BASEBALL
スポーツ新聞を
読みつくすんだ!

ぼくは、宅配でスポーツ新聞を購読している人間です。
一般誌もとってはいるのですが、
先に読むのは、当然、スポーツ紙です。
・・・自慢にはなりませんけどね。
いや、自慢にならなくたって卑下することはないか。
ぼくの知り合いで、ヤクルトスワローズファンで、
スポーツ新聞を「なめるように読んでいる」アホがいます。
これが、なんつーか、「なめるように」読むと、
知識の臨界点を越えるというか、
なにやらスッゴイところまで見えてくるらしいんですよ。

彼、「ナグモンくん」ってやつなんですけどね。
「俺にばっかり語ってるのはもったいないから書けよ」
ってことになりまして、
ここに、「彼のナメあと」を連載することにしました。

第8回
アストロズに19年目の呪い?

ラリー・ダーカー。
この名前をきいて、誰だかすぐわかる人は
そういないでしょうね。
僕も少し前までは全然知らなかった。
この人、ヒューストン・アストロズの監督であります。
52才。

パンチョ伊東氏の「MLB名鑑」によれば、
このダーカー監督は、通算139勝をあげた
元アストロズのエースで、
引退後、地元テレビ局のアストロズの中継で
解説をしていて、球団のオーナーが、
その的確な解説をきいて監督にしちゃったらしい。
マイナーでの経験なし、コーチの経験もなし、
いきなり監督。

渡辺オーナーが、
江川卓の解説はなかなかするどいじゃないか、
あれなら監督にしてもいけるんじゃないか
ってなもんでしょうか。
メジャーの監督はマイナーで監督をつとめて
その実績をかわれてというケースが多いらしいから、
日本ではともかく、
これは向こうじゃそうとう異例なことでしょう。

ところがわからないもので、
ダーカー監督率いるアストロズは、
97年ナショナルリーグ中地区で優勝してしまった。
新人監督としては史上6人目だそうだ。
翌98年も中地区優勝を果たして、
ダーカーは最優秀監督賞を得ている。
そしてむかえた99年も、
現在のところ、中地区の首位にいる。

ヒューストンのファンとしちゃあ、
もう地区優勝じゃ喜んでらんねぇよ、
今年こそ悲願のワールドシリーズだ、
ヤンキースよ、待ってろよってな思いでしょうか。

そのダーカー監督が、6月13日の
サンディエゴ・パドレスとの試合中に
意識を失って倒れるという事件があった。
よっぽど衝撃的な倒れかただったんじゃないかなぁ。
選手たちの動揺があまりにはげしいので、
審判団はもう試合の続行はできないと判断して
サスペンデッドゲームにしちゃった。
試合をここで中断して、
後日、その続きをやる、ということですね。

この事件を伝える記事のなかに、
驚くべきことが書かれていた。
この試合で始球式をつとめたのが
J・R・リチャード氏という元アストロズのピッチャーで、
実は彼も現役時代に、ダーカー監督が倒れた場所と
数メートルしか離れていない場所で
心臓発作で倒れた過去があるのだという。
なんという因縁。

しかもですよ、このリチャード投手が倒れた日がね、
1980年7月30日なんだって。19年前ですよ。
19年目の因縁がこんなところにもあるなんてなぁ。
偶然ではあるんだろうけどね、
ちょっと背筋がサムくなりました。

さいわいというか、その後の報道では、ダーカー監督は
脳の血管につまった血のかたまりを除去すれば
大丈夫とかで、手術もうまくいったという。
ホントよかった。
復帰にはすこし時間がかかるようだけど。
今年のアストロズは、コーチ陣、主力選手に
病人、ケガ人が続出して、呪われたアストロズ
なんていわれてるらしい。
でも、それでも中地区の首位にいるんだからまだいいよ。
ヤクルトスワローズなんて、ケガ人続出で
ほとんど脱落しかかってる。

アストロズといえば
世界初の屋根つき球場アストロドームだけど、
1965年完成のこのドームも
今シーズンでお役ごめんになるという。
これも知らなかったなぁ。
来年4月には新しい開閉式のドーム球場ができるそうだ。
アストロドームはどうなるんだろう。
やっぱり壊されるんだろうか。
爆薬をたっぷりしかけられて、
一瞬にして巨大なドームが消えていく、
そんなニュース映像を近いうちに見ることになるのかなぁ。
今シーズン限りで消されてしまう球場が
この世への思いを絶ちきれずに呪いをかけている、
なんてことはありゃしないんだけど、
ちょっと気持ちがワルイ。

アストロズはまだワールドシリーズ出場を果たしていない。
ってことは、このドームでワールドシリーズが
開催されたこともないのでしょう。
最後の最後に、アストロドームが
夢の舞台になれたらいいのにね。
そんなにはうまくいかないか。

でも、これでメジャーの記事を読む楽しみが
ふえたことだけは間違いない。
勝ち進め、アストロズ。
そしてダーカー監督は、一日も早い復帰を。


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1999-06-27-SUN

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