未分類カテゴリー記事の一覧です

ふわふわ、もこもこ

未分類

ふらりと入った骨董屋で、
小さな瀬戸の片口をしげしげと見ていると、
「なんて気持ちよさそうなコートなの!
触ってもいい?」
お店の方にそう声をかけられました。

はじめて会ったその人は、
とてもにこにこうれしそうで、
私も思わず答えたのでした。
もちろん! って。

もこもこのコートが縁で、
話が弾み、
晴れてその片口は私のものになったのですが、
その方に声をかけられていなかったら、
もしかしたら買っていなかったかもしれない。

話は変わって、この週末。

撮影用にと娘から借りてきたくまのぬいぐるみを、
なんとはなしに玄関に置いてみたら、
いつもの我が家の玄関が、
チャーミングになった。

小さくて白くてすこし古ぼけたそのくまが、
そこにいるだけで、
こんなにもうれしい気持ちになるなんて! 

今週のweeksdaysは、
ALWELのリバーシブルファーベスト。

ふわふわ、もこもこって、
人の心をやわらげる作用があるよね。

デザインは「人」なんです

未分類

臼井
伊藤さんは、インプットしたことは、
しばらく寝かしておく、っていう感じですか。
伊藤
どうなのかなぁ。どうだろう?
臼井
ひょっとして、しぜんと
周りの人に話してるんじゃないかな。
伊藤
「こんなものを見たよ」とか
「これ、よくない?」とか。
たしかにそういうことは、すぐにしていますね。
「weeksdays」のチームLINEには、とくに。
臼井
やっぱり。僕と伊藤さん、似ていると思うんですけど、
インプットしたことを、すぐに発信してるんだと思います。
伊藤さん、内緒にしてること、あります? 
あんまりないと思うんだけどなあ。
伊藤
ふふふ、どうでしょうね。
でもやっぱり人と会ってしゃべると、
インプットもアウトプットもして、広がりますよね。
話すといってもそんな根を詰めて
「デザインとは何か」じゃなくて、
「あそこに行ったらこんな店がよくて!」みたいな。
臼井
先日、アパレルの人たちと話す機会があったんです。
僕たちがやってる家電とか工業デザインとは
全然違う世界なんだけれど、
話してみたら根っこは一緒だなって思えて。
いいものを作りたい、そういうものを届けたい、
そういう気持ちは一緒なんですよね。
そういうクリエイティブな仕事の人たちと話すと、
自分自身の学びになるって感じがしました。
伊藤
それもまた、
チームのみなさんのいい仕事につながる。
臼井
はい。デザインって人なので、
いい環境を整えていい仕事のやり方をデザインし、
いい若いデザイナーたちがフルスイングできる場所を
つくりたいなって思うんです。
今は、僕が具体的な製品のデザインを
するわけじゃないので、
そういうフルスイングできる場所を用意するのが
マネージャーとしての僕の仕事です。
伊藤
そういう意味でもこの場所を作られたのは
すごくいいことなんですね。
臼井
すごくよかったと思います。
いいタイミングで、ラッキーでした。
でもまさかのコロナはびっくりしましたよ。
せっかく作って人が集まっていたのに、
コロナ禍を機に誰も来なくなってしまった。
でも、出社しなくても仕事ができるようにもなり、
それでワークライフバランスをとってる人たちも
いっぱいいるわけで、
たとえば介護をしながら仕事をする人もいるのに、
それを無理に出社しろとは言えない。
人が集まることの難しさを感じます。
僕としては、ここをもっと魅力的で、
行きたいっていう場所にしないと、って思います。
「行きたいオフィス」っていうか。
伊藤
臼井さんは執行役員になられて、
マネジメントというか経営側の視点も
もたれていると思うんですけれど、
デザイナー出身で経営側ということについて
葛藤みたいなものはありますか。
臼井
僕はデザインやブランドの仕事をしてるじゃないですか。
すると「お前は非財務だからいいよな」みたいな印象を
持たれることがあるんですよ。
「お前の言うことは青臭い」とか
「お前の言うことは金のにおいがしない」とか。
もちろん数字をターゲットにすることは大事だけれど、
僕が言うのは
「僕たちがやってるのは別に非財務じゃない。
でも短期的な売上ではなくて、長期財務だと思ってる。
こういう活動ってじわじわ効いてくる話なんだ。
僕たちは未来に向けて考えてるし、
お客さん側から考えている」と、
一所懸命説明するんですよ。
これから儲かる話をしてるんだよ、と。
伊藤
でも経営って1年ごとに区切りがあるわけじゃないですか。
臼井
そうです、そうです。
ただデザインやブランドのことをやっている僕には
あまりそこの追求はないんですよ。
だから周りから見るとお気楽な人みたいな感じに、
どうしても、なっちゃうんですよね。
伊藤
そんなことないと思いますけれど。
臼井
あはは、でも逆にそれを利用してね、
ちゃんとお客さん側から見ることをやろうと。
海外の家庭調査訪問もそれなんですよ。
僕がすごくインプットをたくさんしているのは、
世の中に変化が起きてるところを自分で見ておきたいから。
数字を見ている人たちが手が届かないところを
ちゃんとやっときたいなあと強く思うんです。
これはちょっと真⾯⽬に。
これ、経営にとってすごく大事なことじゃないかなって。
でね、これがわかる経営者を増やしたいんですよ。
だってリベラル・アーツ(*)って言ったって
日本の経営者は腰が引けるじゃないですか。
センスとかデザインって言葉に過敏。
(*)リベラル・アーツは「人が、自由になるための学び」。いろいろな分野から広く知識を吸収して、人格の成熟を目指すこと。
伊藤
そうですね。なんででしょうね。
臼井
それを言われるのがすっごい嫌なんじゃないかな。
「あなた、センス悪いですね」って言われたら
もうショックで立ち直れないんだと思いますよ、たぶん。
伊藤さん、ズバズバ言いそうだけど。
伊藤
そんな、言わないですよ~。言えないですよ。
臼井
でも柔らかく言うでしょ?
伊藤
いやあ‥‥、ま、身近な人には、ね。
臼井
ほら。あはは! 
ほんと、そこ、大事でね、
松下幸之助も裏千家でお茶を点てていたし、
阪急の小林一三だってすごい文化人だし。
昔の経営者ってすごい文化人じゃないですか。
伊藤
確かに。そうね。そうか。
臼井
だから伊藤さんとかやられてるようなこと、
とっても大事なんです。
ファストファッションができてから、
ファッションって、下が上がったけれど、
上は下がりましたよね。
昔の方がおしゃれな人がもっといっぱいいた。
伊藤
そうか。確かに。
ところでお宅訪問、国内でも、
Panasonicのデザイナーが、
じっさいのユーザーのお宅を訪れるような
取材も見てみたいです。ユーザーとして。
臼井
ああ、それ、面白いと思いますよ。
コロナで今まで見えなかった家の中が
SNSで公開されるようになりましたよね。
日本人って今まで
家の中をあんまり公開してなかったから、
インテリアを人が見ることがなかった。
これ、見栄えだけの話じゃなくて、
実際の体験とか動線とか、
家の中ですごく大事なそういうことが含まれているから、
取材を通してそれがわかるといいですよね。
伊藤
テレビはふだんクローゼットにしまってるんですとか、
夜、階段が暗くて怖いからLEDのランタンを置いてます、
とか、家電のことにしても、
「そうか!」って思うことがありそう。
臼井
そういう具体的なシーンがあった方が
「これをうちに置き換えたら」って考えられますね。
文章で言われてもなかなかイメージが浮かばないけれど、
そういう具体的なものを見せてあげると。
そういう意味で、伊藤さんの軽井沢のおうちは、
いろんな実験の要素が盛り込まれていて面白いですよね。
伊藤
またぜひいらしてくださいね。
伊藤
話が尽きませんが、そろそろ予定のお時間に。
臼井さん、お忙しいなか、
今日はありがとうございました。
またぜひゆっくりお話をさせてくださいね。
臼井
こちらこそありがとうございました。
またぜひいらしてくださいね。
僕も遊びに行かせてください。

インプットの多さ、アウトプットのはやさ

未分類

臼井
ところでこのHalf Round Table、
奥行きがあるように感じるんですよ。
半円なのに、それ以上というか。
面白いなあと思って。
伊藤
これ、ちょっと秘密があって、
完全な半円じゃないんです。
2つ合わせても正円にはならないんです。
臼井
そうなんですか!
伊藤
半円をいちばん美しくしよう、
っていうコンセプトで設計をしていて、
ほんのすこし奥行きを足しています。
臼井
あぁ、それはすごい!
伊藤
その天板の大きさもそうですし、
脚のラインであるとか、
こまかいところを家具のチームといっしょに
かなり考えてつくったんです。
角に丸みを持たせすぎるとファンシーになりすぎる、とか。
といってシャープにしすぎると
「かっこよく」なっちゃうから違うね、とか。
臼井
伊藤さんの細部への目はすごいですよね。
軽井沢の家にあったカウンターのハイチェア、
裏っ側がかっこよかったですもんね。
脚の付け根のところ。



撮影=有賀傑

伊藤
あれはソファーに座ったときに見えるので、
始末をきれいにしてほしかったんですよ。
でもそれはね、プロの方たちがやってくれるので、
私はこれがいい、って言うだけなんです。
臼井
最初に言ったように、テーブルにくっつけてみませんか。
よいしょ‥‥(運ぶ)。
ぴったりでしょう。
伊藤
すごい! イメージ変わりますね。
お仕事のテーブルが、かわいくなりました。
面白いなあ、角と丸の違い。
臼井
あえて離して置いたのは、
仕事をするところと、
ちょっとブレイクするところが、
いい感じで離れてるのがいいかなって思って。
でもくっつけても、違う世界がありますね。
伊藤
臼井さん、いかがですか、半円家電。
臼井
あはは! でも炊飯器だったら
中のお釜まで作んなきゃいけないからなぁ。
伊藤
そっか、そういうこと。
かんたんじゃないですよね。
臼井
ピザ釜は全体が丸いほうがいいし。
‥‥空気清浄機ならできるのかな。
伊藤
「weeksdays」では
半円の傘立てを扱いましたよ。
臼井
「半円にならないかな?」は、
課題として面白いですね。
いろんなものに当てはめて考えると。
「これほんとうに、四角くなくちゃいけないの?」って。
家電の場合は中の機構の問題がありますけれど、
昔、Panasonicでデザイナーズ商品っていうのがあって、
たとえばこれ、当時の電話機なんですよ。
面白くないですか。
伊藤
え、かわいい!
見たことなかったです。
臼井
このCDラジオも引き算のデザインです。
以前、社長が言ってくれたんですが、
「デザインを良くしたら、
お客さんは大事にしてくださるから、
それが一番ロングライフになるよ」って。
だからデザインってすごく大事なんです。
伊藤
「いい家具はずっと使える」のと一緒ですね。
臼井
やっぱり丁寧に作って丁寧に使ってもらう、
っていうことがすごく大事だと思います。
Panasonicの家電も、
社内で過剰品質って言われてるぐらい、
“やりすぎ家電”なんですよ。
ちょっとやりすぎじゃないの、
もっと効率化して安くできるじゃない? みたいに。
でもいちユーザーになったら
そのくらいやってくれてるから
お金を払いたいって思う。
僕はそのくらい過剰でいいんじゃないのかな、
と思うんです。
同時に、デザインはシンプルにすることを考えながら、
「シンプルになったあとをどうするか」も
考える段階に来ているんです。
具体的に言うと、家電のリサイクルや、
修理をしてもっと使えるようにする、
という取り組み。そういう違う軸が要るなと思います。
2023年からは、さまざまな理由で当社グループに
戻ってきた家電をもう⼀度使える状態に再⽣しご提供する
Factory Refreshもスタートしました。
伊藤
なるほど‥‥。

伊藤
臼井さん、月に1回は海外に行かれるのは、
インプットをすごく大事にしているということだと
おっしゃっていたんですよ。
そんなにインプットして大丈夫なんですか。
頭の中がぱんぱんになっちゃいそう。
臼井
え! そんなこと考えたことなかった。
スケジュールはちゃんと調整してもらってるんですが、
それでもこの間、上海に0泊2日だったかな、
そんなこともあるんだけれど、
いくらネットで情報や動画が見られても、
やっぱり自分で行って見て体験したものが
全てじゃないかなって思うんです。
北欧に行ったときにはサウナに入って
冷たい海に飛び込みましたよ。
伊藤
あら、それはどんなお仕事なんですか。
臼井
家庭訪問調査です。
これがめちゃくちゃ面白いんです。
伊藤
わぁ‥‥一緒に行きたいくらい興味があります。
臼井
でしょ。やっぱり暮らしなんです。2025年の
「世界幸福度ランキング」(国連がまとめたもので、
「人生に対する自己評価」をもとに算出している)で、
日本って55位なんです。
前年の51位から下がった。
で、フィンランドは8年連続1位なんですよ。
それはなぜなんだろう、
幸せに暮らすってどういうことだろう、
ということを実感したくて。
フィンランドの人、
インテリアがとてもきれいなんですよね。
冬は夜が圧倒的に長くて、家で過ごす時間が長いから。
そして家を訪問したいというと、
多くの人が快く迎え入れてくれる。
逆に、スペインでは、まず家に上げてくれない。
「だったらバルに行こうよ、家は来なくていいよ~」って。
どうしてもってお願いして訪ねて見たら、
家のなか、そうとう、散らかっているんです。
だから人を呼ばないんでしょうね。
でもスペインの人は
外でみんなでお酒飲んでおいしいものを食べて、
絶対人生楽しいよなあっていう暮らしをしている。
そんなふうに幸せなところを
ちょっと見に行くという仕事です。
伊藤
そのインプットしたことは、
どんなふうにアウトプットなさっているんだろう。
臼井
インプットをしたことはけっこうすぐみんなに
いろんなところで話します。
たとえば僕、部下全員に、
誕生日メッセージを送ってるんですよ。
毎日のように。
多いときで1日に7人ぐらいになるんですけど、
誕生日の朝起きたら、誕生日メッセージが、
AIじゃなくて僕が書いたものが届くように。
僕、これ、部下とのコミュニケーションにおいて
すごく大事にしていることなんです。
ほら、スマホだと、このくらいの文章です。
伊藤
(スマホをのぞいて)えっ、すごい! 
ちゃんと長いお手紙。
臼井
これを1対1のコミュニケーションでやってます。
面白いんですよ、履歴が残ってるから、
1年前にはこんな話をしたということもわかる。
「え、もう双子が1歳になったの?」って書いたら、
「そりゃそうですよ、1年経ったんですから」みたいな。
それで子どもの写真を送ってくれたのを見て、
「そっか、お父ちゃんを、ちゃんとやってんだなぁ」って。
伊藤
そうなんですね。すごい。
臼井
だからデザイナーの名前と顔と仕事内容は
だいたいわかってますね。
くじけそうになるときあるんですけど、
海外出張のときは海外先から書いてます。
「今どこどこにいるんだけど」って。
伊藤
お忙しいなかで!
臼井
眠たいときは「やばいっ」。
時差で日本は次の日になっちゃう! 
と思って、慌てて書いて。あはは。
でもいいコミュニケーションになるんですよ。
だから入れたものをすぐ出してるんだと思います。

引き算をしよう

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臼井
僕が1990年にプロダクトデザイナーになったとき、
デザインは技術の視覚化でした。
中に入ってる技術をいかにお客さんに伝えるかみたいな。
だからいい音のものだったら
いい音が出ることを強調したデザインのラジカセを作った。
音を誇張する、みたいな感じですね。
でも僕が日本に戻って来た2016年、
みんなに言ったのは「引き算をしよう」ということでした。
電子レンジに何百個のメニューがあっても、
使ってない機能があったらお客さんは使いづらい。
じゃあいらないものを省いてって
ほんとにプリミティブなものを作った方が
いいんじゃないの、って。
伊藤さんの軽井沢のおうちなんて
もうまさに引き算の家みたいな感じじゃないですか。
無駄なものがいっさいない。
「え、ドアもないの?」みたいな。
巾木すらない、カーテンもいらない、
「え、バスタブ? いらないでしょ」って。
あれはもうすごく伊藤さんならではの
「行き切った」感じだけれども、
僕たちもそれに近いものっていうか、
引き算をしようよ、と。
でも引くのって、すごく難しいんですよ。
ことに、会社の中でやるのは。
足すより引くのが難しい。
伊藤
そうですよね。
私「ほぼ日」では引き算担当。


カーテンも巾木もいらない。ダイニングテーブルもなし。(撮影=有賀傑)

臼井
それ、すごく大事ですよ。
お客さん側から見たときに。
伊藤
「これ欲しいけど、ここにロゴやタグがなければいいのに」
っていうのありません?
臼井
あります、あります。
伊藤
そういうもやもやを一気に解消してるのが
私たちのお店です。
臼井
うん、うん。
そうだ、これ伊藤さんに紹介しましたっけ。
伊藤
あら、これ、開化堂さんの茶筒?
臼井
そうそう、でもね、蓋を開けると‥‥。
伊藤
あれ? あっ!
臼井
これ家電なんですよ。
伊藤
えっ! スピーカー?
臼井
蓋の開閉がオン・オフで、
こうして蓋をすると音楽が止まるんですよ。
伊藤
商品ですか。そんなの作ってるんですか。
臼井
これね、ミラノ・サローネ(国際家具見本市)に
出るっていうときに作って、賞をもらったんです。
実際に生産もしたんですよ
1個30万円で100個限定で作り、一瞬で売り切れました。
会社の中では
「こんな30万円のBluetoothスピーカーなんて
誰が買うねん」みたいな話になってたらいまわしになって、
それでもなんとか。


ミラノ・サローネで受賞したときのトロフィー(木馬型)。

伊藤
まさしく京都をベースになさっているから
できたものっていう感じがしますよね。
臼井
Kyoto KADEN Lab.(京都家電ラボ)
というプロジェクトで、
ほかにも京都的な家電のプロトタイプがあるんです。
水道の水のように、
豊富に物をつくれば人々の暮らしが豊かになる、
それがこれまでのPanasonicだったけれど、
今はそれをやる会社がたくさん出てきてる。
日本の家電メーカーもどんどんなくなってきている。
じゃあ今のPanasonicは何をやるのっていうと、
こういうことをやらないと生き残れないんじゃないか。
それでプロトタイプを作っているんですよね。
伊藤
私たちが知ってるPanasonic製品、
冷蔵庫とかドライヤーとか
家の電気基盤みたいな「必要なもの」のほかに、
こういうこともなさっていこうと。
臼井
そうですね、はい。
より文化的な側面、日本らしさを入れ込んで、
もう1段階ステップアップしたいなと。
バランスが難しいんですけれどね。
やりすぎるとトゥーマッチになっちゃうから。
でもこういうプリミティブなものを試行錯誤中です。
まだ、答えはないんですけど。
伊藤
私が臼井さんに提案してるのは、
おうち1軒まるごと、なんです。
リノベーションして、
さりげなくPanasonicのものがあるっていう。
「あ、冷蔵庫がこういうふうに置かれてるんだ。
こういうふうに食洗器って使えばいいんだ」
みたいな自然光が入る一戸建てのショールーム。
そういうのがあったらいいんじゃないかなあと思って。
‥‥って勝手に言ってるんですけど。
臼井
でも京都だったらあるかもしれないですね。
町家の再生プロジェクトと一緒にやるとか。
中国では家の中を丸ごとPanasonicでリノベして
老人ホームや住宅をやったりしてるんですよ。
伊藤
壁の色と家電を揃えるとか、
そういうのもいいかもしれないですね。
臼井
そうですね。確かに。
伊藤
そういえば移動できるテレビも驚きましたよ。
臼井
そういう、僕たちの既成概念を
壊していくことはできると思うんですよね。
伊藤さんの軽井沢の家を拝見してから
ずっと家のことを考えているんですよ。
たとえばコンセントって隠せないのかな、とか。



暮らしをどこまで引き算できるか?と考えながら作った軽井沢の山荘。コンセントもなければないでどうにかなる。ただ「ちょっと不便くらいがいい」と思えるのは、別荘だからなのかも?(撮影=有賀傑)

伊藤
深澤直人さんのアトリエでは、
壁のむこうに空調機器があって、
天井近くのスリットから温冷風が流れ、
床近くのスリットでは吸気をするしくみになっていて、
いつも風がめぐって常に快適な温度と湿度でした。
それもデザインですよね。
臼井
うちの空調チームが、今まさに、
そういうことをやってますよ。
東京の⽇本橋に実験施設をつくって、
時にはお客様と共創しながら
デザイン起点でのソリューション開発を推進しています。
今、エアコンってすごく飛び出してるんですよね。
省エネをしようと思うとどうしても
奥行が必要になるんですよ。
伊藤
軽井沢は、もともと夏でも
空調機器がいらなかった地域なんですけれど、
だんだんいるようになってきて、
うちのところもおそらく5年先には暑くなるから、
先につけちゃいましょうって。
だから天井に埋め込みました。
家を作るときって、家具の配置を考えがちだけれど、
それよりも電気の配線をどうするかとか、
そういうのをきれいにすることを
すごく考えましたね。
臼井
順番からいうとそうですよね。
伊藤
とはいえ、かんたんには作れないですものね、家。
私の東京の住まいも賃貸ですし。
‥‥Half Round Tableの話に戻りますが、
スペースや見た目だけじゃなくて、
角がないことで近くを歩くときの動線が
とてもスムーズになるんです。
臼井
いま置いている入口脇も、絶対そうですよね。
四角だったら当たっちゃう。
伊藤
これで半円がすごくいいなと思って
薪ストーブも半円形でつくってもらったんです。
臼井
あれ、いいですよね。
伊藤
はい。そしたら職人さんがやってみましょうって言って。
結果、やっぱり動線がうまくいって。
臼井さん、家電にも半円はいかがですか。



形や色合いは、Half Round Tableを意識してデザイン。結果、同じ空間にあってもすっきり。(撮影=有賀傑)

臼井
半円家電! あはは。
伊藤
そう、半円家電。
臼井
天井の角に取り付けるコーナーエアコンっていうのを
昔やってたんですけどね。
コーナーに置くと風が部屋中に拡がる、っていうので。
伊藤
あら、それ、やってないんですか、今。
臼井
今はやってないんです。

CI-VA、わたしのつきあい方 伊藤まさこ

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CI-VAのバッグは母と共有していて、
今、私の家にあるのが今回販売する、
ブラックとグレー。

季節を問わず、
服をえらばず。

過去に何度も販売してきたCI-VAですが、
この2色はだんとつで使い勝手がいい。
「はじめてのCI-VA、何色がおすすめですか?」
と問われたら、
ブラックかグレーはどうでしょう? と、
胸を張って薦めたい。
私の中でも特に気に入りの2色です。

バッグはふだん、
木のオープン棚に収納しています。
かごバッグやトートバッグは、
そのまま棚に。
CI-VAのバッグやクラッチなど「平たいもの」は、
箱に立てて収納し、
引き出しのようにして使っています。

こうすることで型崩れも防げるし、
中に何が入っているか一目瞭然というわけです。

お財布、スマートフォン、鍵、
ハンカチ、リップクリーム、ハンドクリーム、
それから水筒にエコバッグ。
私のふだんの荷物はこの8つが基本。
バッグの形はフラットでかなりコンパクトな印象ですが、
意外なほど容量はたっぷりで、
基本の荷物がすべて収まる。
水筒(350ml)を入れても大丈夫なんです。

このバッグは、
最初の販売の時に買ったから、
使い始めてもう6年。
ふだんのお出かけにはもちろん、
旅にも何度も持って行きました。

6年前に比べると、
革の様子はしっとり、つややかになりました。
特にこれといったお手入れはしていないのですが、
使うごとにいい感じになっていく、
それってすごいことなのではと思うんです。

仕事柄、革製品をたくさん見てきましたが、
CI-VAの製品は、とてもなめらかで上質。
ヒモ部分は長さ調整のため、
何度も結んだりまた元に戻したりを
繰り返しているにもかかわらず、
擦り切れない。
これはバッグのすみっこにも言えること
(すみっこが擦り切れたバッグほど
もの哀しいものはないですよね‥‥)。
ずっと使いたくなる理由は、そんなところにもあるのです。

こちらはここ最近の私のCI-VAコーディネート。
アウターにブラックを持ってくるときは、
中は肌馴染みのいい色でまとめます。

デニムコートやレオパード柄のコートを着る時は、
ブラックを。

また、フラットなので、
ショルダーバッグとしてはもちろん、
バッグインバッグとして使えるところもいい。

‥‥と好きなところを語りだすと、
止まらない。
CI-VA好きが集まって、
CI-VA愛を語る。
そんなコンテンツもいつか作ってみたいなぁ。

違和感がないことのたいせつさ

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臼井
僕は、チームのみんなに、
課題の本質がどこにあるか、ということを
考えてもらうようにしています。
僕もいろいろぶつかってきたんですよ。
プロダクトデザインで家電製品を作ることにかけては、
僕もプロフェッショナルだったんですけど、
営業や技術の人にいろいろリクエストされて、
「お店で一番目立つ冷蔵庫を作ってくれ」とか。
伊藤
えっ、家電売り場で目立っても仕方ないですよねえ。
臼井
そうなんです。だから
「すいません、僕、お店で一番目立つものを
買ったことがありません。
だからそういうのを作んない方がいいと思います」
みたいな感じでやってきました。
課題の本質は違うとこにあって、
いいデザインとは何かをどうやって決めるかっていう。
伊藤
どうやってお客様に届けるか。
臼井
そうです。そのプロセス。
CMの話も同じことで、
どういう表現がお客さまに届くのか、
っていうことなんですよね。
伊藤
それこそ小型のシェーバーのCMで、
洗面所の棚に置かれているシーンを見ると、
「あ、こんな小っちゃいんだ」とわかるし、
これが家にあると、こういう風景になるんだなって
イメージがつかみやすい。
臼井
シェーバーって黒と銀で
なんだか「男の世界」みたいな印象でしたよね。
でも洗面所に置いとくんだったら
石ころみたいな方がいいんじゃないのかな、って。
サニタリールームに置いて違和感がないものを、と。
伊藤
石ころというキーワードは、臼井さんが?
臼井
いえ、若いデザイナーが、
河原で石を拾った、っていう話から始まりました。
じゃあそういうマテリアルを探そう、と。
僕はもう細かいデザインはやっていないんですよ。
伊藤
そうなんですね。
技術の進歩もありますよね、
小っちゃくできたっていうのは。
臼井
今までって、技術が先にあって
デザインはその後に考えることが多かった。
だけどこれはこのサイズがいいから
このサイズに入れ込もうとなった。
その技術がすごいと思います。
このサイズ、握り心地がよかったり
出張のときとかに鞄にポイって
入れていくだけでいい。
Type-Cだからスマホと一緒の充電器で充電できるし。
伊藤
すごいですね。優しい感じがする。
さきほど「サニタリールームに置いて違和感がない」
というデザインだとおっしゃっていましたが、
私、家電売り場で冷蔵庫を買う時、
宣伝のことばや写真がいっぱい、
冷蔵庫のドアに貼ってあるのを見て、
これだと家に置くイメージが
全然わからないって思ったんですよ。
臼井
ああ、POPがいっぱいだから。
伊藤
そう。だから取ってほしいとお願いしたら、
お店の人、取ってくれました。
臼井
いい電器屋さんですね。
伊藤
その冷蔵庫、料理家の友達が使ってたんですよ。
購入のきっかけは、やっぱり使ってある様子。
食洗器もそうです、あるかたのおうちで
「これいいですね」と品番を控えさせてもらいました。
友達がどういうふうに生活に馴染ませてるかとか、
うまく使ってるのを知ると、
「これが欲しい」ってなりますね。
臼井
パナソニックのデザインフィロソフィー(哲学)で、
3つのプリンシパル(重要だとしていること)があって。
それは
「人の思いを察して」
「場に馴染んで」
「時に順応する」
ことなんです。
とくに場に馴染む、空間にとけ込むことは、
すごく僕たちのデザインとしては大事にしてる。
人に威圧感みたいなのを与えない、
あくまでも人が主役。
家ってそういう場所ですから。
伊藤
人が主役。そういう哲学でいろいろなものを
デザインなさっているわけですね。
臼井
うちの会社って音楽のための機器もデザインしてるし、
コーヒーメーカーなどの調理器具も
もちろんデザインしてるし、
自転車もやってるんですよね。
伊藤
自転車も?!
臼井
そうなんですよ。
唯一日本でツール・ド・フランスで優勝してるの、
Panasonicなんですよ。
そういう、なんかこう、
風を浴びたり音楽を聞いたり、
コーヒーの香りを感じるみたいな暮らしを、
ちょっと豊かにするようなものを作ってるんです。
そういう暮らしをお客さんに届けたいな、
っていうのはずっと考えています。
伊藤さんのキャリアも、
「食」(食器)から入られて、「衣」もなさって、
今「住」に強く興味をお持ちじゃないですか。
僕、すごく面白いなあと思ってて。
衣食住、全部なさっているのが。
伊藤
どんどん広がってきた感じです。
臼井
でも、衣か食か住か、手段が変わってるだけで、
目的はあんまり変わっていないんじゃないのかな。
心地いい暮らしってなんだろうと、
伊藤さんはずっと考えられてるのかなって。
そういう面で、家電のデザインとは違うけれど、
目指してるところはすごく似てるんじゃないのかな、
そんなふうに思っているんです。
伊藤
最初の「食」で、
料理家のかたのテーブルのスタイリングでは、
テーブルの上のことだけだったのが、
「じゃあ、テーブルもいいものがあったら」とか、
「テーブルのあっち側の窓のカーテンは」と、
どんどん広がっていったような感じがします。
窓からどんな光が差し込むかも
スタイリングのひとつだと思っていて。
臼井
そうですよ、世界観を作ろうと思うと、
絶対そうなりますもんね。
伊藤
私がアシスタントをしていた30何年前は、
撮影となったらハウススタジオを借り、
家具も借りて運び入れ、
全部コーディネートをしていたんです。
それが、私が30歳ぐらいのとき
『クウネル』っていう雑誌が出てきて、
そういうのがなくなったんですよ。
普通の人の暮らしが注目されるようになった。
「やっぱり作り込んだものじゃないのがいいんだ」と
あらためて感じました。
ちょうど私に子どもが産まれて
家の中にいることが多かったことも
関係していたのかもしれません。時代の流れと共に。

臼井さんって、なにをしている人?

未分類

伊藤
以前は京都にはデザインの拠点がなかったんでしょうか。
臼井
元々は滋賀と大阪で、
デザインの部署がバラバラだったんですよ。
それを一つにまとめようと思って。
そのときにどこにまとめるかすごく悩んで、
いろんな人に話を聞いたときに、
「10年先だったら東京でいいけれど、
100年先を考えるんだったら京都がいいよ」
と、京大の教授に言われたんです。
特に暮らしのデザインをしているのなら、
日本の豊かな暮らしと、人との繋がり、
文化が残っている場所にすべきだと。
伊藤
京都には“人間らしい”感じがあるわけですね。
臼井
そうですね。それで京都にしようと決めたものの、
空いてるオフィスがないなかで、
たまたまここが見つかったんです。
元々は大手の通販事業の会社が入っていました。
いちどスケルトンにして、デザインのメンバーみんなで
どんなオフィスにしようかを考えました。
伊藤
滋賀と大阪にあったデザインの部署は、
こんな雰囲気ではなかったんですか。
臼井
工場の隅っこにデザインの部屋みたいなのがあって、
なんか黒い服着てる秘密結社みたいな感じでしたよ。
ほかのみんながデザイン室にはなかなか入りづらい、
みたいな雰囲気で。
だけどやっぱりいろんな人が集まる場所にしたかった。
そのためには街中で、
人が来やすいような雰囲気にしようと。
ここを作ってから採用もすごく増えたんです。
伊藤
あ、そうなんですか!
臼井
キャリア(転職)の人からの
応募数も一挙に上がって。
伊藤
すごいことですね。
「ここで働きたい」ってことですよね。
臼井
そうです、そうです。
空間って人を引き付ける力がある。
こういうことにコストをかけることについて、
僕たちみたいなメーカーだと
疑問視する声もあったんですが、
当時のトップの人たちの中に
「やっぱりデザインはいい環境でやることが大事だよ」
「いい環境で、デザインがよくなるんじゃないかな」
と言ってくれる人がいて。
あと松下幸之助が、商売は大阪でやってたんですけど、
いろんなこと考えるのは京都だったんです。
だからデザイン部門が京都にあるのは、
この会社のストーリーテリングとしても
すごく合ってるよね、と。
伊藤
こうやって自然光が射し込むところは
家電に絞れば私たちが使っている環境に近いし、
閉ざされた空間で蛍光灯の下、みたいな机の上だけで、
っていうのとは、違う気がしますね。
臼井
しかも、外に出たら生活感があり、
外国人がスーツケースをガラガラと運んでいる。
そういう世の中の動きみたいなものを
肌感で理解できる場所でデザインするっていうことが
大事かなあって。
伊藤
なるほど、だんだんわかってきました。
いま、臼井さんの仕事ってなんですか。
臼井
僕、何してるんですかね。
伊藤
そういえば。
臼井
基本的にはPanasonicのデザイン部門の責任者です。
もともと僕たちがしているのは家電の
プロダクトデザインだったんですけど、
プロダクトデザインだけをよくしても
お客さんに伝わらないと思い、
僕はけっこう仕事を越境してやっているんです。
たとえば、もともとマーケティングにあった
コミュニケーション‥‥CMとか作ってる部隊も
デザインに持って来たりとか、ブランディングとか、
ちょっと違うことまで広げているんですよ。
デザインをすることをデザインしてるみたいな。
最近PanasonicのCMがちょっと変わったと思いません? 
以前に比べて、タレントさんではなくて、
物中心でデザインをしているんです。
ほかにもSNSとかでバラバラだったデザインを
統合していったりも。
そういう全体の世界観づくりですね。
伊藤
20何万人も社員の方たちいらして、
いろんな部署があるのを、
デザインを通してまとめる。
臼井
そうです、そうです。
デザインとしてのパナソニックの世界観を
作っていくためには
どういう理念とかどういうガイドラインとか
どういうシステムで運用していくか。
それ作って現場に戻していくんです。
伊藤
なるほど。あまりにも規模が違うけれど、
私たちの「weeksdays」もそうなんです。
インスタの投稿の写真はこういうルールで、
みんな好き勝手に上げないでね、
こういう言い回しはやめましょう、
みたいなことをちゃんと考えるようにしているんです。
臼井
そういうことです。
全く一緒だと思いますよ。
「それはちょっと、うちっぽくない」って。
でもこれってガイドラインを明確にできる話じゃなくて、
やってる人はイメージがあるんだけど、
明文化できない。
伊藤
「weeksdays」のチームは小さいので、
私が伝えたことに対して
すぐにみんなからの反応がありますが、
臼井さんの率いるチームは
すごく大きいじゃないですか。
臼井
いや、もう、めちゃくちゃ大変ですよ。
毎日、けっこう、仁義なき戦い、じゃないですけど。
例えば、意図は合っていたとしても
表現されていることがブランドのパーソナリティーに
合っていないものを⾒つけたら
その時は「こう変えませんか」と⾔います。
伊藤
あら、本当にそういう言い方なんですか。
もうちょっとハッキリ怖い感じとか? ふふふ。
臼井
いや、そんな感じなんです。
伊藤
でも臼井さんに言われたら、
反抗的な気持ちにはならないように思います。
臼井
言い方としては、
「これあと何年ぐらいやろうと思ってます?」とか。
「これ5年ぐらいやります? 
5年先もこれでいいと、そこまで考えてます? 
‥‥考えてないですよねぇ」みたいな。
伊藤
だんだん、こう、埋めていくんですね(笑)。
なるほど。

日本らしさを考えるきっかけ

未分類

臼井
伊藤さん、こんにちは。
今日は京都までお越しくださって
ありがとうございます。
伊藤
こちらこそありがとうございます。
臼井さん、こんな素敵なお部屋でお仕事を?
臼井
ありがとうございます。
伊藤
Half Round Tableを
使ってくださっていて
とても嬉しいです。
臼井
これ、実はこのテーブルの奥行きと
ぴったりおんなじサイズで、
高さも同じなので、
くっつけても使えるんですよ。
最初、Half Round Tableが届いたときは、
テーブルに寄せてセッティングしていたんです。
メンバーと、角が半円になるのが面白いなあ、って。
いまはこうして壁に寄せて
飾り棚のようにしていますけれど。
伊藤
とっても嬉しいです。
このオフィスは、ちょっと住宅のような
おもむきがありますね。
臼井
オフィスに暮らしを引っ張りこんでいる、
みたいなイメージなんです。
だから、ほら、
ターンテーブルとコーヒーとお花。
伊藤
いつもそうなんですか?
臼井
あはは、お花は、すみません、
今回の取材のために
僕がいつも自宅に飾るのに
買いに行っているお花屋さんが
器といっしょに用意してくれたんです。
伊藤
ご自宅はお近くに?
臼井
ここ(京都の中心部)から1時間ぐらいです。
でも毎日ここに来ているわけではないんですよ。
伊藤
たしか、月に1回は海外に行かれているとか‥‥、
あ、「weeksdays」の読者のみなさんには
臼井さんは「はじめまして」ですね、
そこからお話をすると‥‥。
臼井
『& Premium(アンド プレミアム)』という雑誌で、
うちの女性デザイナーが対談をさせていただいたのが
ご縁のはじまりでした。
伊藤
そうでしたね。
臼井
そのあと、社内イベントで
トークセッションを開いたとき、
伊藤さんに京都に来ていただいたんです。
伊藤さんがうちのシンプルなドライアイロンを
使ってくださっていたのを知ったので、
ぜひ、と思ったんです。
トークセッションは、
暮らしの豊かさ、がテーマでしたね。
それで伊藤さんの軽井沢と東京の二拠点生活とか、
無駄なものをそぎ落としていく暮らしについて
お話をききたくて。
伊藤
臼井さんたちは、そのトークセッションの前に、
軽井沢の家に来てくださって。
臼井
セッションでは「研ぎ澄まされたものってやっぱりいい」
という話で盛り上がりましたね。
伊藤
社内向けの動画配信だったので、
目の前に人がいなかったんですが、
社員のみなさんが20万人くらいいらっしゃると知り、
全員がごらんになっているわけではないでしょうけれど、
その数にびっくりしつつ、
楽しくお話をさせていただきました。
その時、糸井さんの「ほぼ日」で
「weeksdays」というお店をやっている、
という話をしたら、
Half Round Tableに興味を持ってくださって。
臼井
家に欲しいなって思ったんです。
でも今回、伊藤さんが「weeksdays」の対談に
呼んでくださったと知ったうちのメンバーが
「臼井さんの家よりも会社でちゃんと使ってください」。
伊藤
このオフィス(Panasonic Design Kyoto)も、
お家っぽい雰囲気がありますよ。
この臼井さんのお部屋に限らず、
上のフロアに大きなキッチンがあったりして。
臼井
そうです。ベランダに植栽をしたり、
ビールサーバーやワインセラーを入れたりとかして、
夜はみんなで飲んだりするような感じです。
暮らしの延長みたいなところで
デザインすることが大事だと考えて、
こんなふうにしているんですよ。


「京都家電ラボ」制作の、ワインクーラーのプロトタイプ。

伊藤
Panasonicといえば、臼井さんを知る前、
深澤直人さんのアトリエにおじゃましたとき、
たまたま電灯のスイッチが気になったんです。
そうしたらPanasonicなんですよ、って、
それが「so-style(ソー・スタイル)」
だと知って、「あ、発見!」っていうか。
臼井
Panasonicって家電のイメージがあるんですけど、
そういったスイッチ類もそうですし、
実はコンビニの決済端末とか
病院のマイナカードの認証機械も、
よーく見たらPanasonicって書いてあるんですよ。
あと空港の顔認証ゲートとか。
もちろん家の中でお料理したり
髪の毛を乾かしたりするのもそうなんですが、
家の外に出ても、けっこういろんなところで、
人々の暮らしのとこに溶け込んでるんです。
伊藤
初めましての方に向けて言うと、
臼井さんはその中で“偉い”人として。
臼井
いやいやいや! そんなことはないですよ。
伊藤
デザイナーから初めて役員になった人、ということで
ニュースになっていましたよ。
臼井さんの仕事の歴史を
教えていただいてもいいですか。
臼井
はい。僕は1990年、
バブルがはじけるちょっと前ぐらいに入社しました。
ちょうどその頃ってテレビ売上がすごいときで、
僕も最初はテレビのデザインをしていました。
もちろん液晶テレビとかじゃなくて
ブラウン管の箱みたいなテレビのデザインを
10年ぐらいしていたんです。
そのあとに家電に移って、洗濯機などのデザインをして、
次にアジアの家電を全部統括するみたいな仕事になり、
中国にデザインセンターを作るからっていうので、
2007年、北京オリンピックの前の年、
40歳になるちょっと前ぐらいに上海に行き、
9年間を上海で過ごしました。
上海の最後の方は中国の人だけじゃなくて
ヨーロッパや中米の人も一緒に、
多国籍にやっていたんです。
自分で欧中連携っていう言葉を勝手に作って、
ロンドンのデザイン事務所と一緒に仕事をしたり。
ところが日本に帰って来たら
「日本は全然変わっていないぞ?!」っていうので、
これはまずい、と、そのことが
この京都の拠点をつくるきっかけになったんです。
伊藤
「日本は全然変わっていない」というのは、
ご不在の9年間、まったく変わらなかった、
という印象を持たれたということですか。
臼井
はい、その危機感です。
2007年から2016年って、中国では
北京オリンピック、上海万博があり、
もうすごい勢いでぶわーっと伸びた時期なんですよ。
伊藤
とても面白いときに上海にいらしたんですね。
臼井
そうです、そうです。
僕が最初に行った2007年って、
上海の電器屋に行ったら
Panasonicのテレビが他の⽇本メーカーの製品と⼀緒に
エスカレーター前のいいところに
並んでるような感じだったんです。
でも途中で日本メーカーはなくなり、
韓国メーカーさえもなくなり、
最後にはもう電器屋自体がなくなって、
全部eコマースに移る、みたいな。
5本くらいだった地下鉄が20本近くになったし、
中国はそのくらいの変化をしたんですよね。
伊藤
街の人はそのめざましい変化に
ついていってるんでしょうか。
臼井
ついていっています‥‥けれど、光と影があります。
めちゃめちゃついてってる人がいる一方で、
配送とかはデジタルにならないから、
ほこりだらけのバイクが街にあふれたり。
そういう激しいコントラストはありますが、
全体的に見ると、すごいスピードで、
日本は中国に一挙に抜かれていった、と感じました。
伊藤
それをほんとに見てきたわけですものね。
臼井
そうですね。だから日本に帰って来たときの、
変わってない感じに危機感をおぼえました。
「外堀、かなり埋められてるぞ」って。
ならば、僕たちはやっぱり
自分たちの強みでしか勝てないから、
日本らしさみたいなところの再定義をしようと、
京都っていう場所にしたんです。
伊藤
なるほど。

再入荷のおしらせ

未分類

完売しておりましたアイテムの、再入荷のおしらせです。
12月11日(木)午前11時より、以下の商品について、
「weeksdays」にて追加販売をおこないます。

Fatima Morocco
シンプルバブーシュ
(グレー、ホワイト、ブラック)

▶︎商品詳細ページへ

家の顔とも言える玄関なのだから、
そこに並ぶ室内ばきは、
気に入ったものを揃えたい。

履き心地がよく、
たたずまいの美しいものを。
値段も飛び抜けて高くなく、
一年中履けるものがいい。

ファティマ モロッコのバブーシュは、
どれもが合格点。
ことに、かかと部分に入ったクッションがふかふかで、
足に負担がかからないところがいいんです。

今回、
weeksdaysでご紹介するのは、
無地のロゴ無しタイプ。
すっきりした見た目は、
さまざまなインテリアに馴染みます。

履いてうれしく、
置いて美しい、
そうそうこんな室内ばきが欲しかったんです。

色は、
ブラック、ホワイト、グレーの3色。
インテリアに合わせてお好きな色をどうぞ。
(伊藤まさこさん)


Le pivot
ブロードロングシャツワンピース
(ブラック、ブラウン)

▶︎商品詳細ページへ

第一ボタンをきっちり留めたり、
または2、3個外したり。
襟を少し立て気味にしたり、
ベルトでウェストマークしたり。
中にパンツやスカートを重ねて、
ちょっとコート風に着たりと、
一枚でいろんな表情が作れるシャツワンピースです。

前からはもちろん、横のラインも、
また背中に寄ったギャザーもきれい。
シャツが長くなっただけではない、
見せ方(魅せ方)の工夫がそこかしこにあるんです。

一枚サラッと着ただけで様になりますが、
レースのストッキングやフワフワ靴下、
ブーツやスニーカーなど、
足元のおしゃれを忘れずに。
サンダルと合わせてもいいなぁ‥‥と思うと、
一年を通して着られるアイテムではないでしょうか。
(伊藤まさこさん)

やわらかなイメージ

未分類

自分で作るのもいいけれど、
時には誰かに作ってもらったごはんが食べたい。

そんな時に行きたくなるのが、
山の麓の和食屋。

ていねいで実直。
食べるとお腹がほんわかあったかくなって、
満ち足りた気分になる。

おいしいお米と、しじみの味噌汁。
魚はいつもいい焼き加減。
添えられた小鉢や漬けものは、
季節の野菜をふんだんに使っていて、
量も過不足なし。

思い立った時に、ひょいと行ける距離ではないから、
ますます恋しくなるのだけれど。

つい先日たのんだのは鯖の定食。
ふっくら焼き上げられた鯖は、
もちろんおいしかったのだけれど、
印象的だったのが、蕪の煮もの。

ほっくりとやわらかく煮てあるのに、
型くずれなし。
よくよく見てみると、
ひとつひとつ面取りしてあって、
口あたりがやさしい。

その小さな器の中の美しい蕪を見ながら、
そうか、遠くても通いたくなる理由は
こんなところにあるのでした。

今週のweeksdaysは、
Half Round Table。

半円のテーブルは、
見た目にやさしく、動線もスムーズ。
角がないというだけで、
こんなにもやわらかなイメージになるのだなぁ。

人も、丸くなると「角が取れた」なんて、
言いますものね。

コンテンツは、
Panasonicの臼井さんと対談。
そうそう、weeksdaysの定番、
CI-VAのバッグの再販も。
盛り沢山な1週間です。

COGTHEBIGSMOKEのトップス、こんなコーディネートで 伊藤まさこ 02 差し色に加えるなら、ぜひレッド

未分類

レッドに、COGのタグが映える。
このタグの後ろ姿を街で見かけると、
なんだか勝手に仲間意識。
つい話しかけたくなります。
「いいブランドですよね!」って。

そして、かなりの確率で、
COGの服を着ている人って、
すてきな大人の女性が多いんです。

今回、モデルをつとめてくれた
カイノユウさんもとてもよくお似合い。

ANNA LOOSE HIGH-NECK TOP(レッド)/COG THEBIGSMOKE
スカート ¥24,200/le ciel de HARRISS(株式会社 金万)
ブーツ ¥75,900/DIVINA(株式会社 金万)

シンプルなパンツはもちろん、
ギャザーたっぷりのスカートとも相性よし。

ANNA LOOSE HIGH-NECK TOP(レッド)/COG THEBIGSMOKE
ジャケット ¥48,400/Harriss(株式会社 金万)
スカート ¥24,200/le ciel de HARRISS(株式会社 金万)

ジャケットや、

コートにも。
「赤」って着るだけで、
インパクトがある。
そして着るだけで元気にもなるんです。

ベーシックなMID GREYやNAVYもいいけれど、
もしも差し色をワードローブに加えたいなら、
SCARLETもおすすめ。

このSCARLETのトップスは、
私自身が持っていて、
デニムに合わせたり、黒のパンツに合わせています。

印象的なカラーなので、
1泊2日の旅に持って行くことも。
同じパンツやブーツでも、
初日はトップスをグレーに、
2日目はレッドにすればイメージはがらりと変わる。
軽くて、畳めばコンパクトになるので、
旅行にはもってこいというわけです。

旅に、街に。
仕事にも。

きちんと見えて、でも楽ちん。
この冬、欲しいのはそんなアイテム。

COGTHEBIGSMOKEのトップス、こんなコーディネートで 伊藤まさこ 01 ベーシックに使えるグレーとネイビー

未分類

前身頃と後ろ身頃のバランスが絶妙なCOGのトップス。
気になる腰回りをカバーしつつ、
着た自分を引いて(鏡でチェック)みると、
全身のバランスがいい。
これ、本当にすごいと思うんです。

ANNA LOOSE HIGH-NECK TOP(グレー)/COG THEBIGSMOKE
ストレートスカート(ブラック・38)/SAQUI
ブーツ ¥97,900/trippen(トリッペン原宿店)

首回りは適度なゆとりが。
袖はぴたりとし過ぎず、
スッと見せてくれる。

素材のよさもあいまって、
ブラックのスカートにブーツ、
なんていうシンプルなスタイルもバシッと決まる。

大ぶりのピアスにしたり、
時にはスカーフを巻いても。
タートルニットなので、
髪はまとめてすっきり見せるといいみたい。

REVERSIBLE SLEEVELESS JACKET/ALWEL(2025年12月発売予定)
ANNA LOOSE HIGH-NECK TOP(グレー)/COG THEBIGSMOKE
ストレートスカート(ブラック・38)/SAQUI
ブーツ ¥97,900/trippen(トリッペン原宿店)

カーキのベストを上に。

裾からちらりとのぞくグレーがいい表情を見せてくれます。

ANNA LOOSE HIGH-NECK TOP(ネイビー)/COG THEBIGSMOKE
パンツ ¥35,200/Harriss × Keiko Okamoto(株式会社 金万)
ブーツ ¥49,500/DIVINA(株式会社 金万)

こちらはNAVY。
グレーのワイドパンツに合わせてみました。

NAVYは、
どんなアイテム、どんな色とも相性のいい色。

グレー、黒、または同色の
ネイビー同士でまとめてもいいし、
バッグや靴に差し色を持ってきても。

首元はこんな風にくしゃっとさせてもいい感じ。

寒い時に、首回りを守ってくれる。
それでいて、窮屈じゃない。

これから春までの、
数ヶ月、きっとあなた(私も)の
役に立ってくれるはずです。

ここに来れば

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夏の終わり頃から、
骨董市通いが続いています。

きっかけは、とあるイベントのための器集め。
もう充分な量の買いつけができたにもかかわらず、
それでもまだ足が向く理由は、
そこで過ごす時間が楽しいから。

何度か通ううちに、
自分好みの店が分かってきて、
店主と顔馴染みになったりもして。

「こういう感じ、お好みでしたよね」
なんて、
奥の方からがさごそ言わせながら、
新聞紙で包んだ器を出してきてくれる。

ここに来れば、
なにかいいものが見つかる。

そんな店の存在って、
ありがたいことだなぁと思うのです。

今週のweeksdaysは、
COGTHEBIGSMOKEのトップス。

私にとって、
「ここに来れば、
なにかいいものが見つかる」
頼りにしているブランドなのです。

チャコさん流コーディネート

未分類

伊藤
このバッグに合わせる、
チャコさんのお気に入りのコーディネートはありますか?
鈴木
毎回すごく考えているわけではないんですけど、
レオパード柄を持つ時は
着るものは無地とかベーシックなものを選ぶかな。
柄 × 柄だとごちゃついて見えるので、
バッグがアクセントになるように
バランスを取っています。
伊藤
ブラックやホワイトは
どんな色の服にも合いますよね。
鈴木
ブルーでもベージュでもブラウンでも、
幅広いカラーに合います。
もちろんシーズンレスに使えますけど、
これからの季節、
ホワイトのパキッとした色は
「冬の白」という感じで
コーディネートのアクセントになるかなと思います。
私は上下がデニムのときなんかに
ホワイトを合わせてます。
伊藤
このレザー、
すごくしなやかで柔らかいけど
ちゃんと革の素材感もありますよね。
鈴木
そうそう、
シボ(革表面の細かいシワ)のあるレザーを使ってます。
スムースレザーだと
ボールペンの跡とかつけちゃうんですけど、
これなら汚れも目立ちにくくていいですよね。
伊藤
ボアはどういう感じで合わせられますか。
このモコモコを目立たせるには
服はボリューミーじゃない方がいいのかしら。
鈴木
私もそう思います。
例えばレザーのライダースのような、
男の子っぽいハンサムなものを合わせるといいかも。
伊藤
チャコさん、ライダースお好きですもんね。
いつもすごく似合っていて憧れます。
鈴木
好きなんですよ~! 
ボアと合わせると「甘辛」という感じで
バランスがいいと思います。
伊藤
甘くなりすぎなくていいですね。
ツイード生地のブラックも、
黒のジャケットに合わせて持ったら
かっこよさそうです。
鈴木
素材ちがいの黒、
かっこいいと思いますよ。
伊藤
足元はどんなものが合うでしょう。
鈴木
パリは道が悪いから
私はふだんスニーカーが多いんですけど、
これからの季節はブーツにも合いますし、
「ポシェットP」にはヒールもおすすめです。
伊藤
たしかに、クラッチ型だから
ちょっとドレスアップのときにもいいですね。
鈴木
パーティーやお出かけのときに
持っていただいても素敵だし、
貴重品を入れるバッグインバッグにしても便利ですよ。
伊藤
バッグインバッグ、ほんとですね。
お財布と鍵とスマートフォン、
最低限のものは全部入りますし。
鈴木
レストランに入るときなんかに
大きなバッグだけレセプションに預けて
「ポシェットP」だけ持てば身軽ですし、
背筋を伸ばして歩けてかっこいいですよ。
伊藤
仕事帰りで荷物が多いと、
レストランの席まで大きなバッグで行くのを
ためらいますよね。
そういうときは、これだけ取り出して行けばいいんですね。
鈴木
会社員の方はランチタイムに
これだけ持って外に食べにも行けますし。
伊藤
「ポシェットP」はもしかして、
ウエストポーチのようにも使えますか?
鈴木
ええ、
ウエストベルトに通してもかわいかったですよ。
あとね、リングに手を通すと両手が空くでしょう。
だから私はパーティーのときに
片手にシャンパン、
片手に「ポシェットP」とおつまみ、
っていうふうに楽しんでます。
伊藤
わぁ。最高ですね! 
チャコさんは旅先に
いくつか持って行ったりしますか?
鈴木
無地とレオパードとか、
ボアとレザーみたいに、
タイプちがいでいくつか持って行きます。
私は旅のとき、
3泊でも必ず靴は2~3足持って行くんです。
機内でリラックスするときの靴、
たくさん歩ける靴、ディナーにも行けるヒールとか。
でもバッグはどうしてもかさばるから
二の次になっていたんですけど、
このバッグならスーツケースにペタンと入るから、
靴と同じようにいくつか持ち歩くようになりました。
伊藤
3つくらい入れても、
厚みはそんなにないですものね。
鈴木
そうそう。
気分もね、
旅先の予定に合わせて
「今日のディナーはこのバッグかな」
なんて選べるとたのしいでしょう。
伊藤
これしかないというんじゃなくて、
チョイスが広がりますね。
鈴木
旅先って、非日常でしょう。
ホテルの部屋のクローゼットを開けて、
バッグはこれ、靴はこれって選べる方が
特に女性は気分が上がるかなって。
伊藤
うん、うん。
すごく同感です。
鈴木
服も体型も選ばず
何にでも合わせられるバッグだと思うので、
恐れずに手に取っていただけたらうれしいです。
伊藤
レオパードも取り入れやすいですからね。
素敵なバッグをたくさん、
どうもありがとうございました。
鈴木
ありがとうございます。
たのしんでくださいね。

「あら、それ、いいわね」

未分類

伊藤
リングの色は
素材によって違うんですね。
鈴木
ホワイトとベージュにはシルバーで、
他のカラーにはゴールドのリングを合わせています。
伊藤
組み合わせが素敵です。
このリングは、
どんなふうに使うのがいいでしょうか。
鈴木
そのまま垂らしておいてもいいですし、
私はハンドルをリングの中に入れて
口をぎゅっと絞るような形で使うことが多いかな。
スリ対策にもなるので。
伊藤
それはパリでは大事ですね。
鈴木
それから、リングを手首に通した姿が、
一見、ブレスレットっぽくも見えるんですよ。
ちょうど私、このリングと似たような
ネックレスを持っているんですけれど、
お揃いのアクセサリーみたいな感じで合わせています。
伊藤
いろんな持ち方ができるバッグですね。
中にいっぱい、ものを入れて、
立体的に持つのもかわいいかも。
鈴木
そうそう、量もね、意外と入るんですよ。
私はエコバッグを持ち歩く習慣がないんですけど、
仕事帰りに買い物へ行くときは、
これに入れちゃいます。
アーモンドミルクとニンジン3本とか。
伊藤
えっ。そんなに? 
まさかそんなものが入ってるなんて
見えないバッグですよね。
鈴木
お友達の家に呼ばれしたときには
ワインボトルも入れて行きます。
伊藤
わぁ。
たくさん入るけど、
ハンドルの長さが絶妙ですよね。
ショルダーバッグみたいに長すぎない。
鈴木
そうですね。
ワンハンドルなので、
肩にかけるよりは
手で持ってちょうどいい長さにしています。
私はスリに合わないように
手首に通してから口のところを
手で閉じるように持つことも多いです。
伊藤
なるほど。
真っすぐ下ろしても床につかない、
ちょうどいいバランスですね。
鈴木
やぼったく見えない長さですよね。
デザインがシンプルだから、
ちょっと粋に見えるようにと。
伊藤
シンプルなぶん、
そういう長さとか幅を
すごく考えられてるんですね。
ほんと、粋に見えます。
コートのような分厚めの服を着ても
持った感じが窮屈じゃないし。
伊藤
チャコさん、このバッグを持っていたら、
パリの街で声をかけられるんじゃないでしょうか。
「あら、それ、いいわね」みたいに。
鈴木
ええ、よくありますよ。
私の通っている歯医者さんのセクレテール(秘書)の方は
「病院じゅうに宣伝するから売ってちょうだい」
って言ってくださいました。
「早く知らせてくれないと、
ノエル(クリスマス)のプレゼント需要に
間に合わないわ!」って。
伊藤
それはうれしいですねぇ。
鈴木
行きつけのネイリストの方も
気に入ってくださいましたし、
この前、ミラノのファッションウィークに
仕事でお邪魔したときには、
後ろから追いかけてきた方に
「そのバッグ、どこで買ったんですか?」
と聞かれました。
本当にうれしいです。
伊藤
私もこの前よく行くお蕎麦屋さんに
レオパードのポシェットを持って行ったら、
お姉さんが「かわいい~」って言ってくれましたよ。
鈴木
ほんとですか。とってもうれしい! 
伊藤
いろんな方の目に留まる
かわいさのバッグだと思います。
鈴木
私の中でもこのバッグは
大切に大切に考えてきたもので、
毎年新しい形を出すのではなくて
このデザインをベースに素材を変えたり、
マチをつけて大きさを変えたりしながら
育てていきたいなって思ってるんです。
新しいものは世の中に次から次に出てきますけど、
私自身、それにちょっと疲れてきてしまって、
本当に気に入ったものだけを
持っていられたらいいかなと最近感じています。
それにパリのみなさん、
お財布の紐が結構固いんですよ。
伊藤
そうそう、
パリの人って意外とそうですよね。
セールも利用するし。
鈴木
納得がいくまで吟味して、
長く使えるものを買われている気がします。
まさこさんもそうですよね、
「とりあえず」で買われないでしょう?
伊藤
ええ、選んでいますね。
鈴木
私もそうですけど、
間に合わせで買ったものって
やっぱりそれほど愛情が持てない気がします。
このバッグも、
長く大切に使っていただけるような
存在になってほしいな。
伊藤
大きさや形、
素材ちがいで無限に楽しめるバッグですね。
鈴木
ちょうど次のシーズンの展開を
考えているところなんですけど、
ベルベット生地もいいし、
自分だけがたのしめるように小さい刺繍を入れて
カスタマイズができるものにしてもいいかも? 
なんて思っています。

レオパード柄はパリらしいマテリアル

未分類

伊藤
チャコさん、
送っていただいたこのバッグ、
大活躍してます。
鈴木
あら、よかった!
伊藤
展示会にうかがったときに
レオパード柄の「ポシェットP」が素敵だなと思って
「weeksdays」用にサンプルをお願いしたんですけど、
別のタイプのバッグを一緒に送ってくださったんですよね。
それを「weeksdays」のチームのみんなで眺めながら、
「色柄、素材ちがいで2つ欲しい!」なんて、
ものすごく盛り上がりました。
見ているうちに、2つどころか、
全種類が欲しくなっちゃって。
鈴木
うれしいです。
形と大きさ、素材ちがいで
いくつか作らせてもらいました。
基本の形がこの「サック・カレ」――、
「カレ(carré)」はフランス語でスクエアという意味で、
四角いバッグです。
ブラックとベージュのボアはミディアムサイズ、
レオパードはもう一回り大きいラージサイズです。
ホワイトだけ、
「サックボワット」という形で
マチをつけてボックス(ボワット)型にしています。
それから形が全く違う
クラッチ型の「ポシェットP」を加えた5種類。
伊藤
以前「weeksdays」で作っていただいたのは、
ハンドルがリボン型になるバッグでした。
鈴木
そうそう。
あの形は、最初、LERET.Hの下着を買ってくださった
お客さまへのプレゼントとして考えたんです。
すぐ不要になる梱包ではなく、
その後も使えるような布の袋に入れてお渡しするのが
私の夢だったんですよ。
それで実際に作ってみたらかわいかったので、
バッグとして商品化しようということになりました。
今回作ったものはハンドルを一つにした
形ちがいになります。
伊藤
うん、かわいいです! 
素材もそれぞれ違っていてたのしいですね。
どんなふうに選ばれたんでしょう。
鈴木
例えばレオパードは
パリのインテリアファブリック屋さんで
見つけたものを使っているんです。
伊藤
インテリアの生地なんだ! 
すごく手触りがいいですよね。
鈴木
上質な感じですよね。
フランスは椅子の文化が長いので、
いいものがたくさん開発されてきたんです。
マテリアルもデザインもよく考えられていて。
レオパード柄は、フランスで60~70年代に
ブルジョワ階級の間で
インテリアによく取り入れられていたモチーフなんですよ。
彼らがソファカバーやひじ掛け椅子に使ったので、
肌触りがいいものが作られてきました。
伊藤
なるほど、
肌に触れるのが前提ですものね、ファブリックって。
鈴木
そうなんです。
それで、今でもパリにはレオパード柄を
センスよく取り入れている方たちがいて、
皆さん、やっぱり上質な素材のものを
選ばれているんですよ。
なので私もバッグを作るとき、
「これはインテリア用だけれど、
このツヤ感とヌメ感があれば品のよいバッグになるはず」
と、選びました。
伊藤
パリらしいマテリアルなんですね。
でもインテリア用の生地を見て
バッグにしようと思うのがすごいです。
鈴木
同じレオパード柄でも、
薄いコットン生地だと全然印象が違うでしょう。
デザインがシンプルなバッグなので、
ある程度の厚みと質感のある素材を選ぶのが
大事だなと思ったんです。
モチーフがかわいいというだけじゃなくて、
持ったときにおしゃれで上質に見えなくちゃ、と。
伊藤
お話を聞いていたら、
サックカレのレオパード柄も
欲しくなってきました。
鈴木
まさこさんはシンプルなものがお好きだから
レオパードを持たれている印象はなかったのですけれど、
すごくお似合いですよ。
伊藤
そうそう、
以前の私なら選ばなかったんです。
でも小物から使い始めたら、
だんだん大丈夫だわって思えてきちゃって。
これは年の功かも? ふふふ。
大きい面で身につけるのは勇気がいるという方でも、
こういうバッグから始めると
コーディネートのポイントになりますよね。
鈴木
ほんとに、かっこいいと思います。
伊藤
ホワイトはレザー素材ですか。
鈴木
はい。
本革で作ったきっかけは、
男性でも持てるものが欲しいというリクエストを
いただいたことなんです。
伊藤
なるほど、素材でずいぶん印象が変わりますものね。
これだったら男性のかたが持ってもよさそうです。
おしゃれ好きな男の子が持っても、かわいいかも。
それでそのリクエストをくださったかたは、実際に、
使ってくださっているんですか。
鈴木
それがね、その男性、ご購入くださったんですが、
そのまま奥さんにプレゼントなさったんですって!
伊藤
それはそれで嬉しいですね、ふふふ。
ところで、制作は、日本で?
鈴木
そうなんです。
レザー工場のコネクションがなかったので、
ネットで岐阜県にあるレザー屋さんを探して、
パリから電話をしたんですよ。
「はじめまして。
バッグを作っているものなんですが、
レザーでバッグ製作のできるところを探してまして」って。
そしたら、LERET.Hのサイトを見てくださって、
「こういうバッグですね、やってみましょう」と。
伊藤
すごいですね。
チャコさん、たしか下着をつくるときも、
あちこちの工場へお手紙を書かれていましたよね? 
鈴木
そうそう。
お手紙と電話作戦。
伊藤
メールじゃないところが
チャコさんらしいです。
そうやって正面から行っても受けとめてくれるって
気持ちがちゃんと伝わっている証拠ですよね。

再入荷のおしらせ

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完売しておりましたアイテムの、再入荷のおしらせです。
11月27日(木)午前11時より、以下の商品について、
「weeksdays」にて追加販売をおこないます。

Le pivot
ダンボールストレートスカート

▶︎商品詳細ページへ

Tシャツやシャツなど、
夏のアイテムに合わせたいスカートって、
探すとなかなかないものだなぁ‥‥
と思っていたのですが、
展示会でこのスカートを見た時に、
「これだ!」とピンときました。

ウェストはゴムなので、
はいていてとても楽‥‥
なのですが、
ただ「楽」ではないところがpivotの服のすごいところ。
ウェスト部分にタックがとってあったり、
素材えらびに工夫があったり‥‥と、
様々な「きれい」に見える工夫がされています。
詳しくはコンテンツをどうぞ。

(伊藤まさこさん)

ほどよく

未分類

似合うものが少なくなってきたなぁ、とか
服はたくさんあるはずなのに、
何を着ていいか分からない、とか。

そんな40代の迷いを乗り越えて、
服えらびに関しては、
ちょっと落ち着いたかんじがしている。

50代も半ばになると、
自分の好きなものがわかってくるし、
人からどう思われようが気にしない、
という図太さもくわわって、
今の私は着心地が最優先。
窮屈な服はもう着たくないし、
がんばって着ようとも思わない。

体の気になる部分をほどよくカバーしてくれて、
今の気分をほどよく取り入れてくれる服がいい。

この「ほどよく」が大事なんです。

今週のweeksdaysは、
LERET.H のバッグ。

大好きだった踵の高い靴も手放した今、
楽しんでいるのは、
バッグのおしゃれ。

シンプルなコーディネートに、
プラスするだけで、ぐっと洒落た雰囲気にしてくれる。
頼りにしている存在です。

RaPPELERのコートと by basicsのマフラー、こんなコーディネートで 伊藤まさこ 02 色をたのしもう

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メリノウールマフラー(ホワイト)/by basics
ANNA LOOSE HIGH-NECK TOP(ネイビー) COG THEBIGSMOKE(2025年11月発売予定)
パンツ ¥35,200/Harriss × Keiko Okamoto(株式会社 金万)

by basicsのマフラー、
ホワイトはどんなスタイル、
どんな色にも合う万能カラー。
ここではネイビーのトップスと。

広げて、

肩にかけて。

メリノウールマフラー(ライトブルー)/by basics
ループインレー圧縮ニットコート(オフホワイト)/RaPPELER
ニット ¥23,100/Harriss(株式会社 金万)
パンツ ¥24,200/Harriss(株式会社 金万)

二つ折りにして、
首にかけるとこんな感じ。

どの色もとてもきれいなのですが、
今回、新鮮だったのはこのライトブルー。
RaPPELERのコート、どの色とも相性よしでした。

ネイビー好きな方におすすめしたいのは、
明るめネイビー。
ダークネイビーのコートにこのマフラーをくるり、
なんて着こなしもすてきです。

メリノウールマフラー(ネイビー)/by basics
カットソー ¥16,500/le ciel de HARRISS(株式会社 金万)
パンツ ¥19,800/le ciel de HARRISS(株式会社 金万)

グレーやデニムとも相性よし。
やっぱりネイビーってすごい色なのだと再認識。

RaPPELER のコート、最後はブラック。
中に朱色のタートルを合わせました。
きりりとした大人の着こなし。

ループインレー圧縮ニットコート(ブラック)/RaPPELER
ANNA LOOSE HIGH-NECK TOP(レッド)/COG THEBIGSMOKE(2025年11月発売予定)
スカート ¥24,200/le ciel de HARRISS(株式会社 金万)
ブーツ ¥75,900/DIVINA(株式会社 金万)

合わせたのは、ハリのあるスカート。
コートからのぞくスカートや
ブーツの分量が多くても大丈夫。
こんな風にうまくまとまるのは、
オーバーサイズでもなく、
かといってタイトでもない。
コートの適度なボリュームのおかげです。

RaPPELERのコートと by basicsのマフラー、こんなコーディネートで 伊藤まさこ 01 気分はロングカーディガン

未分類

今回ご紹介するのは、
RaPPELERのコートとby basicsのマフラー。

やわらかなメリノウールのマフラーは、
ホワイト、ローズピンク、
イエロー、ライトブルー、ネイビーの全5色。
ベーシックなカラーに加え、
冬の街に映えそうな差し色もそろえました。

コートはこちらのオフホワイトと、
ベージュとブラックの3色。

ループインレー圧縮ニットコート(オフホワイト)/RaPPELER
カットソー ¥14,300/Harriss(株式会社 金万)
テーパードリボンパンツ(ブラック・38)/SAQUI
サイドゴアショートブーツ(ブラック)/VELOZ

オフホワイトのコートには、
ブラックのタートルネックとパンツ、
足元はブーツを合わせます。
全身黒のコーディネートですが、
オフホワイトがくわわることによって、
やさしい雰囲気に。

ファスナーを開けると、
縦のラインが強調されてスッとした印象になります。

ループインレー圧縮ニットコート(オフホワイト)/RaPPELER
メリノウールマフラー(ローズピンク)/by basics

ローズピンクのマフラーをくるりと巻いて、
マフラーの色を効かせた着こなしに。

ループインレー圧縮ニットコート(オフホワイト)/RaPPELER
カットソー ¥16,500/le ciel de HARRISS(株式会社 金万)
パンツ ¥19,800/le ciel de HARRISS(株式会社 金万)

このコート、
トレーナーとデニム、なんて
カジュアルなアイテムとも合うんです。

単(ひとえ)仕立てなので、
気分はロングカーディガン。
気軽に羽織れるところもうれしい。

ループインレー圧縮ニットコート(オフホワイト)/RaPPELER
ニット ¥23,100/Harriss(株式会社 金万)
パンツ ¥24,200/Harriss(株式会社 金万)

ホワイトのタートルに、
きれいな色のパンツ。
足元も白でまとめて。

GERMAN TRAINER/GERMAN TRAINER

ダブルジップなので、
開き具合を自由に調整できます。

ループインレー圧縮ニットコート(ベージュ)/RaPPELER
ニット ¥39,600/le ciel de HARRISS(株式会社 金万)
パンツ ¥23,100/le ciel de HARRISS(株式会社 金万)

秋らしい色合いのベージュのコートは、
からし色のニットや深いグリーンのパンツを合わせて。

メリノウールマフラー(イエロー)/by basics

ニットと同じ色合いのマフラーを肩にかけ、
上からコートをふわりと羽織ります。

マフラーを重ねることで、
首回りに表情が出る。

羽織るように肩にかけたり、
さらりと巻いたり、
もっとぐるぐる巻きにしてもかわいい。

やわらか素材のマフラーだからこそできる巻き方、
いろいろ工夫してみてくださいね。

羽織って、巻いて

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10月の終わりは何かと忙(せわ)しなく、
衣替えができずにいました。

薄手のニットとコートを重ねて着て、
ストールを巻けばなんとかいける。

11月に入っても、
そんな感じなものだから、
やがて来る寒い冬に何を着ていいのかが、
想像つかない。

衣替えが延ばし延ばしになっていたのは、
そんな理由もあったのでした。

11月の連休、
晴れが続いたこともあって、
エイヤッ! と重い腰を上げ、
ついに厚手の冬服を出したのですが、
これ、いったいいつ着るんだろ?
というものが数枚。

中でも、
「寒冷地でもこれさえあれば大丈夫」
そうすすめられて買ったダウンコートは、
そういえば去年一度も着なかったな。

結局、まだ着そうにないものは、
クローゼットの奥にしまい、
今すぐ着たい服だけを並べてひと段落しました。

今週のweeksdaysは、
RaPPELERのコートとby basicsのマフラー。

軽やかに羽織って。
くるりと巻いて。
そう、今、身につけたいのはこんなアイテム。

再入荷のおしらせ

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完売しておりましたアイテムの、再入荷のおしらせです。
11月20日(木)午前11時より、以下の商品について、
「weeksdays」にて追加販売をおこないます。

GERMAN TRAINER

▶︎商品詳細ページへ

「全身黒(もしくはネイビー)」
になりがちな冬のコーディネートですが、
数年前、足元だけ白にすると
全身が軽やかになることに気づいてから、
ひとり実践しています。

白いショートブーツ、
白いTストラップシューズ、
白いスニーカー。
白い靴はいくつか持っていますが、
最近の気に入りはこのGERMAN TRAINER。

革素材なので、
カジュアル感がそっと抑えられ、
スマートに履けるところがいいんです。

年々、スニーカーのフォルムは
大きくなってきているように感じますが、
大人の足元はこれくらいのボリュームがいいな、
なんて思っています。

(伊藤まさこさん)

ベビーアルパカのよさを最大限に

未分類

伊藤
こうやってお聞きすると、
ひとつの帽子の中にも、
いろんなアイデアが詰まっているのがわかります。
それを、シーズンごとに、40も‥‥。
ちなみにニットの割合は
どのくらいあったんですか?
苣木
秋冬の半分はニットだと思います。
ベレー帽とか、縮絨のウールも含めて。
伊藤
さっきおっしゃった2泊3日のデザイン合宿では、
この帽子のほかにも、いくつか?
苣木
その工場で作りたいなって思ったニットを、
7型ぐらい。
伊藤
2泊3日で、7型同時進行。
すごーい! 
苣木
夕方になってから
「ああ、これもうちょっとこうしたい」とか
「ゲージをこうして」と伝えて帰ると、
次の朝来たら、それがもうできていて。
伊藤
ほんとうにすごい。
それは苣木さんから言葉で伝えるんですね。
苣木
そうですね。その職人さんとは、
もうだいぶ感覚的にわかりあっているので、
まずは言葉で伝えますけれど、
そのままだと別の機会に
同じものを作ることができないので、
しっかりデータを残しておきます。
伊藤
いちばん最初はデザイン画を描かれるんですか。
苣木
はい、コレクションを考えるときは、
すべてラフスケッチを描きます。
お絵かきみたいものですけれど。
で、このときは、この形を描いて、
「何リブ、何ゲージ」
「ここからここの長さを何センチに」
みたいな指示を添え、
職人さんに託し、編んでもらうんです。
たたき台がないと形にならないので。
伊藤
それはそうですよね。
だからこんなふうにでき上がるんだ。
苣木
しかもこの子は、
ベビーアルパカのよさを出すために、
1回洗いをかけてるんですよ。
伊藤
製品ができ上がってから?
苣木
そうです、そうです。
それで大変だったのが、
サンプルをひとつだけ洗うときと、
製品化のためにまとめていくつかまとめて洗うのとでは、
縮率のデータに違いが出てくることでした。
サンプル通りにはいかないんですよ。
それで洗いの加工屋さんと
「1回洗って5分乾かして」とか、
「もうちょっと乾かして」っていうやり取りを
3往復くらいして、やっと納得のいく形にできました。
伊藤
洗わない状態だと?
苣木
もうちょっと肉が薄く、ベローンと伸びてます。
伊藤
それが、洗うことでちょっと詰まるんですね。
苣木
そうです。キュッと詰まり、
毛がふわっとしてくるというか、
やわらかい感じになります。
伊藤
洗う作業がとても重要なんですね。
苣木
すごく重要です。
それを省くと、この風合いにならないんですよ。
伊藤
そして今回の3つの色、とても素敵ですよね。
ベーシックなクリーム、ネイビーに、
ポップなカラー「シトロン」が加わって。
苣木
シトロン。この色、かわいいですよね。
伊藤
雪の中とかで目立ちそうですね。
苣木
アハハ、きっと、きれいです。
この2色に、シトロンが入ることで、
それぞれの良さが引き立つなあと思います。
伊藤
ネイビーとかオフホワイトの服を持っている人が、
シトロンを被ったらかわいいかなと思うんです。
もちろん同色で揃えるのも、
すごいシックでステキなんですけど。
苣木
それもすごくかわいいと思います!
伊藤
この帽子を被る日がたのしみです。
東京でも暑すぎないと思うんですよ。
苣木
アルパカは、吸湿性が高く、
蒸れにくいって特徴もありますしね。
てっぺんを二重にしなかったのも、
多くの人に被ってほしかったからなんです。
全部を二重にすると、すごく厚い帽子になって、
極寒仕様になる。
ここが一重になることで、
見た目にも軽やかさを出しています。
伊藤
これなら晩秋あたりから被れますものね。
そうそう、後ろ側についているパーツは‥‥?
苣木
あ、このパーツですね。
小原聖子さんっていう金工家のかたの作品です。
真鍮に、漆の樹脂を塗っているんです。
真鍮を手でたたくので、
実は表情がひとつずつ違うんですが、
それを後ろに糸で留めました。
伊藤
かわいいですね。
これがあるとないとで、印象が違います。
これが後ろですよという目印にもなるけれど、
チャームポイントにもなっている。
このパーツ、クリーニングに出しても大丈夫?
苣木
このパーツに塗っている樹脂が
有機溶剤で溶ける可能性があるので、
ドライクリーニングに出していただくときは、
クリーニング屋さんに相談してみてください。
品質ラベルを見せて素材を伝え、
パーツが真鍮でコーテイングしているので
剥がれるのが心配なので、
保護か部分洗いでお願いできますか? と。
パーツを外してくださいと
言われることもあるかもしれません。
その後、縫い付けるのが大変という方は
ご自分でも洗えなくはないです。
型くずれしてしまうことを考えて
手洗い不可という表示にしているんですが、
私はこれ、ネットに入れて手洗いで回してます。
少し風合いがふんわりと変化はしますが
ご了承いただけるなら手洗いも。
ただ乾燥機は絶対に避けてくださいね。
縮んでフェルト状になってしまうと元に戻りませんから。
かたちをととのえて平置きか
中にタオルや紙を入れて立体的にして
干してもらえれば大丈夫。
吊るして干すのは避けてほしいですね。
伊藤
わかりました。どうもありがとうございました。
旭川、そのうち遊びに行かせてくださいね。
苣木
ぜひ! ここのアトリエは、
JRの旭川駅から歩いて15分くらいなので、
もうちょっと落ち着いたら、
予約制でお客様をお呼びして、
お買い物もできるようにしたいなと。
一緒にお話を聞きながら、
似合う帽子を探して、って。ふふふ。
伊藤
いいですね、うんうん。
苣木
ここは何がいいって、10階の窓から
旭岳っていう山がバーッと望めるんです。
伊藤
ほんとに山がお好きなんですね!
苣木
そうなんです。
ぜひいらしてくださいね。
美瑛も近いし、おいしいものもいっぱいありますし。
伊藤
はい、ぜひ! 
今日は、ひとつの帽子から、いろんな話が聞けました。
そのストーリーが毎シーズン、
40くらいずつあると思うと、
信じられないって思います。
苣木
そんなぁ。帽子しかやってないですよ(笑)。
伊藤
ふふ。次のコレクションも楽しみにしてます!
苣木
どうもありがとうございました。

2泊3日の合宿で

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伊藤
今回「weeksdays」で扱わせていただくこの帽子も、
耳を覆うことができるようになっていますが、
これもそんな体験から?
苣木
はい。これ「リブワッチ」っていうんですが、
ちょっと耳が隠れるだけでも、
ほんとにあったかいんです。
もちろんすっぽり耳まで被ってもいいですし。
伊藤
首のあたりまですっぽり
被ることができるのもいいですよね。
真冬って、うなじも寒いから。
苣木さんの帽子は、長さや大きさのバランスが
さすがだなあと感じるんですけれど、
たとえばこれも試作を重ねて、
ミリ単位で調整なさったんでしょうか。
苣木
そうですね。
このフラップの大きさも、かなり検証しました。
やっぱり適度なボリューム感が必要だなと思って。
短いとカジュアルすぎるんです。
伊藤
うんうん。
苣木
ぜんぶ下げるとほっぺたまで隠れて、
ほんとにあったかいですよ。
これで雪山に行く人はいないかもしれませんが、
うんと寒い日は、すっぽり被ると、
とてもあったかいと思います。
でもタウンユースをするときは
ちょっと曲げて(顔を出して)いただいて。
伊藤
そんなふうに調整ができるのもいいですね。
苣木
この帽子は、ニッターさんの工房に泊まり込み、
2泊3日でサンプルを作りました。
機械を動かしてもらって、編んでもらって、
そこから細かく修正をしていく、
ということを繰り返して、この形にしていったんです。
特徴としては「ホールガーメント」
(丸ごと立体的に編み上げる、縫い目のないニット)。
専用の機械で編んでいます。
ニットの帽子って一箇所縫い目があったり、
デザインにより上をカットして縫い合わせたりで、
縫い目が気になったり、
糸のロスが出ることもあるのですが、
ホールガーメントはこれらのことがありません。
データさえできれば立体的に筒状で出てくるので、
縫い目も気にならない、
糸ロスもなく、フィット感もいいんです。
伊藤
ああ! ホールガーメントなんですね。
たしかに、ゴロゴロしたところや、
やけにキュッとしたところがありません。
苣木
日本が誇る技術なんです。
島精機さんっていう、
とても高い技術を持ってらっしゃる
編み機のメーカーさんの機械で、
世界の錚々たるコレクションブランドも、
これで立体的なニットを編んでいるんです。
まさこさん、触られてすぐ
「とっても気持ちがいい!」っておっしゃいましたね。
伊藤
そう、気持ちがいいんです。
つい触りたくなる。
素材には、ベビーアルパカを使っていますし。
苣木
そうなんです。
こういうニットのビーニー(ツバなし帽)って、
ウールやアクリルのものもありますが、
私はまさこさんが言われた
「やわらかい」「ふわふわ」
「気持ちいい」っていう感覚を、
この帽子に入れたかったので、
ベビーアルパカを採用しました。
アクリルなどの化繊混でも編んでみたり、
試したんですよ。
伊藤
そうなんですね。
苣木
そのなかでこのベビーアルパカが気に入って。
ベビーアルパカって、
赤ちゃんのアルパカの毛っていう意味ではなくって、
「アルパカが初めての毛刈りのときに刈られる、
最初のふわふわした毛」なんですね。
やわらかくて、繊維が細い、
アルパカちゃんの首から背中の一部だけを使うんです。
触ったときのふわっとしたやわらかさと、
ちょっとシルクのようなしなやかさがある。
それで、ベビーアルパカ100%、っていうのも、
もちろんあるんですけども、
今回、ナイロンとウールを少し入れています。
というのも、ベビーアルパカだけだと、
この立体的な形がキープできないんです。
やわらかすぎて。
伊藤
なるほど。
苣木
ベビーアルパカって、繊維の細さが、
人間の髪の毛の3分の1ぐらいしかないといわれ、
すごく細いんです。
それを編むことで、空気をたくさん含み、
やわらかくて軽くてあたたかいニットになる。
ただ、それだけだとちょっと繊維がもろいので、
帽子としてずっと長く使っていただけるよう、
ウールとナイロンを混ぜることで丈夫さを出しました。
ベビーアルパカが52%、
ナイロンが36%、ウールが12%なので、
ベビーアルパカの軽さとしなやかさは、
すごくよく出てると思います。
伊藤
そのパーセンテージも、試行錯誤して? 
苣木
そうですね! 
糸屋さんに相談して物性としてはもちろん、
快適性もちゃんと検証の上、
デザイン性にもぴったり合うものをご提供くださいました。
伊藤
さっき「2泊3日で」って
おっしゃっていたけれど、
そんなふうに物作りができるのって、
素敵な関係ですね。
苣木
以前の勤め先でお世話になっていた、
秋田県の工房なんです。
辞めた人間がお願いするのも筋が違うかなと思って、
ずっとお願いしてなかったんですが、
去年の冬かな、ご連絡をいただいて、
「そろそろまた一緒に仕事をしませんか」と
お声をかけてくださったんです。
伊藤
嬉しいですね! 
じゃ、秋田に行って2泊3日?
苣木
そう、その工房で、
朝からデータを作って出してもらって、
その場でチェックして、
ふたたび提案をして‥‥を繰り返しました。
クイックに自分が思い描いたものが形になっていき、
自分の感覚に近いものができるので、
とても早くできましたし、いいものになりました。
この帽子も最初は上までぜんぶ、
表裏、二重だったんです。
でも途中で上部を切って、
二枚重ねにしない部分をつくることで
デザインの遊びを出すとともに、
暑くなりすぎないように実用性を考えました。
この帽子は、手を動かしながら、被りながら、
感覚にしたがって、その場で作っていったかたちなんです。
伊藤
その特別な機械があって、
すぐれた職人さんがいたから、
機械ではあるけれども、
手編みをしながら作っていく感覚に
近かったっていうことですね。
苣木
そうなんです。ありがたいなと思います。
やっぱり「現場に行ってものができる」っていうのは、
作り手としてすごくストレスが少ないんですね。
アトリエで考えて工場に出して、っていうのは、
どうしてもタイムラグが出ますよね。
送って、つくってもらい、受け取るまでに。
直でその場でできたことは、とても助かりました。
伊藤
そんな背景があったんですね。
このとき(2025AW)のコレクションって、
何型くらいありましたっけ? 
展示会場にずらりと並んだ光景が壮観でした。
苣木
40型ぐらいはあったんじゃないでしょうか。
伊藤
来年の夏もそれぐらい?
苣木
来年の夏もあります、はい。
伊藤
すごーい! 
どうやってアイディアが浮かぶんですか?
苣木
‥‥ふふふ、どうやってるんでしょうね? 私。
伊藤
ほんと不思議でならない。
苣木
定番系のものについては、自分が常に被って、
「もうちょっとこうしたほうがよかったな」とか、
「来年はこういうかんじで被りたいな」と、
ブラッシュアップして出していきますね。
あとはやっぱり人に会ったり、
「この人こういう帽子、似合いそうだな」
ということを想像して、
それを作ってみることもあります。
伊藤
そっか。じゃ、街ゆく人とか、気になりますか?
苣木
気になります! 
東京にいるときは、それこそいろんなところで
ボーッと座っていろんな人の帽子姿を見てたんです。
北海道に来たら、そういうのはほとんどないんですけれど、
やっぱり東京などの都会だと、
帽子もファッションのひとつですものね。
でも、北海道にいる良さは、
「道具としての帽子」が体感できたこと。
そこにちょっとだけファッション性を入れると
どうなるかな? みたいな発想はうかびます。
東京にいるときはやっぱり、お洋服中心で、
そこに帽子を合わせたらどうなるかな、
という発想でしたけれど、
北海道では機能性、ベーシックな作りに、
少しだけファッションのテイストを入れた、
より日常の道具としての帽子作りが楽しくなりました。
伊藤
人の第一印象として、まず顔に目がいきますよね。
帽子がそのアクセサリーだと考えたら、
すごく重要なのかもしれないですね。
苣木
そうですね、色、素材‥‥、あと、形ですよね。
お顔がすごく小さい方は気にならないと思うんですが、
私とか、いろいろたるんできたりして!
伊藤
いやいや全然シュッとしてますよ!
苣木
いえいえ(笑)、ニットの帽子って、
通常、ピタッと沿うものが多いと思うんですけれども、
今回のようにちょっとワンクッションがあることで、
まずそこに視線がいく。
そうすると、多少のお顔のたるみだとか、
大きさが気にならなくなるんじゃないかなって。
ちょっとゆるいほうが雰囲気もやさしく見えますし。
伊藤
たしかに、全然ちがいますよね!
苣木
違いますよね、フフ。

旭川のアトリエから

未分類

伊藤
苣木さん、ご無沙汰しています。
先日の展示会、嵐で行けず、すみませんでした。
苣木
とんでもないです。
すごい確率で嵐に当たっちゃいましたね。
でも、こうしてお話できて嬉しいです。
ありがとうございます。
伊藤
今は、北海道ですよね?
苣木
そうです。旭川にいます。
病気があって、旭川の医大に入院していたので、
そのまま旭川にアトリエを構えました。
伊藤
久しぶりにお目にかかったのが今年の3月。
ご闘病のことを知らず、失礼しました。
苣木
いえいえ、誰にも言っていなかったんですよ。
でも、復活してまいりました。
伊藤
入院中も病室で帽子のデザインをしていたと
おっしゃってて。
苣木
そうなんです。副作用がないときを狙って、
デザインをしたり、サンプルを送ってもらって、
作業をしたりしてました。
時間はありましたから。
伊藤
いま、モニター越しに、クルクルって髪の毛が。
苣木
抗がん剤の投与を始めたら、
2週間ぐらいでぜんぶ髪が抜けちゃって、
投薬が終わったら、クルクルの髪になりました。
伊藤
そんなことが。でもお似合いですよ、かわいいです。
‥‥って、ご病気のことは
言わないほうがいいですよね?
苣木
いいえ、全然大丈夫ですよ。
インスタでも、
お休みしてたときのことをお伝えしているんです。
伊藤
そうでしたか。
ヘアスタイルが変わったことによって、
被る帽子って変わりました?
苣木
ヘアスタイルもそうなんですけど、
髪を失ってみて、
「肌触り」とか、「フィット感」とか
「被り心地」がいかに帽子には大事かっていうことを、
身をもって体験しました。
髪がないと素材が直に頭皮に触れるので。
伊藤
そうですよね。
苣木
でも闘病中、自分が作ってきた帽子を被って
「いい素材を使ってきてよかったな」
と思いましたよ。
伊藤
本当にそうですね!
苣木
病院で被れる帽子と、
外で被れる帽子はもちろん違うんですよね。
闘病中は着ている服がパジャマでしょう、
それもちょっとベーシックな色の、
ナチュラルなものになる。
白血病や悪性リンパ腫など
血液の免疫の病気の方がいる病棟だったので、
感染症対策が徹底していて
外気に触れることができないんです。
外出はもちろん、窓も開けられない環境でした。
放射線治療後、さい帯血移植をしてもらったのですが、
その時はしばらく無菌室にいました。
そんな色がない無彩色の病室にいるから、
ちょっと気分を上げるために、
せめて帽子だけでもと色のあるものを被ったり、
スカーフを巻いたり。
副作用できつい時はもうそんなこと
気にしていられないのが現実でしたけど‥‥。
みなさん治療を受けて大変な中で、
髪の毛も抜けて体感的にも心地悪かったり、
見た目が大きく変わってしまうことに心を痛めてたり、
恥ずかしいという気持ちもあり帽子をかぶったり、
ウィッグをつけるの方が多いのですが、
『なかなかいいものに出会えない』っていうかたも
多くいらっしゃることを知りました。
この経験を通して、そういう方たちにお届けできる帽子を、
今後、作っていきたいなっていうふうに思いました。
もともと、うちのお客様には、ネットで、
「闘病中に被りたいので」という
お客様が結構多くいらっしゃいまして、
「いつか、いつか」って思ってたんですけど、
自分がリアルに感じないと、
髪がない状態での被り心地やフィット感って
わからなかったなあって思いました。
伊藤
絶対、欲している人、いますよね。
じゃ、すごく大変ななかで、
帽子を作ることがちょっと励みになったり?
苣木
そうですね。
闘病中の日記にはどの素材がいいとか、
サイズ感はどうとかこんな帽子があったらいいかも
とか走り書きしていました。
伊藤
髪があるのとないのでは、
気温の感じ方も違いますよね、きっと。
苣木
はい。それに髪があると
蒸れないんだっていうことも分かりました。
直に被ると、帽子ってすごく蒸れるんです。
伊藤
そうなんですね。
苣木
シルクなど、天然素材がなぜいいかというと、
湿気を吸ったり、外へ放ったり、
肌や空気と自然に調和してくれるんです。
特にシルクは繊維がとても滑らかで摩擦も少なくて、
髪が抜けて頭皮が敏感になっている時でも
安心して身につけられるんですよね。
優しい気持ちにもなるし、
精神的にも良い効果があったと思います。
洗いたての枕カバーが痛いと
感じる時にかぶって寝たりしていました。
思いがけずではありましたけど、
病気をして髪の毛が抜けて、
そういうときに心がどうなるか
ということも分かりましたし、
体感としてどういう帽子がいいか、
っていうのも分かったので、
今ならちゃんと、そういう背景も含めて、
自分でいいなと思えるものを作れるなって思いました。
伊藤
悩んでらっしゃるかたに、
すごく心強いと思います。
3月にお会いしたときは、
「もうすっかり元気です」って
おっしゃっていましたが、
あの頃から通常営業に戻った、
という感じだったんですか。
苣木
そうですね。いまは完全に通常営業です。
家とは別にアトリエを借り、
薬も飲んでいない状態です。
伊藤
すごーい!
苣木
12、3キロ痩せたんですけど、
それも戻りました。
伊藤
よかったです、ほんと。
スタッフのみなさんとはオンラインで? 
苣木
はい、基本はオンラインですけれど、
ひとり北海道に移住してきたスタッフがいまして。
伊藤
え? 苣木さんとしゃべってて、
いいなと思われたのかな。
苣木
何回か打ち合わせで北海道に来てもらううちに、
ここの環境が気に入ったのと、
北海道でもいくつかの市町村の小中学校で
山村留学という制度があるようで、
うちのスタッフは2人の子供と自然の中で
過ごしてみたいと移住してきました。
アトリエのある旭川からも
30分ほどのところに住んでいます。
伊藤
山村留学、かわいい名前ですね。
夏が暑い場所にいると、
北海道に住みたいっていう人も
増えてきたのではないでしょうか。
苣木
そうかもしれないです。
ここもだいぶ暑くなってきましたけれど、
東京に比べたらもちろん涼しいので。
伊藤
ところで、いま、オンラインの画面で、
苣木さんの背景に、
いっぱい帽子が見えますよ。
苣木
そうなんです。
次の秋冬のコレクションの
デザインが始まったんです。
伊藤
もう1年後の?! 
そっか、そうですよねえ。
それを旭川のアトリエでなさっているんですね。
やはり北海道は東京に比べて、
冬に帽子を被る方が多いですか?
苣木
多いかなぁと思います。防寒としてあった方が安心!
基本、スーパーに行くにもコンビニにもほとんどが車移動で
ましてや冬はずっと外にいることはまずないのですが、
外に出ると冷気で耳の上の方が冷たくなって、
痛くなっちゃいます。
耳の上の方だけでもカバーされていると
寒さが軽減される気がします。全部カバーできたら最高!
伊藤
そんなに寒いんですね。
だから耳まですっぽり被る
ニットキャップがいいわけですね。
苣木
すごくいいですね。
私、ベレー帽が好きなんですけど、
こちらに移住してきてから、
耳まで隠れるようなフラップのついた
ベレー帽を作りました。
伊藤
やっぱり体感してこそ、ですね。
わからないですもの、耳の上が寒いって。
苣木
私、雪山に登るんですけど、
極寒だと何が寒いって「眉間」です。
痛くなるんですよ、雪の中で。
伊藤
眉間が痛いって! 
苣木
「バラクラバ」ってあるじゃないですか、
目だけ出す「目出し帽」のことですけれど、
あれは眉間が隠れることも、暖かさの理由なんです。
伊藤
うわぁ、ほんとうに体験してこそ。

大人、万歳!

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タートルネックを「とっくり」と呼んでいた、
子どもの頃。
たしか黄色と白、色違いで持っていたと思う。

素材がなんだったのかは思い出せないけれど、
首回りがちくちくして苦手だった。

母は「あったかいから」というけれど、
ちくちくの違和感を感じるくらいなら、
寒い方がいい。
小さな私はそんな風に思っていたのでした。

ニットの一番遠い記憶が「ちくちく」とは、
ちょっとさびしいけれど、
その時、感じた違和感を私はずっと大事にしてきたと思う。

いやなことはいや。

好きと思うことだけをしていたい。
まぁ、わがままなだけなのかもしれないけれど。

今週のweeksdaysは、
chisakiのニットキャップ。

これがもう思わず頬擦りしたくなる気持ちよさ。
大人になった今、
自分で身につけるものを、
自分でえらべるようになったことが本当にうれしい。
大人、万歳!

Le pivotの秋の服、あのひとに着てもらいました 02 饗場彩さん

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饗場彩さんのプロフィール

あいば・あや
アイブロウリスト。
骨格や、筋肉の付き方や動き、
雰囲気に合わせて眉毛の形をデザイン、
Wax脱毛や、毛抜き、ハサミを用いて施術し、
最後はメイクで、
「お客様の理想の眉毛に仕上げる仕事です」。

大阪の美容専門学校に通ったのち、
東京・表参道で美容師に。
その後、ブライダルのヘアメイクや
セットサロンの勤務も経験。

結婚、出産を経て、
「ホルモンバランスが変わったのか、
手荒れがひどくなったので、
何か美容の技術を活かせる仕事は無いかと探し、
今のアイブロウの仕事につきました」。

30歳で「メゾンドプリマ」を夫婦で立ち上げ、
現在に至る。

「自分達のやりたいことや想いを
きちんとブランドに落とし込んで
楽しく毎日を送れていることに感謝しています」

子供ができてからは、食事にかなり気を配るようになり、
現在、麹作りにはまり中。

「塩麹はもちろんですが、オススメは玉ねぎ麹、
ニンニク麹です! 美容のために麹を使った手作り甘酒を
飲むようにしています」

夫婦でよもぎ蒸しに夢中、
自宅によもぎ蒸しセットを買ったそう。

「たっぷりと内側から汗をかけるので、
疲れたとき、イライラしたとき、
生理前などは必ずやっております」

■Instagram(個人)
■Instagram(メゾンドプリマ)


「連絡先を教えてもらえませんか?」

人生はじめてのナンパ(!)をしました。

眉サロン難民だったとき
アイブロウリストの彩さんのインスタグラムを見て
「この眉になりたい!」と
MAISON DE PRIMAをおとずれたのが数ヶ月前。

実際に出会った彩さんは
インスタグラムで想像していたクールな印象よりも
ずっと明るくてやわらかな人でした。

そして何よりその施術に大満足。
お店の人とお客さん。
その関係だけでももちろん十分なのですが、
通うたびに目にする彩さんの洋服の着こなしが
ほんとうにいつもすてきなのです。

そして冒頭のお声がけに至ります。

今回のLe pivotのクルーネックとパーカーを
だれに着てもらおうと考えたとき
絶対にこの人だ! と思いました。

もともと美容師として働いていた彩さんが
(髪も肌もツヤツヤ!)、
ご主人と「MAISON DE PRIMA Eyebrow」を
立ち上げて5年。

お仕事柄、撮影をすることはあるけれど、
出演側になるのははじめてとのこと。

ぜんぜんそんな風には思えない自然なポーズで
カメラの前に立ってくれました。

「お洋服がほんとうに好きなんだろうな」

どれもが、あらためてそう思うコーディネート。

最初に着てくれたブラックのクルーネックには、
「ダボッとしたスタイリングが好きなんです」と
ゆったりとしたベージュのパンツ。

襟元、袖、裾からチラッと見える
白いTシャツがいい差し色になっています。
デニムを合わせがちだけど
それだとカジュアル過ぎるかなと
きれいめなパンツを選んだそう。

足元の厚底の白いスニーカーが
Tシャツの白と相まって
清潔感のある印象に。

そして合わせたコンパクトなバッグが
雰囲気を大人っぽくしています。

次に、チャコールのクルーネックに合わせたのは
きれいなブルーのオーバーサイズシャツ。

「普段、チャコールはあまり着ないんですけど
普通な感じにはしたくなくて」

シャツ、キャップ、ミニバッグ、メガネ、大きめのピアス。
そのどれもが過不足なく
彩さんのスタイルをつくり上げています。
ストレートパンツとのバランスも完璧。

最後の白いパーカーは
ジャケットの下に。

「パーカーだけだと自分らしさがなくなるから、
ジャケット合わせをして私らしさを出しました」

あたたかいけど、生地が厚すぎないから
重ねて着るのにもぴったりだったそう。
フード部分がコンパクトなので
襟元から出すのにもちょうどいいんです。

アディダスのワイドパンツで
「くずした」感じはさすがだなぁ。

6歳と8歳のふたりのお子さんのお母さんでもある彩さん。

「子どもが大きくなってきて
ヒールが楽しめるようになってきた」と
と合わせてくれたブーツが
カジュアルなパンツにピッタリ。
なるほどこうして合わせるのかぁと感心するばかり。

どのスタイリングも丸ごと真似したくなりました。

今回、袖を通した最初の印象を聞くと、
「まず生地がいい!」とのこと。

そうなんです、この生地。
モチモチしっとりしてて、
肌触りがすばらしく気持ちいい。

「形も絶妙なので一枚でキマるし、
丈感もいいので合わせやすいですね」

そうなんです、この形。
トレーナーやパーカーは大人が着るには
どうしても大きすぎたり
ラフになりすぎたりするけど、
この形と丈は上品さがあるんです。

「うしろにステッチが入っているのも好きですし、
ポケットの光沢も素敵です」

そうなんです! 
クルーネックのうしろには
さりげなくステッチが入っていて、
パーカーのポケット部分にはサテン生地が覗いて、
どちらもカジュアルアイテムなのに
どこか大人っぽくてただシンプルなだけじゃない。

この洋服のアピールしたいポイントを
つぎつぎに的確に言い当ててくれる彩さん。

「勇気を出して声をかけてよかった」
あらためてそう思ったのでした。

Le pivotの秋の服、あのひとに着てもらいました 01 引田かおりさん

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引田かおりさんのプロフィール

ひきた・かおり
Dans Dix ans/gallery fève オーナー
「吉祥寺においしいパン屋をつくりたい」
という思いを実現すべく、
夫であるターセン氏の退職をきっかけに、
2003年に「Dans Dix ans」(ダンディゾン)を
夫妻で開業。
同じ建物の2階には、引田夫妻が
「素敵だと感じるもの」を紹介するギャラリー
「gallery fève」を同時にオープンさせた。
著書に『「どっちでもいい」をやめてみる』(ポプラ社)
『たぶん だいじょうぶ』(大和書房)
『しあわせのつくり方』(KADOKAWA)
などがある。
「weeksdays」では
「鋼正堂のうつわ」「ハンドソープ」「小ひきだし」
などのコンテンツ
にも登場。


今秋の新刊『LOVE MYSELF』(大和書房)も、
どうぞお見逃しなく。

■Dans Dix ansのwebsite
■gallery fèveのwebsite


「トレーナーもパーカーも大好き。よく着ます」
という、かおりさん。

Tシャツ一枚では寒いけれど、
ニットを着るにはまだ早い。
そんな端境期にえらぶことが多いそう。

取材に訪れた日もまさにそんなお天気。
しとしとと小雨が降る土曜日でした。

ギャラリーにおじゃまするとまず目に入ったのは、
テーブルの上に準備された
コーディネート用のアクセサリーと靴下。

「一年中、素足でいることはほとんどない」
というかおりさんがえらぶのは、
ご友人のブランドw&fwのもの。

それから、スニーカーが3足。

ラックにはパーカーとトレーナー、
そしてパンツやワンピースが何着も。

どれも手入れがゆきとどいていて、きれい。
こんな風に準備万端整えて私たちを待っていてくれる。
ありがたいことです。

まずはじめに着ていただいたのは、
黒のパーカー。

白いワイドパンツに、
Tシャツ、スニーカーという、
清々しいコーディネート。

ダブルジップのウェスト部分は、
ちょっと開けると、
座った時に腰回りがもたつかずきれいなラインに。

「パーカーは、3、4枚持っていて、
時には夫と共有することも」

なんでもかおりさん、
男の人のパーカー姿がとても好きとか。
「ジャケットからフードがのぞいていたりすると、
とたんにおしゃれに見える」んですって!
まったくノーチェックだった私‥‥
街ゆく人をチェックしてみます。

同じパーカーで別の着こなし。

「夏に活躍したリネンのワンピースと、
リネンのパンツを」

端境期の重ね技、参考になります。

シルバーのネックレスは、
お嬢さんの舞さんがつけていて、
「同じものが欲しい!」となったんですって。

黒にシルバーが映える。
ジップともぴったりです。

そうそう、最初のコーディネートは、
一粒ダイヤのネックレスをつけてくださったかおりさん。

ジップを開けたり閉じたり。
パーカーの下に合わせる服の色や
アクセサリーを変えるだけで、
こんなに首回りの雰囲気が変わるのですねぇ。

場所を変えて地下のパン屋さんへ。

ガラスの向こうでスタッフがキビキビと働く、
この光景が大好きです。

最後は白いトレーナーのコーディネート。

フリルの襟のついたブラウス、
新鮮です。

「大人でも着られるかわいい襟がないかな?
と思って見つけたのがこのブラウス」

でもね、とかおりさん。

「身頃や袖がオーバーサイズで、
中に重ねて着るともたついちゃうから、
お直し屋さんで袖を切ってもらったの」

なんとノースリーブにカスタマイズ。
そういえば、愛用してくださっている
saquiのテーパードリボンパンツも、
「リボン、取っちゃった!」
とおっしゃっていましたっけ。

自分にとって、必要なものとそうでないもの。
しっくりくるものとこないもの。
その嗅覚が敏感、そして正直。

軽やかな素材のスカートに
白いソックス、黒のスニーカー。

アクセサリーは控えめ、
ネイルはきちんと。

「どうせ私なんてと思いはじめたら、
自分がかわいそう。
手をかけて、ケアしていったら自分に返ってくると思う」

つややかな髪(なんとカラーをしていないのだそう!)、
つるんとした肌。

「子育てしたり、専業主婦だった時代は
パッとしなかったけれど、
今が一番元気!」というかおりさん。

トンネルはいつか抜けるからという言葉に、
勇気づけられる人、多いんじゃないかな。
もちろん私も。

再入荷のおしらせ

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完売しておりましたアイテムの、再入荷のおしらせです。
11月6日(木)午前11時より、以下の商品について、
「weeksdays」にて追加販売をおこないます。

岡澤悦子
ピッチャー

▶︎商品詳細ページへ

ピッチャーに茶葉を入れお湯を注いで、
茶漉しで急須やカップへ。
これが私のふだんの使い方。
急須を使うこともあるけれど、
洗いづらかったり、乾きづらいのがどうにも気になって。
その点、このピッチャーなら手が中まで入るので、
洗いやすく拭きやすい。
毎日使う暮らしの道具って、
手入れが楽、というところも重要なのだと思うのです。

また、コーヒードリッパーもぴったりなので、
コーヒーを入れる時も。

今は、茶葉と水を入れて冷蔵庫に入れて、
水出しの真最中。

‥‥はたと気がつくと毎日、
それどころか1日に何度も使っている、
岡澤さんのピッチャー。

汁切れがよく、
お茶を入れても重くない。
持った時に手にスッと馴染む。
そしてなにより見た目がかわいい!(ここすごく重要) 

また、花を生けたり、
何も入れずにテーブルや棚に置いておくだけでも、
そこに景色が生まれます。

構想からできあがりまでに4年。
岡澤さんとの対談もどうぞ。

(伊藤まさこさん)

端境期に

未分類

夏の間、せっせと通った市場。

日差しをあびて育った野菜は、
それはもう生き生きしていて、
見ているこちらまで元気になる。

トマトにピーマン、ズッキーニ。
茄子にみょうが、
きゅうりにゴーヤ‥‥

メニューを決めるよりも、
まずは素材が先。
おいしそうな野菜を見て、
よし、今日はあれ作ろう、
なんて思うわけです。

それが今やすっかり秋の気配。

あんなに色とりどり並んでいた野菜は、
どこかに行って、
きのこや根菜が並んでる。

よりどりみどりえらべた野菜は、
種類も少なくなって、
ちょっと寂しい。

野菜の端境期に作ったメニューは、
むかごごはんに、
秋茄子の揚げびたし、
きのこたっぷりのお味噌汁。

地味だけど滋味たっぷり。
少ない素材でどう作るか?
そこは腕の見せどころなのです。

今週のweeksdaysは、
Le pivotのパーカーとクルーネックのトレーナー。

厚手のコートを着るにはまだ少し早い端境期こそ、
おしゃれの腕の見せどころ、なのです。

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