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勉強サイド

勉強の夏、ゲームの夏。2017

shinya.hirano

勉強しなくてもできた
小学校時代

2017/08/25 20:48
それでは谷山さん、よろしくお願いします。

「はい、よろしくお願いします。」

プロフィールの上では、
「東京大学卒」という経歴を知ってはいましたが、
こどもの頃から、勉強ができる子だったのでしょうか。

「これは自慢するわけじゃあないんだけど、
小学校の頃は、そんなに勉強しないでも
テストはできちゃったんですよね。
僕が小学校3年生ぐらいの頃、
当時は公害が問題になっていた時代でした。
僕はわりと早熟な子どもだったから、
誰かに言われるでもなく、
勝手に調べてノートにまとめていました。
取り立ててテスト勉強に力を入れるわけでもなく、
全学年で1位を取るような小学生。」

ひええっ、レベルの高い小学生ですね。

「その頃、進学校に行くなら
3、4年生ぐらいから
名門と言われるような塾に通うものだったけど、
うちの場合は、父親があまり行かせなくて、
小学校6年生になって、
はじめて塾に通ったんですよね。

塾からも『今さらかよ』みたいな目で見られて、
とりあえず入塾テストを受けたら、
その塾に通う全体の5位とかで、
いきなり見る目が変わった気がしました。
塾に入った小6の時は、
まあ、けっこう勉強したかな。」
shinya.hirano

6人目の講師は、
谷山雅計さん!

2017/08/25 20:45
6人目、本日最後の先生としてお迎えしたのは
コピーライター、
クリエイティブディレクターの
谷山雅計さんです。

1961年生まれで、なんと今日が誕生日!
新潮文庫の「Yonda?」や、
東京ガスの「ガス・パッ・チョ!」、
資生堂 TSUBAKI「日本の女性は、美しい。」、
東洋水産「マルちゃん正麺」など、
いくつもの広告コピーを手がけているので、
どこかで、谷山さんのコピーを
見たことがあるかたが多いのではないでしょうか。

そんな谷山さんは、大阪府のご出身。
甲陽学院中学校・高校を経て、
東京大学教養学部を卒業されています。

ぼくにとってはコピー講座の恩師でもあって、
著書やトークショーでも、
あまり学生時代のことをお話されている
イメージがあまりありませんでした。
今日はいい機会なので、
谷山さんに、勉強や宿題のコツや、
「頭がいい」とはどんなことか、
いろいろとお話をうかがいたいと思います。
nagata

ありがとうございました!

2017/08/25 20:40
数々の名回答、
そして、書き下ろしの読書感想文!

古賀史健さん、
ほんとうにどうも
ありがとうございました!

静岡おでんを召し上がってください。
どうもありがとうございました。
nagata

古賀さんが感想文を!

2017/08/25 20:36
なんと、古賀さんが、
実際に読書感想文を
書いてきてくださいました!

しかも、ちゃんと
青少年読書感想文全国コンクールの
課題図書で!

本のタイトルは
ホイッパーウィル川の伝説
中学生部門の課題図書です。

「まず、この本、
 めちゃくちゃおもしろかったです。
 読んでよかったです」

ああ、もう、その姿勢がすばらしい。
さすが古賀さん。
久々に読書感想文を書いてみて、
いかがでしたか?

「やっぱり、いま、書評を書いているので、
 読書感想文というよりは、
 書評に寄ってしまうので、
 ちょっと苦労しましたね。

 書評はその本を薦めるために
 書くという意義もあるので、
 過度に内容を書くことなく、
 よいイントロになるように書いてしまう。
 そのあたりが読書感想文と違います。

 また、書評て、自分の独自の意見よりは
 『この本はこうである』という
 ある種の断定を求められているんですね。
 好きか嫌いかさえ、関係なかったりする。
 一方、読書感想文で大切なのは
 『自分はこう思う』という主観。

 この読書感想文のテーマをぼくは
 『大人になることの意味』にしました。
 作品がことばとして明示してないテーマを
 自分なりに読み取って広げていくのが
 読書感想文だと思います。
 参考になるかわかりませんが、
 けっこう真面目に書いてみました(笑)」

 どうもありがとうございます!
 古賀さんの書き下ろし(!)読書感想文は
 以下をクリックすると読むことができます。

 古賀さんの読書感想文、
 「大人になることの意味」。
nagata

能動的に読むには?

2017/08/25 20:06
その後も、本を読むことについて、
古賀さんはおもしろい話を
聞かせてくださいました。

「本をただ受け身で読むんじゃなくて、
 自分の視線を入れながら
 能動的に読むと、読み取れることが
 ずいぶん違ってきます。

 能動的に読むためには、
 たとえば、こういうやり方があります。

 それは、
 『この作者に会ったら何を聞こう?』
 と思いながら本を読むことです。

 『坊ちゃん』を読みながら、
 『夏目漱石に会ったら何を聞こう?』
 と考える。あるいは、
 『鳥山明先生に会ったら
 どんな質問をしよう?』と考えながら
 『ドラゴンボール』を読む。
 これだけでずいぶん読書が
 能動的な体験になります。

 受動的な読書はいってみれば
 ジェットコースターの観客です。
 能動的な読書は、自転車の運転手。
 読書が変われば、感想も変わってきます」
nagata

話しても要領をえない子で‥‥。

2017/08/25 19:58

こんにちは!
小学五年生の息子の
文章力について相談です。
息子の話は、要領を得ないと言うか…
聞いていても何だったのか、
どうだったのかと言う事が
よく分かりません。
まずいきなり、自分が思った事を言うので、
何の話か分からない事が多いです。
作文を書いても、何を言いたいのか
分からないことが多いです。
あと字も汚くて、ものすごく読みづらいです。
書道にも通っていますが、
本人に綺麗に書こうと言う気持ちがないのです。
伝える力ってどうやったら伸びますか?

(ゆでこ)

おおお、わかる、とてもよくわかります。
ずばり、うちの子かと思いました。
古賀さん、いかがでしょう?

「これも、若いライターの人たちに
 講座で言うことなんですが、
 たとえば、駅から自分の家までの道を
 ことばでしゃべってもらいます。

 そうすると、本人には、当然なのに、
 聞いてる人にはわからない、
 ということの差に気づけたりします。

 たとえば、
 『駅から出たら銀行があるので‥‥』
 その駅は、どの出口から出たの?
 銀行は、何銀行なの? って、
 聞いてるほうはすぐに指摘できるんです。

 単に『あんたの言ってることはわからん』
 と返すのではなく、どこがわからないのか、
 きちんと言ってあげないと
 相手も気づけないんですよね。

 あと、ぼくは子どものころ、
 決して字はきれいではなかったですが、
 読書感想文などを書くときは、
 必ず辞書を横に置いて、
 漢字がつかえるところは
 できるだけ漢字で書くようにしてました。

 読むほうが感じるのって、
 『文字がきれいかどうか』よりも、
 書き手の取り組み方が丁寧かどうか
 というようなところなんですよね。

 たとえくせのある文字でも、
 漢字をつかって丁寧に書いてたら、
 その態度や姿勢はきちんと
 伝わるんじゃないかと思います」 
 
nagata

感想をきちんと書くには?

2017/08/25 18:27
それでは、読者の方からの
質問に応えていただきたいと思います。
古賀さんに選んでいただきました。
こちらの質問です。


感想文の相談です。
小5の女の子。
テレビドラマ化された小説で書くことにしました。
主人公がこうでああで‥‥と
内容を要約しては『すごいと思った。』
また違うシーンを要約しては
『面白いなと思った。』
と感想部分が少なすぎるできばえ。
どうすごいの? 自分だったらどうなると思う?
どのへんが面白いと思ったの?
それは笑える面白さ?
興味が出たっていう面白さ?
とこちらが掘り下げようとしても、
『うーーん、わかんない』
気楽に内容について
おしゃべりしているといろいろ出てくるのに、
いざそれを文にとなると書けなくなるみたいです。
文章を書くうえで、
普段からできることを教えてください。

(りえかえる)


あああ、よくありますね、こういう感想文。
というか、ふつう、こうなっちゃう。
古賀先生、どうすればいいんでしょうか?

「大人のライターの人でも
 こういうことってよくあります。
 ライター講座などで、
 ぼくはこんなふうに言ってます。

 感動でも、興奮でも、怒りでも、悲しみでも、
 こころが動いたら、感情をそのままにせず、
 『自分のこころ』を見つめる時間をつくる。
 よくないのは、すぐにそれを
 安易なことばに置き換えることです」

自分のこころを見つめる、というのは、
具体的にはどういうふうにすればいいのでしょう。

「本を読んで、こころが動いたら、
 その『感じ』が、
 自分が過去に経験した
 なにに似てるか考えてみましょう。

 自分が過去に見たり聞いたり
 感じたりしたことをしっかりと見つめ、
 いま感じたこころの動きが、
 それの何かと似ていないか、必死に考える。

 たとえばそれは、
 『予防接種を打つ前の
 列に並んでるときのドキドキ』に似てないか?
 『夕方の空が赤らみ、
 少しずつ暗くなっていくときのさみしさ』
 に似てないか?
 『ベッドに入ったのに、
 ちっとも眠れないときの怖さ』に似てないか?
 それをじっくりと考えます。

 そして、もしも似たものが見つかったら、
 本を読んだときのこころの動きと、
 過去の自分の体験に共通するものに、
 『名前をつけられないだろうか?』
 というふうに考えてみます。

 共通する『この感じ』に名前がつけられたら、
 それが、自分なりに感じた作品のテーマです」

‥‥古賀先生、いや、古賀さん、すごい。
それは、すごい考え方です。
しかも、それ、自分でできる。

「はい、できると思うんです。
 で、自分なりに読み取ったテーマが発見できたら、
 もう一度、本をぱらぱらめくります。
 じっくり読むというよりは、
 印象深く感じたところを、ぱらぱら読み返す。
 そうすると、テーマがさらに肉付けされていきます。
 あとは、それを、丁寧に書いていくだけです」

はーーー、古賀さん、すごいです。
さすがだ、古賀さん。
nagata

古賀さんの原体験

2017/08/25 18:08
少々話が戻りますが、
読書感想文や作文で
たくさん賞をとったり
ほめられりしてきたという古賀さんが
いちばん印象深く憶えている場面は
どんなものでしょう?

「小学校6年生のときの担任の先生が
 すごくおもしろい人で、
 新学期の最初に、
 『好きなテーマで1年間かけて
  原稿用紙50枚くらいの
  卒業論文を書きましょう』
 というふうにおっしゃったんです」

へーーーーー!

「変わってますよね(笑)。
 で、そのとき、クラスのみんなは
 たとえば偉人についてとか、
 江戸時代の歴史についてとか、
 そういうテーマで書いたんですけど、
 ぼくは、小説を書いたんです」

おおお。ちなみに、どんな?

「SFなんですけど、
 まあ、言ってしまえば、
 当時好きだった、『猿の惑星』と
 『インディジョーンズ』と
 『ジェダイの復讐』を
 合わせたようなものです(笑)。

 ところが、その担任の先生は、
 ぼくの小説をぜんぶの卒論のなかで
 最優秀賞に選んでくれたんです。

 で、その最後の授業のときに、
 2時間分まるまるの時間をつかって、
 ぼくにそれの朗読をさせたんです。
 みんなが聴いているなかで
 ぼくはそれを読みました。
 そして、最後の一文を読み終わったとき、
 クラスの全員が‥‥
 立ち上がって拍手をしてくれました」

おおおーー!
スタンディング・オベーション!
なんかいま、ちょっと感動しました。

「それが、なんていうんでしょうね、
 ぼくの原体験です。書くことの」
nagata

読書感想文のコツ2

2017/08/25 17:57
古賀史健さんによる
読書感想文を書くときのポイント、
いきなりおもしろいです。
もっと教えてください。

「あと、先生の顔色を
 うかがいすぎるのはよくないです。
 それは、違う言い方をすると、
 『その読書感想文の読者は誰なのか?』
 ということです」

おおお、ライター講座みたいになってきた。

「いや、ぼくがライター講座で言うことも
 読書感想文の書き方について言うことも
 ほとんど変わらないです」

つまり、きちんと読書感想文が書ければ、
将来、いい記事が書けるかもしれない?

「そう思います」

なるほどーー。
お話をつづけてください。
その読書感想文の読者は誰なのか。

「はい。その読書感想文の読者が
 担任の先生だとすると、
 やはり『いいこと』を書きたくなります。
 優等生的なうそをついてしまう。
 やはり、うそで固められた文章は、
 どんなに上手でも読んでいておもしろくない。
 仮に、うそをつかずにうまく書けたとしても、
 同じような優等生がいっぱいいる、
 という中のひとりになってしまいます」

なるほど、なるほど。
それでは評価もされないですね。
となると、その読書感想文は、
誰を読者に想定すればいいんでしょう?

「ぼくは、読者を
 『その本を読む前の自分』と考えると
 いいのではないかと思います」

はーーー、なるほど!
「その本を読む前の自分」!

「その本を読む前の自分が
 たとえば『先週のオレ』が
 読書感想文を読んで、
 その本を読みたくなるように書く。
 
 そんなふうに考えると、
 優等生的なうそから
 逃れることができますし、
 自然と自分の視点も生まれます。」

おもしろいです、先生。
nagata

読書感想文のコツ1

2017/08/25 17:43
さっそくですが、
古賀さんは勉強のできる子でしたか?

「決してそうではないですね。
 あの、先生や親がのぞむ『頭のいい子』って、
 算数ができる子だったりするんですよね。
 ぼくは算数が苦手だったので、
 いわゆる先生とか親がいう、
 頭のいい子、勉強のできる子ではなかったですね」

算数以外、たとえば国語は?

「国語はわりと得意でした」

なかでも読書感想文が得意だったとうかがって、
本日の先生役として来ていただいたんですが。

「そうですね。
 読書感想文に関しては、
 書けば何かの賞をもらったり、
 学校新聞に載ったりしてました。
 
 最初の賞ですか?
 小学校1年生です。
 で、2年生以降も、ずっと(笑)」

おお、すごい。
それはやっぱりコツというか、
自分なりのやり方みたいなものが
確立されていたんでしょうか。

「そうですね。あると思います。
 ただ、それは文章のうまいへたではないと思います。
 少なくとも小学生のときの感想文では
 文章の善し悪しはそれほど
 問われないんじゃないかなと。
 
 ポイントはやはり、
 その本に自分を引き寄せて書くこと。
 たとえばエジソンの伝記のなかに
 『エジソンは子どものころ算数が苦手だった。
  1+1がなぜ2になるか納得できなかったのだ」
 というエピソードがあったとすると、
 苦手だったのに努力してすごい、
 というふうにまとめるのではなくて、
 自分が子どものころ納得できなくて、
 親に何度も質問したようなことを書く。

 そうすると、自然に自分の切り取り方ができます。
 読書感想文はほかの勉強と違って、
 正しくてもみんなと同じ答えになっては意味がない。
 みんなと違う視点を持つことが重要です」

なるほど、なるほど。
もう、いきなり興味深いです。

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