「パリのチャコさん」こと、
鈴木ひろこさんのブランド
「LERET.H」(ルレ・アッシュ)。
「weeksdays」では以前、
下着とバッグをご紹介しました。
今回は、ふたたび、バッグ。
以前とは大きさや素材が異なる5種類が登場します。
このなかで基本となる「サックカレ」は、
鈴木さんが考えに考え抜いて出来上がったもの。
どんなふうに作られたのか、
パリの鈴木さんに、日本の伊藤まさこさんが
オンラインでインタビューしました。
鈴木さんご本人によるコーディネートも
ぜひご参考になさってくださいね!
鈴木ひろこさんのプロフィール

鈴木ひろこ
スタイリスト、ライター、コーディネーター、
ファッションコンサルタント。
パリ在住32年。
スタイリストとして、雑誌や広告、
音楽関係などで経験を積んだ後、渡仏。
現在は、女性誌を中心に
パリをはじめ、ヨーロッパ各国で取材・執筆を行い、
ファッション撮影のキャスティングや
オーガナイズを手がける。
日々、パリの街を歩きながら、
人、モノ、コトなど
さまざまな古き良きものや、
新しい発見をすることが趣味。
著書に『フレンチ・シャビーのインテリア』
『大人スウィートなフレンチ・インテリア』
『パリのナチュラルモダン・スタイル』
『シャンペトル・シャビーの家』
(グラフィック社)など多数。
最新刊は初のスタイルブックである
『パリが教えてくれた私らしいおしゃれ』(宝島社)。
「weeksdays」でもたくさんのコンテンツに登場。
01レオパード柄はパリらしいマテリアル
- 伊藤
- チャコさん、
送っていただいたこのバッグ、
大活躍してます。
- 鈴木
- あら、よかった!
- 伊藤
- 展示会にうかがったときに
レオパード柄の「ポシェットP」が素敵だなと思って
「weeksdays」用にサンプルをお願いしたんですけど、
別のタイプのバッグを一緒に送ってくださったんですよね。
それを「weeksdays」のチームのみんなで眺めながら、
「色柄、素材ちがいで2つ欲しい!」なんて、
ものすごく盛り上がりました。
見ているうちに、2つどころか、
全種類が欲しくなっちゃって。
- 鈴木
- うれしいです。
形と大きさ、素材ちがいで
いくつか作らせてもらいました。
基本の形がこの「サック・カレ」――、
「カレ(carré)」はフランス語でスクエアという意味で、
四角いバッグです。
ブラックとベージュのボアはミディアムサイズ、
レオパードはもう一回り大きいラージサイズです。
ホワイトだけ、
「サックボワット」という形で
マチをつけてボックス(ボワット)型にしています。
それから形が全く違う
クラッチ型の「ポシェットP」を加えた5種類。
- 伊藤
- 以前「weeksdays」で作っていただいたのは、
ハンドルがリボン型になるバッグでした。
- 鈴木
- そうそう。
あの形は、最初、LERET.Hの下着を買ってくださった
お客さまへのプレゼントとして考えたんです。
すぐ不要になる梱包ではなく、
その後も使えるような布の袋に入れてお渡しするのが
私の夢だったんですよ。
それで実際に作ってみたらかわいかったので、
バッグとして商品化しようということになりました。
今回作ったものはハンドルを一つにした
形ちがいになります。
- 伊藤
- うん、かわいいです!
素材もそれぞれ違っていてたのしいですね。
どんなふうに選ばれたんでしょう。
- 鈴木
- 例えばレオパードは
パリのインテリアファブリック屋さんで
見つけたものを使っているんです。
- 伊藤
- インテリアの生地なんだ!
すごく手触りがいいですよね。
- 鈴木
- 上質な感じですよね。
フランスは椅子の文化が長いので、
いいものがたくさん開発されてきたんです。
マテリアルもデザインもよく考えられていて。
レオパード柄は、フランスで60~70年代に
ブルジョワ階級の間で
インテリアによく取り入れられていたモチーフなんですよ。
彼らがソファカバーやひじ掛け椅子に使ったので、
肌触りがいいものが作られてきました。
- 伊藤
- なるほど、
肌に触れるのが前提ですものね、ファブリックって。
- 鈴木
- そうなんです。
それで、今でもパリにはレオパード柄を
センスよく取り入れている方たちがいて、
皆さん、やっぱり上質な素材のものを
選ばれているんですよ。
なので私もバッグを作るとき、
「これはインテリア用だけれど、
このツヤ感とヌメ感があれば品のよいバッグになるはず」
と、選びました。
- 伊藤
- パリらしいマテリアルなんですね。
でもインテリア用の生地を見て
バッグにしようと思うのがすごいです。
- 鈴木
- 同じレオパード柄でも、
薄いコットン生地だと全然印象が違うでしょう。
デザインがシンプルなバッグなので、
ある程度の厚みと質感のある素材を選ぶのが
大事だなと思ったんです。
モチーフがかわいいというだけじゃなくて、
持ったときにおしゃれで上質に見えなくちゃ、と。
- 伊藤
- お話を聞いていたら、
サックカレのレオパード柄も
欲しくなってきました。
- 鈴木
- まさこさんはシンプルなものがお好きだから
レオパードを持たれている印象はなかったのですけれど、
すごくお似合いですよ。
- 伊藤
- そうそう、
以前の私なら選ばなかったんです。
でも小物から使い始めたら、
だんだん大丈夫だわって思えてきちゃって。
これは年の功かも? ふふふ。
大きい面で身につけるのは勇気がいるという方でも、
こういうバッグから始めると
コーディネートのポイントになりますよね。
- 鈴木
- ほんとに、かっこいいと思います。
- 伊藤
- ホワイトはレザー素材ですか。
- 鈴木
- はい。
本革で作ったきっかけは、
男性でも持てるものが欲しいというリクエストを
いただいたことなんです。
- 伊藤
- なるほど、素材でずいぶん印象が変わりますものね。
これだったら男性のかたが持ってもよさそうです。
おしゃれ好きな男の子が持っても、かわいいかも。
それでそのリクエストをくださったかたは、実際に、
使ってくださっているんですか。
- 鈴木
- それがね、その男性、ご購入くださったんですが、
そのまま奥さんにプレゼントなさったんですって!
- 伊藤
- それはそれで嬉しいですね、ふふふ。
ところで、制作は、日本で?
- 鈴木
- そうなんです。
レザー工場のコネクションがなかったので、
ネットで岐阜県にあるレザー屋さんを探して、
パリから電話をしたんですよ。
「はじめまして。
バッグを作っているものなんですが、
レザーでバッグ製作のできるところを探してまして」って。
そしたら、LERET.Hのサイトを見てくださって、
「こういうバッグですね、やってみましょう」と。
- 伊藤
- すごいですね。
チャコさん、たしか下着をつくるときも、
あちこちの工場へお手紙を書かれていましたよね?
- 鈴木
- そうそう。
お手紙と電話作戦。
- 伊藤
- メールじゃないところが
チャコさんらしいです。
そうやって正面から行っても受けとめてくれるって
気持ちがちゃんと伝わっている証拠ですよね。
(つづきます)
2025-11-24-MON