みなさんに飲んでいただきました。vol.4

    築地の老舗「うおがし銘茶」仕入部のみなさんに
    余市の中野さんがつくったトマトジュース
    「おらがトマト」を試飲していただきました。

    うおがし銘茶土屋社長 大薮さん 柿崎さん
築地に本店を構える「うおがし銘茶」さんは、
今年(2016年)で創業85周年、
お茶ひとすじの老舗です。
土屋社長をはじめ、仕入部のみなさんは、
毎年4月の新茶シーズンになると、
何千杯ものお茶を試飲します。
香りの良し悪しを瞬時に判断したり、
昨年の味を記憶しておいて、その味に近づけたり。
味覚に対して鋭敏で
その道のプロであるみなさんに、
ぜひこのトマトジュースを飲んでいただきたい。
ということで、試飲していただきました。
ーー
(トマトジュースを注いで)
どうぞ、お召し上がりください。
土屋
こういうの、はじめてです。
お茶以外の試飲をするなんて‥‥(笑)。
ーー
すみません。
今日はぜひ、率直な意見をお願いします。
大薮
いただきます。
‥‥あまい。
ぜんぜん青くさくないです。
柿崎
見た目以上にさらさらしていますね。
ーー
みなさん、ふだんから
トマトジュースはよく飲まれますか?
柿崎
いや、めったに飲まないです。
トマトは食べますけど。
大薮
ぼくは、野菜不足になりやすいので、
トマトも入っている市販の野菜ジュースを
よく飲んでます。
ーー
土屋社長は、いかがですか?
土屋
‥‥ぼくは、実は
トマトジュースが苦手なんですよ。
ふだんは全く飲まないんです。
ーー
えっ。
苦手なのに飲んでいただいて、
大丈夫でしたか‥‥?
土屋
トマトジュースって、
どうも青くさい感じがして無理なんです。
でも‥‥このジュースはそれがない。
よくある酸化したような匂いもないし、
香りがすごく爽やかですよ、これ。
ーー
ああ、よかったです。
ほっとしました。
うおがし銘茶
広報の女性
実は、土屋は香りに敏感な仕入部のなかでも
「いちばん鼻が利く」と言われてるんですよ。
ーー
えっ、それは、とてもうれしいです。
土屋
あと、あまいだけじゃなくて、
酸味もあるのがいいね。
ーー
はい。原料に大玉トマトを使っているので、
特有のあまずっぱさが加わって、
爽やかな味わいになるんです。
ミニトマトを原料にした糖度の高いジュースは
比較的作りやすいそうなんです。
でも、大玉トマトを使ったもので、
ここまであまいジュースはなかなかないんですよ。
土屋
作っているのは、北海道の余市でしたっけ?
ちょっと意外でしたね。
トマトというと、高知県とか、
西のほうのイメージがあったから‥‥。
ーー
余市町というのは、
トマトのルーツであるアンデス地方と同じ、
寒暖差の大きい土地に水はけの良い赤土があって、
トマトの栽培に適しているそうなんです。
土屋
へえ。

▲真剣に試飲してくださるみなさん。
新茶シーズンには何千杯ものお茶の香りや味を
確かめるお仕事をされています。

ーー
このトマトを栽培しているご一家は、
糖度がどうとか、あまみや酸味がどうとか、
味についてほとんど語らないんです。
「売る側があれこれ言うよりも
 おいしいかどうかはお客さんが決めることだ」
という姿勢で、実直に作り続けていて。
うおがし銘茶のみなさんも、
味について語ることはあまりなくて、
「お客さんが飲んでおいしいと
 思ってくれたらそれでいい」と
常々おっしゃっているので、
どこか通じるものを感じたんです。
うおがし銘茶
広報の女性
確かにうちは、味について
うんちくを語らないという方針なんですよ。
だから、こういう場面でも
あまり気の利いたことが言えなくて、
試飲してもお役に立てるのかしら、って
心配しちゃったんですけど‥‥。
ーー
いえいえ。
だからこそ正直な感想をうかがえて、
ありがたいです。
あ、おかわりをどうぞ。
(2杯目を注ぐ)
土屋
ふたりは、どう思う?
柿崎
ふつうのトマトジュースって、
もうちょっと塩っぽいじゃないですか。
飲んだあとに「‥‥んん?」っていう
違和感があるんですけど、それがないですね。
ーー
このトマトジュースには
塩や添加物をいっさい使ってないんです。
柿崎
うん、後味がいいです。
大薮
冷製スープを飲んだときの感覚にも近いですよね。
ーー
そうなんです。
実際にお客さまからも
「塩、こしょうをしてスープにしました」
という声が届いているんですよ。
大薮
ぜいたくなスープになりそう。
お客さんからネガティブな反応がないでしょう、
これは。
ーー
そうですね。
以前、試飲会をしたときも、
「トマトジュースは好きじゃないんだよね」
とおっしゃっていた方が飲んで、
「これなら飲める」と言ってくださって。
贈りものとかお見舞いの品としても人気です。
土屋
これは日持ちもするんですか?
ーー
未開封ですと、製造から2年持ちます。
すぐに飲んでもフレッシュでいいんですが、
置いてもおいしいです。農家さんに、
「ワインと同じで熟成するから
 1年後に開けて飲んでみてください」
と言われて実際に飲んでみたんですが、
かなりまろやかになって、おいしかったです。
土屋・大薮・柿崎
へえ~。
土屋
これ、ジュースになる前の
生のトマトも食べてみたいですね。
絶対おいしいでしょう。
ーー
はい。
現地で取材中に、畑から直接もいだものを
いただいたんですけど、
とにかくあまくて、それはもう絶品でした。
土屋
だろうなぁ。
おいしいに決まってますよね。
今度は、それも一緒に持ってきてくださいよ(笑)。
ーー
(笑)わかりました。
大薮
おいしかったです。
柿崎
ごちそうさまでした。

(うおがし銘茶のみなさん、どうもありがとうございました!)

2016-06-10-FRI

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© HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN    illustration : Sayaka Hano, Kyoko Tsuda(logo-mark)