「weeksdays」初登場の、革小物のi ro se(イロセ)。
かねてから「かわいくて、ちいさくて、使いやすい財布」を
探していた伊藤まさこさんが、
いま、とても気になっているブランドです。
「weeksdays」で扱わせていただくミニウォレットは、
一枚の革を縫製せずに折り込んで組み立てた2つ折りで、
「いったい、どうなっているの?」というふしぎなつくり。
これをつくっているのは、ふたりの兄弟を中心にした、
わずか6人のチームなんだそうです。
そんなi ro seのみなさんに、伊藤まさこさんが取材。
ものづくりのひみつを、たずねました。
i ro seのプロフィール
i ro se
2003年にスタートした革小物のブランド。
イロセは、日本語の古語で「兄弟」をあらわし、
「色」の語源でもあるといわれることば。
新しい発見、遊びを形にしながらも奇をてらわず、
使う人、場所を選ばない、
どこにでも溶け込むような
ニュートラルなデザインに落とし込んで
兄弟ふたりでプロダクトづくりを行なっている。
「幼少期に家の中にある廃材を使って
二人でおもちゃをつくっていました。
周りにあるものを使って、
何かをつくるのが日常的な遊びであり、楽しみでした。
今も、幼少期の遊びの続きをi ro seに置き換えて、
新しいおもちゃをつくりだす様な感性で
プロダクトを制作しています」
01兄と弟の共同作業で
- 伊藤
- こんにちは、このたびはありがとうございます。
まず、i ro seの成り立ちから
うかがってもいいですか?
- i ro se
- はい。i ro seは、
兄弟ふたりで、2003年に始めたブランドです。
ことしで22年目になります。
- 伊藤
- おふたりとも、手を動かして?
- i ro se
- デザインとブランドの監修はふたりでしていますが、
制作は主に弟が担当し、
兄が写真を撮ってウェブサイトなどの
グラフィックデザインをする、というような分担ですね。
つくり手はもうふたりいて、
チーム全体だと6人体制です。
- 伊藤
- コンパクトなチームなんですね。
- i ro se
- はい、自給自足、みたいな感じですよ。
- 伊藤
- どんなきっかけで、ご兄弟で起業を?
- i ro se
- 小さな頃から、あんまりおもちゃが家になかったので、
手づくりをしていたんです。
テレビもあまり見ない家でしたし、
おもちゃを与えないのは、
親の方針だったんでしょうね。
でもふたりとも、もともと、つくることが好きで、
母が工作用にとっておいてくれる
発泡スチロールのお皿や厚紙、段ボール、
トイレットペーパーの芯を使って
おもちゃをつくっていたんです。
- 伊藤
- そんな幼少時代だったんですね。
それで、おふたりとも、ものをつくる道に進まれて?
- i ro se
- 高校を出て、服飾系の専門学校に進みました。
というのも、高校生くらいから
キラキラしたものに惹かれていって、
洋服がとても好きになったんです。
たぶん親が買ってくれる服が地味だったことへの
反動だったんだと思いますけれど。
- 伊藤
- ご両親は、お洋服にも
ストイックな感じだったんですね。
でも、進路には意見なさらなかった?
- i ro se
- そうなんです。そこは尊重してくれました。
それで、兄は洋服作りをする服飾科、
弟は同じ学校の工芸科に進みました。
そのうち、兄のほうも、洋服をつくる勉強をしながら、
空いている時間に趣味でバッグをつくりはじめて。
「工芸科、いいなぁ」なんて。
- 伊藤
- わたしもおなじです(笑)。
やはり学校で洋服作りを学んだんですが、
入ってから工芸っていいなぁ、と思いました。
それにしても洋服づくりの勉強って、
課題がたいへんだったでしょう?
- i ro se
- バイトもできないくらいの課題が出ますよね。
- 伊藤
- さらに趣味でバッグをつくるなんて、すごいです。
その時から革を使っていたんですか。
- i ro se
- 革でしたね。
- 伊藤
- そのときからおふたりとも、
今の仕事を目指していたんでしょうか。
ぼんやりとでも「いつか」が、あったとか?
- i ro se
- それが、とくになくて。
何も考えていなかった、というのが
正直なところなんです。
- 伊藤
- そのときにつくったものって、
今見ても同じだなって思いますか。
- i ro se
- いや、そのときはデザイン性のあるものは
とくにつくっていなかったんです。
「あれがほしいけど、買えないからつくろう」
というのが動機だっと思います。
洋服と同じで、当時流行り始めたマウンテンパーカを
「かっこいいけどあまり種類がないし、
あっても高くて買えないから、
いっそつくっちゃおう」みたいなことですよ。
- 伊藤
- 学校で学ぶってすごいですよね。
それまで何にもできなかったのに、
パターンが引けるようになって、
洋服がつくれるようになる。
- 伊藤
- 学校を出られてから、
ブランド設立に至るまでは、
どんな感じだったんですか。
- i ro se
- 卒業後、兄はバイト生活をしながら
小物づくりを続け、
弟はバッグメーカーに就職して
サンプルをつくる仕事をしていました。
デザイナーがつくったデザイン画から、
工場で生産するためのサンプルをつくる仕事です。
将来のことは何も考えずにいたんですが、
その後、それとなく
兄と弟で一緒にやろう、という話になったんです。
- 伊藤
- いちばん最初に二人でつくったもの、覚えていますか。
- i ro se
- 風呂敷みたいな布を正方形に折り込んでいった
折り紙のバッグをつくりました。
その発想の元は、兄のほうが
インド料理屋でバイトをしていて、
テーブルナプキンを折るときに、
「これで何かにならないものかなあ」
と考えていたことなんです。
- 伊藤
- 今のお仕事に通じていますね!
- i ro se
- それで「これ、いけるかも」と。
(つづきます)
2025-08-18-MON