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ほぼ日手帳

またまた、アイディアについての。

糸井重里

・1万回も続いているこの毎日の小文で、
 いままででいちばん繰り返し書いているのは、
 「アイディア」についてのことじゃないかと思う。

 もう、ほんとに「アイディア」のことばかりなんだよ。
 ぼく自身が欲しいと思っているのも「アイディア」だし、
 「ほぼ日」もいまの100倍くらい「アイディア」が欲しい。

 「アイディア」以外に、ものごとを前に進めるものはない。
 いつまでもぐだぐだと争っていることの大きな原因は、
 たいていは「アイディア」がないからだ。
 「こうすればいいんじゃないか?」というふうな
 「アイディア」が出ないままだったら、
 ずっと摩擦熱が高まっていくばかりなのだ。

 「どうすればいいアイディアが出ますか?」と、
 あちこちで、人は当たり前のように質問する。
 そんな他人事みたいに質問できるということが、
 もう、「アイディア」とは無縁の姿勢じゃないか。
 「おまえが出すんだよ」だ、主体はじぶんなのだ。
 なにかコツがあって、それをすればいいんだったら、
 とっくに世の中は「アイディア」に満ちているだろうよ。

 画家がある色彩を選んでいることも、
 「アイディア」なのである。
 「テーマ」やら「構図」やら「方法」にばかり
 「アイディア」があるのではない。
 音楽のなかにも、「これ!」という「アイディア」がある。
 メロディなのか音色なのか、リズムなのか、発声なのか、
 「アイディア」のないままにすばらしい表現などない。

 たまに、「アイディア」が生まれるのが「見えた!」
 と感じられる瞬間がある。
 生んだのがじぶんでも、他人でも、ものすごくうれしい。
 「よし、これでこの川を渡れる」というような気持ちだ。
 たとえば、今日のこの文章のなかに「アイディア」がない。
 あえて言うならば、「アイディア」についての愚痴で、
 連載一回分の原稿は書ける、ということぐらいである。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
アイディアが出なかったら、生きていけない。ほんとだよ。

昨日のコラムを読み逃した方はこちら。

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