REPORT

Half Round Table
あのひとのつかいかた
3・吉川修一さん

「weeksdays」と「北の住まい設計社」の新作家具、
Half Round Table。
ナチュラル(ミズナラ)とブラック(イタヤカエデ)、
ふたつの色、ふたつの素材、
どんな人がどんな場所で使ってくださるだろう‥‥と、
こんな3人に、まずは使ってみていただきました。
家具を持ち込んでの体験取材に応じてくださったのは、
フラワーデザイナーの市村美佳子さん、
キュレーターの清水彩さん、
ファッションブランドを主宰する吉川修一さんです。

(取材・文=伊藤まさこ)

吉川修一さんのプロフィール

よしかわ・しゅういち
株式会社STAMPS代表。
1965年東京生まれ。茨城育ち。
大学卒業後、数社のアパレル企業で営業、
マーケティングと店舗開発に携わる。
国内外のファッションとものづくりに触れた経験から
2013年にSTAMPSを設立。
「STAMP AND DIARY(スタンプアンドダイアリー)」や
「utilité(ユティリテ)」などの
オリジナルブランドの制作のディレクションから
フランスのバッグ「TAMPICO(タンピコ)」や
英国の「OWEN BARRY(オーエンバリー)」、
「Wallace#Sewell(ウォレス アンド スウェル)」など
インポートブランドのセレクトまで手掛ける。
最近ではアパレルにかぎらず、
日々を豊かにする「もの」全般を取り扱っている。
「weeksdays」では「あのひととコンバース。」に登場。

●STAMPS オフィシャルウェブサイト


「はじめて見た時、
置かれた時の安定感にまずびっくりした」
という吉川さん。

「見た目に重量感があるので重いのかなと思ったら、
そんなこともない。
家具の移動が好きなので、
それが苦にならないんです」。

家の中の模様替えはもちろん、
家からオフィスへ、
オフィスから箱根の別宅へ。
家具を移動して、気分を変えるという吉川さんにとって、
「重さ」というのも、大切にしているポイントのよう。

「それから、どこに置いても収まりがいい」
と言って見せてくれたのは、
ご自宅の玄関に置かれた様子。

ラウンドテーブルを見た時、
まっ先に「玄関に置こう」
そう思ったんですって。

「小包や手紙などを受け取ったら、
まずはここへ。
郵便物を広げたら、
またテーブルの上を片づけて、
きれいな状態にする。
何かの中継地点のような役割もしてくれます」

「それから、
季節ごとのしつらえを見せても」

外国の家の玄関を開けると、最初に目に入るのは、
額やリースなどが置かれた、
コンソールテーブル上のデコレーション。
靴箱が置いてある日本の住宅事情では
なかなか難しいと思っていたけれど、
このテーブルだったら叶うかも。
玄関を開けた時の印象って、とても大事です。

こちらは、オフィスの入り口。

私たちが訪れたのは、
ちょうど展示会のシーズン。
芳名帳とハンドジェルを置いた
テーブルが出迎えてくれました。
立ちながら名前を書くのにちょうどいい高さです。

「あまりに馴染みすぎて、
スタッフが新しいテーブルがきたことに
気がつかなかったほど!」
と言うほど、しっくり。
そして、あつらえたかのようなジャストサイズ。

「棚を置けば、じゃまになってしまうし、
ネストテーブルだと高さが足りない。
あっちを立てれば、こっちが立たず。
世の中には、たくさんのいい家具があるはずなのに、
ちょうどいいのが今までなかったんです」

「それからこのテーブルのよさは、
上にものを置くと背景ができて、
空間が一枚の絵のようになるところ」

「座る」とか「ものを収納する」とか。
用途のはっきりした家具ももちろん必要だけれど、
飾るための家具があってもいい。
このラウンドテーブルって、
そんなことを思わせてくれる家具なんです。

北の住まい設計社とは、
長年のおつき合いという吉川さん。
旭川の工房をたびたび訪れては、
もの作りの背景や、家具作りに向き合う様子を、
つぶさに見てきたとか。

「さすがだなぁと思いました。
鋳型で作ったような正確さなんですけど、
機械的な感じがせず、
そこに人の温もりが感じられる。
一生ものという言葉がしっくりくるものだな、
ということをこのテーブルが語っています」

家具を愛する吉川さんの言葉を聞いていたら、
ますます愛着が湧いてきた。
そう、このテーブル、
本当に「一生もの」なんです。

2023-01-18-WED