BASEBALL
スポーツ新聞を
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第2回
初の70勝台フィニッシュを

これはプロ野球の七不思議のひとつではないかと、
僕はひとりで思っている。
今年で球団創立50周年をむかえるスワローズは、
いまだかつて一度も
70勝台の勝ち星で終えたシーズンがない。

えっ? と思った人もいるでしょう。
そりゃ国鉄スワローズのころは
70勝するなんて夢みたいな話だったろう。
創立から27年めまでで勝率5割を達成できたのだって
1回きりだったんだから。
いってみれば1勝26敗ですよ。
ヤクルトアトムズのときの70年なんて、
130試合戦って、たったの33勝しかしてない。
2倍しても70にとどかない。

でも、今はちょっと違う。
最近は何度か優勝してたんじゃないの、
といぶかる人もいるはずです。
おっしゃるとおり、ヤクルトは5回も優勝している。
優勝の回数では、強豪のイメージのある中日の4回、
老舗の阪神の3回より多い。
それなのに70勝台がないなんておかしいじゃないの。
そう、おかしい。

タネあかしをしますとね、70勝はしてるんです。
ただ70勝台フィニッシュがない。
なんだ、そりゃ。
5回の優勝のときの勝利数は順番に、
68勝、69勝、ここまではマジで70勝に
とどいてなかった。
そのあとは、80勝、82勝、83勝。
スッポリと70勝台がぬけちゃっている。
なんだ、そういうことか。

パリーグが1シーズン制に戻した83年以降
16年間の両リーグの優勝32回のうち、
70勝台で決まったのが20回だった。
確率は6割2分5厘。
優勝ラインとして75、76勝あたりが思い浮かぶけど、
まぁこんなものなんでしょう。
ちなみにそれ以外の12回は、
80勝台が10回、60勝台が2回あった。

ヤクルトの優勝に70勝台が
抜け落ちているのはたまたまでしょう。
でも他の11チームには70勝台フィニッシュは
いくらでもある。めんどうだけど調べてみました。
優勝3回の阪神が16回もあった。
横浜がヤクルトのつぎに少ないが、それでも4度ある。
セリーグが引き分けを再試合にした90年以降では
2、3位での70勝台だって結構ある。

そう考えると、ヤクルトのゼロというたまたまは
ちょっと不思議ですよ。
たとえばヤクルトは93年から
優勝、4位、優勝、4位、優勝、4位と繰り返している。
これだってたまたまのことで、
これは不思議の世界では素人のレベルだ思う。
でも、70勝台フィニッシュゼロは、
不思議の世界でもセミプロクラスではないかなぁ。
そんな気がしますね。

ちょっとひねくれすぎたいいかただけど、
野村監督でもできなかった
70勝台フィニッシュ。
僕は、今年のスワローズに70勝を期待している。

69勝65敗で迎えた最終戦。神宮球場。
どのチームかはわからないけど、
もう優勝は決まっている。
いやな言葉だけど、消化試合ってやつである。
もしそんな場面になったとしたら、
その試合の勝ち負けの行方を、観客もまばらなスタンドで、
僕は誰よりもハラハラしながら見守ることになるだろう。

1999-04-16-FRI

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