未分類カテゴリー記事の一覧です
動きやすくて、リラックスできて。
- 惠谷
- (リモート画面に向かって)
まさこさん、こんにちは!
なかなかお目にかかれなくて。
お元気でしたか?
- 伊藤
- 元気です! お酒だって飲んでますよ。
- 惠谷
- 良かった(笑)。
- 伊藤
- 今回のウェアは、そもそも、
「じつは以前、こんなものをつくったことがあって」
と、見せてくださったサンプルと、
わたしが欲しかったものがとても近いものだった、
というところから、はじまりましたね。
- 惠谷
- そうでしたね。
当時、ちょうど、まさこさんが
フィットネスを始められたということで、
でもジムで着るウェアに、
欲しいものがなかなかないと。
それで、わたしがつくったことがある
ヨガウェアをお見せしたんです。
以前、cohanでつくったんですよ。
- 伊藤
- ずいぶん前から、太香子さんは、
フィットネス系のウェアをデザインなさっていたと。
- 惠谷
- そのcohanよりずっと前にも、
日本と海外のスポーツウェアメーカーの協業で
日本仕様のウェアをつくるというので依頼をいただき、
ヨガウェアをデザインしたことがあります。
その頃、ヨーロッパからの情報で、
「これからふたたびヨガブームが来る」と。
- 伊藤
- ということは、それ以前にもブームが。
- 惠谷
- はい、私が小学生の頃、
1970年代にもブームがあったんですよ。
ヒッピームーブメントの流れでしょうね。
私も母と2人で親子ヨガに行きました。
父が地元のロータリークラブに入っていて、
その縁で開かれた教室だったので、
会員の奥さんと子どもたちが集まったんです。
わたしも母とおそろいの黒いレオタードを着て(笑)。
- 伊藤
- わぁ、かわいい(笑)。
きっと、バレエのレッスンで着るようなウェアですよね。
でも、当時は、ヨガマットとか、なかったですよね。
- 惠谷
- なかったです! しかも、
うちは広島の尾道で、田舎なものですから、
大きなこんにゃく工場の倉庫に集まってレッスン(笑)。
床が硬くて冷たいから、なにか敷くものがなくちゃ、と、
家が畳問屋だったもので、畳表‥‥ゴザですね、に
クッションを付けたのを、ひとり一畳ぶん作って、
みんなで使っていました。
- 伊藤
- あら!
- 惠谷
- こんにゃく工場の倉庫にゴザマットを敷いて、
母子でツルのポーズ(笑)。
でもそのヨガブームは、すぐに下火になりました。
というのも、よりアクティブなエアロビクスに
とってかわられたんですよ。
- 伊藤
- そっか、そんな時代がありましたね!
それで、ふたたびヨガブームが来るぞ、
というときに、太香子さんは、
ヨガウェアのデザインの依頼を受けたんですね。
そのスポーツウェアメーカーとは、
たとえばエアロビクスのものを応用するのではなく、
ゼロからつくろうと?
- 惠谷
- そうなんです。
調べると、ヨガも細分化されていて。
ハードに身体を使うヨガもあれば、
そんなに動きの激しくない
瞑想するヨガもあるんですよね。
それによって動きが全然違うので、
ウェアのシルエットも変わるんです。
ハードなヨガ用は、体のラインを見せ、
筋肉の流れをチェックしたいので、
なるべくピッタリしたものがいい、とか。
それによって素材も変わります。
- 伊藤
- ジムで、男の人がタンクトップを着ているのを見ると、
肩甲骨まわりを覆わないデザインがありますよね。
- 惠谷
- グレコタイプですね。
- 伊藤
- あれも、意味があるんですよね。
- 惠谷
- そうなんです。肩甲骨の可動域を拡げ、
筋肉の流れや動きがわかるように、
そうなっているんですね。
わたしのデザインした当時のヨガウエアも、
とても本格的なものでしたよ。
と、そんな経験もあったんですが、
以前cohanでつくったヨガウエアは、
そんなに細分化したものではなく、
私みたいに運動が嫌いで、
でもおうちでストレッチくらいはしたい、
という人の着るものがあったらと考えたんです。
普通の部屋着だと、バサバサしてちょっと邪魔になる。
- 伊藤
- そうなんですよ!
- 惠谷
- でも人に見られて恥ずかしいものも嫌ですよね。
宅配便の受け取りには出られるくらいじゃないと。
だからゆるーいヨガウェアっていうか、
「リラックス&ストレッチ」のための
ウェアをつくれないかなって思って。
いいものができた! ‥‥と思ったんですが、
ちょっと早すぎたというか、
PRも上手にできなくて、
ほとんど市場に出ないまま、撤退してしまいました。
じつはその頃は、ピッタリした、
カッコいいヨガウェアが多かったんですよね。
ハーフトップで、うんとピッタリの。
- 伊藤
- そっか、リラックス寄りのウェアは、
ちょっと早かったんでしょうね。
でも、わたし、思うんですよ、
ピッタリ系のウェアが着られるようになるのって、
しっかり鍛えてからじゃないですか。
「これから始めよう」というひとには、
ハードルが高いんです。
- 惠谷
- そうなんです、そうなんですよ、
激しく同意します(拍手)!
そういうすごいお姉さんばかりがいる
ヨガスタジオだったとしても、
わたしたちが臆せず行ける
おしゃれなウェアがほしいですよね。
じつは、わたし、それをつくるのに、
がんばって行ったんです、ヨガスタジオ。
ヨガをやらずにヨガウェアを考えちゃいけないな、
小さな頃の記憶だけじゃダメだと思って‥‥。
ところがたまたま行ったスタジオは、
ネパールから来た先生の教える、
ヨガの先生を養成するレベルの教室だったんですよ!
- 伊藤
- すごくハードな!
- 惠谷
- そうなんですよ。
スポーツでギネスの記録を持っているかたもいました。
でもがんばってヨガの動きを考えた形を作りたいと思って、
ヨガマスターな女性たちの中で奮闘してきたんです。
いまでも、すごく良い物ができたという気持ちがあって、
今回、「weeksdays」でつくったものは、
その経験が反映されているんですよ。
- 伊藤
- 太香子さんは、パリのオペラ座でバレエの衣装づくりに
携わった経験をお持ちですよね。
きっと、それも、そこに、生きているでしょうね。
- 惠谷
- はい。たとえば全部が「立体」であること、
そして「動き」ですね。
足の上げ方とか手の上げ方とか、
筋肉の動きすべてが、
わたしのデザインの基本はクラッシックバレエです。
- 伊藤
- 当時からしたら当たり前でしょうけれど、
最近は、ずいぶん素材も変化したんじゃないでしょうか。
- 惠谷
- それはとっても大きいですね。日進月歩です。
最初のヨガウェアから比べて、
そのあとの、世に出なかったcohanのウェアも
ずいぶん進化しました。
そしてさらに今回でも進化があります。
伸度はほとんど同じですが、
速乾性があり、畳むとコンパクトになりました。
わたしの好みもあり、当時はもう少し
コットンの混率を高くしていたんですよ。
- 伊藤
- なるほど。
- 惠谷
- パンツのほうなんて、
洗濯機で洗って脱水し、パンパンって拡げたら、
ほとんど乾いている、というくらいです。
- 伊藤
- それはうれしいですね。
- 惠谷
- デザインをスタートした時は、
コットンが多いほうが気持ちいいんじゃないかな、
汗もいっぱい吸うだろうなと思っていたんですけど、
スポーツウェアにするには、乾きが遅いんです。
ストレッチはおうちで毎日することですから、
毎日着替えて洗いたいですよね。
それに、何枚も買っていただくのではなく、
洗ってすぐ乾くっていうほうがいいと思いました。
cohanのフィットネスウェア
再入荷のおしらせ
完売しておりましたアイテムの、再入荷のおしらせです。
9月30日(木)午前11時より、以下の商品について、
「weeksdays」にて追加販売をおこないます。
フォトコーナー

写真や手紙、切符、チケット、
お菓子のラベルなどなど、
思い出の詰まったあれこれ。
人が見たらなんてことのないものでも、
自分にとっては、ものすごく大切なものって
きっと誰にでもあるはずです。
思い出のものは、そんなにいらないやと
なんでも威勢よく捨てがちな私にも、
じつは大切にとっておいているものがあるんです。
無造作に缶に入れていたり、
ファイルにしまってあったそれらの「大切なもの」。
いつかきちんとした形におさめたいな、
ずっとそう思っていました。

今回、アコーディオンアルバムと一緒に
フォトコーナーをお願いしたのは
暦帖でお世話になっている美篶堂(みすずどう)。
美篶堂の上島明子さんが、
weeksdaysのためにと、
特別に紹介くださいました。
小さなものですが、
趣があって、「大切なもの」をさらに、
特別なものにしてくれるのです。

貼り方のコツは、
薄く水を塗ったら3秒くらい数えてから貼ること。
四隅をそっと押さえてまた5秒待つと、
ズレることなく、きれいに貼れますよ。
(伊藤まさこさん)
めがねチェーン
つけたり、外したりしている間に
あれ? どこに置いたんだっけ?
なんてことになってしまう老眼鏡。
ああ、感じのよい眼鏡チェーンがあったらなぁと
今まで何度、思ったことか!

そこでBonBonStoreの井部さんに、
「メガネのチェーンを作ってもらえませんか?」と
無理を承知でお願い。
以前、お会いした時に、
傘だけでなく、
小物のデザインもされているというのを
小耳に挟んだのでした。
できあがったチェーンはシックで上品。
チェーン部分のゴールドが肌に馴染むので、
いかにも「つけてる」という感じがありません。
さすが井部さん。
また、
weeksdaysオリジナルの
JINSの老眼鏡との相性はもちろん、
サングラスにつけてもいい感じなんですよ。
(伊藤まさこさん)
体を動かす。
50になる少し手前、
「このままではまずいぞ」
と危機感を覚えました。
若い時のように、
無理は効かないし、
代謝だって年々落ちている。
これから先の毎日を元気に過ごすために、
私は何をすればいいんだろ?
そこで行きついたのが、
「体を動かす」でした。
いざ始めてみると、
動かしていない部分がたくさんある。
自分の体なんだから、
ちゃんとケアして、労ってあげないといけないなぁ‥‥
とちょっと反省したのでした。
さて、そこで困ったのが、
何を着ればいいんだろうか?
ってこと。
バリバリにフィットネスをするのではないとはいうものの、
動きやすいウェアは着たい。
体をほどよく隠しつつ、
自分を「いい感じ」に見せてくれるものって、
探すと案外ないのです。
今週のweeksdaysは、
cohanのフィットネスウェア。
今の私たちにぴったりな、
「いい感じ」のウェアができました。
コンテンツはデザイナーの恵谷太香子さんとの対談。
なるほど! と納得するウェア開発のお話が、
たくさんうかがえましたよ。
ムートンサンダルをあのひとに。 [その4]藤井志織さん[後編]
藤井志織さんのプロフィール
ふじい・しおり
編集ライター。
雑誌、書籍、WEBなどで編集や取材、執筆を行うほか、
イベントの企画やディレクションを行うことも。
料理からインテリア、ファッションまで、
垣根なく繋げていきたいと考えている。
担当した書籍に、
重信初江著『昔ながらのおかず』、
草場妙子著
『TODAY’S MAKE BOOK 今日のメイクは?』、
オカズデザイン著『マリネ』、
ウー・ウェン著『100gで作る北京小麦粉料理』、
小堀紀代美著『ライクライクキッチンの旅する味』などがある。
「LEHMANN-MON」は、
グレーのワントーンで。
「NOTTE(パープル)は、
自分のワードローブの中には、
まったくと言ってない色。
さて、何を合わせようと思った時に、
目に入ってきたのがこのグレーの上下だったんです」
ニットとパンツはセットアップかと思いきや、
それぞれ別のブランドなんですって。
上下ともに、素材はカシミヤ。
「着ていて一切ストレスなし。
汗をかいてもかゆくならないところがいいいんです」
まるで裸でいるみたい(!?)な、
着心地のよさなんですって。
「RESCUE-MON」では、
靴下に色を持ってきていましたが、
今度は、服に寄った色合いの靴下。
靴をコーディネートの主役にしたい時、
私も他の色合いをすべて統一するけれど、
こうすると、自然に足元に目がいく。
靴好きとしては、
こんな「靴が主役のおしゃれ」、大好きです。
着替えの時に、
ささっとピアスやその他のアクセサリーを
変えてくれた藤井さん。
髪を留めたべっこう風のコームまで!
こんな風に、
服はシンプル、アクセサリーで
変化をつけるのが好きなのだそう。
たしかにいつもかわいらしいピアスやリングを重ねづけ。
家を出ても、アクセサリーをつけ忘れたことに気づくと、
つけに帰るというくらい、
藤井さんにとってアクセサリーは
なくてはならない存在なのだとか。
「これはもう趣味みたいなものだから
誰にも分かってもらえないと思うのですけれど‥‥」
シルクの下着や、着心地のよい服、
それから「誰にもわかってもらえない」アクセサリー‥‥。
ほかの誰のためでもない、
自分が気分よくいるためのおしゃれ。
それってつまりは、
周りにいるみんなの目も、
楽しませてくれているんだよなぁ。
ムートンサンダルをあのひとに。 [その3]藤井志織さん[前編]
藤井志織さんのプロフィール
ふじい・しおり
編集ライター。
雑誌、書籍、WEBなどで編集や取材、執筆を行うほか、
イベントの企画やディレクションを行うことも。
料理からインテリア、ファッションまで、
垣根なく繋げていきたいと考えている。
担当した書籍に、
重信初江著『昔ながらのおかず』、
草場妙子著
『TODAY’S MAKE BOOK 今日のメイクは?』、
オカズデザイン著『マリネ』、
ウー・ウェン著『100gで作る北京小麦粉料理』、
小堀紀代美著『ライクライクキッチンの旅する味』などがある。
「茶色は好きな色のひとつ」
という藤井さん。
でも、秋冬に履く靴は黒や焦げ茶が多いので
今回履いてもらった薄めの茶は
意外にも初挑戦なのだとか。
「ミルクチョコレートのような、
キャラメルのような。
おいしそうで、かわいい色ですね」
と、とても気に入ってくれたよう。
(私はこの色、密かに「テディベア」と呼んでいます。)
私の印象では、
生成色の服が多い藤井さんですが、
今日もやっぱり全身、生成り!
そして、着慣れているだけあって
よくお似合いです。
「ワントーンのコーディネートが好き」
という藤井さん。
その場合、こんな風に
靴下に色を持ってくることが多いんですって。
茶色に薄いグリーンがぴったり。
なるほど、これだったら気負わず、
私たちにもすぐに取り入れられそう。
「足元がチョコミントみたいでしょ」
たしかに!
おいしそう。そしてかわいい。
ちょっとダボッとしたニットは、なんと
「夫のお下がり」とか!
そういえば前に会った時も、
お下がりのシャツを着ていたけれど、
素材とかサイズ感が、
藤井さんの着こなしにしっくりきていましたっけ。
メンズを着ていても、
アクセサリーのえらび方や、ふわりとした髪型で
けして男勝りな感じにならないところはさすがです。
パンツの素材はオーガニックコットン。
ネルみたいな素材で、温かいところがお気に入り。
「古着のパジャマみたいで、いいんです。
ざぶざぶ洗えるし」
そうそう、前にシルクワンピースを着てもらった時も、
パジャマが好きと言っていて、
びっくりしたのでした。
ふわりとまとめた髪、
耳元のピアス、
それから首元からちらりと覗くTシャツ。
何気ないスタイルなんだけど、
ちゃんと計算されているんです。
「もう少し寒くなったら、
トレンチとか、少し厚手のリネンのコートとか。
真冬はもこもこのコートを合わせたい」
寒い時の、サンダルの合わせ方もまたぜひ見てみたい。
ムートンサンダルをあのひとに。 [その2]料理人 岸本恵理子さん
岸本恵理子さんのプロフィール
きしもと・えりこ
出張料理人。
広告会社に勤務する傍ら葉山・一色海岸の海の家で
料理を手伝ううちに料理への想いが高まり渡伊。
約3年間各地方の料理を学ぶ。
「現地で感動した味とその記憶を伝えたい」と、
イタリアの伝統料理を軸に出張料理人を始め、
個人宅から映画のなかの料理制作まで、
流しの料理人として食に関わる仕事を幅広く手掛けている。
164cm。出張料理の依頼などはメールで問い合わせを。
全身、スポーティーな服装のときも、
エレガントなワンピースのときも、
ベーシックな色で、直線的なデザインというのが
岸本恵理子さんのブレない好み。
では靴はどんなものが好きかと聞いてみたら、
「メンズライクなもの、シンプルなもの、
機能的なもの。作りがしっかりしているもの。
このサンダルもデザインは可愛いけれど、
インソールがちゃんとしてるところが好きです」
と即答。10代の頃から、
ヨーロッパのトラッドな革靴を背伸びして買っては
きちんと手入れしながら、
長年、大切に履いているのだそう。
ドイツのユニセックスブランドであるトリッペンも
岸本さんが求める靴への条件を満たすから
何足も愛用しているのだとか。
「ムートンサンダルなんてどんなものだろう、
と思ったけれど、実際に見たら予想より可愛い!
バックルのデザインもいいし、
アウトソールにボリューム感があるのも好きです」
出張料理人は、
撮影スタジオだけでなく、人の家に出かけて
フルコースを振る舞うことも多い仕事。
調理道具や下ごしらえした材料など
いつも大荷物なので、搬入時は大忙し。
車と出張先の往復で何度も靴を脱ぎ履きするから
紐靴は面倒だし、かかとがあると踏んでしまうことも。
「その点、これなら脱ぎ履きしやすいし、
きれいめにも見えるのがうれしいですね。
コックコートを着るから洋服はカジュアルでもいいけれど、
靴はあまりラフすぎると、失礼になっちゃうから」
ベーシックカラーが好きな岸本さんにとっては、
ちょっと照れてしまうという
白×赤の「RESCUE-MON」。
いつもの自分らしい格好で。
「シルクのハイネックブラウスで
大人っぽく、少しエレガントに。
でも自分のなかの定番色である
ブラックで統一しているから、
気持ちが落ち着いていられる。
その分、サンダルで冒険できます。
ムートンの色とピアスの色を
リンクさせてみました」
いっぽう、いつもの自分の延長で履くならば、
と選んだのは「LEHMANN-MON」のネイビー。
「気負いなく履けるシンプルなデザインだから
中国の市場で買ったミャオ族の藍染めスカートのような
ちょっとチャレンジな洋服も着られる。
布のボリュームがあったり、丈が長い服が好きなのですが、
このサンダルは相性がいいみたい」
合わせる服装の幅の広さも
ムートンサンダルの実力なのですね。
ムートンサンダルをあのひとに。 [その1]美容師 森 愛さん
森 愛さんのプロフィール
もり・あい
美容師。
2006年、東京・西荻窪にオープンした美容院
「nico」の共同オーナー。
美容師歴は20年以上というベテラン。
気負わず自然に見えるけれど、
手入れがしやすいスタイルに定評がある。
音楽が好きで、ミュージシャンのヘア&メイクアップを
手がけることも。163cm。
ファッションアイテムのなかでも、
靴ってちょっと特別な存在です。
エレガントなパンプスを好む人もいれば、
歩きやすいスニーカー一辺倒の人もいる。
雨の日に履く専用の靴もあれば、
寒い時期にはブーツ、
暑い時期にはビーチサンダルという選び方もある。
美容師の森 愛さんにとっては
靴も服も働きやすさが大優先であり、
服と靴の相性も大切なポイント。
「美容師は長時間の立ち仕事なので、
靴は疲れにくいものが必須。
もともと冷え性で、腰を悪くしてから、
底が厚めのスニーカーばかり履いています。
といってもハイテクタイプは私の服に合わないので
ローテクのものばかり」
サンダルも大好きで、以前はよく履いていたそう。
どちらかというとモード寄りの着こなしが好きなので、
持っているサンダルは
ハイブランドのものが多いと言います。
「サンダルを履いたのは久しぶりだけれど
これはムートンがあるおかげで底が分厚くて
疲れにくい気がします」
今はこんなご時世だから、
家に帰ってすぐに洗えるものを着るようにしていて
以前よりもカジュアル度が増しているとか。
「ヘアカラーの溶剤などで服が汚れてしまうので、
いつも汚れが目立たない黒いシンプルなパンツに
少しデザインのあるようなトップスが多いかな。
だから靴は少しボリュームがあるほうが
バランスがとりやすいんですよね。
このサンダルはその点も合格!」
ネイビー×ブラックの「RESCUE-MON」には、
大きな襟がガーリーな大きめブラウスと
白いネックレス、大きめのイヤリングを合わせて。
「顔や体型とのバランスを考えて、
全体がガーリー、ナチュラルにならないように
気をつけています。
襟元にスポーティーな白いTシャツ、
足元にタイダイ模様の靴下をちらりと見せるくらいの
少し着崩したバランスが好み」
日頃、スニーカー派なので、
靴下のワードローブも大量にあるそう。
「このサンダルに赤い靴下を合わせるのも
可愛いだろうな」
「LEHMANN-MON」のホワイト×ゴールドには、
古着テイストなピンクのチェックガウンを。
アクセサリーやボトムスは同じなのに、
がらりと雰囲気が変わります。
「白いムートンが可愛いので、
馴染むような白い靴下を合わせました。
白Tと靴下で白を効かせると
ピンクも気負いなく着られるのかも」
「ムートンなのにサンダルって、
裸足なのかな、靴下なのかなと
少し迷いましたが、
履いてみると意外としっくり馴染みますね。
こんなカジュアルな格好にも合うし、
シルクのガウンとか、少しドレッシーなものにも
合わせやすいと思います」
trippenのムートンサンダル
季節と季節の境目に。
毎年、9月のはじめに靴の衣替えをします。
夏の間、お世話になったサンダルを玄関にずらりと並べ、
底の部分を固く絞った布で拭き、
クリームを塗る。
しばらく置いて風を通したら、
一足ずつ薄紙で包んで元の箱にしまいます。
今年は涼しかったから、
気持ちがすんなりと秋に移ったけれど、
じつは毎年、汗をかきながらサンダルを片づける。
なにもそんなに無理しなくてもいいじゃない、なんて
思われるかもしれないけれど、
これは私の気持ちの問題。
本当は、手持ちの靴がずらりと並べられる、
シューズクローゼットが憧れだけれど、
なかなかそうも言えなくて。
夏のサンダルをしまったら、
いそいそと出すのが紐つきの革靴やブーツ。
さあ、いよいよ秋のはじまりというこの光景を
見るのがうれしくてたまりません。
ところが、今年くわわったのは、フカフカのサンダル。
サンダルなのにムートンがついてる新しいこの感覚。
暑い日には素足で。
また寒い日に履いてもいい。
夏と秋冬で、はっきり分れていた
私の靴事情に変化が訪れました。
今週のweeksdaysは、
季節と季節の境目をつないでくれる、
trippenのムートンサンダル。
ちょっとぬいぐるみみたいで、
かわいいんですよ。
マジックフェルトができるまで。
- 伊藤
- 技術的なこともお聞きしたいなと思っていて、
まず縫い目のないフェルトで立体にするっていうのは
考えただけでも難しいことのように思うんです。
しかもそれを人の足の形にぴったり合うっていう作り方、
これは大変なことなんじゃないかなと思うんですけど。
- マテー
- はい。大変なことです。
画面を共有してもいいんですか?
写真をお見せしましょう。
- 伊藤
- はい、お願いします。

- マテー
- これ、マジックフェルトの母体である
Gottstein(ゴットシュタイン)社です。
山が背景になっているのがわかりますか。
- 伊藤
- 後ろが雪山ですね!
- マテー
- そうです。チロルの谷にこの工場があるわけです。


- マテー
- これ、50層になっているんですが、
この50層を機械に入れて圧縮するんです。
- 伊藤
- 50層! 圧縮には、スチームを掛けるんですか?
- マテー
- ここではまだ、スチームはかけないんです。
圧縮だけ。そしてこの圧縮した生地に
型紙を置いていきます。
- 伊藤
- ルームシューズっぽくなってきました。
- マテー
- この型紙に基づいて機械で切り取っていくんです。

- マテー
- そしてこの羊毛の糸を使って靴の形にします。
マジックフェルトは縫い目がないことが特徴ですが、
縫っていないわけではなく、
いったん縫い合わせて、それを叩くことで
糸とフェルトを一体化しているんです。
ソーセージを作るとき、腸を素材にした糸で結ぶのと同じ、
あるいは抜糸の必要のない、身体の中で消える糸とか。
それで縫い目のないものになります。
- マテー
- ここでお湯が登場します。
これは「ハンマー」というんですが、
70度のお湯で中で、7時間、
ぐるぐる回して内側のハンマーで叩き、
縮絨させるわけです。
ここでようやくフェルト化するんです。
- マテー
- そしてこの緑色のものが「型」。
小さく縮んだシューズを、
この型にはめこんで成型します。
- 伊藤
- わぁ、できてきましたね!

- マテー
- ペンチで伸ばして、はみ出た部分を切り落として、
やっと形になるわけです。
逆に短い場合はまた濡らして引っ張り出して、
そんなふうに、手作業がすごく多いんですよ。
もし十分伸びなければ、
木のハンマーで叩いたりもします。
- 伊藤
- ずっと履いてるのに全く型崩れしないんですよね。
こんなに柔らかいのに!
- マテー
- 縫い目がなくなって、一体化しているからですね。
逆に言うと、これを購入したけれど、
自分は甲が高いので
1センチ大きくなったらいいのに、とか、
履いていてちょっと端っこの部分が
足に合わなくなってしまった、というときは、
よく切れるハサミとかカッターで切っても
何の問題も起きません。
切り目以上に裂けることはないんです。
- マテー
- そして乾燥させ、
ソールをとりつけたらできあがりです。

- マテー
- ちなみに、ソールに使うレザーは、
食肉用の牛の副産物のなかから、
さらに副産物を使っているんです。
つまり、レザーでも大きな面積を使う、
ソファーであるとか、車のシートがありますよね。
そうすると、どうしても切れ端が出ます。
でもそれを捨てるのではなく、
最初から協業して、
あなたのところではこれだけの大きな面積をとり、
私たちのところではこれくらいの小さな革を買い取ります、
というふうに計画的に買い付けをするんです。
- 伊藤
- なるほど!
そういうことなんですね。
お手入れはどうしたらいいですか?
- マテー
- 羊毛は基本的に天日干しとブラシかけですね。
洗ってしまうと、いくら縮んでいるとはいっても、
さらに縮む可能性があるんですよ。
もし濡れてしまったら、
新聞紙をまるめて差し込んで、
風通しのいいところに置いて乾かしてください。
また履いていくうちに伸びます。
羊毛の表面の汚れは、
ブラシのついた掃除機で
こすりながら吸わせてもいいですよ。
もし、しょうゆや赤ワインなどの
色の強いものをこぼしてしまったら、
早くきれいにできるのが塩です。
しみになったらすぐ、塩を垂らして水をかけて拭いて、
もう1回塩を垂らして、と繰り返すと、
消えていきますよ。
- マテー
- ウールは自己再生能力があるので、
自ら清潔を保ってくれるんですよ。
気になる方は日に干したり風通しを、
という説明をしているんですが。
- 伊藤
- たしかに気にならないですね。
2年履いた我が家のルームシューズも、
あんまり汚れたり、
くたっとした感じになっていないんですよ。

- 伊藤
- マテーさん、ありがとうございました。
今回はリモートでの取材でしたけれど、
こんど、ぜひ、ショールームにも伺わせてください。
- マテー
- ぜひいらしてくださいね。
ありがとうございました。
- 伊藤
- ありがとうございました。
カシミヤの靴下のこと、 [SLOANEプレス] 森内敏子さんにききました。
SLOANEのプロフィール
シルク、ウール、カシミヤなど
上質な天然素材を中心にデイリーウエアで展開する
SLOANE(スローン)は、
ニットの会社である株式会社ヴェンティウーノの代表であり
ニットのスペシャリストである大貫雄さんと、
数多くの海外ブランドに携わってきた
ディレクター/デザイナーの小峰明彦さんが立ち上げた
ユニセックスのニットのブランド。
「自分たちが心地よいと感じる服を」と、
2016年秋冬コレクションからスタート、
ファーストシーズンの展示会から
森内敏子さんがプレス担当として加わり、
男性目線のデザインに
女性目線の着心地を兼ね備えたアイテムを展開している。
現在はニットのほか、
布帛の製品(パンツやスカートなど)も。
直営店「THE SHOP SLOANE」が
東京・自由が丘と神戸・元町にあるほか、
全国のセレクトショップでの販売を行なっている。
SLOANEのウェブサイト
同社で展開する、他業態のカシミヤ専門店が
持っていたカシミヤ糸を使って、
昨冬、SLOANE展示会の
ノベルティ(プレゼント)を作ろう、
というのが、そもそものはじまりでした。
ニットは、製品を作るときに、
どうしても少しだけ糸が残ってしまうんです。
高価な原料なので、ストックしておくわけですけど、
たまたまノベルティで皆さんに喜んで頂けるものって
何だろう? と考えたとき、
せっかく糸も残ってるんだから、
カシミヤで靴下をつくるのもいいよね、と。
おうちのなかでラグジュアリーに過ごしたいとき、
靴下にカシミヤがあってもいいし、
こういうものって、プレゼントで頂くと、
すごくうれしいんじゃないかな、って。
靴下にはサイズの当たり外れがあまりないので、
カシミヤの靴下をもらったら、
きっと、喜んでくださるんじゃないかな、と。
といっても、コロナ禍という状況と、
季節も変わってしまい、
ノベルティといっても、
ちょこっとだけ、本当に数十名のかたにしか
お配りできていないんです。
それでも、とてもうれしい反響をいただいて。
「もう1足、あったら買いたい」であるとか、
「プレゼントに使いたい」とか。
伊藤さんも、「すごくいい!」と
おっしゃってくださいましたね。
「なにしろ気持ちがいいし、
家の中にいることが多いから、
みんなこういうものに敏感で、
きっと『ほしい』って思ってくださいますよ」と。
それで、今回、こんなふうに
製品化をすることができました。
素材は、カシミヤが88.5パーセントです。
これはお出かけ用ではなく、
ホームユースですけれど、
それにしても、どんどん伸びて、ゆるくなってしまうと
履きづらくなりますので、
キックバックを良くするために
ゴム繊維を使用しています。
こういうニット製品の特性として、
家庭で洗濯をすると
(おしゃれ着用洗剤で、ぬるま湯で手で押し洗い、
タオルドライののち、形をととのえて陰干しをする)、
すこしずつですが、フェルト状になっていきます。
ほんのちょっと、縮みもありますが、
そのぶん、あたたかくなっていきます。
ちなみに、この靴下、1足(ワンペア)で、
薄手のセーター1着分と
同じぐらいの分量の糸を使っているんですよ。
昔はこういった厚手の室内履きには
「ルームブーツ」という呼び名があったくらいです。
冬の室内で、ほんとうにあたたかく
過ごしていただけると思います。(談)
3種類の羊のこと。
- マテー
- 伊藤さんは今回、原毛シリーズから
「モーアシュヌッケ」と「シェットランドシープ」と
「シュヴァイツァーユラシープ」、
3つの種類のマジックフェルトを選んでくださいましたね。
- 伊藤
- はい、それがいいって思ったんです。
人間もいろんな人がいるように、
羊もナチュラルなほうが、
感じがいいなと思って。
- マテー
- いいですよね。
- 伊藤
- イギリスの湖水地方で買った
ブランケットがあるんですけれど、
それがグレー・濃いグレー・白・薄いグレーの
ちょっとチェックみたいな感じの織物で、
この自然な色はどうやって? とたずねたら、
全部、羊本来の色なんですよと。
それを思い出しました。
- マテー
- こういう色は、
時間が経っても色あせない良さがありますね。
- 伊藤
- そうなんです、全然変わらない!
モーアシュヌッケ、シェットランドシープ、
シュヴァイツァーユラシープ、
これらは色の違いだけじゃなく、
それぞれに個性があるんでしょうか。
- マテー
- 私は、マジックフェルトの取り扱いを始めるころ、
その羊たちの顔を見比べたんです。
それぞれの羊に異なる個性がありますよね。
- 伊藤
- 育つ場所によっても違いますよね。
- マテー
- 違いますね。
たとえば攻撃的な険しい顔をしている
スイスのシュヴァイツァーユラシープ。
スイスの羊って、山の高いところ、
より寒いところにいるわけです。
だから毛はちょっと太く、ちょっと硬くなる。
ところが、その羊毛をフェルトにして、
ルームシューズをつくりますよね。
裸足で履いてチクチクするかというと、
そういう意見は、まず聞かないんです。‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
Schweizer Juraschaf シュヴァイツァーユラシープ
スイスの、フランスよりの地方に生息する
オオツノヒツジの仲間。毛は濃いダークブラウン。
上質な毛質は、メリノウールと同格とも言われる。
- マテー
- 寒く、島風が強い地域に生息している羊は、
毛がゴワゴワしてるのかな? と思いますよね。
ところが、シェットランドシープは
裸足で履いてもやわらかく、
足にチクチクする感じは少ない。‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
Shetlandschaf シェットランドシープ
スコットランド北部のシェトランド諸島に生息する、
小柄で、弾力性のある毛をもつ短尾羊。
上質で柔らかなクリンプウール
(波のように縮れた毛)にはいろいろな色がある。
- マテー
- モーアシュヌッケは、
沼地に暮らす白い羊なんですが、
裸足で履くとちょっとチクって感じるひともいますね。‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥
Moorshnucke ムーアシュヌッケ
中央ヨーロッパで最も古い羊の品種のひとつ。
沼地に住み、泳ぐこともできる。
真っ白な毛をもち、上髪部は長くてもろい。
ほぼ絶滅したと考えられ、IUCN(国際自然保護連合)の
レッドリストに含まれていたが、
繁殖が成功し、現在、約5000頭が飼育されている。
- 伊藤
- 種類によっても違うと思うんですけど、
羊毛の質、
ひいてはフェルトの質は、
毛を刈るときの羊の歳にも関係するんでしょうか。
- マテー
- バージンウールは柔らかいってよく言いますよね。
ただ、製品にするときには混ぜて使うので、
あまり関係はないと思いますよ。
ちょっと話がそれますが、羊の種類によっては
フェルト化できないこともあるんです。
2年前、英国自治島であるマン島
(グレートブリテン島とアイルランド島の中間)に
生息する、マンクス・ロフタンという、
4つの角をもつ羊の毛を使いたいと思ったんです。
希少種で、色もきれいでね。
それで工房にフェルトづくりをお願いしたんですが、
40足できるはずが、26足は形になりませんでした。
だから次の注文を受けてもらえず、
製品化はあきらめました。
いくらやってもフェルト化しないんですよ。
- 伊藤
- 絡まり合わないっていうことなんでしょうか。
- マテー
- そうなんです。
だから、同じ種類の羊の毛も、混ぜて使い、
ロスを減らしています。
歳をとった羊は、バージンウールよりも
ゴワゴワしてるかもしれないけれど、
一体のなかでも胸とか背中とか、
いろいろ毛のかたさがある。
羊はファミリーですから、
初めて毛を刈る子もいれば、
まだ2回目、3回目という子もいて、
それはやわらかな毛がとれますよね。
そういうものもまとめて、
ひとつの羊の種類として製品化しています。
- 伊藤
- そういう話を聞けば聞くほど愛着がわきますね。
ただのモノっていうよりも、
ちょっと家族に加わるみたいな感じがします。
自然のものを身につける。
- 伊藤
- こんにちは、はじめまして、伊藤です。
よろしくお願いします。
- マテー
- 社長のマテーといいます、
よろしくお願いします。
- 伊藤
- 今、どちらですか?
- マテー
- 鎌倉山のアトリエです。
簡単に自己紹介をしますと、
1988年に、ヨーロッパとの交易のため、
最初の会社を起こしました。
建築を含めて、自然素材とともに生きる、
そういう会社を興したんです。
それからヨーロッパに
どんな商品を扱うか、パートナー探しに出かけ、
TEAM7(ティームセブン)という会社の社長に出会って、
ティームセブンジャパンを作りました。
ちなみに自然素材の家は全国に、
九州から北海道まで、27棟を作りました。
- 伊藤
- そういう会社を運営なさっているんですね。
家具は以前、見せていただいたことがあります。
金属を使わない家具があると。
- マテー
- 金属を使わないのは、ベッドですね。
もちろんシステムキッチンとかダイニングには、
金属を使っています。
でも、人間が最も回復するのは夜ですから、
寝室には金属を使いたくないんです。
うちのベッドはコイルのスプリングではなく、
天然の無垢材を使って、
木製のくさび接合で組み立てているんですよ。
- 伊藤
- わぁ、興味が出ます!
でも今日はマジックフェルトの
ルームシューズのお話を聞かせていただかなくちゃ。
- マテー
- はい、ルームシューズのことに集中しましょう。
- 伊藤
- わたしは、マジックフェルトのルームシューズを、
2年前に冬用として買ったんです。
夏は、わたしは家で裸足なんですけれど、
娘は夏でも毎日履いていて、
本当に気持ちいいと言っています。
そういえば、購入するとき、
「夏でも快適ですよ」ってお聞きしました。
- マテー
- 軽井沢にも店舗があるんですが、
お求めになるお客さまが、
「1年中快適」っておっしゃってくださいます。
夏でもムレないし、
冬も、この軽井沢の寒さの中でも
あたたかく過ごせたと。
ウールの特徴っていうのが、
水分処理と保温と、両方に働くんです。
日に当てたり、風通しをすることによって
メンテナンスもできますので、
1年中使っていただける商品なんです。
- マテー
- 羊毛に関する一般知識として
「あたたかい」と、みなさん思っていますよね。
セーター、掛け布団など、羊毛製品はあったかいですって。
そういう「売り方」が単純明快です。
でもそうすると「夏は使えないんだろうな」と思われる。
けれども、羊毛は人間の毛と同じように
うろこ状になっていて、温度や湿度に反応します。
暑いとき、私たちが汗をかくと
羊毛がそれを吸って逆に肌より低い温度の空気を流します。
トランスポーテーション(移動)をしている。
よく「自然素材は呼吸する」と言いますが、
それもちょっといい加減な表現で、
いわゆる呼吸はしていませんけれども、
温度の調和と、水分の調和を、
すばやく、気持ちよく行なっているわけです。
だから足がムレ始めると
羊毛が汗を吸って外に出す、
そういう役割を果たしているんですね。
だから裸足でも大丈夫なんです。
けれども、それはみなさんの体質や
皮膚の状態によっても異なるので、
例えばミネラルが体に足りないとか、
皮膚に何かあるときは、痒く感じるかもしれません。
- 伊藤
- 素足で履くことも多いんですが、
気になることはないんですよ。
自分の足の一部みたいになっていて。
レザーソールを買ったんですけれど、
ラテックスソールに比べて、
足に近い気がして。
- マテー
- そのとおりです。
軽いし、フェルトとの相性もいいんですよ。
- 伊藤
- 最初は見た目で選んだんです。
フェルトには革がしっくりくるって。
でも履いてみて
「やっぱり革でよかったな」と思いました。
- マテー
- 我々がなぜ自然素材をすすめるのかっていうと、
一番単純な答えなんですが、
「私たちも自然素材だから」なんです。
自分の大事にすべき体は、
食べて消化をし、放熱し、汗をかき、
息を吸い、吐きだす。
この自然の営みを妨げるものは、
身体につけたくないなって思うんですよ。
快適な気持ちで、
体に負担のない生活をしたいっていうことですね。
すごく単純な答えなんですけれど。
‥‥あ、ごめんなさい、話し過ぎちゃった。
- 伊藤
- いえいえ! この1年半くらいの間で、
家にいることが多くなって、
今まで外に外に向いていた気持ちが、
だんだん自分にとって気持ちいいとか、
家族にとって気持ちいいとか、
そういうものを欲するようになったと思うんです。
わたしだけじゃなく、みんなが。
そういう意味で、すごくいいときに
マジックフェルトに出会ったと思っています。
- マテー
- ありがとうございます。
- 伊藤
- あと色合いもかわいい。
原毛シリーズにも、
いろいろな色があって。
- マテー
- これも言葉をたくさん返すことになるんだけれども、
いいですか? ごめんなさい。
- 伊藤
- はい、大丈夫です!
- マテー
- マジックフェルトで、鮮やかな色に染めている
メリノウールシリーズというものがあります。
メリノウールは元の色は白で、
染めることができるんですよ。
だから世界中に普及してるんですね。
でもこのレザーソールの原毛シリーズは、
染めることができない羊を使っています。
現在ヨーロッパの絶滅危惧種として
それぞれ5000頭前後しか生息していない羊たちです。
どうしてそういう羊の毛を使うのかというと、
それが羊飼いの助けとなり、
ひいては種の保存に参加できると考えているからです。
すべての人間が「羊毛製品はメリノだけでいい」
となったら、
世の中から他の羊は消えちゃいます。
人間が刈らなくなるから。
羊は、ワンちゃんとかネコちゃんみたいにペットではなく、
働く動物として、目的をもって農家が飼っていますが、
生活が成り立たなくなるとやめちゃうんですよ。
これが今の我々の社会の仕組みですよね。
5,000頭、6,000頭、もうそれだけしかいない
絶滅危惧種の羊たちが役立つ唯一の方法は、
彼らの毛を無駄なく商品にすることです。
そして、アルプス地方には、黒や、
ブラウンに近いもの、きつね色の羊など、
いろいろな色の羊がいます。
それぞれ、毛並みも荒かったり柔らかかったり、
いろんなタイプの羊がいますから、
そういった羊を活かしていきたいんです。
magicfeltのルームシューズとSLOANEの靴下
いつもの毎日があるから。
「ああ、やっぱり家がいちばんね」
家族旅行から帰ってくると、
母が毎回、ほっとした顔でこんなことを言う。
子どもの私は、
旅も楽しかったのにな‥‥
と、不思議に思っていましたが、
今ならその気持ちがよく分かる。
いつもの居場所、
いつもの光、
いつもの空気。
旅が楽しいのは、
いつもの毎日があるからこそなんだって。
ただいま、
と玄関を開けてまず目にするのは、
ちょこんと並んだフェルトのルームシューズ。
ちょっとぬいぐるみみたいなその姿は、
「お帰りなさい」と迎えてくれるようでうれしい。
このルームシューズがある風景は、
私にとって知らぬ間に、
「いつもの」になっているのでした。
今週のweeksdaysは、magicfelt のルームシューズ。
そろそろ秋の支度をはじめようと思っている方に、
もうひとつとっておきの靴下もご紹介します。
saquiのフォーマルバッグ、 ふだんはこんなコーディネートで。
フォーマルの時にと買った
このバッグですが、
それだけではもったいない!
私はふだんのコーディネートにもバンバン活用しています。
「フォーマル」と思うと敷居が高く感じてしまうけれど、
「刺繍の黒いクラッチバッグ」と思えばいいのです。
合わせたのは、
白いブラウスにsaquiのテーパードリボンパンツ。
足元は、黒にすると揃いすぎて
「バッチリ!」になってしまうから、
ここではあえてベージュのワンストラップにして
軽さを出します。
(パープルのバレエシューズや、
ゴールドの靴などと合わせることも。)
耳元は、大きなパールやゴールドのピアスを。
リングやブレスレットも足して、
ちょっとキラッとしたものを多めにすると、
気分も華やぎます。
夏に気に入っていたのは、
たっぷりギャザーのワンピースと、
フォーマルバッグの組み合わせ。
少し秋めいてきたら、
シルクのカーディガンを羽織り、
足元はバッグストラップの革の靴にします。
夏はサンダルと合わせていましたが、
気分先取りで革の靴が履きたい。
でもまだ暑い日もある‥‥
そんな時に、かかとが出たバッグストラップは、
なんだかちょうどいい。
シンプルなコーディネートを助けてくれるのは、
バッグのレース。
さりげなく品を漂わせてくれ、
女の人らしさもプラス。
これひとつ持っていると、
真冬以外のお出かけにとても重宝するのです。
ベトナム手刺繍のハンカチ、 あの人の使い方。
山下裕文さんのプロフィール

やました・ひろふみ
1968年熊本生まれ。服飾専門学校を卒業後、
スタイリストのアシスタントを経て
原宿「PROPELLER」でバイヤー、プレスなどを担当。
米国ブランドの日本初上陸のさい、
ショップのジェネラルマネジャーに。
独立してからは、英国系ブランドやアウトドアメーカーまで
さまざまなアパレルブランドの
コンサルティングを担当したのち、
2010年に、作家・ヘミングウェイの世界観を
ひとつの哲学としてデザインにおとしこんだ
メンズウェアブランド「MOJITO」を立ち上げる。
■Instagram
2年前、
「こんなの作ったのですが‥‥」と
できたてのリネンのハンカチを見せた時、
じーっと見て、触り心地を確かめ、
「大きな方のサイズ、10枚ください!」と
瞬時に決断してくれた山下さん。
ご自身が、もの作りをされているから、
服や物に対する眼はかなり厳しいはず。
にもかかわらず、
こうして気に入ってくれたのが、
すごくうれしかった。
汗っかきなので、ハンカチは必需品という山下さん。
「ふだんはコットンのバンダナを使うことが多いんですが、
このリネンのハンカチは、
大判ですごく使いやすそうだなと思いました」
サイズは大小ふたつあって、
小さい方は35センチ、
大きい方が45センチ角。
山下さんは、大きな方をチョイス。
「肌に触れた瞬間に、
キュッと汗を吸う感じがたまらない。
端っこの、はしごレースも、さりげなくて、
男が持っても全然大丈夫」
百貨店で売られている、
リネンのハンカチも持っているという山下さん。
「でも、ポケットチーフのような小ぶりなものが多く、
ここまで大判なのはなかなかなかった。
妙に華奢だったりして。
スーツを着る人だったらいいんだけど、
もっとふつうに持ちたかったから、
weeksdaysのこのハンカチは、
僕にはちょうどよかった」
普段はアイロンをかけず、
洗いざらしで使っているとか。
「リネンのハンカチはアイロンをかける」
それが決めごとのように思っていた私にとって、
洗いざらしのこの姿はかなり新鮮。
「アイロンかけるとピシッとしていてかっこいいんだけど、
緊張してない、ほぐれた感じがいいなと思って」
なるほど、すごくいい感じ。
手を洗う機会の多くなった最近。
「すごく重宝している」と山下さん。
それ、いいねと言ってくれた友人には、
次に会う時にプレゼントすることもあるとか。
「男女に関わらず、あげた人は必ず喜んでくれます」
大きさや色など、
「こうしたらいい」というリクエストはありますか?
と尋ねると、
「仕事が細部まで丁寧だし、
程よく手作り感があって、すごくいい。
お値打ちだし。だから
『こうした方がいい』というのは無くって、
このままでいいんじゃないかな」
「一生分、欲しい」
なーんて、うれしい言葉をいただきましたよ。
ベトナム手刺繍のハンカチ、 わたしの使い方。
この夏、色や柄物のハンカチをすべてやめ、
白いリネンに統一しました。
(唯一、宝物にしているスワトウのハンカチだけは別!)
引き出しを開けると、
この通り、ピシリとアイロンをかけた
リネンのハンカチがずらり。
その時の天気や気分、バッグの大きさによって、
大きいのと小さいのを使い分けています。
スケジュール帳をやめ、
次はお財布を持つのをやめ、
年々、持ち物が少なくなってきているけれど、
このハンカチは、
鍵とスマートフォンと同じくらいの必需品。
私の「お出かけ3点セット」と呼んでいます。
現金を手渡しする場合は、
封筒のままでは味気ないので、
こんな風に封筒ごと包みます。
キャッシュレス化が進んでいるから、
こういったシーンは
少なくなってきているかもしれないけれど、
お月謝など(私の場合だと整体の先生に)
現金を渡す時に、
ひと手間かけると感謝の気持ちも伝わるかな、
なんて思っています。
そうそう、
バッグや服によって、
じつは折り方を変えています。
たとえば、今回一緒にご紹介した
saquiのフォーマルバッグを持つ時は、
右の折り方。
「?」と思われる方もいるかもしれませんが、
よくよく見ると、はしごレースを隠しているのです。
他に、柄物の服を着る時も、
「レースは隠す」が多いかな。
逆に、シンプルな服を着る時は、
はしごレースを見せる左の折り方。
はしごレースを主役にするか、
それともリネンの質感を主役にするか。
そんなことをいちいち考えているのか!
と驚かれるのですが、
私にとっては、
こういう細かなことを考えるのは密やかな愉しみ。
折り方ひとつで印象は少し変わるもの。
ぜひ一度、お試しあれ。
ベトナム手刺繍のハンカチとsaquiのフォーマルバッグ
いってらっしゃい。
もう20年近く前のこと。
大きさ、形、色‥‥
台所に徐々に集まったプラスティックの保存容器を、
ある日すべて、まっ白な琺瑯に。
バラバラだったものが統一され、
気分まで一新しました。
壁を塗り替えたり、
大きな家具を買ったりするのではない、
それは、家の中でとても小さな改革でしたが、
私の中ではかなり大きなできごと。
だって、台所の風景まで変わって見えたのですから!
以来、キッチンクロスやハンガー、タオルなど、
あらゆるものを、同じもので統一することに。
この夏は、思い切ってすべてのハンカチを、
まっ白なリネンに揃えました。
いろんな柄、いろんな大きさのハンカチは、
それぞれに思い出もありましたが、
もうずいぶん役に立ってくれたからいいでしょうと、
手放すことにしたのです。
引き出しを開けた時に目にするのは、
まっ白なハンカチが並んだ姿。
そのなんと清々しいこと!
「いってらっしゃい」なんて、
気持ちよく送り出してくれているような
気分にしてくれるから不思議。
もっと早くにこうすればよかったな、
なんて思っています。
今週のweeksdaysは、
以前、販売して好評だったベトナム手刺繍のハンカチ。
同時に、saquiの黒いフォーマルバッグの販売も。
「フォーマル」だけじゃない、
ふだんのコーディネートのコンテンツもありますよ。
再入荷のおしらせ
完売しておりましたアイテムの、再入荷のおしらせです。
9月9日(木)午前11時より、以下の商品について、
「weeksdays」にて追加販売をおこないます。
saquiのフォーマルバッグ
フォーマルな時に持つバッグえらびも
じつは悩みの種でした。
なので、今回、服に合わせて
バッグも作って欲しいと
岸山さんにお願い。
様々なサンプルの中から、
これ! とえらんでくれたのは、
フランス製の「DENTELLES ANDRÉ LAUDE」の
レースの生地。
つつましくも、美しい
クラッチバッグができあがりました。
今回、ご紹介するワンピースやコート、
ジャケットと合わせてどうぞ。
(伊藤まさこさん)
ベトナム手刺繍のハンカチ
シンプルだけど、素っ気なくない。
エレガントでありながら、さりげなさも感じられる。
この塩梅がなんとも難しいのですが、
このハンカチは、その塩梅がちょうどいいんです。
大きさは大小ふたつ。
大きな方はふだん出かける時に。
小さな方は夜、バッグにしのばせてお出かけ用。
着物を着た時に持ってもいいかな、なんて夢は広がります。
ベトナムの職人によって、
ていねいに作られたリネンのハンカチ。
持っているだけで、ちょっとうれしくなる、
そんなアイテムです。
(伊藤まさこさん)
アコーディオンアルバム、 わたしの使い方。[3] ほぼ日乗組員・山川/武井 編
「真っ白で無垢なかんじで、
手の加えようがあるというよりは、
このさっぱりしたかんじを
そのまま楽しみたいなと思いました」
と言うのは、「weeksdays」デザイナーでもある
「ほぼ日」の
です。
実は彼女、双子の母。ということで‥‥。
「双子の娘の月齢ごとの写真を撮影していたので、
記念にそれらをならべてみました。
月齢写真だけすっきりならぶと、
どんどん洋服がキツくなっていったりする様子がわかって
ああ大きくなったなあ‥‥としみじみしました」
▲最初は目もあいてなくて、服も折り返して着てたりしますね。
2ヶ月目の月齢写真なんて慌てすぎて、
カメラのレンズカバーが置き忘れてたり、
6ヶ月すぎるとだいぶ表情が豊かになってきたり。
人の成長が時系列でしっかりと見られます。
なるほどなるほど、
母ならではの視点です。
でも「ただ貼っただけ」じゃないんですね。
「せっかくなら、あとで見返したときに
楽しいほうがいいなと思って、
いろいろ雑貨屋さんのアルバムコーナーで
シールを探して貼ってみました。
母のこのウキウキを将来娘たちは
どう思うのでしょうか‥‥。
シールで貼るだけだと、
絵のセンスに自信がなくても安心ですよ!」
そして表紙には年号。
どうやら1年ごとにつくって、
揃えていく作戦のようです。
「ふだん、写真はデジタル管理なのですが、
プリントするだけでとても特別なかんじがしました。
我が家の娘たちは2018年生まれなのですが、
紙のアルバムが実はいままで一冊もなかったので、
はじめての紙のアルバムです」
わぁ、そんなふうに「もの」になるって、
いいですよね。
つくってみて、難しいことはなかった、とのこと。
「蛇腹仕様の紙が一枚ずつとても厚みがあって
丈夫で自立するので、
たてて飾れるのもすごいいいなーと思いました」
そして最後は
。
この文章をまとめている本人です。
ぼくは仕事でも個人的にもたくさん旅をしてきました。
ところが、この2年はコロナ禍でどこにも行けず。
しかたがないのでこれまでに撮った写真をながめたり
(デジタルなのでパソコンやiPhoneで)、
各地から発信されているYouTubeの
お散歩動画などを見たり、
そして「旅まわりのグッズやアイテム」を集めたり。
今回アコーディオンアルバムに貼ったのもそのひとつ。
これは、旅の思い出、ではなく、
旅好きがこうじて買い集めたものなんです。
むかしのホテルのステッカーや絵はがき、
航空会社のシールなど。
復刻版もあるし、本物かな? というものもある。
由来や価値はあんまり気にせず、
「ああ、旅っていいな」を感じるものが多いので、
どれもいいデザインです。
そりゃそうですよね、
旅がうーんと贅沢だった時代のもの。
期待と興奮にあふれていて、
そこが大好きなのでした。
ただ、ざっくり箱や缶に入れてあって、
いつも目に入るところに飾っている、
というわけじゃないんですよね。
だからこのアコーディオンアルバムを見たとき、
「そうだ! これを貼ろう」と思いました。
これなら立てて飾っておける。
部屋に、いつでも旅の気分がただよいます。
ちなみに「当時はどんなだったんだろう」
と考えるのも好きなので、
キーワードからネットで調べて、
「ふうむ、いまはもうなくなっちゃったのか」とか
「同じ名前のホテルが今もある!」とか、
そんなふうにしてたのしんでます。
キリル文字(ロシア語)の解読も面白かった。
こういうことはえんぴつで入れました。
(よく間違うので。)
直に貼ろうかなとも思ったんですが、
額のように使うとすると入れ替えがあるかも? と、
フォトコーナーを使っています。
このフォトコーナー、ヴィンテージだそうで、
なんともいいかんじ。
むかしのデザインによく合う気がします。
これからどう使おうかなあ、と考えると、
趣味の写真をプリントして、
アルバムというよりも絵本のような1冊を
いろいろつくるのもたのしいかも? と思いました。
各国の料理写真を集めてみるとか、
夜景だけならべてみるとか、
ストリートスナップだけで構成するとか、
飛行機だけ、列車だけ、なんていうのもいいかも。
そういう「旅の文庫」が増えていったらいいな、
なんて思っています。
アコーディオンアルバム、 わたしの使い方。[2] ほぼ日乗組員・諏訪/高澤 編
▲見開きごとに、葉っぱをあつめた場所と年号を書いてみました。
今回はいずれも山梨県北杜市の森のなかであつめた葉っぱです。
次回からは、木の名前も調べて葉っぱのかたちとともに
覚えていきたいと思います。
「普段収集したきりになっている細々としたものを
ときどき見返したり飾れるように
このアルバムに貼りたいな」
と言うのは、「weeksdays」の担当でもある、
「ほぼ日」デザイナーの
です。
「たとえば美術館の展示を観たあとに買う
ポストカードです。
ピカソや猪熊弦一郎、ブルーノ・ムナーリなど
このアルバムに貼ったら
ポストカードが小さな絵になって
棚の上に飾れていいなと思いました。
あとは、好きな風合いの紙の端切れを貼って
紙見本帳みたいにするのもいいなと思いました。
仕事で印刷物をつくる際に、
旅先でもらってとっておいたカードや紙袋などを渡して
こんな紙を使いたいです! と印刷会社の人に
聞いてみることもよくあるのですが、
自分の好きな紙がアルバムにまとまっていたら
うれしいし便利だな。
外国の切手や、なぜか捨てられない
プレゼントについているリボン、
旅先のレストランでつい持って帰ってきてしまう
コースターや紙ナプキン‥‥など、
このアルバムに貼りたいものを考えたら
きりがありません!(笑)」
そんな
が、
じっさいにつくってみたのは、こんなアルバム。
「葉っぱのかたちが好きで
保存しておきたい欲があるのですが、
新聞紙と重い本に挟んで保存したっきり
どうしたらいいものか
ずっとそのままになっていました。
今回はその葉っぱの中から
いくつかお気に入りを
透明のフィルムを使って
このアルバムに貼ってみました。
通常のフィルムに挟み込むタイプのアルバムだと
ページ全体がテカテカしてしまいますが
透明フィルムを貼っても紙の余白があって
文字を書き込めたりするのがすごくいいなと思いました」
完成品は、じゃばら状に開いた状態で、
絵のように飾りたい、とのこと。
このアルバムは畳むとすごくコンパクトに収まるので
何冊か同じテーマで増やして
図鑑のように本棚に並べたいそう。
なるほど、それはおもしろい!
そして、もうひとり、
「ほぼ日」で「小舟のインターン」中の高澤季裕(きひろ)さんにも
つくってもらいましたよ。
大学ではデザイン学科の4年生、
「もの」好きの女子です。
じつはスクラップもよくしているという彼女、
このアコーディオンアルバムをどう使うんだろう?
▲なんだかわかりますか? これ、映画の鑑賞記録なんです!
「たくさん映画を観るので
鑑賞記録をつけているんです。
でも最近はサブスクで観ることも増えたので、
観たときの思い出の品
(半券やパンフやポストカードなど)がない。
そこでこのアルバムを
鑑賞記録として活用できないかなあと思いました」
それで、描いたんだ!
「はい。直近1ヶ月で観たものから選抜し、
1ページ1作品で
記録というよりはラフに、
観た映画の好きなシーンや
印象に残っているシーン、セリフを
ペンやマーカーで描きました」
じっさいに描いてみて、どんな印象でした?
「いつものメモだけのノートや
アプリだと味気ないですが、
アコーディオンアルバムなら
だんだんと別々の作品が
1つのものとして繋がっていくので、
好きな共通点を見つけられたり、
映画に対しての思い出が深まり、楽しかったです!」
1冊まるっと仕上がったら、
部屋に飾って
自分がどの映画のどの部分が好きだったのか
楽しく振り返りたいそう。
ちなみに、色移りを気にして描いていたそうですが、
紙を貼り合わせているので、厚みがあり、
その心配はいらなかったようです。
そうそう、細かく「何の映画か」知りたいですよね。
解説してもらいました。
①「2001年宇宙の旅」白と黒とオレンジの色が絶妙。
②「欲望の翼」この映画の湿度と鬱蒼とした感じがわかる
青緑の木々の画。
③「マルジェラと私たち」観ながらノートにメモした言葉を
そのまま貼りました。
④「冬冬の夏休み」のラジコンを追うカメラワークと兄妹の足。
⑤「Little Women(原題)」若草物語の爽やかな浜辺のシーン。
⑥「竜とそばかすの姫」髪色と夜空の色の組み合わせが素敵。
⑦「DOWN BY LAW」モノクロのお茶目な脱獄犯たち。
⑧「SOMEWHERE」夏の親子の卓球のシーン。
⑨「グッバイ、サマー」坂を下っていくシーン。
⑩「Swing Kids」の2人の引きのシーンが好きでした。
アコーディオンアルバム、 わたしの使い方。[1] 伊藤まさこ 編
もともとは、御朱印帳として作られたという、
アコーディオンアルバム。
その佇まいが、なんだか好きで、
もっと他の使い道はないかしら?
‥‥と思っていました。
そこで頭に浮かんだのが、父の若い頃の写真。
他の写真はきちんとアルバムに収まっているのに、
なぜかこれだけ古い缶に、
がさっと入っているのです。
母に理由を尋ねても、
「さあ、どうしてかしらね?」
と首を捻るばかり。
セピア色の写真の中の父は、
ちょっとかしこまったり、
ポーズをつけてきめていたり。
今のように、写真を撮ることが
身近ではなかった時代の特別感に溢れていました。
大切な写真ですもの、
缶の中ではなく、
もっと丁寧に扱ってあげたい。
一枚一枚、えらんでは
フォトコーナーをつけて挟んでいく。
‥‥するとなんだかアルバムが急に息づきはじめて、
とても愛おしいものに感じられました。
(閉じた時のことを考えて、写真と写真の間に
紙を一枚、間に挟んでおくとよいかと思います。)
23年ほど前に訪れた、
カトリックの巡礼地、フランスのルルド。
到着してすぐ、
街を散歩している途中で、
偶然入った教会でいただいたのが、
このマリア様のカードです。
その後すぐに、娘を授かっていることが分かり、
なんだか縁を感じて、
お守りのように持っていました。
その後、無事に娘は生まれ、
以来、このカードは20年以上、
母子手帳と一緒に保管しています。
アコーディオンアルバムには、
生まれて間もない娘の写真と、
マリア様のカードを一緒に。
いつか、娘が独立する時、
母子手帳とともに渡したいなと思っています。
こちらは、人生の先輩からいただいた大切な手紙。
「まさこ様」の宛名の文字もうれしくて、
封筒ごとアルバムに綴じました。
「アルバム」という名前ですが、
取っておきたいものは人ぞれぞれ。
写真だけではもったいない、そう思っています。
平たいものだったら、素材はきっとなんでも大丈夫。
布の作家をしている私の友人は、
「織りの端切れを貼って、
見本帖にするのもいいな」なんて言っていましたよ。
パリの美術館でもらった入場券は、
今から30年近く前の一人旅の思い出。
当時、私は20歳と少し。
パリ。
憧れのパリ!
見るものすべてがそれは新鮮でワクワク。
切符やチケット、カフェの角砂糖の包紙など、
紙ものはすべて後生大事に取っておき、
ファイルに挟んで持って帰りました。
自分で貼る、
フォトコーナーは、綴じたい紙の大きさも自由自在。
ノリやテープによる、紙の変色も防げて一石二鳥です。
色合いを考えて貼ったら、
なんだかいい感じ。
ここ最近、紙ものは、すてき! と思っても
すぐに処分していたけれど、
そんなのもったいない。
紙っていいな、
やっぱり、紙っていい。
そのことを、
アコーディオンアルバムが、
気づかせてくれたのでした。
暦帖とアコーディオンアルバム
無駄な月日なんてない。
カレンダーのような、
手帖のような、
weeksdaysの暦帖も、
今回で3回目の紹介となりました。
‥‥ということは、
もう来年の準備!?
年々、時が経つのが早くなっているような
気がしてなりません。
そうそう、若い頃は年上の先輩方に
言われたものです。
「歳をとるにつれ、時間が過ぎるのが
早く感じるようになるよ」
ってね。
そうか‥‥あの言葉はたしかにほんとうだわ。
暦帖を作ってからの、
この2年は、今までにない毎日を過ごしました。
暦帖に書き込む予定も、
あんまりなかったけれど、
でもだからといって、
無駄に時を過ごしたのではないと思いたい。
暦帖を開いて見返してみると、
そこには、
誰々から野菜が届く、とか
たのんでいたお菓子を取りに行く、とか
ちょっとしたことが書き込まれいて、
それを見ているだけで、
ちょっとなごんだ気持ちになる。
これから先、この時のこの気持ちを忘れないために、
時々、見返したいなと思っています。
今回、もうひとつ
私がずっと欲しいな、と温めていた、
新しいアイテムが加わりました。
暦帖同様、思い出をそっと閉じ込めておくための
とっておき。
どうぞお楽しみに。
鋼正堂のうつわ、 あのひとのつかいかた。 [その4]料理を盛るだけじゃなく。 ダンディゾン/fève オーナー 引田かおりさん 後編
引田かおりさんのプロフィール

ひきた・かおり
「吉祥寺においしいパン屋をつくりたい」
という思いを実現すべく、
夫であるターセン氏の退職をきっかけに、
2003年に「Dans Dix ans」を夫妻で開業。
同じ建物の2階には、引田夫妻が
「素敵だと感じるもの」を紹介するギャラリー
「fève」を同時にオープンさせた。
近著に『「どっちでもいい」をやめてみる』(ポプラ社)がある。
新しく家にやってきた器は、
すぐにしまわず、
まずは目につくところに置いて、
その姿を愛でるというかおりさん。
うかがったこの日は、
これから撮影をする
鋼正堂の器をずらりと並べて待機中。
最近、買ったという
アアルトのペールグレーの半円テーブルに、
白い器がよく合います。
「こうして眺めながら、
どんな風に使おうかな? と考えるの」
いつ来ても掃除が行き届いていて、
清々しい空気を放つ引田家。
ふと玄関に目をやると、
なんとそこには鋼正堂の耐熱皿が!?
「耐熱皿に、炊いたお香のパッケージを置いておくと、
あらいい香りね! なんて言ってくれたお客様にも
どんなものを使っているか分かるでしょう?」
なるほど。
このホスピタリティ、さすがかおりさんです。
耐熱皿を「料理を盛る器」として使わないところも新鮮。
そうか、自由に使ったらそれだけ用途も広がるってこと。
器もきっと喜んでる。
「アクセサリーも、買ってきてすぐは眺めていたいから、
引き出しの上にお皿を置いて、そこに並べます」
右はお母様から譲り受けたという指輪を
リメイクしたもの。
左は貝のボタンのネックレス。
「昔ながらの立て爪だったんですが、
それだとつけないな、と思ってネックレスにしました」
耐熱皿の使い方もしかりですが、
使うものや身につけるものを、
自分仕様に変えるその自由さ。
(ちなみにsaquiのパンツのリボンも「取っちゃった!」とおっしゃっていました。)
気分よく暮らすかおりさん、見習いたいものです。
鋼正堂のうつわ、 あのひとのつかいかた。 [その3]一人一皿が基本。 ダンディゾン/fève オーナー 引田かおりさん 前編
引田かおりさんのプロフィール

ひきた・かおり
「吉祥寺においしいパン屋をつくりたい」
という思いを実現すべく、
夫であるターセン氏の退職をきっかけに、
2003年に「Dans Dix ans」を夫妻で開業。
同じ建物の2階には、引田夫妻が
「素敵だと感じるもの」を紹介するギャラリー
「fève」を同時にオープンさせた。
近著に『「どっちでもいい」をやめてみる』(ポプラ社)がある。
ベトナムのかごや、杉工場の小引き出しなど、
weeksdaysのものを多数愛用してくださっている
引田かおりさん。
取材にうかがったこの日も、
saquiの夏のパンツをすてきに穿きこなしていました。
仕事柄もあって、
多くの「よいもの」を目にしておられると思うのですが、
そんなかおりさんが、
weeksdaysで買いものしてくださっていると思うと、
うれしいし励みにもなる。
そして、よし! がんばろう、なんて気合も入るのです。
中でも、気に入っているのが鋼正堂の器とか。
どんな料理を盛っているのですか? とたずねると、
「もう本当にいろいろ!」とかおりさん。
たとえばスープ皿はこんな風に、
キャベツとルビーグレープフルーツの
コールスローを盛って。
コールスローの淡い色合いが、白い器に映えます。
取り皿にしたのは、オーバル耐熱皿の小。
そうか、「耐熱」としてでなく、
ふつうの器と考えれば、
使う幅も広がりますね。
「スープ皿はスープよりも、
サラダを盛ることが多いかな。
他に、ベビーリーフとお豆腐とアボカドのサラダとか」
わー、おいしそう!
二人分盛ってシェアするのではなく、
一人一皿が基本とか。
たくさん盛って、野菜をもりもり食べるんですって。
丸プレートの大きい方には、ふだんのおかずを。
「今日は、ピーマンの肉詰めにしました」
添えたのは、枝豆入りのポテトサラダ。
コールスロー同様、盛りつけがとても美しい!
ピーマンのグリーン、枝豆、きゅうり。
そうか、食材の色を抑えると、
すっきりした一皿になるのですねぇ。
ピーマンの肉詰めと同じくらい好きなのが、
アジフライとか!
きっとお皿の中にいい具合にレイアウトして、
アジフライを盛りつけるのだろうな。
丸プレートの小さい方には、
ギャラリーのスタッフが作ったフルーツサンドを。
(fèveに勤務する傍ら、
フルーツ喫茶オハラというお店もされています)
小さなプレートの上に、
色とりどりのフルーツが乗って、
楽しげな雰囲気に。
「フルーツサンド、このお皿にぴったりでしょう?」
とかおりさん。
盛るもので、いろんな表情を見せる。
それが鋼正堂の器のいいところなのです。
重ねるとこんな感じ。
上から見た時とはまた違って、
真横もいい感じです。
そうそう、
もうひとつ、おやつの時間のために、
こんなかわいい器使いも披露してくれました。
「福岡出身だから、ひよこ饅頭を」
オーバルを横にして、ひよこを4匹こちら向きに並べます。
ひよこの丸みとオーバルの丸みがぴったり。
なんてかわいいんだろ。
鋼正堂のうつわ、 あのひとのつかいかた。 [その2]飾りはいらない。 A.K Labo 庄司あかねさん(パティシエ)後編
庄司あかねさんのプロフィール

しょうじ・あかね
パティシエ。
前職のグラフィック・デザイナー時代に、
料理本のデザインがきっかけで菓子作りの道へ。
渡仏し菓子作りを学び、
都内でのカフェ勤務を経て
2003年、吉祥寺に
伝統的なフランス菓子を提供する
パティスリー&カフェ「A.K Labo」を開業。
伝統的なフランスの郷土菓子と、
新作の菓子をあわせて紹介している。
●twitter
●A.K LaboのFacebook
「耐熱皿でまず思いつくのは、
季節のフルーツを入れたクラフティ。
今だと桃、もう少し前だったらさくらんぼ。
さくらんぼは、ヘタのついたまま焼いてもいいかな」
ヘタつきのさくらんぼ!
クラフティの生地から、
ちょこんと赤い実とヘタが出ている様子を想像すると
おいしそう! そしてかわいらしい。
今日は、あかねさんのお菓子にもよく登場するという
(旬の季節に一年分をたっぷり仕込んでおくそう)
白いちじくを使ったクラフティを。
さっとコンポートにした白いちじくが
たくさん入っています。
一口食べてみると‥‥、?!?!
いちじくの中にフランボワーズのジャムが入ってる!
「お借りした器なので、
最初、扱いにドキドキしていましたが、
とても丈夫。
食洗機にも何度か入れましたが、まったく問題なし。
安心して使える器ですね」
そうなんです。
盛りやすいとか、
盛る料理をえらばないとか。
鋼正堂の器のいいところってたくさんあるのですが、
「丈夫さ」もそのひとつ。
毎日使う器として、これってすごく大切です。
「お店で使ったらすごく重宝するのでは」
なんて、うれしい感想をいただきました。
冷やしてもおいしいというクラフティ。
この日は焼き立て熱々を。
下に敷いた花柄の布もお菓子にぴったり。
大きい方のプレートには、
ウィーン菓子として有名なザッハトルテを。
「フランスでは
ガトー・サッシェ(Gâteau sacher)と呼ばれている
このお菓子、白い器に合うんじゃないかなと思って」
毎年、大量に仕込むという
杏のジャムを使ったザッハトルテを、
大きなプレートの真ん中に盛って、
横にはシャンティを。
「このお菓子、見た目は地味なんだけれど好きなんです。
白いお皿に乗せるだけでもう充分かなと思って」
余計な飾りは一切なし。
茶色と白の潔い一皿ができあがりました。
白い器が好き。
そして、
持っているのは白い器だけ。
そんなあかねさんならでは、
「さすがはプロ!」の使い方、
新鮮だったなぁ。