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ほぼ日刊イトイ新聞

2022-08-12

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・そういえば、単純なことを繰り返すのが好きだ。
 ややこしいことは、仕事や生活のなかに山ほどあるので、
 いわゆる「バカのひとつ覚え」みたいなことを、
 趣味としてやりたがっているのかもしれない。

 「ジャムを煮る」というのもそのひとつだ。
 ただ、根気よく煮るのだ。
 焦げないようにだとか、びんを煮沸消毒することだとか、
 砂糖やレモン汁の配分だとか、材料の水分をとばすだとか、
 種を抜くだとかいっしょに煮込むだとか、
 ペクチンは皮や種からとったものを使うだとか。
 言いだせばいろいろあるけれど、
 どこまでも単純な「ジャムづくり」である。

 それをやっているうちに、「あんこを煮る」を覚えた。
 「虎屋」さんの工場に教えてもらったりもして、
 気仙沼でもワークショップも開かせてもらった。
 あんこは、仕上げに「焼き付ける」ような工程もあるので、
 「煮る」というふうには言い切れない。
 そのことをすっと理解してくれたのは壇蜜さんだけだった。
 あの人の言うことは、ほんとうに、ほんとのことばかりだ。
 「すあまを毎日つくっていると、肌が甘くなる」
 というような話は、現場を知らない人には言えないだろう。
 あんこにも、好みもあるし、
 いろんなタイプのおいしさがあるので、それもうれしい。
 ただ、あんこも単純なものではある。

 釣りをやりながら、みんながどんどん上達していったり、
 詳しくなっていったりするのにつきあってはいたけれど、
 ほんとうの、ぼくの理想の釣りは起き抜けのパジャマ姿で、
 一本だけ竿を持ち目の前の川に立ち、一匹だけ釣ることだ。
 ほんとうは、こういう単純な釣りが憧れだ。

 いまは「ごはん炊き」をやっているが、これも、
 料理の方向にちっとも発展しやしない。
 ひたすら、いろいろやっているけれど「ごはん炊き」だ。
 めんどくさがりで、試すことが好きで、わりと根気がいい。
 思えば、ずいぶんまじめで単純な人間なのかもしれない。
 複雑なこと、ややこしいことは、やっていて疲れるからね。
 おもしろくもあるけれど、疲れるばかりじゃ生きられない。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
それにしても、すべての基礎になるのは体力だと思うのです。


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