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trippenの8足の靴

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trippen、8足の靴。

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「おしゃれは足元から」なんて言いますが、
本当にその通り。
足元が決まっていると、
その人自身がかっこよく見える。
靴っておしゃれのまとめ役のようなものだと
思っています。
世の中に靴好きはたくさんいますが、
私もそのひとり。
クローゼットにはたくさんの靴が並んでいます。
新しい靴を買うとそれはウキウキした気持ちになるもので、
服より「この靴を履きたいから」と、
靴優先のコーディネートを考えることもしょっちゅう。
でもね、「履きたい靴」は、
ヒールがあったり華奢すぎたり。
時として歩きづらくもあるんです。
夜、レストランに行く時に履く、
というのならいいのですが、
仕事で街を歩き回らなくてはいけない時だってある。
さあ、どうする?
この靴問題は私にとって長年の課題でした。
ところが2年ほど前に、
おしゃれの先輩に誘われてトリッペンの展示会に行った時、
出会ったんです。
「おしゃれでかわいい」と「歩きやすい」。
その両方をかなえる靴が。
ずいぶん前から知っていたブランドのはずなのに、
ちゃんと見ていなかった。
まさかこんな近くにあったなんて!と
目からウロコが落ちた気分になりました。
今回、トリッペンが作ってくれたのは全部で8足の
履くだけでなんだかうれしくなっちゃう靴。
おしゃれの仕上げにいかがですか?

「もの」から「こと」へ。

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伊藤
ものを売る以外で、
ネットで見れるからこその楽しい買い物って、
糸井さんはなんだと思われますか?
糸井
やっぱり、ものじゃなくって、
一緒にいる時間に価値がある、
っていうことかもしれないね。
まさこさんも、単純なおもしろさ、
それこそ動物的に考えてやりたいことがあったら、
「あ、これやりたい!」って思えばいいんだと思う。
伊藤
これをしたら仕事になるんじゃないかっていうより、
普段楽しく過ごしてるうちに
「あっ」って思いついたことを‥‥。
そうだ、「旅行」にも興味があるんです。
糸井
旅行ね。
旅行は「仕事としてじゃなく」と
腹をくくればできるよ。
じつは、旅行を仕事にするというのは、
ほんとうにたいへんなことだから。
ただ楽しい体験を提供したいのだったら、
現地集合現地解散にして、
イベントだけを楽しむとか。
伊藤
なるほど。
糸井
イベントは、何人集まるかの
イメージが作れたら、できますよ。
つまり、50人集まればできるんだなっていうことと、
1000人必要なことと、
10000人必要なことは、全部違う。
「ほぼ日」の「野球で遊ぼう」というイベントは、
だいたい1000人でやってきたんだけど、
みんなで野球に行くだけなんです。
で、損するかっていうと損しない。
儲かるかって、そんなこともないんです。
でも、それを楽しみにしてる人たちが
ずーっといるっていうのが、
「ほぼ日はいつも元気だね」って言われる
ひとつの理由のように思うんです。
集まって時間を過ごして何かすると言えば、
バーベキューだっておもしろいよね。
伊藤
そうですよね。
糸井
バーベキューはどう?
伊藤
家でやってました、小さな頃から実家で。
最近では、ウチの娘と母と、
牛タンを一本買ってきて、焼いて、
一本食べるんですよ、ひたすら、
シャクシャクシャクって‥‥。
時々シシトウとかも食べますし、
あと母がおにぎり握ってくれたり。
糸井
‥‥力、あるわあ。
伊藤
そういうのは好きかも(笑)。
糸井
日本のバーベキューは、
ほんとに可能性があると思う。
魚焼くのもバーベキューだし、
野菜焼くのもバーベキューだし。
伊藤
おいしいですしね。
おにぎりを焼いただけでおいしくなる。
糸井
強火の遠火っていうのが、
本当にできる場所なんか、家の中にはないし。
って考えると、砂なんか入らない場所で、
水が出て、火が焚けて、清潔なトイレがある場所で、
いろんな人が主宰するバーベキューをやったら、
ぼくはもうそこに一日中いたいな。
「生活のたのしみ展」じゃなくてさ、
「生活のたのしみバーベキュー」だね。
伊藤
料理家も、料理家じゃない人も、
いろんなかたがつくって。
楽しそうですね。

伊藤さんと内田鋼一さんの新ブランド「鋼正堂」のグラタン皿。撮影時の料理は、伊藤さん作。

糸井
じっさいは、食べ物まわりって、
許可とか設備とか、
すごくたいへんなんだけれどね。
でもいっしょにつくって食べることは、
伊賀の土楽に行ったときの御馳走や、
接待のされ方を思い出すんだけど、
ある種、ケモノっぽい品の良さがあるんです。
そういうぶつかりは、同じ旅でもおもしろいね。

ところで、「weeksdays」の準備で、
やめたり諦めたこともきっとあるでしょうね。

伊藤
いろんなメーカーやブランドの方に
お目にかかって商品の提案や
相談をしてきたんですが、
こころよく迎えてくださっても、
話をすすめていくなかで、先方の会社の方針で
実現にいたらないこともありますし、
わたしがつくりたいと思って
お話をうかがっていたのだけれど、
「ほんとうにほしいものはこれだったのかな」と
いちど立ち止まるべきだと思ったり。
そこで「じゃあ、やめよう」
という判断をしたこともありました。
糸井
それは大事だよ。
そういうのでいちばん素敵だったのは、
崎陽軒の「生活のたのしみ展」への参加が
かなわなかった話なんだけど、
崎陽軒は横浜に関係することだったらウエルカム、
そうではないものは、きっちり断るんです。
これね、素晴らしいと思う。
伊藤
そうなんです! 醤油入れのひょうちゃんの絵に
ぴったりの絵を描く人を知っていたので、
広報の方にお会いしたときに
「いい人がいるんですけど」と言ったら、
「横浜にゆかりのある人にお願いをしています」と。
徹底していますよね。
糸井
「weeksdays」でまさこさんが
商品を選んだりつくったりするとき、
「誰も欲しがらないけど、わたしは好き」
っていうのがもしあったら、
自分の何かを変えるチャンスでもあるから、
「ヨイショ!」って、いい気持ちで、
「失敗してもいい!」と前に進む、
そんな場合も、なくはないと思うよ。
伊藤
そうですね。
糸井
まさこさん、食べ物がそうじゃない?
おしゃれな暮らしだと人が思う姿で、
山手線の駅前ビルの地下にある
おじさんたちが肩寄せあって食べる
とんかつ屋を薦めてくれたじゃない?
あれは、それっぽくないじゃない。
でも、行けば分かる! って
言いたい気持ちがあるから薦めてくれたんだよね。
それは「ヨイショ!」だよ。
あそこ、あっこちゃん(矢野顕子さん)も、
今までいちばんおいしいカツだったって言ってたよ。
伊藤
えっ、矢野さんが?!
糸井
ヒレカツにカキフライを載せた、
「このミックスはやっぱキツいな」って
男たちが言ってるようなセットを、
全部たいらげた。
伊藤
さすがですね!
糸井
同じとんかつ屋を薦めるのでも、
美意識派の人は別のお店が好きだよね。
もちろんそれも本気で言ってるからすごく伝わる。
でも、矢野顕子はたぶん、
「その良さはあるけどね」って言って、
まさこさんが薦めたほうを選ぶと思うんだよ。
ぼくは自分がないから、
人が「いい」って言うほうに付き合うけど。
それぞれ価値を置いてる場所が
違ってておもしろいよね。
伊藤
ほんとですね。
糸井
そういうまさこさんがつくるお店だから、
みんなもたのしみにしていると思うよ。
ほんと、いよいよだね、
伊藤
いよいよです!

決断の速さと責任の重さ。

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糸井
ところで、まさこさんは仕事が速いでしょ?
伊藤
はい。みんなに速いって言われます。
「やさしいタオル」は、
1日に100カットくらい撮る、
餅つきみたいな撮影なんですよ、
ハイッ、ハイッみたいな。
糸井
「完成形にいかなくてもいい」
っていう判断がないと、
その速さにはならないですよね。
伊藤
だって、タオルを使うカットに、
「完成形」って、いらないですよね?

「やさしいタオル」2016夏のコレクション。

糸井
そのとおりだ!
もう横尾忠則さんですよ、それ。
いちばん感動するのはそこだよ、やっぱり。
伊藤
えっ、そうなんですか?
糸井
「これが正しいっていう答えにたどり着くまでに、
ぼくはいっぱい考えた」
って人がいたとしたら、
「え、それで何だったんですか?」
ってなるよね。
伊藤
「じゃあ、あなたの答えは見つかったんですか?」
って。
糸井
答えなんて、ないんですよ、そんなの。
「生きること自体がそうなのだから、
全部プロセスだと思えばいいんだ」
っていうのを、横尾さんが言う。
自分のことを言い訳するために
どんどん考えていったんだと思うよ。
みんな、自分の考えって、
言い訳だから、おおもとは。
伊藤
そうですねえ。
糸井
その横尾さんに、ぼくは感心して、
自分もそうなのにそうじゃないフリをしてたりとか、
そういうのをなるべくやめようとしているんです。
今まさこさんに、
「速いでしょ」って言ったのも、
「あ、おんなじだ」と思ったからなの。
横尾さんも、決めるっていうことに
値しないことだらけなのに、
みんなが腕組みしてウンウン言ってるっていうのを、
「歩いてるのに、次の足をどう出すかなんて
考えなくていいじゃない」みたいに言うの。
伊藤
雑誌の撮影の仕事でもありますよ。
わたしが「これ、ここからこう撮ってください」と
お願いするとしますよね。
すると編集者は
「一応、寄り(アップ)も」って、
カメラの人に頼んでいたりする。
でもわたしは「撮らなくていいですよ」と言う。
だってそれは、絶対に使わないカットなんです。
それが分かってるのに、
どうしてカメラマンに
よぶんな仕事をさせるのかなぁと思います。
そんなふうに仕事をしていたら飽きちゃうし、
自分の仕事も増えるだけです。
「一応」とか「抑えで」は、禁句!
わたしの仕事は、それを先に考えて
スタイリングすることなのに。

メンズブランドMOJITOの麻のショートパンツ。デザイナーが8年履いているという私物を、アイコンとして撮影。

糸井
世の中は、そっちなんだよね。
「抑え」だらけです。もっと言えば、
どういうふうに撮りたいかの3案か4案、
あらかじめラフを持って行って撮影して、
なおかつ、撮ったときに
「これも抑えといて」って言うから、
30案ぐらいになっちゃうことがある。
だから時間がなくなるんだよ。
しかも、そこの時間が
自分の労働時間っていうふうに
カウントされちゃうから、
ものをつくるっていうところに行かないの。
「ほぼ日」では、それはダメです。
伊藤
速いといえば、
「weeksdays」の準備で、
いろいろなメーカーやブランドのかたと会って
オリジナルの色や形をつくってもらったんですが、
それを決めるのも、あっという間に終わりました。
それに、仕事をしている日でも、
なんだかんだいって
17時すぎには飲んでるんですよ、毎日。
糸井
すごいね!
伊藤
それはやっぱり、決断が早いからかなあとか。
早寝早起きというのもあるんですけどね。
糸井
テレビ的時間がないんじゃない?
テレビを観る的な時間が。
伊藤
ふだんテレビは観ないですね。
ニュースとマツコ・デラックスだけ
チェックしてますけど。
糸井
あと、インターネットを
チェックなんかしてないでしょう。
伊藤
してないです。
糸井
この2つで、
なにかしてるような気になる時間を、
世の中の人は過ごしてる。
お家にテレビはあるの?
伊藤
テレビ、あります。でも仕舞ってあって、
観るときはズズズッて出して、差して。
テレビが邪魔なんですよ、暮らしの風景として。
糸井
この話、かみさんが聞いたら
ジーンとくるだろうな、
いいなって思うだろうなあ。
オレなんか、
おもちゃの水鉄砲まで置いてあるもん、そのへんに。
伊藤
(笑)樋口さんも速いですか。
糸井
速いねえ。それはつまり、
「身についてることしかしない」
っていうことですよ。
そうか、上役がいないんだね、
まさこさんも、ウチの奥さんも。
誰かに「これでいいですか?」って
訊く必要がないから決められる。
でもそれは、いつも本当の判断を
しなきゃならないから、
いちばん責任があるわけです。
それを繰り返していかないとダメですよね。
伊藤
その責任は自分で負わなきゃいけない。だから
「わたしは好きじゃないけど、ちょっと売れるかも?」
なんて言い出しちゃダメなんですよ。
ほんとに好きなものじゃないと。
糸井
「ちょっと売れるかも」は、
もうすでに頭に入ってるんじゃない?
身に備わってることしか言ってないわけだから。
伊藤
あんまり意識はしていないんですが、
そうかもしれませんね。
今まで、旅の本を出したら
みんながそこに行ってくれるとか、
おいしいものを紹介したら
みんながおいしいって言ってくれる、
ものをつくったら買ってくれるっていうのは、
わたしがほんとにいいと思ってるものしか
出したことがないからだと思っています。
「これいい!」ってすごく思っているから。
糸井
ぼくらでもそうですよ。
「生活のたのしみ展」で
スピーカーのキットを出したけれど、
あれは分かりやすくて、
「わたしもつくりました、いい音がしました」
「いくらなの? あ、だったら俺も欲しいな」
ということなんです。
そういうのはおたがい、分かるよね?
って言えることだけをしてる。
でも、世の中は
「それのピンクって市場ではどうですかね」
「女性がいるから売れるかもしれませんね」みたいな。
伊藤
嬉しいのは、わたしがなにかを紹介したとき、
「そのまま」が売れるわけではないことなんです。
じゃあ自分に似合うのはどうなのかな?
って考えてくださるお客様が多いと聞きました。
それも「weeksdays」を始めようと思った
動機のひとつです。
糸井
それはすごいね。
お客さんが支えてるんだよね、実はね。

なにかいいこと、カッコいいこと。

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伊藤
糸井さん、お忘れだと思うんですけど、
ブイちゃんが亡くなって
わりとすぐのときにお会いしたときに、
わたしがそのことを話題にすべきかどうか、
どうしようとモゴモゴしてたら、
こんなふうにおっしゃったんですよ。
「伊藤さん、なんか最近いいことあった?!」
って、ニコニコして。
そのことに驚いて、その日から、
もちろん悲しいことは起きるのが
人生かもしれないけれど、
「今日、何がいいことだったかな?」
ということを、
一日の終りに考えるようになりました。
だいたいハッピー系に
気が行くタイプなんですけど、
「今日はコレがいいことだった!」
みたいな、一番を決めるようになったんです。
けっこう、あるんですよね。
糸井
そうだね、あるよね。
伊藤
それを考えることを気づかせてくれたのが
糸井さんの一言だったんです。
糸井
それはさ、まさこさんが、
ぼくにそう訊かせたくなるような
居方をしていたんだよ。
ぼくは、そういう言葉を
あなたにプレゼントしたわけでも何でもなくて、
ただ訊いたんだ。
だって、なんかいいことあったっぽいんだもの。
伊藤
そうでした?(笑)
糸井
「何が、いいことあったの? こいつ、言ってみろ!」
みたいな気分(笑)。
だって、ショボンとしてる人に訊けないよ。
それとね、多分、その時、ぼくがまさこさんの
「いいことあった」という気持ちを、
吸い込みたかったんじゃないのかな。
いいことあった人に会ってさ、
「あ、いいなあ」と思って、
それを受け取りたいなって思ったんだよ。
伊藤
それはすごくうれしいです。
糸井
素晴らしいことですよね。
ぼくもそうなりたいです。
伊藤
ええっ! そうじゃないですか?!
糸井
そう見えてるんだったら、
それはそれでうれしい。
でも自分がどうかは分からないな。
伊藤
うーん。
糸井
誰でも、いつでも、
小さい憧れがあるじゃないですか。
よく例に出すのは、吉本隆明さんの、
お花見の場所とりの話です。
それ、吉本さんがやるんだよ!
朝の8時9時に、いろんな敷物を背負って、
本を一冊カゴに入れて、自転車で出かけてって、
それを敷き詰めて。
でも参加者のみんなは、
そんなに早くから来ないから、
周りにまだ人がいないところで、
ずーっと本を読んで待ってるんだ。
夜になるまで、ひとりで。
伊藤
へえー!
糸井
自分がするかどうかは別としても、
ぼくは、それをカッコいいと思うんです。
伊藤
うん、カッコいいですよね。
糸井
その「カッコいい」が、
「ぼくの心はそっちにありたいな」
って思わせるんです。
もうちょっとできることがあったら
オレもしよう、って。
伊藤
ブイちゃんの話、糸井さんは
「オレは悲しいって言うけど、
かみさんは言わない」とおっしゃって。
それも、どちらもカッコいいですよ。
糸井
喜怒哀楽って、
言わないようにしてる人はいっぱいいて、
それはそれでカッコいいよね。
でも「うれしい」も言わない人もいるわけでさ。
伊藤
そうか、そうですね。
糸井
「ありがとう」の前に
「すいません」が出る人だっていっぱいいる。
でも、それ、ぼくはどうでもいいと思うんだ。
「ありがとうってちゃんと言いなさい」
なんて、そんなに頑張らなくてもいいと思う。
伊藤
その人の表し方がありますよね、
じっくり感謝して‥‥。
糸井
そう、モジモジしただけでもいいじゃないか。
犬なんて、おやつをあげてもお礼を言わないよ。
パクッ、なんて、勢いよく食べる、
それでいいじゃない?
人もさ、「なに食べる?」って訊かれて、
どれもいいなあって本気で思って
「どれでもいい」って言う場合は、
それでいい、と思ってるんだよ。
でも、近代の人はみんな、
「自分の意見をハッキリ言わなきゃいけない」って。
それって借り物っぽく感じる。
‥‥グズグズして、いいと思うんだよ。
そしたらリーダーがさ、
「じゃあお前、これ食わない?」
って言ってあげればいいじゃない。
そうすると、そう言ってくれた人のことを
「ああ、ああいうふうにやるのか」って、
覚えられるじゃない。
伊藤
うんうん。

デザイナー・岸山沙代子さんによる、saquiの夏の服。

「いいなあ」像が、その人をつくる。

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伊藤
個人の作家でも、大企業でも、
いいものをつくっていて、
いっしょにつくりたいものがあったら、
断られてもいいから、
おそれず声をかけようって決めたんです。
糸井
「ほぼ日」のやり方と似ていますよ。
すでに価値を認めあってるんで、
あとはなるべく平らにやりましょう、みたいな。
認めていない人に頼まないしね。
伊藤
そうですね。大企業の場合、
その会社の人がどういう人か、
どういう方針か分からないけれども、
使っていて、ものがいいのは確かならば、
それをつくっている会社の人は
きっと分かってくれる! 
と思って出かけています。
皆さん、ほんとうに素晴らしいんですよ。
温かく迎え入れてくださるし、
おもしろがってくださるし。
糸井
うん、よかった。
「weeksdays」でまさこさんが扱うものは、
衣食住、全部ですよね。
伊藤
はい、そうなんです。
糸井
「何が流行でカッコいいか」
というようなこととは、
まさこさんって、全く関係ないでしょう?
だから、おもしろいんです。
「だって、いいものは、いいじゃない?」
そう言えるんだもの。
伊藤
たしかに、何が新しいとか、
次は何が来るとかは
あまり考えたことはありません。
そういう歳になったのかなあって
思うんですけれど‥‥。
糸井
いやいやいや、歳じゃなくて、
そういうふうに生きたいと
最初から思っていたんじゃないのかな。
例えば、まさこさんが仮に
誰かすっごく新しいもの好きの人に会っても、
なんにも批判をしないはず。
たぶん、そんなことは、どうでもいいでしょう?
伊藤
はい。
糸井
でも、そういう人同士が会ったら、
「え、それまだ着てるの?」って、
なると思うんです。
「それ古いよね」
なんて言い合うお友達同士で狭い場所にいると、
「え、そうなの? じゃあやめようか」
みたいになって、いつも自信がなくなる。
でもまさこさんは
そういう競争から外れているんだ。

内田鋼一さんと伊藤さんが立ち上げた「鋼正堂」のお皿。

伊藤
わたしはたぶん、
ただの“おもしろがり”だと思うんです。
そして、気分良く生きていきたいと思っている。
それで全部の事柄が──自分の生活が、
進んでいるような気がするんです。
よどんだ場所は好きではないし、
着心地の悪い服は着たくない。
掃除や片づけも、
そうしたほうが気分がいいから、
しているだけなんですよ。
糸井
でも同時に、人が
「そんなこと、やめてほしいなあ」
って思うようなことはしていないよね。
ポイントはそこじゃないのかな?
したいことばっかりしているのに、
同時に人が嫌がらないのは。
伊藤
そうなのかな?
ご迷惑をおかけしてませんか。
糸井
「この人はワガママ放題だから楽しいんだね」
って、人は思うかもしれないけど、そうじゃないよ。
伊藤
わたし、たぶん、
ちょっと動物っぽいんだと思います。
日の出とともに起きるとか、
食材の具合を嗅ぎ分けるとか。
その感覚で「これはいい」「これは嫌」
って言ってることが、
みんなに、「あ、そうそう」と
受け入れてもらっているんじゃないのかな。
糸井
でもさ、動物って、生まれっぱなしで、
ちょっとずつ学んでいったことは
蓄積されてるんだけど、
作法とか知識とかってなくて、
だから衝突もする。
いわゆるワガママな人が
「わたし、動物的だから」っていうのとは、
まさこさんは全然違うと思うよ。
誰かに教わったことが結構あるんじゃないかと思う。
母なり、祖母なり、父なり。
まさこさんが母もなく生まれて、
天から降ってきて、
こういうふうになったとは言えないわけだからさ。

じつはぼくは今日、ちょっとしたことで、
「自分はちょっと騙されてる側に回るくらいで
バランスがいいのかもしれない」って思ったの。
なんで自分はそんなことを
思うようになったんだろうって、ふっと考えたら、
そう、祖母に言われていたんだよ。
少年の頃に言われたことが、
70歳の手前になって腑に落ちたんだ。

伊藤
母のおおらかさっていいな、と、
育てられながら、思っていました。
この前、サニーレタスを買ったら、
ちっちゃいカエルが入っていたんです。
ちょうど実家にいたので、母を呼んで、
庭にふたりで逃がしてあげたんですね。
お店で買った野菜に
虫やかたつむりやカエルが入っていても、
わたしは気にしないし、騒ぐこともない、
まあ、そういうこともあるさ、と思う。
その感覚はまさしく母の影響です。
糸井
「いいなあ」像が、その人をつくるんだね。
あっこちゃん(矢野顕子さん)も同じだよ。
伊藤
矢野さんも、ご自分のしたいことが強くあって、
それを実行なさっている。
そして、みんなからすごく好かれていますね。
糸井
あっこちゃんはそれこそ動物ですよ。
動物だけど、大丈夫なのは、
ラインが引かれてるっていうか、野放図ではない。
それはひとりで作ったものじゃないと思うんだよね。
彼女のお母さんはものすごく厳しく、
武士みたいな人だったっていう。
いっぽうお父さんはものすごく優しいんだ。
その中で彼女ができていったんだと思う。
何がキレイか、
何がカッコいいかって思えるのは、
キレイなもの、カッコいいものを
見せてくれた人がいたからだよね。
それを守りとおしたのは本人の努力だけれど。
伊藤
そうですね。
「この人好きだな」って思う人のことは真似て、
「これ苦手だな」って思うことは真似しない。
その積み重ねな気がします。
うちは、きちんとするところはする、
おおらかなところはおおらか。
決して神経質ではない感じでしたよ。
母からも、父からも、
人と比べられたことが一度もありませんでした。
「誰々はどうだから、こうしなさい」
と、言われたことがありません。
糸井
厳しいのを売り物にしちゃうと、
人を責めるものになっちゃうからね。
伊藤
その父を見送ったときの話なんですが、
父が亡くなってすぐ、病院に葬儀屋さんが来て、
○○コースはいくらですとか、
戒名はいくらですとか、
ボーッとしているあいだに、
どんどん、ことが進んでいったんです。
そうしたら姉‥‥長女が、ふと、こう言って。
「そもそもパパは信心深くなかったんだし、
知らない寺でお葬式をあげて、
わたしたち、いいの?!」
さすが長女! と思ったんですけど。
糸井
ハッと気がついたわけだ。
伊藤
はい、それでみんなも「ハッ!」となって、
結局、葬儀屋さんには頼まず、
父を家に連れて帰りました。
リビングルームを小さな会場にして、
長女がお花をたくさん飾り、
父の好きだったシャンパンの大きい瓶を用意して。
ほんとうに仲のいい人だけにお伝えし、
3日間、オープンハウスにして、
いらしてくださった人にシャンパンをふるまって、
父の思い出を話し、ゲラゲラ笑ったり、
泣いたりして過ごしたんです。
それが伊藤家のお葬式でした。
糸井
そいうことがね、全部、実は、繋がってるんだ。
それはもう、まさこさんのラッキーな部分なんだよ。
もらってるものの大きさが、すごいと思う。
伊藤
ほんとですねえ‥‥。
長姉が10(とお)離れていて、
次姉は7つ離れている、
そういう環境も良かったのかもしれませんね。
糸井
うん、それも良かったんだと思う。
それが、まさこさんが、
押しつけがましくなく、人が
「あ、いいな」と思えることが、
できている、おおもとにあると思う。
伊藤
ずーっと、すばらしい大人が、周りにいたんですよ。
糸井さんももちろんそのひとりです。
糸井
無理に入れなくてもいいよ!(笑)

「weeksdays」はじまります!

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伊藤
糸井さん、「weeksdays」の
オープンがいよいよ近くなりました。
糸井
できるね。
伊藤
できます。
「weeksdays」という名前は
糸井さんと一緒に考えたんですよね。
糸井
そうだったっけ?
伊藤
そうですよ(笑)!
わたしが最初に考えていたのは
「365 department store」
という名前だったんです。
企画書もそのタイトルで。
糸井
うん。
伊藤
百貨店って、地下に食品があり、
1Fに化粧品があり、婦人服、紳士服、
家庭用品、家具、こども服、食堂、
屋上に広場、なんでもあるイメージですよね。
だからこのお店のイメージも、
ネットのお店だけれど、
石造りの古いデパートみたいな
イメージにしたらどうかなって。
365とつけたのは、
年中無休ですよということです。
糸井
そうだったね。
それでぼくがぜんぜん違うところから
「weeks & days はどうかな」
ってメールを送ったんだ。
デイリーにこだわり過ぎなくても
いいんじゃないかな? って。
伊藤
あのメールをいただいたとき、
糸井さんが「肩の力を抜いたら?」と
おっしゃっているような気がしました。
そうしたらチームのみんなも
「そっちのほうがいい」って。
──
「365 department store」が
「場所」のイメージだったのに対して
「weeks & days」は
「時間」のイメージだったのが、
なんだかホッとしたんです。
閉じこめられずに、ずっと先にのびていく、
未来へつづく気持ちがあるような気がして。
daysが先じゃなくてweeksが先なのも、
なんだかちょっとひっかかるのが面白いし、
週単位で新作を出したいねという計画に
ぴったりだとも言えますし。

trippen “ZORI”。このシルバーは「weeksdays」の特注色。

伊藤
さらにわたしから、
「『weeksdays』と、
一語にするのはどうでしょう?」って。
ほんとうは英語にはない言葉ですが、
いっそそのくらい思い切ったほうがいいなって。
糸井
うん、いいと思うよ。
──
最初にこういうことをやりたいと
伊藤さんからお声がけくださったのは、
もう1年半か、2年ちかく前のことになりますね。
いろいろな媒体で活躍なさっているのに、
伊藤さんはどうして
ぼくらに声をかけてくださったんですか?
伊藤
「毎日」やりたかったからです。
毎日のワクワクみたいなものが、
ネットのお店で出せたら嬉しいし、
始めたら、できるだけ長く続けたい。
だからそれをすでにやっている「ほぼ日」に
相談してみようと考えたんです。
さらに、わたしが全て考えるんじゃなくて、
いろんな人といっしょにできたらおもしろい。
そういう意味でまず
「ほぼ日」といっしょがいいなって。

もうひとつ、理由があって、
このお店をもしわたしがひとりでやったら、
ある一定の「引き算」の
お店をつくるんだと思うんです。

糸井
うん、引き算ね。
伊藤
「やさしいタオル」のスタイリングから
「ほぼ日」と仕事をするようになりましたが、
スタイリングにおけるわたしの役割って、
引き算担当なんですね。
「そのもの」を語りたいときに、
「他のもの」はいらない、と。
写真なら、そのものと空気感。
光とか、だけでいい。

「やさしいタオル」2016夏のコレクションの、伊藤さんのスタイリング。

糸井
それはいいね。
伊藤
樋口可南子さんが
わたしのアトリエに来てくださったとき、
お豆腐を蒸してゴマ油と
塩をかけただけのものを出したら、
「こんなふうに引けないのよ、引けない」
って言ってくださって。
そして家の中を見て、
「みんな、あなたみたいに引き算はできないのよ」。
糸井
(笑)。
伊藤
タオルのスタイリングも、
場所を決めればあとはもうタオルがいいんだから、
わたしが何もする必要がないんですよ。
風景ができあがってるから、
それを置けばもういい。

でもその方法で商品をつくったり選んだりするのは、
「weeksdays」というお店をつくるにあたっては、
おもしろくないだろうな、と思ったんです。
糸井さんやみなさんと話していると、
ひとつのテーマからどんどん話が広がっていきます。
絵の話をしていたはずがいつのまにか
額の話になっていたり、
もっと突拍子もない話題になっていったりする。
わたしが見落としてしまいそうなおもしろいことが、
いっしょなら、見つかるんじゃないかなって思ったんです。

糸井
「まさこさんにとっても、
『ほぼ日』とやるのはいいよ」
ってぼくも言いたいわけですよ。
その役をみんなちゃんとやろうぜっていうことを、
社内の人たちに言うのが、ぼくの役割だし。
伊藤
‥‥と、言い出したものの、
立ち上げの大変さには驚きました。
ここに来て、オープンの目処が立って、
ようやく実を結んだ感じです。
糸井
(笑)ぼくは最初から言ったよ、
「たいへんだよ!」って。
「ほんとにやるの?」って。
伊藤
そう! それでわたしも
「ムキーッ! ぜったいやりますから!」なんて。
準備はまず、ほかの仕事を減らすこと、体調管理、
そして気合いを入れることでした。
糸井
毎日というのは、病気になれないからね。
考え過ぎると、長期旅行も無理になる。
そこは休み方を発明するしかないんだ。
伊藤
旅行や息抜きがあっての商品ですものね。
糸井
その通りだと思う。
伊藤
「これのことばっかり考えてました」って言うと、
何が売れる商品なのかばかり
考えるようになりそうで。
糸井
たぶんね、「weeksdays」と
「ほぼ日」が違うのは、
「ほぼ日」って意地でも休まないで、
「あきれたよ!」って言われることを
信用にしてきたわけです。
だけど、たぶん「weeksdays」は
まさこさんが
「何日から何日まで休みます」
っていうのを宣言して、
「パリに行ってきまーす」って言ってもいい。
そういうやり方をすればいいと思う。
ただ、頭から離れるってことはなくなる。
伊藤
きっとそうですね。

よみものもたくさん。

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最初のコンセプトが「百貨店」でしたから、
「weeksdays」には
たくさんの商品が登場します。

商品って、お届けするときは、
その「もの」だけをお渡しするんですが、
その背景には、それをつくった人、
つくったメーカー、ブランドのなりたち、
いろいろな「物語」があります。

「weeksdays」ではなるべくそんな物語を
文字にしてお伝えしたいと思っています。

今回の写真は、「weeksdays」の最初の商品となる
ドイツの靴「trippen」(トリッペン)の
創業者であるミヒャエル・エーラーさんと、
その奥さまのクラウディア・エーラーさんに
お目にかかったときのもの。
(「ほぼ日」の事務所のあるビルの屋上で撮りました。)

このとき、伊藤さんが彼らと話したことは、
靴のことがテーマでしたけれど、
いつのまにか「自由」についての
お話になっていきました。
よこで聞いていて「いいなあ、すてきだな」と思った
その内容は、商品を販売する前に、
コンテンツにしてお届けします。

そんなふうに(毎回とはいかないでしょうが)、
対談だったりインタビューだったり、
「weeksdays」は、なるべく
「つくり手の顔」が見えるような
お店にしていきたいなと考えています。

商品って、お届けした先で、
きっと、つくり手が予測しようのない、
使う人それぞれの物語が生まれていくのだと思います。
そして長く愛用したものが
「もう使えなくなっちゃった」となった
何年後か何十年後、
その「もの」が消えてしまったとしても、
ものにまつわる思い出って、
きっと残っていくのだろうと思います。

「百貨店」らしく毎日オープン、
毎週、新製品を! と意気込んでいる
伊藤まさこさんと「ほぼ日」チームですが、
それでもときどきは、新製品を発表せず、
コンテンツというかたちで
「weeksdays」のページをたのしんでいただくような
週をつくってもいいかな? と考えています。

暮らしのこと、食べること、
あそぶこと、旅をすること、
恋をすること、生きること、
先のことをかんがえること。

いろんなかたに、
そんなお話を聞きたいなあと思うのです。
これからどなたに会うのかは
まったく決まっていないのですけれど、
そんなコンテンツも「weeksdays」に
きっと、登場すると思いますよ。

さあこれで予告編5本はおしまい!
次回からは、「よみもの」のトップバッターとして
糸井重里と伊藤まさこさんの対談を連載します。

メンズブランドからも、ながく着られるいいものを。

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8年ほど、はいては洗ってを繰り返し、
くたくたになった、
麻のネイビーのショートパンツ。
作家・ヘミングウエイの世界観をひとつの哲学として
デザインにおとしこんだメンズウェアブランド
「MOJITO」(モヒート)を代表する一着です。

ん? 「weeksdays」でメンズのショートパンツ?
そうなのです。じつはこのショートパンツを
(新品を、ですけど)
伊藤さんが試着してみたところ、
女性が着ることであらわれた独特の表情が、
「武骨でアウトドア」なはずの印象から
「かわいい!」に変化。
そこで、「MOJITO」のデザイナー、
山下裕文さんにお願いをして
「レディースサイズでつくりませんか」と提案、
この夏の「weeksdays」の1アイテムとして
登場することになりました。

ディテールはメンズ仕様のまま3サイズ。
小柄なかたはちいさなサイズを、
おおきめのかたはおおきなサイズを、
性別をとわずに選ぶことができるように考えました。

メンズウェアって、こんなふうに
「くったくた」になっても
着られるよさがありますよね。
10年先をたのしみに買い物をする、
そんな気分も「weeksdays」が
提供したい体験のひとつです。

あたらしい人たちと。

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写真の服は「saqui」(サキ)というブランドのもの。
以前「ほぼ日」の「ベトナム手刺しゅうの服」で
服のパターンを担当してくださった、
デザイナー・岸山沙代子さんのブランドです。

岸山さんは女性ファッション誌の編集部で
編集とライティングの仕事をしてきた人。
伊藤まさこさんの担当編集者でもありました。
もともとは服飾の勉強をしてきた岸山さん、
縁あって編集の仕事に就きましたが、
思い立って編集の仕事を辞めパリに留学、
あらためてパターンの勉強をして、
2016年に「saqui」を立ち上げました。

大人の女性の美しく見せることにたいし
とても敏感で、伊藤さんいわく
「着るものに困り始めている
私世代の救世主みたいな存在」とのこと。

「weeksdays」は、岸山さんのように
「ちゃんと、いいものをつくる」
あたらしい人たちとも
積極的に組んでいきたいと思っています。

今回「weeksdays」で展開する
「saqui」の服は7つ。
色を伊藤さんがアレンジしたものもありますし、
「完全に、いっしょにつくったオリジナル」も!
7月の3週目から、ご紹介する予定です。

衣食住ぜんぶ。

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「weeksdays」の最初のコンセプトは
「デパートをつくりたい!」でした。
衣食住ぜんぶの、えらびぬかれたものが集まる場所、
それをネット上につくろう、ということです。

伊藤まさこさんは、
プロフェッショナルのスタイリスト。
ばつぐんの目利きであることは、
きっとみなさんもごぞんじだと思います。

衣食住って、「着る」「食べる」「住む」、
そしてその3つには分類しきれないような、
「着ると住むのあいだ」や「食べると住むのあいだ」もあります。
「着ると食べるのあいだ」もあるかな?
「weeksdays」では、そんな「もの」も
積極的に見つけていきたいと考えています。

上の画像にある、料理に使っているお皿は、
萬古焼(ばんこやき)のお皿です。
これも「weeksdays」のアイテムのひとつ。
「こんなお皿がほしい」という伊藤さんのアイデアを
作陶家の内田鋼一さんがかたちにしたものです。

洋食器の故郷であるヨーロッパの「実用」のかたち、
そして、骨董品でしか見られなくなっているような、
工房生産だけれど手仕事のゆらぎのある
マニファクチュアな仕上がりをめざし、
内田さんの地元・四日市の萬古焼の工房で、
型を使いながら、熟練の職人さんの手作業で、
1点1点、仕上げたものです。

こんな器があったら、という伊藤さんの思いは、
料理が映える、おいしそうに見える、
というだけじゃなく、
そのお皿のある空間がすてきなものになる、
もっていることがうれしくなる、
そんなひろがりをもっています。
まさしく「食べると住むのあいだ」のアイテムです。

『ちびちび ごくごく お酒のはなし』
『夕方5時からお酒とごはん』
などの著作もある伊藤さん。
日の出とともに起き、
夜10時には就寝するというライフスタイルで、
早朝から元気に仕事をはじめ、
原稿書きや撮影、取材など
いっしょけんめい働いて、
夕方には(まだ明るい時間でも?!)
「さあ、呑もう!」と、
プライベートな時間に切り替えるそう。
(いいなあ、と思いつつ、
なかなかマネができないのですけれど。)

伊藤さんは、料理によってうつわをかえ、
お酒によってグラスを考えるわけですけれど、
意外なことにこれまで
「ビール用の気に入ったグラスがなかった」
のだそう。そこで、以前、いっしょに
バスク風のグラスをつくった、
大正11年からつづく
手仕事のガラスの器メーカーである
松徳硝子(しょうとくがらす)さんに
お願いをしました。

こぶりで、女性でもキュッと飲み干せるサイズ。
粋な日本料理店で見かけるような「うすはり」です。
職人さんの手によって1つずつつくられるグラスは、
「作品」ではないけれど「工業的な量産品」でもない、
その中間に位置するもの。
こんなアイテムも、「weeksdays」には、ならびます。

どこへでも行ける。

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えらぶ。履く。気合いを入れる。
立つ。歩く。階段を下りる。
出かける。立ち止まる。くるっと振り返る。
背伸びする。駆け出す。会う。
いっしょに歩く。いっしょに立ち止まる。
遠くへ行く。どこまでも行く。
脱ぐ。磨く。仕舞う。思い出す。
たいせつにする。

「weeksdays」で
いちばん最初に販売するものは、靴です。
ドイツの靴のメーカーであるtrippen(トリッペン)の、
2000足以上あるというアーカイブのなかから、
伊藤まさこさんがえらび、色を考え、発注した
「weeksdays」のための靴8足がならびます。
(7足が女性用、1足は男性用です。)

お店ですから、商品をつくり、紹介し、
販売をする場所ではあるのですが、
「weeksdays」は、
その「もの」にまつわるつくり手の思いや、
その「もの」がきっと届けてくれる
たのしさやよろこびもお伝えしたいと考えています。

もちろん、商品は、伊藤まさこさんが
心から「いい!」と感じ、なおかつ
「こういうものがあったら、みんなよろこぶのに」
と本気で思ったものをえらびます。
「weeksdays」ならではのアレンジをした、
あるいは、いちから商品開発をした、
ほかにはないものがならぶ予定です。

あたらしい商品は、1週間ごとに発表。
金曜日に「つぎはこんな商品ですよ」という紹介を始め、
土・日・月・火・水に詳細をお伝えします。
そして次の木曜日に、販売スタートです。
ちなみにtrippenの紹介は、7/13(金)から。
どうぞ、おたのしみに!

はじまります。─ 伊藤まさこ

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「いつかお店をひらいてみたい」

そう頭に思い浮かべたのは、
今から10年くらい前のことでした。

その時は、「お菓子屋さんになりたい」とか、
「総理大臣になりたい」とか、
「動物園の飼育係になりたい」なんて、
子どもが思い描く将来の夢みたいな、
遠くて、じつは自分でもよく分からないことでした。

買うつもりはなくても、
通りがかるとついつい寄りたくなっちゃう。
そしてハッと気づくと、
店を出るとき、袋をぶらさげている。
だれにでもひとつやふたつ、
そんな気に入りの店はあるものです。
帰る道すがらや、
家で包みを開けるとき、
なんだかうきうきしている。
もしも自分がお店を作るのだったら、
そういうのがいい。

あんなものを売ったら楽しいんじゃないか?
こんなものを売ったらみんながよろこんでくれるのでは?
この10年、かなうとも分からない、
「いつか開くお店」を頭の中でえがき、
わくわくしていたのですが、
夢は思いつづけるものですね、
とうとう今日、「weeksdays」がオープンします。

「weeks」と「days」。
ふたつの言葉を合わせてひとつにしたこの店名には、
「毎日たのしい何かが起こる」、
そんな意味合いが込められています。
朝起きたときに、
さて今日はどんなものが出ているかな? なんて、
ついついのぞきたくなる、
私たちはそんな店を目指しています。
器に服、靴、バッグにアクセサリー、
化粧品、たべもの‥‥。

ありそうでないもの、
ここだけでしか売っていないものばかりが
集まったらどんなにすてきなことか!

小さな子どもを育てているお母さんや、
忙しくて買いものもままならない人、
はたまた買いものが好きでたまらないという人も。
いろんな人が集まって、
来てくれた人が、
ああ今日はなんだかいいことあったなぁ、
いい買いものした!
そんな風に思ってもらえる店にしたいなと思っています。

まずは明日から、
「weeksdays」はこんな店です、
という予告がスタート。

どうぞよろしくおねがいします。そして──

ようこそweeksdaysへ。

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