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もうすぐ『ゼルダ』がやってくる!

 
お待たせいたしました!
ゼルダ開発者インタビュー
今回からスタートです!
まずは、今回から何回かに分けて
「開発チーム座談会」をお届けします。
ゼルダの開発チームは、宮本茂さんをボスに、
たいへんな人数で構成されていますが、
今回、参加してくださったのは、
たくさんいる精鋭スタッフの中から
ピックアップした4人。
ゼルダを完成させて、一息ついたところで
今回の座談会となりました。
食事をしながらのリラックスした雰囲気で
(しかもボス抜きで)行ったこの座談会、
なかなかふだん聞けない話が飛び出していますよ!

任天堂 情報開発本部 制作部制作課 係長
ディレクター

前作から引き続き、全体を統括するディレクターとして活躍。
携帯の待受け画面に設定した、生まれたばかりの息子
(でもなかなか会えない)の写真を支えに、がんばりました。
任天堂 情報開発本部 制作部制作課
スクリプト&イベントプランニング
フリスクを口に、娘の写真を胸に、
リリー・フランキーのエッセイを支えに、
書いて書いて書きまくりました。
任天堂 情報開発本部 制作部制作課
デザインマネージャー

プレイヤーキャラクターデザイン。
アイテムや街の人々などの監修も。音楽とふかふかのタオルと
妻の愛情を支えに、ここまでたどり着きました。
任天堂 情報開発本部 制作部制作課
デザインマネージャー

キャラクターデザイン、なかでも敵キャラを全般的に監修。
海洋堂の「激戦/兜コレクション」を見つめ、
髷物の音楽を聴きながら、描き続けました。


ほぼ日 もうじき発売ですね、お疲れさまでした。
まずお聞きしたいのが絵について!
今回、絵が変わったでしょう?
あのことっていうのは、
どういう風に気持ちは共有してったんですか?
中から、反対意見は‥‥。
一同 なかったですね。
ほぼ日 ぼくらも、あれ、「正解」だと思ったんです。
あの正解って、どんな風に出てきたんですか?
突然生まれたものなんですか?
青沼 突然でもないんですよ。
春花 なんかね、
僕らの中ではわりと、
「当然」のところがあったんですよね。
青沼 なんか、自然な成行きで。
ほぼ日 64の、カッコイイ方に行きかけてた
リンクがいましたよね?
「そうじゃないかもな」っていう気持ちが、
最初っからあったんですか?
青沼 ですよね、きっと。
春花 絵を描いてる僕ら
2人に関して言えば、何か‥‥。
滝澤 いきなり、暗黙の了解で、ありましたね。
ほぼ日 あれって、宮本さんが決めるんですか?
青沼 いや、今回はね、
逆にこっちから提案したかたちです。
だから、最後まで宮本も、
リアルなゼルダっていう線を、
捨てきれなかった部分もあったみたいですよ。
ほぼ日 そうですか!
青沼 やっぱり、需要というか、
もう今やそうじゃないと思いますけど、
そのときはやっぱり、
リアルなものを求める人たちの
声の方が大きかったです。
ほぼ日 そうでしょうね。
青沼 で、まあ、それに対して
応えなきゃいけないって部分も
もちろんあったとは思うんですけど。
でも、僕らが作るゼルダはそうではなかった。
だから、もしかしたらこれから先にも、
ああいうリアルなゼルダみたいなものも、
あるかもしれないですよね。
ほぼ日 それがそのときの
正解になる可能性は、おおいにありますよね。
青沼 です。


高野 ゲーム的に、ネタ的に、
リアルな方が合っていったら、
そういうリアルなゼルダになってたと思う。
ただ、青沼とか春花が考えてた、
「遊ばせるゼルダ」っていうのは、
あの絵の方が、絶対にアイデアとして
面白いものを持ってるし、
僕らからしてみれば、
リアルだと作りづらいけど、
こっちだったらもっとネタが、どんどん、
ゲーム的に色んなことをできるようになる、
とかっていうものがあったから、
あの絵になってても、別に違和感もなく、
これの方が面白いものができるだろうと。
青沼 だからね、ひょっとしたら、
「時のオカリナ」から、
「ムジュラ」に表現を変えたときに、
今回の絵はもう、必然的に、
できていたのかもしれないですよね。
「ムジュラ」は「時のオカリナ」から、
またイメージの違うものにしてますから。
滝澤 「ムジュラ」のときに、春花が、
いろんなキャラクターとか描いてる、
ちょっとした落書きの、
その端っこの方とかに、
なんか今のリンクっぽいものが‥‥
青沼 ま、ちょっと見え隠れ
してたってことですね、きっと。
春花 どっかでそういうふうな部分が、
64のゲームを作ってるときに、
僕の中にあって、
滝澤とかと雑談してるときに、
「こんどのリンクはこうなんかなー?」
みたいな話になったりとかは、ありましたね。
滝澤 わりと64頃から、けっこうよく言いましたよね。
ほぼ日 僕はいま、絵のことって
事件だったんじゃないかな?
って思って訊いたんですけど、
そうじゃないんですよね、そのこと自体は。
青沼 それは、事件じゃないですよね。うん。
高野 スタッフだけは、
別に何とも思ってなかった‥‥。
滝澤 もしかしたら宮本的に、
事件だったかもわかんない。
一同 (笑)
高野 まあ、世間的には事件になって、
えらいことに。
滝澤 だから、最初にラフ・スケッチを春花がまとめて、
宮本のところに見せに行ったことがあって。
そんときにはやっぱり、
事件だったでしょうね(笑)。
春花 ちょっとね、あの、若干、
事件というか、事故やったんですよ(笑)。
一同 (爆笑)
春花 「あ、作っちゃったー」みたいな(笑)。
青沼 いや、でも、春花は確信犯なんですよ。
春花 いやいや(笑)。や、ま、でも何か、
それぐらい僕らにとっては、
自然だったんですね。
さっき青沼が言いましたけど、
宮本の方も、それ見せたときに、わりとね、
ちょっと迷ってる部分っていうのが
やっぱりあって、苦笑いだったんですよ。
需要として、リアルな方が
ウケがいいっていうところが、
プロデューサーとして、任天堂という会社として、
やっぱりあったとは思うんです。
ほぼ日 葛藤はあったんですね。
春花 そのへんは、ありつつも苦笑い、みたいな。
うん、どっかやっぱり宮本の方も、
64のときのやつとかに
違和感があるっていうのは、
よく言ってる話であるし。
そういう部分で言えば、
ま、宮本もほんとうに迷ってたというのは、
あったと思うんですよね。
青沼 逆にそれがなければ、
よく言うちゃぶ台ひっくり返しですけども、
バーン! って、リアルで行けって
話になったと思うんですけどね。
ある程度できちゃってる
状態で持ってっても、あの人は
ひっくり返すときはひっくり返す人ですから。
それが必要ないっていうふうに思ったって部分も、
きっとあったと思うんですよ。
で、もうちょっとこう、
転がしてみたらいいものになるかな?
みたいな(笑)、
そういう計算もあったかもしれないし。


高野 いや、僕ね、いちばん聞きたいのは、
宮本とかって、
「ゼルダの世界は、別にないよー」
って言いながらも、
けっこうこだわってるところが、すごい‥‥。
一同 (笑)
ほぼ日 どういうところに?
高野 僕らにすごく任せて、やっていいよ、
好きなようにって感じで。
春花たちが、この路線で行こうって決めたら、
バーッてラフ・スケッチを描いて、
「こんな感じです」
とかって、見せに行くと、
「違う」って、たまに言われるんですよ。
「こうじゃないよ」とかって。
最初はこれで行けるのかな?
って思ったら、だけどやっぱり「違う」って。
僕らには直接は言わないですけど、
思い描いてる宮本の、
自分の世界っていうのを、
ほんとはどっかに持ってると思うんですよ。
ほぼ日 例えば、どういうのですか?
春花 ゼルダ姫はそうでしたね。
やっぱり今回ちょっと絵が変わったので、
ゼルダ姫も変えてやろう、って思ったんです。
普通のお姫さまじゃないような格好にした
ラフを描いたんですが、そこはやっぱり、
ちゃんと普通のお姫さまにしてね、って。
青沼 宮本が、基本的にあるのは、
必然性のあるものは変えてもいいけれども、
必然性のないものは変えなくてもいいじゃない、
っていうことなんです。
お姫さまであるそのイメージっていうのは、
別に変える必要はないでしょう?
そこに変える意味があるんであれば
OKだけど、っていう。
なんでもそういう感覚ですよね。
だから、例えば、操作性とかに関しても、
大きく変える必然性のあることを、
このほうが絶対、分かりやすいっていう、
そういう変え方であればいいんですけど、
逆に変えなくたって
いまのままで操作性はいいよね、
みたいなところを無理に変える必要はないだろう、
っていう感覚ですね。
春花 僕らもその、新しいところで
欲張るんですけど。
で、区切りのいいところで
宮本に見せたときに、
「これは64のときにできてるものやから、
 わざわざ外さんでいいやん」って。
僕ら新しいこととか、
できるだけ盛り込みたいから、
欲張るんですけども。
青沼 そう、逆に、それが入っちゃうと、
「前と同じじゃない」って
言われそうな気がして、
外したいと思ったりするけども、
それは別にいいじゃない、っていうふうになる。
春花 「64のときにできてるのに、何でなくなんの?」
とか。難しいなー、って。
高野 だから、スタッフ的にはもう、
とにかく新しいもんにしなきゃいけないから、
全てを新しく変えようとするわけですよ(笑)。
それをいきなりガーッと変えてしまうと、
「なんでー?」みたいな。
ま、だから、そこでストッパーの役目が
宮本なんです。
ほぼ日 線引きが、ここが確立されてるもので、
ここから先は新しいのを取り入れても
いいところだ、っていうのの
見極めみたいなものが、
宮本さんが持ってるものになっちゃうんですか?
他の人でも、これは宮本さんだったら、
このままでいいだろうって言うだろう、
っていう判断はつくんですか?
青沼 もちろん判断のつく部分もあって。
なおかつ、そこらへんがどこまで
エスカレートしていいのか、
みたいなところっていうのは、
あるところを越えちゃうと、
延々こう、スゴイとこまで行っちゃうんだけど。
だから、そこのところの微妙な線っていうのは
やっぱり、宮本しか
分かんないところもあったりはするよね。
高野 スタッフは冷静になれなくなってるから、
それは正しいんだって思って
ガーッてなってくと、
遠くからこう、神のように見てて。
「違う、違うよー」とかって言われて、
はじめてハタと冷静になって、
あ、そっか、っていうのは、多いですよね。
逆に言ったら、宮本はこう言うだろう、って
思ってやってることと違うところを
突いてきたりすることはすごく多いですよね。
青沼 そう。
もうたいがい最近読めてきてるかな?
と思いつつ、あれっ? そう来たか、
っていう部分が。
高野 ストーリー関係ないよ、って、
ゲームが面白かったらいいんだよー、
とか言うわりには、
開発者レベルの考え方でやってしまってると、
「ここ、ちょっとおかしいんじゃないの?」
って、もうグサリとやりますよね。
あの、望遠鏡の話とかね。
(望遠鏡の謎については、次回をお楽しみに!)

その1 青沼さんの場合
「子供の写真」


夏ぐらいに新しく携帯買ったんです。
夏休み潰して仕事をしてましたから、その間、
カミサンと子供を田舎に帰したんですけど、
まだ子供小っちゃくて。
こんど12月の25日で1歳になるんですけど‥‥
タイガっていうんですよ、うちの息子。「泰我」。
ちょっといい名でしょ(笑)?
で、子供が初めて夏、田舎に帰って
実家の庭のプールに入ってる写真が
送られてきたんです。
親ばかみたいだけれど、
「子供の、新しい体験みたいなのを常に送ってね」
って言ってあって、
カミサンが送ってきてくれた1枚なんです。
これを見て、何をやってるんだろう、
俺は!?って(笑)。
普通だったら一緒にプール入ってんだろーなー、って。
だから、来年の夏は一緒に入るぞ、
っていうような気持ちで、頑張りましたもん。
これ見て泣きましたよ。はっきり言って(笑)。
いま、やっと、ゆっくり過ごせます。
大変です、土日、もういろんなこと
させられまくって(嬉)。
みんな、家族のためにも、
年末、早めに休みを取ろう、ね?
高野さんの証言:
うちのディレクター(青沼さんのこと)は
もう、仕事に入ったら、ほかのことが目に入らないくらい
一生懸命にやるんですけど、
たまに、奇声を発するんですよ。
なにかあった、というサインなんですが、
この画像がついたときも、叫んだんです。
「う゛ぁーっ!」って。あまりの絶叫に、
何かトラブル起きたんかな、って。そしたら
「高野、これ、見てくれよー、
 子供がプール入ってるんだよ」って。
おいおい!(笑)。
(そう言う高野さんのなごみアイテムは何か!?
 その様子は次回お届けします!
 ちなみに高野さんのお子さんと、滝澤さんのお子さんは、
 開発中に誕生したんですよ!)

撮影協力:
THE RIVER ORIENTAL KYOTO
http://plandosee.co.jp/tro/

この座談会は、鴨川沿いの大きなレストラン
「ザ・リバー・オリエンタル・キョウト」で
収録されました。
昭和初期の巨大な木造建築は、
もともと豪奢な割烹旅館「鮒鶴」だったもの。
アジアのリゾートふうのしつらいを加味し
レストラン、バー、パーティールーム、
結婚式もできる教会などをもつ施設に
生まれ変わりました。

京都市下京区木屋町通り松原上ル美濃屋町180
Tel. 075-351-8541
Fax. 075-351-5688
阪急河原町駅より徒歩6分、
京阪五条駅より徒歩3分、
JR京都駅からタクシーで約10分

営業時間:
ブライダル 10:00〜20:00
レストラン 17:30〜23:00
バー 21:30〜03:00
2002-12-06-FRI