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40代からの下着選び。
- 伊藤
- 松原さん、
お越しくださってありがとうございます。
松原さんに下着のこと、
いろいろ教えていただきたくて。
- 松原
- こちらこそ呼んでいただいてありがとうございます。
40歳以上ってね、
下着に関心が高くなる年齢なんですよ。

- 伊藤
- たしかに40代になると、
誰かにアピールするためじゃなく、
自分のために下着を揃えたい、
という人が増えますね。
自分を大事にしたいっていうか、
自分のことに気が向く歳ってことですよね。
- 松原
- そうですね。
40代は人生にとっても、
女性の身体にとっても、分岐点です。
青春を謳歌している20代、
恋愛、結婚、出産などを経験する30代。
そして子育ての一段落した人、
社会人として心にも経済的にも余裕が出来る人など、
公私のバランスがとれる40代。
女性にとって40代は人生の中での
大きなターニングポイントともいえます。
- 伊藤
- そうかもしれないですね。
- 松原
- それと、また、
女性の身体のサイクルをつくっている
女性ホルモンの働きが減退しはじめ、
30代後半からは大幅な体重増加や
体型変化が見られます。
40代、50代、年を重ねて、
今は人生100年時代ですので、
いくつになっても若々しく輝けるために、
女性の身体の変化に寄り添える下着を選び、
身も心も充実した人生を送ってほしいと思います。
- 伊藤
- 子育ての時期は、
下着より先に、することがあるんですよね。
- 松原
- そう。だからもう、パッと着られて脱げる、
ユニクロさんのブラキャミソール的な下着に
人気が集まるんだと思いますよ。
- 伊藤
- たしかに、いま、ファストファッションの下着って、
すごく安いですし。
- 松原
- 安いです。しかも優れてますよね。下着に限らず。
デパートで売ったら2900円ぐらいするものが、
1000円で売っていたりする。
下着は洗濯が激しいじゃないですか。
すごくいいものを持っていても、
おんなじくらいには、洗濯するわけだから、
そういうものが欲しくなる気持ち、わかります。
- 伊藤
- いい下着も、手洗いをするのかと思うと、
くじけそうになりますよね。
かといってクリーニングに出すわけには、いかないし。
- 松原
- ユニクロさんが席巻しているのもわかりますよね。
よく言われている言葉で、
25歳がお肌の曲がり角、
35歳が体の曲がり角。
だいたい38歳を過ぎたあたりで、
体が衰えはじめるのを実感しますよね。
- 伊藤
- 分かります。
ほんとに、38の時、実感しました。
あれれ? って。
- 松原
- そのとおり。
- 伊藤
- そのあとは、どんな感じですか?
- 松原
- そのあと、もうどんどん下降線ね。
- 伊藤
- ほんとに‥‥?!

- 松原
- 40代~50代の身体の変化として、
体型や体質の変化が実感され始める頃です。
それは女性の閉経が、
個人差はありますが50歳頃、
その前後の5年間、
だいたい45歳から55歳が更年期で、
筋肉や脂肪は量も質も変わります。
体型、体質、感覚の変化が出てきて、
いままで着けていた下着があわなくなります。
60代以上は、骨格や呼吸、体質などが変わってきて、
体型を変えてしまったりします。
でもフランス人作家のミレイユ・ジュリアーノさんの本、
『フランス人の40歳からの生きる姿勢』に、
女性のピークは65歳であり、
年寄りとは90歳以上のことで、
年をとることは
いいことがたくさんあると書かれています。
今日は、40代以降のみなさんに
着てほしいなと思うものを持ってきました。
自分で着けようかなと思って買ったものなんですけども、
もちろん未着用でございますよ。
着用済みだったらドキッとしちゃうものね。
- 伊藤
- 松原さん、可笑しい(笑)。
‥‥わぁ、素敵!
- 松原
- 見ていただきながらのほうが、
いいかなと思って。
- 伊藤
- 伊勢丹時代には、
すごくたくさんの女性の裸を
ご覧になりましたよね。
- 松原
- ええ。もうほんとうに。
- 伊藤
- バストの話をすると、たとえば同じCの70でも、
体の厚みとか、かたちが、
人によってぜんぜん違うんですよね。
- 松原
- そうです、ええ。
女性の下着のサイズがどれだけあるかっていうのを、
外国と日本で比較してみましょう。
日本、アメリカ、ヨーロッパ。
‥‥たとえばイタリアは、
1、2、3、4、5、6、7、
8まであるんだけれど、
日本に入ってるのは、4ぐらいまでなの。
なぜかというと、いろんなものを入れちゃうと、
パンクしちゃって、お店が潰れちゃうので、
輸入物は、せいぜい4くらいまでしか入ってないんです。
でも、作ってるのは、6、7、8まであって、
そういうふうに大きなほうへの幅はあるけれど、
刻みは、かなりざっくりしているんです。
いっぽう日本の下着はサイズがこまかく、
2.5㎝刻みくらいで揃っている。
だから日本の人たちっていうのは、
ちょっときついわとか、ゆるいわって感じても、
なんとか合うサイズを見つけることができるんですね。
逆に言うとわがままがとおるということです。
- 伊藤
- 日本と比べて、海外ブランドの下着って、
ブラジャーでもカップがしっかりしてる感じは、
イメージに、ないんです。
- 松原
- ボディメイクをしているブラジャーもありますが、
日本に輸入されているものが少ないのかもしれません。
- 伊藤
- わりと、おおらかですよね。
あんまりパッドも入ってないし。
- 松原
- そうです。海外では下着って、
きれいな胸に、ふわっとのせるだけで形がつくられる。
バストのかたさによるんですけれど。
ただ、そういうタイプも、あったらいいなと思いません?
こういうタイプの下着も、高いものばかりではないし、
これを着けることでちょっとエレガントな
気持ちになるんじゃないかな、っていうふうに思う。
- 伊藤
- はい。やっぱり素敵ですね。
- 松原
- いっぽうでね、
これはふだん私の使っているタイプなんですが、
「なんにもない」タイプ。
- 伊藤
- なんにもない?
あ、ほんとだ!
ワイヤーも入っていませんね。
- 松原
- すごく楽なんです。
- 伊藤
- これ、ラ・ペルラなんですね。
- 松原
- ラ・ペルラが
レースだけだと思ったら大間違い。
これ、ほんとに、すごくいいですよ。
白と黒とベージュがあるんですけども、
その3色を持っていればいいと私は思ってます。
ずっとそれを使っている。
ところが。
- 伊藤
- ところが?
- 松原
- 飽きちゃうんですよ。
そうすると、レースのものを着ようかなと思う。
そんなときにはこれ。
- 伊藤
- ああ!
- 松原
- 飽きちゃう、っていうよりも、
そればっかり使ってると、
だんだん、どうでもよくなっちゃうんですね。
やっぱり、下着って、
着替えるとき、一番最初に肌につけるから、
つけた時、「あっ!」って気分が上がって、
じゃああの洋服を着ようとか、
そんなふうに思える。
それが大事なんです。
- 伊藤
- まさに!
- 松原
- これだったら、黒でツルンとしてるから、
透けて目立たないような色を着よう、
だったらあの洋服を着よう、っていうようにね。
次のステップの夢が描けるようなものが
いい下着だと思うんですよ。
- 伊藤
- 確かにそうですね。
- 松原
- ですから、そればっかり着てると、
慣れになっちゃうんです。
だからこうやって、混ぜこぜにしておく。
- 伊藤
- じっさいに松原さんにも、
「どうでもいいわ」っていう時期があったんですか?
- 松原
- じつは若い頃はずっとそうでした。
お化粧もそう。苦手だった。
下着は、あんまり胸がなかったもんですから、
ブラジャーはつけてもつけなくても、おんなじかな、
なんて思っていたんです。
でもこうやって、コンシェルジュとして、
お客様と接するようになった時、
「松原さんは、どういうのを着てるの?」
と聞かれるようになった。
そのとき、私が何を着ているのか、
確固たるものを持っていないと、
説得力がないと思われるんじゃないかなと、
いろんなタイプのものをつけてみよう、となりました。

- 伊藤
- それは、お客様から、
実際、聞かれたりもするんですか?
- 松原
- もう、すごく、聞かれます。
「見せてくださる?」って。
- 伊藤
- そういえば松原さんの接客は、
初めてでも、すごく距離が近いですよね。
普通に試着していただいたのを見て「いいですね」、
っていうんじゃなくって。
もういきなり、裸の関係になる。
- 松原
- だってお客様が裸になって
着替える覚悟でいらっしゃるのに、
こちらが構えちゃうと、
あちらも構えちゃうと思うんですよ。
ですから、気持ちは裸同士で付き合ってないと。
- 伊藤
- そうなんですよね。
だから、着替え終わってのあのひと言、
「よろしいですか?」っておっしゃる時、
一気に距離が縮まるんですよ。
物理的にもそうだけれど、
心理的にも松原さんがすごく近い存在になる。
- 松原
- そうですね。
きちんとたたんで引き出しに。
時々、えいやっと思い立って、
下着を見直すことがあります。
引き出しの中にあるものをすべて出して、
これはいる、これはもう着ない、
と選別していくのです。
いつも、
「もう着ない」というほうが、
半分くらいあって、
どうしてもっと早く片付けなかったんだろう?
と反省するのですが、それと同時に、
次はどんな下着を買おうかな?
とたのしみにもなる。
この前、買い足したのはcohanのキャミソールブラと、
ボクサー型とふつうの形のショーツ。
新しいものが届いたら、
きちんとたたんで引き出しに並べるのですが、
その様子はなんだか清々しい。
引き出しの中は、いつもこうありたいものです。
今週のweeksdaysは、
cohanの下着をご紹介します。
ブラキャミソールは、
私が持っていた元の形に、
ちょっと変化をくわえてもらいました。
そちらは商品紹介でお伝えしますね。
どうぞおたのしみに。
「いいものを、すこし。」を目指せ!
- スガノ
- ああ、今日は反省しました。
「そんなことやってらんないよ」
って言わずに、やったほうがいいってわかりました。
- 倉持
- そうすると、素敵な部屋着を
着たくなると思う。
- あやや
- そうなの。ほんと、そうなの。
- スガノ
- 1個1個、1歩1歩ですよ。
どこからでも1個からでいいんですよ。
そこからきっと変わっていくんですよ。
- 倉持
- ほんとですか。焼け石に水じゃないですか。
- 伊藤
- でもそうだよ。私、スタイリストだから、
たとえばお皿一枚をよく見せたいと思ったら、
テーブルの素材、カーテンの質感、
光の具合なんかを考える。
いつも仕事の写真みたいに見てる。
そういう職業柄の視線はあるかも。
- あやや
- たしかに、ご職業ですものね。
- スガノ
- よくほら、整形した人も、鼻やったら目って言うじゃない。
- 伊藤
- 次はちょっとここをやってみようかなとか?
- 倉持
- それを順番にやってったら、
最終的に部屋がきれいになるのかな?
雑然としてるなかに素敵なものを置いても、
伊藤さんのおうちみたいになる?
- スガノ
- 一歩一歩ですよ。
- すわ
- やっぱり頑張らなきゃ。
- 伊藤
- べつに頑張らなくてもいいじゃない。
- スガノ
- 伊藤さんは頑張ってるわけじゃないですもんね。
- あやや
- 習慣づけることだと思う、私は。
1回にすごい頑張るんじゃなくて、
毎日すこしずつやって、習慣にする。
- すわ
- そうか、習慣。
- スガノ
- そうだよ。私、5キロ痩せたんですけど、
「安いものを食べない」という方法があると
ダイエットの本に書いてあったのを実践したんです。
- 伊藤
- 「いいもの」ってこと?
- スガノ
- そう。安くてすぐお腹がいっぱいになる
ファストフードを避けて、
ファミレスに行ってもステーキを食べなさいって。
なぜそれで痩せるかっていうと、
それをやってたらお財布ももたないから。
家で食べるお刺身でも、
いいものを買うようにして、
しかもそれを3カ月続けろって。
つまり、習慣づけなさいってこと。
だから私はフリースを脱ぐ!
その一歩がないと、素敵な部屋着への
道は歩めないと思う。
- あやや
- 四十代になって思ったのは、
同じ形をしていても、生地の良し悪しって
すごく重要なんだなということです。
いい生地のものをちゃんと着たいなって、
やっぱりこのぐらいの年齢になってくると
思うようになるものなんですね。
- スガノ
- そうですよ!
- 伊藤
- 年を取ると敏感になってくるの。
素材によってはちくちくする、
かゆくなる、みたいに。
その「おやっ?」いう曲がり角は、41歳。
- あやや
- わっ。過ぎてる!
だから気になってきたんですね。
- 伊藤
- ストレスを受けちゃうの。
- スガノ
- そうなのよね、
「かわいいのになぜか着なくなっちゃった」
っていう服って、デザインじゃなくて、素材。
- あやや
- あと、やっぱりいい生地だと、
見た目がきれいですよ、
着ていてやっぱり違う。
- スガノ
- 言える!
- あやや
- だから今回の部屋着、ぜったいいいと思う。
- スガノ
- あれはコットンですか。
- ──
- コットン100%です。
とってもいいコットンですよ。
- 倉持
- トップスのお揃いのものもあるんですか。
- 伊藤
- パンツのお揃いはないんだけれど、
ワンピースタイプがあるから。
- すわ
- ワンピースは外でも着られるんですよ。
部屋にするにはもったいないくらいです。
- スガノ
- みんな! それをあえてひとりの時に着ると、
ぜったいかっこいいよ!
私、寝るときはフリースを脱ぐけど、
ワンピース型のパジャマなんですよ。
そうすると足の間に、猫が2匹入ってきて、
すごーくしあわせなの。
- 伊藤
- 暖かいのね。
- あやや
- うちの子もそう!
- 伊藤
- ほんとに? 猫?
- あやや
- 男子。5歳児。
- スガノ
- 男子ってそうなのよねぇ‥‥。
母が薄着になると
わらわら寄ってくるの!
- あやや
- ですよね!
- 伊藤
- そうなの?!(笑)
- スガノ
- 男児のいるお母さんは、
ワンピースで寝るといいですよ。
- すわ
- 何のアドバイスですか。
- 伊藤
- ちょっと話を戻させてね(笑)。
樋口可南子さんの本に
『いいものを、すこし。』
っていうのがあるでしょう。
そのタイトル、名作だなと思っていて。
最近ほんとうに、そう思うもの。
セーターでも、適当なものを複数枚買うのを我慢して、
いいものを1枚買って、それを着けることは、
それを大事にするし、いいものっていいし。
そういえば矢野顕子さんも
「おいしいものを、ちょっとだけでいいの」
っておっしゃってた。
うんとおいしいお菓子を、ちょっとだけって。
そういうふうになっていくんだと思う。
- あやや
- いいものを、すこし。
言いたい! そう言いたい~!
- スガノ
- 私、お客さんから教えてもらったんですけど、
「生活のたのしみ展」で接客をしていたら、
目利きのお客さんが、
「こういういいものを買うと、
傷がついても、その傷がいいんですよ」
っておっしゃったの。
- 伊藤
- そうなの、そうなの!
- スガノ
- だから、お洋服とか、ちょっと古びても、
いいものはその古び方がいい。
- ──
- リモワのトランクが、
傷がついてこそカッコいい、みたいな。
- 諏訪
- たしかにそうですね。
- 伊藤
- プラスチックなものって、
買った時がいちばんきれいでしょう。
でも、木のものとかって、
使っていくうちによくなっていく。
- スガノ
- そういうお年頃に私たちも!
- 伊藤
- でしょう?
- 倉持
- いやー、私頑張ります、もうほんと!
- あやや
- 頑張って、奈々ちゃん。
- 倉持
- 頑張る。
- スガノ
- そうだよ。裸はやめよう。
- 伊藤
- 裸はいいと思うのよ。
でも、たとえば裸で寝るとしたら、
シーツはうーんと気持ちいいのがいいよね、
という方向に行きたいの。
永遠なんですよ、いいものを探すって。
- 倉持
- わかりました。
安物買いの銭失いになっちゃダメってことですね。
- スガノ
- 私も宅配便のダンボールは捨てます。
- ──
- そういえば伊藤さん、
ダンボール開けるのきれいですよね。
- 伊藤
- そんなことないよ。嫌いだもん。
- ──
- じゃ、嫌いだからから、手早いんだと思う。
撮影のとき開けるのを見ていて、
ちゃんとガムテープは全部剥がして別にしてね、
っておっしゃってた。
もう1回使う時にガムテが残ってると
上から貼れないから二度手間になるよって。
- 伊藤
- そんなこと言ったんだ。
でも確かにそうしてる。
- スガノ
- そんなこと、気にしたことなかった。
- 諏訪
- 考えたこともなかった。
- 伊藤
- それに、再生するとしたらさ、
テープは邪魔じゃないかなって。
たしかに私。
まとめる時、きれいかも、ゴミ。
- ──
- マツコさんもそうだって
テレビで言ってました。
- 諏訪
- 見ました! なるべくちっちゃくするし、
メチャクチャ分類もちゃんとするって言ってましたね。
- ──
- そういえば、引っ越したら、
管理がきびしい集合住宅で、
気を付けるようになってから、
ゴミが減ったんですよ。
ゴミを出さないように考えてる。
- 伊藤
- どういうふうに心がけているの?
- ──
- 生ゴミ処理機を使いはじめました。
それでだいぶゴミが減ったんですが、
ダンボールを減らしたいから
宅配もなるべくまとめて注文するようになったし、
スーパーでプラ袋をなるべく貰わないようにしてるし、
ペットボトルのゴミを減らしたくて、
炭酸水を買うのをやめて、
炭酸水メーカーを使うようにしてます。
- 伊藤
- 私もペットボトル、ふだん全然使わない。
外出時はお茶持参。
原稿で煮詰まっている時は、
コーヒーやお茶を飲むけれど、
液体はお酒か水しかほとんど飲まない。
- すわ
- 潔い!
- 伊藤
- 味のついたものも、
あんまり飲まないようにすると、
食事の味に敏感になるよ。
だからふだん日中は白湯!
- スガノ
- マネしよう。白湯。
片づけABC。
- すわ
- 伊藤さんは「面倒」だと思うことはあるんですか。
1日の最後は絶対片付けして、
次の日の朝ちゃんと迎えられればいいんですけど、
どうしても後回しにしちゃうんです。
どうせ自分がやることだから、かわりないのに、
面倒だなぁって思っちゃって。
- 伊藤
- 面倒‥‥かぁ。
自分のペースでできることは面倒だと思わないな。
でもね、自分のペースでできないことは、面倒ですよ。
たとえば女友だちの愚痴を聞くとかね。
- スガノ
- 自分がやることは面倒じゃないんですね。
- 伊藤
- そうそう。
- スガノ
- 私たち、何でも面倒くさがるよね。
- 倉持
- 後回しにしちゃいます。
- スガノ
- 全部が後回しですよ。
- 伊藤
- それは忙しいからだと思う。
私、みんなより忙しくないもん。
- スガノ
- そんなことないですよ!
- 伊藤
- ほんとに、絶対ほんとに、
それだけは言えます。
みんなより忙しくない。
- スガノ
- そんなこと絶対ないです。
私すごい、ダラッダラダラッダラしてますよ。
朝とかもね。
- 伊藤
- 私だってしてるよ~。
- スガノ
- そうかなぁ。
- 伊藤
- べつに片付けが好きなんじゃないの。
片付いたほうが気持ちがいいから、してる。
- あやや
- たしかに気持ちいいです。
伊藤さんのおうち、換気環境がよさそう。
風がとっても気持ちいいですもん。
- 伊藤
- うん、よく換気してる。
- あやや
- やっぱり家は風通しが大事ですよね。
片づいているから埃も立たないし。
- スガノ
- 片づけかぁ。たしかに私、
40代後半からベッドで寝るようになって、
人生よくなったんですよ。
だから、きっと片付けたら、
もっとよくなると思う!
- あやや
- それは間違いないと思いますよ。
片付けて、紅茶ですよ。
- スガノ
- 片付けて、部屋着着て、紅茶ですよ。
- あやや
- そう、紅茶ですよ。私ね、紅茶だと思う。
- 伊藤
- 何言ってるの(笑)。
- スガノ
- 私、懐疑的だったネイル、
して、よくなったもの。
- あやや
- そうなの、アガるでしょう?!
- スガノ
- アガる。
- あやや
- アガるのよ~。
- すわ
- したことで?
- あやや
- そう!
- スガノ
- やったほうがいいよ。
穴ぐらダンボールの私が言うのはなんですけど。
- 倉持
- まずはもう、捨てないと。要らないものを。
- スガノ
- はい、わかりました。
- 倉持
- だって、1年以上見てないものだらけとかってこと、
よくありますよね。伊藤さんはないだろうけど。
- スガノ
- そんなものだらけよ。
- 伊藤
- それはそれでいいと思うけどね。
べつに片付いてるのが100点ってわけじゃないのよ。
私はたまたまそういう志向だったというだけで。
- スガノ
- いや、これがいいと私は思う。
家を見てそう思う。
こうなりたいと強く思う。
- すわ
- 以前、座談会で、小銭まで毎日整理するって
おっしゃってましたよね。伊藤さん。
- 伊藤
- 私ね、今年から、なるべく、
小銭を持ち歩かないようにしてる。
私、5円玉と50円玉が苦手だから。
- スガノ
- どうしてこうも竹を割ったような
セリフが出るんですか。
- あやや
- でも、おつりでもらいますよね。
- 伊藤
- うん、どうしたって手元にくるから、
駅に行く時に通るちっちゃい神社で
おさい銭にしてます。
パンパン(かしわ手)、
おはようございます! って。
- スガノ
- ご縁がありますようにって?
- 伊藤
- ううん、何も願わない。
たいへんじゃない? 神様。
みんなの言うこと聞いてたら。
だから「おはようございます」だけ。
気持ちいいよ。
- 倉持
- やっぱりそういう潔さ!
- 伊藤
- でね、なるべく小銭は持ち歩かないんだけど、
必要ではあるから、ここにまとめているの。
- あやや
- なにこれ! かわいい!
- 倉持
- まめ! すごい。
- スガノ
- まめ!
- 伊藤
- ここから着払いとか、
ちょっとコンビニ行くとか、
そういうときに使ってる。
- あやや
- なにそれ、もう、もう、なにそれ!
- スガノ
- たぶん暮らしがよくなる。
伊藤さんのマネをしたら。
だまされたと思って、やったほうがいいよ。
布団で寝れるようになった私が申し上げます。
- 倉持
- 郵便物とか、広告とか、チラシとか、
どんどん来るああいうものってどうしてるんですか。
- すわ
- そうですよ。家のテーブルって
何でいっぱいになってるかと言うと、
とりあえず帰ってきたチラシや郵便物が。
- あやや
- どうしたらいいんだろう。
- 伊藤
- それはもうすぐ開けて、
いるものといらないものに分けるのよ。
- すわ
- でも、残りますよね。
「あとで振り込まなくちゃ」みたいな。
- 伊藤
- 開けた時に振り込んじゃうよ。
- スガノ
- えーっ。
「とりあえず」が、ないんですか?
- 伊藤
- うん。ない。
- あやや
- いま私がまさに直面してますけど、
子どもの学校から貰うプリントとかって、
日々すごい量、あるじゃないですか。
そういうのは、どうしていたんですか。
- 伊藤
- 忘れちゃった‥‥、どうしてたんだろう。
ファイルに入れてたかな?
- あやや
- ファイルか!
- 倉持
- お買い物をして溜まる紙袋は?
即捨て?
なんかそういうちょっとした溜まっていってしまう、
雑然としたものがまったくこのお家にはないですよ。
- 伊藤
- いや、ありますよー。
- あやや
- 見えないところにきれいに収納してるのよ。
だって皆さん、Wi-Fiも充電器もカゴの中ですよ!
- 倉持
- カゴっていいですね!
そうよ、何でもカゴに入れればいいのよ!
- 伊藤
- ちょっとちょっと!
そういうことじゃ、ないと思うんだけど‥‥。
でもカゴは好き。
これは、あんまり見せられないんだけれど、
スキンケアのための基礎化粧品が入ってる。
風呂から出たら、これを使う。
- あやや
- 洗面所にはこういうものは
置いてないっていうことですか!
- 伊藤
- 置いてないわけじゃないけれど、
ゆっくり使うものはこっち。
- 倉持
- 私もこのスタイルなんですけど、
入れてるものが全然違う!
- あやや
- ちょっと奈々ちゃん、
ちょいちょい聞いてると、
おしゃれ生活してさ、
伊藤さんと同じね。
裸族だから同じなのね。
- すわ
- それが共通点?
- 倉持
- ところが質が違うんです!
- ──
- よく家電で思うことがあって。
とりあえずで最安値の加湿器を、
デザインのことも性能のことも
「まあいっか」で買ったら、
ひと冬で壊れたんです。
1年で捨てる羽目になった。
- あやや
- そう、そうなの!
- ──
- でも思い切って買った、
性能もデザインもいいものって、ずっと使ってる。
そういうジャッジが伊藤さんは厳しいんじゃないかな。
食材ひとつにしても。調味料1瓶にしても、
いいもの使うとちゃんと使い切れたりする。
とりあえずのものは、残して捨てるはめになる。
- 倉持
- そうなんですよ、ほんとにそう。すべてがそう。
伊藤さんは冷蔵庫のなかも
きちっとされてるんですよね。
- 伊藤
- 冷蔵庫のなか? ちょっと待って。
(見に行って)
‥‥そんなにきちんとしてない!
- スガノ
- いや、絶対きちっとしてますよ。
- 伊藤
- してない!
- あやや
- ちょっと見ていいですか?
(見に行って)ああ、すごい!
- 倉持
- うちと、全然違う!
- 伊藤
- これ、ダメなほうです。
- あやや
- えっ、これでダメなんですか。
- スガノ
- うち、冷蔵庫開けたら、
繁盛してるパチンコ屋さんみたいですよ。
どんがらがっしゃーん、よ?
- ──
- なんだかわからないけど、
すごそうだってことはわかりますね。
- あやや
- 冷蔵庫じゃなくて、
常温保存の調味料があるじゃないですか。
うち、そこに、一緒にレシピブックがありますよ。
紙と調味料が混在。
- スガノ
- それ、基本、基本。
- 伊藤
- それは別にいいよ。
‥‥うちはないけど。
目的が一緒ならいいんじゃないかな。
- スガノ
- キッチン家電も少ないですよ。
電子レンジもない?
- 伊藤
- あ、それは最初からビルトインでついていたの。
- あやや
- 炊飯器は?
- 伊藤
- 土鍋で炊いてる。
- 倉持
- ああ! 「はじめパッパ、あとパッパ」
みたいな?
- ──
- 違う違う、はじめチョロチョロ、中パッパ。
- 倉持
- 全部パッパで炊き上げようとしてた!
- ──
- そりゃ炊けるけどね。
「うちの土鍋の宇宙。」を読んでよ。
カゴの達人。
- あやや
- あっ、ハイッ!(挙手)
- 伊藤
- はい、どうぞ、あややさん。
- あやや
- 伊藤さんは、いっぱいお買い物もしてるし、
物も当然お好きじゃないですか。
ご職業柄からもいっぱいあるはずですよね。
でも、目に見える情報を削ぎ落としてる。
このお部屋を見ても、そうとう少ないですよ。
どういうことなんですか。
- 伊藤
- 人にあげてるからかな。
そもそもね、何かをする時に、
片付けから始まるのが嫌いなの。
たとえばパソコン。
いつもこの食卓で仕事をしてるんだけど、
原稿書こうって思った時に、
これを片付けて、あれを片付けてじゃなくて、
ぱっと始めたいの。
だから食卓の上はいつもなにも置いてないんです。
それを「ほぼ日」のやえさんに言ったら、
ものすごい声で「はぁ~っ!!!」って驚いてた。
- ──
- やえさんは‥‥「an an」の断捨離特集で
「汚部屋度 ★★★★★」って
最高ランクづけされた人ですからねぇ‥‥。
趣味のものを買うときは、
使う用、予備、保存用、3つ買うっていう人ですよ。
- あやや
- いちどおうちに伺ったことがあるんですが、
関東ローム層みたいになってましたよ。
- ──
- ハリー・ポッターがホグワーツに行く前に
異次元の商店街に買い物に行くでしょう、
あそこの魔法の杖の店みたいな感じですよね。
- あやや
- すごい情報量。
ある意味カッコいいですよ。
- 伊藤
- それはそれでいいと思うんだ。
本人が楽しければ、とやかく言うことじゃないし。
でも私はね、料理をしようと思った時に
包丁を研がなくちゃってなるのが嫌なの。
そもそも包丁どこ? ってなるのはもっと嫌。
- スガノ
- いつ片付けるんですか。
- 伊藤
- 使い終わった後に必ず片付けるんです、定位置に。
- あやや
- 何か新しい物を買った時は、
場所を決めてから買うんですか?
- 伊藤
- それが、私、全然ね、
物買う時は何も考えない。
- あやや
- でも家に入ってきた時はどうするんですか。
- 伊藤
- しまわずに、しばらく目につくところに置いとく。
- あやや
- うんうん、それで、それで?
- 伊藤
- ここかなっていう場所に置いて、
そこが物でいっぱいだったら、
前からあるものを片づけるか、処分する。
- スガノ
- 何でしばらく目に付くところに置いておくんですか。
- 伊藤
- 新入りだから、
居場所がないの。
それを探してあげる時間が必要。
- スガノ
- そっか、部屋との親しみがないから、
新入り自らが、
馴染むところを探すんですね。
- 倉持
- パソコンなんかは「すぐ手が届く場所」に
あるのがふつうかなって思っていたんですが、
伊藤さんのところにはないんですね。
- 伊藤
- パソコンも戸棚のなかに入ってる。ほら。
- 倉持
- そこ!
- あやや
- すごーい。
- スガノ
- コードはどうなってるんですか。
電源ケーブルが家のなかで目立たないですよ。
- 伊藤
- コードはここに(カゴを見せる)。
- あやや
- すごい。
- 倉持
- 充電したい時に1回1回出して接続しなおして?
- 伊藤
- うん、そうだよ。
- 倉持
- Wi-Fiも、全部ここに!
- 伊藤
- ルータ、目立つのは嫌じゃない?
- 倉持
- そこが違う‥‥。
- スガノ
- このカゴを売ってほしい!
このカゴが買いたいです!
- ──
- カゴを買えば済む問題なんだろうか。
- すわ
- 中にWi-Fiルーターが入っていて、
電源コードがカゴに空いた穴から出ていますよ。
もともとこうなっていたんですか?
- 伊藤
- 穴はあけてもらいました、
リフォームのときに。
- 倉持
- すごい。なるほど。
- あやや
- これもかわいい。これ何ですか。
- 伊藤
- それはね、昔の北欧のスーツケースなんだけど、
プロジェクターが入ってるの。
引っ越してくる前は、テレビもなかったから、
見たいときはこれを出して壁に映していたんです。
いまはテレビ、壁付けで、あるけれど。
- あやや
- そっか、家電的なものが少ないですね。
- すわ
- たしかに。だから気持ちいいんですね。
目に入ってくるものは、木の素材のものが多くて。
- 倉持
- なにか食べたくなっちゃったみたいな時とか、
そういう時はちょっとは雑然とするものなんですか。
- 伊藤
- 雑然とは、しないですよ。
- 倉持
- エーッ!
- 伊藤
- する時はあるけど、
絶対1日のうちで、自分できれいにする。
- あやや
- すっごく〆切に追われて、
余裕がなくなるみたいなことって
人生にないんですか。
- 伊藤
- そりゃ、ありますよ。
- ──
- 去年、伊藤さんは本を何冊か書いていましたよね。
ふつう、そういうときって、
埋まっちゃうくらい資料が集まると思うんですが。
- 伊藤
- 4冊ぐらい並行していた時がありましたね。
そのときは、ひと塊ずつ資料をつくって、
その原稿を書く時はその資料だけを出してました。
- あやや
- 終わった本の資料は。
- 伊藤
- 捨てます、バンバン。
- スガノ
- そうなんだ。
- 倉持
- やっぱり捨てるっていうことなんだ。
- あやや
- そう、やっぱり捨てないとね。
- スガノ
- 私、宅配便のダンボールが
常に4つぐらい玄関に置いてある。
- 伊藤
- えっ、イヤだ! なにそれ!
- ──
- 今、怒られに行ったでしょう。
- あやや
- さすがに気になりません?
- スガノ
- ううん。大丈夫。
- 伊藤
- もう景色になるのかな。
- あやや
- 開けないまま?
- スガノ
- 開けてない。
ありがとうございますって受け取って、
そのまま別の用事に移るから、
開けないままどんどん積み上がっちゃって。
- ──
- 不要不急のものなんだ?
- スガノ
- 買い置きの猫砂とか、そういうのですね。
本もあります。
全部積み上がって、ひとかたまりになって、
ちょうどパソコン机になりそうだと、
そこで仕事したりしてます。
- 伊藤
- もういっそ、いいと思う!
ちょっと楽しそうだよ、それはね。
- スガノ
- 穴ぐら生活ですから、私。
- 伊藤
- (笑)。
- スガノ
- でも、まさこさん的生活のためには、
まず、宅配便が届いたら開けて、
段ボールをちゃんと捨てるってことですよね。
まずは部屋をきれいにしないと。
- あやや
- うち、普通の地味な両親ですけど、
子どもの時から、起きたら着替えろ、
夜寝る前に着替えろって、
そこだけはもう絶対に許されなかったんですよ。
- 伊藤
- サザエさんのところの波平さんが帰ってくると、
浴衣に着替えるけれど、
イメージとしてはああいうことかな。
- あやや
- はい、うちの父は3段階ありました。
仕事のための服、家に帰って着替える服、
そしてお風呂から出たらパジャマ。
だから外着と部屋着とパジャマは別という感覚は、
私も教育でしつけられました。
- 倉持
- それ、理想ですね。
- あやや
- 今も帰宅したら外の服のままじゃなくて、
1回部屋着を着るんです。
それは快適で洗いやすいものがいいから、
外着のお下がりみたいなワンピースを着るわけです。
さらにお風呂上がりにパジャマに着替えます。
- 倉持
- 部屋着でいる時間帯って、そんなになくないですか。
私、帰ったら、すぐお風呂に入ってしまうから、
その後すぐバスローブです。
- あやや
- それは女優スタイル!
- スガノ
- ご飯は?
- 倉持
- そのまま食べてます。
- スガノ
- 日曜日は? 朝起きて。
- 倉持
- 休日は、朝起きたら、出かけるまで着替えない。
または朝、シャワー浴びたら、そこで服を着ます。
- スガノ
- 同じです。
- 諏訪
- 倉持さんは家に長くいることがないってことですね。
休みも出掛けるっていうのが前提?
- 倉持
- 出かけない場合はずっと‥‥。
- 伊藤
- 裸?
- 倉持
- 裸、みたいな、
キャミソールみたいな格好です。
その上に、ガウンを羽織って。
- 伊藤
- 以前、大久保佳世子さんとの対談でも話したんですが、
私も、シルクのスリップで寝てて、
ある日、実家に泊まった時に
ベローンってなってたみたいで、
ほんとお願いだからやめてって母に言われて、
そうか、そりゃイヤだよねって。
- スガノ
- 娘のセクシー姿!
- あやや
- 親は何でイヤなんですかね、あれ。
ベローンもそうだし、
パジャマのままでいるのはやめなさいとか。
- 倉持
- やっぱりそういうお家なんでしょうね。
- スガノ
- あやや家はそうだったんだ。
- 伊藤
- 私はどうなんだろうな。
父はちゃんとしていたけれど、
私自身は倉持さん派かな。
夏とかは裸めいた格好だし。
寝るときは、いろいろ。
パジャマを着るぞっていう日もあって、
何だろう、気分かな、やっぱり。
- スガノ
- やっぱりね、自分の気分をよくするための
コツを知ってる人っていうのがいるんですよね。
伊藤さんはそんな人だと思う。
家のなかで着替える人って。
- あやや
- ハイ! 私、思いました。
まず始めたほうがいいことがあります!
- スガノ
- 急に何ですか。
- あやや
- やっぱり家の片づけだと思うんですよ!
うち、家具は少ないほうだとは思うんですけど、
じゃあ美しいかって言ったら違うんです。
子どもが3人いて散らかってくると、
片づけるどころじゃなくなっちゃうんですよ。
- 伊藤
- まだ小さいしね。
- あやや
- 家のなかをもうちょっとちゃんとしようとか、
部屋着もきちんとしようと思うためには、
やっぱりまず環境を整えること、ですよ。
- スガノ
- そうなんですよ!
- あやや
- 環境が全部に紐付いてる気がします。
- スガノ
- 私、以前、伊藤さんに、
料理をうまくなるには包丁を研げって言われたんです。
- ──
- 名言。
- スガノ
- だから、私は部屋を暖くすることだなって思ってる。
たぶん暖房がテキトーなんだと思うんですよ。
- 倉持
- そうだね。
- スガノ
- だからフリースが脱げない。
- 伊藤
- そうか。
- スガノ
- だからまずそこからって話なんですけど、
でも、その素敵な部屋着を着るために
「そうしよう」って思うきっかけもあると思うんですよ。
- 伊藤
- そうだよ。
- あやや
- だって、部屋単体、自分単体じゃないですもんね。
部屋込みの自分じゃないですか。
そこらへんにパンツが落ちてたりしたら、やっぱりね。
- ──
- 伊藤さんちは、お嬢さんと2人でしょう。
共同で使うパブリックスペースには、
私物を置きっ放しにしないというのが
ルールだとおっしゃっていましたよね。
- スガノ
- えっ、どういうことですか!
- 伊藤
- 読みかけの本とかを置きっ放しにして
自分の寝室に戻らない。
ちゃんと持って帰ろうね、って。
- あやや
- ああ、そういうことですよ! それ、それ!
- 伊藤
- もちろん、家にあるものは全部が私物なんだけど、
プライバシーに紐付くものがあるでしょう。
そういうものは、各自の部屋で保管する。
- あやや
- 私、何がすごいと思うかって、
お嬢さんがそれを実行してることです。
- 伊藤
- 自分の部屋ですごく自由にしてるから、
大丈夫ですよ。趣味のものに囲まれて。
- あやや
- でも、言ってみれば子どもって、
その境界線がないですよ。
なのにちゃんと自立心がある。
どうしたら育つんだろう、その自立心。
- 伊藤
- うちも、小っちゃい時に
おもちゃを散らかしっぱなしにしてて、
もうそんなの捨てるよって言ったら、
さすがに捨てはしないと思ったみたいで、
‥‥でも、捨てたの。
そうしたら、「この人はほんとうにやる」って。
- あやや
- マジだってなって?
- 伊藤
- それからけっこう片づけるように。
でも、児童心理学だったかな、
本当はそれいけないんだって
言われたこともある。
- あやや
- トラウマになるっていうことですよね。
- 伊藤
- そうそう。
あやや家はどうしているの?
- あやや
- たとえばレゴが散らかるんです。
あれ、踏むと激痛なんですよ。
事故レベルで痛いんですよ。
それで「片づけてないレゴを
ママが踏んだら捨てる」
っていうのをルールにしました。
レゴってパーツがなくなると
もう成立しないんだけど、
それでも、私、踏むたびに捨ててます。
- 伊藤
- そうなんだ。
- あやや
- 「やめてぇーーーっ!」みたいな感じだけど、
いや、ママ踏んだから捨てる。
ママが事故に遭ったんだからって。
- ──
- 内田也哉子さんのお母さん、樹木希林さんは、
片づけなさいという言葉は1回しか言わなかったと。
あとは無視なんだって。
そのまま片づけずに何日でも置いてあるから、
逆に怖くて片づけるようになったって。
- あやや
- 怖い。
- 倉持
- いろんな怖さがありますね。
- 伊藤
- うちは、そのルールさえ守ってくれればいいの。
- あやや
- その、センスっていうんですか、
こうすれば美しい、みたいなことって、
自然に学べるものなんですかね。
- 伊藤
- うーん? 料理をつくるでしょう、
今日はこれとこれだからと言って、
食器棚から合う食器を出してねって言う。
でもそれが違うなってなったら、
これにはこれ合わないね、とか、
そういうことは言ってますよ。
- あやや
- うらやましい! 娘になりたい!
それすごくいいと思いますよ。
英才教育ですよ。
私にも教えてください、
具体的にどういうことなんですか。
- 伊藤
- ぽってりしてるものばっかり集まると、
食卓が重たくなるでしょ? とか。
- あやや
- 名言!
- スガノ
- 私も伊藤さんから言われた名言を
おひろめしていいですか。
「裸でも情報が多いのに、
それ以上情報をのせるな」。
- あやや
- 何それ、名言! でもどういうこと?
- 伊藤
- そんなこと言った?(笑)
- スガノ
- 私のファッションについて。
- 伊藤
- そうか! 柄ものを着ていたのね。それで
「あなたは裸でもただでさえ情報が多いのに」。
言った、言った。
- スガノ
- 柄のものを着るなって。
- ──
- それで今日ちょっと地味にしてるの?
- スガノ
- そうそう。ちゃんと無地を着てきました。
- あやや
- yaecaのコンテンツの時の
スガノさんの格好が、1人だけすごくて。
あのファッションが、私、大好きで。
- スガノ
- ああなっちゃうのよ。
- ──
- 僕(武井)、横に座ってるんだけど、
日々すごいですよ。僕も派手なほうだけど。
- あやや
- 武井さんとスガノさんとゆーないとさんが
並んで座ってるんですよ。
その列、情報過多なの!
- スガノ
- 自宅もたぶん、情報過多になってると思いますね。
それはちょっと直さないとって思ってるんですよ。
- 伊藤
- いいの、いいの。
- スガノ
- えっ! いいんですか?!
- 伊藤
- いいんですよ。面白いから。
SUNSPELのリラックスウェア
みんなは家で何を着てるの?
- 伊藤
- 今日はなぜ「ほぼ日」のみなさんに
集まっていただいたかというと。
- あやや
- なぜに。謎です。
「weeksdays」に私が!
- スガノ
- 憧れではあるけれども、
出ることになるとは!
- 伊藤
- (笑)サンスペルっていうブランドでつくった
ルームパンツを販売するんですけど、
すごく質のいいもので、
値段もそこそこするんです。
- スガノ
- そのルームパンツは、
どういうところがいいんですか。
- 倉持
- きっと生地はすごくいいですよね、
サンスペルだったら。
- 伊藤
- そう、生地も上等だし、女っぽくないの。
だから、気が引き締まるし、着心地もいい。
つまり「着ていて気持ちがいい」んです。
私はそれが好きで、部屋で着ているわけなんだけれど、
ハタと、「みんなはどうしているんだろう」って。
それを聞いてみたいと思ったんです。
一般女子の代表として。
- あやや
- なぜ代表の枠に私が。
- スガノ
- 全員そう思ってますよ。
- 伊藤
- あのね、もともと私が夏の部屋着に
男物のトランクスを穿いてるって言ったら、
みんなにシーンとされて。
- スガノ
- シーン! ですよね、それは‥‥。
- 伊藤
- たしかに男物を穿きましょうっていうのは、
あんまりかなぁってことは理解したので、
ちゃんと女性向けにショートタイプの
ルームパンツを作ったのね。
ところが、思ったようには、
受け入れられなかったの。
- ──
- 前あきをなしにして、
形も女性ならではのパターンにしてもらって、
すごくいいものができたんですよ。
- 伊藤
- 「短すぎる」という声もいただいて、
だったら長いタイプも作ろうということになったんです。
- あやや
- あ、かわいい、メチャクチャかわいい!
- スガノ
- なるほどね。そういうのは上には何を着るんですか。
- 伊藤
- キャミソールとか、Tシャツとか。
- 倉持
- そうですか‥‥。
- スガノ
- なぜ倉持さんが浮かないかというと、
いつも家では裸に近い格好だからです。
- 倉持
- 裸族だから。
- あやや
- 裸族!
- すわ
- その話すごく聞きたいです。
- 伊藤
- そうだった、倉持さんと私、気が合うの。
夏は水シャワーですもんね?
- 倉持
- そうなんですよ。
メチャクチャ代謝がよくて暑がりなんです。
とにかく火照ってる。
- あやや
- サウナのあと、とかじゃなくて?
家のなかがサウナ状態ってことじゃなくて?
- 伊藤
- お風呂がわりに、水シャワーです。
もちろん夏だけよ?
- あやや
- お腹とか痛くならないんですか。
- 伊藤
- ならないです。
- 倉持
- 暑がりというだけじゃなく、
締め付けるものが苦手なので、
部屋にいるときは、下着はできるだけ着けたくない。
- あやや
- あ、でも、家は裸族という気持ちはわかります。
ブラジャーはとくに着けたくない。
- 倉持
- ブラジャーは家ではみんなつけてないかと思ってました。
- スガノ
- ところが、私はいつも着けてます。
- 伊藤
- そうなんだ、寝る時も?
- スガノ
- 寝る時も。
- 伊藤
- えーっ。
- すわ
- 慣れちゃえば普通なんですかね、それって。
- スガノ
- そうですね、なんか着けないほうが気持ち悪い。
- あやや
- 私は家のなかで上を着けるのはいやだな。
- スガノ
- パジャマは着ないんですか、倉持さんは。
- 倉持
- 私、パジャマ持ってないです。
- すわ
- 1枚もですか。
- 倉持
- 1枚も持ってないと思う。
- スガノ
- 何を着てるの?
- 倉持
- キャミソール。
やっぱりさすがにずっと裸じゃ。
weeksdaysの麻のキャミとかすごく好きですよ。
- スガノ
- 基本的なこと聞いていいですか、
裸族のおふたりに。
- 伊藤
- はい。
- 倉持
- なんでしょう。
- スガノ
- 冬、家のなかは暖房ガンガンなんですか。
- 伊藤
- うん。暖かくして、半袖でいるのが好き。
- 倉持
- うち床暖だから、それでじゅうぶんなので、
エアコンはつけないです。
- あやや
- 私も部屋では冬でも半袖です。
暖房もつけない。
うち、常に人が5人、
ぎゅっと入ってる状態だから。
- 倉持
- それは暑い。
- スガノ
- つまり、家の中で薄着の人は、
家が暖かいんじゃないかと思って。
私は違うんですよ。
私はフリース着てます、家の中で。
なぜなら冬の部屋は寒いからです。
- 伊藤
- そうなんだ!
- スガノ
- いま、伊藤さんの部屋にお邪魔してますけど、
たしかに暖かいです。
ここだったら、私も薄着になると思う。
だから、家のなかのおしゃれは、
部屋をじょうずに空調することからだと思います。
冬は暖く、夏は涼しく。
- 伊藤
- なるほどね。
- スガノ
- 部屋でフリース着てる私はダメだと思うんです。
- すわ
- たしかに、寒かったら、
外着のような格好になりますよね。
- スガノ
- 家族全員がスキーウェアみたいなの着てます。
ちょっと前まで洞窟暮らしみたいな感じで、
そのへんで寝てたんですよ、ベッドで寝ないで。
- 伊藤
- えっ、床で寝てたの?
なぜ洞窟暮らしに?
- スガノ
- 疲れちゃって、寝落ちしちゃってたんです。
ところがそれをお医者さんに見抜かれて、
「あなた布団で寝てませんね、
ちゃんと布団で寝て下さい」って言われて、
そこから布団で寝るようになったんです。
- 伊藤
- それ、いくつの時?
- スガノ
- 40代ですね、40代後半。
- 伊藤
- ひどーい!
- スガノ
- フリース着たまま寝てました。
- 倉持
- 布団で寝ている今は? パジャマに、
つまり薄めのものに着替えるの?
- スガノ
- そう、布団に入れば暖いから、
上を脱いで薄着で寝てます。
- 伊藤
- ああ、なるほどね。
- スガノ
- 特殊事例すぎますよね。
今日は、じょうずに家をちゃんと
暖めたと仮定して、
部屋では部屋着が着られる環境だとして、
参加します。
- 伊藤
- よろしくお願いします。
みんな、外に見える、身に着けるものには
かけてもいいと考えているお金を、
部屋着のような見えないものには、
惜しんじゃうのかなぁ?
日中、今日はどこにも出かけないという時は、
何を着てるの?
- スガノ
- 寝てた服です。
- 伊藤
- ‥‥なるほど。
- あやや
- 私は「これが部屋着です」というものじゃなく、
かつて外に着てたけれど古くなっちゃった、
ちょっとふんわりしたワンピースを部屋着にしてます。
スライドパターンですね。
宅配便が来ても出られるくらいの格好。
- すわ
- でも、遠出するにはちょっと着古してるし、
みたいなことですか。
- あやや
- そうそう。
コンビニですらちょっと躊躇するレベル。
でもそれがいいと思っているわけじゃないんですよ。
- 伊藤
- 私、前にスタイリストのお友だち3人で話してた時に、
部屋着が気に入らないとき、
着替えたりするよね、って。
「ちょっと、これじゃないな」みたいに。
- スガノ
- ええっ! そうなんだ‥‥。
それでわかりました。
この間、初めてネイルサロンに行ったんですよ。
それで、ネイルサロンの人に、
正直、男性はここを変えても
まったく気が付いてくれませんよねって言ったんです。
なのに、何でやるんでしょうね? って。
そうしたら「自分が見えるからですよ」とおっしゃって。
手は、自分がいちばん見る。
だからきれいなネイルをすれば、
そこから気持ちがよくなって、
全部の装いが変わる。
だからきれいなネイルにすることは、
自分にとってすごくいいんです、って。
だから、たぶん、家のなかのおしゃれも、
そういうことなんじゃないかなと思うんです。
部屋着も着替えたいというのも、
やっぱり自分から見て、
見えるところがイヤなんですよね。
- 伊藤
- そうそう、同じことだと思う。
- スガノ
- 家のなかも?
- 伊藤
- そう、雑貨や家具を揃えるのも。
- スガノ
- やっぱり? そこですよ。
ネイルサロンの女の人も言ってたけど、
自分の視界を大事にしないといけないって。
- 伊藤
- そういえば、この前、
ジュエリーのデザイナーさんが
接客しているのを聞いていたら、
はじめてアクセサリーを買うというお客様に、
「リングがお勧めですよ」と言っていたの。
何でだろうって思ったら、
「自分から、見えるでしょう?」って。
身に付けるアクセサリーのなかで、
唯一自分からちゃんと見えるのってリングで、
それって嬉しいことじゃないですか、って。
- あやや
- わかる!
- スガノ
- そう、その視点!
部屋で過ごす一日。
旅に出たり、
外に出るのも好きだけれど、
家に帰ると思う。
「ああ、ここがいちばん!」ってね。
映画を観たり、
本を読んだり、
ごろごろしたり。
スープを煮るのもいいな、
プリンでも焼こうか。
家の中でできるたのしいことって、
たくさんある。
まずは窓を開けて、
部屋の掃除をして。
さてこれから何をしようか?
なんて時にはきたいのが、
サンスペルのルームパンツです。
リラックスしながらも、
だらしなく見えないところがいい。
しゃきっとした履き心地がいい。
今週のweeksdaysは、
1年前ほどに発売したルームパンツのロング版、
そして
同じ素材のワンピースをご紹介します。
家の中にいるのが、
ちょっとうれしくなる、
部屋着のおしゃれをどうぞ。
雨の日じゃなくても。 ~たとえばこんなコーディネート~ その2
レインスカート・ネイビー
ネイビーをシックに見せてくれる、
グレーのニットとの組み合わせ。
ネイビー×グレーは、
私の色合わせの定番です。
ここでは、これまた私の定番になりつつある
CI-VAのネイビーのバッグを合わせました。
足元は白い革のスニーカー。
あ、ここでも「足元白」ですね。
新しいアイテム「レインスカート」。
「どうやって着ればいいんだろう?」
なんてあまりかまえずに、
いつも通りの着こなしに加えてみてはと思います。
レインスカート・ベージュ
白のタンクトップ、グリーンのサンダル。
それからかごバッグ。
夏が近づいてきたらしたいのが、
こんなコーディネート。
下に白いレギンスを合わせてもいいなぁ、とか
サンダルをベージュにして
ワントーンでまとめてもいいなぁ‥‥なんて
夢広がります。
おそろい素材のコートと合わせてどうぞ。
(伊藤まさこ)
雨の日じゃなくても。 ~たとえばこんなコーディネート~ その1
コート・ネイビー
白いスタンドカラーのシャツ、
ベージュのパンツ。
足元はTストラップの白い靴。
アウターがネイビーの時にしたいのが、
白や明るめのベージュをくわえたコーディネート。
ことに春は、軽やかな感じにしたいものですから。
最近、私のまわりのおしゃれさんたちが、
よくしているのが、
足元に白を持ってくること。
これだけで、今の気分にぴたっとくるから不思議です。
ぜひおためしあれ。
コート・ベージュ
前のボタンをすべてとめて、
一見ワンピースのような着こなしができるのは、
薄手のコートならでは。
ちょっと昔懐かしい、
こんな組み合わせが大好きです。
襟元にはスカーフをくるくる巻き、
バッグと靴は黒にして、
ベージュをきりりと引き締めて。
パリで見つけたヴィンテージのスカーフは、
生成り色をベースにしたうすいベージュと黒の柄。
色合いを統一すると、
全体がすっきり、
すんなりまとまります。
(伊藤まさこ)
nooy 若山夏子さん・平山良佳さん インタビュー
- ──
- 今回の2つのアイテムは、
雨の日に使うための服だとは思うんですけど、
「雨の日にも」というか、
どんな天候のときでもお洒落に、
という気持ちが溢れているように見えます。
- 平山
- そうですね。そもそも雨の日用のウェアを
つくろうというスタートではなかったんですよ。
- 若山
- レインウェアぽくない素材ですものね。
- 平山
- そう、パリッとしていて。
この生地に出会ったとき
「何か作りたいな」と思って、
まずコートを考えました。
スプリングコートっぽくも着られるし、
撥水加工なので水を弾くから、
レインコートとしても着られるものにしよう、って。
- 若山
- いかにも雨の日の「ザ・レインコート」って、
買ってもなかなか着る機会がないでしょう?
着たとしても、
「雨が止んだらどうするんだろう、ちょっと重いな」
って思ったり。
だったら軽やかなスプリングコートにしよう、って。
- 平山
- 帰り、晴れても着られるレインコートですね。
- 若山
- そう! 晴れの日も着られるレインコートです。
- ──
- 元々「レインウェアを作りたい」と思って
素材を探してたわけではないんですね。
- 平山
- はい。でも「作りたいな」とは思ってましたよ。
そんななか、この生地に出合って、
「あ、これちょうどいいね」って。
- ──
- へえ! 生地はどこの国のものですか?
- 平山
- 日本です。
撥水の生地を得意とする生地屋さんで、
nooyのオリジナル色でつくりました。
それもあって、完璧なレインウェアというよりも、
雨の日にも使える服、というふうに見えると思います。
- 若山
- 水牛の角を使ったボタンも、
より洋服っぽい印象を生んでいるかもしれません。
- ──
- 「濡れても大丈夫な服」みたいな。
- 若山
- はい、濡れても大丈夫。
- ──
- 完璧なレインウェアというよりも、
洋服寄りのものをつくりたいという気持ちは、
お2人が実感として普段思っていたことでしたか。
- 若山
- そうですね。
軽さを求めれば、スポーツウェアにはあるんです。
でも、洋服っぽいものがないな、
ということは感じていて。
- 平山
- 梅雨の時期に限らず、
夏でも急な豪雨に遭ったりすることが、
最近、あるじゃないですか。
そういうときにも着れる「長いもの」って、
こういう薄手の素材ではないと感じていました。
- 若山
- それに、雨の日しか出番がないレインコートっていうのは、
ちょっとかわいそうだなって。
- ──
- フードが格納されている襟まわりが、
ふんわりしていてきれいですよね。
それも、レインコートらしくない印象を
つくっている気がします。
この格納の仕方も絶妙というか。
適当に入れても、ちゃんとふんわり、
かわいくなります。
しかもすごく簡単です、しまうのが。
- 平山
- 収まりがすごくいいでしょう?
- ──
- 1回出したらもう2度と同じようにしまえない、
というフードもあるのに、
そういう感じじゃ全然ないのがすばらしいです。
このフードは雨よけの意味だと思いますが、
印象としては「おしゃれ」ですよね。
逆に袖口がゴムになっているところは、
いわゆるレインコートを意識して
デザインなさったのかなって。
- 若山
- そう、ここは、雨が入って来ないように。
- ──
- でも、そんなにきついゴムじゃなく、
全体的にフワッとしている感じが
nooyらしさのように見えます。
(ポケットをさぐって)
あれ? 同素材の袋がついているんですね。
- 平山
- そうなんです。
畳んで持ち歩くとき用に、つけました。
サイズ感は割とゆとりをもってデザインしましたが、
生地がうすく、軽さがあるので、
しまうとちいさくなりますよ。
- ──
- 濡れたコートは、袋に入れてから
バッグにしまいたいですよね。
- 若山
- はい。でも、脱いでぱっぱっと振ると、
雨粒がかなり落ちますから、
びしょびしょの状態にはならないと思います。
- 平山
- 同じことで、花粉もつきにくいです。
- 若山
- そう! 部屋に入る前に
パタパタってしておけば大丈夫です。
- ──
- その撥水性や、花粉がつきにくい感じって、
長く着ていくうちに徐々に落ちるものなんですか。
- 若山
- はい、どうしても、徐々に落ちてくるんです。
なので、長く着ていくうちに、
水をはじかなくなってきたなと思ったら、
クリーニング店で撥水加工をしてもらうと
いいと思います。
- 若山
- でもね、最初はすごいですよ、弾き方。
水を乗せてみたんですけども、蓮の葉みたいに、
まるく、玉のように、プルプルプルって。
- 平山
- 生地はそんなふうに撥水するんですが、
これを「完璧なレインウェア」として
つくっているわけではないので、
たとえば縫い目は、徹底した防水の考えではなく、
つくりとしては、ロングコート、ふつうの洋服です。
なので撥水ではあっても防水ではありません。
強い雨に遭ったら、隙間からは水が入ります。
そこはご理解くださいね。
- ──
- 徹底した雨仕様にすることは、
軽さと、雨じゃない日にも着られる
おしゃれさとは相反することですものね。
でも、今回の服、この軽さとおしゃれさが、
すごくいいと思うんです。
- 若山
- 着ていても「レインコート」っていう感じじゃない。
そこが好きなところです。
- ──
- この形は、nooyでは定番的につくっているんですか?
- 平山
- いや、この形は、初めてです。
- 若山
- 全部初めてですね。生地もデザインもパターンも。
雨の日だけど、スカートを。
- ──
- 雨の日用というと、
パンツスタイルを思い浮かべるんです。
ダボッとして、裾がゴムのパンツが雨用っていうのが、
一般的な印象だと思うんですけど、
あえてスカートをつくられたんですね。
- 平山
- これはコートの発想と同じで、
梅雨の時期だけじゃなく、
夏にも急に雨が降ったりするので、
そういうときのために
「サラッと巻ける何か」が欲しいなと思って。
- 若山
- これだったら、
パンツの上からでもスカートの上からでも、
着ているものの上から巻けますよね。
- ──
- そして人前で着脱しても失礼じゃない。
ベンチレーションがあるから、
つけたままでも涼しそうですし、
畳むとコート同様コンパクトです。
メッシュの裏地がついていますね。
コートも、半裏っていうんですか、
背中のところにメッシュの生地がついていますね。
これは通気性、肌離れを考えて?
- 平山
- スカートは通気性を考えての
メッシュの裏地なんですが、
コートに関しては、
色のアクセントとして使っています。
- 若山
- デザインの一部ですね。
- ──
- あの‥‥これ、肩から掛けたら変ですか?
雨除けに。
- 平山
- その着方は想定していなかったです!
- 若山
- ちょっとやってみましょうか‥‥あっ、いける!
- ──
- 全然いけますね。かわいいですね。
ああ、これは、持ち運びしたら、
旅行にも便利そうです。
‥‥また「逆に」の質問ですが、
上からつけるのではなく、
単体で夏のスカートとして
使ってもいいんでしょうか。
涼しそうなので。
- 若山
- そうなんです。
ペチコートを穿いて頂ければ、
スカートとして使えますよ。
- ──
- スカートのディテールもかわいいですね。
コートと同じ水牛のボタン。
nooyがレインウェアをつくると聞いて、
最初、うんとカラフルなものを想像したんですが、
真逆で、すごくベーシックな落ち着いた色味だったのが、
じつは意外でした。
- 若山
- これ、第一弾だからです。
まず反応を見たかったんです、ベーシックで。
- 平山
- そうなんですよ。いろいろ考えて、
いくつも色を出したんですけど、
きれいな大人っぽいベージュができたので、
使ってみようと。
- ──
- たしかに、スプリングコートとしても使うなら、
これくらいって、ちょうどいいですよね。
好評だったら、また違う色が出るかも?
- 平山
- そうですね。
- 若山
- 次に、控えてます(笑)。
- ──
- それこそ春先で、急に寒くなったときにも
ウインドブレーカー的な使い方もできそうです。
- 平山
- そうなんです。軽いんですけど、
風除けとして、内側に着ると
かなりあったかいですよ。
- ──
- いろんな着方でたのしんでいただけたらいいですね。
ありがとうございました!
nooyのスプリングコート
重いコートを脱いで。
一日まるごと家にいられる日は、
スープや煮込みを作ります。
‥‥といっても、
手間のかからないものばかり。
ことこと、くつくつ。
時々、鍋の様子を見に行くくらいで、
あとは火にまかせるだけ。
時間がおいしくしてくれる、
鍋を使った料理が好きです。
この時、出番の多いのが、
「もう私には重くなったからあげる」
そう母から言われて譲り受けた白い鋳物の大鍋。
そうか、長年使い慣れた台所道具も、
こうして手放す時がくるんだ。
ロールキャベツ、ビーフシチュー、
カレーにミートソース‥‥。
少しさみしい気持ちとともに、
おいしい記憶が蘇ったのでした。
そういえば、
私のワードローブも年々軽くなっていっている。
前だったら、
かっこよさでえらんでいた服も、
今ではえらぶ一番の基準は着心地のよさ。
中でも「軽い」というのは、
とっても大事。
「もうママには重いからこの服あげる」
母から言われたことを、
私も娘に言っていると思うと、
ちょっと不思議。
もしかしたら娘も、
少しさみしい気持ちになっているのかしらね。
今週のweeksdaysは、
身につけるだけで、
気持ちまで軽やかになってしまう、
nooyのコートとスカートをご紹介。
重いコートを脱いで、
春の街に繰り出そう。
水色のコートを、 森脇ひろみさんに。
森脇ひろみさんのプロフィール
もりわき・ひろみ
神戸生まれ、神戸育ち。
短大卒業後、結婚、
38歳のときに陶器店をオープン、
40歳で夫を亡くし、2人の娘を育てる。
54歳のとき、店を閉め、娘たちの留学先である
イギリスに渡り、2年半を過ごす。
帰国後は決まった場所を持たず、器の企画展を開催。
2014年から、娘の今日子さんが立ち上げた
古い集合住宅の一室を使ったギャラリー
MORIS(モリス)を手伝う。
「MORISは娘の今日子さんにまかせているけれど、
ひろみさんも、ほぼ毎日、出勤しているそう。
『出たり入ったり、自由にさせてもらってる』
とおっしゃっていました。
お店で会えたらラッキー!
MORISは、もののセレクトもいいのですが、
今日子さんのお菓子も最高なんですよ。
ちなみに内装は「鋼正堂」でもおなじみの
内田鋼一さんが担当しています」(伊藤まさこ)
MOJITOの「AL’S COAT」、
春らしい新色をと作ったのが、この明るい水色。
さて、
サンプルができあがってきて
どなたにモデルになっていただこうかな‥‥
と思った時に一番最初に頭に浮かんだのが
森脇ひろみさんでした。
「届いてびっくりしたんです。
どうしてこの色が好きってわかったのかしら ?って」
とひろみさん。
なんとここ最近、
晴れた日の空のような水色がブームなんですって。
「チョーカーやブローチ、
それからお財布も。
空色がなんだか私たちの間で、きてるんです」
娘の今日子さんもウンウン、と相槌を打ちます。
お財布はお店ですぐに売り切れてしまったほどの
人気だったとか!
「だから、まさこさんが
水色のコートを作ったって聞いた時、
ああもしかしたら明るい空色? って思ったんです」
今日子さん、アイフォンのカバーも空色なんですって。
布が大好きというおふたり。
馴染みの生地店に出かけては、
好きな布をえらんで、
仕立て屋さんに自分サイズに仕立ててもらうという
お洒落さん。
リモンタの生地もご存知だったそうで、
「空色にリモンタ! きたー! って思いました」
とニコニコ。
今日はひろみさんに2パターン、
コーディネートしていただきました。
ひとつめは先日訪れたイギリスで手に入れたという、
白に近いクリーム色のニットと。
コートのサイズはL。
ちょっとぶかっとしたラフさがいいかんじです。
パンツはイギリスの古着とか。
なんとメンズなんですって。
「幸運なことにジャストサイズ。
丈も直さずにすみました」
「サングラスも同じお店で買ったんです。
100年くらい前のものみたい」
ふたつめは、白のコーディネート。
ブラウスはsaqui。
(私も同じの持ってる、うれしいなぁ。)
「薄手のものだったら、Sサイズもいいですね」
とひろみさん。
そう、このコート、
ゆったりめが好きな方はL、
ジャストで着たい方はSなんてえらび方もできるんです。
トップスは、顔色が沈まないよう、
明るめの色をえらぶようにしているとか。
真っ赤な口紅も、
30年間変わらないという
潔いベリーショートもかっこいい。
いつかこんな大人になれたら‥‥と
ため息がでるのでした。
(伊藤まさこ)
MOJITOの服を、あのふたりに。その2 着心地、いいですね! 松庵文庫スタッフ 竹岡修平さん・丸山千尋さん
竹岡修平さんと丸山千尋さんの
プロフィール
たけおかしゅうへい/まるやまちひろ
東京・西荻窪にあるブックカフェ
「松庵文庫」の若手スタッフ。
都内レストラン勤務を経てスタッフとなった竹岡さんは、
「ヘイブラウン」という
アコースティックなコーラストリオとしても活動中。
古民家をリノベーションした空間が好きで
スタッフになったという丸山さんと一緒に、
料理やお菓子の仕込みから接客まで、忙しく働いています。
カフェで働くときは動きやすい服が必須。
お気に入りの服はプライベートで、
とTPOに合わせて使い分けるのは当然のこと。
だけど、動きやすくて可愛かったら
働く意欲はさらに上がるかも。
東京・西荻窪にあるカフェ
「松庵文庫」スタッフの丸山千尋さんは
専門学校でファッションを学び、
読者モデルとして活躍していたこともあるという
生粋の洋服好きです。
「カフェスタッフとして働くときは
カジュアルな服を選ぶことが多いです」
スカートもパンツも履くし
メンズブランドも古着も着る。
最近はモードなテイストが好きと、
好みの幅が広い丸山さん。
「お買い物は、一目惚れタイプ。
街で可愛い服を見かけたら、即、決めます」
モヒートのパンツは最初に見たときから
ネイビーかベージュと決めていたそう。
「柄もののトップスが多いので、
パンツは無地のほうが着回しやすいかなと」
ファッションが大好きとあって、
ワードローブはかなりの量という丸山さん。
個性的なデザインの服も多いので、
モヒートのシンプルなデザインは
合わせやすくて重宝しそうとのこと。
シンプルなシャツをインして
大きめのピアスをアクセントに。
ぐっと大人っぽい印象になりました。
「からだを締め付けることもなく、
着心地、いいですね。
裏の縫製もきれい」
身長154cmの丸山さんはSサイズを着用。
ウエストの位置は、
ベルトを締めることで調節できるので、
丈が余る心配もなし。
さて、同僚の竹岡さんはというと
色柄選びに迷っている様子。
「丸山さんがベーシックな色を選んだので
僕はストライプに挑戦してみます。
こういう柄は着たことがないけれど」
聞けば、カフェスタッフと兼業で音楽活動をしているため、
ステージ映えする柄もののトップスが多く、
ゆえにパンツはシンプルな無地が多いとか。
「トップスはいろいろ持っていますが、
パンツはベーシックなもの2~3本を
トップスに合わせて着回しているだけ。
こんな柄ものも、ぶかっとした形も
足首が見える丈も初めてです」
いざ、履いてみたところ、
「思っていたより、スタンダードな雰囲気で、
気負わずに着られそう!」と笑顔。
「着てみると、意外とシルエットが細い。
ぶかっとした見た目にならないから、
手持ちの服とも合わせやすいですね。
でも、お尻まわりにゆとりがあるからか、
ものすごく動きやすい。
これ、汚したくないけど、
カフェで働くときにも着たくなりますね」
竹岡さんの身長は174cm。
最初はMサイズでちょうどいいなと思っていたけれど、
ものは試しとLサイズを着てみたところ、
「着心地が全然違う!」とびっくり。
「見た目はそんなに変わらないかもしれないけれど、
腰回りにLサイズのゆとりがあると
動きやすさが格段にアップしました」
「シャツをパンツにインして、
ハイウエストでベルトを締めるのは
好きなスタイルです。
サスペンダーも好きだし、
このパンツの共布のベルト、いいですね」
丸山さんも
ネイビーのパンツにボーダーシャツを合わせて
前側だけたくし上げて、パンツにイン。
「トップスはメンズの服で
かなり大きなサイズなんですが、
パンツのウエスト周りにもゆとりがあるから、
インしてベルトを締めることもできますね」
薄手のコットンリネン生地なので、
トップスをアウトしても、もたつかないのがいいところ。
丸山さんは長め丈のチュニックを、
竹岡さんはシャツをアウトした着こなしもお似合いです。
MOJITOの服を、あのふたりに。その1 ふたりで共有できそう。 cahier 菊地翔さん・春香さん
菊地翔さん・春香さんのプロフィール
きくち・しょう/きくち・はるか
代々木八幡で<cahier>(カイエ)という
美容院を営む菊地翔さんと妻の春香さん。
完全予約制のマンツーマンサロンで、
品質だけでなくデザインのいいヘアケアグッズなども
販売しています。
春香さんはスタイリストアシスタント、
セレクトショップスタッフを経て、
カイエに参加。現在は産休中。
似たもの夫婦と言いますが、菊地夫妻はまさにそう。
よーく見ると顔立ちも服装も違うのに、
なんだかお揃いを着ているように見えるし、
兄弟のようにも見える。
同じ空気感をまとっているのは、
仲良し夫婦だからなのでしょう。
「お揃いの服を買うことはありませんが、
彼の洋服を私が選ぶことはよくあります」
と春香さん。
というのも、翔さんが買い物をするとなると
メガネや家具にばかり気がいってしまい、
洋服が後回しになるからだそう。
「私はメンズライクなテイストが好きで、
メンズサイズを着るのも好き。
だから自分用に買ったコートを
173cmの旦那さんが着ることもあるんですよ」
翔さんが「僕は何を合わせようかな」と迷っていると、
「あの黒いスウェットは?」などと答える春香さん。
どうやら、ワードローブを完璧に把握している様子。
春香さんがモヒートのネイビーのパンツに合わせた
オーバーサイズのネイビーのシャツも
実は、翔さんのものだとか。
「こうなると上下ともにメンズブランドですね。
靴もメンズライクな
レースアップシューズを合わせたいです」
オールインワンのような着こなしを
山葡萄のかごでハズすところがなんともおしゃれです。
「全身、キメキメだと気恥ずかしくなっちゃう(笑)。
女性らしいものとゴツいものを合わせたり、
パジャマみたいなパンツにシルクの服を合わせたり、
テイストをミックスするのが好きなんです」
翔さんは美容師という職業柄、
白やベージュの服が多いそう。
この日に着ていたのも、白いドレスシャツ。
「丈が長めのものが多いですね。
体が泳ぐくらいの大きめサイズのほうが
バランスがとりやすくて」
そのシャツの下に
ネイビー×ホワイトのストライプパンツを合わせてみたら、
これ以上ないくらい、しっくりなじんでいます。
「普段、幅の太いパンツが多いので、
モヒートのパンツはスリムかなという印象でしたが、
Lサイズを履いてみるとゆったり。すごく着心地いいです」
とうれしそうな翔さん。
カーキに黒いスウェットを合わせたら
ぐっとカジュアルな印象になりました。
「テーパードシルエットだからか
きれいめのスラックスとしても履けそう。
合わせる服次第で、表情が変わりますね」
このパンツの素材は薄手のコットンリネンで、
シャリっとした肌触りも気持ちいいのです。
「長男が小さいので、一緒に遊ぶときに
カジュアルなパンツを探していました。
やっと見つけたという感じ!」
と春香さん。
「チノパンだとハリがありすぎて、
カジュアルになりすぎちゃう。
でもこのパンツの素材感はすごく好き!
好きなシルクのローブなどにも相性がよさそう」
実は2人目を妊娠中で、もう臨月間近という春香さんですが
いわゆるマタニティウエアは持っていないそう。
「いつもはワンピースが多いかな。
このパンツはLサイズを選んで、
ボタンは開けたまま、ベルトだけをゆるく締めています。
もともと大きめのサイズをだぼっと着るのが好きだから、
出産後も同じサイズで大丈夫」
153cmと小柄なので、大きめサイズのパンツを履くときは
たいていロールアップしているのだそう。
そのバランスのとりかたも、真似したいところ。
2人ともベージュのパンツに、
春香さんは白いシルクのローブ、
翔さんは白いカットソーを合わせた
淡いグラデーションのリンクコーディネート。
パンツは翔さんがMサイズ、春香さんがLサイズ。
「長め丈の服を合わせて
ゆるっと着るのも可愛いし、
トップスをインしてきれいめに着るのもいい。
サイズも2人で共有できそうだし、
かなり重宝しそうです」
MOJITOの新しいパンツ
その瞬間。
洗いざらしのパンツを、
穿く瞬間が好きです。
お日様の下でからりと乾いたパンツに、
足を通す時の気持ちよさったらないもの。
夏のはじまり、
ビーチサンダルを履いた時に足の指が自由になる時や、
晩秋、カシミヤニットに首をくぐらせた時と似た感覚。
ああ、そうだ。
ふかふかのブランケットにくるまる時も
しあわせだなぁ。
どうやら私にとって、
季節ごとの気持ちよさがあるみたいです。
今週のweeksdaysは、
MOJITOのパンツ。
さらりとしていて、
洗うほどに身体に馴染む。
だから毎日履きたくなる。
リネンとコットンの肌触りを、
どうぞおたのしみください。
そうそう、
それと、毎回好評をいただいている、
「AL’S COAT」の新色も同時にご紹介。
今季は春らしいあの色。
明日からの商品紹介をどうぞおたのしみに。
アングローバルのみなさんに 着てもらいました。
切畑屋智絵さん
MARGARET HOWELL SALES
身長 152cm
着用サイズ:ジャケット38 パンツ30
(セットアップスタイリング時はジャケットサイズ32)
「実はこれまで
自分に合うデニムジャケットに出会えず、
今までちゃんと着たことがありませんでした。
どう合わせようか悩んだ末、
デニムジャケットとは対照的な
シンプルな黒のロングワンピースを合わせてみました」
「とてもシルエットがキレイな
デニムを引き立たせるため、
トップスはシンプルなカットソーで
スタイリングしました」
「私にとって初デニムセットアップ!
縦のシルエットを出すため、
ロングシャツをインナーに合わせ、
あえて一番上だけボタンを留めてみました。
上下デニムという印象が強いので、
小物でアクセントをつけてみました」
山崎将央さん
SEVEN BY SEVEN 生産
身長 171cm
着用サイズ:ジャケット36 パンツ28
(パンツのみのスタイリング時はパンツサイズ32)
「インディゴの青みが強くキレイな色だったので、
インナー、パンツ、靴を白で統一し、
ジャケットが映えるようにスタイリングを考えました」
「少しオーバーサイズで着用しました。
足元のサンダルとファニーなプリントデザインの
スウェットで抜け感を出しつつ、
大ぶりなインディアンジュエリーで
締まり感を出してみました」

「ジャストサイズのセットアップに春夏らしさを出すため、
スーツ+コートを着用するような感覚で、
コートの代わりにオーバーサイズのシャツを羽織りました。
足元もカジュアルになり過ぎないように、
スニーカーでなく、ローファーを選んでいます」
甲斐裕季子さん
and wander PR
身長 176cm
着用サイズ:ジャケット38 パンツ30
(セットアップのスタイリング時はジャケットサイズ32)
「素材感とコントラストを楽しみたくて、
シルエットと落ち感の美しい
キュプラのセットアップにしました。」

「デニムの存在感をそのまま生かしたかったので、
シンプルにオーバーサイズのカットソーを合わせました。
ほどよい肉厚のオンスに左綾の巻き耳。
履くほどに、自分だけのオリジナルの色落ちや
アタリを育てるのが楽しみになるデニムだと思います」
「デニムジャケットをジャストフィットにすることで、
シャツの感覚に近いスタイリングにしてみました。
カジュアルになりすぎないよう、
ジャケットを合わせました。
オーバーサイズドルマンシルエットが、
モード感をぐっと醸し出してくれました」
菅原大輔さん
MHL Retail Trainer
身長 163cm
着用サイズ:ジャケット36 パンツ30
「上下ともにリラックスしたサイズ感で合わせて、
ワークウェアらしさを感じるスタイリングを心がけました。
中に来たカットソーやキャップを
ダークトーンにまとめ、
グルカパンツにカットソーをインして
重心が下にいかないようにし、
引き締まる印象を意識しました。
デニムジャケットはあえてサイズアップしています」

「パンツの絶妙なサイズ感が活きるように、
シンプルなスタイリングを選びました。
あえてロンTではなく
リラックスしたサイズ感のニットを合わせて、
ストリートっぽくならないようにしました。
また、緩く見えすぎないように
ハットを被っているのもポイントです」
「王道にびしっとボタンを閉めて着てみました。
さりげなくデニムのインディゴカラーに合わせて、
藍染のスカーフを巻いています。
この上に軽いミリタリーなコートを
羽織ってもいいなあと思います」
鈴木コンスタンス静さん
MARGARET HOWELL PR
身長 165.5cm
着用サイズ:ジャケット32 パンツ28

「シンプルなTシャツにパンツ、コンバース。
大人の女性のスタイルに
デニムジャケットを羽織ることによって、
抜け感を出してみました。
少し袖口をロールアップすることで、
軽さも演出しています」
「綺麗なシルエットのデニムを生かすべく、
バランスのよいスタイリングを考えました。
オーバーサイズで柔らかい素材のシャツを合わせ、
足元にヒールを入れて大人な雰囲気もプラス!」
「デニムを引き立たせたくて、
シンプルに白のインナー(タートルカットソー)、
足元には色物を合わせました。
今、30代後半だからこそ、あえて挑戦したい
デニムのセットアップのスタイリングです」
吉田雄一さん
Dice & Dice DIRECTOR
身長 180cm
着用サイズ:ジャケット42 パンツ36
「細ウネコーデュロイのセットアップに
デニムジャケットを合わせました。
茶とネイビーの色合わせがポイントです」
「年齢や体型を考慮して、
少しゆとりのある36インチを選びました。
コーディネートもベーシックに、
色数もおさえクリーンなイメージにしました」
「絶妙なジャケットの丈感、
パンツのウエスト周りの綺麗なシルエットをいかすべく、
インナーはタックインしています」
デニムの定番をつくりたい。
- 伊藤
- サンフランシスコ時代は、
古着をたくさん見て、
物もたくさん買ったということですが、
そういう審美眼というのかな、
誰か師匠になるような人がいたんですか。
- 川上
- 教えてくれる人は、いなかったです。
数を見ることによって勉強してたので、独学ですね。
ただ、そこにいる人達も、すごかった。
強烈なやつばっかりで。
彼らを通じて、目を養っていった感じですね。
思えば、師匠がいなかったのが良かったです。
そうじゃなければデータ中心というか、
座学で勉強して、
デニムにしたって、このメーカーが、この年代がって、
そういう道に行ったんだと思うんです。
僕はデータじゃなく、浴びるように、
毎日何百着も見ていた中で理解していったから。
数を見るとわかることってあるんですよ。
このディテールがいいな、と思うと、
そこに共通するタグがついていたりする。
すると、そのメーカーのものはすごいんだな、
ってわかるようになるわけです。
- 伊藤
- しかも師匠がいたとしたら、
その人のテイストに
染まったかもしれないですしね。
- 川上
- そうですよね。
僕は、現地の人が着てるの格好いい! とか、
そういう感覚でしたから。
- 伊藤
- やっぱり数を見るって大事ですね。
それにしても、何とかなるものですね、
18歳で、何もない状態で行って。
- 川上
- ハイ、何とかなりますね。
それで、22歳くらいのとき
いったん日本に帰って来ました。
- 伊藤
- そのままアメリカにいようって選択は?
- 川上
- いてもいいかな、と思ったんですけど、
アメリカにいたい、という気持ちよりも、
やりたいことの方が明確になってきたんです。
それで、活躍の場を拡げたいと思って、
帰国したんです。
- 伊藤
- それは、服をつくりたいということ?
- 川上
- そうですね。服に関わる仕事がしたいって。
ちょうど、日本の方と知り合ったんです。
その方のアシスタントになって、
見込まれて、物作りを始めました。
- 伊藤
- どんな物を?
- 川上
- 服のリメイクです。
その時からですね、好きだったデニムに、
作り手として触れることが増えたのは。
そのあとも、お金を貯めてはサンフランシスコに行き、
という生活をしていたんですが、
いつのまにか行かない時期が続いて、
そんなとき「店をやらないか」と誘われて。
- 伊藤
- セレクトショップですか。
- 川上
- 仕入れた古着をベースに、
リメイクだったり、
アメリカの現地のあたらしい物を仕入れたり、
そういうミックスの店でした。
でも仕入れには限界があるので、
ゼロから服をつくるようになって。
それが「セブン バイ セブン」のスタートです。
お店の表記は数字の「7×7」、
ブランド名は英語の「SEVEN BY SEVEN」。
2015年のことでした。
- 伊藤
- 川上さんから「デザイナー」然とした空気というか、
そういうものをあまり感じないのは、
そういう来歴からくることなのかもしれませんね。
お話をうかがっていると、
デザイナー以前に、バイヤーであり、
プロデューサーであり、ディレクターでもあり。
それがひとつになったのが
「SEVEN BY SEVEN」という
ブランドなのかもしれない。
- 川上
- 自分でもそんな感じです。
最初から買い付けと空間作りをしていましたから。
- 伊藤
- 「SEVEN BY SEVEN」での服作りは、
今、どんなふうになさっているんですか。
- 川上
- 技術面で「こんなことできないかな?」
っていうところから発想していることが
多いかもしれないです。
この秋冬は、ヴィンテージの生地に特殊加工をして、
やわらかくした素材を使ったりもしました。
いまはもう失われかけている
古着ならではの技術や素材もあって、
そういうものを現代によみがえらせたくて。
それは、なかなかたいへんなことなんですけれど、
次も、ちょっと面白いことをするので、
ぜひ楽しみにしていてください。
- 伊藤
- ぜひ! でも、ファッションデザイナーの仕事、
年2回、新作のコレクションを発表するって、
すごいことだと思うんです。
しかも男子ってすごくベーシックなものが多いでしょう。
年に1回ぐらいでいいんじゃないかしら(笑)。
- 川上
- そうなるとラクなんですけど!
でも自分みたいなタイプだと、
年に1回じゃ、遊びほうけそうです。
まだ時間あるな! なんて(笑)。
結局〆切前にヤバイって言ってるかも。
- 伊藤
- (笑)今回、「weeksdays」が
SEVEN BY SEVENと一緒に服を作るなら、
川上さんが一番好きなものがいいと思い、
デニムの上下をお願いしました。
私たちもずっとほしかった、
デニムのパンツと、ジャケット。
ジーパンとジージャンですね。
紹介してくださったかたからも、
「こいつ、デニム、すごいんだよ」って。
- 川上
- ぼくも、デニムのあたらしい定番をつくりたいなと
思っていたところだったんです。
ビンテージのデニムのよさは
経験的によくわかっていますが、
それを再現するレプリカではなく、
今の時代とみんなのスタイルに
ちゃんと受け入れられるものをと考えていて。
- 伊藤
- ヴィンテージのデニムへの尊敬、
川上さんは、とても強いでしょうね。
きっとリーバイスですよね。
- 川上
- はい。サンフランシスコが
リーバイスのお膝元でしたからね。
僕が住んでいたすぐ裏に工場がありましたし。
今は小学校になっちゃってますけど。
- 伊藤
- でも、ヴィンテージもとても素敵だけれど、
そのままじゃ、体型が違うから、
うまくフィットしない部分もありますよね。
- 川上
- そういうところをすごく考えました。
サイズも、今の時代あまりやらないと思うんですが、
細かく、1インチ刻みで作っています。
わざと大きなサイズを穿いても可愛いじゃないですか。
それを、綺麗だけじゃないストレートなかたちで。
- 伊藤
- 良かった!
川上さんのまわりの、
社内の女性たちからも、すごく好評だと聞いて、
すごくうれしいです。
いいシルエットですよね。
ディテールも、細かいことまで
ずいぶん相談させていただきました。
- 川上
- 伊藤さんといっしょにつくるなかで、
革のパッチはどうしようとか、
ボタンはどうしようとか、
いろいろ相談を重ねてきましたね。
- 伊藤
- そもそもSEVEN BY SEVENは
ブランドのパッチが無地の革ですよね。
それが潔いなと思っていたんです。
だからボタンをどうしますかと言われたとき、
できるだけシンプルにって。
そもそも、素材がいいし。
- 川上
- 素材、厚めに感じるんですけど、
穿くと、柔らかいんです。
- 伊藤
- これってワンウォッシュしてあるんですよね。
- 川上
- ワンウォッシュしてます。
いい時代の古着のデニム素材を再現したくて。
色も、この青さがすごく好きなので、
それが出るように作ったオリジナルの生地です。
穿いていくうちに、さらに綺麗な色になっていきます。
日本で作ると、インディゴがグリーンがかることが
多かったりするんですが、
これは青の方にいくデニムです。
- 伊藤
- 洗濯は、どうしたらいいんですか。
- 川上
- 裏返しにしてガンガン洗ってもらえれば。
‥‥裏返さなくても、別にいいですけど。
アメリカの人たちは、あんまり気にしてなかったです。
でもちょっと細かいことを言うと、
蛍光剤が入っていない洗剤がいいかな。
- 伊藤
- そうします。
ふと思い出しましたが、
うちの父もアメリカが好きでした。
原宿の代々木公園が、ワシントンハイツ、
米軍の兵舎や宿舎があった軍用地だった時代、
そこで働いていたんですって。
- 川上
- うわあ、すごい。面白そう(笑)!
- 伊藤
- 当時の父の写真を見ると、
デニムを穿いてるんですよ。
父が今生きてたら87ですから、
60年以上前のことです。
- 川上
- うわ、ヤバイ、すごい!
それ絶対リーバイスですよ。
- 伊藤
- (笑)こんど写真をお見せしますね。
父はディズニーの『バンビ』を見た時、
1942年の作品だと知って、
こんなの作る国には敵わない、と思ったそうです。
- 川上
- うわあ、すごい。
- 伊藤
- 父も、デニムには、ほんと、
グッときたみたいです。
どうして男の人ってアメリカが好きなのかな。
グッとくるポイントって何なんですか。
フランスとかじゃなくて‥‥。
- 川上
- なぜかヨーロッパじゃないんですよ。
アメリカですね、やっぱり。
もっとも、ヨーロッパには
行ったことがないんですけど。
- 伊藤
- どういうふうになるんだろう、行ったら。
- 川上
- 意外に超ヨーロッパっぽくなったりして。
- 伊藤
- 急にね。そうなったら、
この20年何だったの! って言います(笑)。
- ──
- ザックリ『POPEYE』のせいだっていう
40代~50代の男子は多いですよ。
- 川上
- 『POPEYE』見てました!
映画の影響もあるんだと思います。
『スタンド・バイ・ミー』や『グーニーズ』。
主人公達のジーパン、コンバース姿に憧れました。
小学校の時にああいうのを見て、
ジーパンが欲しいって親に言って
買ってきてもらったジーンズが、
あの501じゃないんです、どうしても。
それが悔しくて。
何かが違う。きっとシルエットも違うし、
たぶん素材もこうじゃない。
ちっとも格好良くねえ! みたいな(笑)。
- 伊藤
- (笑)ほんと、いつも思うのは、
アメリカが男子心を惹き付けるってなぜなのかなって。
川上さんが言葉もわからずあてもないのに
18歳で行っちゃった、
そのくらいの魅力があるわけですよね。
- 川上
- ほんとアホだったんです。
見せたいです、当時の写真。
ぼく、20キロ痩せてたんですよ。
- 伊藤
- えっ。えっ?!(笑)
見たい見たい。
- 川上
- 今度お見せしますね(笑)。
- 伊藤
- ぜひ。
今日は、川上さんの人となりがわかってよかったです。
どうもありがとうございました。
- 川上
- こちらこそありがとうございました。
こんどお父様の写真、見せてくださいね。
アメリカに憧れて。
- 伊藤
- すごい! いろいろなものがありますね。
インド風味なものとかも‥‥。
とっても可愛い。
川上さんは、アメリカにいらしたんですよね?
- 川上
- はい、90年代後半からですね。
2003年、4年ぐらいに戻って来ましたが、
そのあとも行ったり来たりしていました。
- 伊藤
- じゃもう20年ぐらい前から。
そもそもなぜアメリカに?
- 川上
- ちっちゃい頃から行きたくて。
日本の大学は、ロクなとこ行けないだろうな、
と思っていたから、新潟の田舎を出て、
いっそ好きなところに行こうと。
- 伊藤
- 東京に出るのではなく、
いきなりアメリカに。
- 川上
- 最初に考えたのはニューヨークだったんです。
ところがニューヨークって冬はすごく寒くて雪が降る、
ということを知って、せっかく新潟から出るんだから、
あったかいとこ行きたいなと、
西海岸になりました。
相談した人が、たまたま
サンフランシスコに留学してた人で、
すごくいいよって言ったので。
- 伊藤
- そういえばSEVEN BY SEVENという名前は、
サンフランシスコの別名だそうですね。
- 川上
- そうです、面積が49平方マイルで、
7マイル×7マイルに収まるから、
ローカルの人達は
SEVEN BY SEVENって言うんですよ。
といっても、僕が住んでた時には
そんな言葉はなかったんですけれど。
ブランドを立ち上げるちょっと前に行った時、
その言葉をやたら耳にして、
いい名前だなと思って、そこからいただきました。
- 伊藤
- アメリカに行こうって思った時には、
何をやろうと思っていたんですか。
- 川上
- それが、何にも思ってなかったです。
アパレルも、全く、やろうとは思ってなかったです。
- 伊藤
- ええっ?
- 川上
- 服は好きだったんですけど。
- 伊藤
- そもそも‥‥、なんでアメリカだったんですか。
- 川上
- それが、わからないんですよ。
ただただ、ちっちゃい頃から行きたかった。
- 伊藤
- へええ(笑)!
ここのところ、「weeksdays」でお目にかかるかた、
冒険家的な男の人が多いんですが、
川上さんにもそれを感じます。
「何ができるかわからないけど、ちょっと行ってみよう」
っていうことが人生を変えた、みたいな。
じゃあ、高校を卒業してすぐに?
- 川上
- はい、18で行きました。
知り合いもいないし、
英語もしゃべれなかったけれど、
とにかく行こうと。
- 伊藤
- そんな状態で行ったら、
カルチャーショック的なものはありましたよね。
- 川上
- はい。今のサンフランシスコってすごい都会ですけど、
行った当時は、メチャクチャ危なくて。
今も危ないですけど、
もっとすさまじく危なかったです。
初めてサンフランシスコに到着した日に、
ダウンタウンで素っ裸で捕まってる人を見て、
「すげえとこ来ちゃったな」って。
でも、なんとか、日々、過ごしてました。
- 伊藤
- お金はあったんですか?
- 川上
- ないっす。
- 伊藤
- どうしたんですか、それは。
- 川上
- 最初は親を頼って、
当座の生活資金を借りて。
- 伊藤
- そんな川上さんが
のちにアパレルブランドを立ち上げるまでに至る、
最初のきっかけが、
サンフランシスコにあったんですか。
- 川上
- はい。そこで日々過ごしているうちに、
怪しい場所を見つけたんですよ。
アメリカって、ドネーション(寄付)の仕組みがすごくて、
要らなくなった服を集めて販売する場所があるんですね。
その収益を社会に還元するというような。
その場所はバスターミナルの近くの
かなり危ない地域にあったんですけど、
ドアを見つけて、入ってみたら、
壮絶なくらい大量の服と古道具が山積みになっていて。
その服がきっかけです。
- 伊藤
- それまで古着が好きとか、
そういうことはあったんですか。
- 川上
- もちろん服は好きでした。
けれども、その場所に出会って、
服を漁るようになって、
うんと深いとこまで行っちゃったんです。
- 伊藤
- 寄付されるような服だから、
きっと玉石混交ですよね。
- 川上
- はい、ほとんど新品のものから、
何十年前の服まで、幅が広いというか、
メチャクチャでした。
それをどう漁るかで、目を養っていったように思います。
日本人は僕だけでしたけれど、
みんな、取り合いでした。
知識を持っている人が見ると、
お宝が混じっているのがわかるんです。
もちろん最初は何もわからなかったけれど。
- 伊藤
- そこには、目利きの業者が買いに来ていたのかしら。
- 川上
- いや、そうじゃないんです。
新品では服が買えないような人たち、
なかにはホームレスもいましたし、
メキシコから家族で逃げてきたという人、
そんな人ばっかりでした。
お金になりそうな服を見つけて安く買い、
値段を上げてフリーマーケットに出したり、
古着ディーラーに売ったりしていたんですよ。
パチンコと一緒で、いいのが出た時にはお金になって、
ちょっといいものが食えるぞ、みたいな(笑)。
あるいは、とにかく服に手を突っ込んで
なにかを探している人もいました。
それは、お金や指環を探していたんです。
昔の人って、ブラジャーの内側とかに
そういうものを隠していたんだそうで、
それを専門に探している人がいたんですね。
- 伊藤
- それはみんな必死になる!
でも、その中に入ってるもの、
取って‥‥いいの?!
- 川上
- それはもう、隠して、こっそり。
- 伊藤
- (笑)こっそりね。
- 川上
- 僕はそういう目的じゃなかったけれど(笑)、
古着にはまって、毎日買いに行っていました。
二つ折りにした服で部屋に壁が出来て、
ルームメイトとの仕切りになったくらい。
- 伊藤
- じゃあ、このお部屋にあるものは、
きっと、サンフランシスコにいた当時、
買い集めたものが多いんですね。
- 川上
- ヴィンテージのものは、結構そうですね。
ほんとうに安く買ったものばかりです。
ぼくは、どうやって作ってるんだろう?
誰が作ったんだろう?
って思うようなものが好きなんです。
ヒッピーが作ったアートや、
メキシコで作られたらしい円空みたいなマリア様、
流木、花生け‥‥、
なかには今はもう出ないような、
有名な作家さんのものもありますけど。
あとは、古いヒースセラミックとか。


- 伊藤
- すごく素敵。
- 川上
- 今もあるものですけど、
昔のものは質感が違いますね。
こういうものをいっぱい集めていました。
- 伊藤
- 服だけじゃなくて物も好きなんですね。
- 川上
- 物、大好きですね。
じぶんでも作ったりしましたよ。
これがそうです。
- 伊藤
- 面白い!
マリリン・モンローですね。
- 川上
- そうだ、これも面白いですよ。
リーバイスの古い企業広告です。
フランスの有名なクリエイターが手がけたんですが、
余りにも過激で公開中止になったんです。
これレアです、今。
- 伊藤
- 川上さん、サンフランシスコのことを語るのが、
すごく嬉しそう(笑)。
もっと聞かせてください。
SEVEN BY SEVENのデニム
あの頃のように。
服の方向性が変わったせいか、
はたまた体型のせいか?
前はあんなに好きだったのに、
そういえば最近、
履く機会が少なくなったなぁと
感じているのがジーンズ。
どうやら女の人のジーンズは、
流行りの形が変わるようで、
「ぴたっとしたものがいい」とか
「くるぶしが見えるものがトレンド」とか、
毎年大忙し。
さて、
では私はどんなものが履きたいんだろう?
と考えた時、
頭に浮かんだのは高校生の時に、
初めて買った古着のジーンズ。
白いTシャツや
古着のレースのブラウスなんかと合わせて、
毎日のように履いていたっけ。
そんなことを思い出したのでした。
今週のweeksdaysは、
SEVEN BY SEVENのデニムパンツとジャケットを
ご紹介します。
ずっとつきあっていきたい
スタンダードな形が魅力なふたつのアイテム。
これが似合うよう、
自分自身を磨かねば。
背筋伸ばして、
気を引き締めて。
今年の春から大人のデニム元年、はじまります。
1月に好評をいただいた、
AMIACALVAの新しいバッグも登場ですよ。
伊藤まさこさんのつくる5つの部屋。後編
ROOM3
壁際がちょっとさみしいな、なんて思うことありませんか?
そんな時のおすすめが、
長めのベンチ。
目線が低めなので、空間を圧迫することなく、
置くだけで部屋の雰囲気が変わるのです。
ベンチの上にはかごや缶などを置くと、
にぎやかでたのしい。
「座る」だけでなく、
こんな風に好きなものを置いて見せる収納ができるのもベンチのいいところ。
両脇には使い込まれて味わい深くなった椅子を。
スペースの都合でベンチを置くのは‥‥という方は、
椅子を一脚置くだけでも気分転換になりますよ。
ROOM4
もしも広いキッチンが持てたなら、
こんな風にスツールをずらりと並べたいなと思っています。
スープを煮ている間ちょっと腰掛けたり
クッキングブックや、
追熟待ちのフルーツが入ったボウルを置いたり‥‥
なんて、夢は広がります。
チューリップが入った缶は白いスツールに。
花台にすることだってできちゃうスツール、
今の私の注目のアイテムなのです。
ROOM5

部屋とは不思議なもので、
ちょっとした何かを置くだけで、
急に生き生きするし、
空気も変わる。
この小さなサイドテーブルもまたしかり。
ソファ脇に置くのもいいけれど、
今回は引き出しを上に置いて、
仕事部屋の片隅にあるイメージに。
手帳、読みかけの本、文房具‥‥。
毎日使うものをこのテーブルにまとめてすっきりと。
(伊藤まさこ)
伊藤まさこさんのつくる5つの部屋。前編
ROOM1
時々、小さな鉢植えを買ってきては、
気に入りの鉢に移し替えたりして、
ささやかなガーデニングをたのしんでいます。
そんな時、リビングのすみっこに
こんなコーナーがあったらいいなぁ、
そう思って作ったのがこの部屋。
木のはしごには、ブランケットやリネンのコートをかけ、
かごの中にはヒヤシンスをたくさん入れて。
庭や広いバルコニーがなくたって、
家具や小物でガーデニングの気分を盛り上げることはできるのです。
かわいらしい水色のテーブルは折りたたみ式。
スツールもはしごも移動はらくらくなので、
部屋の模様替えにはもってこいのアイテムです。
ROOM2
小さなテーブルを囲んで、
家族や気の置けない友人とお酒を飲みながら、
ゆっくりおしゃべりを。
とかくソファが中心になりがちなリビングですが、
時には小さな家具を組み合わせてみてはと思うのです。
椅子は木の色合いを揃えましたが、
形はばらばら。
私はこれ、私はこっち。
それぞれ気に入りの椅子をえらんだら、
きっと話も盛り上がるはずです。
(伊藤まさこ)
買い付けの極意。
- ──
- いまも営業をしているということは、
お店の状況は、徐々によくなっていったと
いうことですよね。
- 鵜飼
- 知られるまでの3年ぐらいは大変でしたよ。
お店だけだったら、とっくに消えてました。
デザイン部門の収入をつぎ込んで補填して
なんとか回していました。
最初の1ヶ月なんて、売り上げゼロの日が何日もあった。
でも徐々に知られて行くにつれ、商品も増やし、
他にはない物を、ということを念頭に置いて
拡げていきました。
- ──
- 鵜飼さんが買い付けてくるものって、
自分の好きなものですか?
それともトレンドを考えて?
- 鵜飼
- 後者は一切考えません。
自分が「好き」か「嫌い」かって、
一瞬で分かるじゃないですか。
ぼくが好きなものってね、
10段階の10のものではないんです。
そりゃ流石だな、カッコいいなとは思うけれど、
本当に好きなものはそのちょっと下あたり。
そこを中心に、だんだん幅を拡げていった感じです。
- ──
- じゃあ、ピンと来るものをパッと買う?
- 鵜飼
- そう。早いですよ。
たとえば、3年前かな、
ポートランドとロサンゼルス、縦に移動してね、
実質8日間で1200点買ったことがあるんです。
1200点っていうのは、吟味してたら買えない量です。
そのスピードは最初からあったような気がする。
ひとつ、亡くなった先輩から教わったことがあって、
「アメリカで買うときは、棚買いをしろ」。
棚買いすると、駄目なものもあるけど、
いいものが混じっていれば、それでいいんだから、
吟味して見過ごすよりも全部買えと。
あるいは、この棚、全部要らないみたいに判断しろと。
- ──
- この棚の中からいいものを選ぼう、
とすると、時間がかかってしまうんでしょうね。
- 鵜飼
- ただ、当時のアメリカの話ですけれど。
今は価格が高くなったからそんなことできないですけどね。
- ──
- じゃあ、ヨーロッパはヨーロッパ、
アメリカはアメリカで、いい人に巡りあった。
幸運ですよね。
- 鵜飼
- はい。その人が俺に与えてくれた一番のラッキーは、
仕入れ先を教えてくれたことなんです。
ふつう教えないですよね。
自分が苦労して何十年もかけて見つけた仕入れ先って。
- ──
- 企業秘密ですものね。
- 鵜飼
- 多分そのときに、「辞める」って決めてたんでしょう。
実際、2、3年してから廃業したんですよ。
- ──
- 「いい後輩ができた」と思ったのかもしれませんね。
- 鵜飼
- そうかもしれません。
最初にアメリカへ買い付けに行ったときは、
その人が手配してくれたバンに、運転手がいて、
安く泊まれていいホテルも紹介してくれて。
「何でこんなに親切なんだろうか」と思うくらい。
そんなわけで、アメリカでもいいスタートを切れました。
それから、3、4年前は年に8回ぐらい行きましたが、
今は年に4、5回くらいですね。
- ──
- いまはどこを回るんですか。
- 鵜飼
- まずイギリス。田舎とロンドンですね。
それから、フランスは、
古いものが少なくなっているので、
新しい物を買いに、たとえば、
メゾン・エ・オブジェ(MAISON & OBJET)
みたいな展示会に行ったりします。
アメリカはロサンゼルスがメインで、
ポートランドも行きます。
東は行ってないんですよ。
それから、年に1回ぐらいは北欧。
デンマークやフィンランドです。
一度、伊藤さんに同行してもらって、
「伊藤まさこが選ぶ」っていう企画で、
北欧の古い食器を集めました。
面白かった。彼女のスピード感、さすがだなと。
- ──
- 買い付けの早い鵜飼さんをしても?
- 鵜飼
- 違うスピード感なんですよ。
彼女が買い付けする姿って、見たことなかったわけ。
で、お店に行って「ここだよ」って言ったら、
「へぇ‥‥、すごいねぇ」なんて、
最初はのんびりしてるんです。
「戸惑ってんのかな?」なんて思って、
ぼくは出されたお茶とお茶菓子をいただいていたら、
テーブルの上にズン、ズンって、
あっという間に食器が積み上がっていました。
「こんな感じでいいかなぁ?」みたいな(笑)。
やっぱり、あの人の目っていうか感覚、
素晴らしいなと思いました。
もっと驚いたのは、次のお店に行っても、
さらに次のお店に行っても、目が疲れないんですね。
買い付けで一番困るのが、10日ぐらいの買い付けだと、
5日目ぐらいから目が飽きてくる。
良い物を見ても感じなくなっちゃうんです。
そして買い付けの量が減ってっちゃう。
それが自分の心配事で、滞在先で毎朝思うのは、
「心を、スポンジを絞った状態にして行きたい」
ってこと。
昨日までのことを一切忘れて、全部吸い込みたい。
そうじゃないとね、飽きちゃって、
元々買い物っていう行為が好きじゃないんですよ。
- ──
- えっ。
- 鵜飼
- 東京にいてもね。ショッピングという名の行為が、
もう面倒臭くて面倒臭くて。
- ──
- 意外です。
- 鵜飼
- そういう自分を知っているので、
初日に一番買えそうなディーラーとか、
買えそうなお店を充てがうんです。
なだらかな出発ではなく、
最初に飛ばそうぜ、って。
あとは「迷ったら買う」。
「これどうしようかな、取っといて、また後で考えよう」
っていうと、広いイギリスの郊外の
アンティークマーケットなんて、
だだっ広い原っぱに、ディーラーが10トントラックで、
外に物を置いて行くようなところなんですよ。
そんなところ、1日かけても回り切れないぐらいなのに、
1回見て「後でね」なんて、無理なんです。
場所も分かんない、誰か買っちゃう。
だからもう、行ったその場から「これ買う!」。
- ──
- 鵜飼さんが行かずに、
スタッフが行くことはあるんですか?
- 鵜飼
- それはまだ1回もないんです。
育てたいですよ。
この膝の痛さを考えたらね(笑)。
- ──
- 鵜飼さんの買い付けてきた家具は、
ずっとリース用だったものを、
いまは、販売もするようになったんですよね。
- 鵜飼
- そうなんです。
「AWABEES」っていうリースのお店を
15年ぐらいやって、何となく形がついて来て。
その間に「UTUWA」っていう、
食器とか料理本とか、料理のためのお店を開き、
2、3年経ったところで、次は
「売る」ということを、やってみたいなと
「TITLES」をつくりました。
それは、これまでリース用に買い付けた家具や雑貨が
たくさんあるからという以前に、
こんなことを思ったんです。
昔はね、スタイリストがリースで手軽にまかなうことを
よしとしない大御所のかたもいたんですよ。
「手軽にリースショップ行っちゃ駄目よ」と。
「自分の足で、ショップに行って、
コミュニケーションして、物を借りてらっしゃい」と。
当時は「撮影のために物貸して」って言うと、
ダメだったんです。いちど使ったら新品じゃなくなるから。
だからこそスタイリストの腕の見せ所だったわけで、
「リースのお店では手軽に借りられるから、
スタイリストとしての技量が伸びない」って言うわけ。
ぼくはその意見、なるほどって思ったんです。
ところが時代が変わり、一流の家具店でも
インテリアスタイリストの方を歓迎するようになった。
クレジットが入ると宣伝効果があるから、
むしろ簡単に貸してくれる。
彼らは、商用として売る物を仕入れているわけだから、
そこには下代があり、輸入可能な物だけが入って来てる。
うちは貸すわけだから、1点あればいい。
下代とか関係なく、他のいいお店が輸入できないような
いい物をきちんと販売すればいいんじゃないかな、
って思ったんです。
だから新品でも、「日本には出してないよ」
っていうところから、あえて1点だけ買ったりする。
そうすると先端のインテリアショップにないようなものが
ここにはあるよ、っていうふうになる。
「ちょっと新しい面白い物はこっち行ってみよう」って。
- ──
- 鵜飼さんが選んだもの、
「欲しい」っていう人はきっと多いでしょうね。
でも、長くリースをやってこられたから、
そうとう在庫もあるんじゃないでしょうか。
- 鵜飼
- たしかに倉庫問題っていうのがあってね。
4回、倉庫の引っ越しをしてるんだけど、
だんだん大きくなっているんです。
いまの倉庫も満杯に近い状況で、
やっぱり本格的に「売る」ことに取り組まないと、
ということもあります。
と同時に、前から「欲しい」っていう声もありましたし。
ただ、売ることについては、すごく素人です。
これからですよね、どうやっていくのか。
- ──
- ありがとうございました。
鵜飼さんの仕事、ようやく理解できました。
そんなタイミングで、「weeksdays」と
組んでくださったのも、なにかのご縁だと思います。
今回、鵜飼さんが長年買い付けたなかから
伊藤さんが選んだ家具、
欲しい人のところに届くといいなって思います。
- 鵜飼
- どうもありがとうございました。
夢やぶれて。
- ──
- ニューヨークの出版社では、
1コマ漫画の採用までには、
どういうプロセスがあるんですか。
- 鵜飼
- 1日に7社ぐらい持ち込みで回るんですよ、出版社を。
見せると、3枚ぐらいキープしてくれるわけ。
で、翌週行って「T. Ugai」って
自分の名前が書かれた棚を見ると、
3枚とも返って来てる。
ちっちゃな紙に「今回は採用はありません」って。
そこから1年間、毎週水曜日、7社ずつ通っても、
いっこうにダメでした。
- ──
- 厳しいですね。
- 鵜飼
- 毎週、毎週、毎週、1年、1枚も、
どこの出版社からも採用がない。
自信満々だったのが、心が折れて来る。
逆恨みし出して、「何だこいつら冷たい!
far eastからこんないたいけな少年が来て、
漫画描いてんのに!!」って。
- ──
- あちらには「情」で仕事を出すことなんてないんですね。
- 鵜飼
- そう、面白いかつまんないか、だけです。
ところがあるとき、
「ナショナル・ランプーン(National Lampoon)」
っていう新しい出版社があって、
そこはジョン・ベルーシが出ていた『1941』っていう
コメディの戦争映画も作っていたような会社なんですが、
編集長がニコニコして
「先週預かったやつ、採用だよ」って。
跳び上がりましたよ、そのときは。
小学校5年からずっと待ってたことが実現して。
その後、人生でいくつか嬉しいことはあったけれど、
あれほどのことはなかったかもしれない。
- ──
- わあ。ちなみにギャランティは?
- 鵜飼
- 原稿料はね、50ドル。
1ドル360円の時代だから、1万8千円。
当時の感覚だと、10万円もらったような気持ちでしたが、
お金には換えられない喜びでした。
アメリカの出版社のシステムは明快でね、
10枚採用されると、ギャランティが上がっていくんです。
それもどんどん上がっていくんですよ。
だから、ベテランのおじいちゃんたちは
1枚売れれば数か月暮らせるくらいもらえたはずです。
- ──
- そこからどうなったんですか。
- 鵜飼
- それで、いろんな出版社に採用されて、
ちょっとずつ名前が出るようになり、
よし、これで行くぞ! と思っていたら、
ベトナム戦争の煽りで、ビザがおりなくなりました。
- ──
- ええっ?
- 鵜飼
- イミグレーションから「帰ってくれ」と。
ベトナム戦争がいよいよ末期になり、
アメリカの若者にやる気がなくなっていった時期です。
明日徴兵でベトナムに行くかもしれない。
だからもう働かないで、Love & Peace、
ドラッグ、セックス、音楽、
「今日を楽しく」っていう風潮になり、
そんな中で外国人が張り切っているのは、
政府としても困っちゃうわけですね。
だから「働かないでくれ」と。
- ──
- 「もうビザをあげません」と。
- 鵜飼
- そう。何回かいろんな申請をしたんだけど、ダメでした。
結局、2年で帰国することになりました。
出版社は「日本から郵便で送ればいいじゃないか」
って言ってくれて、そう思っていたんだけれど、
羽田空港に着いてタラップが開いた瞬間、
気持ちがパッと消えちゃった。
ぼくは「仕事して、結婚して、向こうで暮らす」
ことが目標だったんですよ。
だから日本から郵便で送るっていうのは、ないなって、
そう思ったんでしょう。
- ──
- プツッと切れたんですね。
- 鵜飼
- 切れた。もうあっという間に切れちゃった。
- ──
- それでどうしたんですか。
- 鵜飼
- やることないんで絵の学校に行きました。
「セツ・モードセミナー」って、
いまはもう閉校した学校です。
- ──
- はい、長沢節さんが主宰していた。
- 鵜飼
- そうなんです。まだ長沢節先生が元気なとき。
それで、水彩画を描いていたとき、何かのつてで、
「銀座の広告代理店がデザイナーを探しているよ」と。
「やったことあるんだよね?」って、
もちろん、ないわけですよ、なのに
「うん」とか言って(笑)、
ニューヨークで経験があるということで受かっちゃった。
でも、翌日出勤したら、お昼ご飯までにバレたんです。
三角定規やデバイダーを渡されても、
さっぱり分かんないわけですよ。
それで、グラフィックデザインを
いちから教えてもらったんです。
- ──
- きっと、面白かったんでしょうね、
ニューヨーク帰りの漫画家だった若者が。
- 鵜飼
- そう、皆はね、面白がってくれました。
それで一気に皆の中に溶け込めました。
そうこうしているうちに、
仕事の一環で、テレビのCMのキャンペーン会議に、
グラフィックデザイナーとして出席するようになって。
そしたら、それまで漫画のアイディアを
毎日、毎日、毎日、毎日考えてたから、
アイディアを出す脳みそになっていたんですね、
ブレインストーミングで、
山のようにアイディアを出したんです。
そしたら、「面白いなこいつ」って言われて、
いろいろ重宝がられて、声が掛かるようになって。
あいつデザインの技術はたいしたことないけど、
アイディア考えさせた方がいいぞ、って。
- ──
- (笑)
- 鵜飼
- そこでずっと働いていたんですが、
35歳のとき、通販の会社の製作部に
カタログをつくる仕事でヘッドハンティングされ、
それを5年続けてから、
40歳のときに独立しました。
テレビのコマーシャルの仕事、
プランナーとしての仕事、
通販のディレクターの仕事、
ぜんぶやっていました。
当時、通販でも新しいことがやりたくて、
たとえば撮影はスタジオでストロボで撮るのが
主流だったのを、全部自然光で撮りたい、とか、
そういうことをやるものだから、
いろんな人たちが面白がって参加してくれたんです。
「雑誌よりも自由だね」って。
伊藤まさこさんと出会ったのも、その頃です。
そんなこんなでやってる最中、
撮影小道具を、経費をかけて借りて来るのを見ていて、
「もっといいのないのかな」と心の中で思っているうちに、
「自分でやってみよう」って思っちゃったんですよ。
で、あるスタイリストの人に相談したんです。
「俺、そういうこと、やろうと思うんだけど」って。
そしたら「やってみたら?」って背中を押されて。
- ──
- おお、やっと今の仕事につながりました。
- 鵜飼
- それで広めの場所を借りて、
モロッコ、イギリス、フランスに行き、
まずは雑貨を仕入れてきました。
なにもわからずに行ったんだけれど、運がよくてね。
途中で買った物を、フランスのパリのホテルの
倉庫みたいな所に入れさせてもらってたんですよ。
そのままにしてロンドンに行ったら、
スピタルフィールズ(Spitalfields)のマーケットで、
鉄の家具を売っている若者がいて、
「かっこいいね。買いたいけど、運べないんだよね」
って言ったら、「運ぶ人知ってるよ」って。
そして紹介してくれたのが、
なんと日本人の運送会社の人。
彼が手伝ってくれて、
買ったものがわかるようにしてくれれば、
お店に取りに行って、まとめて発送してくれた。
それが本当にラッキーで、
それがなかったらどうしてたんだろうって思います。
パリも同様にやってくれて、
モロッコだけはできないから、
じぶんで郵便局から送れる範囲のものを買いました。
ところが、たくさん買ったつもりだったのに、
お店の中はスカスカなんです。
だから売り上げもスカスカ。
辛(から)めに想像してたんだけど、
それを遥かに下回る売上げで!
- ──
- ひゃあ、どうなさったんですか。
漫画家になるつもりで。
- ──
- 鵜飼さんって、もともと、
なにをなさっていたかたなんですか。
ヴィンテージ家具や雑貨を取り扱うって、
鵜飼さんの世代が「はじまり」という気がするんですが、
ということは、
家業を継いだということでもないんだろうな、
と思っていました。
- 鵜飼
- 元々は、漫画なんですよ。
- ──
- 漫画‥‥?
- 鵜飼
- 小学生のときって、漫画を好きになるでしょ?
ぼくもそうだったんです。
ぼくの世代だと、手塚治虫、赤塚不二雄。
それを真似してみたら、
やけに上手く描けたんですよ。
そして学校で美術の授業で水彩画を描くでしょ、
そうすると、それも上手いと自分でも思って、
何となく「そっち」かなと、
漠然と思っていたんです。
- ──
- 「美術系に行こう」って。
- 鵜飼
- はい。そう思っていた小学校3年か4年ぐらいのとき、
アメリカの『ニューヨーカー(THE NEW YORKER)』
っていう雑誌を見る機会があったんですね。
- ──
- 表紙がイラストの。
- 鵜飼
- 「何だこれ?」と思って。もちろん英語は分からないし、
1コマの漫画らしきものがあるんだけど、全然面白くない。
それはキャプションが分からないからですね。
ところが見ていくうちに、
1つキャプションがない漫画に目が留まって、
子供心に「面白い」って思っちゃった。
でも「ユーモア」なんて概念は分からないから、
「何でこれが可笑しいんだろう?」って思ったんです。
『おそ松くん』が可笑しいのは分かるけど、
自分がアメリカの1コマ漫画を面白いと思うことが
不思議でしょうがなくって、
それで真似して描いてみたりして、
もっと読みたいと興味を持ったんだけど、
そんな本、どこに行ったら手に入るのかすら分からない。
で、1年ぐらいたって、小学校5年ぐらいだったかな、
銀座の「イエナ書店」という
洋書を扱っているお店にあるよと、
誰かが教えてくれたんです。
「あそこ行きゃ、山のようにあるよ」って。
- ──
- イエナ書店、ありましたね。
銀座の晴海通り沿いに。
- 鵜飼
- それで、小学生だからお金を貯めて、
ドキドキしながらひとりで初めての銀座に行って。
- ──
- 東京の子ですよね、鵜飼さん。
- 鵜飼
- そうです、駒沢に住んでたから、
玉電(路面電車)で渋谷まで行き、
そこから地下鉄銀座線で銀座に出て。
ところが最新号の『ニューヨーカー』は
すごく高くて買えないわけです。
「立ち読みでいいや」と思って漫画を見たら、
やっぱり同じように、1つ2つ面白いものがあって、
そこから、もう、のめり込んじゃった。
何とかして欲しいと思って、
下北沢あたりで古本屋巡りをしてたら、
あったんです、古くてボロボロの安いやつがね。
で、1冊買って、穴が開くくらい見て、
真似して描いているうちに、さらに楽しくなってね、
漫画家になりたい! と思って、
のちに『アンパンマン』で有名になる
やなせたかしさんのご自宅に押しかけたんです。
- ──
- えっ?
- 鵜飼
- 何の伝手もないのに、どうして調べたか、
電話をかけたら奥様が出て、
「ちょっと見て頂きたいんです」
「おいくつなの?」
「小学校6年生です」
「あら! じゃ、いらっしゃい」って。
- ──
- 逆に怪しまれなかったんですね(笑)。
- 鵜飼
- そうなんですよね。
で、やなせたかしさんが見てくれたわけですよ。
めっちゃ優しくてね、
「へー、これ君が描いたの?
何でこんなの描けるの?」みたいな話になって。
- ──
- つまり、『ニューヨーカー』を真似して描いてるから、
日本人が書くのが珍しいタイプの
漫画だったんですね。
しかも小学生が。
- 鵜飼
- しかも「いいよ」って言われて。
「続けなさい」って。
それで話は終わったんだけれど、
帰るタイミングが、子どもだからわからなくて、
ずーっといたら、何人かの編集者が
やって来ては帰っていって。
暗くなってきたらさすがに奥様が
「お母さん心配してるから帰りなさいね」って。
それで、自分の心の中では
「将来ニューヨークに行って、漫画家として暮らす」
ということを決めたんです。
そこからもう、描いて描いて描いて描いて。
そしたらラッキーなことに、いとこが国際結婚して、
ニューヨークに住むことになって、
しかもその旦那が、
『ニューヨーカー』で漫画を描いている
アメリカ人の漫画家だったんです。
- ──
- えっ! それは運命を感じちゃいますよね。
- 鵜飼
- ぼくの漫画を見せたら、「いらっしゃい、将来」と。
もう万全じゃないですか。
で、「中学出たら行こう」と思ったら、親に反対され、
高校を出て行こうとしたら、また反対された。
「大学を出てから」っていう話になったんだけど、
「小学校からずーっと待ってんのに、何年待てばいいんだ」
っていう気になって、そこでちょっと演技をして、
「もし今行かせてくれなかったら死ぬ」くらいの
アピールをしてね。
- ──
- 自由な感じのご両親だったんですか?
- 鵜飼
- いや、堅い家庭だったんですよ、アートとは関係ない
商社一家で、おじいちゃんが「伊藤忠」、
父親が「丸紅」、そういう家庭だったから、
ぼくをひとりニューヨークにやるなんて、
とんでもない選択だったはずです。
- ──
- きっと進路も一流大学の経済学部や法学部に、
みたいな感じですよね。
- 鵜飼
- ぼくは、そういうことがすごく嫌だったんです。
とにかく漫画を描きたいから。
それでいとこの旦那さんを頼って
ニューヨークに行き、
来る日も来る日も来る日も描いて、
半年くらい描いた頃、
「よし、じゃあ、今日は一緒に連れて行く」って、
出版社の編集長を紹介してくれたんですよ。
- ──
- すごいことですね。
- 鵜飼
- アメリカのシステムってね、すごく平等なんです。
めちゃめちゃ有名な漫画家も
駆け出しのペーペーも、
「出版社からの依頼」はないんですよ。
- ──
- え?
- 鵜飼
- 毎週水曜日に編集長が、
大家からペーペーまで、全員の漫画を見てくれるわけ。
だから水曜日に出版社のロビーに行くと、
じいさんがウヨウヨいたの。
それがみんな有名な漫画家なんです。
「サム・グロスはいるの?」
「あの人がそうだよ」
「わっ、サインして下さい!」みたいな状況でした。
真っ白なキャンバスに。
いつか自分の家を持てることがあったなら、
まっ白な箱のような部屋を作りたい。
そこには、
好きなものだけしか置かない。
なにも描かれていないキャンバスに、
自由に絵を描いたり色を足したりするように、
部屋が作れたらいいなあ。
そんなことを妄想するのです。
幸運なことに、
その私の妄想は、
仕事で形にすることができています。
ある時は、
一人暮らしをはじめたばかりの女の子のベッドルームを。
またある時は家族4人の食卓を。
なーんにもないところに、
そこにいる人のことを思い浮かべながら、
家具を並べ、小物を置くうちに、
白い箱だった空間が、
ゆっくりと息づいて「部屋」になっていく。
スタイリストという仕事って、
おもしろいなぁと思う瞬間です。
今週のweeksdaysでは、
5つの部屋を作りました。
さてどんな部屋ができたでしょうか?
明日からのコンテンツをどうぞおたのしみに。