糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの

今日のダーリン

・書きたくないことや、書かないでいたいこと、書けっこないことや、書けそうだけどあきらめたこと。つまりは、書けないことばかりが、マリンスノーのように降り積もる。

もともと、いつの時代もすらすら書きやすいことなんて、ほとんどなかったにちがいない。人が口に泡をためて大声でなにか言うのは、なにか目的のあるときだろう。

生きることは、できているのに、言うこと書くことはややこしい。ほとんどの、生活の場面にいる人は、そう感じながら日々を過ごしているのではあるまいか。

言うしくみも書くしくみも、人間には付いているので、手を使いたいように、足を使いたいように、目を耳を使いたいように、ちんこを使いたいように、言いたくなったり書きたくなったりすることもある。

そういうとき、人はラーメンを食べてそれについて言ったり書いたりする。テレビで知っている人のすべったころんだりについて、言ったり書いたりもする。肩をぐるぐる回すように、指をぽきぽき鳴らすように、ストレッチしたり、その場で軽くジャンプするように。

書きたくないことや、書かないでいたいこと、書けっこないことや、書けそうだけどあきらめたこと。つまりは、書けないことばかりが、マリンスノーのように降り積もっていく。言えること書けることは、おどろくほど少ない。そして人は、あらためて沈黙の大きさを知る。

「常にいのちの増す方へ!」と、ある演出家が言った。そうだ、そう思えばいいのだ。書けないことではなく、書ける空間の広大さを見る。降り積もる海の雪よりも、海そのものを見よう。いのちの増す方へ向いた、ただの「おはよう」を、ぼくらは見失っていたのではなかったか。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。毎日書きながらも、書かない時間をどう過ごすかなのだ。

土曜日、日曜日と祝日の「ほぼ日」は9時に更新しています。昨日の「今日のダーリン」を読み逃した方はこちら。

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