糸井重里
・ぼくみたいな半端な臆病者が言うのも憚れるが
(漢字多めにしてみた)、「逃れられない」とか、
「そうせざるを得ない」と思っていることのうちの、
かなりのケースでは、逃れられるのではないだろうか。
ひとつひとつ具体的な例に即して言ったほうが、
説得力もあるだろうけれど、面倒だからそれをしない。
「面倒だからそれをしない」と平然と言うのも、
面倒な手間をかけることから、逃げているのである。
もっとたくさんの人に、よくわかるように伝えるには、
ほんとうに具体例を上げたほうがいいのかもしれない。
しかし、そうかもしれないとは思うものの、
果たしてほんとうに、そうすることで
そんなによく伝わるものなのだろうか?
「犬も歩けば棒に当たる」ということばは、
少しも具体的なコミュニケーションになっていない。
犬の話を聞いてもしょうがない、と思う人もいるだろう。
「それがどうした」と言いたい気持ちもあるだろう。
しかし、その抽象的で無内容そうなことばが、
ふと思い出されて、人が歩きだすことだってある。
さて、最初の「逃れられない」に戻ってみよう。
なんとなく、犬も歩けば程度の感じで、
「逃れられないとか、せざるを得ない」の状況は
けっこう逃れられるものなんだぜ、と、
半端な臆病者が言ってたっけなぁと覚えていたら、
あんがいその記憶が、生きて動きだすこともあるのだ。
たぶん、それをちょっと信じているので、
ぼくは、こんなところでお節介な文章を書いている。
「あんがい逃げられるものだ」と短くしてもいい。
前には「人は、ほんとうに嫌なことはしないものだ」
という言い方で言ったこともある。
じぶんで勝手に縛られてるだけ、ということも多いぞ。
今日は、灼熱の東京を、「ほぼ日」の有志が走る。
横尾忠則さんのところに届け物を持ってリレーで走る。
「暑さと妥協しつつ」と、ぼくは応援のことばを送った。
今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
自由って、じぶんが勝手に売り渡してしまっているものだ。
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