いつもくちびるに、季節の風とラブソングを。
こんにちは、恋歌くちずさみ委員会です。

あまずっぱい企画は、とっても好評!
たーくさんの、おたよりがとどいています。
みなさんの、
たいせつなたいせつな思い出の「恋歌」、
どんどん紹介していきますね。
なのでどしどし、おたより(メール)くださーい!

今でもハッキリ覚えています。
悔しいけど、可愛かったなぁ。
(投稿者・SASAPON)

『恋するカレン』
 歌/
 大滝詠一
 
1981年(昭和56年)
 

My恋歌ポイント

 振られるとわかるまで
 何秒かかっただろう

中学3年生の頃のボクには、
かなり仲のよいクラスメイトの
女生徒がいました。
恋人どうしではなかったけれど、
周囲からは、
あの二人は付き合っている、と。
そんな周りのムードに
押し上げられるような形で、
雰囲気だけは恋人のどうしのように
過ごしていました。
もちろん、この歌のように
「カレン」などという
洒落た名前ではありませんが、
ボクに「恋」という感情を
初めて教えてくれた女性でした。

で、あれは卒業式の日。
体育館での式典を終えて、
教室でホームルームをしたあと、
クラスの誰かが言いました。
「みんなで記念写真を撮ろうぜ!」
全員で机と椅子を片付け、教室のうしろで、
修学旅行の記念撮影のように並びました。
カメラマン役を引き受けてくれた
担任の先生が、
構えたカメラ越しにニヤニヤ笑いかけます。
「おいおい、カップルはちゃんと
 隣同士に並ばなきゃだめじゃないか」

その言葉で、みんなが移動しはじめ、
女生徒たちが意中の男子生徒のそばへ。
端っこに立っていたボクは、
「へえ、けっこう
 “デキてる”やつらがいたんだ」
などとのんきに構えながら、
彼女が自分の隣に来るのを
待っていたんです。
でも、いつになっても来ない。
あれ、と思ってその姿を探すと、
彼女はボクとは反対側の端にいた
男子生徒のもとへ‥‥。

声は聞こえなかったけれど、
彼女が彼に対して、
「隣、いい?」と
言っているのはわかりました。
恥ずかしそうなその顔は、
今でもハッキリ覚えています。
悔しいけど、可愛かったなぁ。
一方の彼は、
意外だったような表情でしたが、
にっこり笑ってうなづいて。
そんな彼の左腕に、彼女の右腕が‥‥。

あとのことは、あまり記憶にありません。
ただ、その日の夜は、
火のついたように泣いたっけ。
振られたとわかるまで、
ひと晩かかりました。

2週間後、担任の先生の名で、
一枚の封筒が家に届きました。
表には「記念写真在中」の文字。
焼き増しして、
全員に送ってくれたんだろうけど、
封も切らずに破り捨てました。

あれから約30年。
ボクと彼女はそれぞれどんな表情で
あの写真に収まっていたのかなぁ。
今となっては、
ちょっとだけ見てみたい気がします。

むーーー、すばらしい。

いや、またしても、名作投稿。
気持ちを入れて読んでいると
胸がしめつけられます。

なんていうんでしょう、
つきあってる(ような)状態から
振られるのって、
びっくりするんですよね。
あ、それは経験によって違うのか。

でも、振られることって、
たとえ予想していたといしても
予想しきれていないというか、
ほんとうに振られると
もう、ほんと、びっくりしちゃう。
そんなことってないですか。

で、悲しさと後悔と理不尽さとが
ものすごくいっしょくたになった
ごっちゃごちゃの感情が
一気に押し寄せてくる。

そういう痛みの痕跡のようなものが
うずくような投稿でした。

名作です。
文章の上手さも含めて。
ぐいぐい伝わってきました。
何度目かの発言ですが、
ここの投稿のクオリティはほんとにすごい。

さて、「振られる」ということについて。

個人的なことを言いますと、
最初の大きなその体験のときには
ほんとうにびっくりしました。
きょとーーんとしました。
ぼーーぜんとなりました。
あたまが真っ白ということも
ついでに初体験しました。

絶対的な安心とともに
自分に向けられていた笑顔がなぜか、
ほんとうになぜか、
ある日とうとつに
まったく別な方向を向いている。
「あれ?」
と気づいたときの、あの感じ。
あの、恐怖にさえ近い感覚。

そこから先はもう‥‥。
追うほどにだめで、とりつく島も、にべもなく‥‥。
(SASAPON)さんは
「火のついたように泣いたっけ。」
と書かれていますが、
なりますよね、
そういうようなことに。

ときめいた気持ちを
思い出すのは楽しいけど
振られたときのことを
回想するのはつらいねえ。

だめなんじゃないかと
わかっていながら
その最後の言葉を聞かないよう、
聞かないようにと心砕く日々。
それでも悪い予感は当たって、
どっかーんと、事が起きる。
しょーがないんだけどねー。
でも(SASAPON)さんのように、
偶然のような出来事で
それがわかってしまうというのは、
‥‥つらいですねえ。

ところで、
「恋するカレン」の主人公のさ、
妄想してる感じとか、悔し紛れな言葉、
そして最後の捨てゼリフ、
みっともないっちゃみっともないけど、
青春の片恋はこういうもんだよねー、
と男子の味方をしておこう。

意外な彼女の行動があって、
そのあとはあまり記憶になく、
おうちで夜、火のついたように泣く。
そういう呆然とした時間が
たっぷりあることが、あまりにリアルです。

彼女のことを
そんなにも好きだということにも
もしかしたら
気づいてなかったかもしれませんね。
もしそうだとすると
ゼロから瞬時にプラスへ行き
どん底のマイナスへ一気に下降。
そりゃあ混乱します。

好きだとわかるまで、
振られるとわかるまで、
何秒かかっただろう、
たいがい「カレン」のほうが
「ぼく」より早いです。
男子よ、遅いぞ、遅すぎるぞ!
そして我ら女子よ、
ほらその行動に相手が驚いてるよ‥‥!

2011-08-06-SAT
はじめて投稿するかたは、
「ゆるやかな投稿のルール」
をお読みください。

2011-04-26

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〜あまずっぱいイントロダクション〜
 どういういきさつで
 はじまったコンテンツなの?
 そもそものお話です。
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2011-04-28

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