糸井重里
・今年の「野球で遊ぼう。」が終わった。
たのしく帰る年もある、なにかをこらえて帰る年もある。
そういうものだ。
それはそうと、球場内でしか聴けない「ラジオ放送」で、
ぼくはぜひ言っておきたいということがあったので、
解説席の皆さんにも認めてもらいたいと、それを言った。
「放送中は、アナウンサーも解説者も、
トイレを我慢するという不文律があって、
たいていの人たちは、その苦しみと思い出を語っているが、
それはよろしくないのではないだろうか。
強い表現をするならば人権を軽視してはいないか。
むろん、できるかぎりの努力をするのは職業人として、
正しい姿勢であるとは思うが、行こうよ、トイレ。
行きたいなら行っても、根本的になにも困らないはずだよ。
解説者のいない野球中継が10分間続いたとしても、
アナウンサーの近くにいたスタッフが代理で、
必要な情報をマイクの前でしゃべってたとしても、
それは事故なんかじゃないし、たいして迷惑でもない。
いままでの放送の歴史ではトイレを我慢する苦闘の体験が、
美談あるいは笑いのネタとして語られてきたけれど、
今日のぼくらのいいかげんな放送席では、
自由にトイレに行きましょう、ぼくもきっと行きます」
言いたいことは、そういうことだった。
野球解説の経験も山ほどある田口壮さんが、
「それをやったら前代未聞ですね」と笑ってくれた。
ま、しかし、実際にはだれもトイレに行かなかった。
特に行きたいわけでもないのに行く必要もないから、
それで、まったくかまわないのだけれど、
本職の田口さんとか、スポーツ報知の加藤さんとか、
「行ってはならぬ」の世界にいた人が、行ってたら
「スポーツ紙」の小さな記事にはなったかもしれない。
たぶん、長時間のスポーツ中継に関わる人たちが、
使命感でトイレに行かないことは少し美談だったのだ。
でも、そういう美談はもうあんまり美談にならない。
選手たちだって、トイレに行って試合しているのだぞ。
◆今日の質問no.036「がまんしていることは?」です。
考えて書いて、よかったらメールでも送ってくださいな。
今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
このごろの時間の長い映画も、トイレの問題があるんだよね。
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