糸井重里
・自動車は、人間が走るよりずっと速い。
そして、人間が走るよりずっと遠くまで行ける。
だからといって、「自動車は人間の速度を超えた」などと
わざわざ驚くようなことはなかったのではないか。
自動車に負けるものかと、脚力を鍛えている人もいない。
電気洗濯機も、人間よりずっと辛抱強くはたらくし、
人が洗濯板でごしごし洗うよりずっときれいにしてくれる。
いよいよ人間は洗濯力において機械に追い越された、
ということで騒ぎになったこともない。
そういえば、と思い起こしてみるのだが、
卓上の計算機が売られるようになって、
「これは人間より計算が速いぞ!」と言われていなかった。
「そろばんを完全に追い越したかも?」とも言われてない。
速くて当然、速くてもかまわないと思っていたからだ。
自動車にしても、洗濯機にしても、飛行機にしても、
電卓にしても、人間はそいつに「負けたくて」
懸命に開発したのではなかったか?
コンピューターという「電子計算機」が発達して、
いよいよチェスの競技では、人間の勝利が危うくなった、
というくらいの時代には、たぶん、人びとは
「いつか人間が負ける」日のことを期待もしていた。
やがて、実際にコンピューターは、
チェスでも将棋でも人間に「勝つ」ようになった。
そこらへんから、「これはちょっと勝手が違うぞ」と、
機械についての警戒心なども語られることが多くなり‥‥。
いまの「生成AI」が普及してきてからは、あちこちで
人類にとって「未曾有の問題」として語られている。
語られていること、語るべきことはたくさんありそうだが、
ぼくは、前提として「負ける」ものだと考えることにした。
だって「負けて→得をしたい」とつくったものなんだもの。
◆今日の質問no.034「ひとりでいるのは好きですか?」。
いろいろ思い巡らしそう?考えて書きとめてください。
よかったら、メールに書いて送ってくださいね。
今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
人間を機械に近づける練習は、やったほうがいいのだろうか?
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