伊藤まさこさんが長く
「どうしたらいいのかわからない」
と思っていたという、ヘアケアアイテム。
そんななかで出会ったあるブランドの
シャンプーとトリートメントは、
使い心地が自然で香りも控えめ、
伊藤さんの日常にすっと馴染むものだったそうです。
その名前は、「余[yo]」。
ヘア・スタイリストの高柳潤さんが、
たかくら新産業という
オーガニック製品を開発するメーカーと組んでつくった
ヘアケアアイテムなんです。
そのシャンプーとトリートメントができるまでには、
どんなストーリーがあったのでしょう。
伊藤まさこさんが、ききました。

商品・モデル写真=有賀 傑
取材写真=山川路子(weeksdays)

高柳潤さんのプロフィール

高柳潤 たかやなぎ・じゅん

ヘア・スタイリスト。
omotesando atelierの代表、
「余[yo]」の発起人であり監修者。
「スタイリングとは、髪と共に気持ちを整えること」
を信条に、自身が代表を務める
表参道のサロンを拠点に幅広く活動を展開。
2016年からは、豊かな自然に囲まれた環境の中で行う
完全予約制のカット・セッション「oneday」をスタート。
長野県安曇野市の
「ホリスティックリトリート穂高養生園」をはじめ、
さまざまな空間での限定セッションを開催している。

■余[yo]ブランドサイト
■omotesando atelier

02
「嫌じゃない」が大事

伊藤
試作を重ねてスタートした「余[yo]」ですが、
この形が出来上がったのは何年前のことなんですか。
高柳
2019年ですから、6年前です。
最初、僕の友だちがサロンで使ってくれて、
カフェを併設しているので遊びに行ったら、
従業員の方に「潤さんですよね? 
本当にありがとうございます」って言われたんです。
いままで辛かったシャンプーが楽しくなったって。
手が荒れてすごくしみてたんだそうです。
「本当にありがとうございます」ってお礼を言われて、
よかったなと思いました。
伊藤
手を酷使する美容師さんからの言葉、
嬉しいですね。
高柳
そうなんですよ。ちょっと高いと思われるかも
しれないんですけど。
伊藤
おいくらでしたっけ?
高柳
ひとつ4180円。
でも結構もつんです、
オーガニックなものにしては泡立ちもいい。
伊藤
そうそう、泡立ちがよくて滑らかになりますね。
わたしも肌が弱いから、痒くなったりするんですが、
これだと大丈夫なんです。
高柳
値段以上の良さというか、使ってもらうとわかるので、
一度手に取ってもらいたいし、
3か月とか使っていくと、より、わかっていく。
シリコン系で慣れちゃっていると、
最初は違和感があるかもしれないんですが。
伊藤
ずっとそれを使ってた人にとっては、
変化そのものが違和感ですからね。
でも、わたしのまわりでも、
じわじわと評判が広がっていった印象があります。
派手な宣伝をなさらなかったのに。
高柳
そうですね。
サロンにいらしているお客様の口コミや、
雑誌などで取り上げていただくことで
認知が深まっていきました。
伊藤
使うと良さがわかるんです。
高柳
「嫌じゃない」んですよ。
伊藤
そう! 以前のものをやめたことで、
「余[yo]」の良さがわかったという声も多いんです。
それ、すごくよくわかります。
「いままで、そうだったんだ!」って。
高柳
「今までのものをやめるとわかる」ことって、
あるんじゃないかなと思いますね。
伊藤
そして逆に、たまに旅先で宿のものを使って
「ああ、いつものと違う」と思ったりも。
面倒がらず、持ってくればよかったなって。
高柳
「頭皮のことを健やかに思う」ことが大事ですよね。
一般的なシャンプーって
「髪」にフォーカスしたものが多いんですけれど、
「余[yo]」は頭皮を大事にしています。
伊藤
髪の毛も頭皮から生えてくるわけですし。
高柳
伊藤さん、逆にどういうシャンプーを選んでました?
伊藤
オーガニックをうたったメーカーのものを、
いくつか使ってみたり、
敏感肌用のものを使ってみたり。
でも肌があれることもあったし、
香りにぴんとこない、とか
髪がキシキシしてしまうものもあったりして。
高柳
痒みがなぜ起きるのかまで
みなさん追求をしないんですよね。
成分を調べるのは難しいんですけど、
少しでも知っていただくのはすごく重要かもしれない。
でも、調べ切れないし、勉強も難しいんですよね。
伊藤さん、たとえば、
キャリーオーバー成分ってわかりますか?
伊藤
ん? キャリーオーバー。
高柳
僕も開発に携わるまで知らなかったのですが、
みなさんおわかりにならないと思うんです。
これは製品に「表示しなくていい成分がある」、
ということなんです。
たとえば微量の防腐剤が原材料に含まれている場合、
製品の成分としては書かなくていい。
なぜなら、その防腐剤は、
その製品をつくるために使ったものではなく、
材料の保持のために入っていたものだからなんです。
結果、その製品は「防腐剤フリー」だと
思われちゃうかもしれないですよね。
伊藤
なんと‥‥。
高柳
そういう落とし穴があるんです。
成分表示や容器の裏面に、
キャリーオーバー成分について注記されていれば、
見る人が見ればわかるわけですが、
一般のかたには難しい。
だから美容師や理容師を頼ってほしいなって思うんです。
ショップのかたと比べて
多岐にわたる商品知識はないかもしれませんが、
日々それを使って実証しているわけで、
「使って大丈夫だった」製品は知っていますから。
伊藤
今回「weeksdays」では
シャンプー2種類(余白1 素髪感/余白2 潤い感)と
トリートメント2種類(余韻1 浸透感/余韻2 濃厚感)、
そしてトライアルセットを販売します。
まずトライアルセットで試していただくのもいいですね。
高柳
はい。トライアルセットは、
シャンプー2種に、トリートメントは「浸透感」の
3本がセットになっています。
これ、旅行用に持って行くのにも、いいですよ。
使っていただくと「嫌じゃない」のが
わかっていただけると思います。
伊藤
「嫌じゃない」っていうことが、
わたし、最近、すごく大事だなと思っているんです。
友だちも、「好き」なものが似てるんじゃなくて、
「嫌」だなっていうものやことが一緒のほうが、
感覚が近いと思うんです。
「好き」って感覚は、以外と広いから。
高柳
何に違和感をおぼえるか、ですよね。
だから違和感のないものって、
すごくいいなって思います。
僕は「良すぎる」ものには違和感があるんです。
たとえばすごくリッチで高価なものとか。
「ちょうどいい」が大事だなって思います。
伊藤
「余[yo]」は香りもちょうどいいですよね。
高柳
そうだ、香りについても話させてください。
僕、「蓼科ハーバルノート・シンプルズ」っていう
ハーブとアロマテラピーの専門店に、
「余[yo]」のシャンプーの香りを完成させるのに
月に2回くらい通いました。
「感覚のままでいいんですよ」と言われながら、
担当のかたに手伝ってもらい、ここに行き着いたんです。
トリートメントの香りは、その当時の担当のかたが、
ちょっと開放的になるようなイメージで
つくってくださいました。
伊藤
そうそう、トリートメントは
シャンプーとセットで使ったほうがいいですか。
高柳
化粧水はつけても今日は乳液はいいや、
というような感覚でもいいんですが、
一応、トリートメントを使ったほうが、
髪のタンパク質上はいいですね、と言えます。
爪と一緒で、やっぱり水分や保護っていうのは重要なので。
伊藤
そうなんですね。
高柳
「余[yo]」のトリートメント
「余韻1 浸透感」を出した当初、
シリコン系を使っている人が
物足りないとおっしゃったんです。
それで「余韻2 濃厚感」ができました。
髪が長い人や、カラーがハイトーンの人には
「余韻1」だと物足りないと。
伊藤
ほかに、はじめてのかたに
お伝えしておいたほうがいいことはありますか。
高柳
夏と冬の気温の変化で粘度が変わります。
これは天然成分ゆえなんですよ。
伊藤
なるほど、理解しました。
高柳さん、くわしいお話をありがとうございました。
こうしていろいろなことを知ってから
使うのが、またたのしみです。
高柳
「嫌じゃない」感じを
共有していただけたら嬉しいです。
ありがとうございました。
(おわります)
2025-08-05-TUE