第2回
冒険がおもしろさを生む。
糸井
今のお話を言いかえると……
石坂さんが、
テレビの大きな変化として感じるのは、
「今のテレビは、
 理解しやすいものばかりを作っていて、
 説明がつかないことをこわがりすぎだ」
ということですね。
石坂
そうだと思う。

日本という国には、
前からそうだけど、
批評家がいないでしょう。
後追いの批評家しかいない。

作ったやつが驚くような、
しかも可能性を開くような批評が出てくれば、
番組はもっとおもしろくなるだろうから。

ぼくは今、そういう
わけのわからないような
ドラマをやりたいんです。
ひとりでできるものではないですが、
企画として出たら、
ぜひなんとかして参加して……と思います。

役者もあんまり、
わかりやすく芝居をすべきではない、
と思うんです。
だからそういう意味では、
役者として反省しないといけないんです。

「悲しいけど悪い人」だとか、
すごくわかりやすいキャラクターばかりでしょう。

「もっと、お客さんにも考えさせてやったら?」
と思う。矛盾だらけでもいいんだし。
計画書どおりに作られたものには、
美を見つけられない。

やっぱり、遠近法が取り入れられてから
しばらくの絵とか見ると、
遠近法ばっかり正しかったりする絵って、
あんまりおもしろくないんです。
つまんないよ。

ウソついてるほうが、よっぽどおもしろいし、
そっちのほうが、
名画だって言われているんですから。

やっぱりおもしろいものには、
エネルギーと、
それから大冒険がありますよね。

ひょっとしたら、今はテレビよりは
劇画の方が進んでいるところがあると思う。

漫画家個人が描ききれないところを、
こちら側が補って見るものだから、
描かれている人間が深く見えるんだよね。

漫画家は
厳しい連載のスケジュールの中で、
自分で自分を
納得させている時間なんかないわけ。
そこがいいんだと思いますけど。

ただ、最近の漫画は見ていないから
言えないけど、もしかしたら、
テレビと似たようなところに
来ているのかもしれないなぁ。
糸井
いや、漫画はだいじょうぶですよ。
あれだけ膨大な量を
ひとりで作るの、それだけでも無理ですから。

……今は、「納得」ということが
貴重品みたいに思われていて、
リーズナブルとよく言われるけど、
あれは、よくないですよね?
石坂
リーズナブルって、
誰の基準なのかがわからないでしょう?

要するに、「安い」と言っているのよ。
糸井
もっと、
「わけがわからないからおもしろかった」
みたいなことが、
探せばいっぱいあるはずだと……
演劇に行く役者さんたちは、
そういう
「テレビではできないけどやりたいこと」
を探しているんですか?
石坂
ふたつタイプがあると思う。
テレビの仕事が来ないからやっている人と、
テレビだけでは満足が足りない人と。

確かに舞台の持っている達成感は
独特なものがあって、
どんなにハイテク化したとしても、
目の前の人間を相手に
商売をするわけですから……
それは、おもしろいと思う。
2015-05-05-TUE
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