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雑誌『編集会議』の連載対談
まるごと版。

1.ひさしぶりです、原田永幸さん篇。

ウエブ&パブリッシングの雑誌『編集会議』創刊号から、
ぼくは毎月自分の興味ある人と対談することになった。
第一回は、あれからのアップル原田社長ということで・・。


雑誌『編集会議』のご厚意で、
こういう願ってもない新連載がはじまりました。
紙媒体の限られた面積からはみだしてしまった
対談のテープ起こしを、そのまま全文掲載です。

ちなみに、次の『編集会議』の対談は田坂広志さんです。
興味のある方は、雑誌『編集会議』をおたのしみに。

第1回 久しぶりに、こんにちは。

第2回 ウェブはメディアとしてどうなるの?

第3回 「Think different.」について

第4回 見てくれているひとのこと

第5回 コンビニのおにぎり・吉野家の牛丼

第6回 これからどうなるんだろう?

第7回 どういう競争をするのかについて

第8回 ザビエルのチームと次につくることなど

第9回 クリエイティブのフィー

第10回 一生懸命すりあわせる

第11回 マイクロソフトの古川さん?(笑)

第12回 今度「原田・古川対談」やらない?

第13回 無邪気さとスティーブ・ジョブス

第14回 最高のプロが持っているもの

第15回 空気をスイングさせるんです

第16回 会うと、しゃべりすぎちゃうね。

糸井 原田さんに悪いから、そろそろにしよう。
あー!おもしろいわー!
原田 金曜日の夜に、糸井さんとぼくの
おしゃべりマラソンっていうのをやったらどう?
糸井 やろう。両方が「余談ですが」って。
原田 糸井さんにメールを夜中の2時に送ると、
2時5分に返事が来るんですもん(笑)。
ぼくおしゃべりになるのもはじめての経験で。
糸井さんとお話すると、
ついおしゃべりになっちゃう。
糸井 やっぱりどっかでまぬけな部分が
通底してるんでしょうね。
原田 ははは。ぼくもおなじですけどね。
糸井 どう考えても、
あんまり細かい話じゃないんだよね。
原田 インタビューより、全然脱線のほうが9割がたで。
糸井 ぼくがいなかったら、
こういう話をやれる場所ないよ。
・・・あ、ぼく、図々しいからそう言うんだけど。

原田さん、心の企業秘密を、
全部語ってくれていますよね。
でも、誰も真似してくれないんですよー。
ぼくも、ふりまいてるんだけどな。
真似できないことだから、
わざと言ってるんでしょうけど。
原田 ウェブの世界も、ライブの世界も、
コミュニケーションっていう意味では
同じだと思うんですけどね。
糸井 バンドの演奏してないとこで
会場がゆれてくとこって、それたまんないですね。
それ、ウェブでぼくらが感じてるところです。
発信したあとで、メールが返ってきて、
笑っちゃうんですけど・・・。
まずぼくが書きますよね、
それに対して読者が反応しますよね。
その反応に対してぼくら1回感じるんですよ。
それをもう1回ウェブに載せますよね。
そしたら、似たようなひとからまた来るんですよ。
そこに対して、常に返事書くんです。
すると返事書くと、また来ますよね。
4日間くらいに波ができるわけ。

こないだ、日曜の何時ごろかなあ?
・・・俺ら全員のメンバーが
おんなじ時間に泣いてるときがあるですよ。
ひとには言えないことだけれど、
命かけてるんですよ。
で、かけてる命を、受けとめきれないんだけど、
行っちゃうんですよ。
で、おんなじようにメールチェックしてて、
それぞれ、自宅で見てるわけ。
みんなその時間に「・・・」って泣いてるんです。

あれはね、バンドですよ。
こんなことできるメディア、見たことないですよ。
いくらテレビで
「ファックス送ってください」
って言っても、違うんですよ。
個と個でつながっていて、しかも波つくってるんですよ。
演奏でもないなあー、こういうことって。
あとは上手に休憩とらなきゃなあ。
まだ1回も休日つくってないからな。
原田 ほぼ日刊じゃなくて、完璧日刊なんだ。
糸井 ぼく意地っぱりだから、
客がもう参ったって言うまで休まないんです。
原田 ははは。
糸井 ほんとに上手に休むことも
できるようになったら、
力を持つんだろうね。
宣言は放棄してるくせに、
一日も休んでないっていうのは、
まだね、
「家庭を捨てる仕事を捨てる」
までなんですよ。
たぶん。なにかもう、
人間であることさえやめるみたいな、
それで人間に戻る、っていうところまでいけば、
最高ですねえー。
原田 はい。
糸井 あ!・・・もう、終わろう!(笑)
原田 また、プライベートでメール送りますよ。

(おわり)

原田永幸さんへの激励や感想などは、
メールの表題に「原田永幸さんへ」と書いて、
postman@1101.comに送ってください。

2000-05-11-THU

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