未分類カテゴリー記事の一覧です
DRESS HERSELFのシルク
大人のTシャツ。
年を重ねるごとに、
だんだんとTシャツが似合わなくなってきました。
20代の頃だったら、
まっしろTシャツにデニム、
ちょこんと赤いリップ。
ただそれだけでも十分だったのに!
それでも、
あのシンプル極まりない形が好きで好きで。
どうしたら着こなせるのかな。
大人のTシャツってなんだろう?
ここ数年、
そればかりを考えてきたような気がします。
素材は質のよいものを。
首回りをきれいに見せてくれる襟ぐりに。
スカートやパンツにインしても、
すっきり見えるものを。
少し光沢があるといいなぁ。
‥‥そんな思いを形にしてくれたのは、
新潟のドレスハーセルフというブランドです。
できあがったTシャツは全部で3色。
着心地も、また見た目のよさも。
「大人のTシャツ」として、
大満足の仕上がりになりました。
どうして新潟なの?
ドレスハーセルフってどんなブランド?
9月22日(日)からは、
広報をつとめる深澤絵さんに、
ブランドの成り立ちや魅力をうかがいます。
Tシャツ以外にも、
着心地のいい大人の服をご紹介します。
そちらもどうぞおたのしみに。
ニューヨーカーとSAYAKA DAVIS (3)Annika Inezさん
Annika Inezさんのプロフィール
アニカ・イネズ
スウェーデン出身のアクセサリーデザイナー。
Annika Inezのブランド名で
コンテンポラリーなコレクションを展開。
日本のセレクトショップなどでも取り扱われている。
身長172センチ、着用サイズF。
「シンプルなデザインだけれど、
ユニークなカットが施されていたり。
そういう控えめだけれどインパクトがあって、
小さなディテールを感じるものが好き。
だからこのドレスを見たときに、
私のスタイルだって思いました」
172cmのすらりとした長身に、
ネイビーのワンピースをまとったアニカさん。
着丈が足首上になるため、
足元にはボリュームのある
アンクルブーツをコーディネート。
ブーツはNYのファッションブランド、
A Détacherのもの。
スウェードの太いストラップを
足首に巻きつけて履くという、
こちらもまた“ディテール”を感じるアイテムです。
普段着はパターン化し、
「ユニフォームみたいになってきている」とアニカさん。
好んで着るのはワンピースや
ジャンプスーツ(オールインワン)。
冬だったらデニムとドクターマーチンの靴。
髪型はほぼまとめ髪。
「クリーンなスタイルが好きなんです。
NYではエフォートレスに見えることが大切。
すごくがんばっておしゃれしてる、
というふうに見られるのを好まない。
でも実際はエフォートレスであるために、
別の努力をしてるんですけれどね(笑)」。
ワンピースは、真夏を除いた
スリーシーズン楽しめるものを目指したとサヤカさん。
アニカさんも「サンダルと合わせてもいいし、
ブーツを履いてもいい。仕事に着ていくこともできれば、
マーケットに着ていくこともできる。
もちろんディナーにも。
いろんな用途がすぐに思い浮かびました」と答えます。
「シーズンレスな服。冬だったら、
ざっくりとした大きめのニットを
合わせてもいいなと思いました」
合わせたアクセサリーは、
自身の新作コレクションからブレスレットとピアス。
ニュアンスのある円形のブレスレットは、
シルバーと14金のゴールドフィルドという
2素材を組み合わせたデザイン。
ゴールドフィルドは金メッキよりも色あいがライトで、
黄味が控えめ。ゴールドならではの派手さがなく、
肌や服にしっくりなじむといいます。
耳たぶを包み込むような、柔らかな表情のピアスは、
「ワンピースのラウンドネックが素敵だったので、
同じラウンドシェイプのピアスにしました。
アクセサリーを服に合わせるとき、考えるのは形の相性、
そしてバランスですね」とアニカさん。
コーディネートのコツとして、もうひとつ、
こんな名言を教えてくれました。
「とある有名なフランス人のデザイナーが
言っていたんです。
『出かける前に鏡を見て、何かひとつを取り外すといい』
ってね」
鏡を覗いて、冷静に、自分らしい均衡を取り戻す。
エフォートレスな装いは、そうして生まれるのです。
ニューヨーカーとSAYAKA DAVIS (2)Raia Wasさん
Raia Wasさんのプロフィール
ライア・ワズ
ブルックリンを拠点に制作活動を行うミュージシャン。
ジャンルは、インディーR&B。
9月にデビューアルバム
「Angel I’m Frightened」を発表。
身長157センチ、着用サイズF。
自宅アパート内にあるスタジオで音楽制作を行う、
ミュージシャンのライアさん。
「私は会社勤めのような働き方ではないけれど、
自宅で仕事に取りかかるときは、
いつもちょっとだけドレスアップをするようにしています。
自分自身のためにね。
私をインスパイアしてくれるものに、身を包みたい。
だからラクな部屋着は着ません」。
スタジオで作業をし、たまにキッチンでお茶をいれ、
またスタジオにこもる。
そんなライアさんの長い一日に不可欠なのは、
一日中気分よく着ていられる服。
SAYAKA DAVISのワンピースは、
まさにそんな一着だといいます。
「グラヴィティ(重力)を感じる」
ワンピースをそう表現するライアさん。
心地よいウェイトを体感するのは、
密に織られた生地のため。
「心地よいだけじゃなくて、
自分自身を大地にしっかりつなぎとめてくれるような、
そんな重みです」
もうひとつ気に入っているのは、
手首に届かない短めの袖。
折り返しても楽しめる長めのカフスがアクセントです。
「背が低いので、服の袖が長すぎることがあるんです。
でもこの袖ならパーフェクト。
ワンピースの裾から足首が覗くところも気に入ってます」
ちなみにこれはサヤカさんの、緻密な計算によるもの。
ボリュームのあるロングワンピースのため、
足もとや手もとの肌が見えるデザインにし、
軽さを意識したといいます。
ライアさんが選んだワンピースの色は、
「もちろん黒! だってニューヨーカーだから」。
シックで上質な黒。
それがニューヨークの色なのだそう。
街の景色は、人が作る。
そういう意識で色やデザインを吟味し、服を選ぶ。
ファッションにはそんな楽しさもあるということ。
ちなみに、日本を訪れたことがあるライアさん。
東京の街はどんな色に見えましたか?
「原色──。
赤と赤、黄色と黄色、ブルーとブルーが、
カラーブロックみたいに配色されてる街。
それからたくさんのグレーも。
東京の色は、刺激的だと思います」
普段ライアさんが好んで着る服は、
ヴィンテージが多いそう。
「時間を経ているものが好き。
誰かから誰かの手に渡り、経年したものには、
味わいがあります。
ただの“物”ではなく、佇まいのあるものを身につけたり、
自分のそばに置いたりしたい」
だからこの日、ワンピースに合わせて身につけたのは、
祖母と母から譲り受けたピアス。
「世代を経て、積み重ねられた女性の英知を感じるんです。
もちろん母のことも近くに感じられる」
ゴールドの輝きは、漆黒のワンピースに気品を添え、
そのエネルギーは、ライアさんのクリエイティビティに
ひらめきを与えています。
ニューヨーカーとSAYAKA DAVIS (1)緑川麻香さん
緑川麻香さんのプロフィール
みどりかわ・あさか
2002年よりブルックリン在住。
ファッションブランドdosaにて働く。
夫はアパレルでデザイナーをしている
Glenn(グレン)さん。
身長158センチ、着用サイズS。
麻香さんが選んだのは、ネイビーのオールインワン。
「とても着やすいです。洋服をチョイスするときは、
動きやすさや、肌へのなじみやすさが大事。
肌にぺったりくっついてしまう生地は苦手です。
でもこの服にはそれがなくて、着心地がいい」
そんな麻香さんの言葉を受け、
デザイナーのサヤカさんが
着心地の秘密を教えてくれました。
「レーヨン100%の生地だけれど、密に織ってあるので、
とてもハリがある。だから肌に張り付かないんです。
撚りの強い糸を使っているので、
レーヨンなのにマットな光沢があるのも、
この生地の特徴です」
流行は追わなくなった、と、麻香さんは話します。
「(流行のものは)すぐに飽きて着なくなってしまうので、
もったいないから。
せっかく洋服を買うなら、長く着られるものがいい。
同じ服を、長く、よく、たくさん着たいです」
ワードローブを占めるのは、
黒、紺、白、茶など好みのトーンの服。
ネイビーのオールインワンも、もちろんそのひとつに、
すんなり加わることになりそうです。
コーディネートはシンプルに。
「考えるのは、トップとボトムのバランスだけ。
重ね着はしません」
そんな麻香さんの着こなしに自分らしさを加えるものが、
アクセサリーだといいます。
「指輪、それからブレスレット。
ピアスはしたり、しなかったり。
シルバーとゴールドの組み合わせは、
あまり気にせずつけています」
ひときわ目を惹いたのが、左手首の腕時計。
夫のグレンさんが収集している
ロレックスのヴィンテージ、
60年代のメンズモデルだそう。
クラシックな腕時計がアクセサリーとなり、
装いを一層“私らしく”しています。
「おでかけ」をイメージして足もとに合わせたのは、
ホワイトカラーのミュール。
ちらりとのぞく赤いペディキュアが、
ドキッとするほど素敵。
「普通に遊びに行くときに着るなら、
足もとはスニーカー。ピアスはしないかもしれません」
と麻香さん。
普段着にも、ちょっとしたドレスアップにも
応用できるオールインワン。
「フレキシビリティがある服って、
すごく貴重だと思います」
撮影のさなか、麻香さんが
「あっ」と小さな驚きの声をあげました。
「ポケットがついてる! しかも位置がちょうど」
そう、実はポケットは、
デザイナーのサヤカさんが大事にしているパーツのひとつ。
iPhoneもすっぽりおさまる大きめのポケットが、
左右にひとつずつ、ついています。
「アメリカの服は、
ポケットがついていない服が多いし、
ついていたとしても
届かない場所だったりするんです(笑)。
機能性があるポケット、とってもいいですね」
と麻香さん。
スマートフォンと鍵、カードやリップをポンっと入れて、
買い物に出かけたり、外で食事を楽しんだり。
ポケットが着こなしの幅を、ぐっと広げてくれそうです。
SAYAKA DAVISのワンピースとオールインワン
秋の気配。
冬から春にかけてと、
夏から秋にかけて、
1年に2回おとずれる、
服の端境期。
いったい今は何を着たらいいんだろう?
とクローゼットを前に、
戸惑うのはいつものことです。
ことに、ちょっとおしゃれをして出かけたい日は、
悩みも増すもの。
今週のweeksdaysは、
そんな時の気持ちにぴったりな、
ロングドレスとジャンプスーツを紹介します。
袖を通すとわかる、
生地のなめらかさやしなやかさ。
歩くとわかるシルエットの美しさ。
一見、とてもシンプルに見えるのですが、
身につけると、しみじみ「ああ、いいな」そう思う。
少しずつ秋の気配を感じてきた今、
手に入れたいSAYAKA DAVISの服。
ワードローブの仲間入りに、ぜひどうぞ。
パールのピアスが似合うよう。 草場妙子さんにきく、ヘアスタイルのくふう。[3]
「個性的なピアスが、
より目立つようにポニーテールにしました」
といっても、そこは草場さん。
少し抜け感のあるラフなポニーテールを
作ってくれました。
「同じポニーテールでも
タイトにするかラフにするかで
イメージはずいぶん変わるんです」
ですって。
おくれ毛に少しワックスをつけると、
きちんとしたスタイルに見えるとか。
ラフに見えるけれど、
こんなちょっとしたワザ、なるほど
勉強になります。
「ピアスのラインと、
ダウンスタイルの髪のラインを馴染ませるように」
肩の力の抜けた、女性らしいスタイルです。
質感を出すために、全体的に少しウェットに。
「ウェットヘアを作るときは、
水分を少し含んだ髪にオイルをつけて」
うしろに流しながら、手ぐしでラフに。
そんな気持ちでつけると自然な仕上がりになるそうですよ。
パールのピアスが似合うよう。 草場妙子さんにきく、ヘアスタイルのくふう。[2]
「今回の中で、
より女性らしさを感じさせるピアスですね」
と草場さん。
「ヘアスタイルもそれに合わせて、
女性らしさを感じさせるよう
ふんわりゆるりとまとめます」
きちっと束ねるのではなく、
あくまで「ふんわり、ゆるりと」がいいんですって。
「耳たぶが見えると、やわらかさが出てきれいです」
今回、草場さんの口から何度か出たのが、
耳たぶを出すかどうかの、微妙なさじ加減の話。
パールの大きさや、かがやきの分量で、
耳にかける髪の分量を決めるといいみたい。
なかなか難しそうだけれど、
せっかくパールのピアスをつけるのならば、
ぜひともそのさじ加減、
マスターしたいものです。
やわらかさと強さを併せ持ったパール。
「時にはフェイスラインにぴたっと沿わせるように、
分け目をきっちりつけたこんなスタイルもいいのでは」
と草場さん。
おくれ毛もなく、ぴっちりと。
パールできりり、新鮮です。
アイラインかわいいですね、と言うと
「ヘアスタイルにリンクさせるよう
メイクも考えると楽しいですよ」
三つ編みは一度束ねてゴムでまとめるときりりが実現。
「三つ編みをするときにスタイリング剤をつけると、
きれいに編めます」
毛先にもスタイリング剤をつけて、
パサパサを抑えて。
パールのピアスが似合うよう。 草場妙子さんにきく、ヘアスタイルのくふう。[1]
草場妙子さんのプロフィール

くさば・たえこ
ヘアメイクアップアーティスト。
熊本県出身。サロンワーク、アシスタントを経て
2006年に独立、雑誌や広告、CMなどを中心に
幅広く活躍している。
著作に『TODAY’S MAKE -UP
──今日のメイクは?──』がある。
■インスタグラム
https://www.instagram.com/kusabataeko/
「主張の強くない、女性らしい小粒なパールなので、
無造作なダウンスタイルにしてみました」
と草場さん。
Tシャツやデニムなど、
ラフなコーディネートにも合いそうです。
「無造作」を引き出すため、
スタイリング剤はあまりつけず、
ドライな仕上がりに。
「髪を耳にかけた時や、
髪の間から時おりピアスがちらりとのぞいたら、
かわいいかなと思って」
なるほど、見え隠れする小さなパールが、
なんだかいい。
さりげなく、でも女性らしくを叶えてくれる
ヘアスタイルです。
「少し離れたところからでも、つけていると分かる存在感のあるピアスだったので、
スカーフを巻く個性的なスタイルに」
と草場さん。
えらんだのは、ブルーグレーや淡い水色、紫の柄のヴィンテージのスカーフです。
センターで分けた前髪を、スカーフから少しのぞかせると
さりげなさが生まれるんですって。
「耳は、すべて隠すのではなく、
耳たぶを少し出して」
なるほど、
ラフさとデザイン性のあるヘアスタイルが生まれました。
うれしいことに、
ショートでも応用可能。
「ショートですと、
スカーフから毛先のハネがちらりと見えるので
よりニュアンスがついてかわいらしい仕上がりになります」
ピアスに合うスカーフも欲しくなる、
そんなスタイルです。
Satomi Kawakita Jewelry パールのピアス
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パールのピアス。
パールのピアスに憧れたのは小学生の時。
雑誌か何かで見た
女優さんのポートレートがきっかけでした。
服はかぎりなくシンプル。
ノーメイクに近く、
飾らぬ笑顔でたたずむその写真の中で目を引いたのが、
耳たぶからこぼれ落ちそうな、
パールのピアスでした。
はかなげなのに、
主張がある。
一粒のピアスがもたらす、
その存在感に、子どもながらに驚いたのでした。
それから数年して憧れのピアスホールを開けた私が、
まずはじめにえらんだのはもちろんパール。
10代だったので、イミテーションのものでしたが、
「耳たぶからこぼれ落ちる」
その憧れが形にできて、
それはうれしかったことを覚えています。
それから30年近く、
私の耳元といえば一粒パールのピアスばかり。
ところがおととしあたりから、
同じパールでも、
ほんの少しデザインがほどこされたものが
気になるようになってきました。
ダイヤがちょこんとついたもの、
ふた粒つらなったもの、
揺れるタイプのもの‥‥。
耳元にさらにニュアンスがくわわって、
ピアスのおしゃれがたのしくなったのです。
今週のweeksdaysは、
ニューヨークにアトリエをかまえる、
Satomi Kawakita Jewelryの
パールのピアスをご紹介します。
小さいけれど、存在感がある。
大人の女性のためのピアスが6点。
どうぞおたのしみに。
Satomi Kawakita Jewelry×weeksdays受注会 「ゆったりお見立て会」応募受付のお知らせ
伊藤まさこさんがニューヨークで出会った
ジュエリーブランド Satomi Kawakita Jewelry
(サトミカワキタジュエリー)と
「weeksdays」がコラボした受注会を行います。
詳しくはこちらのコンテンツをご覧ください。
今回の受注会では、リング、ネックレス、ブレスレットなど
500点ほどの商品がそろいますので、
そのボリュームと素敵さに、
見ているだけでもワクワクします。
もちろん直接手にとっていただいて、
ご試着いただけますよ。
そしてコラボ受注会のスペシャル企画、
抽選で当選されたお客さまだけが入場できる
「ゆったりお見立て会」のお時間を準備しました。
開店前の10:00~12:00にご来場いただき、
少人数でゆっくりご覧いただけます。
デザイナーのSatomi Kawakitaさんと
伊藤まさこさんに、商品選びの相談もできますよ。
思いもよらないアドバイスをいただけるかも。
通常の営業時間は12:00~19:00。
いらした方はいつでもお入りいただけます。
ニューヨークを拠点としているブランドなので、
東京での受注会は貴重なタイミングです。
ぜひいらしてくださいね。
■受注会日程
9月26日(木)~9月28日(土)
■開催場所
FOG 2nd FLOOR
東京都世田谷区代田5-35-1
■営業時間
営業時間:12:00~19:00
「ゆったりお見立て会」:10:00~12:00
伊藤まさこさんの在廊時間(予定):10:00~14:00
■お支払いについて
受注会でのお買い物は、
クレジットカードのみとさせていただきます。
以下をご確認ください。
————-
VISA、MasterCard、JCB
AMERICAN EXPRESS
Diners、DISCOVER
————-
現金や電子マネーなどのお取り扱いはございません。
ご了承いただけますよう、お願いいたします。
■受注品のお届け時期
受注会のお届け時期は12月中旬の予定です。
クリスマス前を目処としています。
■「ゆったりお見立て会」の抽選について
・応募受付期間
2019年9月5日午前11時~9月19日午前11時まで
・抽選結果のお知らせ
抽選の結果に関わらず、
お申し込みいただいたすべての方に、
2019年9月21日までにメールでご連絡をさしあげます。
・ご注意ください
1件の応募につき、入場できるのは1名様となります。
力強さ。
- ──
- デザインのインスピレーションは、
どういうところからやって来るんでしょう。
Satomiさんのデザインって、
どうやって生まれるんでしょう。
- Satomi
- バシっとしたものが、好きじゃないんですよね。
キメキメ、みたいなものが苦手。
ダイヤモンドセッターの仕事をしていたときに、
扱っていた指輪って、ほぼそういう感じで。
直線的で、主張が強すぎるデザイン、
私がそういうのを着けたら
子どもがお母さんの指輪をつけてる、
みたいな感じになるんです。
もっとダイヤがランダムにちりばめられていたら、
もっとリング自体に表情があったら、
すごく良くなるのにな。
そろそろ30歳を迎えようとしていた時で、
シルバーや真鍮ではなく
ゴールドやダイヤモンドという
その頃の私からしたら”大人な素材”を使用したもので
自分が実際に身に着けれるようなもの、
着けたいと思うものが市販ではなかったので、
だったら自分で作ってみよう!
そういう気持ちから、自分のデザインが生まれました。
- ──
- Satomiさんのジュエリーは、
オーガニックなデザインだとよく形容されます。
柔らかな曲線や、ぬくもりのある質感。
デザインに、心地いい揺らぎみたいなものがありますよね。
- Satomi
- アメリカにも揺らぎのあるデザインは
存在するんですけど、
ものすごくカーブがはっきりついていたりして、
揺らいでます! っていうアピールが強すぎる。
わかりやすすぎるんですね。
微妙な歪みみたいな、わかりにくいデザインは
アメリカでは珍しいのかもしれないですね。
- ──
- 伊藤まさこさんが、
「Satomiさんのジュエリーは、
とってつけた感じがなくて、すんなり自分になじむ。
しっくりくるデザインだった」
と言っていたのが印象的でした。
- Satomi
- 私のジュエリーは厚みがないので、
誰にでも身につけてもらいやすいかなと思います。
邪魔になって、気になっちゃって、
仕事や家事ができなくなるものではなく、
身につけていることを忘れるぐらい、肌になじむもの。
自分が身につけたいと思えるものを
必ず試着を繰り返しながら、制作しています。
- ──
- ファッションのジャンルや、人のタイプを選ばない。
あらゆる服装や雰囲気の人に似合っちゃう。
そういうところも、Satomiさんのジュエリーの
「すごさ」じゃないかと思います。
- Satomi
- 意図はしてないけれど、幅広く、いろんな人に
楽しんでもらえてるのかなとは思います。
あんまり気合いをいれてないからかも?
こんなんつくったる! みたいな(笑)
- ──
- あはは。ぐいぐいなのに、
そこの部分は、控えめなんですね。
「すごく小さなものなのに、
さりげなく惹きたててくれるところがすごい」、
伊藤まさこさんも、そんなふうに。
- Satomi
- ツヤ感をおさえて、ぎらぎらさせていないので、
肌になじむんでしょうね。
身につけた人の世界に、すっと入っていくというか。
- ──
- 実際に身につけてみると、
その感覚がすとんと腑に落ちてわかる感じですよね。
- Satomi
- とにかく、いろんな人に試して欲しいなって思うんです。
試してみると、「あ、意外と自分に合う」ってことが、
きっとあるので。
- ──
- Satomiさんは、受注会を定期的に行なって、
お客さんにアクセサリーをお見立てする、
というスタイルをとっていますよね?
- Satomi
- お見立てするって、すごい大事だと思うんです。
このアクセサリーいいと思いますよ、って薦めると、
「自分だったら絶対に選ばないけど、
言われてみれば、確かに似合ってる」っていう、
おもしろい発見があるんです。
- ──
- その人がまだ気づいていない、
新しい自分に出会えるというような?
- Satomi
- そうですね。
好みがすごくはっきりしている人も、
実ははっきりしすぎていて、
他のものが全然目に入っていない、
なんてことが多いと思うんです。
「そういうの、私は似合わないから‥‥」
って言われると‥‥
- ──
- 逆に燃えちゃう?(笑)
- Satomi
- そうそう(笑)。
決めつけちゃう人が多いんです。
私は指が太いから、とか、
揺れるピアスはちょっと、とか、
そんなことない、一回試してみてくださいよ、
って薦めると、
「ほんとだー!」ってなることが多いんです。
- ──
- お見立てのとき、
Satomiさんはお客さんのどういうところを
見るんですか?
- Satomi
- 全体の雰囲気と、肌の色ですね。
- ──
- この人には、これが似合うっていうのが
ピピっとわかる?
- Satomi
- 結構わかります!
- ──
- 例えば、伊藤まさこさんに会った時は、
どんなふうに思いました?
- Satomi
- シンプル。
スキっとしたものが好きなんだろうなと思いました。
ガーリーじゃなくて、クールなもの。
でもエッジが効きすぎてないもの。
クラシックっていう感じかな。
- ──
- ところでみなさん、
どういう用途やタイミングで
ジュエリーを購入されるんでしょう?
- Satomi
- ブライダル、あとは自分へのご褒美が多いですね。
1個買ったら、また1年仕事を頑張ろうとか。
資格試験に受かったら、自分のために買おうとか。
- ──
- ジュエリーが、モチベーションになる。
- Satomi
- ジュエリーを買うときって、
みなさんそれぞれに理由があるんですよね。
仕事をがんばったご褒美とか、
自分へのクリスマスプレゼントとか。
だからジュエリーを見ると、
その当時の自分や出来事を思い出すんです。
子どもが生まれた時だったな、とか
ダンナにプレゼントしてもらったとか。
ジュエリーの数だけ、ストーリーが存在する。
それが、おもしろいところです。
- ──
- 「これから、がんばろう」みたいな、
先行投資パターンもありますよね。
- Satomi
- それからもうひとつ、
ジュエリーを見につけると、
テンションがあがる、気分があがる。
そういう自己満足があります。
なにもない手もとに、1本の細い指輪があるだけで、
耳もとに、ピアスがひとつあるだけで、
不思議とちょっとうきうきするし、
背筋が伸びるような気分にもなる。
ジュエリーがもたらす効果って、
なんなんだろう?って。
セラピー的な効果も、きっとあると思うんです。
- ──
- 身につけて仕事に行くと、がんばれる気がしたり。
- Satomi
- お守り的な意味合いもあるのかもしれないですね。
ラッキーチャームっていうのかな。
よく言われるんですよ、
「Satomiさんのジュエリーを身につけてると、
力強さを感じる」って。
- ──
- 中に何か入ってるんですか(笑)。
- Satomi
- 入れてますよ!(笑) 全部に、気持ちを。
ジュエリーって毎日身につけるものだし、
洋服とは違って、もっとパーソナルなもの。
だから、つくってる人の環境がすごく大事。
「なんでこんな指輪つくらされてんねん!」
って思いながらつくってたら、
きっとそれがジュエリーにも出ちゃうと思うから。
目に見えない部分だからこそ、
気をつけなくちゃいけないって思います。
恨み、つらみを考えながら、つくらないように(笑)
- ──
- 良いエネルギーで満たす、ということですね。
- Satomi
- そうですね。
ジュエリーって、なくても全然困らないけれど、
あると生活が楽しくなるし、彩りが加わります。
本当に不思議なものだなって思います。
ニューヨークの奇跡。
- ──
- いざ、NYにあるジュエリー学校へ通い、
彫金を学んでみて、どうでした?
- Satomi
- すごく、のめりこみました。楽しかったですね。
- ──
- きっと、ガラスの時には感じなかったような
情熱だったんでしょうね。
- Satomi
- 彫金のちまちましたところ、
細かいテクスチャーをつけたり、
ディテールまで仕事ができるところが、
楽しいんですよね。
まさに、自分のペースでできるものづくり。
ガラスみたいに割れたらおしまい、じゃなくて
修理しながら使えるし、サイズも変えられるし、
ゴールドにしても宝石にしても、
使い回してリサイクルできるのもいい。
材料を無駄にしない安心感もあります。
- ──
- 子どもの頃に「膨らむもの」や
「ケミカルリアクション」みたいなものに興味があった
という話でしたけど、それはどうですか?
- Satomi
- 最初にワックス(蝋)で型をつくって、
それが最後は金属になって出来上がってくるんですけど、
その過程がおもしろいですね。
- ──
- それもひとつの“リアクション”ですね。
ジュエリー学校の話に戻りますが、
学校は、わずか6カ月で
卒業しなければいけなかったと。
- Satomi
- はい。卒業して、仕事が見つからなかったら、
日本に帰らないといけない。
だから、入学して1日目から、
学校の先生に「仕事があれば紹介して」って
お願いしてました(笑)。
- ──
- 初日から(笑)!
ボストンのときもそうでしたよね。
ぐいぐいと、前のめり。
- Satomi
- すぐ焦っちゃうんですよね。
そうして先生にしつこく言い続けてたら、
ある日「いい仕事があるよ」と。
- ──
- 言ってみるものですね(笑)
- Satomi
- その時に紹介された仕事が、
ダイヤモンドセッターだったんです。
もちろん、なんでもやりますがな!って、
緊張しながら面接に行きました。
- ──
- ダイヤモンドなどの石を、
指輪などのアクセサリーに留める仕事ですね。
- Satomi
- 別の日本人が働いていたんだけど、
帰国することになって空きができて。
会社のボスとしては、もう誰でもいいよ、
OK、OKみたいな感じで。
- ──
- あっさり合格(笑)。
- Satomi
- ところがビザのサポートはできないって、
ボスが言うんですよ。
- ──
- 困りますね。違法就労になっちゃう。
- Satomi
- それは絶対したくない。
ビザのことは全部私が調べるし、
弁護士も私が探すし、
とにかくあなたは書類にサインするだけでいいから
ビザを取らせてほしい! ってお願いして。
- ──
- あきらめない強さ。見習いたいです。
- Satomi
- それで無事にビザが取れて、
結局7年半ぐらい働きました。
ダイヤモンドセッターの傍ら、
週末に少しずつ自分でデザインした
ジュエリーをつくるようになって、
友だちや知り合いに販売しました。
だんだん口コミで広がって、
オーダーも増えていきました。
Satomi Kawakita Jewelryとして
ブランドを設立したのは2008年です。
- ──
- 自作のジュエリーが入った小さなスーツケースを、
ごろごろと自分で転がして、
NYのいろんな店へ営業に行った、と聞きました。
- Satomi
- 得意の行商です(笑)
でも、しんどくて、打ちひしがれてて、
もう日本へ帰ろうかと思ったこともあったんですよ。
ところが、2010年のある日、
ホームページのアクセス数が激増したんです。
調べてみたら、西海岸の著名なブロガーが、
Satomi Kawakita Jewelryを
ブログで紹介してくれていた。
そこから火がついて、
ブランドが一気に軌道に乗りました。
- ──
- あきらめず努力する人には、
ご褒美があるものなんですね。
- ──
- ジュエリーの制作プロセスを、
簡単に教えてもらえますか?
- Satomi
- ロストワックスと呼ばれる、
キャスティング(鋳造)でつくります。
例えば指輪だったら、
まずは筒状のワックス(蝋)をスライスして、
それを削って指輪の形に整えていきます。


- ──
- あっという間に、
ワックスが指輪の形になりましたね。
- Satomi
- テクスチャーをつけたいときは、
別のワックスを火で溶かして、装飾していきます。
ドットの模様だったら、小さなワックスの玉を、
指輪の土台に乗せていく感じですね。
- ──
- それにしても、なんて細かい作業。目が寄りそう‥‥。
- Satomi
- 形ができたら、業者に鋳造をオーダーします。
あがってきた指輪に、鋳造用の注ぎ口をつけて‥‥
今度はゴム型をつくります。
- ──
- ゴム型があれば、
同じ形の指輪がいくつもできるわけですね。
- Satomi
- そう。型さえあれば量産できます。
サイズだって、ワックスの指輪を切って縮めたり、
逆に伸ばしたりすれば、無限につくれるんですよ。
- ──
- なるほど。Satomiさんの“展開癖”と、
ロストワックスという技法。
ふたつの相性がぴったり合ったことで、
Satomi Kawakita Jewelryの
バリエーションの幅が広がったわけですね。
- Satomi
- そういうことですね。
- ──
- 土台の指輪ができたら、
あとは石をセッティングする作業ですか?
- Satomi
- はい。指輪もピアスも基本はだいたい同じ作業です。
はじまりは「ガラス」から。
- ──
- NYが拠点のジュエリーブランド、
Satomi Kawakita Jewelryのデザイナーとして
活躍されているSatomiさんですが、
実はスタートは、ガラスなのですよね?
- Satomi
- そうなんです。
京都の美術短期大学へ進学したあと、
地元の大阪にある
ガラス工房に通ったのがはじまりです。
息をふきこむと、ふわっと形が膨らむガラスが、
魔法みたいでおもしろいなあと思って。
もともと子どもの頃から
膨らむものに興味があったみたいです。
- ──
- 膨らむものに?
- Satomi
- カルメラってわかります?
屋台でよく売ってたお菓子。
- ──
- わかります、わかります!
おたまみたいな道具に、砂糖を溶かして‥‥。
- Satomi
- 重曹を混ぜたら、ばっと膨らむやつ。
ああいうケミカルリアクションみたいなものに、
昔からすごく惹かれてて。
橙の果汁で半紙に文字を書いて、あぶり出すとか、
プラバンも、よくつくりましたね。
(プラスチックの薄い板に絵などを描き、
オーブントースターで温め加工する工作)
- ──
- 懐かしいです。
手で何かをつくることが、好きだったんですね。
- Satomi
- そうですね、母が洋裁をしていたので
その影響があると思います。
そうそう、小学校低学年のときには、
針山をすごくたくさんつくったのを覚えています。
- ──
- 針山って、手芸用の針を刺すクッション。
そんなに数はいらないですよね?(笑)
- Satomi
- 1個あれば十分(笑)。
でもつくりだしたら、何個も何個もつくりたくなるんです。
展開するクセ。
色の組み合わせをいくつも試すとか。
- ──
- 展開癖。おもしろい。
Satomi Kawakita Jewelryも、
デザインや色のバリエーションが豊富ですよね。
(指輪だけで、約150種類のデザインがあるそうです)
その片鱗がすでに、子どもの頃から‥‥。
ちなみに、ガラス工房では、
どんなものを制作していたんですか?
- Satomi
- アート作品ですね。
もっと身近な日常のものをつくりたかったんだけど、
当時(90年代)は、グラスは安価な工業製品でいい、
という時代だったし、
工房の先生が、アメリカでガラスを勉強した人で、
スタジオガラスムーブメントの影響を受けていたので、
アート志向だったんです。
ガラスはあくまでも表現する素材である、というね。
- ──
- 20歳の頃、アメリカへガラスのワークショップを
受けに行ったのも、工房の先生の影響ですか?
- Satomi
- 先生から、「アメリカのガラスは、
日本のものとは全然違っておもしろい」と聞いて
2カ月間のワークショップに参加しました。
- ──
- 当然、授業はすべて英語ですよね?
- Satomi
- そう。でも高校で英語が好きだったから、
変な自信があって、なんとかなるやろう、みたいな。
それで、いざアメリカに行ったら、
まったく何を話しているのか、わからない!
しかも、吹きガラスでつくった作品を、
みんなの前で、英語でプレゼンしなくちゃいけなくて。
- ──
- うわー‥‥。日本人がもっとも苦手そうな‥‥。
- Satomi
- 10人ぐらいのクラスメイトの前で、
作品のコンセプトを、って言われても、
もう全然言葉が出てこなくて。
みんなの前で、3回は泣きましたね。
でも泣いたって、誰も助けてくれない。
生まれて初めての挫折でした。
- ──
- 心が折れちゃいそうです‥‥。
- Satomi
- 辛かったです。
クラスに一人、日本人の女の子がいて、
彼女は英語ができたから、どんどん輪が広がって。
果てには、アメリカで就職するみたいな話も浮上して。
それを見て、くっそーー!って思いました(笑)。
語学でこんなに差がつくのかと。悔しかった。
- ──
- 自分の中に何かが残る結果になったわけですね。
- Satomi
- 必ず死ぬまでに語学留学をして、
英語をきちんと話せるようになりたい。
そう強く思って日本に帰りました。
帰国後は、ガラス工房で働き始めました。
- ──
- 工房では引き続き、吹きガラスでアート作品を?
- Satomi
- でもつくりたいものが、全然思い浮かばないんですよ。
作品を通して、世の中に伝えたいことがあるわけじゃない。すごい違和感を覚えていました。
それと、吹きガラスのプロセスが、
自分にあってないとも思っていました。
一発勝負なので、プレッシャーを感じてしまって。
- ──
- なるほど。吹きガラスって瞬発力がいりそうです。
- Satomi
- 手芸のように、もっとゆっくり、
自分のペースで完結できるものづくりが
好きなんだと気づきました。
- ──
- 悶々としたものを抱えていたわけですね。
- Satomi
- そうこうしているうちに、ガラス工房が閉鎖して。
いい機会だから、語学留学を目指すことにしました。
アルバイトをして、費用を貯めることにしたんです。
同時期に、片手間でビーズ織りのブレスレットをつくって、
友人の店で売り始めたら、大当たりして。
- ──
- おお! なんでそんなに売れたんですか?
- Satomi
- やっぱり、デザイン?(笑)
- ──
- 普通にはないデザインだったんですね?
- Satomi
- 渋い感じの色あいとかね。
つくり始めたら、
いろんな色の組み合わせでつくりたくなって、
コレクションが膨大な量になったので、
値段を添えて、カタログもつくりました。
- ──
- おおおお、やっぱり「展開癖」がある!(笑)
- Satomi
- カタログ片手に営業して、
関西や東京の店で扱ってもらえることになって。
内職の人を5人雇いましたね。
- ──
- すごい。Satomi Kawakita Jewelryの前身ですね。
- Satomi
- 予想以上の資金が貯まったので、
アメリカに留学に行くことにしました。
当時、付き合っていたアメリカ人の彼が、
ボストンに帰って仕事を探すって言うので、
だったら私もボストンへ行くことにしたんです。
- ──
- 恋の後押しもあったんですね。バラ色の留学生活。
- Satomi
- というより、とにかく焦ってましたね。
語学を早く身につけたくて。
そして、ボストンについた初日からメイン通りを歩いて、
ガラスを売っている店を見つけては、
ガラス工房を知らないか、と聞いてまわりました。
- ──
- バイタリティーのかたまりですね。
語学だけではなく、やっぱりガラスもやりたかった?
- Satomi
- ネイティブの人たちと触れ合うきっかけとして、
ガラスという自分の武器を使う感じでしたね。
いくつかのガラス工房に連絡したら、
手伝いに来てほしいっていうところが見つかって。
工房でアシスタントをすることになりました。
しばらくしたら、そのガラス工房が、
ビザをサポートすると言ってくれたんです。
- ──
- 働くためのビザですね。
アメリカで取得するのはなかなか大変です。
- Satomi
- アメリカのビザがもらえるのは、とても大きなこと。
早速、NYの弁護士事務所まで相談しに行ったんですね。
そうしたら弁護士の人が
「その仕事、本当にやりたいの?」って。
その第一声に、「はっ」としました。
- ──
- ガラスを本業にしていくのかどうか、
ということですね。
- Satomi
- そもそも日本のガラス工房にいたときから、
迷いがあった。
一生やりたいか? いざ考えてみたら、
やっぱりガラスじゃないな、と。
- ──
- ビザが欲しくて、自分を見失いかけていた?
- Satomi
- 弁護士の言葉で、目が覚めました。
「やっぱりやめます」って言って、
その足でジュエリーの学校に見学に行ったんです。
- ──
- 急展開ですね。なぜいきなり、ジュエリーを?
- Satomi
- ガラスをやっているころから、興味があったんです。
小さいスケールのものづくりだし、
自分がつくったものを身にまとえることが、おもしろい。
ビーズでアクセサリーをつくっていた時に、
市販の金具を使っていたんですけど、
ちょっと残念だなと思っていたんですね。
金具までつくれてなんぼやな、と(笑)。
彫金を学んで、金具を自分でつくって、
やっと「オリジナル」って呼ぶことができる。
- ──
- なるほど。でもなぜ、アメリカだったんでしょう?
彫金だったら、日本でも学べそうです。
- Satomi
- 日本に帰るのは、何かを手に入れてから。
自分で「手に入れたぞ!」って思えるぐらいの
何かがないと、日本に帰りたくなかったんです。
- ──
- その時はまだ、手に入れてなかったんですね。
- Satomi
- そう。だからNYのジュエリー学校を見学に行って、
その場で入学の申し込みをしました。
- ──
- いよいよSatomi Kawakita Jewelryへの
第一歩ですね。
Satomi Kawakita Jewelry
Satomi Kawakita Jewelry
笑顔になる。
ニューヨークに行った時のこと。
「まさこさん、すてきなジュエリー作ってる人がいるの。
アトリエに一緒に行かない? きっと好きだと思う」
と友人。
食もファッションも、器も。
その友人のセンスは、
いつもとても的を得ていて信頼できるから、
「きっと好き」というジュエリーとの出会いが
とても楽しみになりました。
数日後にうかがったのは、
Satomi Kawakita Jewelryのアトリエ。
その日はデザイナーのSatomiさんの友人知人が集まる、
招待制の販売会。
これにしようかな、
それともこっち?
並んだジュエリーは、どれもさりげなくかわいくて、
欲しいものばかり。
あれこれ目移りしながら、
私が手に入れたのは
小さなダイヤがついたリング。
わあ、うれしいなぁ。
えらび終えて、ふとまわりを見渡した時、
目に入ったのは、
ジュエリーを前にする、
みなさんのそれはそれは幸せそうな顔。
そうか、美しいものは
人をこんなに幸せそうな顔にするんだ!
ジュエリーとの出会いはもちろんでしたが、
えらんでいるみなさんの表情を見られたことも、
その日の収穫なのでした。
weeksdaysでは、
Satomiさんにお願いして3日間、
会場を借りて、オーダー会を開きます。
「ゆったりお見立て会」と称して、
1日のうち2時間だけ、人数限定で、
Satomiさんと私とでお見立ても。
みなさんのすてきな笑顔に
出会えることをたのしみにしています。
あのひとの かごのつかいかた。 [3]LIKE LIKE KITCHEN 小堀紀代美さん
小堀紀代美さんのプロフィール
こぼり・きよみ
料理家。東京・富ヶ谷にあった人気カフェ
「LIKE LIKE KITCHEN」を経て、
現在は同名の屋号にて料理教室を主宰。
大きな洋菓子店である実家をルーツとし、
世界各地への旅で出会った味をヒントに、レシピを考案。
著書に『予約のとれない料理教室 ライクライクキッチン
「おいしい!」の作り方』(主婦の友社)、
『フルーツのサラダ&スイーツ
~もっとおいしい組み合わせで~」(NHK出版)
などがある。
■インスタグラム
https://www.instagram.com/likelikekitchen/?hl=ja
今の家に越してくる前は、
伊藤まさこさんとお隣さんだったという
小堀紀代美さん。
新居への引っ越し祝いにまさこさんがくれたのが、
ベトナムのかごでした。
ちょうどキッチンで調味料を入れるものを探していたので、
早速に使ってみたのだそう。
「いちばん大きいサイズが、
キッチンの流しの下にぴったり収まったんです。
お酢や料理酒などの瓶がたくさん入るし、
使うときはかごごと引き出せば、
必要なものがすぐに取り出せる。
奥のものが取り出しづらくて古くなる、
なんてこともありません。
明るい赤の色は、
扉を開けたときの見た目が可愛いのもうれしい」
小堀さんは自宅で料理教室を主宰しているので、
キッチンはお客さまをもてなす場所でもあります。
生徒さんやアシスタントが戸棚を開けることもあるため、
収納棚の中まできれいに整理できていると
気持ちに余裕が生まれるよう。
「キッチンは、とにかく清潔感が第一。
このかごは、汚れたら水洗いできるのも利点ですね」
料理教室では、季節ごとにメニューが変わります。
それに伴って、使う調味料も変わりますが、
そんなときにも、ベトナムのかごが大活躍!
「デモンストレーションは、リビングの書棚の前に
作業台を設置して行っています。
いちいちキッチンに取りに行かなくても済むように、
使う調味料はかごにひとまとめにして、作業台の横へ」
今月のメニューは中華なので、
かごの中には、ごま油や紹興酒がずらり。
「箱だと持ち運びにくいけれど、
かごはそのままキッチンへ持って行けるので、
メニューごとに中身を入れ替えるのもラク。
見た目も可愛いし、ほどよくラベルが隠せるので、
インテリアとしても生活感が出すぎず、
助かっています」
料理教室や雑誌などの撮影の前は、
野菜や調味料といった材料の買い出しも大量!
小堀さんは自分で車を運転して、
日々の買い出しに出かけます。
「買い出しの量にもよりますが、
大きなサイズのかごがやっぱり便利。
買ったものがどんどん入るし、
車から家まで、そのまま運ぶことができます」
大きなサイズのかごはほかにも、
スタジオでの撮影時に調理道具などを入れて
持って行くときや、
自宅でシーツなどを収納するのにも重宝しているそう。
「小さなサイズも、1階と2階で物を運ぶときや、
ちょっとしたお使いのときに使っています。
とりあえず物をしまうのにも便利だし」
友人知人には”かごマニア”がたくさんいて、
私はそこまでではないけれど、と言いながら
やっぱりかごが好きな小堀さん。
「ベトナムのかごというと、
東南アジアで見かける
カラフルなタイプだと思っていたけれど、
これは単色なので私たちの暮らしにもなじみやすい。
縦長ではなく、横長の形も好みです。
引き出しみたいに使えるから、
インテリアのいろいろなシーンで役にたちそう」
そう言いながら、赤い大きなベトナムのかごを持って
車に乗り込む小堀さん。
その姿を見ていると、
インテリアだけでなく、
着こなしのアクセントにもなっているようです。
あのひとの かごのつかいかた。 [2]菓子研究家 長田佳子さん
長田佳子さんのプロフィール
おさだ・かこ
foodremediesという屋号で活動する菓子研究家。
パティスリーやレストランで経験を積んだ後、
YAECAのフード部門、PLAIN BAKERYを経て独立。
心と体に優しく寄り添うお菓子は、
ひと口食べるとほっとする味わい。
著書に『季節を味わう癒しのお菓子』(扶桑社)、
『全粒粉が香る軽やかなお菓子』(文化出版局)
などがある。
■Instagram
やさしく甘いお菓子で、
心と体を喜ばせることができたら。
そんな想いを込めて活動している長田佳子さん。
作るお菓子は素朴でありながら、端正な佇まいで、
ご自身も一見、もの静かでたおやかな雰囲気ですが、
実はとっても“男前”、
お菓子を作るときの手早い動作には惚れ惚れします。
長田さんは、イベント出店ともなれば、
材料やお菓子などたくさんの荷物を一人で持って、
日本全国、どこまでも出かけて行きます。
「とにかくいつも荷物が多いので、
普段は大きなビニール素材のバッグや布バッグばかり。
天然素材のかごバッグも可愛いなあと思うけれど、
実用性を重視してしまうから、
意外と持っていないんです」
と長田さん。
「ほら」と見せてくれたのは、
唯一、持っているマルシェバッグ。
アトリエの隅で荷物入れになっているそのかごには、
大きな穴が空いていました。
「大きなサイズだと、
つい入るだけ荷物を入れてしまうんです」
という長田さんですが、
このベトナムのかごには満足しているとか。
「強度があるので、たっぷり入れても安心だし、
底が四角くて広いので、何を入れても収まりがいい。
段ボール箱に入れていたものを
そのまま詰められるんですよ」
アトリエの作業台の下に3つ並べられたかごの中には、
お菓子の材料となる小麦粉や、
仕事で使う大きなクロス類、
増える一方のレシピや資料などの紙ものが
まとめられていました。
「通気性があって湿気がこもらないから、
粉ものを入れても安心。
段ボール箱やプラスチックケースに収納していたものを
このかごに入れ替えたら、
見た目もすっきりして気持ちがいいです」
出かけるときも、活躍してくれます。
「天然素材のかごより編み目がきっちりしているから、
底から中身がもれたりする心配がありません。
また、仕上がったお菓子は
バットに入れて保管していますが、
このかごは、バットが平らなまま入るので、
納品場所への移動もラクチン」
持ち手にビニールのカバーがついているので、
たくさん入れても手が痛くならないのも
うれしいところだそう。
また、雑誌などの撮影のとき、
スタイリングも担当することが多い長田さん。
このお菓子にはあの器、というふうに、
前もって準備しておきます。
そんな撮影セットも、このかごにまとめておけば安心。
「このまま持って行けばいいだけなので、
当日、現場でアレ忘れた! なんてことが
なくなりますね(笑)。
持ち上げても箱型のままで安定感があるので、
器などの割れ物も、神経質にならずに入れられます」
いつも、ゆったりと着心地の良さそうな服を
おしゃれに着こなしている長田さん。
「リネンやコットンなどの服が多いので、
自然素材のかごを合わせると、
少しほっこりしてしまうことも。
このビニールのかごの、あっさりした感じは
全体のバランスがとりやすいですね」
ホワイトを選んだものの、
使ってみるまでは「汚れやすいかな?」
と心配していたそうですが、
実際に使ってみたら、気にならなかったとのこと。
働き者の長田さんにとって、
ベトナムのかごがよき相棒となっていることは
間違いないようです。
あのひとの かごのつかいかた。 [1]TEALABO.t 主宰 武内由佳理さん
武内由佳理さんのプロフィール
たけうち・ゆかり
老舗日本茶専門店に勤務後、料理家のアシスタントを経て、
中国茶や、オリジナルのブレンドティーを中心に、
「心と身体を整える茶」を提案するTEALABO.tを主宰。
全国各地のイベントやギャラリーショップなどにて、
出張喫茶やお茶会などを開催し、
お茶の魅力を伝え続けている。
■インスタグラム
https://www.instagram.com/t.tealabo/?hl=ja
お茶というと、お茶室で正座して
お茶碗を回しながら飲むスタイルを想像するでしょうか。
それよりももっと気楽に、気軽に、
幅の広い楽しみ方ができるのが、
最近、ぐんと注目度が上がってきている中国茶です。
TEALABO.t の武内由佳理さんは、
中国茶を中心に、
自分でブレンドした茶葉を販売したり、
イベントや食事会に出向いてお茶をサービスしたり、
そんな活動をしています。
仕事のメインは出張喫茶、というスタイルのため、
いつも荷物はパンパン。
「茶葉や茶器など、
軽いけれどかさばるものが多いんです。
送ってしまえば楽なんですが、
なんだかんだと手持ちのことも多くて」
そんなときに、ベトナムのかごを使ってみたら、
とても使い勝手がよかったと言います。
「強度のあるビニール素材なので、
中身が守られているような安心感があって。
重い荷物を手にかけると、
くいこんで痛くなってしまいますが、
このかごは、持ち手がぎりぎり
肩にかけられる長さなのもいい」
3サイズのうち、いちばんよく使うのは
真ん中のサイズとのこと。
「ファーマーズマーケットへ
野菜の買い出しに行くことも多いのですが、
このサイズだと、たっぷり入って重くなりすぎません」
同じサイズを「ちょっとそこまで」というときも、
重宝しているのだそう。
いちばん大きなサイズと小さなサイズを
入れ子にするのも、武内さん流の使い方。
「納品する茶葉を詰めた小さいサイズのかごを、
大きなサイズに重ねて持って行きます。
大きなサイズのなかでの小分けに、
小さなサイズを使う感じ。
出張先ではバラして、
それぞれを商品のストック場として利用し、
納品後は空になったかごに、お土産を詰めて帰れます」
中を見せてもらったら、
まるで引き出しの中のように、
美しく整理整頓されていました。
割れやすい茶器は箱に入れてから、かごの中へ。
小さなかごの中には商品類がぎっしり。
隙間に、クロス類が入っています。
これなら中身がぐちゃぐちゃで迷子になることもないはず。
外でのお茶会も、武内さんが提案していることの一つ。
冬はお湯を沸かす道具と茶葉と茶器を持って。
夏は、水出ししておいたお茶と茶器を持って。
ご主人とも、散歩がてらよく外でお茶を楽しむのだそう。
「家の近所にお気に入りの場所があるんです。
大きな川の河原で、のんびりお茶を飲んでいると、
疲れも癒されて、心底ほっとします」
この日もベトナムのかごの中に、
前日に茶葉と水を入れておいた
水出し茶入りのペットボトルと、
箱に詰めた茶器セット、白いクロス、
お茶受け用のパイナップルを入れて、河原へ。
ベンチの上にクロスを敷いて、ささっと茶席を作ったら、
なんとも優雅なティータイム。
「このかごは、汚れたらさーっと水洗いできるので、
気兼ねなく地面に置けるのもいいところ。
ピクニックやビーチに持って行くにもよさそうですね」
お気に入りをかごに詰めて、近くの公園へ。
次の週末は、そんなお出かけを楽しんでは
いかがでしょうか。
ベトナムのかご
気兼ねなく。
買いものに、
お出かけに、
家の中でも。
いろんな場所で、
いろんな使い方で、
一年中、活躍するかごですが、
とくに出番が多いのが、
今の季節のような気がします。
最近、気がつくと手に取っているのが、
このテープで編まれたベトナムのかご。
軽くて丈夫。
汚れたらじゃぶじゃぶ洗える働きもの。
かわいいだけじゃない、
「気兼ねなく使える」というのは、
道具として最高ではないかと思っています。
今週のweeksdaysは、
去年の秋、とても好評だった
ベトナムのかごをご紹介。
白とグレーにくわえて、
キュートな赤も。
街歩きにもよさそうな小さなサイズも登場します。
明日のLOOKBOOK、
どうぞおたのしみに。
母の眠り、子の眠り。
薄暗くした部屋のなかで目をこらして、
ベッドにそっと近よって、娘の顔をのぞき込む。
呼吸する音はあまりにも小さくて、
耳を澄ませても聞こえてこない。
毎度のことなのに、そのことにちょっとドキドキして、
今度はおなかのあたりに手をあててみる。
そして、やわらかに上下しているのを確認して、
いつもほっとする。
心配しすぎ、と夫にはいわれるけれど、
心配なのだから仕方ない。
まだ一歳に満たない娘が寝ているとき、
夜はもちろんお昼寝のときも、
ついこんな行為を、わたしは繰り返してしまう。
昨年末に第一子が生まれた。
初めてのことづくしで、あたふたしてばかり。
けれど、その初めてのことに、驚いたり感心したり。
そんな経験をさせてくれる娘の存在は、
今ではわたしの日常の大半を占めている。
そんな日々のなかで、とくに眠りについて、
驚くことが多々ある。
まずは、眠っているときの赤ん坊の姿勢。
脚がカエルのように開いているのが
赤ん坊の股関節にはいいらしく、
仰向けになっているときも、
自然と外側に膝を曲げて大きく開いている。
そして腕も曲げて、脚と対称になるように大きくバンザイ。
いつもあまりにも気持ち良さそうに
その格好で寝ているので、一度真似てみたことがある。
わかりきっていることだったけれど、
からだの硬いわたしは、股関節は痛く、
腕は痺れるだけだった。
もうひとつ。
寝返りを自由にうてるようになった6ヶ月以降、
夜は静かに眠っていることがほとんどなのだけれど、
深夜、寝相がとてつもなく乱れる時間帯がある。
ベビーベッドの柵がガッチャンガッチャンと鳴り響く音が、
隣の夫婦の寝室にまで聞こえてくる。
娘が産まれてから、深夜の授乳のために
眠りが浅くなったわたしは、
毎度、その音にビクッと目醒めて様子をうかがいにいく。
ミルクを欲して起きたのかと思いきや、
娘はベッドの中でぐっすり。
思いがけない位置で、
たとえば、柵にへばりつくように寝ているのだった。
六畳の和室で寝かしたときは、
六畳を運動マットとみなしているかのように、
端から端まで縦横無尽に
(真ん中に敷いたおとなの布団を乗り越えて)
寝返りで動きまわっているのを夫が目撃し、
眠い目をこすりながら思わず笑ってしまったらしい。
一方、わたしは出産を経て、
眠りの質がすっかり変わってしまった。
眠りが浅くなっただけでなく、寝相もすこし変わった。
妊娠中はおなかを圧迫してはならないので
うつ伏せができなかった。
そもそもうつ伏せ寝の習慣はなかったのに、
してはならないとなると、
不思議なほど無性にうつ伏せが恋しくなってしまった。
そのせいか、出産後は待ってましたとばかりに
うつ伏せで寝るようになった。
そうすると、こころなしか安心感が増し、
よく眠れるのだった。
頬が布団やベッドに吸い寄せられて、
密着度が高まるからだろうか。
ところで、娘は寝心地がいいとか悪いとか、
どの程度感じているのだろう。
赤ん坊の寝返りなどの寝相の悪さは、
眠りがとても深いときに起こることらしく、
よく眠れているという証なのだそう。
仰向けに両手両足開いて寝ている姿も、
いかにも無防備で安心しきっている感じがする。
抱っこ紐で縦に抱かれて眠ることもよくあるが、
おとなはこの状態で眠れるのだろうかと、
そんなあり得ない想像をしてみたりもする。
おとなと赤ん坊の眠っているときの姿勢や、
どんな場所で眠るかといった違いは、
周囲を、この世界をどれだけ無条件に信頼しているか、
という違いなのかもしれない。
眠りが浅いので、
すこしでも心地よく眠れるように心掛けている
母としての日々。
赤ん坊の眠りの深さを見習って、
眠りの環境の信頼度を高めてみようか。
まずは、頬ずりしたくなるような安心感たっぷりのシーツを
探しだしたいと思うのだった。
トンネル。
ふだんから暗いところも狭いところも平気なのに、
車を運転していてトンネルにさしかかると、
なぜか僕はちょっぴり緊張する。
特に長いトンネルを走っていると、
オレンジ色の照明が単調なリズムを刻むだけの景色が
続くものだから、
なんとなくグルグルと同じところを
回り続けているような気がしてきて、
そのうち、もしかすると
この光景がずっと繰り返されるんじゃないだろうか、
このまま永久に僕は外へ出られないんじゃないだろうか
なんてことを、ぼんやり頭の隅っこで考え始めるのだ。
妄想とはわかっているのだけれども、
それでも僕はゆるいカーブを曲がるたびに、
トンネルの両側にときどき現れる道路標識や
距離を示す看板の数字が
少しずつ変わっていることを頼りに、
ほら僕は世界の奇妙な裏側へ
紛れ込んでしまったわけじゃないぞと
自分を納得させようとするし、
遙か遠くに出口から差し込む光が見えてくると、
ようやくそのことを確信してホッとする。
眠ることは、そんなトンネルに似ているような気がする。
眠りは、今日と明日をつないでいるなんとも奇妙な時間で、
入口はわかるのに出口がいつ現れるのかは、
トンネルと同じように、
そのときになってみないとわからない。
僕は眠ることが大好きだし、
できればもうずっと布団の中で暮らしたいと
思っているくらいなのに、
どこか眠ることへの戸惑いのようなものがあって、
夜遅くベッドで横になるときには、
このまま永久に目が覚めなかったらと考えるし、
目を覚ませば、眠りについた自分といま目覚めた自分が
そのままつながっていることを不思議に感じてもいる。
きのうの自分ときょうの自分をつなぐ
眠りというトンネルをくぐり抜けて、
何とか僕は僕自身でいることを
保っているつもりなのだけれども、
本当に今のお前はきのうのお前と
ひと続きなのかと問われたら、あまり自信はない。
なにせ僕は自分が眠った瞬間から、
目を覚ますまでのことを知らないのだ。
もちろん夢は見ているけれども、
眠っている時間は、
僕にとっては存在しない空白の時間で、
その間にこっそり記憶が入れ替えられ、
世界のすべてリセットされていても
きっと僕にはわからない。
眠っているとき、つまり夢の中にいるとき、
僕には自分が夢を見ているのだという自覚はないし、
いま自分は夢を見ているのではないかと疑ったこともない。
どれほど奇妙に歪んだ世界でも、
そのときには現実として、
ただ受け入れているだけだから、
もしも夢の中から抜け出せないままでも、
僕はそのことに気づかないだろう。
ということは、今ここでこの文章を書いている僕だって、
本当は夢の中にいるかもしれないし、
そして、それを確かめる方法はどこにもない。
それでも僕にとって眠ることは喜びだ。
体を横にして目を閉じ、
明日の自分につながっているはずのトンネルの中へ
ゆっくりと潜っていくのはたまらなく心地いい。
たとえどれほど奇妙な世界に閉じ込められることになっても
それはそれで構わないように思う。
じつを言えばトンネルのどちら側も夢で、
僕はただ夢の中から別の夢の中へと
移動しているだけなのかもしれないのだから。
悪夢の頻度。
旅館やホテルに宿泊して、自宅に戻ってくると、
生活感に圧倒される。
がっくりくるというより、
ここに人が住んでいます! と主張する
空気の濃さに完敗する感じ。
整頓魔ではないものの、親しい人が訪ねてきて
OKな程度には片付けているのに。
とくに、寝室に入るとどこかに
自分の分身が潜んでいるんじゃないかと思うくらいだ。
換気、掃除をし、
空気清浄機がまわっていても逃れられない。
よほど神経質なのかと思われそうだけど、そうではない。
こと睡眠に関しては、無頓着だ。
基本的に、どこでも寝ようと思えば寝てしまう。
睡眠環境についても、
枕が変わって寝られなかったという話をきけば、
「じゃあ枕を外して寝ればいいじゃない」
とギロチンにかけられそうな返事をしてしまう性質である。
仕事が立て込んでくると机の上で、
さらには机の下の床で寝ていることも多い。
こんなことを言うと優しい方からは心配されるが、
基本的にはベッドの上で寝ているので安心してほしい。
ただ、夢をみることはあまりない。
みても悪夢しかない。
悪夢は、自分のなかで力を入れている作品に
取り組んでいるときに多い。
みている間は辛いけれど、
「手応えあり」のサインなのだ。
悪夢は吉兆である。
とはいえ、そんな状態が続くと寝た気はしない。
さて、唐突だが、私は長年修道女に憧れている。
現世のしがらみがあるので現実では無理なのだけど、
睡眠環境だけでも真似したいと思って修行している。
写真集で見た小さな女子修道院の、
いかにも体が痛くなりそうな
木のベッド(マットレスなし)に寝られるようになりたい。
そう思ってここ数年は床に
5センチ程度の薄いマットをひいて、
手製のシーツをかぶせ、
その上に寝るという睡眠修行をしている。
すると、修道女に近づけたのかはわからないが、
悪夢を見る回数が減ったのだ。
不思議に思って、もとのベッドで寝てみると悪夢をみる。
寝心地はベッドの方がいいに決まっているのになぜ‥‥。
非理系人間である私は、
悪夢の頻度は体の下にあるマットレスの厚みに関係すると
仮説を立てた。
ベッドの、持ち上げられないほど重く
分厚いマットレスには、
いままでみてきた悪夢が貯め込まれているのだ。
反対に、ペラペラのマットは起床後は立てかけて
乾燥させてしまうので、悪夢が貯まる余地がないのだろう。
いまはこのふたつの睡眠環境を使い分けている。
夜寝るときは修道女をめざしてペラペラのマットで休み、
昼寝と病気のときはベッド。
悪夢をマットレス型の貯蔵庫から引き出すたびに、
さあ今回も腕を振るうぞと元気に
(他人からみるとげっそりして)目覚めるのである。
fog linen workのベッドリネン
眠りをきちんと。
ぐっすり眠り、
すっきり起きる。
1日を気分よく過ごすために、
睡眠をきちんと取ることはとても大切です。
おふとん、枕、ベッドマット‥‥。
ベッドまわりのものは
いろいろあれど、
私がとくに大切に思っているのが、
ベッドリネンです。
肌に直接、触れるものだから、
さらりとしていて気持ちのいいものがいい。
いつでもこざっぱりといられるよう、
さっと乾くものがいい。
今週のweeksdaysは、
fogのリネンを使ったベッドリネンを紹介します。
ボックスシーツはfog従来のものを。
コンフォーターケース(おふとんカバー)と
ピローケース(まくらカバー)は、
それより薄手のものにし、
さらに軽く、気持ちいいものに。
あつい夏も、
これさえあれば。
どうぞ洗いざらしのリネンの質感を
たのしんでください。
