糸井重里
・冬になって、すっかり葉を落とした樹木もある。
川の流れをそのまま縦にしたような姿で、
光があたって影をつくっているのもきれいだ。
地上に出ている枝のようすを、
ひっくり返したようなかたちで、
土の中に根が張り巡らされているのだろう。
その姿のことを、いまぼくは川にたとえたけれど、
樹木は空に向かって水の流れる川でもあるらしい。
寒くなって、葉がすっかり落ちた樹木は、
水を吸い上げる量がとても少なくなっているという。
夏の晴れた日などは、1日に200から500リットルが、
根から吸い上げられ葉から「蒸散」していくと知った。
植物はそこにじっとしているけれど、
大量の水を吸い込み、動かしながら生きている。
人間の場合、いろんな説もあるようだけれど、
1日に約2.5リットルの水が必要とされているらしい。
もともと人間の身体の60%が水でできているし、
生きていくためにひっきりなしに水が使われている。
血液の80%が水分だというのは、イメージしやすい。
しかも人間の血管をすべてつなげた長さは、
9万〜10万キロで、これは地球を2周半だという。
ああ、調べてたらさらに興味深くなっちゃうんだけど、
血液が心臓から身体を一周して、心臓に戻ってくるまで、
20秒から50秒しかかかってないんだってさ。
ぼくら人間は、歩く樹木だ。
パスカルのまねして言えば、考える葦である。
笑い、泣き、歌い、踊る川でもある。
あ、思えば、いま足元で寝ている犬も、
それほどは笑ったり泣いたりはしてないけど、
ちょっと考える葦であり、吠えたり歩いたりする川だ。
「手のひらを太陽に」(やなせたかし)という詩の
「ぼくらはみんな生きている」みたいなこと言ってるけど、
ほんとに現在進行形の水の流れが、じぶんのなかにある。
なんてことを水を飲みながら書いて、これからお風呂に。
今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
本日も、大いに飲み(水を)、回し、出して生きてください。
12月27日(土)より、
更新時間は毎日11時になります。
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