2026年版で4年目となる
weeeksdaysの日めくりカレンダー」。
写真・構成を担当した伊藤まさこさんと、
1年のうち数ヶ月をこの制作についやす
「ほぼ日」の山川路子と太田有香が、座談会形式で、
制作の裏話から、お使いいただいてるみなさんの
「こんな使い方も!」というアイデアまで、
6回にわけてたっぷりおとどけします。
なおこの内容は、
今回「weeksdays」ではじまる
ラジオのような音声コンテンツでも配信。
こちらはその内容をわかりやすくまとめた
編集バージョンです。

商品写真=有賀 傑

みんなのプロフィール


いとう・まさこ

スタイリスト/「weeksdays」プロデューサー。
週刊の「weeksdays」を休むことなく、
いくつかのプロジェクトも進行中と多忙だが、
2025年になって「思い立ったら吉日」な旅も
いくつかできたし、
山荘での夏休みもたっぷりとることができ、
元気いっぱい。
日めくりカレンダー用の写真撮影も収穫多し! 
最近のテーマは「重いものから、軽いものへ」。
日々、暮らしを軽やかにすることを考えている。


山川路子
やまかわ・みちこ
「ほぼ日」乗組員/「weeksdays」デザイン担当。
2010年に「やさしいタオル」のインタビューで
伊藤さんに出会って以来、様々なプロジェクトを共にし、
「weeksdays」の立ち上げから参加している。
日めくりカレンダーを作り始めたころは幼かった
双子の娘たちも小学一年生になり、
小学生の夏休みの突入におびえていたが、
伊藤さんがしっかりと夏休みをとってくださった
おかげで、なんとか小学生の夏休みの母の業務を
完遂できそうな見込み。
毎朝のお弁当づくりに、宿題に、お泊り会に
田舎への帰省に、海に花火にと、よい夏でした。


太田有香
おおた・ゆか
「ほぼ日」乗組員/「weeksdays」商品担当。
商品事業部。「weeksdays」をはじめ、
さまざまな商品プロジェクトに関わっている。
日めくりカレンダーを作り始めてから、
自分がカレンダー好きだということに気がつく。
多い時は、月めくり2つ、週めくり1つ、日めくり2つと
家に5個のカレンダーを所持し、
月の始まりは、全部をめくるので忙しかった。
最近は、月めくり1つと日めくり2つに落ち着いている。
白くてふわふわしたものが好き。鳥は苦手。

02
毎日が誰かの誕生日

山川
最初の1年目は、
伊藤さんが撮りためた数年間の写真から
365日に使うものを選んだんですけれど、
何がすごいって、
そのあとは毎年撮れたての写真で
構成しているということです。
伊藤
最初は、翌年のことは全く考えずに、
かわいい写真を5年分、
さかのぼって選んだんだけど、
「あれ、もしかして来年もあるのかも‥‥」となり、
翌年から、1年で撮った写真を
使うようになりました。
山川
私たち伊藤さんに取材で同行するとき、
iPhoneで撮っている姿を見ると
「もしかして」って思います。
今、日めくりカレンダーのために撮ってるのかなって。
伊藤
カレンダーのためもあるんだけれど、
写真を撮るのすごく好きなんです。
山川
(シャッターを押すのに)
迷いがないですよね、いつも。
取材先でアトリエの様子を撮られたりとかする様子を
けっこう見るんですけど、めっちゃ速いんですよ。
ぶれないのが不思議なぐらいの速さで。
太田
スナイパーみたい。
伊藤
幸運なことにweeksdaysは
取材先の方々が皆さん、素敵なので、
「ちょっと撮らせてください」という感じで。
山川
そしてあらためて私たちからその写真を
「カレンダーに載せてもいいですか」と
取材をしたかたに問い合わせるんですよね。
その1年分のカレンダーの台割
(どの日にどの写真を載せるかの順番)を決めるのも、
実は伊藤さんが全部なさっているんですよ。
太田
同じような風景が続かないようにとか、
ちゃんと季節に合うように、
すごく考えてくださって。
伊藤
最初に、だいたい1ヶ月ごとに分けるんです。
みんながつくってくれた、これを。
太田
あ、写真を使用サイズにプリントして
1枚ずつ切ったものですね。
伊藤
そう。トランプみたいに
1月から12月に振り分けるのがスタート。
山川
まず振り分け作業。
伊藤
そう。それで、これもみんなにつくってもらった、
大きい月間カレンダーを床に拡げて、
1枚ずつ貼っていくんです。
気をつけているのは、
画角が一緒のものが続かないこと。
俯瞰が並ばないように、とか。
あと同じテーマが続かないように、
たとえば料理が並ばないようにとか、
撮影した場所が同じ国、同じ場所が続かないようにとか、
もし同じ場所で室内のものと外のものがあったら、
なるべく離して、それぞれ合う日を探すとか。
あと風合いかな。
硬いものと柔らかいもの、色のバランスですね。
「こんな感じ」みたいにササッと、1か月20分ぐらいで。
山川
すごい集中力!
太田
できないですよね‥‥。
伊藤
でもすごく集中してるから、
3ヶ月ぐらい続けると、
1回ソファーに横になったりするの。
しばらく休んで甘いもの食べたりお茶を飲んだりして、
よっしゃーってなって、また3ヶ月やってまた横たわる、
みたいなのを繰り返して、1日で全部レイアウトを決める。
山川
「できたよ」と持って来られるときは、
楽しそうな感じも伝わるんですけど、
この作業をしたら満身創痍なんだろうなって。
伊藤
楽しい作業ですよ。
写真を撮るのと同じぐらい楽しい。
山川
私たちも受け取るのを毎年楽しみにしています。
今、月曜日から土曜日の話を主にしたんですけど、
日曜日と祝日の写真は
weeksdaysの商品撮影のタイミングで、
写真家の有賀傑さんに撮っていただいたものを
使っているんですよね。
もちろん伊藤さんのスタイリングで。
伊藤
はい。商品の切り抜きの場合もあるし‥‥。
山川
伊藤さんが雑貨を集めてきてくださったり、
おうちから持って来てくださったものも。
伊藤
野菜とかもありますよね。
山川
そういうのが入ってるとちょっと嬉しいんです。
伊藤
うんうん。切り抜きっていうことで変化がつくのと、
有賀さんの写真の端正な感じが
週1回でも入るとキリッとする。
これはほんとに助かってます。
山川
めくって切り抜き写真が出てくると
「お休みだ!」って嬉しくなるんです。
伊藤
昨日この日めくりカレンダーの撮影があったんだけれど、
モデルを務めてくれた
蘭ちゃん(谷口蘭さん)がパラパラっと見て、
料理の写真を見て
「わぁ、これおいしそう」と、喜んでくれて。
美味しくてかわいいものって
こんなふうに人を喜ばせる力があるんだなあと。
山川
嬉しかったですね。
伊藤
蘭ちゃんは初見だったわけで、
初めて見る人があんなふうに喜んでくれ、
ワクワクしてくれる姿ってすごいと思って。
つくってよかったなあ。
山川
目の当たりにしましたね。
これってweeksdaysで売っている商品の中で
たぶん一番たくさん作っている印刷物なので、
インスタとかにもけっこう出て来るんです。
それを見ると、
皆さんがこんな気持ちで使ってくださってるんだと、
すごく嬉しくなるんです。
伊藤
カレンダーって自分と共に1年を過ごすわけでしょう。
それにこれを選んでくれるっていうことが
すごいと思っているんです。
山川
責任重大!
伊藤
だから抜かりなくやりたい。
みんなまず自分の誕生日から見るんですよね。
ということは毎日が誰かの誕生日だから、
すべての日にいい写真を入れたいな。
太田
私も毎年誕生日を楽しみにしてます。
伊藤
あ、ほんとに? 
わたし、自分の誕生日の写真、覚えてない。
太田
あはは。
伊藤
2月9日は‥‥。
太田
かわいい子です。
かわいいワンちゃん。
伊藤
パリで撮った1コマですね。
山川
太田さんは?
太田
8月27日なんですけど、
重ねたお皿の写真です。
山川
これいいものじゃないですか。
骨董みたいな。
伊藤
はい。
太田
路子さんは?
山川
私は10月29日なんですけど、
これは私たちの思い出の、
大好きなイタリア料理店のメニューの黒板です。
めっちゃ嬉しい。
伊藤
全部イタリア人のマダムが書いてるんだって。
山川
メニューの一部分を
こんなふうに写真に撮るってすごくないですか。
太田
ほんとそうなんですよ。
こうやって撮るんだっていう
お手本になります。
山川
撮影のヒントがいっぱい。
だから写真集みたいに楽しめますよね。
6月17日は、商品開発で使う布の色見本なんですが、
これをこんなふうにかわいく撮れますか? って。
伊藤
これはfog linen workに打合せに行ったときに、
ちょうどインドから色見本を
持って来てくださってる方がいらして、
「かわいい。撮らせてください」って。
黄色のバリエーションを撮りました。
太田
私だったらメモとして撮ることしか
考えられないような素材なんですけど、
こんなに素敵な形で撮れるなんて。
伊藤
これを撮ったときは下に見えている
テーブルの感じや光がよかったんだと思います。
それがレンズを向ける動機になったんじゃないかな。
太田
なるほど。すごいですね。
(つづきます)
2025-08-31-SUN