もくじ
第1回きっかけ 2019-03-19-Tue
第2回横綱と露出狂 2019-03-19-Tue
第3回こじらせてない人、こじらせた人 2019-03-19-Tue
第4回めんどくせえやつら 2019-03-19-Tue
第5回本当は傷ついてた? 2019-03-19-Tue
第6回世間の判断基準 2019-03-19-Tue
第7回自分という存在の押し付け 2019-03-19-Tue
第8回さいごに 2019-03-19-Tue

大学4年生で春から社会人。ライターをするのは初めてです。好きなものはお米。

「女の子」ってなんだろう。

担当・トミカ

第7回 自分という存在の押し付け

——
樋口くんは、自分が嫌だと思うような
判断基準を持った人たちから離脱したら
もう未練がない人なんだ。
樋口
うん。面倒くさいじゃん。
その基準を捨てても死ぬわけじゃないんだから。
——
究極ね(笑)。
そういう人多いかな。男の子に。
樋口
男の方が、そういう基準みたいな、
人を分類するようなことをあんまり考えてないと思う。
よくさ、共学の女の子とかで、オタクみたいな子よりも
スポーツしてる子の方がいいって言うけど
男は結構分け隔てなく接してると思う。
俺がいたクラスとか高校がそうだったのかもしれないけど。
どっちが優れてるかとかは特になくて、
運動ができるやつ、ゲームが好きなやつ、
アニメが好きなやつは、同じフィールドにいた。
でも、それが共学の女の子は、個々に分類してて、
さらにランク付けしてるなって思う。
——
スクールカーストみたいな?
私はその言葉を大学で初めて知った。
樋口
うん。俺も知らなかった。
なんの意味があるのか全然わからないけど。
——
私もそっち側だったけど、
スクールカーストってものを知った瞬間に
私が感じてた窮屈さは、スクールカーストみたいな
ランクづけの中の出来事なのかなって思った。
樋口
だからマウント取ってくるやつはめんどくせえっていう。
——
その樋口くんの面倒くさいっていう感情が
私の場合は、あーやだなって感情なんだろうね。
樋口
面倒くさいからいいやっていう。
バイバーイって、離脱(笑)。
——
いいね、それは。さっぱりしてるね。
いやだなって思っちゃうもん。
樋口
本当はその人と仲良くしたいなって思ってるんじゃない?
嫌なことからは逃げたくない?
嫌なことはしたくないから。
——
ううん。
嫌なことから逃げたら負けになるじゃん。
樋口
何と戦って、何に負けるの?(笑)
——
それ、前から樋口くんによく言われてたね。
私にとって、人生は戦いなんだよ(笑)。
だから、嫌いな人を嫌いって思って逃げると
それを許容できなかった自分がその人に負けたと思うわけ。
私はこの人と対等でありたいのに、
この人を受け入れられる器がないんだって思っちゃうから
嫌いにはなれない。
樋口
進んで同じフィールドに立ちたい人ってことか。
でも逆にいえば一切の多様性を認めないのと一緒じゃない?
相手を理解してあげたいっていうのは
一見いいことのように思うじゃん?
——
うん。
自分の考えは理解されなくてもいいけど、
相手の考えは理解したいなって思う。
樋口
それは結局自分の知的欲求を満たしたいだけのエゴで、
自己中心的な行為なんじゃない?
——
うーーん。
樋口
なんの関係もない話をしちゃった(笑)。
けど、そう言うことだと思うんだよな。
——
今考えてるのにも同じことが言えるってことか。
樋口
うん。
今、世間を理解しようとしてるじゃん。
——
うん。理解しようとしてる。
樋口
けど、それは見方を変えてみれば、
世間に自分という存在を押し付けているのかもしれない。
世間にって言うと主語がでかいかもしれないけど、
「自分と同じ考えじゃない人」に対して、
「自分」を押し付けてるだけかもしれないっていう。
なんで自分が思ったようにしてくれないんだろうって。
——
なんで世間は私を、
「女の子じゃない女の子」に分類してるんだろうって?
樋口
まあ、その答えは簡単だよね。
世間が思う女の子じゃないって、ただそれだけで。
——
えー(笑)。
なんかそんな論理で終わる話じゃないんだよね。
もっと感情的な話なのよ(笑)。
樋口
じゃあ私は優遇されたい、で終わりじゃない(笑)。
——
ええ?優遇されたいわけじゃないよ。
優遇されないことに傷ついた自分がいるって
気づいたってだけ。
樋口
傷つくってことは、嫌な思いをしたってことじゃん?
嫌な思いをしたなら、
マイナスをプラスとまではいかなくても
ゼロにしたいってことでしょ。
じゃあやっぱ優遇されたいんじゃん?
——
うーん。
じゃあ、マイナスかけてみる?(笑)
樋口
俺はマイナスにマイナスをかけるとプラスになるのは
自分と似た境遇の人を見つけると嬉しくて盛り上がるのと
同じことだと思う。
——
あぁ、そうだね。
でも、それは今回したくなかったの。
だから似た境遇の人にインタビューしなかった。
キラキラな女の子にはインタビューできなかったけど、
少なくとも自分とは違う人にお願いした。
樋口
じゃあ、俺の見解は
私も世間の男にちやほやされたい!ってとこに
落ち着くな。
——
いや、それは、はず、恥ずかしいわ(笑)。
樋口
ええ?(笑)
でも、できることならちやほやされたくない?
ちやほやされて悪いことってなくない?
——
ない。
樋口
じゃあちやほやされた方がいいじゃん。
それが俺の見解。
——
うーーーーーーん。

なんだか煮え切らないまま終わってしまいました。
樋口くんの言い方や考え方がはっきりしすぎていて、
びっくりした人もいたかもしれません。
でも、これが樋口くんというやつ、なのです。
本人もこの文字起こしを見て、
「我ながら口が悪すぎたな」と言ってました。

言ってることはまさに正論だと思います。
でも、それを認めたくない気持ちが
私にはあるのだと思います。
自分をずっとチクチクと苦しめてきたことが、
そんな簡単に解決していいはずがないという気持ちです。
きっと何かに少し傷つくたびに変わろうと思って、
でもやっぱり自分らしくいたいと思う自分もいて、
それでもまだ、女の子らしい女の子に憧れてしまう。
そんな自分がなんだかみじめで、
だからこそ、ちやほやされたい人と一緒にしないでよと
突っぱねてしまうのかもしれません。

ちなみに、この樋口くんという人は
私が以前片思いをしていた相手なのですが、
それはここだけの秘密です。
もう終わった気持ちなので、
インタビューに影響はないと思っていますが
いまいち踏み込んだことを聞けなかったのは
見栄や変な気遣いがあったからかもしれません。

でもそういう相手と「女の子」についてや
自分のコンプレックスについて話すのは
苦しいけどちょっと面白い体験でした。

第8回 さいごに