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笑顔になる。

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ニューヨークに行った時のこと。

「まさこさん、すてきなジュエリー作ってる人がいるの。
アトリエに一緒に行かない? きっと好きだと思う」

と友人。

食もファッションも、器も。
その友人のセンスは、
いつもとても的を得ていて信頼できるから、
「きっと好き」というジュエリーとの出会いが
とても楽しみになりました。

数日後にうかがったのは、
Satomi Kawakita Jewelryのアトリエ。
その日はデザイナーのSatomiさんの友人知人が集まる、
招待制の販売会。

これにしようかな、
それともこっち?
並んだジュエリーは、どれもさりげなくかわいくて、
欲しいものばかり。
あれこれ目移りしながら、
私が手に入れたのは
小さなダイヤがついたリング。

わあ、うれしいなぁ。

えらび終えて、ふとまわりを見渡した時、
目に入ったのは、
ジュエリーを前にする、
みなさんのそれはそれは幸せそうな顔。
そうか、美しいものは
人をこんなに幸せそうな顔にするんだ!
ジュエリーとの出会いはもちろんでしたが、
えらんでいるみなさんの表情を見られたことも、
その日の収穫なのでした。

weeksdaysでは、
Satomiさんにお願いして3日間、
会場を借りて、オーダー会を開きます。
「ゆったりお見立て会」と称して、
1日のうち2時間だけ、人数限定で、
Satomiさんと私とでお見立ても。

みなさんのすてきな笑顔に
出会えることをたのしみにしています。

あのひとの かごのつかいかた。 [3]LIKE LIKE KITCHEN 小堀紀代美さん

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小堀紀代美さんのプロフィール

こぼり・きよみ
料理家。東京・富ヶ谷にあった人気カフェ
「LIKE LIKE KITCHEN」を経て、
現在は同名の屋号にて料理教室を主宰。
大きな洋菓子店である実家をルーツとし、
世界各地への旅で出会った味をヒントに、レシピを考案。
著書に『予約のとれない料理教室 ライクライクキッチン
「おいしい!」の作り方』
(主婦の友社)、
『フルーツのサラダ&スイーツ
~もっとおいしい組み合わせで~」
(NHK出版)
などがある。
■インスタグラム
https://www.instagram.com/likelikekitchen/?hl=ja

今の家に越してくる前は、
伊藤まさこさんとお隣さんだったという
小堀紀代美さん。
新居への引っ越し祝いにまさこさんがくれたのが、
ベトナムのかごでした。
ちょうどキッチンで調味料を入れるものを探していたので、
早速に使ってみたのだそう。

「いちばん大きいサイズが、
キッチンの流しの下にぴったり収まったんです。
お酢や料理酒などの瓶がたくさん入るし、
使うときはかごごと引き出せば、
必要なものがすぐに取り出せる。
奥のものが取り出しづらくて古くなる、
なんてこともありません。
明るい赤の色は、
扉を開けたときの見た目が可愛いのもうれしい」

小堀さんは自宅で料理教室を主宰しているので、
キッチンはお客さまをもてなす場所でもあります。
生徒さんやアシスタントが戸棚を開けることもあるため、
収納棚の中まできれいに整理できていると
気持ちに余裕が生まれるよう。

「キッチンは、とにかく清潔感が第一。
このかごは、汚れたら水洗いできるのも利点ですね」

料理教室では、季節ごとにメニューが変わります。
それに伴って、使う調味料も変わりますが、
そんなときにも、ベトナムのかごが大活躍!

「デモンストレーションは、リビングの書棚の前に
作業台を設置して行っています。
いちいちキッチンに取りに行かなくても済むように、
使う調味料はかごにひとまとめにして、作業台の横へ」

今月のメニューは中華なので、
かごの中には、ごま油や紹興酒がずらり。

「箱だと持ち運びにくいけれど、
かごはそのままキッチンへ持って行けるので、
メニューごとに中身を入れ替えるのもラク。
見た目も可愛いし、ほどよくラベルが隠せるので、
インテリアとしても生活感が出すぎず、
助かっています」

料理教室や雑誌などの撮影の前は、
野菜や調味料といった材料の買い出しも大量!
小堀さんは自分で車を運転して、
日々の買い出しに出かけます。
「買い出しの量にもよりますが、
大きなサイズのかごがやっぱり便利。
買ったものがどんどん入るし、
車から家まで、そのまま運ぶことができます」

大きなサイズのかごはほかにも、
スタジオでの撮影時に調理道具などを入れて
持って行くときや、
自宅でシーツなどを収納するのにも重宝しているそう。

「小さなサイズも、1階と2階で物を運ぶときや、
ちょっとしたお使いのときに使っています。
とりあえず物をしまうのにも便利だし」

友人知人には”かごマニア”がたくさんいて、
私はそこまでではないけれど、と言いながら
やっぱりかごが好きな小堀さん。

「ベトナムのかごというと、
東南アジアで見かける
カラフルなタイプだと思っていたけれど、
これは単色なので私たちの暮らしにもなじみやすい。
縦長ではなく、横長の形も好みです。
引き出しみたいに使えるから、
インテリアのいろいろなシーンで役にたちそう」

そう言いながら、赤い大きなベトナムのかごを持って
車に乗り込む小堀さん。
その姿を見ていると、
インテリアだけでなく、
着こなしのアクセントにもなっているようです。

あのひとの かごのつかいかた。 [2]菓子研究家 長田佳子さん

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長田佳子さんのプロフィール

おさだ・かこ
foodremediesという屋号で活動する菓子研究家。
パティスリーやレストランで経験を積んだ後、
YAECAのフード部門、PLAIN BAKERYを経て独立。
心と体に優しく寄り添うお菓子は、
ひと口食べるとほっとする味わい。
著書に『季節を味わう癒しのお菓子』(扶桑社)、
『全粒粉が香る軽やかなお菓子』(文化出版局)
などがある。
Instagram

やさしく甘いお菓子で、
心と体を喜ばせることができたら。
そんな想いを込めて活動している長田佳子さん。
作るお菓子は素朴でありながら、端正な佇まいで、
ご自身も一見、もの静かでたおやかな雰囲気ですが、
実はとっても“男前”、
お菓子を作るときの手早い動作には惚れ惚れします。

長田さんは、イベント出店ともなれば、
材料やお菓子などたくさんの荷物を一人で持って、
日本全国、どこまでも出かけて行きます。
「とにかくいつも荷物が多いので、
普段は大きなビニール素材のバッグや布バッグばかり。
天然素材のかごバッグも可愛いなあと思うけれど、
実用性を重視してしまうから、
意外と持っていないんです」

と長田さん。

「ほら」と見せてくれたのは、
唯一、持っているマルシェバッグ。
アトリエの隅で荷物入れになっているそのかごには、
大きな穴が空いていました。

「大きなサイズだと、
つい入るだけ荷物を入れてしまうんです」

という長田さんですが、
このベトナムのかごには満足しているとか。

「強度があるので、たっぷり入れても安心だし、
底が四角くて広いので、何を入れても収まりがいい。
段ボール箱に入れていたものを
そのまま詰められるんですよ」

アトリエの作業台の下に3つ並べられたかごの中には、
お菓子の材料となる小麦粉や、
仕事で使う大きなクロス類、
増える一方のレシピや資料などの紙ものが
まとめられていました。

「通気性があって湿気がこもらないから、
粉ものを入れても安心。
段ボール箱やプラスチックケースに収納していたものを
このかごに入れ替えたら、
見た目もすっきりして気持ちがいいです」

出かけるときも、活躍してくれます。

「天然素材のかごより編み目がきっちりしているから、
底から中身がもれたりする心配がありません。
また、仕上がったお菓子は
バットに入れて保管していますが、
このかごは、バットが平らなまま入るので、
納品場所への移動もラクチン」

持ち手にビニールのカバーがついているので、
たくさん入れても手が痛くならないのも
うれしいところだそう。

また、雑誌などの撮影のとき、
スタイリングも担当することが多い長田さん。
このお菓子にはあの器、というふうに、
前もって準備しておきます。
そんな撮影セットも、このかごにまとめておけば安心。

「このまま持って行けばいいだけなので、
当日、現場でアレ忘れた! なんてことが
なくなりますね(笑)。
持ち上げても箱型のままで安定感があるので、
器などの割れ物も、神経質にならずに入れられます」

いつも、ゆったりと着心地の良さそうな服を
おしゃれに着こなしている長田さん。

「リネンやコットンなどの服が多いので、
自然素材のかごを合わせると、
少しほっこりしてしまうことも。
このビニールのかごの、あっさりした感じは
全体のバランスがとりやすいですね」

ホワイトを選んだものの、
使ってみるまでは「汚れやすいかな?」
と心配していたそうですが、
実際に使ってみたら、気にならなかったとのこと。
働き者の長田さんにとって、
ベトナムのかごがよき相棒となっていることは
間違いないようです。

あのひとの かごのつかいかた。 [1]TEALABO.t 主宰 武内由佳理さん

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武内由佳理さんのプロフィール

たけうち・ゆかり
老舗日本茶専門店に勤務後、料理家のアシスタントを経て、
中国茶や、オリジナルのブレンドティーを中心に、
「心と身体を整える茶」を提案するTEALABO.tを主宰。
全国各地のイベントやギャラリーショップなどにて、
出張喫茶やお茶会などを開催し、
お茶の魅力を伝え続けている。
■インスタグラム
https://www.instagram.com/t.tealabo/?hl=ja

お茶というと、お茶室で正座して
お茶碗を回しながら飲むスタイルを想像するでしょうか。
それよりももっと気楽に、気軽に、
幅の広い楽しみ方ができるのが、
最近、ぐんと注目度が上がってきている中国茶です。

TEALABO.t の武内由佳理さんは、
中国茶を中心に、
自分でブレンドした茶葉を販売したり、
イベントや食事会に出向いてお茶をサービスしたり、
そんな活動をしています。
仕事のメインは出張喫茶、というスタイルのため、
いつも荷物はパンパン。

「茶葉や茶器など、
軽いけれどかさばるものが多いんです。
送ってしまえば楽なんですが、
なんだかんだと手持ちのことも多くて」

そんなときに、ベトナムのかごを使ってみたら、
とても使い勝手がよかったと言います。

「強度のあるビニール素材なので、
中身が守られているような安心感があって。
重い荷物を手にかけると、
くいこんで痛くなってしまいますが、
このかごは、持ち手がぎりぎり
肩にかけられる長さなのもいい」

3サイズのうち、いちばんよく使うのは
真ん中のサイズとのこと。

「ファーマーズマーケットへ
野菜の買い出しに行くことも多いのですが、
このサイズだと、たっぷり入って重くなりすぎません」

同じサイズを「ちょっとそこまで」というときも、
重宝しているのだそう。

いちばん大きなサイズと小さなサイズを
入れ子にするのも、武内さん流の使い方。

「納品する茶葉を詰めた小さいサイズのかごを、
大きなサイズに重ねて持って行きます。
大きなサイズのなかでの小分けに、
小さなサイズを使う感じ。
出張先ではバラして、
それぞれを商品のストック場として利用し、
納品後は空になったかごに、お土産を詰めて帰れます」

中を見せてもらったら、
まるで引き出しの中のように、
美しく整理整頓されていました。

割れやすい茶器は箱に入れてから、かごの中へ。
小さなかごの中には商品類がぎっしり。
隙間に、クロス類が入っています。
これなら中身がぐちゃぐちゃで迷子になることもないはず。

外でのお茶会も、武内さんが提案していることの一つ。
冬はお湯を沸かす道具と茶葉と茶器を持って。
夏は、水出ししておいたお茶と茶器を持って。
ご主人とも、散歩がてらよく外でお茶を楽しむのだそう。

「家の近所にお気に入りの場所があるんです。
大きな川の河原で、のんびりお茶を飲んでいると、
疲れも癒されて、心底ほっとします」

この日もベトナムのかごの中に、
前日に茶葉と水を入れておいた
水出し茶入りのペットボトルと、
箱に詰めた茶器セット、白いクロス、
お茶受け用のパイナップルを入れて、河原へ。
ベンチの上にクロスを敷いて、ささっと茶席を作ったら、
なんとも優雅なティータイム。

「このかごは、汚れたらさーっと水洗いできるので、
気兼ねなく地面に置けるのもいいところ。
ピクニックやビーチに持って行くにもよさそうですね」

お気に入りをかごに詰めて、近くの公園へ。
次の週末は、そんなお出かけを楽しんでは
いかがでしょうか。

ベトナムのかご

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気兼ねなく。

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買いものに、
お出かけに、
家の中でも。

いろんな場所で、
いろんな使い方で、
一年中、活躍するかごですが、
とくに出番が多いのが、
今の季節のような気がします。

最近、気がつくと手に取っているのが、
このテープで編まれたベトナムのかご。
軽くて丈夫。
汚れたらじゃぶじゃぶ洗える働きもの。
かわいいだけじゃない、
「気兼ねなく使える」というのは、
道具として最高ではないかと思っています。

今週のweeksdaysは、
去年の秋、とても好評だった
ベトナムのかごをご紹介。
白とグレーにくわえて、
キュートな赤も。
街歩きにもよさそうな小さなサイズも登場します。

明日のLOOKBOOK、
どうぞおたのしみに。

母の眠り、子の眠り。

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薄暗くした部屋のなかで目をこらして、
ベッドにそっと近よって、娘の顔をのぞき込む。
呼吸する音はあまりにも小さくて、
耳を澄ませても聞こえてこない。
毎度のことなのに、そのことにちょっとドキドキして、
今度はおなかのあたりに手をあててみる。
そして、やわらかに上下しているのを確認して、
いつもほっとする。
心配しすぎ、と夫にはいわれるけれど、
心配なのだから仕方ない。
まだ一歳に満たない娘が寝ているとき、
夜はもちろんお昼寝のときも、
ついこんな行為を、わたしは繰り返してしまう。

昨年末に第一子が生まれた。
初めてのことづくしで、あたふたしてばかり。
けれど、その初めてのことに、驚いたり感心したり。
そんな経験をさせてくれる娘の存在は、
今ではわたしの日常の大半を占めている。

そんな日々のなかで、とくに眠りについて、
驚くことが多々ある。
まずは、眠っているときの赤ん坊の姿勢。
脚がカエルのように開いているのが
赤ん坊の股関節にはいいらしく、
仰向けになっているときも、
自然と外側に膝を曲げて大きく開いている。
そして腕も曲げて、脚と対称になるように大きくバンザイ。
いつもあまりにも気持ち良さそうに
その格好で寝ているので、一度真似てみたことがある。
わかりきっていることだったけれど、
からだの硬いわたしは、股関節は痛く、
腕は痺れるだけだった。

もうひとつ。
寝返りを自由にうてるようになった6ヶ月以降、
夜は静かに眠っていることがほとんどなのだけれど、
深夜、寝相がとてつもなく乱れる時間帯がある。
ベビーベッドの柵がガッチャンガッチャンと鳴り響く音が、
隣の夫婦の寝室にまで聞こえてくる。
娘が産まれてから、深夜の授乳のために
眠りが浅くなったわたしは、
毎度、その音にビクッと目醒めて様子をうかがいにいく。
ミルクを欲して起きたのかと思いきや、
娘はベッドの中でぐっすり。
思いがけない位置で、
たとえば、柵にへばりつくように寝ているのだった。
六畳の和室で寝かしたときは、
六畳を運動マットとみなしているかのように、
端から端まで縦横無尽に
(真ん中に敷いたおとなの布団を乗り越えて)
寝返りで動きまわっているのを夫が目撃し、
眠い目をこすりながら思わず笑ってしまったらしい。

一方、わたしは出産を経て、
眠りの質がすっかり変わってしまった。
眠りが浅くなっただけでなく、寝相もすこし変わった。
妊娠中はおなかを圧迫してはならないので
うつ伏せができなかった。
そもそもうつ伏せ寝の習慣はなかったのに、
してはならないとなると、
不思議なほど無性にうつ伏せが恋しくなってしまった。
そのせいか、出産後は待ってましたとばかりに
うつ伏せで寝るようになった。
そうすると、こころなしか安心感が増し、
よく眠れるのだった。
頬が布団やベッドに吸い寄せられて、
密着度が高まるからだろうか。

ところで、娘は寝心地がいいとか悪いとか、
どの程度感じているのだろう。
赤ん坊の寝返りなどの寝相の悪さは、
眠りがとても深いときに起こることらしく、
よく眠れているという証なのだそう。
仰向けに両手両足開いて寝ている姿も、
いかにも無防備で安心しきっている感じがする。
抱っこ紐で縦に抱かれて眠ることもよくあるが、
おとなはこの状態で眠れるのだろうかと、
そんなあり得ない想像をしてみたりもする。
おとなと赤ん坊の眠っているときの姿勢や、
どんな場所で眠るかといった違いは、
周囲を、この世界をどれだけ無条件に信頼しているか、
という違いなのかもしれない。

眠りが浅いので、
すこしでも心地よく眠れるように心掛けている
母としての日々。
赤ん坊の眠りの深さを見習って、
眠りの環境の信頼度を高めてみようか。
まずは、頬ずりしたくなるような安心感たっぷりのシーツを
探しだしたいと思うのだった。

トンネル。

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ふだんから暗いところも狭いところも平気なのに、
車を運転していてトンネルにさしかかると、
なぜか僕はちょっぴり緊張する。
特に長いトンネルを走っていると、
オレンジ色の照明が単調なリズムを刻むだけの景色が
続くものだから、
なんとなくグルグルと同じところを
回り続けているような気がしてきて、
そのうち、もしかすると
この光景がずっと繰り返されるんじゃないだろうか、
このまま永久に僕は外へ出られないんじゃないだろうか
なんてことを、ぼんやり頭の隅っこで考え始めるのだ。

妄想とはわかっているのだけれども、
それでも僕はゆるいカーブを曲がるたびに、
トンネルの両側にときどき現れる道路標識や
距離を示す看板の数字が
少しずつ変わっていることを頼りに、
ほら僕は世界の奇妙な裏側へ
紛れ込んでしまったわけじゃないぞと
自分を納得させようとするし、
遙か遠くに出口から差し込む光が見えてくると、
ようやくそのことを確信してホッとする。

眠ることは、そんなトンネルに似ているような気がする。
眠りは、今日と明日をつないでいるなんとも奇妙な時間で、
入口はわかるのに出口がいつ現れるのかは、
トンネルと同じように、
そのときになってみないとわからない。

僕は眠ることが大好きだし、
できればもうずっと布団の中で暮らしたいと
思っているくらいなのに、
どこか眠ることへの戸惑いのようなものがあって、
夜遅くベッドで横になるときには、
このまま永久に目が覚めなかったらと考えるし、
目を覚ませば、眠りについた自分といま目覚めた自分が
そのままつながっていることを不思議に感じてもいる。

きのうの自分ときょうの自分をつなぐ
眠りというトンネルをくぐり抜けて、
何とか僕は僕自身でいることを
保っているつもりなのだけれども、
本当に今のお前はきのうのお前と
ひと続きなのかと問われたら、あまり自信はない。
なにせ僕は自分が眠った瞬間から、
目を覚ますまでのことを知らないのだ。
もちろん夢は見ているけれども、
眠っている時間は、
僕にとっては存在しない空白の時間で、
その間にこっそり記憶が入れ替えられ、
世界のすべてリセットされていても
きっと僕にはわからない。

眠っているとき、つまり夢の中にいるとき、
僕には自分が夢を見ているのだという自覚はないし、
いま自分は夢を見ているのではないかと疑ったこともない。
どれほど奇妙に歪んだ世界でも、
そのときには現実として、
ただ受け入れているだけだから、
もしも夢の中から抜け出せないままでも、
僕はそのことに気づかないだろう。
ということは、今ここでこの文章を書いている僕だって、
本当は夢の中にいるかもしれないし、
そして、それを確かめる方法はどこにもない。

それでも僕にとって眠ることは喜びだ。
体を横にして目を閉じ、
明日の自分につながっているはずのトンネルの中へ
ゆっくりと潜っていくのはたまらなく心地いい。
たとえどれほど奇妙な世界に閉じ込められることになっても
それはそれで構わないように思う。
じつを言えばトンネルのどちら側も夢で、
僕はただ夢の中から別の夢の中へと
移動しているだけなのかもしれないのだから。

悪夢の頻度。

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旅館やホテルに宿泊して、自宅に戻ってくると、
生活感に圧倒される。
がっくりくるというより、
ここに人が住んでいます! と主張する
空気の濃さに完敗する感じ。
整頓魔ではないものの、親しい人が訪ねてきて
OKな程度には片付けているのに。
とくに、寝室に入るとどこかに
自分の分身が潜んでいるんじゃないかと思うくらいだ。
換気、掃除をし、
空気清浄機がまわっていても逃れられない。

よほど神経質なのかと思われそうだけど、そうではない。
こと睡眠に関しては、無頓着だ。
基本的に、どこでも寝ようと思えば寝てしまう。
睡眠環境についても、
枕が変わって寝られなかったという話をきけば、
「じゃあ枕を外して寝ればいいじゃない」
とギロチンにかけられそうな返事をしてしまう性質である。
仕事が立て込んでくると机の上で、
さらには机の下の床で寝ていることも多い。

こんなことを言うと優しい方からは心配されるが、
基本的にはベッドの上で寝ているので安心してほしい。
ただ、夢をみることはあまりない。
みても悪夢しかない。
悪夢は、自分のなかで力を入れている作品に
取り組んでいるときに多い。
みている間は辛いけれど、
「手応えあり」のサインなのだ。
悪夢は吉兆である。
とはいえ、そんな状態が続くと寝た気はしない。

さて、唐突だが、私は長年修道女に憧れている。
現世のしがらみがあるので現実では無理なのだけど、
睡眠環境だけでも真似したいと思って修行している。
写真集で見た小さな女子修道院の、
いかにも体が痛くなりそうな
木のベッド(マットレスなし)に寝られるようになりたい。
そう思ってここ数年は床に
5センチ程度の薄いマットをひいて、
手製のシーツをかぶせ、
その上に寝るという睡眠修行をしている。
すると、修道女に近づけたのかはわからないが、
悪夢を見る回数が減ったのだ。
不思議に思って、もとのベッドで寝てみると悪夢をみる。
寝心地はベッドの方がいいに決まっているのになぜ‥‥。

非理系人間である私は、
悪夢の頻度は体の下にあるマットレスの厚みに関係すると
仮説を立てた。
ベッドの、持ち上げられないほど重く
分厚いマットレスには、
いままでみてきた悪夢が貯め込まれているのだ。
反対に、ペラペラのマットは起床後は立てかけて
乾燥させてしまうので、悪夢が貯まる余地がないのだろう。

いまはこのふたつの睡眠環境を使い分けている。
夜寝るときは修道女をめざしてペラペラのマットで休み、
昼寝と病気のときはベッド。
悪夢をマットレス型の貯蔵庫から引き出すたびに、
さあ今回も腕を振るうぞと元気に
(他人からみるとげっそりして)目覚めるのである。

fog linen workのベッドリネン

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眠りをきちんと。

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ぐっすり眠り、
すっきり起きる。

1日を気分よく過ごすために、
睡眠をきちんと取ることはとても大切です。

おふとん、枕、ベッドマット‥‥。
ベッドまわりのものは
いろいろあれど、
私がとくに大切に思っているのが、
ベッドリネンです。
肌に直接、触れるものだから、
さらりとしていて気持ちのいいものがいい。
いつでもこざっぱりといられるよう、
さっと乾くものがいい。

今週のweeksdaysは、
fogのリネンを使ったベッドリネンを紹介します。
ボックスシーツはfog従来のものを。
コンフォーターケース(おふとんカバー)と
ピローケース(まくらカバー)は、
それより薄手のものにし、
さらに軽く、気持ちいいものに。

あつい夏も、
これさえあれば。
どうぞ洗いざらしのリネンの質感を
たのしんでください。

これからのホテル。

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伊藤
元気でいても、すこしずつ老いはやって来ると
最近、実感した出来事があって。
母がある日、大きなル・クルーゼの鍋を
「あげるね」と、私に譲ってくれたんです。
それでずっといろいろな料理を作ってきたのに、
なぜ? って訊いたら、「重いから」って。
そうか、って‥‥。
年を重ねることによって、今までいいと思ってたものも、
使うことが難しくなることがある。
ありがたく私が使うことにして、
その代わりに母には
アルミの打ち出しの鍋をあげたんですけど、
そんなふうに、変わってくるんだと思って。
でも、それを悲しむのではなく、
たとえば、杖が必要な年齢になったら、
オシャレな杖が欲しくなるだろうし、
年齢によって欲しいものって変わっていく。
そういうものなんだなと思うと、
まだまだ仕事のやりがいがある!
そんなふうに考えることにしました。
川上
「杖っていうのはこういうものだ」と、
そういう考えで続いてきたものに、
あたらしい感性が入ったら、いいでしょうね。
セブンデイズホテルにも、
バリアフリーの部屋があるんですよ。
伊藤
2階の、広めのお部屋ですよね。
泊まったことがあります。
手すりがしっかりしていました。
川上
ホテルの条例で車椅子の方の対応の部屋を
1室だけはつくることになっているんですね。
それをつくるときに、‥‥もうわかるでしょう?
「じゃあ、いちばんいい部屋にする!」って(笑)。
もちろん限界はありますよ、
本当に普通のビジネスホテルと
同じ総事業費ですから、その中でどうするかって。
セブンデイズホテルを見た業界の方が
「趣味ですか」ってよく仰るんだけど、
「とんでもないです」って。
伊藤
今、Airbnb、民泊が流行っていますよね。
ホテルをつくりたいって気持ちは、
人をもてなしたいっていう気持ちは
みんな持ってるのかなという気がして。
川上
ホテルを経営しているからこそ思うのは、
民泊ができるって、偉いなあ、勇気があるなあと。
こうして、私は、
見た目みたいなことばっかり言いますが、
いちばんはセキュリティ。
そして絶対、法を守る。
いくらそれをきちんとしていると思っても、
どこか抜かりがあるかもしれないという
恐怖というものが常にある。
逆に言うと、常にそういうものを持ちながら
ホテルを運営しないとダメなんだと思うんです。
だから、すごいな、偉いなって思っちゃう。
──
使う側としては便利で面白いので、
海外ではよく使うんです。
すると2種類あって、
本当に自分の住んでいる家や部屋をそのまま貸す人と、
それ用に小っちゃいホテルとして作り込む人がいて、
その作り込む人はIKEAの家具やお皿、カトラリーで
統一している人が多いですね。
デザインがいいし、壊れたり、なくなったりしても、
安価に補充ができるからだと思うんですが。
でも本当に、「昨日まで住んでたでしょう?」という
家を貸してくれる人もいるんです。
そういう人は、なにもかもそのままで、
ほんとうにプライベートな部分は
鍵をかけて仕舞ってあるけれど、
ふだん自分たちが使っているものを、
そのままどうぞ、っていうかたちです。
川上
西洋には、そういう歴史があるんですよね。
もともとのメンタリティが違う。
すごくオープンというか。
伊藤
外国の人って家に行くと、
全部を見せてくれますね。
ハウスツアーと言って、
ここがバスルーム、ここが寝室、って。
川上
けれども、民泊は、
私たちビジネスホテル業界の脅威なんです。
フランスはそれでものすごく
プチホテルが消えていった、
というニュースを見ました。
費用をかけてリノベーションしても
なかなか追いつかないと。
ある意味プロがやったのとは違う、
アマチュアの方ならではの魅力というのが、
きっと、あるんですよね。
伊藤
高知、何度か来ているんですけど、
日曜市に行くと、食材がすばらしくて。
買って調理したいけれど、できなくて。
川上
そう! 日曜市に行くと、
料理がしたくなるんですよね。
伊藤
この高知の豊かさを実感するのって
料理じゃないかなと思うことがあります。
だから、高知に、
キッチンがついてるホテルがあったらいいな。
川上さん、そういうのつくってください!
川上
あら(笑)!
伊藤
それに、今日のお話を聞いて、
川上さんのプロデュースする、
広い部屋があったら、泊まってみたくなりました。
川上
本当に? 実は、考えたことがあるんです。
私たち夫婦は、子どもが巣立って2人なので、
広くてもったいないねって。
だから、セブンデイズホテルのゲストハウスにして、
もちろんキッチンつきで、
みんなつくって食べて、泊まれる部屋がつくれたら
楽しいかもしれないって。
伊藤
そしたら高知に滞在する日数が増える気がする!
日曜市に売っていないもの、
例えば鮮魚だとか精肉だとか、
お酒だとか、きっといいお店がありますよね。
川上
あるんですよ! いくらでもおすすめします。
伊藤
そういうところに行きたいんだけれど、
そうするとセブンデイズホテルに
泊まれなくなっちゃう。
やっぱりここを拠点に、
その体験ができたら最高だと思って。
すみません、わがまま言いました(笑)。
川上
いえ、頭の中に入れておきますよ。
伊藤
川上さん、今日はどうもありがとうございました。
いちどゆっくりお話を伺いたいって思ってたんです。
ますます、ファンになりました。
川上
こちらこそ、ありがとうございました。
また高知にいらしてくださいね。

毎日がリセット。

未分類

伊藤
掃除といえば、セブンデイズホテルに滞在していると、
汚れていたり、散らかっていたり、
そんなふうに気になることがないんです。
朝食後、ごちそうさまってお膳を持っていくと、
その置き場を、スタッフの方が、
すっごくきれいに保っていらして。
川上
皆さんのおかげですよ。
伊藤
お部屋の掃除にいらっしゃる方も、
元気に、ニコニコしていらっしゃって、
そういう姿を見かけるのも,嬉しくて。
川上
やかましくなかったですか?
伊藤
ぜんぜん! むしろ、ここには
いい空気が漂ってるなぁ、と思いました。
川上
そうだったら嬉しいです。
やっぱり、空間も人も、
ごまかすと、空気に出ます。
スタッフのミーティングのときに、
そう言ったんです。
全部空気に出るんだよと。
お客様は、玄関を入った瞬間にわかるよって。
伊藤
うん、ぜんぜん、淀んでないですよ。
川上
淀まさないためにはどうするかというと、
それはやっぱりメンタル面も含めてのケアが
必要だと思うんです。
伊藤
川上さんの設計は、機能もそうですが、
美しさを大事にしているから、
なおさら、整頓や、清掃が大事ですよね。
ロビーのマガジンラックにしても、
お客様が雑誌を1冊取ったら、
並べた列が、ちょっと崩れる。
だからスタッフがまめに片付ける。
川上
そう。でも、カッコいいでしょ?
これもね、吊るためには、
天井を頑丈にしないといけませんよと言われて、
鉄板を入れたんです。
施工業者から「いったい何をするんですか!」って
驚かれましたよ。
「これを吊るしたいんです」って(笑)。
17年経っても、壊れていませんよ。
伊藤
ふつうの考え方だったら、
子どもたちがぶら下がっちゃいそうだからとか、
そういう理由で、諦める部分ですよね。
川上
そうですね。うちはやさしく「ダメよ」って。
伊藤
緊張感がありますね。
川上
そういうことはないですかって訊かれるけれど、
いたずらされるから無難なほうにしようとか、
そういう考えを持たないようにしています。
じっさい、何かをいたずらされたり、
壊されたりとかいうことはね、ないんです。
外のベンチもそうです。
私はベンチが大事だと思っていて、
常日頃、街に、腰掛けられる場所があるのは
幸せだなと思っているんです。
だから自分でまずやろうって。
設置するとき、「いたずらされますよ」って
言われたんですけれど、誰もしない。
きれいに使ってくださるし。
伊藤
どこかの国で、地下鉄のいたずら書きが
あまりにひどいんで、どうしようと考えて、
いくら書かれてもすぐに全部消して、
されたらまた消して、
つねにきれいにしていたら、
いたずらが減ったそうです。
川上
絶対そうだと思いますね。
伊藤
私、ホテルが好きなんですけど、
なぜかというと、
いつもゼロからのスタートだからなんです。
部屋には、あるべきところに必要なものが、
ピシッと置かれている。
それを毎日、同じように整えてくれる。
シーツもタオルも洗い立て。
それが家でもできないかなと思っているんです。
何かを始めるときに、
片付けてから始めるのではなく、
いつも同じ状態にしておきたい。
ホテルのあり方は、
私の理想とする部屋の整え方に似てるのかなって。
川上
ちょっとくじけると、すべてが崩れていく。
キッチンなんかも、夜、片づけができなくて、
「ああ、もう疲れたからこのままに」
と思うことがあるけれど、
「いけない、いけない。エイヤッ!」
ってやっておけば、次の日の朝、全然違うんですよね。
伊藤
たとえば写真を撮ろうというとき、
「ちょっと待って、片づけるから」
ということが、ないようにしたいんです。
川上
そうですよね。
伊藤
もちろん、「本の山の間で寝てます」
という人がいても、それはそれで、
その人が気持ちよかったらいいんですよ。
でも、私はそうじゃないかなって。
川上
伊藤さんにそう言ってもらえると、
すごく励みになるな。
伊藤さんは、そういう暮らしの在り方を、
雑誌や著作で発信なさっているでしょう?
それがすごく嬉しいんです。
私はちゃんと勉強をしたわけでも何でもなく、
雑誌や書籍で知ったことが大きいんですよ。
地方に住んでいると、先端のものに触れることだって
なかなかできない。都会に行かないと、
イタリア家具を見ることだって難しいですもの。
伊藤
ずっと高知にお住まいでいらっしゃるんですか。
川上
高知だけです。だから、東京に行くと嬉しくて、
「あぁ、素敵!」って、気持ちの貯金をして帰ってきます。
そして、実用書や、いい情報の載っている雑誌は、
ずっととっておくんです。
ずいぶん前のものでも、読み直したり。
伊藤さんの本も、そうなんですよ。
伊藤
ありがとうございます。
川上
私、年齢が、もう60代も後半に
向かっていくんですけど、
そうなるとね、「今さら」なんて
思わないわけです。
伊藤
「今さら」と思ったら、
いろんなことが止まっちゃいますものね。
川上
そうなんです。
人生短いかもしれないから余計に(笑)!
思いついたことは、やろう、って。
伊藤
ずっと、いままでも、これからも「自分」だし、
先々も、ずっと楽しく生きたいですよね。
川上
そうそう! そうなんです。
ある日突然、シニアの世界に入るわけじゃなくて、
ずっと続いていることなんだもの。
少しずつ、ね。

きれいに保つ。

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川上
続けてきたからこそ、わかることもありますよ。
たとえば、ロビーの柱の角に、
プラスチックの丸いスツールを置いているのは、
柱や壁を守るためなんです。
フロントと玄関をつなぐ動線上にあるので、
トランクなどがぶつかって、
柱や壁が少しずつ壊れるんですね。
それを防ぐ目的で。
伊藤
あ、なるほど! なんでかなあと思っていました。
ああいうところはどうしてもひっかけたり、
子どもが遊んだりしてしまいますものね。
川上
はい。仕方なく始めたことだけれど、
違和感がないし、そのうち、
「なんかかわいいんじゃない?」となりました。
子どもとか、ちょっとお話ししてる人が
座ってたりするようになって、いい雰囲気で、
「いいんじゃない? こんなのも」みたいな(笑)。
壁や柱も、塗り替えが必要になるでしょう。
そういう時は
「真っ白は飽きちゃったから、
ちょっと変えよう」とか、考えます。
伊藤
なるほど! それであのきれいなピンクが?
私、あのピンクの手前に穏やかな白い椅子があって、
いい風景だなと思って、さっき写真を撮りました。
川上
あれは、コルビュジエ・カラーなんですよ。
伊藤
建築家のル・コルビュジエがつくった
カラーパレットに忠実な色ということですか?
すごい!
川上
そうそう、もう全部(笑)。
そういうことが生活にすごく大事だと
思っているんです。
伊藤
私は白が好きで、「weeksdays」の前身で
「白いお店」というものがあったんです。
いろんな白を集めて紹介をしていたんですが、
キッチンリネンでもタオルでも、
「白、汚れませんか」って声が上がる。
けれども、「だからいいんですよ。
いつも、きれいにするでしょう?」って。
川上
同じですよね。この床もです。
ライムストーン(天然石)なんですが、
貼るとき、散々、施工業者から
「絶対汚れる、すごく汚れる」、
白い塗り壁も「すぐ汚れますよ!」って。
だから、伊藤さんと同じように言うんです。
「だからいいのよ。
いつも、きれいにするじゃない」って。
伊藤
確かにこの頃、ホテルは
ダークブラウンなど、
濃い色のインテリアが多いですよね。
川上
そうですね、汚れにくいので。
伊藤
そういえば、ゴミ箱を探していたら、
模様のついたものが多いなあと思ったことがあって。
汚れがついてもわかりにくいように、
そうしているんですって。
だからこそ、白がいいのに。
そういえば、私にとっては日常なのに、
人に言うと驚かれることがあるのが、
ゴミ箱を毎日拭くことと、
五徳を毎日洗うことなんですけれど。
川上
素晴らしい。そういうところは、
私も伊藤さんの本を読ませていただいて、
「うんうん」って同意していますよ。
とってもよくわかります。
伊藤
ありがとうございます。光栄です。
川上
汚れたら、きれいにすればいい。
ホテルはまさしくその考え方です。
伊藤
ここは川上さんにとっては仕事場ですが、
だからといって、家と変わらない感じでしょうか。
川上
そうです、全然変わらないです。
伊藤
おうちだと思ってつくっているんですね。
川上
住んでいる家も、ここの延長線みたいな感じですよ。
ただ、今は、みんなが使う部屋を、
ちょっとストイックにしすぎているかも。
床を麻のカーペットにしたんですね。
私は、素足でいると非常に気持ちいいと思うんですが、
濡れるとしみになるし、
2歳と4歳の孫には、痛いって不評で!
伊藤
転んだら痛そう(笑)。
川上
私はその緊張感が好きなんだけれど(笑)。
伊藤
お家の中、ぜんぶ、そんなふうに緊張感が?
川上
いえいえ! 本当は自堕落に暮らしたいですよ。
でもそれは自分の部屋だけにしましょう、って。
自堕落は自分の部屋だけ。
夫婦別室にしているので、自分の部屋はもう本当に、
なんでもかんでもかごに入れっぱなしなんです。
入れちゃえば見えないぞって(笑)。
家族も、それぞれの個室では、自由。
お互い、そこには触れないようにしています。
伊藤
それは新しい暮らしの形かもしれない。
夫婦だからって必ず一緒にいなくてもいいと思います。
私の友人にも、結婚してから30年、
ずっと寝室は別っていう夫婦がいて、
それぞれ、自分の好きなようにしていますよ。
川上
それが長持ちする秘訣だと思ってます(笑)。
伊藤
自分の時間は大切ですもんね。
川上
大切です。夜中に本が読みたくなって、
電気をつけるのも自由だし、
ラジオを聞くこともできるし。
この年齢だから、自分の時間というものは大切。
伊藤
私も、娘と暮らしているんですが、
リビングに私物は持ち込まないことにしています。
川上
そう、同じ。
伊藤
撮影をすることもあるし、
打ち合わせで人も来るという理由もあるんですが、
私の性格もあるんでしょうね。
実家も、いつ誰を呼んでも大丈夫なように、
ピシッとしていたので、
それが気持ちいいということが染みついている。
川上
そう。結局、
いつも片づけておいたほうが、楽ですよね。
お掃除も全然楽だし、
食後、テーブルだけ拭いておけばいいくらいで。
伊藤
そうなんです。

ホテルはわが家。

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伊藤
川上さんは、ホテルをつくろうって、
そもそも、どうして考えたんですか?
川上
ホテルをつくりたいから
つくったんじゃないんですよ。
20年ほど前、
家業のガソリンスタンドが斜陽産業になったので、
次の世代に受け継ぐために、
何かしないといけないというところからです。
この場所を持っていたので、
どうしようかと考えていたら、
「ビジネスホテルはいかがですか」という話があって。
その頃は高知市内に
ビジネスホテルが少なかったので、
「そうですね」と(笑)。
伊藤
でも、いわゆるビジネスホテルをつくるのではなく?
川上
最初はね、商売だから、
普通のビジネスホテルをするんだと思っていたんです。
すごく大変な仕事かもしれないけど、
大変って考えちゃうと怖くてできないので、
自分が家にお客さんを招くときにすることと同じだと
考えるようにしたんです。
つまり、お掃除したり、絵を飾ったり、
花を飾ったり、お茶を出したり、
そういうことですよね。
そのぐらいの気持ちでやらないと、
恐怖のほうがね先に立っちゃって。
だから、商売をするのだけれど、まずは
「思い切り自分の好きなことしてみよう」と。
でもね、こんなこと言うと笑われるかもしれませんけど、
ほんとうに大変な仕事ですからね。
24時間、365日。
もちろん、どの業界でも大変だと思うんですけど。
伊藤
最初は、ボールペン1本も、
全部、川上さんが選ばれたと聞きました。
川上
そうですね。ボールペン1本、
スプーン1本まで、最初は徹底していました。
柳宗理さんのプロダクトが好きだったので、
カトラリーをすべて柳さんで揃えたんですけれど、
‥‥あっという間になくなるんです(笑)。
伊藤
残念。
川上
で、次はイタリアのグッチーニの
プラスチックのカトラリー。
これはね。日本中からかき集めたぐらい
買ったと思うんですけど、
やっぱり、全部なくなりました。
伊藤
なくなっちゃうんですね。
川上
そう、なくなっちゃう。
だから、それは、しかたがない、諦めようと。
今は、普通になっていますね。
これが宿泊料金5万円のホテルだったら
徹底することもできるでしょうけれど、
1泊5400円からですから、さすがに頑張れないんです。
最初は、「玄関にコルビジェの
LC2(ソファ)を置こう」とか、考えましたよ。
伊藤
ホテルをつくるというのは、
きっと、おそろしくこまかいことの積み重ねですよね。
川上さんが実際に
図面を引かれるわけじゃないでしょうけれど。
川上
ええ、図面を引くわけではないです。
高知在住の建築家の方と、
インテリアデザイナーの方と協力して。
伊藤
川上さんの思いをちゃんと
形にしてくれる方がいらっしゃる。
川上
そうなんです。私はもう頭の中だけ。
その方たちのアイデアもあって、
3人で意気投合して、
「いいよね、これいいよね!」って
楽しく計画を進めました。
伊藤
きっと、予算と、夢と、現実の
折り合いをつけないといけないですよね。
川上
予算は予算で頭の隅に置いて、
でも、普通のホテルだったらここに予算をかける、
ということを、全部取っ払いました。
伊藤
例えばそれはどういうところですか。
川上
業務用の什器や家具って、ものすごく高いんです。
不特定多数のひとが使っても壊れないふうに
丈夫に作っているし、量産はしていないでしょうし、
業界自体が小さいゆえ、割高なんですね。
伊藤
業務用ならではの特性、いいところがある分、
高価なんですね。
川上
でも私は、業務用であることは優先しませんでした。
予算の中で、
「こっちのほうがカッコいいんじゃない?」
って思えば、家庭用の家具でも、
それを選びました。
「こういう場所で使ったら、壊れますよ」
みたいに言われたけれど。
たしかに、そのとき選んだイタリア家具の
樹脂製の椅子は、
どんどん折れていっちゃった。
伊藤
家庭に比べて、激しく使いますものね。
日にも当たるでしょうし。
川上
そこで2年前に今の白い椅子に変えたんですけど、
気に入ったものを探したら、
こんどは、業務用より高かったりして!
それでも、「だって素敵じゃない?」
「これカッコいいよね」というほうを選びました。
私の基準、全部、そうなんです。
伊藤
そうなんですよね、
もちろん長く持つのも大切なんですけど、
使っていて気分がいいものが、いいんですよね。
川上
客室のデスクの照明も、
最初は、ドイツ製のスタンドライトだったんです。
とても好きなデザインで。
ところがこれが、ハロゲン電球ゆえに、
すごく熱くなるものだから、
お客様の迷惑になるかもしれないということで、
数年前に取り換えました。
いまは、LED電球のペンダントライトになっています。
伊藤
ホテルをオープンして日数が経つうちに、
やっぱりこうだった、ああだったということが
出てきたんですね。
それでも「嫌じゃない」ものを選んでいらっしゃるのは、
すごいことだと思います。

版画、名作家具、IKEA。

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川上
私、李禹煥さん(*)の作品が好きなんです。
*李禹煥=リ・ウーファン。大韓民国生まれ。
 日本を拠点に、世界的に活動するアーティスト。
伊藤
私も持ってます。すごく、小っちゃい作品を。
ほんとに、こんな(指でかたちをつくって)、
こんなに小っちゃいんです。
川上
素敵ですよね。じつは松林さんの前に、
李さんの絵を、
セブンデイズホテルに掛けていたんです。
墨で、ピッピッて描かれている作品です。
いまも、ときどき掛けるんですが、
なにしろ抽象画でしょう? 
お客さんも、スタッフも、誰もがみんな、
「自分でも描けるよ」なんて言うのね。
まあ、みんな、そう言いながらも、
興味を持ってくれているということで、
反論はしないんですけれど(笑)。
でも、それがあることで、
すごくキーンとした静謐な世界観を、
この、20年近くなるホテルにも、
空気として、運んできてくれるんです。
やっぱり、すごいですよ。
今は、松林さんが、ポップで、
この梅雨時の鬱陶しい時期に、
ぱあっと発散させるような空気を
出してくれているわけですけれど。
伊藤
セブンデイズホテルのロビーには、
松林さんのカエルの絵が掛かっていましたね。
きっと、季節に応じて掛け替えを。
川上
そう! 今は梅雨どきだから、カエル。
伊藤
私が李禹煥さんの作品を買ったのは、
直島の美術館だったんですけれど、
そこのお客様はアートに興味のある人が多いわけです。
けれどもセブンデイズホテルにいらっしゃる人は、
かならずしもそうではありませんよね。
みんながみんなインテリアやアートに
興味があるわけではないし、
むしろ、気付かない人だっていると思いますが‥‥。
川上
そうですよ、もちろん。
出張のビジネスマンも多いですし、
観光に来た家族連れや友達同士、
いろんな世代のかたがお泊まりになります。
アートを見たくてセブンデイズホテルに泊まる、
という人は、多くないと思いますよ。
伊藤
それでも、意識してなくても目に入ってくる、
その気持ちよさは、伝わると思うんです。
川上
「意識してほしい」ということはまったくないんです。
ただ、さきほど言ったように、
日常に作品があるということを、
当たり前のように暮らすことが、すごく大事だと。
たとえばここのロビーの壁には、
高知出身の現代美術作家、浜田浄さんの作品がある。
もし、これがなかったら、殺風景だと思うんです。
きっとインスタにも載らないくらい殺風景!(笑)
でもこの作品がバーンとあることで、
このロビーの空気が、違ってくるんです。
伊藤
作品が先ですか。場所が先ですか。
つまり、作品に惚れて購入なさるのか、
この場所をどうにかしようと、作品を探すのか。
川上
もちろん、作品が先です。
伊藤
ですよね。
彫刻も増えましたね。
川上
そうですね。丸尾康弘さんという作家です。
クスノキを使った彫刻家なんですけど、
本館にはウェルカムボーイって私が呼んでいる、
大きな彫像があります。
伊藤
ここ、セブンデイズホテルプラスにも
ちいさなウエルカムボーイがいますね。
川上
そうそう。
伊藤
そして、ロビーの家具には、
アルネ・ヤコブセンのスワンチェアがある。
かわいいですよね。
こういった家具を選ぶのと、アートを選ぶのって、
きっと、同じ基準ですよね。
川上さんがひとりで選ばれるんですか?
川上
そうですね。
こういうことに関しては、私の独断です。
もう本当、独裁者と言われてます(笑)。
伊藤
いろんな作家さんのもの、
いろんな国のもの、多分あると思いますけど、
トーンが揃っているのは、それゆえですね。
川上
違和感、ないですか?
伊藤
全然、違和感なく。
川上
よかった。
伊藤
私も「weeksdays」の中で、
やりたくないことは絶対やらないし、
それを「ほぼ日」のみんなが尊重してくれる。
好きなものというのは大事ですよね。
そういう意味では私も独裁者(笑)?
川上
ものすごく考えているというより、
例えばIKEA(イケア)に行っても‥‥。
伊藤
部屋のマグカップがIKEAでしたね。
とてもかわいい。
川上
そうです、スウェーデンに行ったとき、
ホテルのレストランでイケアのマグカップを
山のように積んでるのを見たんですね。
もういっくらでも飲んでください、みたいな。
それが本当にね、ポップでかわいくて、
いいなあ、いいなあと思って。
伊藤
ビジネスホテルは、いろんなお客様が毎日使うから、
ある程度価格を抑えて、丈夫であることが、
デザインと同じくらい大事ですものね。
川上
安いのに、割れにくいんですよ。
素晴らしすぎて‥‥。
じつは、色をときどき変えてるんです。
白にしてみたり、グリーンにしてみたり。
ちょっと劣化してきたら、どんどん換えていきます。
安かろう悪かろうではなく、
いいものはいいですね。
そんなふうに、マグカップひとつにしても、
「こういう空間を作りたい!」と考えて、
何を置くか考えるのが、もう大好きなんです。
うっかり、よそのことにまで口出しをしちゃうので、
興奮した馬をなだめるみたいに、自分に対して
どうどう、どうどうって言うんですけど(笑)。
伊藤
(笑)

アートが救ってくれたもの。

未分類

川上
私は、美術の勉強をしているわけでも何でもなくて、
美術館に行っても「最速」って言われるんですよ。
どんなに並んで入っても最速で出てくるって。
伊藤
私もです!
川上
もうバーッと見て、解説も読まず、
気に入った絵を見つけたら
もう1回引き返して見て、
心の中で「これ、お持ち帰り! お買い上げ!」
って考えるのが好きだからなんです。
気に入った作品だけを見て、ものすごく満足する。
伊藤
わかります。
アートは、お宅にも飾られていますか?
川上
はい、みんなが集まる部屋にも、
それぞれの部屋にも掛けています。
子育てをしてきた過程でも、
この作者はすごく偉い人だとかいうんじゃなくて、
当たり前のようにそこにあるようにしていました。
そうすると子どもたちは、
独立してそれぞれの家庭を持ったときに、
やはり当たり前のように
絵は掛けるものだと考えてくれるはずだと。
自分たちが気持ちを豊かに暮らすために
それは必要なものだと思ってくれるはずだと。
模様替えをするにしても、
「ここにこの絵を掛けるために、
こういうふうにする」とか、
「こういう絵が掛けたいんだ」とか、
そういうことを、ハードルをうんと低くして。
伊藤
セブンデイズホテルプラスに
滞在して改めて思ったことは、
「嫌なものがない」ということでした。
もちろん絵があって気持ちいいし、
ベッドの寝心地がいい、そういうプラスのことも
あるわけですが、
「嫌なもの」が、ないんです。
川上
そうですか! 嬉しいな。
伊藤
リーズナブルな宿泊料金を設定するため、
ビジネスホテルはいろいろな面で節約をして、
調度品などを考えていると思うんです。
そのなかで、セブンデイズホテルのようなところって、
ほかにあまりないような気がします。
ビジネスホテルには、
出張で泊まることが多いんですが、
壁が不思議な色だなとか、
使いづらい机だなとか、段差が多いとか、
なぜこの絵を飾っているんだろうとか、
すごく気になるんですよね。
個人的に行くホテル、
たとえばリゾートホテルなら
「好きなものがある」ことが
選ぶポイントになるんでしょうけれど、
ビジネスホテルは、利便性や価格で選びますよね。
そんななか「嫌なものがない」と感じられるのって、
実はすごいことじゃないかなって思います。
出張や観光で泊まるのに、バジェットを抑えたくて
ここを選んだのに、こんなに快適だと、
みんな、思っているんじゃないかな。
川上
ありがとうございます。
伊藤
嫌なものがなくって、しかも松林さんの絵がある。
部屋は、ごてごてしてない空間の中に、
ぽつんと松林さんの版画があることが、
すごくポイントになっていますよね。
あの版画があることで、
「わたしの帰る部屋」になる。
すごいなあと思いました。
川上さんは、松林さんの作品の、
どういうところが好きですか?
川上
松林さんの作品には、具象っぽいものもあれば、
抽象的なものもあるんですけど、
私、線が好きなんです。
彼の描く線が。
伊藤
線! 昨日、スケッチブックを
見せていただいたんですけど、すごかったです。
川上
パッと線を1本描いただけで、
その線の力がわかるんです。
今、ロビーの、道路に面した側は、
ガラスにフィルムを貼ってるんですけど、
いちど、アクシデントがあって、
ガラスが大きく割れてしまったんですね。
幸い、けが人はいなかったんですけれど、
その日に泊まっているお客様もいるし、
その日にチェックインするお客様だっているわけです。
なのに、ホテルのロビーのガラスが
大きく壊れているのは、いけませんよね。
どうしたらいいかわからなくなって、
私は建設業者に連絡をするのとほぼ同時に
松林さんに電話をかけたんです。
「松林さん、すぐ来てください。助けてください」って。
伊藤
えっ? どういうことですか?
川上
建設会社の人に、
「今日中ですよ。今日中にパネルを貼ってください。
ブルーシートじゃダメなんです」とお願いし、
翌日に、松林さんに来てもらって、
そこにペイントをしてもらいました。
伊藤
すごい。
トラブルを解決したのは、アートだったんですね。
川上
そうなんです。通りがかる人も
「アートイベントですか?」って。
私も「そうです。素敵でしょう?」って(笑)。
それが、ものすごくよかったんですよ。
私も口を出してしまって、
「ここにもう1本、線があるといいんじゃない」
なんて、アーティストに向かって
何言ってるんだろうって思いながら(笑)。
伊藤
松林さんもすごく楽しかったんじゃないですか。
事故がきっかけですから、それを楽しいといったら
ちょっと失礼かもしれませんが‥‥。
川上
そのあと、あたらしいガラスを入れるために
パネルは撤去するんですが、
素晴らし過ぎて、壊したくないくらいでした。
本当に力を貸してくださった。
伊藤
具体的には、どんな絵だったんですか?
川上
これがその当時の写真です。
抽象画のような、具象画のような、
これぞ松林さん、という絵でしたよ。
伊藤
わぁ! 自由で、大胆で、
のびのびとしていますね。
川上
最初、どうしたかというとね、
白いパネルに線をサッと描いたんです。
その線、いっぽんが、もう素晴らしくて!
そして、こういう絵って、
なにをもって完成とするかは、
本人にしかわからないところがあるんですが、
普通はもっと描きたがるんじゃないかと思うところを、
えいやっと、きっぱり終わらせる、みたいなね。
伊藤
力があるんですね。
川上
ものすごく、よかったですよ。もう本当によかった。
そのあと、仮設のパネルをいったん壊して、
ガラスを入れるための工事をするために、
外側を、真っ白の丈夫で大きなテントで覆うのを見て、
松林さん、そのテントにも描こうって。
そうすると、前を通る人たちは、
事故があったことも気がつかないし、
工事のあいだ、絵がどんどん変化していくから、
「アートイベントだ!」と思ってくださった。
最後には、「これで完結ですか?」みたいな(笑)。
「そうなんですよ、素敵でしょ?」と、
そんなストーリーができあがったんです。
伊藤
すごいですね。
トラブルを解決するためのアイデアが、
アートだったって。
川上
ホテルにとって、事故というのは、
ものすごいマイナスな要因なんですが、
松林さんのおかげで、アートに救われました。
もう本当に、ピンチがチャンス! 
みたいな気分でしたよ。
メンタル的にテンション下がりそうで、
「どうしてくれるんだ」と、
事故を起こした人を責めそうなところを、
「しかたがない。起こったことはしかたない。
誰も怪我をせず、よかった。
じゃ、次に行きましょう!」
みたいな感じで(笑)。
伊藤
なるほど。その切り替え方をする川上さんに、
高知の女の人の気質を感じます。
川上
あら、そうですか?
だって、高知の女ですから(笑)!
それは例えばの出来事なんですけど、
アートって、それぐらい力を出せるわけです。
それがアートなんです。作品の力。
伊藤
今、考えてるのは、私が何か言葉を伝えて、
松林誠さんに描いてもらうのはどうかな? って。
交換日記のようなことをしながら、
つくっていけたらって。
川上
きっと、得意ですよ、松林さん。
彼に言葉を書いてもらうのもいいですよ。
大橋歩さんにも同じことを感じるんですが、
書かれる字が、すでに、アートなんです。
伊藤
そうなんですよね。
川上
松林さんも、一言書くその文字が、すごく素敵。
伊藤
スケッチブックに書いてある文字も全部素敵でした。
字なんだけど絵というか、
言葉の意味を持っているけれど、
絵の一部としての線のような。
あのスケッチブック、ずっと見ていたかった!
川上
客室に飾ってあるような小さい作品は、
場所を選ばないのもいいですよね。
大きな空間にポンとあってもかわいいし、
逆に、お手洗いのような
狭小な空間に飾るのもいいですよ。
セブンデイズホテルがオープンしたとき、
高知市内のアマチュアミュージシャンのみなさんと
記念にCDを作ったんです。
そのジャケットに、松林さんの版画を使ったんですけど、
その小ささが、すごく素敵でしたよ。

それがあるだけで。

未分類

伊藤
高知を訪ねると、会いたい人がおおぜいいて、
短い日程では、なかなかそれもかなわなくて‥‥。
今回は、映画監督の安藤モモ子さんに会いました。
モモ子さんとお話ししたことは、いずれ
「weeksdays」のコンテンツとして
紹介しようと思っています。
川上
わぁ、とても楽しみです。
伊藤
そしてもうひとりが、アーティストの松林誠さん。
川上
松林さん! 私も、ずっと、ファンなんですよ。
伊藤
そうですよね!
私も松林さんの作品が大好きで、
部屋にも飾っているんです。
まだ先のことになると思いますが、
「weeksdays」でご一緒できないかなと、
相談をしてきたところなんですよ。


川上
もう、ぜひ! とても楽しみ。
伊藤
そして、今日やっと、ゆっくりお話する時間が持てて、
すごく嬉しく思っています、川上さん。
川上
あら!(笑) ありがとうございます。
伊藤
川上さんが立ち上げたこのセブンデイズホテルには、
松林さんのアートが至るところに飾られていますね。
ロビーや踊り場はもちろん。全室に?


川上
そうなんです。
伊藤
松林さんのアートがあることで、
空間がより、とくべつなものになっている気がします。
ビジネスホテルなのに、なんだか、あたたかい。
また泊まりに来よう! と思えるんです。
それで、ぜひ、川上さんに、
お話をうかがいたいなって。
こんなふうに、アートのある空間って、
いいですよね。
川上
ありがとうございます。
私、ずいぶん前から、
松林さんを絶賛しているんです。
ホテルをつくるとき、最初は、
いわゆるポスターを飾ろうかなと考えたんですよ。
けれども印刷物って意外と価格が高い。
額に入れるとさらに値段が張るわけです。
もちろんポスターにはポスターのよさもあるんですけど、
やっぱり「本物の」版画がいいなあと思いました。
版画っていうのは、作家や、
作家の認めた摺師が手で完成させるわけで、
その力はもうまったくポスターと違います。
伊藤
そうですよね。
川上
周りを見ると、インテリアに興味のある若い人たちも、
「本物を飾る」ということについて、
あんがいピンと来ていないように思います。
今、そういう本、実例も、たくさん出てるのにね。
それに、意外と、日常では、本当にプロの、
その人ならではの作風をもった、
しかも普遍性を兼ね備えた人の作品を目にしていない。
流行りとか、今こんなのが人気よねとか、
そういうんじゃなくて、
もうずっと力がある作品というものに。
伊藤
だったら、セブンデイズホテルで
見せてあげたいと?
川上
そう。いっぽうでね、「オリジナル」と言いながら、
私には魅力だと感じられないものが、
けっこうな値段で売られていたりもします。
本当、松林さんのあの力、
ああいうものがどうしてもっと一般に
伝わらないんだろう? ということを思っていて。
伊藤
きっかけが、ないのかな。
川上
そう! なかなかきっかけがない。
そういうのを手に入れるきっかけは、
たとえば個展にこちらから行かないと。
でも、個展に行くという、その日常が、ないんです。
伊藤
大きい美術展だったら、
北斎とか、若冲とか、
フェルメールとか、ゴッホとか、
長い行列ができるのがニュースになったりしますね。
でもそれはもう「向こうの世界のもの」で、
自分の家に持ってこようなんて思わない。
川上
ほんとに、そうね。
伊藤
でも私、思うんですけど、
たとえばこの椅子はウェグナーだとか、
私たちもいろんな建築家や
家具デザイナーを知るようになって、
家の中がオシャレに、ずいぶん豊かになった。
バジェットを抑えても、
おしゃれな家具が手に入る時代にもなりましたし。
川上
ええ、そうですね。
伊藤
だから、「あともうちょっと」だと思うんです。
川上
そうなんです。そこです。
もう本当にそうだと思います。
伊藤
部屋の中が整いました、
やっぱり自分のお気に入りのものを
一つ一つ揃えるのが気持ちいい、
早く家に帰りたい、みたいな感覚を
持つようになったのだから、
もうひとつ、
「それがあるだけで空気を変えてくれる」
みたいな存在があったら、って。
それがアートじゃないかなって。
川上
気づいてる人はたくさんいると思うんですけど、
目に触れるチャンスがないんですよね。
投資だからアートを買う、
という人はいるでしょうけれど。
もちろん、それを否定するわけではないけれど、
そういう場所からは遠いところにあるような
松林さんのようなアーティストがいることに、
気付いてほしいなって思うんです。
伊藤
いわゆるアートの市場とは別のところで
活躍なさっている。
川上
松林さんの作品は、私、20年以上前に感激して、
その感動はいまも続いていますし、
当時の作品が、いまも、色あせない。
力がある。
すごいことだと思うんですよ。
そして、「買える値段」であることも。
伊藤
本物がそばにあるって
すごいことですよね。
川上
小さい子どもたちにとってもね。
生まれたときから触れてるものが、
そういう作品であることの素晴らしさ。
──
今おふたりの話を聞いていて、
長い闘病の末、亡くなった友人のことを思い出しました。
彼はアートが好きで、近現代の写真や版画、
ドローイングなんかを買い集めていました。
もともと好きだったんですが、
病気がわかってから、さらに、まめに買っていた。
自宅で療養する時間が長くなって、
寝ることが多くなっても、奥さんに、
「こういうのがあるんだよ。買っていいかな」って。
そして、亡くなってからわかったのは、
コレクションといえるぐらい、
けっこうな数の作品があって、
すばらしいものばかりだったんです。
みなぎるような力があって。
もしかしたら彼が闘病生活で必要としてたものって、
そのアートの力だったのかもしれないと、
今、理解できました。
たぶん、ポスターじゃ、ダメだったんですね。
川上
きっと、本物じゃないと、いけなかったんですね。

心の余白がうみだすもの。

未分類

伊藤
服づくりはもちろん、
コレクションブックをつくるとか、
そういうアートディレクションも、全部サヤカさんが?
サヤカ
そうです。
実は、昨シーズンまで、判断が遅かったっていうか、
迷いもあったりとかして、忙しい思いをしていたんです。
でも今シーズンは暇になって、びっくりして(笑)。
伊藤
えっ、どういうこと?
サヤカ
こんなことは今までなかったので、
なんでだろう? と思ったら、
信頼できる、頼る人ができたんですね。
セールス、PR、パタンナー、縫製してくれる人、
そこがうまく回ったって初めて思えたのが今シーズン。
それから、自分の中で、ジャッジの基準とか速さとか、
それが整理できたように思います。
そうしたら、少し暇ができた。
‥‥っていうとあれなんですけど、
時間に余裕ができたんですよ。
伊藤
それはとっても大事なことですよ。
サヤカ
そうですね。それまで必死で来たんですけど、
「あぁ、よかった」と思って。
伊藤
自転車の立ちこぎをしていたのが、
やっと、自分のペースで。
サヤカ
情景を見ながら
走れるようになったみたいな感じです。
伊藤
でも、そうしたらそうしたで、
つくるものに、
だんだんと変化が出てくるんじゃないですか。
サヤカ
そうなんです。今まで立ちこぎだったので、
糸が張り詰めた感じでつくっていたんですよね。
それはそれで、生まれるものもあるんですけど、
今、ちょっとゆるめたものがつくりたいなぁって
思うようになって。
年齢的なこともあるのかな。今、35なんですけど。
伊藤
えぇっ? まだそんなに若いの?!
サヤカ
若いのかは、わからないですよ(笑)。
伊藤
私のほうがうんと年上なのに、
すごく成熟していて、
言葉も、たたずまいも、
堂々としてるから、驚いちゃった。
サヤカ
ありがとうございます。
20代で、なんとなく光が見えたくらいの時に
ブランドを立ち上げたので、
きっと、まだ、まとまっていなかったんでしょうね。
でも、今回のコラボレーションの中で
すごく考えることがあって、
本当にありがたかったんです。
今までは「人と違うものをつくろう」
「人と違う個性を出したい」っていう
アプローチだったんですけれど、
それが、ちょっとシフトしていった。
ちょうど、張り詰めていた糸がゆるんで、
余裕ができてきた時でしたから、
より自分の好きなものの
輪郭が見えてきたっていうか、
自分が本質的に好きなものをつくりたいと
思っていた時だったんです。
伊藤
そんなタイミングで、
私たちがお声掛けをしたんですね。
サヤカ
そのことを、直感的に感じていたけれど、
まだ言葉にはできていなかった時だったので、
まさこさんと話していく中で、
自分が感じていたことが、
具体的なテーマとして出てきたというか。
コラボレーションなので、
一方的にどちらかがいうものではなくて。
自分だけで決めることもしたくなかった。
お互いに好きなもので共通点を見つけて、
自分1人ではできないことがやりたいなぁと思ったし、
全然違うアプローチでやりたいと思ったし。
それで、素材を見ていただきながら、
「これ、私は好きだけど、
まさこさんは好きなのかな」
とか、そういうところを
探らせてもらったという感じなんです。
話をしていく中で、
「シンプルなものをつくりたいんですよね」って、
私、言ったと思うんですね。
すると、すぐにまさこさんも、
「私もシンプルなものが好き!」って。
「ほぼ日」の皆さんも「いいですね!」って
言ってくれて。
伊藤
まず、シャツについて、そう話しましたね。
シンプルなもの。
サヤカ
自分のコレクションをつくる時って、
コレクションのまとまりというか、
60の作品で1つの大きな絵を描く、
みたいな感覚でつくっているので、
雰囲気に合わないものは入れなかったりするんですね。
だから、好きなものでも、シンプルなものって、
出さないことがある。
でも、こういったプロジェクトで、
小さい単位でつくるときは、
考え方を変えたいなっていうのもあって。
だからコレクションでは
今までできていなかった、
もっと普通にシンプルな服が欲しいなって思って。
伊藤
そうそう、その時に、
日本のバイヤーさんには、
他と違うもの、
そのお店ならではの特別なものを
求められているっていう話をしましたね。
でも「weeksdays」は、
「やりたいことをやってください」みたいな感じで、
サヤカ
そんなふうにすごく気持ちのいい球を投げてくださって。
結局、自分が好きなものしかつくれないわけですし。
それで気持ちがスッとして、
「じゃあ、行ってきます!」みたいな(笑)。
伊藤
(笑)その次に日本で会った時、
サヤカさんが絵を描いてきてくださった。
サヤカ
そうですね。
シャツは、4つのパターンを
提案させてもらったんですけど、
まさこさんは、すぐに、
一番シンプルなものを、
「これ!」って、選んでくださって(笑)。
伊藤
私は、いつもそうなんだけれど、
もうあっという間に打合せが終わる。
「これがいい!」って。
サヤカ
気持ちよかったです。
本当に好きなものを、
っておっしゃっているだけあって、
判断のブレないところが、
自分もすごく勉強になったんですよ。
スケジュールにしても、「weeksdays」は
全然違うつくり方をしていますよね。
本当に好きなものをつくるために、
「できた時が売るときです」って。
伊藤
そう。みんながいいと思ったものが、
形になった時が売る時、って思ってます。
でも、それを言うと、
アパレルの人はすごくびっくりして。
サヤカ
びっくりしますよ(笑)。
こうじゃなきゃいけない、
ということがない。
ものづくりにおける、優先順位がちがうんですよね。
それよりも、かけなきゃいけない時間をかけて、
できた時がデリバリー(販売)。
それも気持ちよかったです。
伊藤
今年どうしてもこれを着たい、じゃなくて、
来年も着るし、長く好きでいたい。
そういう服をつくりたいからですよ。
サヤカさんの服って、
仁平さんが着ているのを見ると、
「これ、初期のものですよ」という服を今着ても、
全然古くなっていない。
流行とは関係がないし、
テイストを残しながらも、同じではなく、
ちょっとずつ変わっていくわけですよね。
サヤカ
はい。ずっと同じでいたいわけではなく、
変わっていきたいとは思っていて、
少しずつアップデートしている、という
気持ちでいるんです。
普遍性‥‥っていうと、
ちょっと自分の中では言葉が違って、
自分が変わった時にアジャストできるような、
器の広さをもつというか、
余白を残してつくりたい、
みたいなところがあって。
シンプルなものをつくる時でも。
伊藤
ああ、サヤカさん、
ポートレートも素敵だと思ったけれど、
言葉もいい。もう全部いい。
すごい。
サヤカ
本当ですか(笑)。嬉しいな。
でも、言葉はむずかしくて、
そもそも、言葉で表現するより、
潜在意識で感じていることを
形で表現するっていう立場なので、
言葉で表現することには
すごくチャレンジを感じています。
自分の表現と心っていうのは
つながっていると思っているんですけど、
表現から言葉への置き換えっていうのが、
すごくチャレンジに感じていて。
でも言葉も表現のひとつだし、
自分に合った言葉を
ちょっとずつでも選べるようになっていくと
いいなとは思っています。
まだ勉強中ですね。むずかしい、言葉は。
一緒にコラボレーションをさせてもらって、
つくるものがクリアになったら、
少し言葉もクリアになったなって思うんですけど。
伊藤
全然大丈夫ですよ。
たまに言葉が過ぎる人もいてね、
そこは難しいですよね。
サヤカ
そうなんですよ。自分のコレクションについて、
プレスリリースに言葉を書くわけですが、
「過ぎる」ことがあるんです。
それが嫌になって。
飾りすぎているのは、本当に気持ちが悪くって。
伊藤
急にドラマチックにもしたくないしね。
私は、サヤカさんは、
いまのままでもじゅうぶんだと思うけれど、
スタッフに恵まれているとおっしゃったから、
サヤカさんが言ったことをそのまま、
それ以上でもそれ以下でもなく
まとめてくれる人に出会えると思いますよ。
サヤカ
そうですね。
いっぽうで「自分で書きたい」という気持ちもあって。
写真家の友達と、言葉は難しいという話をしていたら、
「アーティストって、みんな言葉を持ってるよ」って。
たしかにそうだなと思ったんです。
それがまだ自分は
見つかっていないだけなのかもしれません。
伊藤
今回、ずいぶんたくさん会話を重ねて、
シャツと、シャツドレスができあがりましたね。
よかった。
サヤカ
会話の中から生まれてきましたね。
私は、シンプルなシャツが欲しいと思っていたけれど、
自分のコレクションの中ではつくれなかったんです。
たまたま、まさこさんと会う少し前に、
すごく信頼してる男性のパタンナーさんが、
「シャツを作りませんか」って言ってくれていたんです。
「すっごくいいシャツ作る工場があるんですよ」と。
で、そのシャツを見せていただいたんです。
それで「すごくきれいだから、ここで作りたい」
っていう話をしていました。
それで、タイミングと条件が合って、
今回シャツとシャツドレスをつくらせてもらいました。
女性もので、ディテールに力を入れたシャツが
あんまりないなって思っていて。
とくにシンプルなシャツは。
伊藤
うんうんうん。
サヤカ
女性のファッションって、
いわゆる「ファッション性」を求めるような流れが
たぶん全体的にあるんですよね。
ディテールよりも、ざっくりした、
大枠の見た目みたいなところが、
たぶん世の中のチェックポイントなのかなって。
それだけに、本当におもしろいですよ、
ディテールのデザインって。
ステッチの幅がこのくらいがいいとか。
伊藤
襟はこうだとか、
その芯はこっちがいいとか、話しましたね。
サンプルも何度もつくってくださって。
サヤカ
やっぱり一回作ってみてわかるところもあるので。
今回の素材は、コットンの産地である
浜松で、いちからつくったんです。
今、短サイクルでつくるものが増えているので、
その短サイクルに対応するために、
生地屋さんがストックを積んで、
それをアパレルが買うことが多いんですね。
そうすることで、生地の生産期間が短縮できるし、
追加対応もできる。
けれども世の中に出回るものは
似たり寄ったりになるわけですよね。
今回、本当に好きなものっていうことで
時間を頂いたので、いちからつくることができました。
ポプリンっていう、
高密度に織られている素材なんですけど、
そのままだと女性にはすこし硬い。
そこを、タンブラー加工といって、
生地をやわらかくする加工をかけているので、
着た時から、少し柔らかさがあるような、
女性らしさがあるような素材ができました。
そして縫製は、シャツ専門の工場です。
本当にシャツだけつくっているので、
ひと針ひと針がしっかりしている。
すごく詳しいことを言うと、
針目が3センチ間に10から15針とかで
縫われているものが一般には多いんですけど、
20から21針、入っているんですね。
かなり細かいんです。
この細かい針をきれいに縫うっていうことは、
やっぱり熟練してる人じゃないとできなくて。
伊藤
つれる(糸目で生地にしわがよる)問題も
出てきちゃうんですよね。
サヤカ
そうなんです。細かいと、つれやすいし、
単純に時間がかかる。
でも、この人だったら、
すごくいいものを作ってくれるって感じたので、
ぜひにとお願いしています。
襟の芯も、フラシ芯といって、
接着しないで加工をしています。
接着芯だと、生地にピタッと付くけれど、
洗濯すると、生地の収縮率ゆえに、
水泡みたいに、ポコポコしちゃうんですよね。
でも、フラシ芯っていうのは、
長い間で見た時に、表情の変化が少なく、
きれいに保てるんですよ。
ただ、縫うのがむずかしくて、時間がかかる。
だから女性ものでは、ないことはないんですけど、
一般的には接着芯を使うことが多い。
今回は、半フラシ芯っていうのを使っていて、
一回洗濯したら、剥がれるので、
しわや、ぽこぽこした感じにならないんです。
伊藤
なんてこまやかな気遣い。
サヤカ
そうですね。うんと細かいことですね。
伊藤
女性もののシャツでは、
あまり聞かない言葉ですものね。
メンズって、形にはそんなに
バリエーションがないけれど、
そういうところに、すごく気遣いがある。
サヤカ
そうですよね。
メンズの洋服って、それがおもしろいな。
でも、女性もののおもしろさも捨てがたくて。
伊藤
秋には、さらにふたつ、
「weeksdays」のためのアイテムを
用意してくださっているんですよね。
それも楽しみです。
今日は、ほんとうにありがとうございました。
サヤカ
こちらこそ。またニューヨークに、
遊びにいらしてくださいね。

ベッドに並べての展示会。

未分類

伊藤
思い切ってつくってみた、ファーストコレクション。
人に見せるのに勇気が要ったということですが、
じっさいに見てもらって、どうでしたか?
サヤカ
ちょうど年始パーティーの季節で、
わが家でもお客様を招くことが多かったなか、
ニューヨーク在住の編集者でライターの
仁平綾さんが来てくれたんですよ。
まず彼女に、
「こんなものをつくったんだけども、どうしようかな」
と、フワッとした感じでお見せしたら、
「(これを世の中に)出しなよ!」
みたいに、強く言ってくれて。
伊藤
へぇ、そうなんだ!
サヤカ
「出しなよ。私、全部買うよ!」って。
伊藤
なんて力のある言葉でしょう。
サヤカ
それで「やってみようかな」と思えたんです。
自分の中では、つくったのはいいけれど、
どのタイミングで出すのかっていう踏ん切りは、
まだ100パーセント、ついていなかったので。
伊藤
夫が「やりなよ」と言ってくれた。
でも夫が着るわけじゃないし、そんなときに、
仁平さんが「全部買うよ、着たい」
って言ってくれた。それは大きいですよね。
サヤカ
そうですね、実際のものを見て、
言ってくださったわけですから。
伊藤
仁平さんもほんとうにピンと来たんでしょう、
あの人、絶対、嘘は言わない人だから。
今だって、ほとんどのワードローブが、
サヤカ デイヴィスなんですもの。
仁平さんとは長いおつきあいだったんですか?
サヤカ
いえ、その日、初めて会いました。
共通の友人がいたので、お招きしたんです。
たくさんの友人を招いてのパーティーで、
ニューヨークにいると、そういうことが多くて。
信頼してる友達の友達は信頼できるっていうか、
最初から打ち解けられるようなところがありました。
それでベッドに服を並べて、お見せしたんです。
伊藤
すごい、ベッドの上で展示会!
その時、周りの人の反応は?
サヤカ
周りの人も、反応はしてくれたけど、
仁平さんほどではなかったです。
伊藤
「全部買う」に勝る言葉はないですよ。
サヤカ
それでファーストコレクションを、
小さいギャラリーを借りて開きました。
洋服は6点だけなので、壁に並べて、
アートみたいな感じで展示をして。
お客さんもそんなに呼べなかったんですが、
5店舗くらい「いいね」って言ってくれた所があって。
でも、その5店舗の内3店舗は
私が直接、営業に行ったんですけれど。
伊藤
持ち込みで?
サヤカ
はい。トランクに、つくった服を詰めて、
自分も着て、ニューヨークを行脚しました。
今はもうないお店ですが、
ジョイナリーっていうお店に
ガラガラとトランクを持って行った時は、
お店の人に話しかけられなくて、
グルグルと店内を回って、様子を伺って。
伊藤
えっ、アポなし、ということ?
サヤカ
そうなんです。アポなしで突撃。
というのも、好きなお店だったから、
知ってはいるけれど、
バイヤーさんの連絡先を知らなかったんです。
そうしたら、そのうち店員さんが気がついて、
「その洋服どこの?」って。
「私がつくったんですよ。実は、これ、
私のファーストコレクションなんです。
今日、持ってきてみました」って。
伊藤
すごーい!
サヤカ
そうしたら、「そうなんだ。すごく興味がある」
って言ってくれました。
「でも、ちょっと今、見られる時間がないから、
また日を改めて来てもらえる?」
って言ってもらって。
そこは個人でやっているような
ブティックだったんですけど、
感動したのは、仁平さんみたいな感じで、
ブランド名なんて誰も知らないのに、
いいと思ったものはいいと、
自分の立場で評価してくれたことです。
伊藤
飛び込んできた、無名の、東洋人の女の子に。
ほかのお店はどうでしたか。
サヤカ
何シーズンも手紙を書いて、
足で運んで持って行って、
e-mailもして、っていうことを続け、
やっと買い付けをしてもらえたお店もあります。
「ファーストシーズンだけじゃわからないから、
何シーズンか見てみたい」って、
様子を見ていてくれたんですね。
それでも「君の手紙はずっと読んでたよ」
って言ってくれたりしたんですよ。
伊藤
へぇ! 機が熟して、
声がかかったブティックもあるんですね。
サヤカ
そうですね。すごくうれしかったです。
e-mailはたくさん来るだろうし、
ちょっと目立たないだろうな、
ちゃんと伝わることがしたいなと思って書いた手紙を、
見てくれてたんだなって。
自分の好きなお店の、素敵だなと思う
バイヤーさんは、対応が素晴らしかった。
電話ひとつ、すごく丁寧で、
優しいなぁと思いました。
そういうふうにして、ちょっとずつ
広がっていったんです。
伊藤
日本では、どうやって?
ニューヨークでじわじわ広がったのを、
日本のバイヤーさんが見たんですか。
サヤカ
最初の3年くらいは、ニューヨークで
個人的に展示会を開いていたんですけど、
手が回らなくなって、
パートナーが欲しいなぁと思っていた頃、
当時NYのマルチレーベルショールーム(代理店)で
セールスとして働いていた、日本人の友人が、
ブランドを気に入ってくれて、
「日本でも売らせてほしい」と。
「この人だったら、一緒に広げてくれるな」と思って、
扱ってもらうことになったんです。
複数のブランドを同時に扱って、
一斉に展示会を開く、
そういうタイプの広いショールームです。
そこでやるようになって、
自分でリーチできなかったお客さん、
そのショールーム自身が持ってるお客さんにも
見ていただけるチャンスが増えました。
それが2015SS(春夏)のことでした。
伊藤
最初のコレクションには
ジュエリーがあったということですが、
いまもつくっているんですか?
サヤカ
実は、ジュエリーは、
今、お休みしてるんですけど、
趣味で続けています。
閃きで、やろうかなと思って始めたことが、
自分の表現方法に合っていた。
ジュエリーをつくることで
バランスを取っていたようなところもあります。
またやりたいな、とは思っています。
伊藤
要所要所で「閃く」んですね、サヤカさん。
サヤカ
そうですね。ピンと来る(笑)。
伊藤
岐路に立った時、「こっち!」って判断する時、
そういうカンに従っている?
サヤカ
そうですね、動物的カンで(笑)。
表現者としては、そこの直観を
強くしてたほうがいいと思っていて、
意識的にそういうふうに
決定しているところもあるんです。
伊藤
いろいろ調べて、
「こういう形をつくったら売れるだろう」とか、
そういうことは全然考えない?
サヤカ
そういうことは、本当にもう、
まったく、考えません。
そんなことをしたら、気持ちが悪くなりますね。
そういうつくり方は自分には合わないです。
意味を感じないです。
伊藤
本当に好きなものをつくる。
サヤカ
そうですね、本当に。
たくさんの人が関わって、
お客様も増えてきたりすると、
それぞれの視点や目標があるから、
いろんな意見を頂くんですよね。
結局自分が決めることなので、
それに左右されなくてもいいんですけど、
声が大きくなってくることで、
集中できない時期があったんです。
だから、意識的に、
ちゃんと集中していきたいなぁと思っていて。
伊藤
私が「weeksdays」で
サヤカさんといっしょに服をつくりたい、
と言いだしてから、
時間をかけてたくさん話して、
考えていきましたよね。
日本で「やりましょう」となって、
ニューヨークでサヤカさんから、
「どんなものが好きですか」と、
たくさんインタビューを受けて。
サヤカ
そうでしたね。
伊藤
その時、私からは、
サヤカさんに私がつくりたいものを
つくってもらうんじゃなくて、
サヤカさんがつくりたいものを
提案してほしいと言いました。
私は紹介をする立場ですが、
自分が着たいと思わないと、
みんなに「着て」って言えない。
だからサヤカさんのつくるものなら大丈夫、
と、そこは安心していたんです。
サヤカ
ニューヨークでは生地を見ていただきましたね。
伊藤
そうそう。
「これ好き!」とか
「やっぱり?」みたいな。
意見を無理に通すのではなく、
「でしょう?」みたいな感じでしたね。
あの時、ブルックリンで
早めのお昼の時間に待ち合わせをして、
パンケーキを食べて、ちょっと歩いて、
古道具屋を見て、食材店で買い物をして、
サヤカさんのスタジオに行って‥‥。
あれは、すごく意味のある時間でした。
サヤカ
うれしいです。
伊藤
この場所で、この服はできてるんだ、って、
肌で感じました。
サヤカさんのアトリエは、
ブルックリンの運河沿いにありましたね。
サヤカ
あのあたりはGOWANUS(ゴワナス)というんです。
お食事した所がキャロルガーデンという、
もともと、イタリアンコミュニティで、
かなり発展しているおしゃれな所なんですが、
ゴワナスは、まだ発展しきれていない、
けれどもアーティストの
コミュニティみたいな場所になっています。
毎年10月に、ARTS GOWANUSという
非営利団体が主宰する
Gowanus Open Studiosっていう企画があって、
ふだん事務所にしているようなアトリエも
その期間中はオープンスタジオにして、
みんなが作品を買ったり、見たりできるっていう
イベントもあるくらい、
アートのコミュニティができているんです。
私も、そういう空気を感じて、
ゴワナスにアトリエを構えました。
伊藤
その時もピンと来た?
サヤカ
その時もピンと来ましたね!
伊藤
古い建物のなかを区分けして、
アトリエが並んでいましたね。
サヤカ
ビル内にも友達が多くって、
ドキュメンタリーの映画監督とか、
グラフィックデザイナー、家具のデザイナー、
ジュエリーデザイナー‥‥。
伊藤
そこだけで、いろいろなことができちゃう。
サヤカ
実際にそういうコラボレーションを
したことがあるんですけど、
すごくおもしろいですよ。
伊藤
サヤカさんのアトリエも、
ルームシェアをしていましたね。
サヤカ
伊藤さんにいらしていただいたときから、
仲間が増えて、
今は、私と、ニットデザイナーのコンサルタント、
インテリアデザイナーの3人で使っています。
伊藤
サヤカさんの仕事は、1から全部、ひとりで?
サヤカ
そうですね。ただ、パターンを引くことや、
サンプル製作などは、外部の人にお願いしています。

ニューヨークだからできたこと。

未分類

伊藤
私がはじめてサヤカさんの服に出会ったのは、
2013年の秋のニューヨークでした。
友達で、編集・ライターの仁平綾さんに、
展示会に連れて行ってもらったんです。
サヤカ
2014SS(春夏)のコレクションを
ごらんいただいたんですよね。
伊藤
彼女の着ていたワンピースがとても素敵で、
「それ、どこの?」って訊いたら、
サヤカ デイヴィスというブランドで、
日本人女性がやっているんだよって。
仁平さんは、服の好みがシンプルで、
ワードローブが多いほうではないと思うんですが、
家のクローゼットのほとんどが
サヤカさんの服だったんですよ。
それで、「ちょうど展示会をやってるよ、行こうよ」
と誘ってもらったんです。
彼女はサヤカさんの服が
ほんとうによく似合っていて、
いっしょに街を歩くと、
「その服いいわね!」って言われたり、
スーパーマーケットのレジの人から、
「まあ、あなたがここでいちばんオシャレよ!」
なんて褒められたりしていて。
サヤカ
わぁ、嬉しいです。
伊藤
ニューヨークの人って、知らない人でも、
「これ、どこで買ったの?」とか、
「いいね」とか、普通に言ってくださる。
サヤカ
素直ですよね。
人のことを認めるのも、すごく。
伊藤
でもね、私も、日本なのに、
聞かれたんですよ、駅のホームで!
サヤカ
へぇ! 日本でもそんなことが。
伊藤
サヤカさんは、ニューヨークを拠点にし、
現地で展示会を開き、日本でも開き、
というスタイルでお仕事をなさっていますが、
さかのぼると、いつからなんですか。
サヤカさんの歴史、少し教えていただけたら。
サヤカ
ブランドを立ち上げたのは、
2013年の秋冬シーズンなんです。
12年に仕込みをして、
13年の2月にリリースしました。
経歴を言うと、
文化服装学院でファッションの勉強をし、
ニットデザイナーとして
日本の企業で働いていたんです。
けれどもずっと海外に行きたいと思っていて。
英語を勉強したいと考えていたんです。
伊藤
それで、ニューヨークへ?
サヤカ
はい。ニューヨークって、
行ったこともなかったんですけど、
「ニューヨーク、行こうか!」って(笑)。
伊藤
ピンと来たんですね。
サヤカ
はい。直観で動いたほうがいい、って
いつも思っているので、
語学留学をしようと決めました。
日本で5年勤め、ひと段落だったのもあって、
思い切って渡米しました。
最初は、語学留学を1年終えたら帰ろうと
考えていたんですけれど、
その1年の間に、ニューヨークで
ファッションに携わることが
できたらいいなって思い始めたんです。
それで、ユナイテッドバンブー
(United Bamboo)という憧れていたブランドで
インターンをさせてもらいました。
するとビザもサポートしてもらえることになって、
すごく働き方が自分に合っていたんでしょうね、
4年働きました。
渡米したのが2009年でしたから、
2012年までですね。
伊藤
働き方が合っているっていうのは、
具体的にはどういうことだったんですか。
サヤカ
ニューヨークに行って、自分の表現が
自由になったなぁと思ったんです。
外のことをシャットダウンして、
集中のできる環境だなって。
もちろん、ニューヨークにもいろんなブランドがあり、
マスに向けたブランドもあるし、
もうちょっと絞った世界観のブランドもあるので、
どこに関わるかにもよるんですけれど。
伊藤
さっき、「何かを考える時、もしかして、
英語になってるの? それとも日本語?」
みたいな質問をしたら、
「バシッと言いたい時は、英語のほうが」って。
サヤカ
そうですね、表現がしやすいです。
たぶん、そっちのほうが合ってるんでしょうね。
多様性を尊重するニューヨークは、
アメリカのなかでも特別なんだと思うんですけれど。
伊藤
ニューヨークって、ひとつの国みたいですよね、まるで。
サヤカ
そう、国だと思ってるんです(笑)。
ニューヨークっていう国は、いろんな人種がいるし、
多様性をアクセプトするところがある。
人と比べないし、自分はこれでいいし、
みたいなところもあって、
人のことを本当に気にしないし、
自分もこれです、みたいなストレートさがあって、
お互いを認める。
それがすごく好きなんです。
伊藤
肌の色も全然違いますものね。
サヤカ
そうなんです。肌の色も違うし、体型も違うし、
比べる対象がない、みたいな。
それが結構心地いいんです。
どうでもいい格好をして外に出ても、
誰も、何も気にしない(笑)。
伊藤
矢野顕子さんと話したんですが、
地下鉄に乗ると、
タンクトップにビーチサンダルの人もいれば、
革ジャンを着てる人もいて。
日本だと「こんなに寒いのに?」とか
「こんなに暑いのに」みたいになるのに、
自由というか、認めあっているんだなって。
もちろん、日本で大切にしていること、
たとえば四季に合わせて、この着物はこう着るとか、
帯留などの小物はちょっと季節を先取りして、
みたいなところも、素敵なんですけれど。
サヤカ
もちろん、その価値観も、すごく素敵ですよね。
伊藤
そうなんです。その一方で、
「冬なのにビーサンの人がいる!」、
そんなニューヨークって、
旅行者の私も楽だなって感じました。
なんだか、急に気分が自由になるんだもの(笑)。
サヤカ
そうなんですね(笑)。
伊藤
あと、みんなご機嫌っていうか、お店の人も、
「こんにちは」「いらっしゃいませ」じゃなくて、
「ハーイ、元気?」みたいな、
そういう日常感もいいですよね。
仁平さんに「なんでこんなみんな機嫌がいいの?」
って訊いたら、
「それが大人の証だと思っていると思う」って。
サヤカ
あぁ!
伊藤
気分のいい自分でいることが、大人の証であると。
サヤカ
なるほど、そういう考え方もありますよね。
そういうふうに考えたことがなかったな。
伊藤
マニュアル通りの対応だと、
小っちゃい子に対しても、
おじいちゃんに対しても、
同じ受け答えをすることになりますよね。
でも、その時、その人の気持ちで、
「こんにちは!」とか、
「ありがとう」って、言い方も変化すると思うんです。
ニューヨークではそういう挨拶が聞こえる。
それが、すごくいいなぁって思うんです。
サヤカ
たしかに、ストレートですね。
でも、機嫌の悪い日もあるんですよ、店員さん。
伊藤
そうそう。並んでいて、うんとしかめっ面で
「ネクスト!」って言われるとね、
本当に、怖い(笑)。
サヤカ
でも、それもちょっと人間らしいところかな。
コーティングされたコミュニケーションの、
表面のコーティングだけしか見えないより、
もしかしたら、気持ちがいいかなぁ。
伊藤
そうそう。それでいいんじゃないかな。
そんな環境で、
サヤカさんのデザインは、自由になった?
サヤカ
はい。日本で働いていた会社が
マス向けのブランドだったということもありますが、
ニューヨークでコレクションブランドに入ったら、
デザインというものは、自己表現か、
アートのような感じだったんです。
私は、それに興味がある! と思って。
伊藤
そうしてニューヨークで、
ブランドをひとりで立ち上げた。
‥‥って、どうすればいいのか、
全然わからないですけれど、
最初は何をなさったんですか。
だって、「何者でもない私」ですよね、
ニューヨークでは。
サヤカ
はい。きっかけは、会社の内情が変わって、
「洋服をやめましょう」となったんです。
「バッグや小物をやりましょう」って。
そういう状況に陥るまで、
洋服のデザインをすることが、
自分にとっていかに不可欠か、
気づかなかった。
バッグだからいいとは、
その時思えなかったんですよね。
で、「あ、なんかヤバい。違うな」と思って、
他のことがあまり考えられなくなって。
伊藤
洋服をつくる環境への転職は考えませんでしたか。
サヤカ
転職も、一応、考えたことは考えました。
けれども、そこも、ピン! と来て(笑)、
「ブランドを立ち上げるなら今かな」と。
もちろん、周りからの支援もあったんです。
たとえば夫は何年も前から
「自分で始めなよ」って言ってくれていた。
でも「うーん、ちょっと違う、まだまだ」
って私は言っていた。それがその時は、
「今、やろう!」と思って、
ファーストコレクションをつくったんです。
伊藤
それはどのくらいの規模で?
サヤカ
本当に小さいコレクションで、
洋服7着と、ジュエリー9点でした。
しかも、つくったものの、
「どうしよう? 人に見せていいのかな?」
と思っていたんですね、
「もうちょっとつくり直したいところもあるし」って。
時期的には、ニューヨークの
秋冬のコレクションは2月なんですけど、
出来上がったのがその直前の1月でした。


●サヤカさん着用アイテム
 ワンピース、アクセサリー:すべてSAYAKA DAVIS

[お問い合わせ先]
 Showroom SESSION TEL:03-5464-9968

●伊藤さん着用アイテム
 ワンピース(インディゴ):weeksdaysにて9月発売予定

SAYAKA DAVISのシャツとシャツドレス

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あの大きな街で。

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SAYAKA DAVISのさやかさんと、
はじめてお会いしたのは、
今から6年ほど前のこと。
ニューヨーク旅行のさなか、
春夏の展示会におじゃましたのがきっかけでした。

その時、私の心に残ったのが、
さやかさんご本人。

華奢なのに芯が太い。
自分を見失うと飲み込まれそうになる、
あの大きな街で、
行きたい方向にまっすぐ目を向け、
すっくと立っている、
そんな印象を受けたのです。

weeksdaysをはじめた時、
いつかさやかさんと一緒に、
ものづくりができたら、
そう思っていました。
それから、
東京やニューヨークのアトリエで、
幾度となく打ち合わせをし、
私たちの頭に浮かんだのは、
大人が着る「ふつう」の服。

やがてできあがったのは、
シャツとシャツワンピースがそれぞれ2枚ずつ。
さやかさんですから、
「ふつう」でありながら、
ふつうではない、
工夫が散りばめられた服ができました。

8/4からのインタビューも、
どうぞお楽しみに。

あたらしい老後の形。

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大久保
最近、ほんとにちょっとまじめに思ってることがあって、
新しい家族の形、見つけたんですよ(笑)。
伊藤
新しい家族の形?
大久保
おぎやはぎの小木さんと仲がよくて、
たまにおうちに呼んでくれて、
ホームパーティーをするんです。
私、奥さんとも、すごく仲がいいんですよ。
小木さんは私と同級生なんですけど、
娘がひとりいて、たぶん独立しますよね。
そして私はたぶん、このまま結婚をしない。
だから、私、あそこの家に
小木夫妻と一緒に住んであげようかなって。
伊藤
え?!
大久保
これ、新しい形だと思うんです。
夫婦も倦怠期じゃないけど、
2人でいるのがしんどくもなる時期も
きっとあるじゃないですか。
伊藤
だから「住んであげようかな」。
大久保
そう。べつに養女にしてくれとかではなく、
そういう新しい形が今後
できていくんじゃないかって思ってて。
今、目星としては小木家か、
バナナマンの設楽家もいいなと(笑)。
私、わきまえる子なんで、
一部屋貸してもらえれば、
今日は一緒にご飯食べた方がいいなとか、
今日はやめとこうかなとか、
判断するし、迷惑はかけない。
こんな形が出てくるような気がするんです。
伊藤
なんかいい気がしてきました。
大久保
向こうにとってもメリットがあるんです。
二人夫婦より私が入ることで会話が弾むとかね。
伊藤
老後の夫婦関係も改善すると。
それ、小木さんにお伝えして‥‥。
大久保
まだ言ってないです(笑)。
怖がられると思って。
でも、お金はもちろん自分の分は自分で
持っていきますんで、
迷惑はそんなにかけないと思うんですよね。
伊藤
そうですよねえ‥‥そうですね。
大久保
Win-Winの関係になれるかな!
──
テレビで女芸人のみなさんが、
将来私たち独身のままで年をとったら
一緒のマンションに住もうねって。
大久保
はいはい、言いますね。
──
それとは違うんですか?
大久保
やっぱり女同士っていうか、友達って、
仲悪くなることもあるだろうし、
ガッと入り込んじゃったら、嫌だなと思うときが
絶対来るような気がするんですよ。
緊張感あるでしょ、小木夫妻と私なら(笑)。
ここは入っちゃダメだ、ここまで入っていい、
みたいな日々。
いいとこどりな関係にしたいんですよね。
もちろん得体も知れてるし。
この人が家のものを盗むとか思わない。
信頼はあるんで。
向こうも、かわいそうなね老女をね、
面倒みてるっていう優越感も持てるかもしれない。
たまに夫婦でね、「大久保さんかわいそうだから、
おいてやれよ」みたいな、ちょっとこそこそっと(笑)。
伊藤
小木さん、どう思われるんでしょうね。
大久保
そのへんは信頼してるんですよね、彼の感覚をね。
べつに常識にとらわれないタイプなんで、
信用をしてるんです、私は。
伊藤
すごいな。そんなこと考えてもみたことなかったです。
でも、いいかもしれない。
これから友達夫婦を見る目が変わりそうです。
大久保
そうですよ、どこにお世話になるかわかんないって
目で見てください。
伊藤
この人の奥さんはちょっとうるさそうだしな、とか。
大久保
そうそう、そこ。
奥さんとまず気が合うっていうのが大事ですからね。
伊藤
そうですね。
ああ、ほんとうにたくさんお話できました。
よかったです、今日、ほんとに。
大久保
ほんとに? よかった?
伊藤
ありがとうございます。
大久保
とんでもないです。
伊藤
せっかくなので、みんなからも、
なにか質問があればと思ってます。
誰か、ありますか?
男性
お願いします。
さっきのパーソナルトレーニングの話じゃないんですが、
僕も、すぐ妄想をするんです。
あの女の子、僕のこと
ちょっと好きなんじゃないかなとか。
大久保
それは幸せよね(笑)。
男性
スタバで紙コップに似顔絵を描いてくれたら、
ちょっと気があるとかすぐ思っちゃうんです。
そういうのとか、大久保さんも、あったりしますか?
大久保
妄想は、ゼロからはしませんよ。
でも今みたいにスタバでカップもらったら
似顔絵が描いてある、
そんなきっかけがあったら全然いけます。
楽しいですもんね。
今も、妄想してます。
今日はもうこれで別れるんですけど、
意外とあなたと私の最寄り駅は一緒で、
改札口でアッてなって、
さらに、行きつけの店行ったらいて、
またアレッてなったりして。
だから、もし偶然会ったら、
お互い頑張って声かけるってことでいいですか(笑)。
男性
はい!
大久保
一歩、踏み出さないとね。
伊藤
(笑)もう一人ぐらい。
女性
はい。私、お願いします。
大久保
あら、うれしい。
女性
先日「さんま御殿」で
梅沢富美男さんとケンカみたいに
絡まれてるシーンで、
今日のお姿とは全然違う、
芸人としてのスイッチが入っている状態を
見させてもらいました。
さっきのお話の中で、
急に落ち込んでいくときがあると、
そういう面も持たれているのに、
どうやってバラエティのスイッチを入れるのか、
それを教えてほしいです。
大久保
そうなんですよね、
気持ち的には今日無理だなっていうとき、ありますよ。
今日はもうテレビに絶対出たくないし、
今日の私のこんな嫌な気持ちのまま、
テンションを上げて、無駄に笑って、
トークのアンテナを張って、
なんか言われたらすぐ返さなきゃいけないなんて、
その何もかもが嫌だ! というときって、あるんです。
今日、もしかしたら
一世一代の失敗をするかもしれないとも思うし。
だけど、不思議なもので、
スタジオに入ってマイクをつけて座ると、
ちょっとオンになるんですね。
長くやってるのもあるから、意外と体が切り替わる。
そして、そういう時は、人に頼ります。
当たり前ですけど、みんなプロなんで、
その人たちが笑いをつくったら、
のっかっちゃおうと思います。
この状況にいるんだから、
「あっ、楽しい。よし、楽しもう。私もいける!」
みたいに、一瞬にして雰囲気にのまれる。
それでなんとかやってきてますね。
ありがたいのは
一流のプロの人たちの現場に
お邪魔させていただくことが多いから、
そこのテンポ、熱、エネルギーをちょっともらって、
「よーし、じゃあ!」ってのっかる感じでやると、
もう、だいたい収録の2時間が終わってる。
そんな感じですかねえ。
うん、周りに甘えてます。
じゃあ、親が死んだときもバラエティができるのか、
それはさすがにわからないですけど。
伊藤
たしか夫婦の経済についてのトークでしたよね。
自分で稼いだ金を自分で使って何が悪いと
開きなおる梅沢さんに、
立ち上がって喰ってかかる大久保さん、
さらに、ブス呼ばわりして罵倒する梅沢さん。
私も見ましたよ。
大久保
私は言葉のプロレスをやってるし、
梅沢さんありがとうっていう気持ちで、
もっとこい、もっとこいと思ってやってるんですけど、
世の中的には、
いまだにああいうことを笑いにして‥‥、
って嘆く人もいます。
何年前のテレビなんだっていう意見もあるし、
セクハラはダメ、
ブス呼ばわりはするのもされるのもダメだと。
それもTVショーだと思って
捉えてくれればいいんですけどね。
「大久保さんはそんな言うほどブスじゃない」って、
もう全然フォローでもなんでもないから!(笑)
伊藤
ほんとにね。
──
ずいぶん長い時間、話していただいて、
ありがとうございます。
今日、このあと、レコーダーはオフにしますけど、
伊藤さんがおつまみを作るので、
ビールサーバーもあるし、
ちょっと飲んでいきませんか。
大久保
あら、おもてなし。
いいんですか?
ありがとうございます。
伊藤
ほんとうにありがとうございました。
大久保
優しい方たち!
こちらこそありがとうございました。
じゃ、失礼しまーす。

わたしの顔が変わってく。

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大久保
私、好感度めちゃめちゃ欲しいんです。
世の中って好感度の高い人が好きじゃないですか。
ハツラツ、元気、明るい、
みんな大好き、幸せ、みたいな人。
身近で言うと私の大親友、いとうあさこちゃんって
すごく好感度が高いんですよ。
番組で悪口とかあんまり言わないし、
言うように見えていても、実は自分を落として、
下に入って、ちょっとひがみのように言う。
人のことを悪く言わないんですよね。
伊藤
確かにそうですね。
大久保
疑ったくらいですよ。
そんなわけないと思って。
伊藤
いとうあさこさんってテレビの画面で
外れた後ろにいるときでも、
すごく幸せそうに笑ってるんですよね。
大久保
そう、笑ってるんです。
伊藤
そうだ、それだ。
大久保
私もまあまあ笑ってますよ、頑張って。
伊藤
違うん‥‥じゃ‥‥。
大久保
ウソ笑いですけどね(笑)!
好感度、べつに100点満点でなくていいんですよ。
最近、世の中の流れでしょうけど、
セクハラっぽいことをすると、
男の人のセクハラは叩かれるのに、
なぜ大久保さんはセクハラって
叩かれないんでしょうかとか、
あのおばさんのやるセクハラは
見ててすごい不愉快になりますって、
そんな声もあるんですよ。
好感度とまるで反対で、
すっごい落ち込むんですけど、
こういうのがないと、なんていうんですかね、
私が出てる意味はないなと、
またポジティブに考えて、
止められるまでどぎついセクハラをしてやろうかと
思ったこともあります(笑)。
でも、ほんとうに嫌われるって、
よっぽどのエネルギー持った人じゃないですか。
テレビ見てて、こいつ嫌いだなって
思わせるぐらいに、なんか出してる人って、
なかなか凄いですけどね。
伊藤さん、テレビに出ている人で、
嫌いな人、いますか?
伊藤
芸能人ではないけれど、
「この人はテレビに出ていいの?」
ってびっくりすることはあります。
大久保
わかります。私も最初「笑えないブス」って
言われたんですよ。
なんか生々しいブス?
伊藤
なんですか、それ!
大久保
触れちゃいけない、みたいな、危うい感じですよね。
それはね、当時、私がまだ定まってないというか、
本人もあんまりブスって思ってないから、
いじる方も、「あれっ、この子にブスって言ったら、
ちゃんと返してもくれないし、ちょっと‥‥」
みたいな不安定さがあったんですよ。
でも、これがテレビに出続けていくうちに
キャラクター化され、
ほんとにちょっとずつ目が離れていきましたし(笑)、
大陸移動で、少しずつ顔の下半身が前に出てきて、
笑えるブスとして完成していくんですよ。
伊藤
すごいですね、キリンが上の草を食べるために
首がのびていったみたいな。
大久保
ちゃんとみんながツッコミやすいように
だんだんできあがっていくもんなんですよ、テレビって。
自分の役割を把握したときにね。
でも、ほんとに私、朝、寝起きの顔を
みなさんに見せたいです。
すーごい、もう、ほんっと妖怪ですよ。
私、戒めのために、朝起きて、
髪ボサボサで化粧もしない状態で、
あえて手鏡を上向きに置いて、
のぞき込むんですよ。
そうするとね、顔が重力に負けて、落ちるの。
伊藤
なんでそんな!
大久保
ほんと妖怪の、油すましみたい。
「うわっ、怖い」と思って。
伊藤
なんですか、その行為は。ええっ?
大久保
戒めですよ。
自分の一番ひどい状況をこうやって見て。
だけど、それをメイクして、
テレビに出るために照準を合わせていくわけです。
だから、朝の妖怪からの、テレビに出るまでは、
だいぶ伸びしろというか(笑)、
すごい成長率なんです。
ほんとにすごいから。
伊藤
意識で、いかようにも変えられる。
大久保
そう、意識だと思う。脳がスイッチを入れる。
伊藤
すごいですね、その工夫。
大久保
やってみてください、怖いから。
すっぴんよ。眉毛も描いちゃダメですよ。
伊藤
ちょっと見れないです。
大久保
一回見てください。
でね、伊藤さんが苦手というその方は、
まだちょっと自分がどういう感じかまだわからない
不安定さがあるんですよ。
そのうち落ち着きます。顔が。
伊藤
でも、その人、メインでしゃべっていると
ウーンと思うんだけど、
端で映ったとき、楽しそうに笑ってるんです。
それを見てから、結構好きかもとか思い始めて。
大久保
どういう心理? 笑うんだ、この人? ってこと?
伊藤
ちょっとかわいいっていうか。
大久保
すごいとこ見ますね。
やっぱりそうやって人が自然に
笑ってる姿を見れる方がいいんですかね。
伊藤
画面の隅にちっちゃな枠で‥‥。
大久保
ワイプね。
伊藤
そうそうそう。そのときに、
女優さんとかってスキがないでしょう。
大久保
はいはいはい。
わかってますからね、
小さく抜かれてるって。
伊藤
そう。うっかりした顔で映らない。
でも、その時にこそスキを見せて欲しい。
大久保
なるほどね。人間臭いというか、
完璧じゃない人の方に、魅力を感じるんですね。
伊藤
その人はわざと嫌われるようなことを
言ったりするんですが、
顔、そのうち、だんだん整ってくるのかしら。
大久保
整うというよりも、
もっとデフォルメされてくるんですよ。
そのキャラクターに合わせて。
伊藤
そうなんだ。なんでですかねえ。
テレビってすごいですねえ。
大久保
私、テレビのバラエティ番組が多いから、
ウソでも笑うじゃないですか。
もちろんほんとに面白いから笑ってるときも
いっぱいあるんですけど、
そうすると笑い顔になるというか。
それがなかったらもっと顔の肉が
下に落ちてるんじゃないかって思うんですよ。
ウソでも笑う時間が1日2時間とかあるから、
それが意外といい感じに。
伊藤
その緊張感ってすごいですね
大久保
緊張すると、いろんなものが出て
きれいになるらしいですよ。
人は緊張した方がいいって。
伊藤
よくデビューしたばっかりの女優さんとかアイドルが
1年ぐらい経つと
なんでそんなきれいになったの? って。
大久保
確かに。
伊藤
それって見られてるから?
大久保
あと、自信じゃないですか?
私はもうきれいになったっていう。
伊藤
じゃ、女優さんとかは
きれいな方向に顔が大陸移動(笑)。
大久保
うん、そうですね、
配置がちょっとずつ、
ベスポジに行くんじゃないですか。
意識ですよね、見られてるっていう意識って
やっぱり大きい気しますけどね。
伊藤
普通の人に活かす場合はどうしたらいいんですか。
大久保
「笑っとけ」っていうのはありますよ。
って、精神論を言いましたけど、
笑ってるうちになんか楽しくなるって本当です。
磯野貴理子さんがため息をつきそうになったとき、
はぁ‥‥↓、っていうのを上げるんですって。
ハアーッ↑、て(笑)。
下に落ちちゃダメだ、アアーッ↑、って上げると、
それでもう気持ちが切り替わると。
それを聞いて、なるほどと思って。
でも若干変な人って思われる、あれは。
リスキー、リスキー。
でも、そうか、人ってそういうものなのかなと。
伊藤
(笑)
大久保
急に不安になることはありません?
私は、この先結婚もせずに、
仕事もたぶんなくなっていき、
趣味もなく、パコ美はもしかしたら先に死んで、とか、
みんな、たぶん今私の悪口を言ってるはずだとか、
私が昨日あんな言い方したから、
たぶんあの人は私のことバカだなと
思ってるんだろうなとか、ずーっと根に持って、
家で誰とも口をきかず、
「落ちる」ときがあるんですけど、
ないですか? そういうこと。
伊藤
どうかな、うち娘がいるから、大丈夫かも。
夫はいないんですけど。
大久保
いえーい(笑)。やいやいやーい!
いいじゃないですか、娘さん。
老後の面倒をみてくれるというか。
伊藤
そうですね。面倒みてくれなくてもいいけど、
ちょっと心強いかも。
そういう人がいるっていうだけでもね。

▲編集担当、武井さん(男子)に作ってもらったたらこパスタが今日のしめ。
たらこもバターも、ネギも海苔もたっぷり入った、
がっつり、大満足の味です。

好きなタイプって言われても。

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──
伊藤さん、そうは言っても、
男子にはけっこう冷たいんですよ。
伊藤
やめてよー(笑)。
大久保
ええーっ。
そうなの?!
──
ふだんは、超がつく対等なんですけど、
男子が男子ノリで騒いでるとき、
すごく冷たくなることがあります。
コーヒー淹れるのに、
この機械がとか、ネルドリップがとか、
この豆が、この産地がって言ってたら、怒られました。
「うるさい」って。
伊藤
「そんな面倒くさいこと四の五の言ってないで、
さっさとおいしいコーヒー淹れてよ!」と。
大久保
許容範囲狭い!
でもたしかに、男子って、
たまに中学生みたいにキャッキャッキャッキャ、
ずっと騒いでることがありますよね。
伊藤
おじさんも、沸点を超えるというか、
あるときから、キャッキャしだしませんか?
大久保
しだす! はしゃぎますよね。
伊藤
でも、なんか憎めないんですよ、おじさんって。
大久保
そうかなあ。私、イラっとすることありますよ。
昨日も焼き肉をやるって、
40すぎたおじさんたちが腹すかして来て、
肉をすごくたくさん食べるから、
すごく腹が立ったんですよ。
こんな大人がこんなに食べる? って。
5人、6人いたら、考えるじゃないですか、
肉の量を見ながら、取り分をね。
でもそういうのを考えなくて、
まだ半分焼けてないのも食べようとするから、
「私、こういう人嫌い!」って
一瞬ほんとに思ったぐらい。
なんでしょうね、あのはしゃいでる感じ。
伊藤
それは、大久保さんが、
はしゃがせるんじゃないかなあ。
大久保
私が?
この人、はしゃいでも許してくれるって思って?
伊藤
そう。それでちょっと厳しいことを言われて、
もうなおさらはしゃいで盛り上がる。
そういうタイプですよ、大久保さん。
ちょっと甘くって。
大久保
ほんとですか。
私、ほんとに心が狭いのに。
もちろん、好きな男の人に対しては
許容範囲が異常にガッと広がりますけれど。
伊藤
どういうタイプが好きですか?
大久保
わからない、これはもはや(笑)!
伊藤
えーっ。
大久保
わかりません。
伊藤
そうですか。
大久保
昔は──昔といっても35ぐらいまでは、
陰があってミステリアスで、
過去に何かあったんじゃないかって思う、
そんな人に惹かれがちだったんです。
無口で、なんならムショ帰りなんじゃないかと
思わせるぐらい、陰がある人が。
飲み会とかでもあの人しゃべんないな、
なんか気になるな、なんて、
ちょっとずつ惹かれていって。
でも、結果、付き合うみたいになったとき、
蓋を開けると、単純にほんとにボキャブラリーのない
人だったりするんですよ。
社交的じゃないというか、
コミュニケーションのツールを持ってないみたいな。
伊藤
そうなんだ。
大久保
ガッカリですよ。
だから、やっぱり今は天真爛漫で社交性もあって、
人と会話もある程度、楽しませる力のある人が
いいなとかも思いますけど。
でも、そういう人ってモテるじゃないですか、結局。
伊藤
ああ、なるほどねえ。
大久保
ちょっと今、お手上げの状況ですね。
だから‥‥まあ、そうですね、歯がきれいな人!
歯がそろっててきれいな人がいいです。
歯っていうのは、
今までの生い立ちとか生活環境が見えますから。
伊藤
そうですよね。つい見ちゃいますね。
歯がきれいなだけで、ちょっといいですよね。
大久保
そうですよね、やっぱりね。
伊藤
芸能界の方って歯がすっごいきれいですね。
大久保
そうですね、歯ガタガタな人、あんまり見ないですね。
伊藤
歯のきれいな人か。
好きな男性のタイプの話、大好き。
大久保
えーっ、若いですね!
伊藤
面白くないですか?
大久保
一応社交辞令で、会話をもたすために、
どういうタイプ好きですかって聞くけど、
正直そんなに興味はないですよ。
伊藤
それを聞くとね、その人のことわかるっていうか。
「へえ、意外!」って新しい発見があるんです。
大久保
ああ、そっか。
なんかね、好きなタイプの男の子は?
っていう話題は、しゃべってて、
だんだんむなしくなるんですよ。
だってリアルに言うと年収が1千万近くて、
顔は坂口憲二さんみたいにちょっとワイルドな感じで、
健康的で、って、ツラツラと出てくるんですけど、
しゃべってるうちに
気持ち的にはどんどん下がっていく。
伊藤
確かに、聞くのはいいけど言うのは苦手かも。
大久保
そうでしょ?
伊藤
すいませんでした。
大久保
いいです(笑)。
やっぱりね、大人の男のひとはいいですよ。
糸井さんいいですもん。
いくつになっても、なんかちょっと教えられるとか、
「ああ、そうなんだ、私知らないです、
どういうことですか」って聞きたい。
そういうポジションにつきたい。
永遠の妹的な。国民の妹。
なれるかもしれない。
伊藤
私の知り合いで70近い女性がいて。
すごくカッコいいんですね、お蕎麦を自分で打って。
大久保
女性で。
伊藤
お店をやっていて、
白洲次郎さんとか名だたる方が昔来てたんですって。
その方がおっしゃるには、
いつも20とか30年上の人が周りにいて、
その人たちを見てきたんだけど、
自分がだんだんおばあちゃんに近くなって、
みんな死んじゃったの、って。
大久保
そっか。ずっと見てたんですね。
伊藤
黒柳徹子さんも年上がお好きって、
なにかで読んだ気が‥‥。
大久保
ん? いまだにかな‥‥。
伊藤
いまだにみたいで、困っちゃう、
みたいな感じのことを書かれてて。
でも、年上の人は、
先にいなくなっちゃうって。
大久保
そっか、いい子いい子されたい願望も、
女の子として扱われたいっていうのも、
すっと、あるんですね。
年上が死んじゃうというのは、
もうしょうがないですよ。
じゃあ聞きますけど、
伊藤さんはどういう男性が好きなんですか?
伊藤
私は、スマートな人が好きです。
大久保
スマート。
目を配らせといて、
先回りしてなんかしてくれる、
みたいなことですか?
伊藤
そう、物腰がやわらかで、
いろんなことに気付いて、
ササッとなにかしてくれたり。
でもその一方で、豪快な人も好きなんです。
大久保
スマートと豪快さを兼ね備えた、
いいあんばいのね‥‥います(笑)?
伊藤
いないですよねえ。
大久保
芸能人でいうと誰なんですか。
伊藤
顔で言うと、杉本哲太さん。
大久保
たしかに男らしい骨格してますよね、
杉本哲太さん。いいと思いますよ。
伊藤
あと、小林薫さん。
大久保
いいっ! ステキ。
伊藤
お会いしたことあります?
大久保
小林薫さんが出てる舞台を見に行ったんですけど、
そのあと飲み会に出たら、小林薫さんもいらして。
すっごい気さくで、
めちゃめちゃカッコよかった。
すごくダンディですよ。
伊藤
糸井さんがそれこそ、
仲がいいんですって。
大久保
じゃ、近づけるじゃないですか!
鼻の下伸ばしてね。
伊藤
いや、いいです、それは!
大久保
舘ひろしさん、カッコいいですよ。
ダンディー。
伊藤
実際に会う機会があると、
役者さんって、すっごくカッコいいですよね。
大久保
そう、たいがいカッコいいんですよ。
伊藤
そりゃそうだ。
大久保
「芸能人すごい!」って思いますよ。
はじめて見たときの、明石家さんまさんとか、
やっぱりすごいんですよ。オーラというか。
伊藤
へえー!
大久保
テレビで見ていて知ってるのに、
目の前で実物が動いていると、
なんかもうキラキラなんです。
今は仕事を何回かご一緒させてもらって
多少慣れてきましたけど、
パワーがすごすぎて、最初は怖かった。
でもあんまり怖い怖いってやってると、
トーク番組で何もできなくなるので、
もう怖いと思わないようにしようと思って。
この人好き、この人と同じ時間にいれるだけでも最高、
って思うようにしているんです。
もう尻尾振る感じで挑んだ方がやりやすいと思って、
そうしているんですよ。
伊藤
さすがに若い頃は緊張したりとか?
大久保
しました。そりゃしますよ。
今も「さんま御殿」とかたまに呼ばれて行くと、
めちゃめちゃ緊張しますよ。
伊藤
あそこに座ってらっしゃる方って、
1人で10人分ぐらいみたいな感じの面白さがあって、
そんな人が何人もいるわけじゃないですか。
すごいもの見てるなって、いつも思います。
大久保
いろんなキャラクターの人が
それぞれの責任を持って、
一つのものをつくってるってことが。
伊藤
そして大久保さんは、
いつも大久保さんですよね。
大久保
そうみたいですね、私ね。
伊藤
それもすごいなあと思って見てます。

▲ビールのおともといえば、これ!
前日、新潟で買ってきた柿の種は、
大粒で食べごたえあり。
夏の集まりの手土産にもぴったりです。

女子でいいじゃない。

未分類

伊藤
さっきの部屋着の話題ですけど、
キャミソールにトランクスは、
さすがに宅配便の方には見せられない。
だからピンポンって鳴ると
超速攻でデニムをはいたりして、
それでも「おばさんが、こんなかわい子ぶって」
みたいに思われたらどうしようとか思ったりして。
大久保
自意識過剰、多々ありますよね。
伊藤
これからどうやって生きていけばいいんだろう!
大久保さん、パーソナルトレーニングに
行き始めたきっかけは、
代謝が落ちてきたからですか?
大久保
ヘルニアからの座骨神経痛で、
寝てても、起きても歩いてもしびれるんです。
整形外科に行ったら、
「安静にしてればよくなります」
って言われたけど、
安静にしてても根本的には治らないと思って。
あとは、ちょっと鍛えたいっていうのもあって、ですね。
伊藤
身体、変わりました?
大久保
全然(笑)! だって、
10日に1回ぐらいしか行ってないですよ。
マッサージ挟みながら、
ちょっと筋トレしてるだけだから。
伊藤
私も1週間に1回ぐらい。
大久保
絶対変わらないでしょ。
伊藤
変わらないですよね。
あと‥‥これは、今日は言うの
やめようかと思ったんですけど‥‥。
大久保
言っちゃいましょう。
伊藤
実は2日おきに、
シックスパッドのもっとすごいみたいなのを
身体にかけてくれるエステに行ってるんですよ。
大久保
すごっ! 向上心すごいじゃないですか。
伊藤
そうなの。
大久保
いったい、どうしたんですか。
伊藤
どうしたんだろう。
ひと花咲かせたいとか思ってるんですかね。
大久保
でも私も、通販で買った
ブルブルブルっていうやつを引っぱりだして、
週に2、3回でいいですよって書いてあるところを、
5、6回やってる(笑)。
伊藤
(笑)それでもね、全然変わらないですよね、もう。
大久保
全然変わんない。どうなってるんですかね。
伊藤
大久保さんはお仕事がら
女優さんとかタレントさんで、
年齢を重ねても美しい人と
会ってるわけじゃないですか。
大久保
周りにね、います、います。
伊藤
どういうことなのかなって、
ほんと思うんですよね。
大久保
やっぱり生まれてからの
意識が違うんじゃないですか?
伊藤
ああ、じゃあ、今頃、
生まれて半世紀も経って、
慌ててもダメなのか。
大久保
どうなりたいですか? 
なんかあるんですか、目標。
伊藤
「汚くなりたくない」。
大久保
それはね。最低限、そうね。
伊藤
大久保さんが大事にしているのが
人に不快感を与えないファッション、
っていうのと同じで、
私も少なくとも汚くは見られたくないな、
っていう気持ちですね。
大久保
大丈夫でしょ。これで爪とか
すごい汚かったりしたら、危ないけど。
爪、私、めちゃくちゃ隠してますから。
短く切ってね。
伊藤
かわいいですね。
その方が、私、好きです。
大久保
ほんと?
伊藤
うん。グッとくると思う。男子。
爪にあまりにも神経を集中させてるよりも。
大久保
そういえば、意外とみんなマニキュアやネイル、
してないですね、「ほぼ日」の人たち。
伊藤
そういえばそうだ。
ちゃんと清潔感があるっていう方が絶対かわいいです。
大久保
そうですね。
このごろ思うのは、
「ちょっと気を抜けば、
ゴミ屋敷になんて、すぐ、なる」
ってことです。
伊藤
え? ゴミ屋敷になる?
大久保
ちょっとの気の緩みで絶対すぐ
自宅がゴミ屋敷になると思ってて。
今はいいですよ。ゴミの日も覚えてるし、
ゴミ袋にゴミを入れてこうやって押す力もあるし、
縛る手首の力もあるけど、
体って弱くなるじゃないですか。
ある一時手首がすごく痛かった時期があって、
ゴミをまとめるのを、
「ちょっと今回はやめとこう」
という日があったんですよ。
でも、次のゴミの日まで2、3日ある。
ゴミが増えてくる。
で、思ったんです。
あっ、こういうことの繰り返しで、
ゴミ屋敷なんてすぐなるんだと思って。
伊藤
そのうちゴミの日を忘れたりとか!
大久保
そう、そうです。
伊藤
だんだんもう面倒くさく、
もうどうにでもなれ、みたいな。
大久保
だから、気をつけた方がいいな、
ちゃんとしとけば大丈夫だなと思って。
伊藤
そういうことを考えちゃうのは、
やっぱり、50だからかな、もうすぐ。
大久保
そうじゃないですか。
伊藤
あれっ、糸井さんがいなくなってる。
大久保
顔だけ出してくれたんですね。
でも、どうなんですか? 
糸井さんのこと、あんまり知らないですけど、
すごくフレンドリーな感じがしますよね。
ステキですよね。
伊藤
はい。すごくステキです。
大久保
ああいうステキなおじ様、
センスもあってオシャレで、
会話も面白くて、そういう人が周りにいると、
たまに会った男の人がつまんないなとか、
思いません?
伊藤
思います!
大久保
ああ、よかった。
思いますよね。
伊藤
きっと、美しい女優さんには、
そういうステキなおじ様が周りに‥‥。
大久保
いっぱいいるんですよ。
伊藤
そう。
大久保
当たり前ですけど、私は、
お笑い芸人さんと仕事をするから、
面白い人って周りにいっぱいいるんです。
イケメンも多くてね、
日々、ジャニーズの子とか、
かっこいい俳優さんも見る機会があるから、
人とたぶん違うレベルのイケメンを見てます。
だから、気づいたら人を見下してて(笑)!
ほんとすぐ自分を棚に上げるのが得意で。
伊藤
でも、鍛えてるときには、
自意識過剰な乙女心が出てくる。
大久保
自分がわからないですよね。
そういうふうな理想みたいな人や、
いろんなものを見すぎて、
こういう人がいいんだって思いながらも、
叶うわけがないとわかってるのに。
そんな人が私に何か言ってくるわけがないのに。
伊藤
そんなのわかんないじゃないですか。
大久保
わかりますよ、もう(笑)! 伊藤さん。
今から急激にモテることはないです。
ここまでの経験でわかります。
伊藤
あると思いますよ。絶対モテると思う。
大久保
いやーっ、すっごい無責任!
こういう人いるんですよ(笑)。
すーごい無責任。いるわー。
ちゃんと、一回、私になってみてくださいよ。
伊藤
だって、面白いし、
一緒にいて楽しいし、お酒飲むし。
大久保
それが面白くないんですよ、ふたりきりになると(笑)。
そう、ほんと、普通の女子。
でね、見下しているときって、
絶対それが顔に出てるんですよ。
伊藤
笑いながら、口角が下がってるんですよね。
大久保
そうそうそう、怖いやつですよ。
伊藤
気をつけないと!
大久保
気をつけていきましょう。
人に優しくね。
自分なんてもう、
ほんとに年をとったゴリラと
ほぼ一緒だって思って生きていかないと(笑)。
伊藤
すごく気持ちが軽くなりました。
大久保
ほんとですか(笑)? どこで???
伊藤
ゴリラで。
大久保
ゴリラで!
伊藤
「女子」って言葉、
この年齢でどうなんですかって
言われたんだけれど。
大久保
グルッと回ってOKです。
そりゃ、ほんとは女で、子どもを指して
「女子」ですけどね、
でも私たち、女子ですよ。
伊藤
女子ですよね。
大久保
バスツアーに来る60代のおばさんたちって、
すごい女子じゃないですか。
お揃いのポシェットつけて、
中にアメ入れて、キャッキャして。
女子高生みたいなノリになるでしょ。
私もそうなるのが、
楽しみでしょうがないんですよ。
伊藤
へえ!
大久保
地元の同級生とバスツアー行って、死ぬほど食べて、
お土産もらって笑って。
そのときがたぶんくるんだろうなって。
伊藤
一周するんですね。
大久保
うん。だから、女子なんですよ。
伊藤
女子ですね。しかも、
ゴリラって思うようにする(笑)。
大久保
伊藤さんはゴリラ派じゃないとは思うけど。
かわいらしい顔してますもん。
でも世の中はやっぱりゴリラが
結構な主要派閥になってるんです(笑)。
伊藤
ほかに何派があるんですか?
イヌ?
大久保
イヌとか言っちゃうと
ちょっとかわいいもんかもしれないでしょ。
私だってあくまで自分を卑下して
ゴリラって言ってるんで、
そこでイヌとか言っちゃうとね。
伊藤
たしかに!!(笑)。

▲食べやすいようにはしっこを切り、
器にちょこんと盛ります。
器に絵を描くような感覚で、美しく盛りつけて。

トレーニングと下心。

未分類

伊藤
大久保さんは、お洋服を選ぶとき、
他人に嫌な思いさせないファッションということを
一番大事にしていると、
『POPEYE』の連載で書かれていましたね。
大久保
ほんとに『POPEYE』、
読んでくださっていたんですね。
伊藤
あれを本にしてほしいぐらい。
大久保
うれしいー。結構やってたのに、
あんまり言われなかったから(笑)。
伊藤
テレビやラジオで聞く流れてしまう言葉と違って、
文章で一つのことを語るのを読んで、
大久保さんの印象が変わったっていうか。
そんなに長文ではなかったけれど、
あっ、こういうことを思ってるんだというのが伝わってきました。
大久保
600~700文字だったかな、
文字数が限られているので、
ひとつのことを表すのにどの単語がいいか、
改めて国語辞典で調べて、
これにとって代わる単語はあるか、
そんなことをやっていました。
伊藤
辞典! 検索じゃないんですね。
大久保
ごめんなさい、検索です(笑)。
さすがにもう今は検索。
でも結構神経質にやってました。
こんなふうにした方が、リズムがいいかな、とか。
伊藤
1文字も無駄がないような気がしました。
大久保
そうなんですよ!
よかった、うれしい、褒めてくれて。
バーッと書いたあとに、
添削っていうんですか、削ったりなんかして、
翌日起きて、もう1回見て、
ここ、こうしたらいいんじゃないかと。
それを時間をおいて、何回かやって。
『POPEYE』って絶対センスがいい人が
読んでるって私の中では思っているので。
伊藤
オシャレボーイが苦手っておっしゃってた。
大久保
オシャレすぎる人はね。
なんかもう理解不能な格好されると(笑)、
見下されてるんじゃないかと思うんですよ。
伊藤
そんなことあるわけないじゃないですか。
山口智子さん系なんだから。
大久保
すごいいじり方する(笑)。やだ。意地悪!
伊藤
違う。違う。ほんとに。
大久保
伊藤さんってば、
無意識のうちにそうやってちょっと人をいじって、
そうやって笑って、もう(笑)。
50年近く生きてるんで、
自分がどのぐらいのもんかわかってますから
大丈夫です。
伊藤
大久保さんの文章、もっと読みたいです。
大久保
それこそ誰も読んでないんですけど、
とある有料サイトに
週1で日記みたいなのを書いてるんですよ。
これこそもう7、8年やってるのに
誰からも言われたことがない。
だけど、それがいいんですよ。
誰にも読まれてないっていう安心感から、
短い時間で書くんですけど、
書いたことで多少まとまるじゃないですか、出来事が。
エピソードをフリートークで使うときに、
文章として1回頭の中でまとめてると、
しゃべりやすくなるんですよ。
誰も読んでない1週間に1回の日記が、
トークの役に立つんです。
伊藤
文を寝かせるってさっきおっしゃってたけど、
私も原稿を書いたら、やっぱり一晩寝かせるんです。
翌朝見る夜中のラブレターが
恥ずかしいみたいなことがあって。
「なに盛り上がっちゃって!」って。
大久保
私はこういう出来事がありましたっていうのが多いから、
そんな感情をぶつけるようなことは書いていないかな。
伊藤
最近は何書かれたんですか?
大久保
最近は、記憶がね、
えーっと、‥‥ちょっと待ってくださいよ。
伊藤
最近、あれがあれで、それで、とか、
全部代名詞になっちゃうってあります?
大久保
そう、‥‥ちょっと静かにして(笑)。
そうだ、先週は、私、
パーソナルトレーニング始めたんですよ。
すごくないですか、この年でパーソナル。
伊藤
私も実は!
大久保
えっ?!
伊藤
先月ぐらいから始めたんです。
みんなに、ざわつかれますね、
この年でやり始めたから。
大久保
どういうことをやっているんですか。聞きたい!
伊藤
マンションの一室で。
大久保
おんなじ!
あれ、ちょっと、ドキドキしません?
伊藤
え? どういうこと?
トレーナーが男の人だからですか?
大久保
そう、男の人だから。
伊藤
全然ドキドキしたことなかった‥‥。
大久保
ええっ? だって、マンションの一室で、
密室で、まあまあ薄着な筋肉質な男と、
結構な距離ですよ!
伊藤
言われてみたら、ほんとですね。
大久保
結構な近さですよ。
伊藤
ほんとですねえ。でも、先生ですよ。
大久保
いや! 伊藤さん、
それちょっと気取ってません?
だって、私、まず入っていって、
「じゃあ、着替えますか」
ってときに、マンションの一室だから
べつに更衣室があるわけじゃなくて、
「そこの洗面所使ってください」って
言われるんだけれど。
伊藤
えっ、まさに同じような
シチュエーションのところです。
大久保
まさか一緒のとこ行ってるのかな(笑)。
で、洗面所に入るじゃないですか。
そこでカギをかけるかどうか、まず迷うんですよ。
伊藤
どうして?!
大久保
カギをかける瞬間に
カシャッて音が聞こえるわけじゃないですか。
そうすると、「意識してんの、あのババア」
って思われたら最悪だと思って(笑)。
伊藤
(笑)先生はカッコいいんですか?
大久保
いい感じです。ちょうどいいです。
34、5歳で、さわやかで、
ハワイと日本を行き来してるっていう。
伊藤
ちょうどいい。
大久保
ちょうどいいですよ。
伊藤
もちろん身体がしっかりしてるし。
大久保
筋肉いっぱいあって。
でね、あえてカギはかけず。
伊藤
そんなにドキドキするんですね。
大久保
ドキドキしますよ!
私の場合、座骨神経痛が最近ひどくて、
その先生は理学療法士の資格を持ってるから、
「ああ、ちょっと痛いです」って言うと、
「じゃ、マッサージしましょう」って。
横にちっちゃいマッサージ部屋があるんです。
伊藤
同じです。
大久保
ええっ(笑)?
でね、そのマッサージ室に通されるんです。
マッサージって、よりスキンシップじゃないですか。
だから、あんまり痛いって言うと、
私、なんかマッサージを
すごくやりたい人だと思われてもアレだから、
多少痛くても我慢しているんです。
もう悪循環で、トレーニングに行っているのに、
体、悪くするんじゃないかっていうくらい。
伊藤
その先生があんまりカッコよくない人だったら
いいのかもしれない。
でもそうするとモチベーションが落ちちゃいますね。
微妙ですね。
大久保
微妙ですよ。
考えすぎちゃって。
伊藤
ちょっと前、ピラティスに通ってたんですけど、
まるで斎藤工さんみたいな先生で。
大久保
ええ、そんな人が、いるんだ!
伊藤
私の前にパーソナルトレーニングを受けていた方が、
60ぐらいの女性だったんですけれど、
すごくはしゃいでたんですよ。
もしかしたら私もああいう顔してるのかな? と思って。
だから「全然関係ありません。私はピラティスの生徒、
たまたまあなたが先生だっただけ」っていう顔をして。
大久保
なるほど。
伊藤
でも、全然集中できなかった。
大久保
どういう顔をしたらいいか、
正解かがわからなくなりますよね。
変に愛想よくするのもアレですし。
だからといって仏頂面でやるのもおかしいでしょ。
伊藤
そうなの。気が気じゃないんですよね。
大久保
60分のレッスンなんですけど、
終わって、水出してくれて、飲むじゃないですか。
帰り際がわかんなくて。
あんまりすぐに「じゃあ、失礼します」って言ったら、
こいつやることやったらすぐ帰る女なんだなって(笑)
思われたら嫌じゃないですか。
だからといって、おしゃべりに夢中になっちゃって、
この人いつ帰るんだろうと思われても嫌だから、
ますます帰り際がわからなくて。
伊藤
そういうことに対する立ち位置が、
あやふやになる年代ですよね、私たち。
年甲斐もなくはしゃぎすぎるのもね。
大久保
そう。難しいですよね。
「もうおばさんだから」
みたいなスタンスをとろうと思いながらも、
根っこにちょっと変な下心があるから。
伊藤
まだちょっとかわいいだろうとかって思ったりする。
大久保
ほんとに。仕事で、20歳とか、25歳とか、
もう当たり前のようにそういう男の子と接するんです。
「もうお母さんみたいな年齢だから」
って言いながらも、スキあらば
全然付き合いますけど?(笑)
って思ってる自分の怖さ。
伊藤
そして、それをすごく押し隠してる。
大久保
そうなんですよ!
ああ、もうちょっと年を取ったら、
ラクになるのかな。
伊藤
ラクになりたい! 早く。

▲ちびきゅうりは豆鼓のペーストや味噌をつけながら。
水なすは手で裂いて、塩をふって。
どちらも簡単な夏のおつまみですが、
氷を張った器などに入れると、
その場が「おおー!」と盛り上がります。

おんなのトランクス。

未分類

大久保
そういえば、モデルをやってる友達が
誕生日にスリップをくれたんですよ。
ちょっとベージュな感じの。
てろんてろんの生地だから、シルクなのかな。
ところが着方がわからない。
どうすればいいんですか。
伊藤
ワンピースの下に着るといいですよ。
大久保
ああー!
伊藤
それか、寝るときに1枚で。
大久保
無防備すぎません?
冬は?
伊藤
冬はその上にカシミヤのガウンを着ます。
大久保
スリップの上にカシミヤのガウンを?
伊藤
うん!
大久保
大丈夫? 
だいぶ痴女みたいな感じですよ(笑)!
伊藤
痴女って言葉、久しぶり(笑)。
また汗かいてきた。
大久保
ほてっちゃってね。
伊藤
体温がねえ、もう。
大久保
調整がね。そうですよ、わかりますよ。
でも、私、その格好じゃ、地震が怖いなあ。
私はこの何年で大地震が来ると思っていて。
だから防災グッズが入ったリュックは
いつも玄関に置いてあるし、
その時にどうするか、
シミュレーションもしているんですよ。
パコ美も抱かなきゃいけない、
リュックも背負わなきゃいけない。
そのときに、スリップ1枚だったら!
避難所にそれで行ってごらんなさいよ。
伊藤
そうですよねえ。
でも、それを恐れて、
いつでも逃げられるようなスタイルでいたら、
逆に地震が起こるんじゃないかと、
ジンクス的に思っていて、
頑なにスリップを着ているんです。
大久保
そんな力はないから大丈夫(笑)。
伊藤さんひとりのスリップで、
首都圏直下型地震は防げない。
伊藤
ほんとですよね!
大久保
そうよ、ほんとに!
伊藤
それでね、スリップはちょっとあれだから、
何か変わるものを・・・と思いついたのが、
キャミソールとショートパンツだったんです。
キャミソールがかわいらしい印象だから、
ショートパンツはわりと男っぽいのがバランスがいいような気がして、
思いついたのが男物のトランクス!
大久保
わんぱくな感じですね(笑)。
伊藤
トランクスって、ギンガムチェックやストライプがあって、
かわいいじゃんって。
今、私「weeksdays」で企画をしているので、
そういう女子がはくトランクス、作りたいなぁってみんなに言ったら、
ざわざわして。
女子用のトランクス? 
伊藤さん、またわけのわかんないこと言ってるって。
大久保
トランクス作りたいって言ったんだ。
伊藤
そう。それで、でもまあ、作ったんですよ。
大久保
作ったんですね。
伊藤
(サンプルを見せて)かわいくないですか?
ルームパンツ、って、糸井さんが名前をつけてくださって。
大久保
かわいいっていうのは‥‥そもそもね、
「かわいい」って何ですか?
伊藤
それを女子がはいてると、かわいいなって。
大久保
ああ、なるほど。でもね、人を選びません、それ?
例えば、菜々緒さんとか、
ああいう足がスラッとした子が
こういうのサラッとはいてれば、いいけど。
伊藤
そんな人、いないじゃないですか、
大久保
中年体型のおばさんがこれを
はいてもいいんですか?
伊藤
いいんですよ!
もうそれはね、自分がはいてる姿を見ても、
撮影したモデルの子に映し替えてるんです。
大久保
すごい超能力(笑)!
それは幸せだわ。
それで、あ、いけるって思えるって!
伊藤
うん。
大久保
でも、そうですよね、
そういうふうにして生きてた方がいいですよね、
絶対ね。
私、部屋ではいてる湯葉パンツは、
伊藤さんがつくったそのルームパンツくらいのサイズで、
デザインもそんな感じですよ。
シンガポールかインドネシアかどこか忘れましたけど、
そこで買ってきたパンツ。ゾウの柄が入った(笑)。
もともとてろんてろんの薄い生地だったから、
洗濯何回もしたら、もうほんとに、より、良くなって。
伊藤
馴染んでるんですね。
大久保
馴染んで、そう。
伊藤
ライナスの毛布みたいな?
大久保
ライナス?
──
スヌーピーのキャラクターで、
ずーっと大事な毛布をひきずってる男の子です。
大久保
ああ、なるほど、なるほど。違います。
そういう精神的なことじゃなくてね(笑)、
ただ肌に馴染むってやつですね。
まとわりつく感じがいい。
伊藤
なるほどね。
さっきおっしゃった、
「かわいいって何?」、
たしかに、それって何なんだろう。
大久保
うーん。
イヌとかネコとか見たら、
無条件でかわいいとは言いますよね。
でも、どうだろう、モノには‥‥、
私、かわいいとか、そういう感受性が
弱いのかもしれないです。
女の人って、なんでもほんとによく
「かわいい」って言いますよね。
伊藤
1日50回ぐらい言ってます。
大久保
1日50回も(笑)!
伊藤
気持ち悪いですね、
考えてみたら、こんな年になって。
大久保
感受性っていうか、それはやっぱり
アンテナが張ってるからじゃないですか?
伊藤
でもね、なんでも「かわいい」で
すませてるふしがあります、そういえば。
大久保
「ヤバい」と同じような感じで。
伊藤
そう、そうかも。そうかもしれない。
大久保
じゃ、もしかしたら、
ほんとは「かわいい」とは違う言葉が
あるのかもしれないですね。
伊藤
気をつけます。
‥‥いやだ、あそこで糸井さんが見てる。
やだあ、より汗が。
大久保
社長が見てる! いやだー。
出てってほしい(笑)。
伊藤
糸井さんとは?
大久保
ちょっと前に糸井さんが出られた
保護犬をテーマにした
NHKのワンちゃんの番組に、
私、お邪魔させてもらって。
そのぐらいです。
伊藤
ああ、困った、
糸井さん、気にしないでください、私のことは。
大久保さんを見ててください。
大久保
やめてください、私が今度汗だくになりますから。
伊藤
ああ、汗! 拭くものが欲しい。
大久保さんは、何にも変わらないですね。
大久保
そうでしょ。
伊藤
場慣れが、違うんですね。
大久保
緊張することはありますよ、
知らずにすごくわき汗をかいてたりとか。
でも、もうあんまり緊張してもしょうがないな、
っていうときは、急にスイッチがバカになるというか、
もうどうでもいいやって(笑)、冷静になるんです。
ところで伊藤さんは、
料理に応じて器を選んだりとか、
ちょっとした物を大切にして、
それで幸せを感じるっていう、
たぶん私とはかけ離れた生活ですよね。
きっと充実した暮らしなんだろうな。
伊藤
大久保さんだって、お友達呼んで
ごはん食べるでしょう、同じですよ。
大久保
でも私、パン祭りでもらった白いお皿を使ってますよ。
この器、いつのだろうと思ったら、
1998年の長野オリンピックの
フクロウのマスコットが書いてありましたよ。
実家で使ってたのを持たされたんだと思いますけど。
伊藤
それはそれでかっこいいじゃないですか。
大久保
そうかなあ。
私は、ポジティブ、ネガティブ、
ポジティブ、ネガティブみたいに、
自分の性格が何層にもなってて、
でも基本的にはたぶんすごいポジティブなんですよ。
だから、ちょっとほろ酔いになって、
1回トイレに立って鏡を見ると、
あら、山口智子さんとさほど変わらないじゃない? 
って、急に、自信があふれてくることがあります。
山口智子さんのラインにいますよね、私。
伊藤
5パターンぐらいに女性を分けたら、
絶対、山口智子さん系だと思います。
うん。
大久保
でも、その下にゴリラ、いません(笑)?
伊藤
いやあ。そんなこと言わないで(笑)!

▲水気をふきとった手羽先に小麦粉をまぶし、
からりと揚げ、塩とチリパウダーをまぶします。
レモンをギュギュッとしぼってどうぞ!

湯葉のようなショートパンツ。

未分類

大久保
伊藤さん、もしかしたら同年代ですか?
伊藤
そうなんです。70年の2月です。
大久保
わたしは71年の5月だから、
学年が2個違う。
伊藤
わたしが高3のときに、大久保さんは‥‥。
大久保
高1ね。
伊藤
そういうことをおじさんがよく言うけど、
もういいよねって、ちょっと思いませんか。
大久保
いや、逆にね、年をとればとるほど、
そこ、ハッキリしたくもなりません(笑)?
伊藤
そう? そっか。
大久保
1個、2個違うんだよってことを
ちゃんとクリアにしたいなって、
まだ、思ってるかも。
今日は、呼んでくださって
ありがとうございます。
伊藤
大久保さんのこと、
「ほぼ日」のみんなも大好きですよ。
多いっていうか、全員?
大久保
ウソよ。
それは信用できないな(笑)。
伊藤
本当。嫌いな人がいない。
大久保
まあ、「嫌いじゃない」はね。
たしかに、そこまで嫌われる要素って、
ないかもしれないですね。
でも、大好きっていうのは、
ちょっと信用できないな。
伊藤
いや、私は、大好きですよ。
大久保
いやいや!
伊藤
私がどうして大久保さんに
いらしてほしいと思ったかというと、
「秘め事めくり」を読んでいたんです。
『POPEYE(ポパイ)』に連載されていた。
大久保
うれしー! 書いてました。
伊藤
あれがもう大好きで。
『POPEYE』が届くと、
一番最初にあのページを読んでいたんです。
大久保
いや、うれしい‥‥。
伊藤
そこには、テレビで見るのと違う大久保さんがいて。
大久保
あれはもう大事に大事に書いてたんです。
伊藤
もうほんとに面白くて!
嫌だ、なんだかすごく汗をかいてきちゃった。
すみません、どうしたんだろ、私。
大久保
大丈夫です? お年頃だからね。
伊藤
どうですか、最近、体調(笑)。
大久保
ここ1、2年のガタのきかたがすっごいですよ。
しかも今日、二日酔いなんです。
でも、さっき撮影をするのに
ビールを2口ぐらい飲んだら、
復活してきました。
やっぱり迎え酒が二日酔いにはいいのかも。
伊藤
お酒、やめられないですよね。
大久保
そうなんですよ。
もう依存がすごくて(笑)。どうしましょ。
伊藤
ご自宅で飲まれてたって。
大久保
そうなんです。昨日は休みだったんです。
パコ美ちゃんっていう愛犬がいるんですけど、
ロケでバタバタしたりすると、
実家に預けるものだから、昨日はひとりで。
そうすると、私、趣味とかもないから、
ああ、やることがない、どうしよう、
不安だ、怖い、みたいになって。
それで午前中に友達に連絡して、
「家に肉があるからおいで」って。
伊藤
お料理されるんですね。
大久保
いや、ホットプレートで肉焼いて、ぐらいですよ。
伊藤
そういうときって何を着てらっしゃるんですか?
「女子の部屋着」に興味があるんです。
大久保
休日にブラジャーとか
あんまりしたくないじゃないですか。
だから、ゆるゆるな、チューブトップに、
ジャンバースカート。
そんな楽チンな格好ですね。
伊藤
それ、男の方がいるといないとで違いますか?
大久保
昨日は、男子もいたんですよ。
知り合いの不動産屋さんの男子が。
だから、違いましたね。
そこがまだなんか下心っちゅうか、
なんかエロさが、いつまでたってもとれない(笑)。
その男子、全然好みでもないんですよ?
10年来の友達で、不動産屋さんだから、
家を探すときだけあてにしたりして、
なーんにもピンとこないんですけど、
なんかどこかで、男子だって意識してて。
伊藤
やっぱりそうですよね。
大久保
その男の子が、知り合いの男友達を連れてきていて。
だから、ちょっといつもより
酒のペースも上がっちゃったんですよ。
女友達と飲むより、速い。
しかもね、いつも飲む麦焼酎のソーダ割り、
自らちょっと濃くしてるんです。
怖い、自分が、もう。
伊藤
なんでですかねえ。
完全に一人でいるときはどんな感じですか。
大久保
私の部屋着? 全然、参考にならないですよ。
仕事がらTシャツをめちゃめちゃもらうんですよ。
スタッフTシャツっていうんですか。
例えば「めちゃイケ」の時とか、
27時間テレビとかをやった時なんかに、
Tシャツが支給されるんですね。
そんなのが何年分もあったり、
あと、私が関わってる
「恵比寿マスカッツ」っていう
女の子のアイドルグループがあって、
そのライブTシャツが毎年あったりで。
伊藤
Tシャツがいっぱい。
大久保
そう。そのTシャツを、着回してます。
伊藤
下は? ビッグTシャツから
見えるか見えないかみたいな‥‥。
大久保
ああ、女の子が、ちょっとかわいい、みたいなやつ?
‥‥じゃないですよ。
あんまりしめつけたくないんで、
もうゆるゆるの、ほんとに、
湯葉みたいになった(笑)、
ショートパンツをはいてます。夏は。
伊藤
湯葉ショートパンツ。
大久保
湯葉ショートパンツ。
ちょっと油断したら、
ほんとにもうどこからなにか
はみ出すんじゃないかぐらいの、
人が見たらのぞけるんじゃないかっていうぐらい、
ゆるゆるのパンツをはいてます。
伊藤
じゃ、なんていうんだろ、
部屋でいるときにオシャレしようとか、
そういう‥‥。
大久保
まったくないですね。
誕生日に、いとうあさこさんから、
ジェラート・ピケ‥‥ジェラピケっていうの?
伊藤
かわいいのだ!
大久保
いただいたんですけど、
そういうのを着ると、
なんだか落ち着かないというか。
伊藤
どんなのだったんですか?
大久保
白いモコモコに、
ピンクのぼんぼりと青いぼんぼりと
黄色いぼんぼりとピンクのぼんぼりと、
また、青いぼんぼりと‥‥。
伊藤
あさこさんもそれを着てらっしゃる?
大久保
あさこさん、着た上で、じゃないですかね。
そんなのは、持ってますけど、
なんかずーっとタンスの奥に眠っちゃってます。
伊藤
私はスリップが好きで、
眠るときもスリップが多かったんです。
大久保
スリップ! 今着る人いるんですね。
伊藤
えっ(笑)? いるよね、いるよね。
大久保
スリップってあれでしょ、
昔お母さんとか着てた。
伊藤
はい。
大久保
えっ、それ1枚ですか? それとおパンツ?
伊藤
パンツはかないで。
大久保
ノーパン?
伊藤
そう(笑)。
あるとき実家に行って、それで寝てたら、
胸の辺りまで上がってきちゃっていたのを、
うちの母親が見て、
「ちょっと、ほんとにやめてもらっていい?」
って(笑)。
大久保
実家で?
そりゃ嫌でしょう、娘のそんな姿。
伊藤
ほんとに嫌だったみたい。
大久保
嫌ですよ!
伊藤
私も見られて嫌だったんですけど(笑)。
でも、かわいくないですか、スリップって。
てろんとしてて。
大久保
私、今、伊藤さんが
ここまでスリップ上がってる姿が見えます(笑)。
伊藤
そうなっちゃうとね、かわいくないんですよ。
大久保
想像したらおぞましいです。
伊藤
ほんとそうだけど、
それは私は見えていないじゃないですか。
眠っていたから。
大久保
まあ、確かにね。
いくつのときですか、それ。
伊藤
3年ぐらい前(笑)。
40何歳ぐらいのとき。
大久保
40すぎの娘のそれはきついですよ、ほんとに。
伊藤
嫌ですよねえ。

▲ビールといえば枝豆!
ちょっと塩を強めにふって、
ざるにのせれば夏気分いっぱいです。

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