ほぼ日 |
今回のこの「ポケットセクレタリ」の
好評ぶりはいかがですか? |
小川 |
非常に大きな反響をいただいております。
だいぶまえに通販で取り扱ってもらって
瞬間的に売れることはあったんですけど、
これほどまでに長期的に
売れることはなかったですね。
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ほぼ日 |
ほんとスゴイ人気ですよ。 |
小川 |
ありがとうございます。
この状況ですから、
1日中生産ラインをフルに動かして、
みたいな状況にしたいところなんですが、
それがなかなか難しい状況でして‥‥。
じつはこの商品、手作りなんですよ。 |
ほぼ日 |
えっ? 手作りですか? |
小川 |
組み立てとチェックの行程が手作業なんです。
一丁一丁手で組み合わせてから、
切り具合の確認という行程になります。
材料のほうはじゅうぶんあるんですけど、
生産性が高くないので、ご迷惑をおかけする部分が
多々出てきてしまいますね。 |
ほぼ日 |
なるほどー。
ポケットセクレタリが手作りだったとは。
正直驚きました。
驚いたといえば、切ったものを落とさないように
刃先に挟むことができる機能にも驚きました。 |
小川 |
あぁ「つかみ機構」ですね。
じつはこれ、切ったものを
つかむためだけのものじゃないんですよ。 |
ほぼ日 |
‥‥といいますと? |
小川 |
じつはこの「つかみ機構」がないと、
刃の薄さから、ギュッと力いっぱい握ると
こうなっちゃうんですよ。
注:写真は無理矢理この状態にしたものです。 |
ほぼ日 |
あー、刃先どうしが重なっちゃうんですね。 |
小川 |
そうなんですよ。
重ならないためのストッパーとして
つけたんです。
そうしたらつかむこともできるぞ、と。 |
ほぼ日 |
(笑) |
小川 |
まぁ、開発者の思惑としては両方の機能をと
思っていたのかもしれませんが、
まず、刃先どうしが重なり合わないことを
目指したわけです。 |
ほぼ日 |
思わぬ副産物だったわけですね。 |
小川 |
そうです。 |
ほぼ日 |
でも、小さい細かいものを切ったときでも
しっかりつかんでくれますし、
両方の機能がうまく作用してますよね。 |
小川 |
ありがとうございます。
もっと言ってしまえばこのポケットセクレタリは
「薄いハサミを作ろう!」というコンセプトで
開発されたものではないんです。 |
ほぼ日 |
えっ! そうなんですか? |
小川 |
はい。
ご存じかと思いますが、通常、ハサミというものは
刃と刃をリベットと呼ばれる留め金で繋いでいます。
これですね、この丸いのがリベットです。
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ほぼ日 |
はい、たしかにハサミにはこのポッチ部分、
すなわちリベットがありますよね。 |
小川 |
まずは、そのリベットの出っ張りがない
ハサミを作ろうという考えで開発が始まったんです。 |
ほぼ日 |
なるほど、リベット部分って
必ず出っ張ってますもんね。 |
小川 |
そうなんです。
苦労しながらも開発を進めていきましたが、
なかなか完成にこぎつけず、
結局、小さくて薄いハサミでしか
実現できなかったんです。
で、この小さくて薄いハサミの用途を考えて、
手帳にちょうどいいサイズだから
手帳用にしよう、ということになったんです。 |
ほぼ日 |
それがポケットセクレタリなんですか。
「手帳に合うハサミを作ろう!」
という考えが先じゃないんですね。 |
小川 |
まったくないです。 |
ほぼ日 |
それはすごく意外でした。 |
小川 |
やっぱり、最初から意気込んで作ったのではなく、
結果的にそうなったっていうのが
このアイデアに溢れているハサミに
つながったんだと思ってます。 |
ほぼ日 |
いろいろなことがうまく交わって
この「ポケットセクレタリ」の形に
なったわけですね。 |
小川 |
えぇ、それが1997年、
いまから11年まえの話です。
11年目にこんな反響をいただけるなんて
非常にうれしい限りです。
ぜひ、ほぼ日手帳をご愛用のみなさんに、
「ポケットセクレタリ」を試してほしいですね。
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