いつもくちびるに、季節の風とラブソングを。
こんにちは、恋歌くちずさみ委員会です。

あまずっぱい企画は、とっても好評!
たーくさんの、おたよりがとどいています。
みなさんの、
たいせつなたいせつな思い出の「恋歌」、
どんどん紹介していきますね。
なのでどしどし、おたより(メール)くださーい!

既婚者と知っていました。
でも、あっという間に恋に落ちました。
(投稿者・しぼめる花)

『恋におちて
 -Fall in love-』
 歌/
 小林明子
 
1985年(昭和60年)

My恋歌ポイント

 Darling, I need you どうしても
 口に出せない 願いがあるのよ
 土曜の夜と 日曜の
 貴方がいつも 欲しいから

ほぼ日の皆様、こんにちは!
こんな企画、泣きそうです。ありがとう。
長いこと吐き出したかった思いを
どうか受け止めてください。

私は40代も後半の主婦です。
いまや明るく元気なフツーのおばさんです。
曲がったことは大嫌い‥‥
みたいな顔していますが、
そんな私が若い頃、
不倫の恋に苦しんでいたなんて、
まわりの誰も知らないでしょう。

20代の時、私は初めて恋をしました。
相手は職場の近くの洋服屋さんの店長でした。
結構年上の。
本当にステキで憧れていましたが、
まさか恋愛の対象とは考えていませんでした。
既婚者と知っていましたから。
でも、その男性も私のことを
憎からず思ってくれていることがわかり、
あっという間に恋に落ちました。
人目をはばかる恋にはまっていったのですね。

そんな時にこの歌が出てきました。
(やはり不倫をテーマにしたドラマの主題歌でした)
小林明子さんの歌声が美しくも残酷に響きました。
カラオケで彼の前でわざと歌ったこともあります。
なんとバカな娘だったのでしょうか。

この歌がたまに流れると、
どうしようもなく胸が締め付けられるのです。
その頃の自分と彼、
もしかしたら気付いていた奥様に。
そして6年もの日々に。
別れてもう20年も経つのに、ですよ。
私もその後結婚して地元を離れ、
今は彼がどこでどうしているのか
知るすべもありません。
知りたいと思ってはいけないとも、思います。

ただ、彼の声もしぐさも、
全部憶えているんですよね。
せめてずっと元気でいてくれたら、
と思うのです。

(しぼめる花)さん、
こんなふうに投稿してくださって
ありがとうございます。
ほんとは投稿の内容について
しみじみと書きたい気持ちもありつつ、
その前に! その前に!
言っていいですかーっ!

ああーっ「金妻」の主題歌だっ!!
正確に言うと
「金曜日の妻たちへIII 恋におちて」の
主題歌でございますよ!
見てた見てた!
十代だったけど見てた!
不倫と無縁だったけど見てた!
いま変換が「フリント無塩」になるくらい無縁!
なんだそれ!

「金曜日の妻たちへIII 恋におちて」はですね、
古谷一行と奥田瑛二と板東英二と長塚京三、
篠ひろ子といしだあゆみと森山良子と小川知子の
群像劇なんですよ。
古谷一行の奥さんが篠ひろ子なんだけど、
古谷一行は妻の親友のいしだあゆみと不倫してて、
その仲間の森山良子は長塚京三と夫婦なんだけど
奥田瑛二と不倫してて、
でもなんだ、じつはプラトニックで、
板東英二と夫婦の小川知子も
妻が前夫とより戻したとかで
なんだかややこしいことになってて、
‥‥ていうような、こう書くとなんだか
「近場でよくもまあそんなに」というドラマなんだけど、
なんだか吐息や溜息がそばで聞こえるみたいな、
とても色気のあるドキドキドラマでした。
最後のほうで、全員でパーティをして、
なんでもしゃべりましょうみたいになって、
いろんなことがつまびらかになって、
篠ひろ子がいしだあゆみを
花束で殴るシーンなかったっけ?
いしだあゆみは映画の字幕の
翻訳家じゃなかったっけ?
みんなやけにオシャレなくらし
してなかった?

まだ書きたいことあるけど
いっかい誰かにパス!

わわわ、そこでパス?
いや、その、「金妻」はみてなかったので
そっちは語れないのですけれども。

投稿のほうに触れましょう。
重厚です。
どしんとくるお話でした。
やっぱりすごい、フツーの人々。
こんなに濃密なドラマがひそんでるとは‥‥。

つくづく思います、
このコンテンツの面白さと特異性を。
「長いこと吐き出したかった思いを
 どうか受け止めてください。」
と(しぼめる花)さんはおっしゃってますが、
ほんと、こういうことを「出す」場所って、
ほかにあまりないと思います。
日記に書いて誰かに見られたらたいへんだし、
ブログにだって、とても書けません。

その意味で「恋歌くちずさみ委員会」は、
希有で不思議な場所になったと思いました。
もちろん、いい意味でね。

しかも、(しぼめる花)さん、
初恋だったんですね。
憎からず、だったんですね。
あっという間に、だったんですね。
6年間、だったんですね。
「なんとバカな娘だったのでしょうか」
に行くまでの各段階、
もう、すばらしすぎます。
何度も読みました。
ありがとうございます。

じゃあ、ぼくは歌のことを。
いーーー歌ですよねーーー。
しかも、なんていうんだろう、
じつにその、くちずさみ甲斐のある。

途中の英語が、英語なのに
なぜかくちずさみやすいんですよね。
しかも、すごく和訳しやすい。
ああ、書きながらわかったけど、
この歌って、「くちずさむ快感」が
あるような気がします。

ほら、あなたも、
くちずさみたくなったでしょう?

それはそうと、
「ダイヤル回して手を止めた」
っていうのは、もう、若い子には
なんだかわからない歌詞になっちゃうね。

んだねー。
電話の話は、
われわれ委員会にとって、これ、
大きなテーマだよねー。

委員会でよく話すのは、
「ケータイというものは
 恋愛の速度を急激にアップさせたよねー」
ということです。
恋が簡単になった? そんなことない?

あと、ダイヤルと言えば、
シックスセブンオーオー♪ だよねー。
ハロー、ダーリン♪

恋と推理小説は、
携帯電話の登場によって
パラダイムシフトを余儀なくされたと
ペーター・ドラッカーも言っている。
(ペーターなのでニセモノ)

思い出した。
ぼくが携帯買ったのは
とっくに社会人になってからだけど、
仕事が理由じゃなくて
恋のためでした。
いつでも連絡とれるっていうことが
そりゃもう衝撃だったなあ。

たしかにダイヤルも回さなくなったし
電話番号もろくに覚えなくなったけど
携帯電話で恋が簡単になったとは思えない。
恋はあいかわらず、そんなに簡単じゃない。
簡単な恋が増えた、とは
言えるかもしれないけど。

こちらの投稿でさ、いいなあって思ったのは

「私は40代も後半の主婦です。
 いまや明るく元気なフツーのおばさんです。
 (中略)
 そんな私が若い頃、
 不倫の恋に苦しんでいたなんて、
 まわりの誰も知らないでしょう。」

ってところだなー。
あなたの近くのおばちゃんや
そのへんのおじさんにも
もちろんパパやママにも
語れぬ恋のひとつやふたつ、
あるかもしれないよー。

てなこって、また次回!
恋歌口ずさみ委員会は
土曜日と水曜日の更新です。

2011-07-16-SAT
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