未分類カテゴリー記事の一覧です

未知の素材に出会って

未分類

伊藤
酒井さん、はじめまして。
DUENDEというブランドを
「weeksdays」で今回はじめて
取り扱わせていただくにあたって、
まずは酒井さんのことからお伺いできたらと思います。
酒井
はい、よろしくお願いします。
伊藤
酒井さんは今、
DUENDEのブランドマネージャーをされていますが、
家具には、いつ頃から携わられているんでしょうか。
酒井
僕はずっと家具を作ってきたわけではなく、
もう28年も前になりますが、
30歳くらいのときに、
無印良品で生産管理に関係する仕事をしていました。
伊藤
そうなんですね。
具体的にはどういったことを?
酒井
クレームやトラブルが起きたときにすぐに倉庫に行って、
問題の原因を調べて、
必要なら出荷を止めたり、
製品を直すという判断をする仕事です。
素早くしないといけませんから、
フットワークの軽さが重要でした。
伊藤
聞いただけで大変なお仕事ですね。
酒井
ええ、大変でした。
それまで僕はインテリアの生産に
関わったことがなかったんですけど、
興味はずっとあったんです。というのも、
僕の父が、税理士なのに手先が器用で、
なんでも自分で作る人だったんですね。
伊藤
お父さまが。
酒井
戦後で、必要にせまられていた部分も
あったと思うんですけど、
僕はその父から教わるのが好きで、
「カッターはこう、彫刻刀はこう使うんだ」
「のこぎりは引くときに力を入れろ」
というようなことを学びながら、
山から枝を拾ってきては組み立てたり、
わらじを編んだりしていたんです。
伊藤
それをお父さまと。いい時間ですねぇ。
酒井
そうしているうちにだんだん、
構造的なこと‥‥
「この木の太さだと、
こういう形にしても強度が足りないな」
とか、
「斜めにかすがい(コの字型のくぎ)を入れれば
大丈夫そうだな」
みたいなことが経験上、
身についていったんですよね。
だから、生産管理として働いているときも、
クレームを受けたその製品が、
組み立てようとしても
どうしてうまくはまらなかったりするのか、
構造上の問題がわかる。
それを上司に報告したりしているうちに、
認めてもらえるようになりました。
伊藤
それは頼もしいですね。
無印良品には、
どのくらいいらっしゃったんですか。
酒井
2年半くらいでしょうか。
それからインテリアの小売会社や流通大手で
MD(マーチャンダイジング)や生産サポートなどを経て、
20年前くらい前に独立し、
「METALWORKS(メタルワークス)」という会社を
立ち上げました。
DUENDEの製品開発に関わり始めたのも、
ちょうどそのときです。
社名にもメタルとありますけど、
無印良品の仕事をする中で一番インパクトを受けたのが、
当時デビューしたてだった、
スチールユニットシェルフ」の、
スチールのすごさだったんです。
伊藤
スチールのすごさ?
酒井
はい。
たとえば木材なら、のこぎりで切れますよね。
釘やネジで簡単に固定もできます。
でも、スチールロッドは細くても
そう簡単には切れませんし、
一般家庭では使えない電圧の切断機を使わないと
接合もできません。
「スポット溶接」という工法で、
ものすごい高熱で溶かして、
溶剤をつけるのではなく、
鉄同士を溶かして接着するんですけども、
こうしてできたスチールは、
とんでもなく高い強度なんです。
伊藤
そんなに強くなるんですか。
酒井
僕、「スチールユニットシェルフ」に
レコードをびっしり並べて、
別の段にはアンプやスピーカーのオーディオセットや、
当時ブラウン管の大型テレビも載せていたんです。
総量が200kg以上になるんですけど、
それでもスポット溶接された
キャスター受けの部分が折れないんです。
伊藤
すごい! 
酒井
そんなに強いスチールって、
一体どうやって作られるんだろうと興味がわきました。
生産管理の仕事の一貫で、
溶接のズレのトラブルに対応したこともあるんですけど、
原因と対策を練るために
工場で作り方を聞いたりしていて、
だんだんとスチールに詳しくなって、
おもしろさにも気づかされたんです。
伊藤
酒井さんの中では、
それまで触れたことのない素材だったんですね。
酒井
未知の素材ですよ。
こんなに薄いのに、
ものすごく強いんですから。
伊藤
ここにあるものは、
ほとんどがDUENDEの製品ですよね。
デザインも酒井さんがされているのでしょうか。
酒井
デザインというとちょっと語弊があるんですけど、
僕は主に企画を担当していて、
デザイナーと一緒に形にしているという感じです。
伊藤
企画ということは、
「こんな製品があったらいいな」
というのを考えられている?
酒井
そうですね。
たとえば、このSTEEL STORAGE WAGON
(スチール ストレージ ワゴン)
は、
コロナ禍に入ってから考えました。
一時期は、
ほとんどの方がリモートワークになったでしょう。
でも、みんな戸惑ったと思うんです。
実際、お隣さんの家は共働きで、
お子さんが3人いらっしゃる。
出社しているときには問題なかったけど、
急に夫婦とも家で仕事をしろと言われても、
場所がないんですよね。
伊藤
うんうん。
みんながそういう時期でしたよね。
酒井
時々見かける旦那さんが、
日を追うごとにやつれてくんですよ。
でも、このリモートワークというのは、
コロナ禍が落ち着いた後も、
働き方のひとつとして残るだろうと思ったんです。
伊藤
実際に今、そうなっていますものね。
酒井
けれど、自分の部屋がない人も多くて、
そういう方たちに聞くと、
だいたいダイニングテーブルで仕事をされているんです。
そうすると、ごはんの時間になると奥さんに
「ちょっとパパ、片付けて」なんて言われて、
ひとまずテーブルの隅っことか、
ソファの横に置いちゃいますよね。
でも仕事道具って、
視界に入るところにあると
プライベートな時間と切り替えができないから、
僕はすごく不健全だなと思ったんです。
伊藤
たしかに落ち着かないですよね。
酒井
だから、
仕事道具が目に触れないように、
まとめて入れることができて、
オフィスにあるような、
いかにも「ワゴン」という顔つきじゃない収納が
あったらいいなと思ったんです。
伊藤
家に馴染むような、
感じのいいデザイン。
酒井
ええ。
そんなときちょうど、
今回扱っていただく「MUKOU」という傘立てを作った
デザイナーのひとり、
引間孝典が個展をやるというので観に行ったんですけど、
彼と話をしていたら、
ものづくりについての考えが似ていることに
気づいたんです。
プロダクト自体があまり主張せず、
空間の中に馴染むものがいいよね、と。
伊藤
「主張せず、馴染む」。
酒井
アメリカやヨーロッパの家庭なら別ですけど、
日本って、居住空間がコンパクトだから、
主張が強いものが置いてあると、
圧迫感を覚えてしまうと思うんです。
そんな考え方を共有しながら、
彼がデザインをしたワゴンに、
僕のリモートワーク下でのアイデアを
反映させてできたのが、
STEEL STORAGE WAGONです。
伊藤
じゃあ、
デザイナーさんと二人三脚という感じで
プロダクトを作っていらっしゃるんですね。
酒井
はい。
僕はプロダクトを作るとき、
「スペースが限られている日本の家庭のために」
ということを前提に考えています。
そういう面でもスチールが向いているのは、
薄くても強いからです。
伊藤
木材だったら、同じ強度を出そうとすると、
厚みがないといけないですものね。
酒井
そうなんです。
でもスチールなら、曲げればいい。
構造的に、強度を出すために
曲げないといけないところがあるんですね。
けれど僕が作ると、
ぜんぶ直角のラインになってしまうんです。
そのためにデザイナーがいてくれて、
「ここはスチールだと冷たい印象になるから、
角はアール(曲線)で揃えましょう」
みたいなことを言ってくれるんです。
伊藤
デザイナーさんってすごいですね。
触っても痛くない感じがします。
酒井
「ここの角、
15アール(半径15mmの円弧のライン)
だったらヌルッとしちゃうので、
5アール(半径5mmの円弧のライン)にしましょう」
なんて言われるんですけど、
その「ヌルッと」っていう感覚、
すぐには分からないじゃないですか(笑)。
でも出来上がるとかっこいいんだから、
細かいところは任せることにしています。

再入荷のおしらせ

未分類

完売しておりましたアイテムの、再入荷のおしらせです。
9月11日(木)午前11時より、以下の商品について、
「weeksdays」にて追加販売をおこないます。

zattu 
HENRIK
(BLACK、DARK KHAKI)

▶商品詳細ページへ

ワンピースにサンダル。
Tシャツにパンツにスニーカー。

自分にとっての定番アイテムを、
色違いで揃えているため、
毎日、同じようなスタイルをしています。
(まるで制服のように。)

着心地のよさと、洗濯などの手入れの楽さから、
この夏はこのままいきそう‥‥。
でも雰囲気変えたい! 
そんな時に出会ったのがzattuのリュックです。

展示会で目にした時、
なんだかすごく気になったんです。
「これ、持ってみたい!」
こういう気持ちって、すごく大切ではないかと思うのです。

デザイナーの布袋さんと赤澤さんのおふた方がおっしゃる、
「シンプルだけど、じつはデコラティブで、
ちょっと違和感があるデザイン」というところが、
ぐっときた理由でしょうか。
なんだか「かっこいいん」です。

私がとくにいいなと思っているのは、
口が「シュッ!」と気持ちよく開くところ。
間口が広く開くため、
中のものを取り出す時、
ガサゴソと手探りで探さなくてもいいんです。

それから見た目に軽やかなところ
(もちろんじっさい軽い)。
街にぴったりなリュックです。

(伊藤まさこさん)


Le pivot
オックスタックパンツ
(アイボリー、ターコイズ)

▶商品詳細ページへ

Le pivotの定番、
私のまわりにもファンの多いタックパンツです。

Tシャツやニット、ジャケット。
合わせるトップスはなんでもOKの懐の深さ。
トップスもオーバーシルエットにすれば、
「今」の気分に。
最近の私のヒット、そして定番にもなっているパンツです。

タックパンツ・ラブ! のコンテンツ
合わせてご覧ください。

(伊藤まさこさん)

なにかを入れるものこそ

未分類

収納のアイテムって、
私たちの毎日をささえてくれているにもかかわらず、
家の中では控えめな存在だと思いませんか? 

「その中に入れるもの」に目が行きがちだから? 

ふだん、あまり目が届かない場所に置くことが多いから? 

なんて、
「控えめ」の理由をあれこれ考えてみる。

ある時から私は、
こう思いはじめたんです。

なにかを入れるものこそ、
美しく、よいものをえらびたいと。

weeksdaysでは、
今まで小ひきだしやマガジンラックを紹介してきました。
「収納」というとちょっと違うのかもしれないけれど、
ウッドバスケット(ゴミ箱)もそのひとつ。

どれもメインの家具ではないけれど、
あると助かるものばかり。
そして「美しく、よいもの」。

今週のweeksdaysはDUENDEの傘立てをご紹介。

場所を取らず、見た目にすっきり。
傘の収納をどうしたらよいものかと
思っていた方に朗報です。

みなさんと、次の一年を

未分類

太田
これもノートに貼る例ですね。
山川
日付がないノートを手帳ふうに使う、
そんな使用例なのかな。
これを貼ることで何月何日のページってわかります。
かわいくて、季節感もあっていいですよね。

伊藤
これ、一番最初の年の日めくりじゃない? 
左側の写真は2018年に訪れた
ニューヨークのソーホー、
いまはなくなってしまった
DEAN & DELUCAの旗艦店なんですよ。
そして右は北欧、今から7年とか8年前の写真です。
最初の年は過去をさかのぼって
ふんだんに写真の素材があったから。
山川
贅沢ですね、今思うと。
伊藤
あ! 鹿と、鹿の角で、リンクコーデ。
今気づいたんだけど。
太田
あ、ほんとだ!
山川
すごーい。
伊藤
そっか、ノートに貼れば日記になるのね。
山川
捨てるのがもったいないな、
っていう人はそういう使い方もいいですよね。

この投稿をInstagramで見る

食堂せんせい(@a_y___8__)がシェアした投稿

伊藤
「らっきょうをつけるきせつになりました」。
山川
すごい。
以前、味噌の方もいらっしゃいましたね。
保存食を作る時、
食べごろを見極めるためにも、
仕込んだ日付を記録しておく必要があるんですよね。
そこでめくったカレンダーを
保存容器に貼っておくという使い方ですね。
太田
私も味噌を作ったときに
真似して貼りましたよ。
山川
いい使い方。
私もいつか真似したい。

この投稿をInstagramで見る

ヤギ🐐(@haruyagi5)がシェアした投稿

山川
これはもう、定番の使い方ですね。
太田
家の中で、写真をかわいらしく撮りたいときに‥‥。
伊藤
小道具として使ってくださっていますね。
山川
この方は、おいしそうなものと一緒に
撮ってくださっています。
伊藤
「日めくりカレンダーに合わせて
マグと小物を選ぶのが
最近のささやかな幸せ」
ドーナツとか、パリの風景やらといっしょに。
山川
ほんと、カレンダーを置くだけで、
自分の写真がまとまるんです。
太田
かわいい写真が撮れます。
伊藤
こうして使ってくださっている方の例、
すごくいっぱいあるんだね。
山川
そうなんですよ。いっぱい。

太田
こちらは読書日記ですね。
山川
この方、タイムラインの読書日記を、
カレンダーと組み合わせて
撮ってくださってるんです。
本の装丁とカレンダーのセレクトが
すごく合ってるんですよ。
伊藤
ほんとだ!
あ、ミュージアムに行った日の記録も。
太田
チケットを一緒に撮って。
伊藤
新幹線っぽい風景とかもある。
ちょっと思い出が入ってるのね。
それに、バックの色や素材も素敵。
光も統一されてて。
写真を撮るの、とてもお上手ですね。

太田
こちらは、2025年のカレンダーで
いちばん驚いた使い方です。
山川
日めくりカレンダーを自分で製本して、
手帳として使っていらっしゃるんです。
伊藤
「去年からずっとやりたかったこれ! 
ポラロイドスタイルでオシャレな」‥‥? 
手帳をつくったの?!
太田
はい、穴を開けて。
伊藤
えっ、えーっ! 
糊で製本されていたカレンダーを
1回バラしてまた製本を?!
太田
そういうことですね。
山川
しかもちょうどいいサイズの
ファイルを見つけられて。
伊藤
これは‥‥見る用?
太田
使っている様子は別途、
動画でアップしてくださってます。

伊藤
あ、ほんとだ。
しかも文字を書く場所が同じところじゃなくて、
いろんな書き込み方を。すごーい。
太田
かわいいんですよ。
これは今年の一番の驚きでしたね。
伊藤
ほんとだねえ。
山川
すごく楽しんで使ってくださってる。
伊藤
あらためて、
カレンダーができたときが完成じゃないんだな、
って思いますね。
こういうふうに使ってくださったり、
おうちにある姿もそれぞれで、
皆さんと一緒に時を過ごすみたいな‥‥。
山川
皆さんもインスタグラムのハッシュタグで
「#weeksdaysの日めくりカレンダー」
検索してみてください。
いろんな使い方が出てきます。
伊藤
お使いの方は、ハッシュタグをつけて
投稿してくださいね。
山川
投稿してくださると、私たちはもう、ね。
太田
嬉しくて!
山川
‥‥と、ここまでおしゃべりしてきたんですけど、
そろそろこの座談会もおしまいです。
伊藤さん、締めの言葉をぜひ。
伊藤
本当に使ってくださってる方にお礼を言いたいです。
ありがとうございます。
太田
2026年の日めくりカレンダーも、
たくさんの方の手にとっていただけると嬉しいですね。
伊藤
ぜひあなたの1年を共に過ごすカレンダーとして
weeksdaysの日めくりを選んでもらったらいいな。
そして素敵に使って、
また新しいこんな使い方もありますよ、
みたいなことも教えてほしいです。
私も写真の撮りがいがあります。頑張ります!

えっ、こんな使い方が‥‥?

未分類

山川
この日めくりカレンダーを
使ってくださってる方が
すごくたくさんいらっしゃるので、
今回どんなふうに使ってるのかなっていうのを
募集させていただいたんです。
伊藤
そうそう。それを早く見たくって!
太田
伊藤さんはこれが初見ですね。
山川
じゃあ順番に‥‥。

山川
これ、すごいなって思ったんですけど、
よくお洋服を買ったら、ボタンとか端切とか、
修繕用のアイテムがついてくるじゃないですか。
それを取っておくんだけれど、
どの服だったかわからなくなることがありますよね。
伊藤
わかる!
太田
それをカレンダーと一緒に
ファイルにまとめてらっしゃる方が。
伊藤
「過ぎた日も
もったいなくて
捨てれないから
こんな風にも使う。
服のボタン保管は
無印のハガキホルダーで」!
太田
すごいんですよ。これすごいんです。
伊藤
わーっ(拍手)。ありがたーい。
でもそうだよね。確かにね。
山川
絵も描いてあってかわいいですよね。
太田
スタンプも押してますね。
山川
購入した日とかなのかな。
すごくいい使い方だよね。
伊藤
ほんとにメモ帳代わりなんですね。
しかも後ろに写った黄色のお皿と
ボタンの色を合わせてくれてるんだね。
山川
かわいい組み合わせ。
真似したい。

山川
この方もすごいんです。
1枚ずつラミネート加工をして。
伊藤
え、ほんと?
太田
しかもツヤが出ないマットなタイプ。
山川
それをキッチンとか
ちょっと水がかかってもいい場所に
飾ってくださっているんです。
太田
くたくたにならないからいいって
書いてくださってましたね。
山川
写真ではラミネート加工されてるのが
わからないぐらい自然ですよね。
キッチンに立っている時間が長いと、
こういうことで、ちょっとやる気になりますよ。
太田
いい景色が、またできる。
伊藤
ポストカードを飾るみたいな感じなのかな。
太田
きっとそうですね。

山川
こちらは、ノートを使い始める時、
その日に近い日付のものを
表紙に貼っているという方です。
伊藤
「表紙には好きな写真や切り抜きを貼っていましたが、
今年はweeksdaysの日めくりカレンダーから、
使い始めに近い日にちのをペタっとしています」って。
山川
使い始めの日にちがわかるっていいですよね。
伊藤
「気に入った日めくりはストックしてあるので、
こうしてペタペタとコラージュや
デコ素材として使っています」
‥‥すごーい!
太田
このノートもかっこいい。
山川
組み合わせも素敵ですよね。
伊藤
黒い台紙って写真が映えるものね。
山川
裏にも貼ってるのかな。
太田
ちゃんとコラージュしてくださっているんですね。

伊藤
こちらは、読書日記。
山川
インスタでよく見るんですけど、
読んだ本と一緒に並べて撮ったり、
今日の記録を撮るときに
画面にカレンダーを写り込ませる方が
けっこういらっしゃって。
伊藤
なるほど。
山川
この方はほぼ日手帳と
組み合わせて使ってくださっているんです。
読んだ本の記録を手帳に書いて、
その日のカレンダーを貼って。
本のタイトルもメモされてますね。
太田
メモとしても使いながら。
山川
余白がいい感じにありますから。
伊藤
このレイアウトって、
ポラロイド写真に由来しているんですよ。
山川
そうなんですよ。これ、
ポラロイドフィルムと同じ比率でデザインされていて。
ポラも、よく下の余白にメモを書いたりしましたね。
伊藤
だから、そういうふうに扱ってくれて嬉しいな。
山川
かわいい使い方、ありがとうございます。

太田
これは使い終わったものを?
山川
はい。めくったカレンダーを
どうしたらいいんだろうっていうことを、
みなさん、考えるようなんです。
太田
「捨てたくない」みたいな。
山川
この方はめくったものを置く場所を
作ってくださって。
伊藤
くまちゃんと共に。
太田
かわいい―。
伊藤
かわいいね。
赤が効いてますね。
太田
この日めくりを使って
撮っていただく写真、
みなさん、かわいいですね。
伊藤
「気に入った写真の日のものは、この中に入れて、
ある程度まとまったら、
クリップでとめてメモ用紙として使うと決めてみました」
なるほどねえ。
太田
素晴らしい使い方です。
山川
お友達に借りた本を返すときとか、
「ありがとう」みたいに
一筆箋代わりにもできますね。
伊藤
うん、うん。

まいにち景色の変わる窓

未分類

山川
あと私が印象的だったのは、
8月10日の「ようかんトースト」の写真。
伊藤
それはね、私はようかんをすごくいただくことが
多いんだけど、もてあますときがあって、
「これはもしかしたら切って
あんバタートーストにすればいいのでは」と。
ようかんとバターを互い違いにのっけたら、
すごく美味しかったんです。
山川
なんて悪いことを考えるんだろう!
伊藤
いいアイディアを思いついたなって。
バター大好きなので、
ようかんとバターを同じぐらい‥‥、
いや、若干バター多めかな。
山川
背徳の味ですね。
しかもかわいい。
伊藤
これはね、一番最初に作ったときの
写真だったんだけれど、
わたしはバターが溶けてないのが好きなので、
次からつくり方を変更しました。
ようかんとバターを切って重ねて
冷蔵庫に入れておくんですよ。
トーストが焼けるまでは冷やして待機、
お皿を用意しておき、
「よし、焼けたぞ」っていう段階で
冷蔵庫から出したばかりの
セッティングされたようかんバターを
トーストにのせて、
もうその10秒後には口に入ってる。
山川
はあー!
太田
おおー!
山川
トーストはアツアツ、
ようかんバターは冷や冷やのままですね。
伊藤
そうなんですよ。絶対溶ける前に食べる。
山川
美味しいだろうなあ。
太田
最高ですね。やってみます。
これは真似できるかもしれない。
伊藤
この前もっと悪いことをしてしまって。
太田
えっ。これ以上に。
山川
怖い話かな。
伊藤
まずトーストにバターを乗せて溶かしたんです。
その上にさらにようかんバターをのせました。
カロリーの高い食べ物が大好きだから、
これはいいって思って。
山川
ダブルバター。
勇気が湧きます。
太田
美味しいものは堂々と食べればいいんだという
気持ちになります。
山川
休日の写真って、切り抜きだけれど、
伊藤さんのスタイリングが入ってるじゃないですか。
それもすごく好きで。
10月11日の、竹俣勇壱さんのスプーンに
小豆をのせた写真、こういう写真を撮ってるときに、
「スタイリング道場」が始まりますよね。
太田
そうですね。
伊藤
これはね、スプーンだけ大中小で並べてもかわいい。
でも小豆をのせることであったかい雰囲気になる。
そしてスプーンのサイズ感もわかるんですよ。
太田
そういうことですか! 確かに。
ただの(飾りとしての)小豆じゃないんですね。
山川
師匠!
伊藤
椅子を撮影するときも
モデルさん隣に立ってもらうと、
あ、こういうサイズ感なんだってわかる。
使ってる風景も感じられるし、
大きさもわかる、そういう工夫なんです。
山川
商品に手を写り込ませたりとか、
weeksdaysの撮影で、ありますものね。
山川
太田さんは、この日めくりカレンダーを
どんなふうに使ってる?
太田
私はもう、よく見える棚の上に置いています。
毎日景色が変わるのもよいなと思って、
棚の上なんです。
そして毎朝、めくって、
「今日も一日が始まった」という気持ちになるんです。
伊藤
なるほど。
太田
小物とか、入れ替えたりすることを
そんな頻繁にやらない、
私みたいに怠けてる人でも、
これさえめくれば景色が違う感じになります。
そのことで、すごく私はこのカレンダーに
助けられているんです。
伊藤
私は過去の分を本棚みたいに並べてますよ。
そして時々、以前のものも見てます。
なんかめくって捨ててしまうのがもったいなくて。
自分にとって、本みたいな気持ちなんでしょうね。
太田
それはいいかも‥‥。
写真集に近いですからね。
山川
4冊(4年ぶん)が本棚に並ぶ様子を想像すると、
ちょっとうらやましくなってきますね。
それもありですね、切り取らずに開いて使って、
最後に本のようにとっておくこともできますね。
太田
路子さんは?
山川
子どもが2人いるんですけど、
めくるのが大好きなんですよ。
すごく楽しくやってる。
伊藤
かわいいー!
山川
めくり過ぎちゃって、
日付が進んじゃうことがあるんですが、
なんとなくそれで日付の概念を感じてるようです。
「日付が変わるってそういうことなの? もしかして」
みたいなことがわかってくる。
そんなお年頃のお子さんがいるおうちは
いいかもしれないですよ。
うち、作り始めたときは2歳だったので。
まだわかってなかったんです。
でも最近は、もう勇んで、
「今日で7月は終わりだから」みたいに、
得意げに。
太田
すごい。
伊藤
なるほど、時間の概念がわかってきた。
山川
30や31の次は1に戻る、
っていうことが理解できるようになりました。
私たちはそれがわからなかったことも
忘れてしまってますけど、
伊藤
そう思いながら、めくってる姿を見るのは、
愛おしいですね。
山川
はい、楽しいです。
伊藤
うちの母は寝室のチェストの上と、
キッチンにも置いていて、
朝起きたら律儀にピリピリってやってますよ。
山川
2ヵ所に!
太田
めくり心地もいいですもんね、これ。
山川
そうなんですよ。
すっごく、いい製本ですよね、これ。
天糊(てんのり)っていう糊で留まってるんですけど、
この糊は職人さんが手で二度塗りしてくれてるんです。
伊藤
そうなんだ!
山川
その工程に時間がかかるので、
いちどに出来上がらず、分納になるほど。
伊藤
その、見た感じは糊付けされてるのが
わからないほどないのにね。
かつ、めくりやすくもなっていて。
山川
そうなんですよね。
ちゃんと気持ちいい力でめくれます。
伊藤
この小さな中にいろんな人が関わってますね。

まさこのスタイリング道場

未分類

山川
そうして1年分の台割が決まると、
太田さんがこれはどこの場所なのか、
被写体は誰かに権利があるものなのか、
探偵のように調べるんですよ。
掲載したい写真にかかわるみなさんに
許諾をいただく必要があるかどうか。
太田
もう、私、伊藤さんのストーカーですよ。
この1年、伊藤さんはこういう場所に行ったんだ、
ということを調べてるんですから。
伊藤さんがどんな1年だったか、
編集作業をしながら思いをはせるんです、私たち。
伊藤
あのときパリ行ってたなぁ、とか?
山川
そうでしたね。まさしく今年はパリに行かれたので、
その写真を入れようって制作の最初から決まってて、
それは私たちも楽しみにしてたんですよ。
その中に、山室瑠衣さんという、
以前、weeksdaysのコンテンツにも出てくださった
素敵なニットデザイナーの方のおうちが
たくさん出て来てて。
伊藤
瑠衣さん、パリに今年移住されたんだけれど、
すっごく荷物を減らして行ったんですって。
「でもこれは持って来ました」って、
日めくりカレンダー、パリのおうちにもあって!
山川
嬉しい~!
伊藤
すごく嬉しかった。
山川
「余(yo)」のシャンプーの開発元の
「omotesando atelier(表参道アトリエ)」でも
レジ横に置いてくださっていましたね。
意外な場所で見つけると、嬉しくなりますね。
伊藤
メモとしても使っていますって
おっしゃってましたね。
山川
そうなんですよね、けっこうメモ書きや、
一筆箋みたいに使ってくださってる方も。
伊藤
そう。毎日1枚、めくるから。
うちの母もメモとして使ってるって言ってました。
太田
いい紙だし。
山川
ブロックメモみたいな形状だから。
太田
毎年のように登場する
伊藤さんの好きなモチーフがありますよね。
タマゴとイチゴ。
伊藤
イチゴはその季節がやってきたっていう嬉しさと、
赤い小っちゃいもののかわいさっていうのがあるのかな。
山川
イチゴはすごいですよ。1年で4、5回出てくる。
太田
登場回数、多いですよね。
伊藤
タマゴは市場とかで見かけると撮っちゃう。
かわいくない? タマゴって。
太田
かわいいんですけど。
私が撮ってかわいくなるかというと、
そこまでに至らないっていうか。
山川
あんなに雑多にタマゴが並んでる状態、
見たことないっていうような写真も出て来るんですけど、
それがかわいく撮られてるのがほんとにすごい。
伊藤
かわいいですよ、撮れば。タマゴは。
山川
伊藤さん、集合してるものが好きですよね。
伊藤
あ、そうみたい。
苦手な人もいるんでしょうけれど、
わたしは、すごく好きで。
等間隔のものと密集してるものが好きなのかも。
等間隔の窓とか。
山川
丸太ん棒が積んであるのとか。
伊藤
そうそう! 
あれをかわいいと思ってしまう。
山川
伊藤さんの写真で見ると確かにかわいいんです。
伊藤
かわいいよね。
太田
でも同じ場所に行って自分が撮っても
別にかわいいものにならないから
ほんと不思議なんですよ。
伊藤
12月5日も、木が集まってる。
山川
こういうの見るたびに
「来た!」って私は思ってます。
太田
あはは。
「集合のやつだ!」って。
伊藤
あと11月19日の落ち葉とかね。
これも集合と言ってよいのかな。
落ち葉、毎年撮っちゃう。
太田
ありますね。モチーフとして。
伊藤
やっぱり季節がめぐる嬉しさなのかなあ。
あとやっぱりわたし、
自然のものってほんとにすごいなあと思っていて、
そういう気持ちからなのかな。
ただ、自然のものって、風景を撮っても、
見た以上にかわいく撮れないんですよ。
だからわりと寄っているのは、
そのほうがかわいいからなのかも。
太田
大事なコツ「寄る」。
伊藤
山の写真って「わ、きれい」と思って撮っても
それ以上にならないんです、わたしの場合は。
だから「寄る」。落ち葉とか。
山川
画面を落ち葉で埋め尽くして。
伊藤
そう。
落ち葉、10月21日にもありました。
伊藤
これはまだフレッシュな感じの落ち葉ですね。
太田
なるほど。
伊藤
10月19日も落ち葉“気味”の写真が。
山川
これかわいいですね。
伊藤
この写真は落ち葉があるとないで全然違うんですよ。
山川
スタイリングってことなんじゃない? これ。
太田
スタイリング道場だ!
山川
たまに伊藤さんがスタイリングのコツを
教えてくださる時間を
「スタイリング道場」と私たちは呼んでいます。
伊藤
これは「道場」入ってるかも。
ちょっと落ち葉をいい感じに置き変えましたから。
ちょっとどかしたり。
山川
へえー。そんなことまでしてくださって。
ありがとうございます。
伊藤
いえいえ、趣味なんです。
山川
すごいことです。
あと美味しそうなものがいっぱい。
太田
スープがお好きですよね、
季節のスープ。
伊藤
スープの写真ね。
おんなじようなね。
山川
おんなじじゃないかっていう疑惑が出るんです。
伊藤
「ここにもおんなじスープがある」。
太田
「あれ? このスープは玉ねぎ入ってる」とか。
伊藤
ローリエの位置とかも同じのがあったりして、
でも違う家だよこれとか言ってね。
山川
で、差し替えたらまた別のところで被っちゃったり。
伊藤
実は去年もこんなスープの写真ありましたとか。
じゃあ来年はスープやめようか。
太田
いやいや、撮ってください。
好きなモチーフです。
楽しい思い出でした。

毎日が誰かの誕生日

未分類

山川
最初の1年目は、
伊藤さんが撮りためた数年間の写真から
365日に使うものを選んだんですけれど、
何がすごいって、
そのあとは毎年撮れたての写真で
構成しているということです。
伊藤
最初は、翌年のことは全く考えずに、
かわいい写真を5年分、
さかのぼって選んだんだけど、
「あれ、もしかして来年もあるのかも‥‥」となり、
翌年から、1年で撮った写真を
使うようになりました。
山川
私たち伊藤さんに取材で同行するとき、
iPhoneで撮っている姿を見ると
「もしかして」って思います。
今、日めくりカレンダーのために撮ってるのかなって。
伊藤
カレンダーのためもあるんだけれど、
写真を撮るのすごく好きなんです。
山川
(シャッターを押すのに)
迷いがないですよね、いつも。
取材先でアトリエの様子を撮られたりとかする様子を
けっこう見るんですけど、めっちゃ速いんですよ。
ぶれないのが不思議なぐらいの速さで。
太田
スナイパーみたい。
伊藤
幸運なことにweeksdaysは
取材先の方々が皆さん、素敵なので、
「ちょっと撮らせてください」という感じで。
山川
そしてあらためて私たちからその写真を
「カレンダーに載せてもいいですか」と
取材をしたかたに問い合わせるんですよね。
その1年分のカレンダーの台割
(どの日にどの写真を載せるかの順番)を決めるのも、
実は伊藤さんが全部なさっているんですよ。
太田
同じような風景が続かないようにとか、
ちゃんと季節に合うように、
すごく考えてくださって。
伊藤
最初に、だいたい1ヶ月ごとに分けるんです。
みんながつくってくれた、これを。
太田
あ、写真を使用サイズにプリントして
1枚ずつ切ったものですね。
伊藤
そう。トランプみたいに
1月から12月に振り分けるのがスタート。
山川
まず振り分け作業。
伊藤
そう。それで、これもみんなにつくってもらった、
大きい月間カレンダーを床に拡げて、
1枚ずつ貼っていくんです。
気をつけているのは、
画角が一緒のものが続かないこと。
俯瞰が並ばないように、とか。
あと同じテーマが続かないように、
たとえば料理が並ばないようにとか、
撮影した場所が同じ国、同じ場所が続かないようにとか、
もし同じ場所で室内のものと外のものがあったら、
なるべく離して、それぞれ合う日を探すとか。
あと風合いかな。
硬いものと柔らかいもの、色のバランスですね。
「こんな感じ」みたいにササッと、1か月20分ぐらいで。
山川
すごい集中力!
太田
できないですよね‥‥。
伊藤
でもすごく集中してるから、
3ヶ月ぐらい続けると、
1回ソファーに横になったりするの。
しばらく休んで甘いもの食べたりお茶を飲んだりして、
よっしゃーってなって、また3ヶ月やってまた横たわる、
みたいなのを繰り返して、1日で全部レイアウトを決める。
山川
「できたよ」と持って来られるときは、
楽しそうな感じも伝わるんですけど、
この作業をしたら満身創痍なんだろうなって。
伊藤
楽しい作業ですよ。
写真を撮るのと同じぐらい楽しい。
山川
私たちも受け取るのを毎年楽しみにしています。
今、月曜日から土曜日の話を主にしたんですけど、
日曜日と祝日の写真は
weeksdaysの商品撮影のタイミングで、
写真家の有賀傑さんに撮っていただいたものを
使っているんですよね。
もちろん伊藤さんのスタイリングで。
伊藤
はい。商品の切り抜きの場合もあるし‥‥。
山川
伊藤さんが雑貨を集めてきてくださったり、
おうちから持って来てくださったものも。
伊藤
野菜とかもありますよね。
山川
そういうのが入ってるとちょっと嬉しいんです。
伊藤
うんうん。切り抜きっていうことで変化がつくのと、
有賀さんの写真の端正な感じが
週1回でも入るとキリッとする。
これはほんとに助かってます。
山川
めくって切り抜き写真が出てくると
「お休みだ!」って嬉しくなるんです。
伊藤
昨日この日めくりカレンダーの撮影があったんだけれど、
モデルを務めてくれた
蘭ちゃん(谷口蘭さん)がパラパラっと見て、
料理の写真を見て
「わぁ、これおいしそう」と、喜んでくれて。
美味しくてかわいいものって
こんなふうに人を喜ばせる力があるんだなあと。
山川
嬉しかったですね。
伊藤
蘭ちゃんは初見だったわけで、
初めて見る人があんなふうに喜んでくれ、
ワクワクしてくれる姿ってすごいと思って。
つくってよかったなあ。
山川
目の当たりにしましたね。
これってweeksdaysで売っている商品の中で
たぶん一番たくさん作っている印刷物なので、
インスタとかにもけっこう出て来るんです。
それを見ると、
皆さんがこんな気持ちで使ってくださってるんだと、
すごく嬉しくなるんです。
伊藤
カレンダーって自分と共に1年を過ごすわけでしょう。
それにこれを選んでくれるっていうことが
すごいと思っているんです。
山川
責任重大!
伊藤
だから抜かりなくやりたい。
みんなまず自分の誕生日から見るんですよね。
ということは毎日が誰かの誕生日だから、
すべての日にいい写真を入れたいな。
太田
私も毎年誕生日を楽しみにしてます。
伊藤
あ、ほんとに? 
わたし、自分の誕生日の写真、覚えてない。
太田
あはは。
伊藤
2月9日は‥‥。
太田
かわいい子です。
かわいいワンちゃん。
伊藤
パリで撮った1コマですね。
山川
太田さんは?
太田
8月27日なんですけど、
重ねたお皿の写真です。
山川
これいいものじゃないですか。
骨董みたいな。
伊藤
はい。
太田
路子さんは?
山川
私は10月29日なんですけど、
これは私たちの思い出の、
大好きなイタリア料理店のメニューの黒板です。
めっちゃ嬉しい。
伊藤
全部イタリア人のマダムが書いてるんだって。
山川
メニューの一部分を
こんなふうに写真に撮るってすごくないですか。
太田
ほんとそうなんですよ。
こうやって撮るんだっていう
お手本になります。
山川
撮影のヒントがいっぱい。
だから写真集みたいに楽しめますよね。
6月17日は、商品開発で使う布の色見本なんですが、
これをこんなふうにかわいく撮れますか? って。
伊藤
これはfog linen workに打合せに行ったときに、
ちょうどインドから色見本を
持って来てくださってる方がいらして、
「かわいい。撮らせてください」って。
黄色のバリエーションを撮りました。
太田
私だったらメモとして撮ることしか
考えられないような素材なんですけど、
こんなに素敵な形で撮れるなんて。
伊藤
これを撮ったときは下に見えている
テーブルの感じや光がよかったんだと思います。
それがレンズを向ける動機になったんじゃないかな。
太田
なるほど。すごいですね。

暮らしの中に句読点が打てるよ

未分類

山川
weeeksdaysの日めくりカレンダーは
2026年版で4年目を迎えます。
そもそも、日めくりカレンダーのきっかけは
太田さんでしたよね。あの時は‥‥。
太田
確かコロナ禍で、みんなリモートワーク。
毎週の定例ミーティングも自宅からオンラインで、
「みんな家から参加してるなら、
家にあるものでお気に入りのものが見たい」
という話になったんですよ。
伊藤
「いま後ろに映ってるの何?」
とかそういう感じでしたよね。
太田
そうなんです。
私は日めくりカレンダーがすごく好きなんですが、
コロナ禍のときに使っていた日めくりカレンダーが、
イラストがぜんぜん好きになれなくて、
めくるたびに悲しい気持ちになっていたんですよ。
そしたら伊藤さんが
「そんなカレンダー捨てちゃいなさい」。
‥‥「捨てちゃいなさい」なんて言われたことなかった。
山川
あはははは! そうでしたね!
伊藤
だって、毎日めくるのが楽しいのが
日めくりカレンダーなのに、
悲しい気持ちになるなんて。
太田
「次の日は好きなイラストかもしれない」
って思いながら、使い続けていたんです。
伊藤
なるほど。
太田
ただもうあの時点では
「もう、めくっても出会えない」とわかって、
悲しいなって思って、
それはもうさよならをしました。
伊藤
ふふふ。
太田
あれは本当に私を思って
言ってくださったんだなと今でも覚えております。
山川
そうですよ。
そんな気持ちになってもめくり続けるって、
すごいなあって。
伊藤
それはすごいよね。
日めくりの魅力ってなんですか。
太田
特にコロナのときは
一日いちにちの区切りがついてるかついてないか、
わからないような日々を暮らしていたので、
めくったら「新しい日になった」という、
気持ちが変わる感じが好きだったんです。
いまも区切りみたいな気持ちでめくっています。
伊藤
確かにね。
山川
暮らしの中に句読点が打てるよ、みたいな。
新しい一日が始まったと、
ペリッてめくる気持ちよさが好きなんですね。
太田
そうなんです。朝目が覚めたらまず
カーテンを開けるように、日めくりをめくる。
そういう感じです。
伊藤
お白湯を飲むみたいな?
太田
お白湯! さすが‥‥。
伊藤
瞑想するとか? ふふ。
太田
私、そんな暮らしじゃないですよ~。
やめてください~。
山川
おもしろがられてる。
伊藤
太田さんのイメージを私が勝手に作り上げて。
山川
でも太田さんはね、そういう人なんですよ。
きっちりしてるんですよ。
太田
違います。きっちりはしてないんです。
でもそのときは、ちょっとワクワクするものとか
かわいいものが欲しいなって思っていて、
しかもそれまでつくっていた
「暦帖」を翌年はやめるという話が出ていて。
でもカレンダー的なものは続けたほうがいいんじゃないか、
今までのものとは違うやり方でいいから、
という意見が出て。
そこでたとえば日めくりとか‥‥、という話にもなり、
そのときはアイデアだけで終わっていたんですけど、
数日したら伊藤さんが「つくりました」って。
山川
お嬢さんの胡春さんと一緒に
日めくりカレンダーのモックを作ってくださって、
それを動画に撮って送ってくださったんですよ。
伊藤
まったく覚えてないけど、そうなんだ?
太田
そうなんです。
それが1日1枚の写真が入っているものでした。
それを見て路子さんと
「もうこれはできちゃうね」と確信を得て。
伊藤さんはスマートフォンに
撮りためてらっしゃるお写真もあるし、
過去数年ぶんをさかのぼって探してもいいんだし、
きっとできるんじゃないかって言って
スタートした気がします。
伊藤
わたしがつくったモックは、
今の日めくりと似た感じだった?
太田
原点というか、ほとんど変わってないです。
山川
サイズをちょっと調整したりはしましたね。
写真は正方形にするのか、ちょっと縦長にするのかとか、
そういうデザインのサンプルをいくつかつくりましたけど、
わりとすぐに決まって。
太田
文字の入り方とかも最初にいただいたモックが
ほぼこういう感じだったような。
伊藤
そうか。私が正方形の写真がすごく好きで。
インスタもそうですけど、
ふだんから正方形に画角を決めるのに慣れているので、
それで行ったらいいんじゃないかと思ったんですよね。
山川
そうなんですよね。伊藤さんが撮った写真は
全部iPhoneなのでディスプレイは長方形なんですが、
撮ったときにすでに
正方形のトリミングをするイメージがあるとおっしゃって。
伊藤
ちょっと迷ったときは、
デザインをするときに調整できるように、
引きで(広めに)撮るんです。
でもまあだいたいこれって決めてますね。
山川
これはもう、伊藤さんだから成せる技です。
太田
ほんとですよね。
伊藤
そうかなあ。でもみんな今、
インスタで撮ってるでしょう? 
その延長ですよ。

歩調をゆるめて 

未分類

「コスパがいい」という言葉を初めて聞いた時、
ほほぅなるほどねぇ、
なんて思ったものだけれど、
最近では「タイパ(タイムパフォーマンス)」
なんて言葉も耳にする。

みんながスマートフォンを持ち歩き、
SNSが当たり前になってきた今、
私は思うんです。

世の中は、
便利になってきているのに、
なぜみんな前よりもっと忙しくなっているんだろう? 
時間に対して、
もっとおおらかになってもいいんじゃないか、
と。

そんなことを考えている時に読んだのが、
ミヒャエル・エンデの『モモ』。

その中の一節にこんなことが書かれていました。

これまで、ますますおおぜいの人たちが、あらゆる方法でたえず時間を倹約するようになってきたんだが、それなのに時間はますます少なくなってきている。

出典: ミヒャエル・エンデ『モモ』(大島かおり訳)岩波書店(岩波少年文庫), 2005年

それは「時間どろぼう」のしわざなのだと。

この物語が書かれたのは、
1973年。
その半世紀後にエンデは、
今のこの世の中がこんな風になっているとは、
きっと想像もできなかったに違いない。

今週のweeksdaysは、
日めくりカレンダー。

少し歩調をゆるめて、
1日1日を大切に。
時間どろぼうにご注意あれ。

身体が変わってきたときに

未分類

伊藤
洋服を選ぶときって、
「これが着たい」というだけで
デザインや素材を選べますけど、
下着ってそういうわけにいかないですよね。
惠谷
ええ。
フィット感が大事なんだけど、
それを重視して選ぶとおしゃれじゃなかったり、
反対にデザインが好きで選ぶと、
着心地がよくなかったりして、ね。
伊藤
そうそう、
そうなんです。
惠谷
今回のショートブラキャミをつくるときも、
背中を広く開けると肩紐が落ちやすいとか、
バストの開きを広く取ると
前かがみになったときに
胸と脇の間のお肉が引っかかっちゃうとか、
形を変えると着心地も変わってきますから、
心地よく着られるように
細かいところを調整しました。
伊藤
だからきれいに見えるし、
着心地もいいんですね。
惠谷
それとは別に、
身体のほうも変わってくるということがありますよね。
年齢を重ねると筋肉量が減って、
肉質がやわらかくなるし、
若い頃とはつき方も違う。
下着はとくに、
そのあたりのバランスも考えて
つくらなくちゃいけないものだなと感じます。
伊藤
じゃあ、太香子さんご自身も、
年齢によって下着に対するつくり方や考え方が
変わられたんでしょうか。
惠谷
そうですね。
パリのオペラ座衣装室で仕事をしていた頃は、
ヨーロッパにはレース1枚でつくられた
ブラも多かったので、
素敵だなぁと感じていたんですけど、
年齢とともに体型が変化したことで、
「体をきれいに見せるための下着のありかた」
に対する意識も変わってきた気がします。
たとえばバストアップしたいときは、
背中にお肉が流れないように
サイドを上げなきゃいけないとか。
伊藤
うんうん、体型は変わりますよね。
びっくりするくらい! 
惠谷
素敵だなと思って買ったブラも、
つけたら背中に段ができたりして
合わなくなってきたので、
お別れを告げました。
「さようなら、ありがとう。1回も着てないけど」
と(笑)。
そんなことも経験したので、
自分でつくるときも、
パターンやつくり方が変わりましたね。
伊藤
そういうところまで考えられた上の、
このブラキャミなんですね。
わたしにとっては、
太香子さんはちょっと先輩ですから、
「先を歩く人がつくってくれるもの」
は納得がいくし、
すごく助かっているんです。
惠谷
それは私もうれしいです。
パジャマや部屋着も、
選ぶ素材が変わりましたね。
シルクのパジャマもそうでしたけれど、
最近は天然素材ばかり選んでいます。
伊藤
今のわたしたちにとって、
それが自分にやさしいし、
気持ちいいんですよね。
惠谷
手頃なものもたくさんあるから、
天然素材って高く感じてしまうんですけど、
心地いいものって、
結局そればっかり着ちゃうから、
日割りで計算すると実は安上がりだったり(笑)。
伊藤
洗っては着て、みたいな。
惠谷
そうそう。
このブラキャミも、
こうやってクルクルっとすれば小さくなりますから、
出張にも連れていけますよ。
伊藤
ああ、
そうやってたたむといいんですね。 
惠谷
はい。
こうするとカップもつぶれません。
伊藤
自宅でチェストに入れるときは、
広げてしまったほうがいいですか。
惠谷
巻いても大丈夫ですよ。
それこそ、今流行りの「スぺパ」というんですか? 
スペースパフォーマンスがいい収納方法だと思います。
伊藤
カップが内蔵されてるのもいいですよね。
わたし、中に挟むタイプのものだと、
洗濯したときにどうしても‥‥。
惠谷
どっかいっちゃうでしょう(笑)。
伊藤
そうなんです! 
その心配もないからありがたいなって。
惠谷
カップの裏側は綿になってるので、
汗もちゃんと吸ってくれますよ。
伊藤
「weeksdays」チームのデザイナーも、
バックシャンブラキャミ
「毎日着ています」って言ってましたから、
ショート丈もよろこぶと思います。
惠谷
このブラキャミの縫製工場で
生産を担当してくださっている方も、
「毎日着てるから、
身体がcohanのブラキャミ専用になってます」
って言ってました。
伊藤
身体の方が? 
ふふふ。
惠谷
ブラキャミでないと落ち着かないんでしょうね。
私自身も、
最近は楽をしてきれいに見えるようなものばかり
つくってるんです。
素材のパワーでお腹やおしりをキュッと整える、
シークレットインナーとか。
伊藤
それはすごい! 
気になります。
惠谷
あらっ。つくります?  
その素材ならスルッと穿けて、
引っ込んだお肉はどこいっちゃったんだろう
って感じなんですよ。
伊藤
ありがとうございます。
ぜひまたご相談させてください。
ふふふ。
惠谷
もちろんです。
またお話ししましょうね。
ありがとうございました!

プロの仕事

未分類

伊藤
太香子さん、
今回も素敵なものをつくっていただいて
ありがとうございます。
惠谷
こちらこそです。
「ブラキャミの短いバージョンが欲しい」
とご依頼をいただいて。
伊藤
そうなんです。
weeksdaysでも大人気の
シームレスバックシャンブラキャミがほんとうによくて、
毎日でも着たいところなんですけど、
最近、夏がものすごく暑いので、
ショート丈にしてほしいと
お願いをさせてもらいました。
惠谷
たしかに、アンダーバストから下はないほうが、
ちょっとの違いでも涼しいですよね。
今年は去年よりもっと暑いですし。
伊藤
ほんと、どうしましょう。
惠谷
若い頃から、ものづくりの現場では、
「季節や天候に左右される服はつくっちゃだめだ」
「通年着られる、定番をつくってほしい」
ということを言われてきたんです。
私たちが20代のときは今ほど暑くなかったし、
10月になったら涼しくなっていたので、
定番をつくることを優先していたんですよ。
でも最近は気候自体が変わってきちゃったでしょう。
だからやっぱり、季節や天候に合わせて、
少しでも涼しいものを‥‥と思います。
伊藤
ぜひつくってほしいです! 
気温が高い時期、長いですもの。
惠谷
11月の頭くらいまで暑い日がありますしね。
この暑い秋を、
どう乗り越えるかということを
考えながらつくらないといけないなと感じます。
伊藤
「暑い秋」、
ほんとうにそうですよね。
惠谷
そしてその秋が終わったら、
急に冬になる感じでしょう。
寒い時期が短くて、3月くらいにはもう暖かい。
だから服も、
「春・夏・秋物」と「冬物」の
2パターンみたいになってきてますよね。
伊藤
たしかに。
そう考えると、
このショート丈のブラキャミは、
「春・夏・秋」にぴったりですね!
伊藤
このブラキャミ、
ブラよりも少し長い、絶妙な丈ですよね。
どういうことを考えて決められたんでしょう。
惠谷
胸の下で、
体のラインがちょうど細くなってる部分がありますよね。
ここで留まるようにつくりました。
伊藤
ウエストではなくて? 
惠谷
ウエストよりも少し上、
アンダーバストより少し下です。
というのも、
ブラトップの下のラインが上がりすぎると、
お腹と脇が締めつけられて、
段ができてしまうんですけど、
これだと圧迫感がないので段もできず、
すっきり、きれいに着られます。
伊藤
なるほど。
上から薄めのトップスを着ても
段が見えなくて安心ですね。
惠谷
背中側も食い込まないですし、
開きも、
うつくしく見えるラインにしています。
前はハートカットになっているから、
デコルテの見え方もちょうどいい感じかなと。
伊藤
うん、とってもきれいです。
背中のラインは、
シームレスバックシャンブラキャミと同じですか。
惠谷
はい、上のラインのカーブは同じです。
ただ、肩紐の位置は、
丈を短くしたぶん、
シームレスバックシャンブラキャミよりも
1cmくらい内側に入れています。
伊藤
えっ。
肩紐の位置が変わった? 
惠谷
はい。
丈が長いときは、
生地が身体にぴたりと沿うことで
フィットするんですけど、
これは身生地(みきじ)の丈が短いので、
落ちてきやすいんですね。
だからそのぶん、
肩紐を内側に寄せて、身幅も狭くすることで
ズレにくいように調整しているんです。
2つを重ねてみるとわかりやすいんですけど。
伊藤
ほんとうだー! 
ただ単に丈を短くしただけじゃないんですね。
惠谷
もっとタイトなつくりなら
紐の位置を変えなくても留まるんですけど、
これはリラックス感のある着心地なので、
形を変えずに丈だけを短くすると、
落ちてきやすくなるんですね。
そんなふうに、
丈によってバランスを変えています。
伊藤
じゃあ、丈が長いバックシャンブラキャミの
肩紐を外側にしているのは、
もしかして背中を広く見せるためですか。
惠谷
ええ。
そのほうが、背中のラインがきれいでしょう。
伊藤
すごい(拍手)! 
まさにプロのお仕事ですね。
その、
「こんなときはこうする」みたいなことって、
長年培われてきた技術なんでしょうか。
惠谷
そうですねぇ‥‥そうかもしれません。
背中のラインも1cmくらい上げてるんですけど、
そんなに上がったようには見えないと思います。
伊藤
あ、後ろの幅も少し変えられてるんですね。
こうして見ると、
たしかに安定感がある気がします。
惠谷
そう、リラックス感のある着心地にするために、
アンダーはきつくしていないんですけど、
そのぶん肩回りのフィット感が出るようにしているんです。
布の部分は360度伸びる素材なので、
胸がカップに合う方は、
ぴったり着られていいと思いますよ。
ただ、カップ自体は伸縮しないので、
かなりボリュームのある方は、
収まりきらないかもしれないです。
伊藤
カップの部分はそうなりますよね。
でもほんとに伸びがいい素材なんですね。
惠谷
この、脇に縫い目のない「丸胴」という成形は
市場にもいろんなものが出ていて、
パットが取り外しできる、
タンクトップ型が多いですよね。
中でもこれは、
着たときにすっきり見える形かなと思います。
伊藤
とくに下着は肌に直接当たるものだから、
ショーツもふくめて、
シームレスなのはうれしいです。
惠谷
縫い目があるものだと、
糸の部分がかゆくなっちゃったりしますものね。
これは肌あたりがヌーディーで素肌にやさしく、
ストレスフリーですから、
気持ちよく着ていただけると思いますよ。

旅のおともに

未分類

7月のおわり頃からゆるやかに夏休みに入っています。

今年の夏はこれといった旅の予定もなく、
自宅と山荘を行ったり来たり。

山荘で過ごす毎日は、
かなりのんびりしていて、
とくに予定も立てず、
朝起きると、
今日は何をしようかなぁ‥‥
とぼんやり考え、
気がつくと、あれ夕方になっちゃった、
なんて日もあり。
「なんにもしない」を、
たのしんでいます。

そうそう、
この行ったり来たり生活で、
旅支度が数段はやくなりました。

基本は、
旅の日数×ワンピースと下着。
今回は5日だから、
ワンピースが5枚と下着が5セット。
あとはメイクし終わったら、
使ったものをポイポイとメイクボックスに入れていけば、
準備は完了。
これなら10分もかからないんです。

旅のおともは、
cohanのブラキャミとショーツ。
セットでそろえれば気分も上がる。
ブラキャミはショート丈が、
新しく仲間にくわわりましたよ。
どうぞおたのしみに。

再入荷のおしらせ

未分類

完売しておりましたアイテムの、再入荷のおしらせです。
8月28日(木)午前11時より、以下の商品について、
「weeksdays」にて追加販売をおこないます。

cohan 
シームレスショーツ
ブラック、モカ、グレージュ

▶︎商品詳細ページへ

お腹とおしりをすっぽり包んでくれる、
身につけていてとても安心感のある形です。
また、しゃがんだり座ったりの動作がとても楽。
よく考えられて作られているなぁと
履くたびに感心します。
色はブラック、モカ、グレージュの3色。
「これでないと!」と、何度もリピートするファンも多い、
ショーツです。
ショートブラキャミと合わせてどうぞ。
(伊藤まさこさん)


cohan 
リネンのフリルキャミソール
ブラック

▶︎商品詳細ページへ

さらりとした着心地にくわえて、
速乾性があり、
見た目にも涼しげなリネン。
夏にぴったりの素材です。

一見、シンプルなキャミソールですが、
裾の部分にフリルをあしらったことで、
ぐっとかわいらしくなりました。
でもただの「かわいい」ではなく、
「大人っぽい」ところがいいんです。
部屋着はもちろん、カーディガンを羽織って、
デニムを穿いて‥‥
と着こなしによって外にも着ていける。
ドロワースとお揃いで着ても、
すてきです。
(伊藤まさこさん)


cohan 
リネンのフリルドロワース
ブラック

▶︎商品詳細ページへ

キャミソールと合わせて穿きたい、
ドロワース。
さらりとしていて、涼しく、
履き心地は抜群。
この夏は家でこればかり着そうな予感‥‥。

また、ロング丈のワンピースと合わせて、
フリル部分をチラリと見せても。
軽やかなので、夏の重ね着ができるんです。

薄地なため、
ベージュのペチパンツなどを合わせて。
(伊藤まさこさん)

「手」で考える

未分類

伊藤
はじめて革小物をつくったはいいけれど、
それを広めて販売につなげるためには、
また別のアイデアが要りますよね。
どんなことをなさっていたんですか。
i ro se
当時、同世代のブランドがいっぱいできた時期で、
友だちが展示会をするんですよ。
その一画を借りて出展していました。
一件だけ引き合いがあって、
「やった、食いつなげた!」って。
伊藤
なるほど。その次はどんなものを?
i ro se
紙袋っぽいバッグでした。
伊藤
i ro seのおふたりは、
ものづくりの発想がとても面白いと感じるんです。
トタンの形状を模したものとか、ありますよね。
いったいどういうところからそんな着想を?
i ro se
机上で考えることが多いですよ。
あとは材料を知って、使えるかな、って。
たとえば革屋さんに行くといろいろ革があるんですけど、
その中に皺くちゃの紙みたいな革があって、
これを使って何かできないかな、って。
それはすごく景気がいい時代に、
実験的につくったものだったらしいんですが、
すごく面白いなと思って、
その材料からイメージを膨らませたりしました。
それから、ペーパーナプキンと同じ発想で、
ものの構造から「なにか面白い形ができないかな」
って、いじりながらつくっていくこともあります。
あるいは「螺旋(らせん)ってかっこいいな」という
ワードから発想をしていくことも。
そして、材料をいじっていると、
好きな形と、道具としての用途が
ぴったり合致するときがあって、
そうやって製品が出来上がっていくことが多いですね。
ちなみに、二人とも、スケッチをしないんですよ。
デザイン画ではなく手でつくる。
伊藤
ということは、お互いに現物を見ながら
「あ、いいね!」あるいは「え、それ?」みたいな
やりとりをなさっていくんですか。
ひとりだけの視点じゃなくて。
i ro se
ええ、お互いの反応を見ながら。
伊藤
きっと、とても仲がよいんでしょうね。
素敵なことだと思います。
そうして22年続けてこられたって、すばらしいです。
おふたりがつくられるものは、
基本的に用途があると思うんですが、
オブジェ的なものは?
i ro se
最近たまにつくってます。
でもオブジェってなると、
まだちょっとピンときてないところがあって。
やっぱりひとつでも
用途があるとつくりやすいんでしょうね。
「お題がもらえる」というか‥‥。
オブジェだとちょっとふわふわし過ぎちゃって、
着地点がまだちょっとわかっていません。
伊藤
なるほど。逆にお客様から
「こんなのつくってほしい」というリクエストは。
i ro se
IDケースとか、よく言われるんですが、
自分たちが使っていないものって難しいです。
腑に落ちるまでに時間がかかる。
スマホケースもリクエストが多く、
つくっていたこともあるんですが、
毎年、スマホのサイズや厚みが変わったりして、
なるべく廃棄をしたくないと思うと
「i ro se」には向いていないのかなって。
伊藤
ブランドって、年に1、2回、
新作発表会をしますよね。
そのスケジュールに合わせて物づくりをしますが、
i ro seでは‥‥?
i ro se
最初の10年はがんばって
シーズンに合わせた新作を発表していました。
いまも半年に一度、展示会を開きますが、
必ず新作があるというわけじゃないんです。
最初は、つくりたかったら売らなければ
次の運転資金ができないぞ、
だから新作に挑戦するぞと思っていたんですが、
性格上、疲れてしまって。
そんななかで、ライフスタイルショップという
お店の形態が拡がっていく中で、
小物が売れ始めて、
無理せずとも運営できるかたちになっていきました。
2010年を過ぎていた頃だと思いますが、
お財布をつくりだしてから変わったように思います。
伊藤
それは「欲しいお財布がない」、
というとこから始まったんでしょうか。
i ro se
いや、そんな感じでもないんです。
なんだっけな‥‥、そうそう、形からでしたね。
たとえばこの「FOLD」っていうシリーズは、
円を重ねてなにかできないかなあと思って、
紙でいろいろ切って貼って試したんです。
そしたらバッグじゃなくて、
コイン、カード、お札を別々に入れられる、
理にかなったデザインと造形ができたんです。
これをつくりだしたら、他になかったからでしょうか、
売れていったという実感があります。
当時は皆さん、ブランドもののお財布を
使ってる方が多かった中で。


伊藤
性別も問わず、のデザインですものね。
ところで、今回「weeksdays」でご一緒する
ミニウォレット誕生のきっかけは
どんなことだったんでしょうか。
i ro se
この「SEAMLESS」(シームレス)というのは
一枚の革を縫製せずに
折り込んで組み立てるというつくりで、
長くシリーズ化しているものです。
キーホルダー、ブックカバー、メガネケース、バッグなど
いろんなアイテムを展開しています。
このシリーズがうまれたきっかけは、
バッグやお財布をつくる革の職人さんが
高齢化でだんだんいなくなっちゃって、
自分たちでもつくれるものを考えないと
この先ちょっと怖いなあ、と思ったことでした。
そしてこのシリーズは、
友人の結婚パーティで引き出物のカードケースを頼まれて
つくったのが最初でしたね。
伊藤
スマホの出現で、
わたしはお財布がどんどん小さくなったんですが、
カードや小銭はまだ必要。
以前は名刺ケースをミニウォレット代わりにして、
小銭をなるべく使わない生活をしてみたんですが、
駐車場のお金を払うときとか、
やっぱり、小銭って必要なんですよ。
それで、せっかく持つのなら「かわいいものにしたい」と。
これまで黒など無難な色を選びがちだったんですけど、
バッグの内側って黒とかネイビーが多くて、
黒くて小さなお財布は、一瞬、行方不明になるんです。
使う時に「ない?!」と慌てたりして‥‥。
だから今回、お願いできてよかったです。
i ro se
ありがとうございます。
これ、使い方もいろいろです。
お財布にされてる方はもちろん、
カードケースや名刺入れにしますという方もいます。
ぜひ、楽しんで使っていただけたらと思います。
伊藤
はい、ありがとうございました!

兄と弟の共同作業で

未分類

伊藤
こんにちは、このたびはありがとうございます。
まず、i ro seの成り立ちから
うかがってもいいですか? 
i ro se
はい。i ro seは、
兄弟ふたりで、2003年に始めたブランドです。
ことしで22年目になります。
伊藤
おふたりとも、手を動かして?
i ro se
デザインとブランドの監修はふたりでしていますが、
制作は主に弟が担当し、
兄が写真を撮ってウェブサイトなどの
グラフィックデザインをする、というような分担ですね。
つくり手はもうふたりいて、
チーム全体だと6人体制です。
伊藤
コンパクトなチームなんですね。
i ro se
はい、自給自足、みたいな感じですよ。
伊藤
どんなきっかけで、ご兄弟で起業を?
i ro se
小さな頃から、あんまりおもちゃが家になかったので、
手づくりをしていたんです。
テレビもあまり見ない家でしたし、
おもちゃを与えないのは、
親の方針だったんでしょうね。
でもふたりとも、もともと、つくることが好きで、
母が工作用にとっておいてくれる
発泡スチロールのお皿や厚紙、段ボール、
トイレットペーパーの芯を使って
おもちゃをつくっていたんです。
伊藤
そんな幼少時代だったんですね。
それで、おふたりとも、ものをつくる道に進まれて?
i ro se
高校を出て、服飾系の専門学校に進みました。
というのも、高校生くらいから
キラキラしたものに惹かれていって、
洋服がとても好きになったんです。
たぶん親が買ってくれる服が地味だったことへの
反動だったんだと思いますけれど。
伊藤
ご両親は、お洋服にも
ストイックな感じだったんですね。
でも、進路には意見なさらなかった?
i ro se
そうなんです。そこは尊重してくれました。
それで、兄は洋服作りをする服飾科、
弟は同じ学校の工芸科に進みました。
そのうち、兄のほうも、洋服をつくる勉強をしながら、
空いている時間に趣味でバッグをつくりはじめて。
「工芸科、いいなぁ」なんて。
伊藤
わたしもおなじです(笑)。
やはり学校で洋服作りを学んだんですが、
入ってから工芸っていいなぁ、と思いました。
それにしても洋服づくりの勉強って、
課題がたいへんだったでしょう? 
i ro se
バイトもできないくらいの課題が出ますよね。
伊藤
さらに趣味でバッグをつくるなんて、すごいです。
その時から革を使っていたんですか。
i ro se
革でしたね。
伊藤
そのときからおふたりとも、
今の仕事を目指していたんでしょうか。
ぼんやりとでも「いつか」が、あったとか?
i ro se
それが、とくになくて。
何も考えていなかった、というのが
正直なところなんです。
伊藤
そのときにつくったものって、
今見ても同じだなって思いますか。
i ro se
いや、そのときはデザイン性のあるものは
とくにつくっていなかったんです。
「あれがほしいけど、買えないからつくろう」
というのが動機だっと思います。
洋服と同じで、当時流行り始めたマウンテンパーカを
「かっこいいけどあまり種類がないし、
あっても高くて買えないから、
いっそつくっちゃおう」みたいなことですよ。
伊藤
学校で学ぶってすごいですよね。
それまで何にもできなかったのに、
パターンが引けるようになって、
洋服がつくれるようになる。
伊藤
学校を出られてから、
ブランド設立に至るまでは、
どんな感じだったんですか。
i ro se
卒業後、兄はバイト生活をしながら
小物づくりを続け、
弟はバッグメーカーに就職して
サンプルをつくる仕事をしていました。
デザイナーがつくったデザイン画から、
工場で生産するためのサンプルをつくる仕事です。
将来のことは何も考えずにいたんですが、
その後、それとなく
兄と弟で一緒にやろう、という話になったんです。
伊藤
いちばん最初に二人でつくったもの、覚えていますか。
i ro se
風呂敷みたいな布を正方形に折り込んでいった
折り紙のバッグをつくりました。
その発想の元は、兄のほうが
インド料理屋でバイトをしていて、
テーブルナプキンを折るときに、
「これで何かにならないものかなあ」
と考えていたことなんです。
伊藤
今のお仕事に通じていますね!
i ro se
それで「これ、いけるかも」と。

お財布は小さく、かわいく

未分類

つねづね荷物を少なくしたいと思っているから、
お財布は小さいものがいい。

小銭は持たず、
カードケースにお札だけ入れていたこともあったけれど、
あるのですよね、
小銭がどうしても必要な時って。

だから、
ずっと探していたんです。

小銭やお札と一緒に、
カードや診察券なんかも入れられて、
見た目にかわいく(ここ重要)、
使っているとうれしい、
そんなお財布を。

あともうひとつ欲を言うならば、
バッグの中で迷子にならない色がいい。
バッグに同化して、
あれ、ない、ないっ! 
なーんて、レジで焦ったことありませんか?

今週のweeksdaysは、
i ro seのミニウォレット。

縫い目のないこのウォレットを見ていると、
子どもの頃、
気に入りの包装紙で封筒を手作りしたことを思い出す。
ちょっと懐かしい気持ちになる形なんです。

小ひきだし、わたしの使い方 山荘編 伊藤まさこ

未分類

weeksdaysの小ひきだし、
私はふたつ持っていて、
東京の自宅には文房具や名刺など、
仕事まわりのあれこれを。

もうひとつは、
軽井沢の山荘のキッチンで使っています。

ダイニングテーブルも兼ねている、
このキッチン。
すっきり見せたいので、
表にはなにも出さないようにしています。

裏から見るとこんな風。
IHコンロの下に小ひきだしを置いて、
こまごましたものを収納しています。

じつはここ、当初はひきだしを
作ろうかと思っていたのですが、
この家で過ごすにあたり、
なにがどれくらい必要なのかを
最初から決められず、
ひとまず大工さんに稼働できる棚板を
つけてもらったのでした。

稼働棚はシンク下にも(その右は食洗機、左は冷蔵庫)。
ここにはゴミ(ゴミ箱も決めかねているので、
ゴミ袋をそのまま置いている)や、
洗剤、ケトルや浄水器を。

「ひきだしはひとまずいらない」と思ったのですが、
やはりひきだしがないと少々不便。
そこで白羽の矢が立ったのが小ひきだし。

一番上のひきだしに入れているのは、
包丁、キッチンバサミ、ピーラー、おたま。

2段目には、ワインオープナーと
取り分けスプーンを兼ねたおたまと、菜箸を。

3段目は、2人分のカトラリー。
お箸はweeksdaysで扱っている黒檀のもの、
カトラリーはイイホシユミコさんのサイトで見つけた、
イギリスのステンレスのものを。
これ、食洗機にも気兼ねなく入れられて重宝しています。

4段目はキッチン用品ではなく、
懐中電灯や爪切り、体温計、
温度計、ペンや着火器具など、
身の回りのものを。

「包丁は一番上の右」とか、
「ケーキフォークは3段目の一番左」などと、
覚えておくと、
私以外のだれかがキッチンに立った時にも伝えやすい。

何がどこにあるかを、
分かりやすくするためには、
同じアイテムでも厳選して、
とにかくごちゃごちゃものを入れないこと! 

じつはカトラリーや菜箸は
予備があるのですが、
それらはキッチン裏の棚に入れています。
足りない時は、そこから持ってくるのですが、
今のところ、この小ひきだしの中で充分。
つまりこの小ひきだしの中に入っているのは
「一軍」というわけ。

自分の気に入りだけが入った棚は、
開けるたびに気持ちがいい。

「部屋だけでなく、
ひきだしの中もきれいに」
これが私の暮らしの中の小さな決めごとになっています。

片づけ上手になろう

未分類

「掃除」と「片づけ」は、
同じ括りと思われることがあるけれど、
私はまったく別、と思ってる。

どちらもしなくていいのならば、
(それで美しい部屋が保てるのなら)
できればしたくない、
そう思うのは私だけではないはず(だよね?)。

でも、
日々、生活をしていると掃除はさけられない。
だったら、
片づけだけはしないでいいようにすればいいのではないか?
‥‥そう考えた結果、
「ものの場所を決めて、
出したらそこに戻す」
ということに落ち着いたのでした。

片づけ下手な人を見ていると、
いつも何かを探してる。
さんざん探したあげくに見つからなくて、
同じものを買い、
しばらくして見つかる‥‥
なんてことになったりして。

あるべき場所にものを置いておいたら、
探す時間も省けるし、
ムダな買いものをすることもなし。
片づいていると掃除もしやすい、
と、いいことばかりではありませんか。

今週のweeksdaysは、
杉工場の小ひきだし。

眼鏡に充電器、クリップ、
万年筆のインク、メモ、ペン‥‥
こまごましたものを入れておけば、
すっきり。
気持ちもさっぱり。

weeksdaysで大人気のアイテムです。

「嫌じゃない」が大事

未分類

伊藤
試作を重ねてスタートした「余[yo]」ですが、
この形が出来上がったのは何年前のことなんですか。
高柳
2019年ですから、6年前です。
最初、僕の友だちがサロンで使ってくれて、
カフェを併設しているので遊びに行ったら、
従業員の方に「潤さんですよね? 
本当にありがとうございます」って言われたんです。
いままで辛かったシャンプーが楽しくなったって。
手が荒れてすごくしみてたんだそうです。
「本当にありがとうございます」ってお礼を言われて、
よかったなと思いました。
伊藤
手を酷使する美容師さんからの言葉、
嬉しいですね。
高柳
そうなんですよ。ちょっと高いと思われるかも
しれないんですけど。
伊藤
おいくらでしたっけ?
高柳
ひとつ4180円。
でも結構もつんです、
オーガニックなものにしては泡立ちもいい。
伊藤
そうそう、泡立ちがよくて滑らかになりますね。
わたしも肌が弱いから、痒くなったりするんですが、
これだと大丈夫なんです。
高柳
値段以上の良さというか、使ってもらうとわかるので、
一度手に取ってもらいたいし、
3か月とか使っていくと、より、わかっていく。
シリコン系で慣れちゃっていると、
最初は違和感があるかもしれないんですが。
伊藤
ずっとそれを使ってた人にとっては、
変化そのものが違和感ですからね。
でも、わたしのまわりでも、
じわじわと評判が広がっていった印象があります。
派手な宣伝をなさらなかったのに。
高柳
そうですね。
サロンにいらしているお客様の口コミや、
雑誌などで取り上げていただくことで
認知が深まっていきました。
伊藤
使うと良さがわかるんです。
高柳
「嫌じゃない」んですよ。
伊藤
そう! 以前のものをやめたことで、
「余[yo]」の良さがわかったという声も多いんです。
それ、すごくよくわかります。
「いままで、そうだったんだ!」って。
高柳
「今までのものをやめるとわかる」ことって、
あるんじゃないかなと思いますね。
伊藤
そして逆に、たまに旅先で宿のものを使って
「ああ、いつものと違う」と思ったりも。
面倒がらず、持ってくればよかったなって。
高柳
「頭皮のことを健やかに思う」ことが大事ですよね。
一般的なシャンプーって
「髪」にフォーカスしたものが多いんですけれど、
「余[yo]」は頭皮を大事にしています。
伊藤
髪の毛も頭皮から生えてくるわけですし。
高柳
伊藤さん、逆にどういうシャンプーを選んでました?
伊藤
オーガニックをうたったメーカーのものを、
いくつか使ってみたり、
敏感肌用のものを使ってみたり。
でも肌があれることもあったし、
香りにぴんとこない、とか
髪がキシキシしてしまうものもあったりして。
高柳
痒みがなぜ起きるのかまで
みなさん追求をしないんですよね。
成分を調べるのは難しいんですけど、
少しでも知っていただくのはすごく重要かもしれない。
でも、調べ切れないし、勉強も難しいんですよね。
伊藤さん、たとえば、
キャリーオーバー成分ってわかりますか?
伊藤
ん? キャリーオーバー。
高柳
僕も開発に携わるまで知らなかったのですが、
みなさんおわかりにならないと思うんです。
これは製品に「表示しなくていい成分がある」、
ということなんです。
たとえば微量の防腐剤が原材料に含まれている場合、
製品の成分としては書かなくていい。
なぜなら、その防腐剤は、
その製品をつくるために使ったものではなく、
材料の保持のために入っていたものだからなんです。
結果、その製品は「防腐剤フリー」だと
思われちゃうかもしれないですよね。
伊藤
なんと‥‥。
高柳
そういう落とし穴があるんです。
成分表示や容器の裏面に、
キャリーオーバー成分について注記されていれば、
見る人が見ればわかるわけですが、
一般のかたには難しい。
だから美容師や理容師を頼ってほしいなって思うんです。
ショップのかたと比べて
多岐にわたる商品知識はないかもしれませんが、
日々それを使って実証しているわけで、
「使って大丈夫だった」製品は知っていますから。
伊藤
今回「weeksdays」では
シャンプー2種類(余白1 素髪感/余白2 潤い感)と
トリートメント2種類(余韻1 浸透感/余韻2 濃厚感)、
そしてトライアルセットを販売します。
まずトライアルセットで試していただくのもいいですね。
高柳
はい。トライアルセットは、
シャンプー2種に、トリートメントは「浸透感」の
3本がセットになっています。
これ、旅行用に持って行くのにも、いいですよ。
使っていただくと「嫌じゃない」のが
わかっていただけると思います。
伊藤
「嫌じゃない」っていうことが、
わたし、最近、すごく大事だなと思っているんです。
友だちも、「好き」なものが似てるんじゃなくて、
「嫌」だなっていうものやことが一緒のほうが、
感覚が近いと思うんです。
「好き」って感覚は、以外と広いから。
高柳
何に違和感をおぼえるか、ですよね。
だから違和感のないものって、
すごくいいなって思います。
僕は「良すぎる」ものには違和感があるんです。
たとえばすごくリッチで高価なものとか。
「ちょうどいい」が大事だなって思います。
伊藤
「余[yo]」は香りもちょうどいいですよね。
高柳
そうだ、香りについても話させてください。
僕、「蓼科ハーバルノート・シンプルズ」っていう
ハーブとアロマテラピーの専門店に、
「余[yo]」のシャンプーの香りを完成させるのに
月に2回くらい通いました。
「感覚のままでいいんですよ」と言われながら、
担当のかたに手伝ってもらい、ここに行き着いたんです。
トリートメントの香りは、その当時の担当のかたが、
ちょっと開放的になるようなイメージで
つくってくださいました。
伊藤
そうそう、トリートメントは
シャンプーとセットで使ったほうがいいですか。
高柳
化粧水はつけても今日は乳液はいいや、
というような感覚でもいいんですが、
一応、トリートメントを使ったほうが、
髪のタンパク質上はいいですね、と言えます。
爪と一緒で、やっぱり水分や保護っていうのは重要なので。
伊藤
そうなんですね。
高柳
「余[yo]」のトリートメント
「余韻1 浸透感」を出した当初、
シリコン系を使っている人が
物足りないとおっしゃったんです。
それで「余韻2 濃厚感」ができました。
髪が長い人や、カラーがハイトーンの人には
「余韻1」だと物足りないと。
伊藤
ほかに、はじめてのかたに
お伝えしておいたほうがいいことはありますか。
高柳
夏と冬の気温の変化で粘度が変わります。
これは天然成分ゆえなんですよ。
伊藤
なるほど、理解しました。
高柳さん、くわしいお話をありがとうございました。
こうしていろいろなことを知ってから
使うのが、またたのしみです。
高柳
「嫌じゃない」感じを
共有していただけたら嬉しいです。
ありがとうございました。

頭皮のためのヘアケアを

未分類

伊藤
高柳さんが「余[yo]」のシャンプーを
つくろうと思ったのは、
どんなきっかけがあったんでしょう。
高柳
僕は子どものころから頭皮が荒れていて、
とても困っていたんです。
小学生の頃からリトルリーグに入っていて、
坊主だったんですが、
中学に入ってからおしゃれに目覚めて
シャンプーを使うようになったら、
頭皮がボロボロしてきて、
フケが出るようになったんですよ。
伊藤
シャンプーが合わなかったっていうことなのかな。
高柳
はい、でも、何を使ってもだめで。
そして美容師になってからも
フケが出る状態がずっと続いていました。
手も荒れていたので、シャンプーに原因がある、
っていうのはわかってるんですけど、
どうにもできなかったんです。
伊藤
ずっと、お悩みだったんですね。
高柳
美容師って、ある意味まじめで、
信頼しているディーラーさん
(美容ディーラー:美容室にシャンプー類や
道具を卸す仕事の人)が持って来たものは
無条件に「いいものだ」ってなっちゃうんです。
「そういうものなんだな」って思い込むことで、
当時の僕は商品に対する理解が止まっていたんです。
伊藤
なるほど。それで、合わないシャンプーを
使い続けていた。
高柳
そうなんです。それで自分の店を持ってから、
それを使い続けていたら、
スタッフの手まで荒れちゃうようになり、
手を替え品を替えいろんなシャンプーを試しました。
最終的に「これだ」というシャンプーに
巡り合ったんですが、そのメーカーのものは
僕の美容室では仕入れることができませんでした。
なので、ほかのお店で使っているよさそうなものを
試してみたりしたけれど、やはり、だめ。
数年、そんな試行錯誤が続いたんです。
伊藤
それで「自分でつくるしかない」と?
高柳
はい、そんなときに、
ナチュラル製品やオーガニック製品で
日本にまだないものを紹介していた
たかくら新産業」を知ったんです。
ヘアメイクアップアーティストの草場妙子さんが
使っていたオイルを探して、行き着いたんですけれど。
伊藤
草場さんがきっかけだったんですね。
高柳
そうなんです。
それでたかくら新産業の営業の方に会いました。
ところが僕、オーガニック製品にたいする
疑問ばっかり言っちゃって。
「オーガニックといいながら、
そうじゃないものがあるでしょう?」みたいな。
伊藤
そうなんですね。
高柳
そうしたらその営業さんが面白がって、
社長である高倉健さん
「こんな美容師がいたんですよ」と伝え、
高倉さんがぜひ話したいと、
お目にかかることになったんです。
そしたら「実は自分もシャンプーのことが腑に落ちない」。
たかくら新産業はオーガニックシャンプーを
オーストラリアでつくってたんですけど、
日本人の頭皮や髪質に合わなかったんだそうです。
伊藤
たしかに。
高柳
だから、肌質と、水とか風土に合ったシャンプーって
何なのかなって考えていたらしいんですよ。
僕はその頃、穂高養生園っていう
自然のなかで健康を取り戻そうという滞在型施設で、
カットセッションみたいなことをしていて、
安曇野の水を汚したくないっていうスタッフさんたちが、
石鹸シャンプーで頭を洗っていたんです。
そういえば僕も坊主のときは石鹸で荒れなかったし、
昔は石鹸しかなかったんですよね。
スタッフさんになぜかを訊いたら「環境にいいから」。
そのとき初めて、僕は環境に良くないものを使ってたんだ、
って思ったんですよ。
山岳地帯では歯磨き粉を使わないようにしましょうとか、
いろいろ山によって決まりがあるらしいんです。
そこから僕は、いろんなオーガニックのシャンプーを、
数十種類くらいかな、買っては試し、を繰り返して。
どれも頭皮に反応が出てしまいました。
そんなことをやってたら、高倉さんが、
「じゃあ一緒につくらない?」。
伊藤
それがはじまりだったんですね。
高柳
最初は石鹸系のシャンプーをつくろうと考えました。
当時はシリコン系のシャンプーが流行っていて、
でもカラーをやる前にシリコン系シャンプーを使うと、
ちゃんと落とさないと施術ができないんです。
でも石けんシャンプーだけだとギシギシになる。
そこでトリートメントを使わなくても
さらっと仕上がる石鹸シャンプーを開発したかった。
それで2年くらいかけてサンプルを何度も作ったんですが
満足のいくものができない。
そんなことをしていたら、工場の人が
「ちゃんとわかっていない人と話しても仕方がない、
勉強して原料や製法に対する正しい知識を持ってください」
そこでナチュラルコスメマスター資格を
取ることにしたんです。
この勉強をすると、シャンプーやボディソープなどの
成分表示から、それがどういうもので作られているのか、
読み取ることができるようになるんです。
伊藤
その勉強をし、資格を取得して、
いろいろわかるようになったんですね。
それが製品作りにも影響を?
高柳
はい、一気に加速しましたし、
ぼくのフケ・痒みの原因もわかってきました。
どうやら僕は、石油系合成の界面活性剤に反応すると。
だから新しくつくるシャンプーには
石油系合成界面活性剤、石油系合成香料、
石油系着色剤を使わないことにしました。
あと、DEA(ジエタノールアミン)、
MEA(モノエタノールアミン)
TEA(トリエタノールアミン)、
そして防腐剤、保存料、抗菌剤、
安定剤、シリコン系ポリマーなど、
頭皮に不要な成分を排除していったんです。
伊藤
サンプルは何段階くらいまで?
高柳
9段階までいきました。
10でゴールです。
伊藤
正直、もうダメかも、
みたいなことはあったんですか?
高柳
ありましたね。高倉さんともあったし、
工場ともあったし。
でも、工場のみなさんは、
僕の熱意に協力してくださった。
伊藤
もう無理だ、という気持ちにならず、
やっぱりいいものをつくろうと思った?
高柳
そうですね。
伊藤
すごい。
それは、よかったですね!
高柳
すごくよかったです。
その背景には、「スタッフを辞めさせたくない」
という気持ちもあって。
美容師って手が荒れて辞めちゃうことが
多かったんですね、当時。
伊藤
荒れてるかた、いらっしゃいますよね。
ゴムの手袋をつけたりして。
高柳
手袋って、お客さまも違和感があると思うんです。
直に触るのとちがって。
だからそもそも手が荒れないシャンプーがあればいい。
そしてレベル9を超えたとき、
「ちゃんとブランドとして考えよう」
ということになりました。
伊藤
「余[yo]」という名前はそのタイミングで?
高柳
そうなんです。
僕たちの考えるシャンプーは、
1日の疲れを洗う行為だから、
なくす行為、つまり「余白」だなって。
伊藤
余白。
空間や時間や心に余裕があることですね。
高柳
そしてトリートメントは湯舟に漂う香り、
「余韻」なんです。
余白と余韻。
そのふたつが揃ったとき、いいなあって思いました。
ふわーっと流れる空気感を感じて。
伊藤
それでブランド名が「余[yo]」、
シャンプーの商品名を「余白」、
トリートメントの商品名を「余韻」となさったんですね。

いつもの

未分類

リビングに置いていた
黒い革張りのラウンジチェアが、
壊れてしまって、
今、修理に出している。

リビングには、
ひとりがけのソファがあとふたつと、
折り畳みのパーソナルチェアがひとつあるから、
座る場所に困ることはないのだけれど、
朝起きて、ふとそのチェアがないと分かると、
ちょっと寂しい。
座り心地もよかったし、
なにより、
木やベージュ中心の我が家のリビングの引き締め役にも
なってくれていたのだよね。

外でごはんを食べた時、
あれ、このお箸使いづらいなと思うことがある。
ふだん家で使っている黒檀のお箸、
あれはやっぱり使いやすいんだと、
ここで気がつく。

春、2週間ほど旅に出た時、
部屋にそなえてあったシャンプーを使っていたけれど、
においや使い心地に、
ちょっとした違和感があって、
いつものシャンプーが恋しくなった。

いなくなってはじめて分かる、
「いつもの」の、ありがたみ。
いてあたりまえと思っている身近な人の存在も、
大切にせねばと思う今日この頃です。

今週のweeksdaysは、
私の毎日に欠かせない存在になっている、
「余[yo]」のヘアケアアイテムをご紹介します。

コンテンツには、
「余[yo]」の監修を務める高柳潤さんに、
お話をうかがいましたよ。
どうぞおたのしみに。

工夫がいっぱい

未分類

伊藤
今回、ピッチャーをつくるにあたって、
陶芸家時代に手でつくったときとの違いはありましたか。
岡澤
今回のピッチャーは、
朝、夫のお弁当と水筒を用意するときに
感じたことが元になっているんです。
最初は、手で作ったピッチャーを使って
水筒に入れるお茶を用意していました。
少し大き目だったので余らせて
お茶をシンクに捨てていました。
ある時、ふと、
「これが捨てないで済む容量だったらな」と思って。
ぴったりだと嬉しいですよね。
伊藤
そうでしたか! 
たしかに容量、ちょうどいいなって思ったんです。
わたしの使っている水筒にもぴったり。
岡澤
よかった。
私の使っている水筒の容量が485mlなんですが、
このピッチャーで8分目くらいまでざっくり入れたとき、
水筒とぴったりになるよう目指してつくりました。
元々、何かを計量することが苦手で、
朝からその好きではない作業をしたくないので、
大体で測れるといいな、と思って。
それから、前のピッチャーのときには、
コーヒーを落として暮らしを楽しむ、
ということを提案させてもらったんですけど、今回は
「飲み物を作って、それを注いで出かけてく」
っていう物語が描けたらいいなっていうふうに
思ったんですよね。
伊藤
ここにコーヒーのドリッパーがピタッとおさまる感じも、
とっても気持ちがいいですよね。
このピッチャー、
いろんな人にフィットするんじゃないかなって、
使ってみて思いました。
わたしは、サンプルを見て「かわいい」とか
「これはちょっと」とか、そんなふうに感覚的に
判断をしていたんですけれど、
岡澤さんはもっと理論的に詰めていった部分が
おありなんじゃないかな。
さきほどの、注ぎ口の話のような。
岡澤
そうですね‥‥たとえば高さと、
注ぎ口からハンドルまでの長さの関係を、
日本人が古来馴染んでいる比率にしてあるので、
どこか懐かしい感じがするかもしれません。
全体に温かみのある印象ですが、
口辺部分を細く仕上げて野暮ったくなることを
避けています。
伊藤
持ち手も、すごく馴染みます。
口の広さもいい。
岡澤
はい、持ちやすく、洗いやすくするための
工夫をしています。
男女問わず、体格の違う人でも、
そして右きき、左きき、どちらでも
自然に使えるようにしましたし、
ハンドルは幅広設計にして手との接触面を広くして、
握ったときに安定して持ち上げられるように
安全面にも配慮しています。
また内側に大きめの面取りを施して
手にあたる部分は柔らかな感触になるようにしました。
口径は手を入れて底まで洗いやすいように、
注ぎ口も指がすっと入る太さにして
きれいに洗えるように配慮しました。
伊藤
すごい。考え抜かれていますね。
色もいいんですよね。
岡澤
木の温かみのあるナチュラルな空間にも、
洗練された都会的な雰囲気の
コンクリート空間にも合うように、
生地の色を活かしてグレイッシュホワイトに調整しました。
釉薬表面にわずかな凹凸があるので、
光を柔らかく受け止めて落ち着いた雰囲気が出るんです。
見た目はとてもシンプルですが、
いろんな秘密が詰まっています。
感じ取ってもらえたらうれしいな。
伊藤
工場でつくったプロダクトですけれど、
個体差があるのも嬉しいですよね。
岡澤
そうなんですよね。じっさいは工場のかたが
手をかけてくださっている部分がありますし、
焼く過程で口の部分が持ち手にひっぱられて
ほんのすこしだけ楕円になる場合もあるんです。

▲焼き上がりでまだ熱いピッチャー。

伊藤
岡澤さんはどんなふうにおうちで使われていますか。
岡澤
お茶が多いですね。
わが家、チャイを入れるようにお茶を淹れるんです。
鍋にお湯を沸かし、そこに茶葉を入れて、
茶こしで濾してピッチャーに移します。
かなりラフな方式です。
伊藤
磁器だから、においがうつりにくく、
いろんな飲みものに使えますよね。
岡澤
ジュースやペットボトルの飲み物などでも、
ピッチャーに移してからサーブするの、いいですよね。
生活の質が上がる印象があって。
そうそう、飲みものだけじゃないんですよ、
ハーブなどを活けてたのしんでいます。
虫よけになるし、空間が明るくなる。
ほかにも、カトラリーを立てるのに使ったり。
そんな日常の風景を「いいな」と感じるんです。
あっ‥‥そうだ、ちょっと特殊な使い方があった。
伊藤
特殊‥‥?
岡澤
こんな使い方をするのは私だけかもしれないんですが、
貝料理が好きで、アサリの砂出しの時、
塩水を作るときの計量カップ代わりにするんです。
「500ccの水に15gの食塩」なんですが、
これでざっくり満水にして、大さじ1の塩でちょうどいい。
伊藤
(笑)そんな使い方も! 
でもこのピッチャー、それぞれのお家で、
それぞれの使い方が生まれるといいですね。
ところで岡澤さんは今後、
こういうスタイルの仕事は続けられるんですか。
岡澤
ふふふ、どうでしょう? 
プロデューサーの伊藤さんのご意見は‥‥?
伊藤
このピッチャーひとつに
4年というのは時間をかけすぎたかな、と感じます。
次につくるときは、時間をもうちょっと短縮しましょう。
逆に、何なら、作ってみたいですか?
岡澤
伊藤さんが先日おっしゃった
マグカップが気になっています。
伊藤
きっとかわいいですよ、同じ触感で、
ピッチャーと並んでいたら。
取っ手のあるマグだけじゃなく、
取っ手がないカップもいいかもしれないです。
そういえば岡澤さん、オンラインストアをお持ちですね。
岡澤
そう‥‥なんですけど、積極的に運営するというよりも、
B品を扱う場所をつくっておこうと思ったんです。
とくにプロダクトを始めるとB品が出る。
捨てるのもお金がかかるし、
そもそも捨てるのは忍びない。
なので自分で販路を持っておきたかったんです。
伊藤
そうでしたか。
岡澤
ありがたいことです。
そもそも不器用で手が遅いだけなんですけれどね。
その上マイペースで。
伊藤
ふふふ、たしかにすごくマイペース。
岡澤
ヤバいくらいです。
まあ、基本的に、プロダクトは、自分発信というより、
デザイナーのお仕事を依頼されたら、
っていうかたちにしようかなと。

▲使用型の上部(カツラと言います)。

伊藤
それもいいと思いますよ。
ちょっと話が戻るんですが、
大学生になってよかったことって他にもありますか? 
材料学や力学を学べたこと以外にも。
岡澤
やっぱり引き出しが増えたっていうのは、
すごいことだなって感じます。
そして、若い子たちが何を学んでるかを知ったことも。
「これからのもの」を作ろうと思うときに、
実際に使う人たちが、今どんな教育を受けて、
何を見てるんだろうっていうことがわかりました。
伊藤
え、すごーい!!
岡澤
これは、やっぱり大学みたいな場所に行って、
実際に若い人とやり取りしてみないと
わからなかったなと思って。
伊藤
現役の学生時代は、学校のことが好きでしたか。
岡澤
学校は嫌いではなかったんですが
生活費稼ぐのにバイトばっかしてました。
伊藤
大人になって学ぶっておもしろいでしょうね。
岡澤
はい。家の事情で大学を中退してしまっていたので、
今回、卒業して、区切りもつけられましたし。
伊藤
そうだったんですね。
今日は知らない話もたくさん聞けてよかったです。
岡澤さんのつくるものを、
多くのかたが待っていると思いますよ。
これからもたのしみにしています。
今日は、ありがとうございました。
岡澤
こちらこそありがとうございました。

かわいくなくちゃ!

未分類

伊藤
岡澤さん、今回は長い時間をかけての商品開発、
ありがとうございました。
ようやく、とってもかわいいものができましたね!
岡澤
こちらこそありがとうございます。
ずいぶん、お待たせしてしまいました。
伊藤
ほんと、何から話し始めたらいいんでしょう。
なにしろ長かったから。
岡澤
あはは、ほんと、そうですよね。
伊藤
岡澤さんとは、「ほぼ日」では、
「白いもの。」時代からのお付き合いですものね。
あれ、2012年ですって!
岡澤
そうでしたね。
伊藤
あのときは、岡澤さんがろくろを使って作った
ピッチャーやマグカップを扱わせていただきましたね。
その後、しばらくして、
「また、あのうつわがほしいな」
と思いはじめたころ、
岡澤さんが陶芸家を引退なさったんです。
それでわたしも考えて、
「せっかくいいものを作ってきたのだから、
工場生産をしたらどうでしょう?」と、
プロダクトをつくる提案をしたのが、今から‥‥。
岡澤
4年前のことでしたね。
伊藤
ほんとうに全部辞めてしまったんですよね。
岡澤
はい。今はもう、窯もありません。
2基、持っていたんですけれど。
伊藤
わたしが「プロダクトで」と提案したときは、
辞められてからすこし経っていましたよね。
どんな暮らしを?
岡澤
その頃は、インテリアコーディネーターの資格を取って、
住宅関係の仕事をしていたんです。
不動産兼工務店に所属して楽しく働いていたんですよ。
だから伊藤さんからお電話をいただいたとき、
あんまり気のない返事をしたと思うんです。
「もう辞めちゃったから、ちょっと難しいな」と思って。
伊藤
ふつうに働いていたんですか。
知らなかった! 
岡澤
そんな中で、伊藤さんのお話はとても嬉しかったんですが、
仕事は1本でやらないと難しいだろうなって思っていて。
私、いいものを作ろうと思ったら、
そこに集中するべきだ、というところがあるんです。
ふたつの仕事を両立できるほど
器用なタイプじゃないから。

▲ピッチャーを焼いている窯。男性が立って入れる程度の大きさ。

伊藤
うんうん、よくわかります。
岡澤
その世界観に浸らないと、ものは作れないなあって。
そして楽しいながらに忙しくもあり悩みもあり‥‥、
という生活を送っていたんですが、
ある日、片耳が聞こえなくなってしまって。
伊藤
たいへん。ストレスで?
岡澤
そうだったのかもしれませんね。
そのまま聴力が落ちてしまって、
いちどリセットしようと、
会社を辞めることにしたんです。
その時、伊藤さんが誘ってくださった
プロダクトをやってみようかな、
という気持ちになりました。
というか、伊藤さんのお仕事だから引き受けよう、って。
ほかのところからだったら動かなかったと思います。
伊藤
そうなんですか。それは、なぜ?
岡澤
伊藤さんと「ほぼ日」は、
私を世の中に出してくれたお仕事だという
気持ちがあるからなんです。
伊藤
わぁ、ありがとうございます。
あの時、私はどこかにでかける途中で、
駅までの道すがら、
岡澤さんのピッチャーのことを考えていたんですね。
で、突然閃いた! 
「岡澤さん、プロダクトをやればいいんじゃない?」
って。
駅に到着してベンチに座ると電車が来るまで、
あと7分。
かけるなら今だと思って、
電話をかけたんですよ。
辞められたことは知っていたけれど、
「もったいないなぁ」ってずっと思っていたんです。
岡澤さんはプロダクト、初めてだったんですよね。
岡澤
初めてです、完全に。
伊藤
わたしもあんまりあてがないから、
プロダクトに長けているかたに相談をしたんですよね。
でもその方も超多忙で、時間ばかりが過ぎていく。
それで「わたしたちでやろう!」となって、
岡澤さんが工場探しを始めて。

▲窯から出てきたピッチャー。

岡澤
私、石川県立の九谷焼技術研修所というところで
1年だけ陶芸を勉強したんですけど、
鋳込みの先生に
小松誠(まこと)さんというかたがいらして、
その先生が「セラミック・ジャパン」という
瀬戸の陶磁器の会社の製品の
デザインをされていたことを覚えていたんです。
研修所ではものすごい劣等生だった私ですが、
「尊敬する小松先生がやってらっしゃるところだったら、
間違いないだろう」と思ったし、
私が元々使っていた粘土は瀬戸の土でしたし、
そんないくつかの要素が重なって、
お願いすることにしました。
それに瀬戸だったら、安曇野からもそんなに遠くないから、
何かあったときに自分が行って、
職人さんや担当の人とお話しをしながら進められる。
やっぱり遠いとそれは難しいですし、
伊藤さんからも「近いほうがいい!」と。
伊藤
うんうん。
やっぱり会って話すほうが早かったりするから。
いいご縁でしたね。
そして、岡澤さんが手でつくった原型があったわけなので、
そこからはスムーズに進むのかと思ったら‥‥。
岡澤
そんなことはなかったですね。
すごく時間がかかりました。
どういう難しさがあったかというと、
たとえば、注ぎ口の先端。
手で作ったときは、水切れをよくするための
ポチッとした突起がありましたね。
あれをどうしようかとか。

▲手でつくっていた頃の、ピッチャーの注ぎ口先端部分。

岡澤
そして、釉薬をどこまでかけて、どこをかけずにおくか。
以前は注ぎ口の先端はかけずに、素地を出し、
そのざらつきが表面張力を発揮することで水気を確保して、注ぎやすく、水切れをよくしていたんですよ。
けれども今回はプロダクトですから、
洗いやすさも考えて、
突起をなくし、釉薬もかけようということに
伊藤さんとのあいだで決めたんですね。
するとこんどは、水切れをどうやってよくするか、
この設計がたいへんだったんです。
伊藤
試作して、ダメ出しをして‥‥
そんなサンプルが何十個もあるほどですよね。
岡澤
それが形になるまでに2年ほどかかりましたよね。

▲ピッチャーの窯出し作業。

伊藤
それを見ていて、わたし
「作家さんってすごいな」と思いました。
岡澤
ピッチャーの水切り問題は、
水が器のなかでどう動いてどう出るかという流体力学で、
これが調べてみてもほんとに難しくて。
YouTubeも見ましたし、論文や文献も探したんです。
そしていろんな説や理論があるんですが、
どうやら「どれも正しい」んですよ。
でも、どれも、私の器には応用ができない。
なぜっていうと、材質が違うからなんですね。
それで結局、私の出した結論は、
矢野顕子さんの歌『ラーメン食べたい』。
伊藤
『ラーメン食べたい』?! 
岡澤
「♪わたしはわたしの
 ラーメンたべる
 責任もってたべる」
って歌詞があるんです。それで
「♪わたしはわたしの
 ピッチャーをつくる」
っていうところにたどり着いたんです。
伊藤
理論はわかったけれど、自分なりにやるしかないと。
それで、具体的にどうしたかというのは‥‥内緒?
岡澤
そうですね、商品開発にかかわる部分なので。
私、当時人生でやり直したことの回収をしに
大学に通っていたんです。
そこで洗濯についての授業で界面活性剤の勉強をしたことが
私なりの解決の糸口になりました。
ものの濡れる仕組みとか、
界面活性剤がどういう働きをするのかを知って
なるほどなあ、と。
ちなみに液体の温度でも変わります。
私のピッチャーもお湯より
常温の方が水きれがいいんです。
この話、すごーく長くなっちゃうんですけれど。

▲使用型を開いたところ。
この型に泥漿(でいしょう:粘土を水で溶いたもの)を流し込む。

伊藤
わたし、そのお話、たぶん、聞いているんです。
岡澤さん、紙に描いて「ここがこうで‥‥」って
とても理論的に説明をしてくださったんですけれど、
わたしは「全然わからないし、
使ってて問題ないから大丈夫、大丈夫!」と、
かるーく答えた記憶があります。
前のサンプルと今のサンプルを比べれば、
たしかに水切れの違いはあるんだろうけれど、
わたしはもう、見て眺めてうれしかったらいい。
むしろ、かわいいほうがいいから、
ちょっとぐらい垂れてもいい。
岡澤
試作の段階でもっと水の切れる形はありましたね。
でも、かわいくないんですよ。たしかに。
伊藤
わたしはそれを見て「これじゃ、ない」って。
使い心地だけが優先じゃないと。
棚に置いてある姿とか、使っているときとか、
こうやってテーブルで見る姿とか、
洗ったときにどう感じるかとか、
そういうことも大事だと思ったんです。
岡澤
「注ぎ切れる感じが好き」とおっしゃるかたもいたけれど、
わたしは、かわいさも機能もとりたい。
でも両方はとれない。
だからどこらへんをどういうふうに、ということで
せめぎ合っていたんですよ。
伊藤
その折り合いのつけ方が難しかった。
岡澤
今回の注ぎ口は、裏には多少回っても、
テーブルを濡らさない程度になっていますよ。
伊藤
ん‥‥でもね、全然大丈夫ですよ、
使ってみてそう思います。

再入荷のおしらせ

未分類

完売しておりましたアイテムの、再入荷のおしらせです。
7月31日(木)午前11時より、以下の商品について、
「weeksdays」にて追加販売をおこないます。

LIVRER YOKOHAMA
洗濯用洗剤 シルク&ウール 600ml
JINCHOUGE

▶商品詳細ページへ

洗濯ブラザーズの
「シルク&ウール」を初めて試した時は、
本当にびっくりしました。
エッセイにも書いたように、
私の「洗濯革命」と断言できる、
洗い上がりの美しさ、そしてしなやかさ。
家でこの仕上がりになるなんてとうれしくて、
去年の衣替えの衣類はほぼすべてを
自分で洗濯をしたほどです。

思わず、友人知人に「使ってみて!」
と連絡をしたところ、
みんなが「すごい‥‥」と絶賛。
洗濯って、どことなく
家事の片手間という感じでしたが、
洗濯する時間が楽しい時間へと変化したのは、
なによりの収穫でした。

weeksdaysオリジナルは、
沈丁花とすずらんの2つの香り。
さりげなく、そしてほのかに漂ってくる春の香りは、
洗濯している人へのご褒美。

洗い上がった服は、前より一層愛着が湧く。
服が好き、おしゃれが大好きという方に、
ぜひ使っていただきたいなぁと思います。
(伊藤まさこさん)

毎日使いたい

未分類

毎日使っていたものが、
もう作られなくなると分かると、
使う手が緊張する。

だから6年前に、
陶芸家の岡澤悦子さんが器作りをやめると聞いた時、
手持ちのピッチャーを使うのが惜しくなって、
棚の奥に入れてしまったのでした。

時々使うにしても、
なんとなく「こわごわ」とか、「おそるおそる」。
そんな感じ。

でもね、出番の多かった暮らしの道具が、
そんな存在になってしまうのって、
すごく残念。

そこで私は考えました。
かつて作っていたピッチャーを、
プロダクトで作れないものかって。

思い立ったが吉日。
すぐに岡澤さんに電話をし、
なんとか形に‥‥とお願いしたのでした。

それから4年の月日が経ち、
「これ!」というサンプルが届いたときは、
ほんとうにうれしかったなぁ。

それにしても、
作家ってすごい。
あと一息、というところで諦めない、
粘りや踏ん張り。
でも見た目はそれを感じさせない、
かわいらしい仕上がりになっている。

岡澤さん、おつかれさまでした。

使って、眺めてうれしいピッチャー。
あなたの毎日にいかがですか?

ボックスシルエットのひみつ

未分類

伊藤
今回取り扱わせていただくトップスは、
miiThaaiiで作られているものをもとに、
weeksdaysオリジナルの仕様に
変えてくださったんですよね。
関根
はい。
もともと襟ぐりに
タッセルつきのリボンがついているんですが、
それをなくして、
生地も張りのあるコットンに変えさせていただきました。
ずいぶん印象が変わって、
「きちんと感」が出たなと思います。
伊藤
ありがとうございます。
形もかわいいなと思うんですが、
どんなきっかけで生まれたトップスなんでしょう。
関根
インドに行ったとき、
現地でVネックの開きがかわいいものがあったんです。
それをヒントに、日本人に合うように
形やサイズ感を調整して作りました。
伊藤
そうなんですね。
背中の方もVの開きがあって、
涼しそうです。
関根
前後とも深めのVですし、
袖もワイドなのと、
身幅もたっぷりとっているので、
とっても風通しがいいです。
伊藤
平置きにしてみると、
正方形の上の辺に、
Vネックになる切れ目が入っているような、
おもしろい形ですよね。
着ると立体的になって、
風が通るような。
関根
そうなんです。
身体のラインを拾わない
「ボックスシルエット」になっているんですけど、
着てみると首のところのVの開きが広がって、
エレガントな雰囲気が出るような設計になっています。
伊藤
なるほど。
この形だと、肩幅や身幅も、
幅広い方に合いそうですよね。
関根
身頃はゆったりしていて
リラックス感はあるんですけど、
この前後のVネックの開き具合によって、
首と背中がきれいに見えて、
フェミニンな印象で着られます。
袖が五分丈で、
袖口に切り替えがあるので、
「きちんと」見えるポイントにもなります。
伊藤
うん。
生地にも張りがあるから、
上品に見えますね。
関根
張りのあるコットンで、
汗染みも気になりにくい生地です。
伊藤
それはうれしいですね。
4色作っていただいたんですけれど、
どれもかわいいですね。
関根
今日、私が着ているのがホワイトで、
下は黒いワンピースなんですけど、
この4色なら、ボトムが何色でも、
けっこう合わせやすいかなと思います。
丈がちょっと短めなので、
バランスも取りやすいです。
伊藤
イエローとブルーグリーンも、
夏らしくて素敵ですよね。
何色にしようか迷ってしまいます。
関根
この生地感と形なら、
伊藤さんはホワイトがすごくお似合いになりそうです。
伊藤
ふふふ。
やっぱりホワイトでしょうか。
伊藤
ところで、
miiThaiiを立ち上げたときに関根さんが感じていた
fog linen workについての行き詰まった気持ちは、
インドに行ったことで解消されましたか。
関根
うーん‥‥、
具体的に解決したというよりは、
インドに行っていろんな生地を見ているうちに、
「べつに変わったことをしなくてもいいか」
って思えました。
それまでは、
ストライプの幅をひとつとっても、
他の人がやってないような幅にしてみたり、
今まで見たことないような生地を作らなくちゃって、
気負っていたふしがあったんです。
けれど、変わったことをするよりも、
“ふつう”の方がいいのかも、と思って。
一般的なギンガムチェックとか、
均等のストライプでも、
私がいいと思えるものを作ればいいんだって、
なんとなくふっ切れたんですよね。
伊藤
ふと気づいたという感じでしょうか。
関根
そうですね。
インドでいろんなものを見たり経験したことで
すごく視野が広がったし、
miiThaaiiではちょっと変わったことをして、
fogではベーシックなものを作ろうって。
伊藤
どちらのブランドも、
コンセプトがはっきりしたんですね。
関根
そんな気がします。
miiThaaii が生まれたきっかけになったルンギで、
少しずつ色や柄が違うバッグを作ったんですけど、
価格もお手頃ということもあって、
イベントやネットで予想以上にたくさんの方に
お求めいただけたんです。
fogにこだわりつづけるよりも、
miiThaaiiというブランドで
こうやって作れるようになって
よかったなと思っています。
伊藤
わたしもこの前、
そのバッグを持ってる人を街で見かけて、
miiThaaii の代名詞的なアイテムなんだなと感じました。
このトップスも、
たくさんの方に届くとうれしいですね! 
関根
はい。
シンプルだけど印象的な一枚なので、
ぜひたのしんでいただけたらと思います。

miiThaii のはじまり

未分類

伊藤
関根さん、
今日はよろしくお願いいたします。
今回扱わせていただくのは
miiThaaiiのトップスですけれど、
miiThaaiiは、
はじめられてどのくらい経ちますか。
関根
2016年に立ち上げて、
細々ですけれど、もう9年になります。
伊藤
わぁ、もうそんなに。
もともと、fog linen workというブランドを
長く運営されていたと思うんですけど、
どうして2つめのブランドを
立ち上げようと思われたんでしょう。
関根
ちょうど、fog をスタートしてから
17年くらいのときだったんですけど、
毎年オリジナルで作っていた柄や企画に、
なんとなく行き詰まりを感じていました。
それで、頭の中だけで考えるのではなくて、
外へ出かけていって、
いろんなパターンの生地をたくさん見たいと思って、
インドに行くことにしたんです。
そこで、ルンギ(インドなどの暑い地域で
男性が日常的につけるチェック柄の腰布)という
インド綿の布に出会って、
買いつけを始めたのがきっかけになりました。
fog はリネン製品のブランドと決めていたので、
別ブランドとして「miiThaaii」をスタートさせようと。
伊藤
そのきっかけになったルンギは、
関根さんの中では目新しかったんでしょうか。
関根
そうですね。
インドの市場では、
歩いているおじさんたちが
よく腰に巻いているものなんですけど、
それを最初に見たとき、
「あのチェック柄の布、すごく気になる!」
と思ったんです。
市場でも色んな種類のルンギが売られていたので、
実際にいくつか買って使ってみたら、
生地感もすごくよくて。
それで早速、現地の縫製工場で作れるようにしようと
準備を進めていったんですけど、
日本とは文化が違いますから、
頼んだものと違うサンプルができ上がってきたり、
現地へ出向いてちゃんと説明しようと思っても
「英語は話せません」と言われて、
話も通じなかったりしました。
インドは英語が準公用語のはずなんですけど。
伊藤
ええーっ。
いろいろと問題が起きたんですね。
関根
その工場では、それまで白いナプキンしか
縫ったことがなかったみたいで、
「スカートはこう縫って、
バッグはここを折ってこう縫ってください」
という指示書を書いて、日本から送りました。
でき上がる頃を見計らって
サンプルを確認するつもりで現地へ行ったんですけど、
フタを開けてみたら、全然できてなかったんですね。
あらー、と思って。
伊藤
それは大変。
どう対応されたんですか。
関根
そのとき、
でき上がっているはずの商品を撮影するつもりで、
カメラマンの友人に、
スウェーデンから来てもらっていたんです。
ですから、
彼女に無駄足をさせるわけにはいかないし、
何がなんでも作ってもらわなくちゃ! 
と思って、朝から晩まで工場にこもって、
簡単なものを作ってもらいました。
伊藤
関根さん、すごいですね。
関根
それでなんとかでき上がったものを持って
インドの町中に出かけて行って、
知らない人をつかまえて
「ちょっとモデルになってね」と
お願いして撮影させてもらったんです。
すると、それを見ていたまわりの人たちも
「私も、私も!」って集まってきてくれて。
伊藤
いい方たちですね!
関根
そうやって、その場はなんとか
切り抜けられたんですけど、
同じように続けるのは難しいかなと思ったんです。
北インドのほうで
ブラス(真鍮)製品やバスケットなどの
生産を依頼しているサプライヤーさんに、
「こんなことがあって、もう大変だったんです」
ってこぼしたら、
「母が縫製できるから、うちの家でやりますよ」
って言ってくださって。
えー! みたいな。
伊藤
すごい。
話してみるものですね。
関根
あっという間にミシンを買ってくれて、
いまだにバッグとか小物は作ってもらっているんですけど、
服となるとやっぱり難しかったんですよね。
思ったようにはいかないので、
「miiThaaii はのんびりムードで、
できる範囲でやっていこうかな」なんて思っていたんです。
そうしたらしばらくして、
ニューヨークの展示会で私がブースで立っているときに、
素敵なインドのおじさまがやって来て、
「ジャイプールで縫製工場をやってるんだけど、
機会があったら一度来ませんか」
と言われて。
ジャイプールはインド北部のラジャスタン州の州都で、
マハラジャが統治していた世界遺産の町なんです。
伊藤
次から次へと出会いがあるものですね。
関根
しかも私、もともとその翌月に
ジャイプールに観光で行く予定にしていたので、
すごい偶然だなとびっくりしました。
それで実際に行ってみたら、
すごく近代的な工場だったんです。
そこはたまたま、
ブルックリンで洋服を作っている私の友人も
縫製を頼んでいると聞いたので、
それなら安心だと思って、
お願いすることに決めました。
fogと差別化するために、
洋服のデザインは友人の國安佳子さんにお願いして、
それでやっと、今お店に並んでいるようなものが
作れるようになったんです。
伊藤
そんな紆余曲折があったんですね。
じゃあ、今は少し安心できるようになりましたか。
関根
私もそう思っていたんですけど、
たまにお願いしたものと違う色が納品されたりするので、
油断大敵です。
納期も、かなり余裕をもって依頼したりして、
お客さまにご迷惑がかからないように調整しています。
伊藤
わたしたちの見えないところで
そんなご苦労をされながら、
それでもこちらの希望にあわせて
購入させてくれる関根さんって、
ほんとうにすごいなと思います。
仕事もいつも早くて。
関根
それはインドの人たちにも言われました。
「由美子はメールするとすぐ返事をくれるから助かる」
って。
自分たちもそうしたいけど、
国民性だからできないんですって(笑)。
伊藤
ふふふ。
日本にいるわたしたちもそう思うんだから、
インドの人たちにとっては
なおさらでしょうね。

関根さんのこと

未分類

fog linen workの関根さんとは、
もうずいぶん長いおつきあい。

いつからだっけ、と数えてみたら
もしかして20年!?
いや、それ以上かもと気づいておたがいびっくり。

同い年だから、
仕事をし始めたのも同じくらい。
だからか、
どこか私の中では同級生感があると同時に、
じつはたよりにしている存在でもある。

仕事の速さやていねいさ、
ものごしのやわらかさなどなど、
見習いたいところはたくさんなのです。

そんな関根さんが、
新しいブランド、miiThaaiiを立ち上げたのが2016年。

weeksdaysでは、2022年から、
バッグやエプロン、ワンピースなど、
さまざまなアイテムをご紹介しています。

fogとはまたちょっと違う雰囲気ただようmiiThaaii。
展示会のお知らせがくるたびに、
今回はどんなものと出会えるかな? 
と楽しみにしているんです。

今週のweeksdaysは、
miiThaaiiのトップス。
ぱりっとしたハリのあるコットンは、
着ると気持ちもしゃっきり。
暑い夏もこれなら乗り切れそうです。

カトラリー、わたしの使い方 伊藤まさこ 02 ガラスと半磁器

未分類

スガハラのガラスのスプーン、
私は塩の容器に入れています。

ほぼ毎日使う調味料なので、
清潔に保つことがとても大事。
その点、においが移りづらく、
見た目にも美しいガラススプーンは、
とても優秀です。

塩は使い切ったら、
容器とともにスプーンもきれいさっぱり洗います。
(まめに洗いたいので、
あまり大きな容器には入れないことにしています。)

ガラスのコップにゼリーを入れて、
透けるもの同士の涼しげな組み合わせ。
丸みを帯びたガラスは、
口あたりがよく、やさしい。

大きなサイズは取り分け用のスプーンとしても。
藍の鉢にそえると涼やかな印象に。

黒の皿に、
山本忠正さんのスプーン(大)を合わせて。
陶器ならではのやさしい質感は、
いつものテーブルを新鮮に見せてくれます。

れんげ(大)は豆をすくう時に重宝します。
ひたし豆や五目豆なども好相性。

小さな器に豆を盛って、
スプーン(小)をそえました。

今の季節は、
ポタージュやガスパチョを作ることが多いのですが、
そんな時に添えたいのが半磁器のれんげ。
小さなカップと合わせて、
食事のスターターにします。

今日は、
鶏ガラベースの金針菜のスープを。

半磁器、ガラス、ステンレスに琺瑯。
ずらり並んだ「すくうもの」。
お気に入りをぜひ。

新しい投稿ページへ古い投稿ページへ