんなで、端境期ってのは、
えーと、季節の変わり目の何着たらいいか
わからないあれでござんすよね??
と思いながらもなんとなく不安になり、一応検索してみる。
冬物から春物と、夏物から秋物の入れ替わりの時期ね‥‥。
オッケイ。

その時期は、だいたいなんだか
肌の調子がちょいと悪くなり、
変わり目だわあ‥‥と思いながら
ホットタオルを顔に押し当ててみたりする。

その時期は、十分持っているはずの洋服の中に、
新しい季節に向かう気分に合うものが
一枚もないような気がして、
なんか‥‥なんか買いたいのよ!! と
急に欲望に火がついたりする。
その時期は、寒いようなそうでもないような日に、
温度的にちょうどいいかと
コーデュロイのコートで出かけて、
現場の人々が揃って軽やかな春のコートなんかを着てきて、
さすがに、うん、そうね‥‥
焦げ茶色のコーデュロイは秋にはぴったりだけど、
冬の終わりに着るもんじゃないか‥‥と学んだりする。
そうそう、端境期は上着でどうにか
調節するしかないですよね。
あとストールとか。

そうこうするうちに端境期のモヤモヤを通り越し、
季節は変わりゆく。
温暖化でどうもおかしな天気も多いが、
季節が巡りゆくことには変わらず、
四季のある国でよかったよなあと思う。

移り変わる過程のモヤモヤがあるからこそ、
春夏秋冬、それぞれの季節らしい日が際立ち、
春、切なく美しい桜をまぶしく眺め、
新緑と青空の気持ち良さにクラクラし、
夏の暑さにやられながらも木陰で一息、
蝉の声と入道雲にノスタルジーを感じ、
秋の紅葉と落ち葉を愛でつつ、
今年は秋らしい気持ち良い日が少なかったなあとか
ぼやきながら冬を迎え、
キリッとした寒さを味わう。

というわけで春の始まりの日々、
何を羽織ったらいいかよくわからなくなりつつ、
鞄の奥に調整係のカーディガンやらストールやらを押し込んで、
元気に参りたいと思います。

MOJITOのAL’S COAT 新色

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服の端境期に。

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寒い日が続くなぁと思ったら、
翌日は急にポカポカ陽気。
元気よく歩くと日中は汗ばむくらい
‥‥と思うと夜は冷え冷え肌寒い。
三寒四温とは、よく言ったものです。

寒くなったり、あたたかくなったりを繰り返して、
春が来るのだなぁと思うと、
天気や気候に振り回されるのはしょうがないや、
と思うけれど、
とにかく困ってしまうのが、着るものです。

この、服の端境期に重宝するのが、
MOJITOのAL’S COAT。

ふわっと羽織ったり、
首元までボタンを閉めたり、と
着方によって温度調節ができるのがいい。
かるくてかさばらないところもいい。
重いコートにちょっと飽きた、
今の気分にぴったりなのです。

伊藤まさこさんの春のTHE LIBRARY コーディネート[トマトとグレー]

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スニーカーやサンダルはもちろん、
ショート丈のブーツと合わせても。
上にコートを羽織れば春先や秋口までと、
シーズンを問わず着ることのできるワンピースです。
足元にリボンが巻かれたブーツ、
ちょっと荒めに編まれた大きめバッグ。
小物を黒でまとめると、
トマト色がぐっと引き立ちます。

ショートパンツに、トートバッグ、
足元はサンダル‥‥と
元気なコーディネート。
ですがそこは大人なので、
髪を美しく整えたり、
メイクをきちんとしたり、
ペディキュアを塗ったりして、
身だしなみをきちんとすることが大切。
バカンス先はもちろん、
こんな姿で、いつもの街を颯爽と歩いてみたい。


さっと着られるワンピースは、
「ちょっとそこまで」なんて、
買い物に行く時にも重宝します。
スニーカー履いて、かごをぶらさげて。
ラフだけれど、洒落ても見える。
それはきっと明るめのグレーの
色合いのおかげかもしれません。


カットソーにデニムという、
定番のコーディネート。
デニムの裾をロールアップしてくるぶしを見せ、
きれいな色のバレエシューズを履けば、
かわいらしい印象に。
筒状のシルバーバッグなど、
服がシンプルな分、
小物で遊ぶことができるのも楽しい。

(伊藤まさこ)

伊藤まさこさんの春のTHE LIBRARY コーディネート[マリン]

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白いスニーカー、赤いソックス、
そしてマリンのワンピースと、
トリコロールでまとめてみました。
シルエットがきれいな服なので、
ちょっとかわいらしいコーディネートでも、
けして子どもっぽくならないところがいい。
赤や黄色、グリーンなど、
はっきりした色をポイントに持ってくると、
メリハリの効いた着こなしになります。

てろんとした風合いのベージュのパンツを合わせると、
少しシックな雰囲気に。
同じ色合いのクラッチバッグ、
襟元にはシルクのスカーフを巻いて。
赤いリップをさっとひいてもよさそうです。

(伊藤まさこ)

伊藤まさこさんの春のTHE LIBRARY コーディネート[アイボリー]

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コーディネートに頭を悩ませずにすむワンピースは、
旅に行く時、一枚あるといい。
足元はサンダル、胸元にはサングラスを。
こんな姿で海辺の町を散歩してみたいものです。

肌寒い時はGジャンを羽織ったり、
スニーカーとソックスを合わせたり。
麦わら帽子も似合いそうだな、なんて
コーディネートの夢は広がります。

カットソーはカジュアルな印象?
いえいえ、そんなことはありません。
こんな風に、
ちょっと光沢のあるパンツやヒールとも合うのです。
カットソーがシンプルな分、
大きめのパールや、
ゴールドのリングのピアス、
首にくるりとスカーフを巻いて、
顔や首回りにポイントを持たせると、
全体のバランスがよく、華やかな印象に。

(伊藤まさこ)

THE LIBRARYの春の服

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春に。

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「着ていて体が楽でありながら、
きちんと見えるものを」
さらには
「一枚着るだけで、様になる服が欲しい」。

昨年の秋のはじまり、
たくさんのわがままを伝えて
THE LIBRARYに作ってもらった
ワンピースとカットソー。

トマトとグレーは、そのままに。
この春は明るめのネイビー「マリン」と、
やさしげで春らしい色合いの「アイボリー」が
くわわりました。

すっきり見える!
とか、
コーディネートがしやすい、
とか。
私のまわりでも、
とても好評だったワンピースとカットソー。

春にまず欲しい1着です。

折敷のコーディネート[2]伊藤まさこさん

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小さな折敷はおやつの時間に重宝します。
カップにはお茶を、
豆皿には落雁などの小さなお菓子をちょこん。
リネンのティーナプキン(小さめのナプキン)をそえると、
ちょっともてなし風にもなります。
家事や仕事の合間の区切りの時間。
「なんとなく」過ごすのではなく、
ひとつひとつ器をえらび、折敷の上へ置くと
気持ちがしゃきっとするし、
「よし、次!」とも思う。
そんな気持ちの切り替えに、
この折敷は役立ってくれるのです。

どことなく和のイメージのある折敷ですが、
シンプルな形なので和洋問わず、
トレーのような感覚で使えます。
イッタラのカップとプレート、
ミルクピッチャーでモノトーンでコーディネート。
カップにはコーヒーを。
プレートにはクッキーやドーナッツを盛って
フィーカの時間を。

(編集部註:フィーカとは、スウェーデンの生活習慣で、
コーヒーブレイクの時間を意味するそうです。)

小さくてかわいらしい
中国茶の茶器や道具を並べてみました。
和はもちろん、洋も、そして中にも合うのが
この折敷のいいところ。
小さな空間に好きにレイアウトしていくのも
たのしいもの。
ちょっとままごとみたいな感覚です。

大きな折敷は、スーププレートや
ディナープレートを置くこともできます。
パスタとワインで一人、簡単な晩ごはん。
そんな時でも、折敷があるときちんとして見える。
トレーでもなく、ランチョンマットでもない、
幅広く使える折敷は、
これからの私のテーブルに変化をもたらしてくれそう。

お客様が来る時、
慌てないように、
こんな風に前もってセッティングしておくと、
心に余裕が持てます。
下は猿山さんと一緒に作った白い丸皿。
上には中国のお皿を、朱のお箸とスッカラが
全体を引き締めてくれます。

(伊藤まさこ)

折敷のコーディネート[1] 熊田剛祐さん・猿山修さん編

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「大盛りのミートソーススパゲッティに、
ワインかな、お水かな」
と熊田さん。
このお皿は猿山さんとともに試作を重ねている、
作陶家の喜多村光史さんの作。
コップも猿山さんとつくった、
その名も「コップ」という東屋の商品です。
「荒川尚也さんという人がなさっている、
晴耕社という工房の作品です。
ガラスの素材の調合から自社でやるおもしろい工房で、
窯も自分で作ってるんですよ。
燃料の半分ぐらい、廃材の天ぷら油を使っているそうです」
フォークは熊田さんの私物で、
フランスのヴィンテージのピュイフォルカ。
折敷は大きいほうを使っています。

「茶漬けとぬか漬けのつもりです」と熊田さん。
小さな折敷を使ったコーディネートです。
漆のお椀は、猿山さんデザイン、
西山圭功漆工房製作の東屋のもの。
小皿は故・渡邊かをるさんの直筆による作品。
竹箸は東屋のものです。
「箸置も商品だったんだけれど、
宮城の雄勝が震災で工房が流れ、
この硯石が採れなくなってしまいました」

上のコーディネートの、アレンジ版。
「味噌汁とごはん、という感じです」と熊田さん。
西村圭功漆工房のお椀は、
大中小三つ組のお椀を組み合わせて使いました。

「しらす丼と、お茶。シンプルな食事です」
と猿山修さん。
小さいほうの折敷に、
猿山さんがデザインを手掛けた、
西村圭功漆工房製作の「天雲」シリーズの角高台椀(M)を。
湯のみは作陶家・濱中史朗さんの無釉白磁に
塗師の安西淳さんによる漆、
蒔絵師の加藤由香子さんによる箔が施されているものです。
箸置きは猿山さんデザインによる東屋のもので
大屋窯作のhagiシリーズの型皿八角小・白磁です。

「ランチの、パスタかな?」と猿山さん。
折敷は大きいもの、
お皿とカトラリーは
「天雲」シリーズの青海盆(L)とフォーク(L)です。
グラスは猿山さんがデザイン、
竹田の「Magma Glass Studio」と組んだ
「猿竹工芸商會」のもの。
宙吹きでつくられているんですって。
「冷たい水か、ビールかな?」

行き来するたのしみ。

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──
先週につづいて、
デザイナーの猿山修さん、
東屋代表の熊田剛祐さんと、
伊藤さんが相談してつくった
折敷(おしき)とカッティングボードが
ならぶことになりましたね。
伊藤
折敷は、もともと、熊田さんと猿山さんが
開発をしていたものがあったんです。
それを見て「いいな」と思って。
猿山さんの最初のデザインは
小口のエッジがもっとするどくて、
手にとるとちょっと痛いくらいだったの(笑)。
だから角度をやさしく調整してもらったんです。
猿山
で、裏側に装飾もあったんですが、それを取り、
どんどんシンプルになっていきましたね。
熊田
これ、いいと思いますよ。
「ただの板」なのだけれど‥‥。
──
いいえ、これ、「ただの板」ではありません。
webで伝わるといいんですが、
とてもこまやかに仕事をされていますよね。
いろいろなふうに使えそうなのは、
そういう仕事がされているからだと感じます。
熊田
はい、いろんなものに使えます。
猿山
テーブルだけじゃないんですね。
伊藤
そうそう。お雛さまをのせてもいいですよね。
熊田
香炉を置いたり。
伊藤
食卓で使うと
「自分の陣地ね」「この場所は私のもの」みたいに。
それがね、すごく嬉しいんですよ。
──
折敷っていうのは、元々、
木の葉を折って敷いたところから
来ているらしいですね。
いまは檜の片木(へぎ)でつくった
縁つきの盆をさすと言いますが、
西洋にはないものですか。
熊田
ランチョンマットになるのかな。
でもヨーロッパでもお盆ごと出して、
食べるっていうのもありますね。
伊藤さんはなじみがあったの?
伊藤
和食のときはたいてい折敷を使っています。
それと、以前、和菓子に合うお茶のセットの
小さな折敷を作家のかたにつくって頂いた時から、
「これ便利だな」と思っていました。
漆の仕上げをしてある、もっと軽い感じのもので、
小さいとお酒をちょっと飲む時などに
気分が盛り上がるんですよ。
──
これ、カッティングボートではないんですよね。
熊田
違いますけど、使えます。
ただ、カッティングボードに使うと
ナイフマークが付くので‥‥。
ただ、それもぼくは、おおいにアリだと思う。
──
楢(ナラ)材ですね。
熊田
はい。稀少かもしれません。
楢は、国産の材料がもう本当に採れなくなっているんです。
楢枯れ病が凄い勢いで増えているのと、
最近、国産家具で楢材がブームになりつつあるので、
ほんとうに手に入りにくくなりました。
伊藤
これはどちらでつくられましたか。
熊田
輪島です。赤木明登さんの木地をつくっている工房です

▲折敷の裏の刻印は左から
木瓜柄=四十沢木材工芸
m=伊藤まさこ
円錐=猿山修
右端=東屋
をあらわしています。

伊藤
これね、最初は白さがありますが、
油を沁み込ませたりしているうちに、
どんどんいい感じになってきましたよ。
猿山
油を塗る方がきれいに保てますね。
熊田
最初に、胡桃油で拭いているんですよ。
──
使っているうちにカサカサしてきたりして、
あとから塗るときは‥‥。
猿山
胡桃油のような乾性油(空気中で完全にかたまる油。
亜麻仁油、桐油、荏胡麻油、紅花油、向日葵油など)が
いいですね。
不乾性油(オリーブオイルや菜種油、
ピーナッツ油など)や半乾性油(コーン油、綿実油、
ごま油など)は、ベトベトすることがあります。
熊田
ぼくらもいろいろ使ってみたんです。
いちばん無臭でいいのは胡桃油だと思います。
でも、たとえば、大豆油や米油は乾性油ではありませんが、香りが弱いので適しています。
伊藤
塗って、拭いて、ちょっと乾かすみたいにすると
だんだん愛着も湧きますね。
オーバル皿は軽さをリクエストしましたが、
折敷はこのしっかりした重さが好きです。
──
そしてカッティングボード。
猿山さんデザインで東屋オリジナルのアイテムに、
持ち手付きのものがありましたが‥‥。
熊田
伊藤さんが「持ち手がないのも素敵ね」って。
伊藤
上下左右、表も裏もなく、自由に使えるように。
それから、4つ並べたときにかわいいなって。
猿山
結果、サイズ展開も含めて、
かたちもオリジナルになりましたね。
伊藤
これは山桜?
熊田
国産の山桜です。
山桜は硬く、
元々、浮世絵の版木なんかに
使われてた材料なんです。
目が均一で、それもいい。
版木に優れたのも、それゆえ絵柄に
影響しにくかったんだと思います。
北斎の赤富士とか、
ベタ面を刷っているところの初刷りを見ると、
木目が富士山に写っていますよ。
伊藤
表情がいいですよね。
キッチンにしまい込んで使うというよりも、
食卓に、表に、ちょっと出したい感じがします。
熊田
そうなんです。包丁もそうじゃないですか。
台所にあるといいけれど、
食卓にはなじまないものがある。
こんなふうに台所でも使えて、
食卓にも持ち込める道具っていうのは、
いろいろ便利だと思います。
伊藤
熊田さんは、お家で使いますか?
熊田
使います。切って食べるっていう感じですね。
漬物、チーズとか。
伊藤
2人ともお料理するんですよね。
こういうきれいなものを使うと、
料理している時がすごく楽しいですよね。
──
いいですね。これも迷うなあ。
買うときに大きさを迷ったら
どうすればいいんですか?
伊藤
迷ったら全部!(笑)
熊田
ほんとうに、これ、4つのサイズが
台所にあると便利ですよ。
いわゆるまな板はみなさんお持ちだと思うので、
それ以外の、ちっちゃいのいろいろ。
伊藤
うち、まな板がここからここぐらいまで(肩幅くらい)
棚差ししてあるんだけれど、
ワーッと並んでいると、気分がいいんです。
「今日はこれにしよう!」と選ぶ瞬間も楽しい。
熊田
こんどは、さらにハーフサイズを作って、
にんにく専用とかにしたいよね。
ぼく、にんにくだけは蒲鉾板を取っておいて、
使っているので。
伊藤
そうなの?!
たしかに匂いがついちゃうから、共用しないですね。
わたしもこのぐらい(てのひらサイズ)の
にんにく専用カッティングボード、持ってます。
熊田
にんにくの後、いちごを切って、
にんにくの匂いがしたら、嫌じゃない?
伊藤
いちご切るんだ?
巨漢の熊田さんが言うとかわいいです(笑)。
それから、このカッティングボード、
わたしは耐熱皿の下に敷いて使ったりもしますよ。
猿山
鍋敷きにも使うんだ!
熊田
焦げる温度で乗っけると跡がつくので気をつけて。
伊藤
それも味かなと思って。
どうせなら、お気に入りの器の下におきたい。
器の下からちらりとボードも見えるし。
熊田
これ、折敷みたいな使い方もおおいにあって。
伊藤
トーストとジャムとか、
ひとつのボードにおいてもいいですね。
‥‥時間がかかったけれど、
こうしてよいものができてうれしいです。
猿山さん、熊田さん、
ほんとうにありがとうございました。
猿山
こちらこそ。
伊藤
また一緒になにかつくりましょう。
熊田
ありがとうございました。
よろしくお願いします。

東屋の折敷とカッティングボード

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テーブルに木のものを

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「器のコーディネートがむずかしい。
どうしたらよいでしょう?」
時々、こんな質問を受けます。

そんな時私は、
「服と同じと考えればいいんですよ」
と答えます。
たとえばリネンのシンプルなワンピースがあったとしたら?
それに合わせるのは、
少しきらりとしたゴールドのピアスやリング。
バッグはかごにしてみよう。
素材のちがうものを合わせることによって、
全体のバランスがよくなる。
きっと、こんな風に毎日、
自分なりに工夫しているはずだから。

器も同じこと。
土ものの大皿を主役にえらんだならば、
取り皿は磁器に、
ガラスも入れてみようか?
すると、
テーブルの上のバランスがよくなる。
たのしげで軽やかにもなるものです。

今週のweeksdaysは、
木の折敷とカッティングボードを紹介。
折敷は楢、
カッティングボードは山桜。
風合いはそれぞれですが、
共通するのは、
テーブルの上が、おだやかでやわらかくなるということ。
ほかの器のじゃまをしないということ。

コーディネートの名脇役になってくれる、
折敷とカッティングボード。
磁器の器にひきつづき、
デザイナーの猿山さんと、東屋の熊田さんとの
鼎談と合わせてどうぞ。

磁器のよさ。

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──
伊藤さんは、いろんなお皿をお使いだと思うんですが、
陶器のぼってりした感じの、
アメリカでステーキが乗って出てくるようなものとは、
ずいぶん感じが違いますよね。
磁器でオーバルが欲しいと思った気持ちって、
やっぱりのせる料理が違うからですか?
伊藤
そうですね。磁器がテーブルの上に乗ると、
スラッと美しく見える。
少しだけ緊張感があるというか。
あんまり、ないんですよ、そういう器って。
オーバルの大きめのものはとくに。
熊田
ない。ヨーロッパには普通にあるけれど、
日本には、あんまりない。
──
むかしからいろいろな文化が輸入されましたが、
日本に入って定着しなかったんでしょうか。
熊田
日本は小皿文化だったっていうのがあると思います。
ひとりずつ大皿を使う文化じゃないでしょう、
センターピースにどーんと出すことはあっても。
伊藤
でもこれ、そんなふうにドーンと
テーブルの中央にも乗っけられるし、
ひとりひとつも使えるサイズですよね。
そこが使い勝手がいいところなんです。
──
白だけじゃなくて、
青いのもつくりました。
伊藤
私は白をつくって、落ち着いたら、
釉薬を変えて青も出せたらいいなあと
思ってたんですけれど、
「いちどにやっちゃおうよ」って言ってくれて。
──
微妙に違うだけなのに、
実は料理を盛ると全然違うんだと
伊藤さんがおっしゃっていたのを覚えています。
伊藤
そう。全然変わる。
同じ形なのに全然違うんです。
猿山
青いほうは、和のものに使いやすい。
伊藤
うん。いい。
──
釉薬が違うんですよね。
熊田
同じ灰釉‥‥ただしくは「かいゆう」ですが
「はいゆう」とも呼ばれていますが、
釉薬の種類が違います。
石灰がメインの釉薬(石灰釉)は白になり、
灰がメインの釉薬(土灰釉)は青くなります。
釉薬の中に鉄分が入っていて、その量の違いです。
青磁もおんなじ原理ですね。
伊藤
サンプル製作期間が長かったことで、
その間にずっと使うことができ、
その時間がすごく良かったなと思います。
家にあるのが当たり前みたいになっていたので、
それを販売できるのはとても嬉しい。
欲しいものはすぐ欲しい、
早く形にしたいと思ってしまうのですが、
こうして時間をかけるのもいいなあと思いました。
──
どう使い分けてますか? 色とか。
伊藤
青いほうは、中華っぽい感じとかも合いますよ。
白は、洋っぽい方が合うかな‥‥。
うーん、でもそう決めつけたくはないな。
大きさもね、これ、ジャスミンライスの
玄米のチャーハンなんだけど、
ちょうど一人分みたいな感じで納まりがいいんです。
境界線があることで、盛りやすい。
猿山
いいよね、この感じ。
──
この境界線、名称があるんですか?
キュッとなっているこの山。
猿山
ない‥‥かな。
伊藤
さる山ライン(笑)?
これ、いちど、わたし
「ないのもいいんじゃない?」
と言ったのを思い出しました。
でも猿山さん「これは絶対残しましょう」って。
熊田
戦前のKPM(ベルリン王立磁器製陶所)のお皿とか、
李朝の堅手とかに、
こういう仕事はありますよね。
猿山
金属器の文化があるところは、
覆輪(ふくりん)と一緒だから。
折り返しを強調することと、
強度を付けるためにという意味もあったでしょうね。
そう、まさこさん、最初、これをちょっと嫌がってたね。
伊藤
そう、でもだんだん家に馴染んで来て。
いいなと思ったし、
こうして猿山さんの思うものも形にできて、
一緒につくった意味があるなと思いました。
──
三人の誰が主導、
っていう感じじゃなくなって来たんですね。
伊藤
折り合って妥協点を見つけるんじゃなくて、
主張をしながらよりよい感じで
どんどん進んで行きましたね。

▲皿の裏の刻印は左から
木瓜柄=白岳窯
m=伊藤まさこ
円錐=猿山修
右端=東屋
をあらわしています。

男子にわからないこと。

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──
お皿をつくるにあたって、
猿山さんと熊田さんには
伊藤さんからどんなリクエストがあったんですか。
伊藤
ん? わたし、
とくになにも言ってないと思うな。
熊田
いや、うーん?
猿山
あぁ‥‥。
伊藤
言ってた? 忘れてるだけ?
猿山
(笑)そりゃもう、
「こういうんじゃなきゃ使いたくない」とか。
伊藤
そんなこと、言ったかなぁ(笑)。
猿山
でもそれが大事なんですよ。
重さも形もバリエーションも細かく。
なかでもいちばんぼくが「へえっ!」と思ったのは、
リムまで使えるようなお皿にしたいということでした。
料理を盛るのが、リムの内側で完結しなくていい。
はみ出しても大丈夫で、
なんならお皿の縁から出ても、ときにはOKって。
伊藤
そうそう!
リムとの境界線が
あまりはっきりしていないものが
いいかなって。
猿山
それからスタッキング(重ねて収納)したときに、
きれいに収まる。
そして、10枚重ねても女性が持てる重さにと。
伊藤
言いました、言いました(笑)。
──
それの実現のためには、
なんども、原型を作り直したんですか?
熊田
はい。何度も何度も‥‥。
すごい数ですよ。
伊藤
できるたびにサンプルが送られてきて、
ひとつのお皿で、10~15枚くらい
うちにあるんじゃないかな。
熊田
3Dプリンターとかも試してみたことはあるんですけど、
やっぱりその現物で試作していかないと
なんにもわからないんですよね、結局。
──
猿山さん、そうするとそのたびにデザインを微妙に。
猿山
そうです。毎回図面をいじる。
伊藤
そしてわたしが
「図面だけだと全然わかんない」って言って
またサンプルをつくってもらう。
それの繰り返し。
さっきのリムのことにしてもそうでしたね。
猿山
すこし前にうんとリムの広いお皿が流行しましたが、
そういうものとはちがって、
境界線をちょっとあいまいにして、
でも越えてもいいよ、という表現にしようと。
熊田
ふたりのそのやりとりを受けながら、
ぼくがいちばん大変だったのは、
平らに仕上げるっていうところです。
焼き上がってどうなるかを想定して、
原型の微調整をしていくこと。
日本で普通、窯元でつくるオーバル皿に、
こんな大きなサイズはないんですよ。
だから波佐見の人たちからすると、
ちょっと特殊なものだったと思います。
でもいいですよね、このサイズ。
猿山
ワンプレートで使えますね。

「白」に魅かれて。

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伊藤
天草に陶石を見に行ったのは、
2014年のことでした。
『weeksdays』ができる前、「ほぼ日」で
「白いもの」という連載をしていたんですが、
真っ白な陶石が天草で産出されていると聞いて、
リサーチに出かけたんです
伊藤
天草で採れる陶石は、実はいろいろなところで
磁器の原料に使われていると知りました。
何百年ぶんの埋蔵量があるんだそうです。
とてもきれいな石だったので、
それで白い器をつくりたいなと、
猿山さんに相談したんですね。
猿山
それでそのあと
まずは行って見てみようと、
ふたりで天草に行ったんだよね。
伊藤
ところが私たちは「こういうのがいいね」と
考えるところまではできるのだけれど、
いざつくるとなったら、いろいろな実務が出てくる。
「どうしたらいいんだろう‥‥」と。
猿山
うん。
伊藤
『weeksdays』がカケラもない頃だったので、
器を、作家ではなく製陶所に依頼してつくるというのは、
それなりの大量生産になるし、
できあがったら在庫はどこに置くの?
まさか、うちに? みたいな話にまでなって。
猿山
それはぼくにもどうにもならないから。
伊藤
それで「東屋の熊田さんに入ってもらおう」って。
もともと、猿山さんと熊田さんは
長くお仕事を一緒になさっていましたよね。
猿山さんがデザインやプロデュースされたものを、
東屋さんが形にしていくというふうに。
それからは、ふたりが細かな調整を
時間をかけて、してくださって。
わたしは最初に、いつものように、
「こんなかんじのシンプルなオーバル皿がほしい」って
子どもが描くような絵を紙に描いて‥‥。
猿山
たぶんまさこさんはこういうものが好きだろうな、
ということはわかるので、
そこに自分の考えを足して、
ニュアンスを調整していきました。
最初のサンプルなんて、まったく違うものでしたよね、
リムの立ち上がりの加減も、釉薬の調子も。
──
熊田さんは、伊藤さんと仕事で組むのは
初めてでいらっしゃったんですか。
熊田
そうなんです。東屋の仕事って、
男性と組むことが多いんですよ。
アートディレクターの渡邊かをるさん、
建築家の荒木信雄さん、
アーティストの立花文穂さん、
コーヒー店主の大坊勝次さん、
京都寺町二条・大吉の店主、杉本理さん、
そしてこちらの猿山修さん。
そのせいか東屋の商品は
「男っぽいね」ってみんなに言われていました。
そこにまさこさんがあらわれて、
女性視点で、猿山さんの手綱を引いてものをつくる。
それは、ぼく、すごく面白いなと思って。
伊藤
へえ! そんな風に思っていたんですね。
熊田
ぼくは、具体的には、最初のサンプルと、
猿山さんの図面を見せてもらうところからの参加です。
猿山さんの平面の線画を
どう立体にするかっていうところは、
長年やってきていますから、
「これなら、あの原型師さんとつくって、
あの工房に依頼したほうがいいよ」
ということが、すぐにわかりました。
──
「原型師さん」。
熊田
図面を立体にする仕事です。
洋服で言えばパタンナーのような。
ぼくらがお願いしているのは、
有田にいる金子哲郎さんというかた。
肥前地区の磁器や、
伊賀で土ものを作るときの原型だったり、
岩手県の水沢で南部鉄器を作るときの原型を手がけ、
15年ぐらい、猿山さんの仕事もお願いをしているかたで、
金子さんは長年白山陶器で、
陶磁器デザイナーの森正洋さんの仕事をなさっていました。
──
原型とは別に、量産するための製陶所も必要ですね。
熊田
天草の陶石を使うときにたいへんなのは、
やわらかいということなんです。
しかも今回はオーバル皿なので、ゆがみます。
短辺と長辺の、力のかかり方が違うから、
窯の中でゆがんでしまうんですね。
同じ白磁でも、例えば景徳鎮は耐火度が高く、
要は窯の中でブニュってならない。
日本の磁器原料でおんなじ薄さのものをつくると、
全部ペチャンとなります。
伊藤
でも天草には、天草の良さがあるんですよね。
熊田
景徳鎮の白磁、李朝の分院の白磁とかと比べると、
天草の白磁っていうのは、もう見た目から
肌感がホワッとしてますよね。
伊藤
たしかに、そう!
その質感が出せたら
素敵な器になるんじゃないかと思ったんです。
製陶所は、長崎の波佐見でしたっけ。
熊田
波佐見の平地から、中尾山の中に入っていくと、
林を越えた川沿いに中尾郷っていう集落があって、
もともと波佐見焼ってそこがはじまりなんですが、
その集落でぼくは長く仕事をしているんです。
そこにある白岳窯っていう窯元にお願いしました。
伊藤
そこなら、「よし来た」?
それとも「難しいね」?
熊田
「難しいね」でした、これは。

東屋のうつわ

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白い石から

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「知ってる?
天草では、日本で最も白い陶石が採れるんだよ」

ある時、
私にこんなことを教えてくれた知人がいました。
どうして天草に白い石が?
興味を持って出かけたのは、
今から5年前のこと。

地元の人の案内で、天草をまわるうちに
こんなことを知りました。
島には長さ4キロメートルにもおよぶ、
「皿山脈」と呼ばれる鉱脈があること。
その陶石の特徴は、
にごりのない
澄んだ白色なのだということ。

旅のおみやげは、
昔、船着場だったという海岸で拾った、白くてまん丸な石。
なんでも、日本各地のやきものの産地に運ぶ際に、
こぼれ落ちた陶石が、
波にもまれて丸くなったものなんだって。

家に帰って、その石を見るたび、
いつか澄んだ白い磁器の器が作れたらいいなぁ、
そう思っていました。

どんな形?
立ち上がりは?
大きさは?
デザイナーの猿山さんに相談し、
試行錯誤を重ねて、
やがてできあがったのがこの器。
5年越しの思いが実って、
うちのテーブルに来た時は、うれしかったなぁ。

今週のweeksdaysは、
猿山修さんと作った磁器のお皿を紹介。
器ができあがるまでの話や、
できあがってからどう使うか? などなど。
対談もどうぞおたのしみに。

わたしのひきだし。[7] おさだゆかり

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引出しはBISLEYの6段キャビネット、色はアイボリー。
かれこれ20年くらい使っています。

毎日の仕事で一番よく開けるのは、
筆記用具専用の引出しです。
BISLEYオリジナルの仕切りが便利。

筆記用具は買付で通う北欧で見つけたものがほとんど。
色づかいのきれいさに、いつも感心しています。

わたしのひきだし。[6] 岡宗秀吾

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ステッカーをもらうと嬉しい。

バンド。
ブランド。
イベント。
あらゆる自己紹介が込められたステッカー。

「大人の駄菓子みたいなもんだよ」
と昔、先輩が教えてくれた。

「仲良くなりたくて交換し合った駄菓子が、
大人になるとステッカーになるんだよ」

うん。
あれからずいぶん経ったけど、
まだまだ僕は公園にいるんだろうなぁ。

わたしのひきだし。[5] たなかみさき

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よく使うということで、
仕事場のペンが入っているひきだしです。
どうあがいてもオシャレに撮れずに悔しい思いです。

昔から整理整頓というよりは
雑多としている方が居心地がよく、
あまりこだわりや執着の無い性格のせいか、
「合格祈願」と堂々と書かれた鉛筆や、
実家に眠っていそうな香料のきつい
オレンジの匂いつき消しゴムまで入っていました。

いつまでもお絵描き大好き小学生のような
ひきだしではなく、
もう少し大人のクリエイターらしい
ひきだしを目指したいものです‥‥。

わたしのひきだし。[4] 矢野直子

未分類

大学時代、自分の下宿のぼろアパートに友達をよんでは、
フルコースの料理をふるまうのが好きな同級生がいました。

古い小さな台所には必要最低限の道具。
食器は無印良品のベージュのお皿と
ステンレスのカトラリーだけ。
でもちゃんと全部10枚と10セット揃ってた。

「一番簡素で、そして料理が映える。
何より割れても買い足せるでしょ」
そう言ってたなぁ。

このお話をいただいて、
あらためてこのひきだしを眺めていたら思い出しました。
あの時の風景と料理の味。

わたしのひきだし。[3] 平野妃奈

未分類

只今年中さん5歳になったばかりの「俺」は
幼稚園に入園してからぐんぐんと男子道を歩んでいる。
それまではお姉ちゃんの友達の中に混ぜてもらい
遊ぶことがほとんどだったが、
幼稚園に通うようになって
かっこいい刺激的な男友達の影響から一気に
「ぽーちゃん」の呼び名を捨て
「俺」へとなっていった。
まだ3歳児頃に「俺」と自分のことを言うようになり
「僕」とは一切言わずだった。

そんな「俺」があれよあれよとハマっていったのが
「こま」である。

幼稚園には大きなこま板がある。
本来は年中さん頃からこまをして遊ぶらしいが、
上の兄弟関係が多かった「俺」のクラスでは
こまをまわせる子が数人いて、
その中に「俺」が最も尊敬するダチも
びゅんびゅん回していた。
初めはなかなかうまく巻けなくて、
本当に家では悔しくて泣きながら練習していた。
旦那も俺の為にこま板を作ってあげ、
「俺」のやる気はみるみる増していって、
早々にこまを回せるようになった。
誰よりも切れが良く、ものすごいスピードでこまを回す。
回し終わった後はひもをくびに掛け決めている。

そんな「俺」が大事にしているこまのひきだし。
誰よりも負けん気も強いけど、
根は真面目で几帳面で片付けも大好き。
旦那と一緒に作ったこま入れ。
嬉しくて嬉しくて自慢げな「俺」。

わたしのひきだし。[2] 横里隆

未分類

自宅の仕事机のひきだしです。
事務所のひきだしはあんまり開けないので
こちらにしました。
ものを捨てられない性質の私のひきだしは、
ほっておくとごちゃごちゃのカオスになってしまうので
数年前に購入したひきだし整理ボックスを使っています。

ひきだしの中でいちばん使うのは一筆箋。
メールの時代とはいえ
郵送物にちょっとした言葉を添えるときに便利です。
お気に入りは
社名の上ノ空(うわのそら)にあわせて購入した
「空色ノキモチ」というもの。
雲の上を言葉が漂うようで素敵です。

それにしても、やっぱり用途不明&
意味不明のものが多いです(汗)。
なぜか複数のお守りが‥‥。
いただきものも含め、
たまってしまっても捨てられない。
みんなどうしてるのかな?
ま、いつまでも守ってもらえるならいっか。
そうそう、「雨ニモマケズ複製手帳」も
私にとってはお守りみたいなものです。

あと、自分がペーパーナイフ好きってことに
気づきました。
ほとんど使わないのに4本も!
彼らのすらっとしたたたずまいが好きです。
加えて、むかし高山で買った
革の巻きもの(端切れ)が5本も!
何に使ったらいいかわからないけど、
きっといつか何かになるんだろうな‥‥
ならなくてもいいけど。
ミニカーのタイヤやパチンコ玉は本当に意味不明。
でも捨てられない。

整理されているようでされてない、
私のひきだしでした。

わたしのひきだし。[1] 坂田阿希子

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私はかなり筆不精のほうです。
お手紙をもらうのは大好きだし、
書くことは嫌いではないのですが、
ついメールや電話で済ませてしまうことが
多くなってしまいました。

これは、そんなわたしが思い立った時に
すぐに手紙を書けるように、のひきだし。
一筆書きのような小さな紙や
便箋に封筒、書きやすいペンに糊。
そして切手も用意しておくと、
思い立った時にすぐに書ける。
そして切手を貼ってすぐに出せる。
以前よりもこのひきだしのおかげで
少し筆不精が改善されました。

請求書を出すのも本当に億劫なのですが、
ハンコもちゃんとこの筆不精セットに
しまうようにすると、
少しだけ便利になったように思います。

最近のブームは紙石鹸(右上)。
手紙と一緒に一枚入れると
開封した時にいい香りがする仕組みです。
必ず必要なのが老眼鏡。
すっかり老眼が進んでこれなしでは手紙は書けません。
何個も持っているのに、
なぜかいつも探している老眼鏡。
今度は老眼鏡のひきだしをつくりたいくらいです。

わたしのつかいかた

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仕事机まわりにあると、何かと重宝する小ひきだし。
でも、文房具を入れるためのものだけにしておいては
もったいない。

たとえば豆皿を入れるとこんな風。
ひきだしを開ければ一目瞭然。
「片づく」という以外に、
見て楽しい、しょっちゅう開けたくなってしまう、
自分だけの小さなギャラリーのような感覚にもなります。
私は1、2、3段目に、豆皿、
4段目にそれよりひとまわり大きな皿、
5段目にお猪口を入れていますが、
カトラリーもいいなぁとか、
リネンのティーナプキン
(ナプキンよりひとまわり小さなもの)もいいなぁなどと
夢が広がっています。

帯揚げや帯留め、帯締めなど、
着物の小道具入れにしても。
ブルーやグレーなどダークな色合いと、
ピンクや生成りなどのあたたかな色合いの帯締めを
それぞれ別々のひきだしに。
いざ、着物を着る時に、さっと取り出せてとても便利です。

手帳や万年筆、お財布、通帳、カード、
診察券、お薬手帳、500円玉貯金、切手、手紙‥‥。
なくすと困る身の回りのあれこれも、
小ひきだしに入れてすっきり。

でも一番上だけは、
「明日身につけていきたいもの」の準備をするために
余裕をもたせて。
眼鏡、腕時計、リング‥‥、
持ちものはその日によっていろいろですが、
前の日にここに準備しておくと、
出かける時の慌ただしさがずいぶん減りますよ。

(伊藤まさこ)

「杉工場」でつくりました。その2 伝統をたいせつにしながら、今のものをつくる。

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杉良子さん、明乃さん親子に、
若き職人の永井さんがくわわってはじまった
杉工場の「特注」部門。
知人が頼んでくれた特注の椅子からはじまった
そのプロジェクトは、やがて、
いろいろな家具の相談を受けるようになりました。

良子さんは言います。
「既存の机のサイズを変えてほしいとか、
そういう意味での特注の依頼はそれまでもあったんですが、
ゼロから考える家具づくりはしていませんでした。
それが永井が来てからできることになり、
とくに宣伝をしたわけでもないのに、
1年間、途切れずに注文をいただいて。
そんななかに、伊藤まさこさんからの依頼があったんです」

伊藤さんが持っていた
古い和家具の「小ひきだし」。
前後(表裏)がないデザインで、
どちらからも引き出すことができ、
段をそのまま抜き出せば、
トレイとしても使えるタイプです。
アクセサリー、郵便物、文具、工具‥‥
使い方はひとそれぞれの、
むかしはどの家にもひとつはあったような、
ちいさな家具。
東京のお店で偶然みつけた古いものを
使っている伊藤さんですが、
それをベースに、「weeksdays」らしい
小ひきだしがつくりたいというのが
「特注」のリクエストでした。

「そういう依頼をいただいたのは、
じつは、はじめてのことだったんです」
と良子さん。
「この小ひきだしの印象を決めるのは、
やっぱり『顔』。とくにひきだしの取っ手のかたちですね。
これが変わることで、表情が変わってくるので、
そこを大事にしたいと思いました。
けれどもそれは私達が決めることではなくて、
まさこさんがお好きな顔にしたい。
それで最初のサンプルは、
何パターンかをあえて作りました」

取っ手の丸みの角度、
天板と側板の組み方、
それぞれの部材の薄さ、
トレイの前板と端板の組み方、
底板の仕様、
台輪の飾りの部分の、角の削り方‥‥
ほんのちょっとしたことが、
おどろくほど全体の印象を左右します。

サンプルを前に、伊藤さんの判断は明確。
いっしょに杉工場にうかがった夏、
見本を前に「これがいいです」と、すぐに決まりました。
原型となった骨董の小引き出しは、
天板と側板が「石畳組み接ぎ」という技法で、
和家具の意匠にもなるデザインのひとつでしたが、
そこはあえてスッキリと目立たないようにしました。

さらに、ひとつずつのトレイを支える
内側の桟(さん)は、
接着剤と金具を使って留めるのですが、
その金具を、実用本位のタッカーだけではなく、
うつくしいが柔らかいため
加工のたいへんな真鍮の釘も使用しています。
部材は基本的に無垢材のはぎ合わせ。
トレイの底板は反りやくるいの出ない合板ですが、
抜き出したときのうつくしさを考えて、
表面に突板(薄く割いた木)を貼っています。
この小ひきだし、
ほんとうに細部まで心を砕いたつくりになっているんです。

さらに、天板や側板の厚みは、
じょうぶにしたければ厚くするところを、
腰掛けるほどの強度は必要がないわけですから、
「過ぎることのない」ように調整。
贅沢はしすぎず、けれどもうつくしく。
自己満足におちいることがないデザインは、
ベースに杉工場の長い歴史があり、
良子さんと明乃さんの感覚、
そして永井さんのセンスと技術、
さらには杉工場の熟練の職人のみなさんの
「手と目」があってのことなのでした。

「こういうものって、違和感がひとつでもあると、
目が拒否するというか‥‥。
そこをちゃんとクリアしてると、
スーッと自然に入ってくるし、
いやな気持ちがしないんです。
そこに、わたしたちのものづくりの、
口にできない共通項があるんですよ」

さあ、この小ひきだしをどう使いましょうか。
明日からの連載では、伊藤まさこさんに、
そのアドバイスをいただくことにしましょう。
(ちなみに、杉家では、
この小ひきだしのサンプルをもう使っているそう。
4人家族それぞれに来る郵便物を、
1人1段、まいにち仕分けて入れる
「家庭内郵便ボックス」になっているんですって!)

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