Half Round Table

壁に寄せて使うことを想定した、半円形のテーブルです。
時々目にするアンティークの装飾的なものではなく、
今の暮らしに似合うシンプルで形の良いものを‥‥、
そんな思いからスタートし、
普遍的な存在を目指してデザインしました。
脚は先に向かって少しずつ細くすることで、
接合部の太さは確保しながらも、
野暮ったくならないようしなやかに。
脚と脚をつなぐ幕板という部材は、
無垢の板を蒸して曲げ、成形しています。
削り出すより木材の無駄がなく、
繊維がつながっているので強度を保ちます。
天板の形は、完全な半円では両端が尖って見えるので、
僅かに中心点をずらし、形を整えています。

小さなテーブルとしてランチやお茶をいただいたり、
お花や写真、キャンドル、本などのディスプレイをしたり、
使い方を限定しないので壁面に色を添えて、
生活の中に楽しさがプラスされます。
また、カラーリングのテーブルは使い方により、
角が擦れて木地が見えてきます。
無垢材ですのでその見え方も味わいとなり、
いっそう生活に馴染んでくれると嬉しいです。

サイズは、部屋の片隅に置いて、
自分だけのスペースを作れるようにと設定しました。
高さはダイニングテーブルの高さなので、
椅子を合わせて
デスクやドレッサーとして使うこともできます。

色と材質で２つのタイプがあります。

「ナチュラル」の素材は、北海道産ミズナラ無垢材。
落ち着いた茶色で、ナラ固有の美しい木目があります。
適度な硬さがあり、加工でも扱いやすい、
とても素直な木材です。
表情も豊かで家具材として加工がしやすく
美しい仕上がりになるため、
過去には多くの道産ナラ材が切り出され、
海外への輸出もされてきました。
風格のある家具に仕上がる、魅力的な木材です。
また、柾目面に「虎斑(とらふ)」と呼ばれる
模様が現れるのも特徴です。

仕上げは、ドイツ・LEMKE（レムケ）社の
天然亜麻仁油をベースにしたオイルを塗り、
季節によって変わりますが、４～５日程乾かします。
これを２回繰り返し、
最後に蜜蝋ベースのワックスで磨き上げています。
表面に塗装膜はつきませんが、
木目の中に染み込んだオイルが木を保護し、
時間がたつにつれて深みのある色に変化します。
お手入れをしながら使う、
育てる楽しみがあるのも魅力です。

「ブラック」の素材は、北海道産イタヤカエデ。
導管が太く木目が明瞭なナラに対し、
イタヤカエデは目がきめ細かく緻密な木。
その特徴から、ブラック仕様の木地には
イタヤカエデを採用しました。
塗料にはドイツ・AURO（アウロ）社の
水性自然塗料を採用。
「サスティナビリティの追求」を
最重要テーマに掲げるAURO社は、
植物化学のスペシャリストが集まり、
天然原料だけを使用した製品の開発を行っています。
ツヤを抑えた滑らかな黒は、
しっとりとした落ち着きと深みを感じられる仕上がりです。

無垢材は様々な表情を持っています。
板目・柾目という木目の出方をはじめ、
枝が伸びていた証の節、
地中の鉄分を吸い上げることによって現れる
金筋（かなすじ）、
生えていた環境によって現れる
多様な杢（もく・特徴的な木目を総称した言葉）など。
人為的な変色などを除き、
もともと木が持っている特徴（節や金筋、杢など）は
全て木が生きてきた証と捉え、生かしています。
プリントや突板ではない、
本物の木の魅力がそこにあると考えています。
（北の住まい設計社）