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第1回
プロ野球 19年目の不思議

98年のプロ野球で最大の話題は、
横浜ベイスターズの38年ぶりの優勝でした。
待ちわびていた人には38年は長かったでしょう。
ひとの一生のほぼ半分ですから。
長かったぶん、横浜はあつく燃えた。

この38という数字に実は秘密があった。
38は19の倍だった。なんだ、そりゃ。
誰も気がつかなかった。プロ野球をめぐる19年目の不思議。

横浜は38年ぶり2度めの優勝。
その横浜のほかに12球団でもうひとつ
2度しかリーグ優勝していないチームがあった。
ファイターズである。
東映フライヤーズ時代の62年。日ハムになって81年。
まさに19年ぶりの優勝であった。

むかしの西鉄は強かった。すごかった。
それがドン底の時代をへて、西武としてライオンズは
生まれ変わり、ふたたび黄金時代を築いた。
西鉄としての最後の優勝は63年。
西武としての初優勝は82年。なんとこれも実は
19年ぶりの歓喜ということになる。

阪急だって強かったんだ。3年連続日本一にもなった。
この3連覇をはたした77年以降、
オリックスブルーウェイブとして
日本一に返り咲いたのは96年。
なんとなんと、これも19年ぶりだった。

なんだ、パリーグの例ばかりじゃないか。
いや、今年のプロ野球のいちばんの話題、
長島、野村のふたりにまつわる19の不思議もあるんです。
でも、そのまえに、この不思議を
冷静にちょっと考察してみます。

聖書は予言書だった?
聖書の文章を字詰めを変えていろいろ並び変えると、
未来を予知していたかのような単語の文字列が
あらわれてくる、たしかそんな本があった。
読んでないんですけどね。
あれはちょっとズルイと思った。
26文字の組みあわせ、タテヨコナナメ逆方向オーケーなら
なにか3文字か4文字の単語にはすぐなるでしょう。
どのくらいの確率か、コンピュータなら計算してみてくれ。

この19の不思議もちょっとズルイところもあると思う。
プロ野球の50年のぼうだいな事例のなかから
都合のいいとこだけとってきて、
思わせぶりに見せているんじゃないの。

ベイスターズの38年ぶり、ファイターズの19年ぶりは、
これは文句なし。ライオンズの例もまぁなっとく。
阪急は日本一が19年ぶりで、そのあいだに3度もリーグ優勝
しているので、ちょっとズルイ、ということになる。

長島、野村の話にいくまえに、もうひとつ。
去年98年、横浜38年ぶりの優勝の19年前、79年は
広島と近鉄のシリーズ、あの「江夏の21球」の年だった。
大洋の38年前の優勝のときの相手は大毎オリオンズ、
監督は西本幸雄。
シリーズで三原監督の大洋に4連敗して解任された。
19年後、西本はあのスクイズ失敗で、
再度、悲運の名将という役割を演じさせられてしまった。

いっぽう佐々木主浩。
鹿取、郭源治、斉藤明夫、大野、優れたクローザーは数多く
いたけど、リリーフエースといえばずっと江夏だった。
19年後、その座は佐々木に継承された。

このあたりの19年の物語は、ズルイというか、
ちょっと強引ですね。僕は好きだけど。
このへんの話なら、権藤監督、若松監督にまつわるものが
まだあるし、もっとあるはず、と思いますよ。

さて、野村の場合です。南海の名もない新人として
プロのスタートをきったのが54年。
それが19年後の73年にプレイングマネージャーとして
はじめてリーグ優勝。それからさらに19年後の92年に、
ヤクルトの監督として一度めの優勝。

長島は75年に監督になった。屈辱の最下位。
一転、翌年は見事優勝。その翌年も優勝。
なのに、日本一にはあと一歩とどかなかった。
その長島がついに日本一になったのはいつだったか。
もちろん、最下位の75年から19年目、
あの中日との世紀の大一番に勝利した94年だったのです。

ふたりともそのあいだ監督してなかった期間が
かなりあって、そのときは優勝しようがないから、
少しズルイですかね。でも、19年という時間の
長さを考えると、やっぱりなんか不思議なんですよね。

さらにもうひとつ。
こういう「遊び」のおもしろいところは、
以上の不思議からこれから起きることを
ちょっと予測してみることもあるでしょう。

たとえば、日本ハムは
81年から19年目の2000年に優勝する可能性がある。
してほしいなぁ。

王監督なら、監督デビューから19年目の2003年か、
一度優勝している87年から19年目の2006年。
それまで監督してるのかなぁ。

阪神の19年ぶりの優勝なら5年後、2004年。
それまでノムさんが辛抱できるか。
うーん、虎ファンがそんなに辛抱してないよな。

それと、これだけは言いたくなかった。
前回、長島が監督を解任されたのは
80年のシーズン終了後だった。
あの衝撃から早いものでもう19年。
今年のオフになにかが起きる?
これもズルイかな。
優勝で勇退の花道をかざり、19年前の屈辱を晴らす。
あるいは、19年前の悲劇がまた繰り返される。
どっちでも物語になっちゃう。

原辰徳のルーキーデビューは81年。
19年目の来年、監督デビューか。
まぁそれはないか。

でも、なんで19年なんだろうか。
そう考えていて、あることに気がついた。
野球は9回、18イニングでゲームセット。
19イニング目ということは、
新しいゲームのはじまりなんだと。

1999-04-09-FRI

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